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2024年09月04日 Vol.611
photography
AIカメラクラブにようこそ
いまから1年ぐらい前だろうか、Instagramに不思議な画像が流れてきて、思わず見入ってしまった。それはセピアがかった、見るからに何十年も前のアメリカの風景や人物写真なのだが、なんだかモノクロームの夢というか悪夢のなかに入り込んだように、ものすごく奇妙なカメラや建築が写り込んでいる。写真だからすごくリアルだけど、よく見るとあり得ないようなディテールがあったりもする。こんな写真家、どうしていままで知らなかったんだろう!と驚いて投稿者を見ると、「The AI Camera Club」と書いてある。AIカメラクラブ? さらに探していくと、それはティモシー・アーチボルドが去年始めた風変わりで魅力的な写真シリーズなのだった。
design
デザインの世間体 013 狂い咲きショッピングストリート (写真・文:若生友見)
商店街。 Wikipediaによると「商店街とは、商店が集まっている地区や、商店が建ち並んでいる通りのことをいう。また、地域の商店主の集まりを指す場合もある。」と、かなりざっくりと定義されています。記事内では渋谷の公園通りやラフォーレ原宿周辺まで商店街の範疇に含まれているようです……ということは銀座も例外ではないでしょう。 でも、心理的に銀座を「商店街」と呼ぶことに抵抗感がある人は多いのではないでしょうか。それなのに「銀座」と名のつく商店街(あるいは飲屋街)は日本各地に無数にあるのはおもしろい事実です。 さて、今回の本題は商店街そのものではなく、商店街にありがちなこれです。
lifestyle
バンカラ女銘々伝 第11回 「民権ばあさん」とよばれた女 楠瀬喜多 (文:平山亜佐子)
前回は据置貯金を奨励して全国行脚をした「軍艦女史」こと阿部銀子を紹介したが、今回は女性に参政権を与えよとかなり早い時期に主張した通称「民権ばあさん」、楠瀬喜多について書こうと思う。 但し、その伝説には虚実入り混じっているので注意が必要である。 喜多は1836(天保7)年9月9日、高知市弘岡町雑喉場の米穀商人、袈裟丸儀平のもとに生まれた。父の名を西村熊次とし、職業は車力人夫で背中から腕にかけて昇龍降龍の彫り物の入った勇み肌、家では荒くれものたちに囲まれていたとする資料もあるが間違いである。
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 48話 50代の就職活動 (画・文:新開のり子)
この歳で思いもよらない転職活動を始めることになりました。 毎日当たり前のように会社に行っていた時を思うと社員を辞めるなんて考えてもいませんでした。 やはり次も社員として働きたいと思い、求人サイトで社員登用ありの求人を探し始めました。 今までの経験から、毎日毎日何が起こるかわからないよりも、毎日同じルーティンでやる事の方が好きだということがわかりました。
art
楽園の森口裕二
現代美術とはずいぶん離れたフィールドで活動しながら、国内外で人気の高い画家・森口裕二の豪華画集『楽園』が2年あまりの制作期間を経てようやく完成。今月中には発売となり、あわせて刊行記念個展が新御徒町mograg galleryで開催される。発行元の青林工藝舎の『アックス』ではこれまで幾度か巻頭特集が組まれているので、すでにおなじみの熱心なファンもいるはず。僕は不勉強で最近になって森口さんを知るようになったのだが、画集に解説文を依頼されたこともあり、刊行と展示を間近に控えたタイミングで紹介しておきたい。
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 75 かくれんぼ (写真・文:オカダキサラ)
ホラー映画の何が苦手かというと、驚かされることです。後ろを振り返ったら化け物がいて、まさに襲いかかろうとしていた、というシーンは、展開をいくら予測できたとしてもびっくりします。 私は会社員時代、リフォームマンションの撮影を担当していました。中には「あれ?なんか嫌な感じがする…」と思う現場もいくつかありました。間取りや家具の配置ではなく、家の中に自分以外の何者かの気配を感じるのです。
travel
ユーラシア後ろ歩き 15 天の湖、ナムツォへ (文・写真:多田麻美)
ナムツォに行こう、と決めたものの、私は肝心の行き方をおじさんに聞くのを忘れていた。外国人に人気の観光地であれ、地元の人の間で有名な巡礼地であれ、きちんとアップデートされた正確な情報がないと、なかなかたどり着けないどころか、かなり無駄足を踏みかねないということを、私は身に染みて知っていた。どこかにきちんと辿り着きたければ一番確実なのは、そこに最近行ったことある人に話を聞くこと。数人に聞いて比較できれば、さらに安心だ。 次の日、私は散歩をした後、私は恐る恐る例の店を覗いてみた。情報を得たいという気持ちやおじさんの恋愛への応援より、怖いもの見たさの気持ちの方が若干、勝っていた。
2024年08月28日 Vol.610
travel
精神病院と巨大石顔彫刻庭園
2週間ほど間が空いてしまった「韓国江原道オン・ザ・ロード」、今週は東海岸の海辺の町・三陟(サムチョク)市郊外にある男根公園=海神堂(ヘシンダン)から一路内陸部にドライブすること約2時間、忠清北道陰城郡にある「ウムソン巨大石顔公園」へお連れする。 韓国のほぼ中央、江原道の南西に隣接する忠清北道(チュンチョンブクト、通称忠北/チュンブク)は、韓国唯一の海と接していない内陸道(なので山梨県と姉妹道県!)。その北部にある陰城(ウムソン)郡の町外れという・・・・・・前回の海神堂公園以上にアクセスのハードルがかなり高い、しかし異常なスケールと迫力の「巨大石顔」がおよそ千体、つまり政治・経済、社会、文化、宗教、芸能、スポーツなどあらゆる分野の世界的な著名人が千人も集結しているという、すさまじい石彫公園、それがこの巨大石顔公園なのだ。
travel
Freestyle China 即興中華 北朝鮮と烧烤とナイナイミャオ (写真・文:吉井忍)
せっかく中国のビザを取ったのに、まだ全然使えていない。もったいないので航空券が高くなる前に行ってこようと、サイトをのぞいてみた。羽田発の北京行きが思いのほか安く、即購入する。ただ、気になったのは北京の気温。私が調べた日にはちょうど高温警報が発令されていた。しかもホテル代がコロナ後に高くなり始め、お気に入りだったエコノミーホテルでさえ素泊まり400元くらいになっている(1元は約20円)。もっと北へ行こうと思った。 どうせ行くならそれなりの距離がある場所がいい。寝台列車で行けば一泊分の宿泊費が浮く。
design
デザインの世間体 012 特別編 『カミオン』創刊40周年・記念連載 我が青春のバイブルよ永遠なれ! 第2回 独創性あふれる沖縄(うちなー)のアートトラック (写真・文:松吉 満 / 編集:若生友見)
映画『トラック野郎』は単発映画として撮影され、1975年8月30日に公開された。初日から大きな話題を呼び、翌日にはシリーズ化が決定された凄い作品である。当時は神奈川県横浜市にあるトラックアクセサリー専門店の塚本屋中村商店が劇中に登場するデコトラの装飾を手がけていた。自分のトラックを美しく飾るという文化は万国共通であり、映画『トラック野郎』をきっかけに日本全国の港町やダンプの世界にますます広まっていた。
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 48話 私の闇5 リストラ要員~自主退職後(画・文:新開のり子)
定年までいる夢もはかなく退職をすることにしました。 退職後は、ストレスでなってしまった円形脱毛症の治療のために病院に行きました。 頭皮にドライアイスのような冷たいものをあてながら、円形脱毛症担当の先生が「心のケアをするのがとても上手な先生がいるから紹介してあげる」と言ってきました。 「とても優しい先生だよ」というので後日、紹介された病院に行きました。 心のケアをしてくれる病院・・・ 中に入ると怖そうな風貌の女医。 高圧的な態度でのカウンセリング。 優しいと聞いていたのに病院を間違えたのかと思うくらいでした。私の体型を見るやいなや「あなたは過食症ね!」と診断されました。
lifestyle
おいでよヘンタイの森 12 年上が好きという39歳のすごい秘密 文・イラスト:mimi(会社経営&フリー女王様)
これはつい先日の出来事なので、熱量があるうちに書きたいと思います いつものように引き当ててしまった感じです わたしがチャットではじめましてのお客様 入ってきていきなり 「年上が好きなんです」 という第一声 相手はマイクでわたしはチャット どんなくらい年下なんだろうと思ったら 39歳 名はまさくん ほぼ同世代・・・
movie
絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション 02 怪奇特集:あなたの知らないホラーAVの世界 ジャパニーズホラー編 (文:押スノ踏マズ)
肝がキンキンに冷えること間違いなしの納涼AV第2弾いきます。今回は日本の伝統的な幽霊や巫女をモチーフにしたAVをご紹介したいと思います。 カルト映画が好きでよく見るのですが、ホラー映画が怖くて見れないんですよね。カルト映画祭などでは、よくホラーも一緒に上映されたりするんですが、怖すぎるホラーは混ぜないで欲しいと思ってしまう派です。特に日本のホラーって本気でビビらせに来てますよね?観ているだけで呪われそうで……。という体たらくなので、一般作のホラーは『リング』や『らせん』などの有名作でも観たことがありませんでした。 でもAVなら観れるかもしれない……!ということで、日本の怖いAVを観ていきたいと思います。果たして怖さとエロさという正反対に思える生体反応は両立するのか?鬱勃起ならぬ、ビビリ勃起は可能なのか?皆さまも一緒に検証していただければと思います。
2024年08月21日 Vol.609
book
『TOKYO STYLE』と『ゆびさきのこい』
まったくの偶然だが、8月に2冊の新刊がリリースされる。前号までにちょこっとお知らせしたが、一冊はデザイン関係に興味のあるかたならご存じのスペイン・バルセロナの「APARTAMENTO」(アパルタメント)による、1993年に京都書院から刊行された大判の『TOKYO STYLE』を、ほぼそのまま復刊した英語版『TOKYO STYLE』。いったいなぜ2024年になって、30年前の東京の安アパートの写真集を・・・・・・と、お話が来ていらい謎が深まるばかりだったけれど、ついに現実の分厚い写真集が届いて、あらためてびっくり。でも、とりあえずありがたい!
art
堀内誠一 絵の世界
先週号では松江の島根県立美術館で開催中の『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事・展を紹介した。予告どおり今週は同じ島根県の益田市にある島根県石見美術館で開催中の「堀内誠一 絵の世界」展にお連れする。先週書いたように、新谷雅弘は『アンアン』から『ポパイ』『ブルータス』『オリーブ』に至るマガジンハウス全盛時代の雑誌を、師匠にあたる堀内誠一とともにアートディレクター/デザイナーとして立ち上げてきたひと。「堀内誠一 絵の世界」展は生誕90周年を記念して2022年から全国を巡回中で、今回新谷展と同じ県内で重なったのはまったくの偶然ということだが、師匠と弟子の展示がこんなふうに同期するところに、なんだか運命的なものも感じてしまう。
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 47話 緊急入院編 退院 (画・文:新開のり子)
部屋のカーテンをガバッと開ける看護婦さん。 「先生の診察がありますよ!」 いつもの点滴を終え診察室に行くと、検査結果が良くなってきているのでもう少しで退院できるでしょう!と先生より嬉しいお言葉をいただきました。 静かに横たわり点滴が終わるのを待ちます。 しばらくすると昼食の時間がやってきました。 待ちに待った食事の時間です。 看護婦さんがそれぞれベットまで食事を運んでくれます。 私は、食事が運ばれてくるなり、勢い良く食べました。
design
デザインの世間体 011 特別編 『カミオン』創刊40周年・記念連載 我が青春のバイブルよ永遠なれ! (写真・文:松吉満 / 編集:若生友見)
今月から12月まで、この連載「デザインの世間体」の中で特別編「我が青春のバイブルよ永遠なれ!」を開始します! 私は8年前からアートトラック(デコトラ)の月刊専門誌『カミオン』の編集に携わっています。 『カミオン』はおかげさまで今年の6月号で創刊40周年を迎え、8月号では通算500号に至りました。 私は現在フリーランスなのですが、それ以前は『カミオン』を発行する芸文社に数年勤めていました。私をカミオン編集部に採用してくれたのが今回から不定期で特別編を書いてくれる松吉満さん(前カミオン編集長)です。
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 74 どっこいしょ尊い (写真・文:オカダキサラ)
しゃがむ姿勢が好きではありません。立ち上がる時に必ず立ちくらみを起こすからです。 とはいえ、しゃがみながらの作業は制作につきもの。姿勢を元に戻すときは喝をいれるために「どっこいしょ」と掛け声をかけるのが習慣になってしまいました。 「どっこいしょ」はどこかの方言かと思っていたのですが、仏教の「六根清浄」が由来と知って驚きました。
lifestyle
バンカラ女銘々伝 第10回 「ドーリー」と呼ばれた女 薩摩千代 (文:平山亜佐子)
薩摩千代の夫、薩摩治郎八については獅子文六、瀬戸内寂聴が、また2010年代に至っては相次いで3冊の本が出版されているが、妻の千代に関する本は一冊も出ていない。 しかし、浮き沈みの激しい治郎八の人生の中でもっともいい時代をともに生きたこと、世が世なら会津のお姫様である千代が1920年代のパリでモダンガールとして名を馳せたことはとても興味深い。 その美貌から「ドーリー」(人形)とよばれた千代は、果たして中身も人形だったのだろうか。
travel
ユーラシア後ろ歩き 14 深く謎めいたラサの夜 (文・写真:多田麻美)
今はどうなのか分からない。だが、私が訪れた21世紀初頭のチベットは、まだまだ理性だけでは受け入れがたい、不可知な闇の世界への入り口があちこちにあるように見えた。 印象に残っている風景がある。今となっては幻のようだが、確かに目にした風景だ。 それはある町の、警察署のすぐ近くでのことだった。用事を終えた私は、食事でもしようと、裏通りの地味な喫茶店に入った。席を探しながら気づいたのは、店の空間が普通でないことだった。通り沿いの部屋は飲食用だが、奥にベッド付きの部屋があり、着飾った女性が座っていたのだ。 私ははっとした。ここって売春宿じゃないだろうか? 客が来たらきっと、奥の部屋に入れて、扉を閉めるのだ。
design
編み物☆堀ノ内の「帰ってきた肖像編み物」 第9回 番外編 (元)鶴谷洋服店 岩船吾朗・洋子 (聞き書き:川上雅乃)
今週の「帰ってきた肖像編み物」は番外編。僕の編み物(ニットのバッグ)を売ってくれている(元)鶴谷洋服店の岩船吾朗さん・洋子さん夫妻に取材させていただきました。(元)鶴谷洋服店があるのは神保町書泉グランデの裏、向かいは小宮山書店、5秒歩けばすずらん通り。そんなバリバリの一等地で、売っているのは昭和の雑貨、古本、古着。ビジネスビジネスした店(おもに飲食店ですが)が増えてきた神保町で、ひょうひょうとマイペースを貫いています。なんで屋号が「洋服店」? 建物古そうだけど、奥や階上はどうなってるんですか? ずっと不思議に思っていたあんなことこんなことを聞いてきました。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!