art

篠原愛・近藤智美 2人展

2017年1月18日号『「媚び」の構造』で特集したアーティスト・近藤智美(こんどう・さとみ)。羅漢の足下にマンバギャルが戯れる『萬婆羅漢図』の異様な図像と、自身が「もともとマンバで、引退後はキャバ嬢から軟禁経験などを経て独学で展覧会を開くようになった」という異色すぎる経歴に、衝撃を受けた読者も多いのでは。その近藤さんと一見作風もたたずまいも対極にある、なのに親友だという篠原愛(しのはら・あい)、ふた...

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LATEST ISSUE
最新号 2025年06月11日 Vol.648

travel

北欧の日陰から 02 パリッカラ彫刻庭園

先週から始まった、ひと味違うフィンランド~エストニアを巡る旅。ミッケリの蝋人形館に続いて、今週はパリッカラ彫刻公園にお連れする。 パリッカラはミッケリの真東(といっても直線で結ぶ道路はないが)、ヘルシンキからは300キロ少々、4時間ほどのドライブになる。人口6,000人ほど、ガイドブックにも掲載されないような小さな町。地図でわかるように町外れにロシアとの国境線が伸びる、国境の町なのだ。

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design

デザインの世間体 041  金満のきらめき、祈りの場としてのYouTube (写真・文:若生友見)

おかげさまでこの連載は1周年を迎えました! 途中で隔週連載に変わったものの、よく続けられているなと自分自身が一番驚いています。 これまで、私の作品である「ragan」シリーズをご紹介しながら「日常すぎて見えにくくなっているものをよく見てみる」というコンセプトのまま、この連載を続けてきました。 今後もそういったものを紹介しつつ、私が気になったちょっと特殊なジャンル(とくにアートやデザインの文脈で語られないもの)についても書いてみたいと思っています。 膨大な数の動画を抱えているYouTubeに「見る(聴く)だけで運気アップ」を謳う開運系の動画(以下、開運動画)が存在するのをご存じでしょうか。

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movie

絶滅危惧映像の現在形 ――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション 【最終回】特殊すぎるギャロップ・ワークス (文:押スノ踏マズ)

突然ですが、今回の記事でラストです!短い間でしたが読んでいただいてどうもありがとうございました!最終回となる今回は、前回の触手AVを探していたときに発見した特殊すぎるAVメーカー「ギャロップ」の仕事を見ていきたいと思います! 00年代後半のAVとんでもないです!

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art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  86話 「イカのおすし」 (画・文:新開のり子)

飲み屋で隣に座った女性に首根っこを捕まれ、連れて行かれたのはタクシー乗り場。「タクシーに乗った方がはやいからさあ。ちょっと面白い店があるのよ」と強引にタクシーに乗せられました。揺れですっかり眠くなってタクシーのなかで寝てしまい、降りたのは知らない土地でした。 雑居ビルに入るとどっしりとした重たい木の扉の店がありました。 何も記されていない店は、何か別の世界への入口のようでした。

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photography

妄想ホテル room:051  メイクという魔法 (写真・文:フクサコアヤコ)

その日私はいつもの待ち合わせ場所、歌舞伎町の風林会館の前にいた。 ここを待ち合わせ場所に指定するのは、行きつけのラブホに近いというのもあるけれど、それ以上にこの界隈で繰り広げられる“人間ドラマ”を眺めるのが好きだからだ。 夜になると、若手ホストたちが一斉に出勤し、また、同伴に向かう男女が入り乱れる。歌舞伎町らしい、独特の空気が何とも趣深い。 一方この日は待ち合わせが午前中だったため、いつもとは違った朝の歌舞伎町を見ることができた。

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lifestyle

バンカラ女銘々伝 第29回  「悲しすぎて笑う」女 筑紫美主子 (文:平山亜佐子)

白系ロシア人と日本人の間に生まれ、容姿でいじめられ、貧苦のなかで養父母に育てられるなどの苦労を重ねつつも、とにかく踊りが好きで常に踊っていた筑紫美主子〈つくしみすこ〉。その後もさまざまな災難に遭いながら、観客と一体になって笑わせ、泣かせる「佐賀にわか」を確立していく姿は「悲しすぎて笑う」人生である。 美主子の本名は梅子、1921(大正10)年2月8日、北海道旭川で田中峰の娘として生まれた。父親は白系ロシア人の将校と聞いているが記憶はない。そもそも二人が結婚していたかどうかもわからない。

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travel

ユーラシア後ろ歩き 33  アンガラ川をさらに下流へ (文・写真:多田麻美)

ワディクのことをつらつらと考えているうち、ポートバイカルを出たボートはリストビャンカに到着した。 「本当に、支払わなくていいんですか?」 と私が確かめると、おじさんは「もちろん要らないよ」と言い、イルクーツク行きのバスが出るバス停の場所を身振りを交えて丁寧に教えてくれた。 私は心がほっこり温まったような思いで、おじさんと別れた。アンガラ川で一日船旅をさせてくれたワディクもそうだったが、このおじさんも、何て親切で気前が良いんだろう。広い水面と日々接していると、心まで大らかになるのだろうか。 全般的にシベリアには大らかな気質の人が多い。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

毎回楽しみにしていた「絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション」は、今回が最終回。法律も厳しくなって、無料のネット動画も氾濫する現在、世間的にはもはや存在すら忘れ去られようとしているアダルトビデオの世界で、こんなにも果敢な(しかしどこへ行くかわからない)挑戦が続いているのを知ることができて、僕としてはすごく刺激的でした。みなさんはいかがでしたか。著者の押スノ踏マズさんは、ただいま独立書店開業を目指して奮闘中だそう。実現次第、こちらでも告知させていただくので、お楽しみに! 今週が2回目になったフィンランド~エストニアの辺境めぐり。今回はかなりのロングドライブになったのですが、

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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