art

アウトサイダー・キュレーター日記 32 スギノイチヲ(写真・文:櫛野展正)

2017年4月の時点で、全世界の月間アクティブ利用者数が7億人を突破したInstagram。プロではない人たちもスマートフォンで自分の表現を容易に発表できる手軽さから、ますます人気を集めている。膨大な量の写真がタイムラインの海をスクロールしていく中で、「おじコス」とハッシュタグの付いた投稿に目が止まった。よく見ると、タモリや会田誠など自らの顔を著名人に扮して投稿した写真で、つげ義春や浦沢直樹など随分マニアック...

続きを読む

LATEST ISSUE
最新号 2022年08月10日 Vol.512

music

うなじの匂い

ロードサイダーズにはもうおなじみ、福島県が誇る本宮映画劇場の秘蔵ピンク映画ポスター・コレクションをご開帳した「本宮映画劇場 ポスター番外地 ~野方闇市篇」@野方文化マーケット。5月25日号、6月15日号でも紹介したが、ポスターと共に興味深かったのが、6月11日に行われた「津軽のため息・哀愁の重ね着女うなじ嬢」によるポスター惹句朗読タイム。 漫画家お東陽片岡先生お墨付きの「お湿りヴォイス」で女の切なさ、痛み、情念を語ります… なんて書かれていて、なにがなんだかわからないけれど見逃す選択肢はない!というわけで駆けつけ、運良く味わえた「お湿りヴォイス」。しかし「哀愁の重ね着女うなじ」って、いったいどんなひとなんだろうと興味は募り、7月13日に西荻のスナックで開催された定員8人のライブ「うなじ&米内山尚人/背徳の中央線」に足を運び、後日ゆっくりお話を聞く機会も持つことができた。野方文化マーケットのイベントもそうだったけれど、ここが2022年の東京か!と目と耳を疑う場末の昭和感……時空を超えた「津軽のため息」をたっぷりご賞味あれ。

続きを読む

photography

Freestyle China 即興中華  「上海」の遺影 写真家・席聞雷インタビュー (写真:席聞雷 文:吉井忍)

上海市がコロナ防衛戦の勝利を宣言したのが6月末、入国者が集中隔離される期間も以前と比べればかなり短くなったけど、気軽に行けるのはまだ少し先みたい……そんな折、都築編集長からお誘いを受け、上海市在住の写真家・席聞雷(シー・ウェンレイ)さんに取材できることになった。 席さんは長年、表門の枠を石で築いた中洋折衷型の建築「石庫門(シークーメン)」など、古い建築物や上海の昔ながらの町並みを撮り続けている。Instagram(アカウント名:Gropius Xi)でも一連の作品「Shangha!」を発表しており、海外のフォロワーも多い。 コロナ前の活気ある風景もあれば、2カ月にわたるロックダウン期間中のもの、上海人の細やかな生活の息遣いを残したまま廃墟になっている建物、瓦礫の山と背景の高層ビルが痛々しい対比になっている風景など、上海という大都市が見せる豊かな表情はいくら見ても飽きない。

続きを読む

music

おかえり TOKYO ATOM vol.35 May 2001  すべての関係は一過性 (文:マーク・ロビンソン)

この号のルリのコラム「ミルクシェイク」(以下PDFで読めます)を当時読んだ記憶は曖昧だけど、いま読みなおしてみると、この女性(僕の元妻で、みるくのママ)が、もっとこうした回想を書いてくれたらいいのにと思う。ルリ本人にしか書けない話であると同時に、これは素直な人間性への眼差しでもあるから。音楽活動、人とのつながり、みるくを作ること、TOKYO ATOMの立ち上げに関わったことなど、すべての活動に込められた彼女の精神が行間から伝わってくる。彼女が言う「いい男」(「30をずいぶんと過ぎて現れた)とは僕のことだと思うけれど、およそ13年間一緒に暮らして別れたのちに、ここで彼女が語っている「すべては人間関係は一過性だからこそ貴重なもの」という気づきに、僕は自分を重ね合わせている。それは僕と同じように、彼女もずっと後になってから学んだことなのだろう。

続きを読む

art

緊急特集 デルニエ・クリを失う前に

2014年11月12日号をはじめとして、本メルマガで何度か取り上げてきた南仏マルセイユに拠点を置く異端の版画工房/デザインスタジオ/マイクロパブリッシャー「デルニエ・クリ(Le Dernier Cri)」(以下DC)。「最新流行」という、まるで活動内容にそぐわない気がする名前を持つこのアトリエは、パキート・ボニートとカロリーヌ・スリーのふたりによって、1993年に生まれた(来年が30周年!)。 パキートとDCはこれまで根本敬、石川次郎ら日本のアヴァンギャルド・コミック・アーティストたちとも多くの作品集やポスターを共同制作してきた。いまや日本にもDCの少部数・手刷りにこだわったヘヴィな版画の質感を愛するファンがたくさんいるはず。しかしそのDCが大きなトラブルに巻き込まれていると聞いたのは数年前のことだった。詳しくはこのあとの中山亜弓さんのテキストでお読みいただくが、その問題は発生から数年経ったいまも、解決に向かうどころか日々悪化。いよいよ存続の危機に瀕しているとのことで、中野ブロードウェイのタコシェではいま緊急のDC作品フェアを開催中。その売上げがDC存続へのサポートへとつながることになる。

続きを読む

AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。まあいろんな話題が出てきましたが、気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

タコシェの中山亜弓さんが書いてくれたデルニエ・クリをマルセイユに初訪問したのは2014年。そのときの記事「ヘタウマの現在形」(2014年11月12日号)を読み返してくれたらうれしいですが、マルセイユと、同じ南仏のセットの2会場で『MANGARO』『HETA-UMA』と名づけられた、日本のサブカルチャーをまとめる重要な展覧会のオープニングに立ち会う旅でした。 同時開催された2箇所の展覧会には日本人作家51名、フランスを中心とする海外作家44名、計95人ものアーティストが参加したうち、日本から17名の作家が現地で制作・展示作業に関わりました。

続きを読む

BACKNUMBERS
バックナンバー

バックナンバー一覧を見る

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

amazonジャパン


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン