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総集編 001―100
おかげさまでロードサイダーズ・ウィークリーは今週配信号で100冊目になりました。2012年1月4日配信の創刊号から2年間、いちども欠けることなく毎週お届けできたのも、サポーターのみなさまのおかげです。あらためて深く感謝いたします。 |
001 Wasabi~裏長屋の変身アトリエ |
上野と浅草のちょうど中間にある台東区松が谷。日本一の調理道具街・合羽橋があることで知られる松が谷の、長屋のような2階建て店舗兼住宅に、2011年秋にオープンしたばかりの『WASABI』は、「ロリータ系かわいいコスチューム衣裳専門 店」。もうちょっと詳しく言うと、「ロリータ系かわいいコスチューム」を1週間1万円前後というリーズナブルなお値段でレンタルできて、希望すればヘアメ イクもしてくれて、写真も撮ってくれるアトリエ。こころに秘めた変身願望をかたちにしてくれるサービスだ。
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002 周回遅れのトップランナー 田上允克 |
時流に媚びない、のではなく媚びれないひとがいる。業界に身を置かない、のではなく置いてもらえないひとがいる。自分だけの絵を、自分だけで描きつづけて数十年・・・売れることもない。でも描くことをやめない。孤高と言うより孤独。天才と言うより異才。どこかの地方の、どこかの片隅で、きょうも黙ってひとりだけの作品世界を産みつづけるアーティストたちがいる。
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003 「大阪式」に生きるということ |
「大阪」という場所、大阪人という人種が持つ、独特の空気感を湛えた写真を久しぶりに見たなと思ったのが、谷本恵(たにもと・めぐみ)という、やはり若い女性写真家が去年(2011)年の1月に、四ッ谷3丁目のギャラリーSHUHARIで開いた小さな写真展『大阪式』だった。
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004 烈伝・ニッポンの奇婦人たち 女将劇場 |
コンクリート造の大型観光旅館と古びた飲食街が混在する湯田温泉は、日本のどこにでもありそうな、正直言って風情には欠ける雰囲気。しかし温泉街の奥にそびえる大型旅館『西の雅・常盤』のロビーあたりは、毎晩8時過ぎごろから宿泊客や外からのお客さんで、にわかに賑わいだす。今夜も8時45分から宴会場で名物『女将劇場』が始まるのだ。
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005 夜のオプションは『スナック来夢来人』で! |
山口市役所のある中心街から車で10分も走れば温泉街。湯田温泉は、県庁所在地と温泉場が同居する、珍しくも羨ましいロケーションだ。
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006 福岡郊外に隠された匠の理想宮・・ 鏝絵美術館探訪記 |
福岡県の小さな町に、現代の長八とも言うべき、稀代の左官職人による「こて絵の美術館」があるのを知るひとは、福岡県民でもそう多くないかもしれない。福岡市中心部と太宰府のちょうど中間、大野城市の住宅街にひっそりたたずむ『鏝絵美術館』が、その知られざるプライベート・ミュージアムであり、その館長であり左官職人でありこて絵師であるのが三浦辰彦さんだ。
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007 烈伝・ニッポンの奇婦人たち 切腹アーティスト・早乙女宏美 |
真っ暗な部屋の、そこだけロウソクでほんのり照らされた場所に、襦袢一枚になった女が座している。静かに呼吸を整える彼女の前には懐紙に巻かれた剥き身の短刀。おもむろに女は襦袢をはだけ、白褌一枚の腹部をさらす。そして短刀を握りしめると、ハッと鋭い気合いとともに左腹部に突き刺し、うめきながら右端まで見事にかっさばく・・・見苦しい姿をさらさぬよう腰紐でしっかり縛られた両膝から足先までを、おびただしい血で赤く染めながら・・・。
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008 電気の街の、わくわくうさぎランド |
秋葉原が電気少年や工作小僧の聖地だったのは、もう過去のこと。いまや秋葉原はアニメキッズの性地、そして中国人観光客の買い物天国と化している。大通りで客引きに声をからすのは、家電やパソコン・ショップの店員じゃなくて、メイドカフェの娘たちだ。
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009 釜山 巻き戻された街で |
釜山から高速バスで1時間半弱、韓国第2の面積を誇る巨済島(コジェド)に着く。立地の良さから、日帰りで遊びに来る釜山からの観光客で週末はにぎわう。しかも巨済島のすぐ沖合にある外島(ウェド)は『冬のソナタ』の最終回の舞台。風光明媚な観光名所が多い中で、P.O.W.Campと呼ばれる『捕虜収容所遺跡公園』だけは、異色の存在だろう。
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010 周回遅れのトップランナー 仲村寿幸 |
2008年春、渋谷のポスターハリス・ギャラリーという小さな画廊から来た展覧会案内には驚かされた。展覧会のタイトルは『擬似的ダリの風景』。仲村寿幸というアーティスト名にはまったく聞き覚えがなく、時代感覚を超越したような、ばりばりのシュールな絵にも興味がわいたし、「初個展―苦節30年、積年の思念が遂に成就」というサブタイトルにも惹かれたが、それよりもなによりも、葉書に刷られた「作品管理者求む、全作品寄贈します!」という一行に度肝を抜かれたのだった。自分の展覧会案内で、全作品をタダで譲りますと告知する作家って・・・。
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011 ワタノハスマイルが気づかせてくれたもの |
大震災で壊滅的な被害にあった宮城県石巻市の小学校で、山積みにされたガレキをつかって、子供たちがこんなにおもしろい作品をつくっていて、それが日本中を巡回していることを、僕はうかつにもまったく知らなかった。 その小学校の名前を取って「ワタノハスマイル」と呼ばれるプロジェクト――
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012 南国地獄をあとにして・・・ |
イサーン地方と呼ばれるタイ東北部の玄関口、ナコンラチャシマー郊外のノンターイという小さな町にあるパーラックローイ寺。訪れるものは、一瞬そこが寺院だとはわからないかもしれない。のどかな農村風景の中に、プレートと呼ばれる一対の幽霊の、ひょろひょろと細長い巨体がそびえている。酒や麻薬におぼれたり、両親に背いたり、物欲に溺れたり、「充分という言葉を知らぬもの」が、死んでプレートになるのだという。
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013 圏外の街角から:福岡県大牟田市 |
かつて三井三池炭鉱を擁する「石炭の街」として栄華を誇った大牟田市も、いまでは見事なまでのシャッター通りと化している。 その中で唯一、フレッシュなエネルギーにあふれた場所が、かつてのグランドキャバレーを改装したライブハウス/イベントスペース『大牟田ふじ』だ。
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014 周回遅れのトップランナー 川上四郎 |
横浜郊外の団地の一室で、目の前にずらりと絵画作品と写真プリントを並べて、ニコニコしている小柄な老人。絵も写真もずっとアマチュアでやってきた彼の作品を、名前を知るひとはいないだろう。
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015 マイ・フェバリット・オールド・バンコク |
バンコクはいま、かつての東京のような激変の最中にある。第2次大戦後に建てられた建築や、密集した住宅群が容赦なく破壊され、巨大なショッピング・コンプレックスや高級高層コンドミニアムに、どんどん生まれ変わっている。古き良き東南アジアの都市風景を形成してきた「バンコクらしいバンコク」がどんどん消えていく。
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016 妄想芸術劇場 ぴんから体操展 |
日本のエロ雑誌史上、ある意味でもっともエクストリームな強度と純度を保持しつづけるシロウト投稿露出写真誌『ニャン2倶楽部』。1990年の創刊当初から設けられた投稿イラスト・ページは、誌面の大半を占める投稿写真に圧倒されながら、現在も片隅で継続中である。
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017 コラアゲンはいごうまんの夜 |
コラアゲンはワハハ本舗所属の「体験型ドキュメンタリー芸人」だ。本舗主宰の喰始から「SM女王様の奴隷入試を受けてこい」とか、「武闘派ヤクザの事務所に1ヶ月間体験入所してこい」とか、メチャクチャな課題をもらって、それをそのまま実行。そこで得た体験を舞台上で、たったひとりで語り尽くす、まさにカラダを張った芸である。
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018 ウグイス谷のゴム人間 |
『デパートメントH』はアメリカン・コミックス・スタイルの作風で知られるイラストレーター・ゴッホ今泉さんが主宰する日本最大級の、もっともよく知られたフェティッシュ・パーティである。今年でおよそ20年、毎週第一土曜にほとんど欠かさず開かれているから、通算200回以上は開催されている、恐るべきご長寿イベントだ。
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019 おとなしい顔の魔界都市 |
広島市に次ぐ、広島県第2の規模を誇る福山市。中国地方でも広島市、岡山市に次ぐ3番目の大都市であるが・・・知名度から言えばかなり劣ると言わざるを得ない。
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020 鞆の浦おかんアート紀行 |
広島県福山市の『鞆の津ミュージアム』で開催される展覧会『リサイクル・リサイタル』。会場となる福山市鞆の浦地区は明治・大正・昭和の街並みがそのまま生きている、風情にあふれたエリア。そしてこういうタイトなコミュニティにかならずと言っていいほど見つかるのが・・・そう、「おかんアート」だ。
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021 突撃! 隣の変態さん チェリスQ |
都内某所、私鉄沿線の駅を降りて商店街を抜けた先に「チェリスQ」の基地がある。屋根裏部屋を使った、立つどころか四つん這いでないと入ることも動くこともできない、その超高密度空間に案内されて、僕はしばし言葉を失った・・。
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022 ドクメンタ・リポート 裸の王様たちの国 |
フランクフルトから特急に乗って約1時間半、「グリム童話と現代美術の町」カッセルで、6月9日から100日間のドクメンタ13が公式にスタートした。
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023 突撃! 隣の変態さん サエボーグ |
「ラバーインフラッタブルのアニマルスーツを自作、着ぐるんでます。夢はラバー牧場を作ることです」と、サエボーグさんのブログ自己紹介には書かれている。デパートメントH・ゴムの日特集でも、とりわけ異様に目立っていたラバー・パフォーマーがサエボーグさんと友人たちだった。なにせ空気で膨らませたラバー製の農婦(サエノーフ)、そのうしろには雌牛が出てきて搾乳、そのあとはメンドリが出てきてタマゴを産む! という驚愕のステージが展開されたのだから。
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024 うれし恥ずかし駅前彫刻 |
ある日、友人から届いた『駅前彫刻』と『駅前彫刻2』と題された手作り小冊子は、名前のとおり駅前や公園や道端に、だれにも気にされないままひっそりたたずむ、ブロンズや石の彫刻作品を撮影した写真集だった。
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025 突撃! 隣の変態さん ラバーマン |
デパートメントHの舞台。黒子が押す台車に乗せられて、キャットウォークに現れたオレンジ色の巨塊――「サナギ」。台車からゴロンと転がり落ちたところに、黒子がすばやくジッパーを押し下げると、中からやっぱりオレンジ色の、ラバーに包まれたぶよぶよの巨体が現れ、両手をかかげて雄叫びを上げる・・聞こえないけど。
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026 日本でいちばん展覧会を見る男 |
日本でいちばん展覧会に行ってるひとって、だれだろう。僕はこのひとだと思う――山口“Gucci”佳宏、通称「グッチ」さん。でも、彼は美術評論家でもなければ学芸員でも画商でも、美術運送業者でもない。グッチさんはレゲエ・ミュージックに長く関わってきた、生粋の音楽業界人なのだ。
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027 池袋のラバー女神たち |
5月6日=「ゴムの日」にちなんだ「デパートメントH ラバーマニア大集合」で大フィーチャーされたのが、池袋に拠点を置くラバー・ファッション工房『KURAGE』だった。
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028 女性のようにオシッコできたら―― 岡田快適生活研究所の孤独な挑戦 |
松山空港そばの、田んぼが広がる中の一軒家。ここが岡田快適生活研究所――いま性同一障害のひとや、女装子さんたちの注目を集める「ペニストッキング」をはじめとする、素晴らしく独創的なラインナップのスーパー特殊下着を次々に開発・販売している会社の本拠地だ。
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029 みちのく路の特殊美術喫茶・ブルボン |
福島県いわき市に、珍スポット・ハンターたちには広く知られた名所がある。市内中心部、平(たいら)1丁目交差点近くにある『喫茶ブルボン』だ。
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030 バンコク猟盤日記 |
僕がタイに通いはじめたのは、いまから10年ぐらい前。そして2004年から数年間は、年に何回もバンコクに通う「ハマリ状態」に。そのうちもともとの中心だった中華街のあたりが大好きになって、朝から晩まで汗だくになりながらぶらついたものだった。
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031 海景と死者の町 |
鳥取市内から9号線を西に向かう。車窓の左側に大山の雄大な景観が見えてくるころ、JR山陰本線・赤崎駅への曲がり角がある。もともとの名前を赤崎町、どんな観光ガイドブックにも載らないこの地味な町に、これまた観光ガイドには載らない、とびきりの奇景が隠されている。
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032 軽金属の娼婦たち |
いっとき、日本でだれよりもよく知られたイラストレーターで、いまはほとんど雑誌でも広告でも作品を見ることのなくなってしまったひと、それが空山基である。
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033 突撃! 隣の変態さん 円奴 |
男に生まれて、ゲイになって、女装子になって、ついに本物の女になったひと。
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034 夏の終わりの絶叫体験 |
バブルの酔いから日本中が覚めきらなかった1992年、後楽園ゆうえんち(現・東京ドームシティアトラクションズ)で『ルナパーク』というイベントが始まった。
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035 ロボットレストランというお祭り空間 |
新宿歌舞伎町の中心部、区役所裏の超一等地に、ロボットレストランがいきなり姿をあらわしたのがこの7月のこと。大通りを走り回るロボット・カーに度肝を抜かれ、道端で配られたティッシュの「オープン迄にかかった総費用・総額100億円」の文言に二度ビックリ。で、ロボットレストランというから、ロボットがサービスしてくれる、未来型ハイテク・レストランかと思いきや、肌もあらわなセクシー美女たちが踊ってくれる「ロボット&ダンスショー」が楽しめる、シアター形式の店だった。
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036 海女の群像 |
写真って、どう撮るかよりも、撮らせてもらえるまでにどう持っていくかの勝負なのかも、と思うことがよくある。親しくなって、カメラを持った他人がその場にいることが、だれの気にもならなくなって、気配を消せるところまで持っていけたら、それはもう撮影の大半を終えたも同然、ということがよくある。
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037 黄昏どきの路上幻視者 |
なるべくアメリカっぽく、アメリカのヒップホップっぽくあること、というグローバリゼーション。自分の国の言葉で、自分の国でしかできないヒップホップを探すこと、というローカリゼーション。つねにこのふたつのサイドがせめぎ合ったり共存したりしながら、過去20年あまりのストリート・カルチャーは形づくられてきたと言っていい。
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038 日曜日のゾンビーナ |
六本木ミッドタウン正面の、とある店。日曜午後のほがらか気分でドアを押し開けると・・・いきなりゾンビが襲ってきた! 「いらっしゃい~~」とくぐもった声を出しながら、ぶらぶら腕を伸ばして迫ってくる・・・ああ気持ち悪い!
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039 センター街のロードムービー |
いまから数年前、日本でいちばんスリリングな夜があった時代の渋谷センター街に、生きていた男の子と女の子たちだ。焦点の合った主人公と、その向こうのぼやけた街並み。鮮やかで、しかもしっとりしたカラー(それはウォン・カーウェイの撮影監督だったクリストファー・ドイルや、ベンダースやジム・ジャームッシュのロビー・ミューラーのような色彩感覚)。1枚1枚のプリントに閉じ込められた、なんとも言えない、時代の空気感。この素晴らしい写真を撮った鈴木信彦さんは、プロの写真家ではなく、仕事をしながら週末渋谷に通うだけのアマチュア・カメラマンなのだという・・。
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040 アートと地獄とメイドとクソゲーと |
クルマで行けば福岡中心部から40分ほど、しかしバスで行こうとすると(鉄道駅はなし)、3つも乗り継いだ上に徒歩20分以上、タクシーだと「いちばん近い駅から片道1800円」。しかも開館日(休館日ではなく)は毎週日曜と祝日の12~18時のみ。さらに1月2月は「冬眠のためお休み」! こんなにハードルが高くて、こんなに地元でも知られてなくて、こんなに楽しい不思議なミュージアム、それが筑紫郡那珂川町の『不思議博物館』だ。
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041 ある秘宝館の最後 |
札幌中心部から1時間弱のドライブ、定山渓温泉の北海道秘宝館を初めて訪れたのは1994年のことだった。その秘宝館が廃墟になってしまっているという悲しい情報を得て、久しぶりに行ってみる。
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042 痛車賛歌 |
「いたしゃ」と言われて「イタ車」を連想するのか、「痛車」を連想するのか、君はどちらのタイプだろうか。
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043 金いろの夜 |
いま、日本各地で「町おこし」という錦の御旗のもとに数多くのアート・イベントが開かれている。でも、いくら高名な外国作家を招いても、子供たちを招いてワークショップなりをやってみても、地元の人々の日常と、遠くから来て終わったらさっさと帰っていく「現代美術作家」たちの難解な作品との距離は、埋めようがない。
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044 ソウル大竹伸朗展 |
韓国ソウルで『大竹伸朗展』が開幕した。場所はアートソンジェ・センター。ファッショナブルな街・三清洞にあるアートスペースの、1階から3階まで、全館を使った大規模な個展だ。
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045 捨てる神と拾う神 |
捨てられてしまうもの、忘れられてしまうものを集め、記録するようになってずいぶんたつが、その道の大先輩であるひとりが森田一朗さんだ。その森田一朗さんが昭和40年代からずっと集めてきた、「すてかん」のコレクション展を開く。
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046 ウィークエンド・ハードコア |
音楽で食えればかっこいい。食えない音楽にしがみついてるのはかっこわるい――世間はそう思ってる。でも、いい年して、それでも音楽を捨てたくないから、仕事をしながら楽器を離さない。会社にも行くけれど、週末はステージに立ち続ける。40になっても、50になっても。そういう生き方と、売れて億のカネはもらえるけれど、レコード会社やテレビ局や広告代理店の言われるままにプレイしている“アーティスト”と、どっちが純粋だろうか。
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047 8トラックのエロ |
もうずいぶん前、大阪の場末のオトナのおもちゃ屋を訪れたときのこと。いろいろ物色、購入してきたなかに、「声のお色気ドラマ」である8トラック・エロテープが何本かあった。
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048 食の無限天国「聚楽ホテル」で煩悩全開! |
かつては団体様用の貸し切り観光バスがひっきりなしに吸い込まれていった巨大観光ホテルも、めっきり影が薄くなってしまった。飯坂温泉もコンクリート造のホテルが並んでいて、中でもいちばん目立つのが『聚楽ホテル』だ。
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049 ブローニュの森の貴婦人たち |
深い緑の森の夜、フラッシュに浮かび上がる挑発的な女。ビニールの花のごとく地面を覆う使用済みのコンドーム・・・。パリ、ブローニュの森にあらわれる娼婦たちの生態である。
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050 追悼・浅草のチェリーさん |
浅草を歩くと、いつもそのひとがいた。六区のマクドナルドあたりに、小さなからだを独特のセンスの服で包んで、ふらふらと立っていたり、道端に座り込んでいたり。チェリーさんとも、さくらさんとも、あるいはただ「おねえさん」とも呼ばれてきたそのひとは、道行く男たちに声をかけ、からだを売る、いわゆる「立ちんぼ」だった。だれかに声をかけたり、かけられたりしているところを見たことは、いちどもなかったけれど。
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051 隣人。―― 北朝鮮への旅 |
去年末、北朝鮮を撮影した写真集が出版された。タイトルは『隣人。――38度線の北』。撮影したのは初沢亜利(はつざわ・あり)という日本人のカメラマンだ。
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052 グラフィティがかき乱す台北のランドスケープ |
台北で出会ったグラフィティ・アーティスト「CANDY BIRD」。中国本土でも台湾でも、現代美術の世界では基本的にコンセプチュアルな作家、作品が大多数で、キャンディ・バードのようなストリート・レベルのアーティストが、いまどれくらい増えてきているのか、まだわからない。でも、なにかが起こっている感触は、確実にある。
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053 常滑、時間をさかのぼる旅 |
急速に開発が進んだ町でありながら、常滑の中心部には見事なまでに昔ながらのたたずまいが残っている。それも歴史遺産として「保全」されているのではなく、地元のひとびとがふつうに働き、住み暮らす場として。
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054 ノリに巻かれた寿司宇宙 |
清田貴代さん(通称・たまちゃん)はイラストレーターが本業だが、「巻き寿司アーティスト」でもある。ノリにおおわれた真っ黒の巨大なカタマリを俎板に置いて、おもむろに包丁を入れると・・・あらわれるのが見事なモナリザだったり、阿修羅だったり、ハダカの女だったり、果てはウンコだったり! それがまた単に金太郎飴のように「どこを切っても同じ柄」なのではなくて、切る場所によって微妙に絵柄が変化したりもする。
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055 六畳間のスクラップ宇宙 |
数か月にいちど、岐阜県内の消印を押した分厚い封筒がうちに届く。中にはいつも近況を書いた短い手紙と、写真の束が入っている。サービスサイズのプリントに写っているのは、数十枚のスクラップブックのページを複写したものだ。
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056 グラフィティの進化系――KaToPeの幻想世界 |
急に若者系の店が目立つようになった北千住の、新しい空気を象徴するような店のひとつが『八古屋』(やこや)。そこに飾られていたのがKaToPeの作品だった。
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057 シャム双生児の夢 |
ヒトの頭をした犬がいる。水頭症の子供がいる。シャム双生児がいる・・・鵜飼容子の描く画面、立体の造形は、現代美術画廊のホワイトキューブ空間に、どこかの時代からいきなりワープしてきた見世物小屋のようだ。場末の奇形博物館のようだ。そしてそれらは確かに不気味だけれど、同時にどこか神々しくもある。かつてさまざまな文明で、奇形や不具の人間が「神に愛でられた存在」であったように。
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058 負け組音楽映画の真実 |
『アンヴィル』に続く音楽好き号泣必至映画『シュガーマン』。「事実は小説より・・・」なストーリーはもちろんのこと、ロドリゲスの音楽も、彼の音楽によって人生を変えられた多くの人間の描写も素晴らしく、これは音楽という奇跡によって結ばれた群像劇でもある。
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059 祈りの言葉が絵になるとき |
奈良のアーティストからある日、薄いパンフレットが届いた。地元のアマチュア・アーティストの展覧会カタログだそうで、表紙には穏やかな表情の仏画と、「伊東龍宗 Tatsumune Ito」という作家名だけが記されている。
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060 石巻のラスタファライ |
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた石巻は、「ロッカーズ・タウン」と呼ばれるほどレゲエ・ミュージックが盛んな土地として、東北の音楽好きには知られてきた。
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061 死刑囚の表現・展 |
広島県福山市の鞆の津ミュージアムで開催される『極限芸術 ― 死刑囚の表現 ―』は、個人的に今年いちばん重要な美術展になるはずだ。
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062 極楽行きのディスコバス |
貧富の差が著しいタイで、ポップ・カルチャーを下支えするのはバンコクのハイソなインテリではなく、郊外の工場で働いたり、農村で泥まみれになったり、田舎から都会に出てきてハダカ勝負しながら、故郷に仕送りしてる若い男女だ。
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063 原色の寝室 |
タイ各地の「日式」ラブホテルをめぐる旅。今週はチェンマイの『アドヴェンチャー・ホテル』にお連れしよう。
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064 長距離ロッカーの孤独 |
札幌の小さな映画館で、あるドキュメンタリー映画が1週間だけ公開された。主人公は札幌在住の、まったく売れない中年ミュージシャン。監督はこれが映画初挑戦という、美容院とスープカレー屋の経営者。いったいこれ以上、地味な組み合わせがあるだろうか・・・。
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065 一夜漬けの死体 |
新宿でも、渋谷でも池袋でもどこでもいい。東京の夜の街を初めて歩く外国人がいきなり度肝を抜かれるもの――それは道端に倒れている人間たちだ。
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066 民謡酒場のマスター・オブ・セレモニー |
昭和30年代からの高度成長期には東京、それもいまはソープ街として知らぬもののない吉原を中心に、数十軒の民謡酒場が盛業していた。しかし現在では浅草、吉原、向島と、わずか3軒ほどしか残っていない。
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067 ガラクタ山の魔法使い |
「マンタム」という不思議な名前を持つ彼は、古物商=古道具屋でありながら、自分のもとに集まってくるガラクタを素材に、なんともユニークな立体作品をつくりあげるアーティストでもある。
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068 笑う流れ者 |
『笑う流れ者 木股忠明の思いで』――仙台、新宿ゴールデン街、神奈川県綱島・・・同時多発的に小さな写真展が、ひっそりと開かれている。
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069 高知のデルタ、本山のミシシッピ |
高知市から国道32号を北に向かい、緑深い山沿いのワインディングロードに入って約1時間。本山町をすぎたあたりのカーブを曲がったとたん、ものすごくカラフルに塗りこまれた一軒家が視界に飛び込んでくる。
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070 ROADSIDE RADIO 渋さ知らズ |
毎回毎回、好きなミュージシャンのライブを1時間もオンエアするインターFM・ロードサイド・ラジオ。ミュージシャンを選ぶ基準は「知られてないけど、こんなすごいひとがいる」というレア感よりも、むしろ「こんなにみんな好きなのに、どうしてラジオやテレビで聴けないんだろう」という疑問というか、焦燥感をまず基準にしています。
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071 少女の深海 |
探査船の強いライトに照らされて、闇の中で白く浮かび上がる生命体のように、濃紺の深海にたゆたう少女たち。高松和樹がたった2色で描き出す緻密な仮想現実は、見たこともない世界と、ひどく親しげな既知感を同時に抱え込んで、見るもののこころをざわつかせる。どこか懐かしい未来の風景のように。
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072 GABOMIという名の「そのまま」写真 |
高松の路面電車「ことでん」の、切符売り場の壁に異様なポスターが貼ってあった。檜造りの大浴場に、運転手さん車掌さんたちが、制服を着て風呂に浸かってる。別バージョンでは、ことでんの車両を風呂場に見立て、全裸で頭を洗ってる! なんですか、これ・・・。
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073 ゼン・プッシーが閉じた夜 |
西荻窪という街には、独特の臭みがある。それは新宿とも下北沢とも、高円寺とも吉祥寺ともちがう臭みで、僕はそれにあまりなじめないでいた。そういう西荻で一軒だけ、ここなら安心して泥酔して気も失えるくらい好きだった店が南口の商店街を抜けた奥にあって、それは『ZEN PUSSY』という、名前からして異常な店だった。
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074 写狂仙人の教え |
写真誌月例コーナーのご常連、山口市在住のアマチュア・フォトグラファー福田満穂さん。あくまでストレートでありながら、どこかファニー、しかもビザール。御年95歳にしていまだ現役バリバリのアマチュア・フォトグラファーである。
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075 雄弁な沈黙 |
九段といえば靖国神社。そのかいわいには、戦争関連展示施設が集中していることをご存知だろうか。靖国神社境内には「遊就館」という軍事関連展示場があるし、九段下には戦中戦後の昭和の暮らしを展示する昭和館がある。
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076 瀬戸の花婿 |
瀬戸内国際芸術祭2013にあわせて女木島、高松、丸亀と3つの空間をまたいだ「大竹伸朗 3プロジェクツ」。まずは女木島の『女根』をご紹介しよう――
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077 清掃員ガタロ――静かなるアート・ゲリラ |
広島市中心部。原爆ドームすぐ北側の一角がかつて「原爆スラム」と呼ばれた、巨大なバラック住宅群だったことを、どれほどのひとが知るだろうか。
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078 路上の神様 |
不思議なポートレイトのシリーズを見る機会があった。写っているのは似合わないスーツや改造制服に身を固めた少年だったり、見るからにオヤジでしかない女装家だったり、売れてなさそうなミュージシャンだったり、変な入れ墨の変な外人だったり、ホームレスだったり。
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079 優雅なファッションが最高の復讐である |
イタリア人の写真家であるダニエル・タマーニは、もともと美術史を専攻していたが、数年前から写真の世界に身を投じ、当時住んでいたロンドンや、パリのアフリカ人コミュニティにとりわけ興味をもつようになった。
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080 欲望をデザインする職人芸 |
佐々木景は1975年、東京都下・小金井に生まれた。いま38歳のグラフィック・デザイナーである。 AVパッケージのデザインを手がけるようになったのは、いまから10年ほど前のこと。「たまたま友達がAV業界にいたことから」始めた分野の仕事だった。
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081 幻視者としての小松崎茂 |
かつてあまりに身近にあったために、紙芝居という優れたビジュアル・エンターテイメント・メディアが、実は日本の発明であることを僕らは忘れがちだ。
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082 モッシュピットシティ・ジャカルタ |
「実はインドネシアって、パンクがすごいんです!」と驚きの情報を得たのはつい最近のこと。ジャカルタを中心にインドネシアにはパンク・キッズやオトナのパンクスがたくさんいて、それもストリート・チルドレンから低所得階級を巻き込んだ、マージナルな社会的存在になっているのだという。
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083 裸女の溜まり場 |
今年の春、銀座ヴァニラ画廊の公募展審査をしていたときのこと。いかにもフェティッシュな若い作家たちの絵画や立体が並ぶ中で、ひとつだけ異彩を放つ、不思議に古風なヌードの油絵が目に留まった。「よでん圭子」さんという女性画家の作品で、くすんだグレーの肌の裸女たちが、画面上にのびやかに配置されている。古典的な構成と技法と、ぜんぜん古典的じゃない風合いを兼ね備えた、それはなんとも評価しがたい絵だった。
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084 ふぐりのうた |
「おりゃあ」「おおおおお」「つああああ」「べむっ」「ひぐっ」「いやあああああ」・・・喘ぎなのか絶叫なのか、絶頂なのか。言葉にならない言葉がページをびっしり埋めている。
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085 天使の誘惑 |
モンド画伯――本名・奥村門土くん――は福岡の小学4年生、先月10歳になったばかり。お父さんは福岡の音楽シーンでは知らぬもののないミュージシャンであり、イベントオーガナイザーでもあるボギーさんだ。
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086 張り込み日記 |
「事実は小説より奇なり」という、言い古された格言の英語は「Truth is stranger than fiction」だが、ときとしてそれが「事実のほうがフィクションよりストレンジ」というより、「事実のほうがフィクションよりフィクシャス=フィクションっぽい」という意味ではないかと、思いたくなってしまうことがある。
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087 電音三太子、世界を行く! |
ものすごくギラギラで、ものすごく大きな被り物をかぶって、ものすごくチープなテクノ・ミュージックに乗って、祭りの爆竹スモークのなかを踊りまくる「電音三太子」。こころある台湾知識人の眉をひそめさせ、祭りに酔う子どもたちを熱狂させる、現代台湾が生んだひとつのカルチャー・アイコンだ。
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088 凍った音楽 |
今年で開業55周年を迎える東京タワー。3階にあった「東京タワー蝋(ろう)人形館」が、去る9月1日に43年の歴史に幕を下ろし閉館――というニュースに、ひときわ衝撃を受けた方も多いのではないか。
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089 閉じかけた世界のなかへ |
『ECHOLILIA』(エコリリア)という大判の写真集は、サンフランシスコ在住の写真家ティモシー・アーチボールドが、自閉症である息子イライジャーと向きあい、写真という手段でその閉ざされたこころとつながりあおうと試みた、果敢な挑戦と、ほとんどスピリチュアルな表現の記録である。
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090 下品な装いが最高の復讐である |
会津若松市の片隅。ウッドブレイン・ショールームと名づけられたクラシカルな建築空間で、地元DJのイルマスカトラスが秘蔵する、オールドスクール・ヒップホップ・ファッションのコレクション展を見た。
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091 ライフ・イズ・ジルバ! |
福山市中心部から北上すること約30分、ものすごくのどかな郊外の、そのまた外れに「ジルバ」という名前のスナックがある。
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092 歌舞伎町アンダーワールド |
その写真集の噂を聞いたのは、2012年の初めごろだったと思う。著者のウェブサイトに直接注文、ベルギーから届いたのが『ODO YAKUZA TOKYO』という写真集だった。
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093 世界を桃色に染めて |
『独居老人スタイル』でも取り上げた、福島県本宮市の奇跡の映画館・本宮映画劇場と、館主の田村修司さんが秘蔵する、驚愕のポスター&チラシ・コレクション。
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094 ヴェネツィア・アート・クラビング |
今年のヴェネツィア・ビエンナーレでは、史上最年少のディレクターであるマッシミリアーノ・ジオーニによる『The Encyclopedic Palace』が、多くのアウトサイダー・アーティストを起用して話題になった。
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095 ROADSIDE MUSIC アシッド・マザーズ・テンプル |
アシッド・マザーズ・テンプル、略称AMTは、日本では知る人ぞ知る存在かもしれないが、欧米では数多くの熱狂的なファンに支えられてきた、ほんとうにビッグな老舗サイケデリック・ロックバンド。ウェブサイトがほとんどすべて英語ということからも、その国際的な活躍がわかる。
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096 神の9つの眼 |
ジョン・ラフマンというカナダのアーティストによる『The Nine Eyes of Google Street View』は、タイトルが示すとおり、グーグルのストリートビューから拾い集められたショットを一冊にまとめた本。
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097 仮装の告白 |
ここ数年、仮面や仮装をテーマにした写真集が目につくようになってきた。それは仮面や仮装に表象される野性や、現代文化のなかでしぶとく生き残るフォークロアといったものが、エネルギーを失いつつある現代美術やファッション・デザインに対する強烈なカウンター・カルチャーとして、注目を集めるようになったからかもしれない。
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098 挟む女 |
ハサマレル男達』は、文字どおり「挟まれた男たち」。肌もあらわな太ももに顔をギューッと挟まれて、ぐちゃっと変形したところをアップで撮られた、もだえ顔の写真シリーズだ。
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099 踏まれるの待っていたライムが肩に手を回したろ? |
「潮吹かせるのが得意だから」潮フェッショナルとみずから名づけた三島a.k.a.潮フェッショナル。2013年にデビュー・アルバム『ナリモノイリ』をリリース、去年もっとも話題になったラッパーでありながら、その人となりはクラブに足繁く通うひと握りのファン以外に、まだあまり知られていない。
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100 水辺の白日夢――スイティエンパークの休日 |
ベトナムで遊園地というと、サイゴン郊外にあるスイティエンパークがもっとも有名な遊園地ということになっている。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!