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最新号 2024年07月24日 Vol.606
fashion
EGO TRIPPIN’ 80年代ヒップホップ・ファッションとダッパー・ダンのこと
先週、こんな予告記事を書いた。読んで、福島市に足を運んでくれたひとがどれくらいいたろうか―― いまから10年半前になる2013年11月13日号「下品な装いが最高の復讐である――会津若松のオールドスクール・ヒップホップ・コレクション」で紹介した会津若松のDJ、ILLLLLLLLLLLUSS(イルマスカトラス)氏が収集してきた1980~90年代の勃興期ヒップホップ・ファッション。いまのようにアメリカのヒップホップがウルトラメジャーになる以前の、古き良きラッパーたちのスピリットを体現した装いに、たまらない懐かしさを覚えると同時に、東京でも大阪でもなく会津若松に(失礼)!こんな貴重なコレクションが隠されていたのかと驚愕したのだった。そのイルマスカトラス氏による久しぶりのコレクション展が、福島市のOOMACHI GALLERYで開催中。7月13日から21日までという短い会期だが、どうしても見ておきたくて新幹線に飛び乗った。
travel
地の橋、人の橋[ウクライナ特別編] 08(最終回) 仕事、友情、恋愛、ときどき戦争 写真・文:ERIKO(定住旅行家・モデル)
キーウで滞在している、知人のイリーナが提供してくれたマンションは都心部へのアクセスも良く、セキュリティも万全で言うことはなかった。ただ一つ、早朝にけたたましく鳴る空襲警報以外は。 「ウーウー」決まって朝4時頃に大音量の警報が響く。心臓がドンと鳴って飛び起き、窓には近づいてはいけないと言われていたが、恐る恐る外の様子を窓越しに見る。まだ真っ暗なのに、犬の散歩をしている人、ランニングしている人の姿が見える。みんな寝ているのか部屋の明かりは一つも見えない。みんなにはこの警報が聞こえていないのか。今回も大丈夫なのか、いや油断してはいけない。ミサイルが落ちるのは空襲警報が止んでからと聞いていたから、しばらくTelegramなどでミサイルの最新情報を片手に、バスルームなど壁が厚い場所に身を置く。数十分して何もなければベッドに戻るが、交感神経が優位になってすぐに寝つけない、そんな日が続いた。 数日経ったころ、知人の東さんが紹介してくれたエカテリーナという女性と連絡をとった。
design
デザインの世間体 008 草迷宮 (写真・文:若生友見)
昔からあるものだけれど、ここ10年くらいで広く名前が認知されたもののひとつに「(人造)バラン」があると思います。 プラスチック製ならではの軽薄なたたずまいとビビッドなカラー、用途が醸し出す味わいのせいか、ポップな図案として扱われることも。 由来を調べてみると、バランは元々、ハラン(葉蘭)という植物の葉を飾り切りにしたものでした。ハランには殺菌効果があるため、お弁当などの仕切りに使われるようになったそうです。
photography
『公園奇譚』孫一氷写真展 (文:吉井忍)
2022年9月7日号の連載「Freestyle China 即興中華 公園とホルモン」で写真家・孫一氷を紹介してくれた吉井忍さんから連絡があり、孫一氷(ソン・イービン)がいま原宿のギャラリーで個展を開いているという。急いで行ってみたSOMSOC Galleryは原宿の表通りから入ってすぐ、2周年を迎えたばかりの新しいギャラリーとアートショップだった。運営しているのは中国人と日本人の若者たちによるユニットで、展示のテイストも、場所柄も、いわゆる現代美術のギャラリーよりもぜんぜん風通しのいい、ポップな空気感が際立っている。ちなみにSOMSOCとは宇宙を意味するCOSMOSを反転させた造語、「人間は無限に広がる大宇宙の中では、ちっぽけな存在です。そんな小さな存在でも自分の「内なる宇宙」、つまりSOMSOCを原宿という特異点から全世界へ発信できるという希望が込められています」(ツイートより:@Somsocgallery)。会期中には吉井忍さんなどが登壇するトークイベントもあるので、今回は吉井さんに展覧会紹介を寄稿していただいた。
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 44話 緊急入院編 セカンドオピニオン (画・文:新開のり子)
はじめは何かの炎症くらいにしか思いませんでしたが、「緊急入院」と医師に言われました。 「緊急入院」と言われているにもかかわらず私は医師に「入院をせず帰った場合はどうでしょうか」と、とんちんかんなことを言いました。 医師は冷静に「夜になり重篤化すると窒息死する可能性があり危険です。救急車を待ってるあいだに間に合わず、窒息死する場合もあり、たいへん危険な状態です」と説明してくれました。
lifestyle
おいでよヘンタイの森 10 わたしにSMの世界をすこしのぞかせてくれたM男 文・イラスト:mimi(会社経営&フリー女王様)
わたしは独学女王様 なので、プレイもすべて独学 アナルや、浣腸に関しては図書館で調べた 今のようになんでもネットを見ればわかるものでもなく、SMのプレイに関わる医学的な知識は本などを見て勉強した だからといって、SMクラブで働きたいとは思ってなかったし 本物の女王様もそんなに興味なかった わたしはわたしがしたいことができればいいスタイルで生きていたから そんな中、悶悶ノミノミM男ふ会で、(悶オフ)参加してくれた馬之介さんという人がいた
art
根本敬 presents お前は黙ってろ!
2023年の「根本敬 presents 蛭子能収『最後の展覧会』」に続いて、青山のAkio Nagasawa Galleryではふたたび根本敬がpresentsする奇妙な展覧会『お前は黙ってろ!』が開催されている。 ――諸事情からザックリ〈住民票がない人々〉の作品群と東京都、神奈川県などに〈住民票のある人々〉によるアート対決。対決とはいうものの勝敗はない。否、ある意味〈住民票がある〉時点で後者たちは前者の方々に負けているのかもしれない。猛暑のさなか思考も止まる朦朧とした幻の様な展覧会です。 尚、「お前は黙ってろ!」とは根本敬著「人生解毒波止場」電波喫茶の美人ママの項に出てくるちょっと怖いひと言にちなみます。 (展覧会ステートメント)
AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。
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2024年07月17日 Vol.605
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design
刺青絵師・毛利清二の世界
book
ニーナ・シモンが噛んだガムのこと
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 72 証明写真の真実 (写真・文:オカダキサラ)
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!