LATEST ISSUE
最新号 2023年03月22日 Vol.542
art
レジスタンスとしての祝祭 ――ニューオリンズのブラック・インディアンズ
去年11月に久しぶりのパリを訪れ、地下鉄駅のポスターを眺めていたら、ケ・ブランリで「Black Indians de La Nouvelle Orléans」(ニューオリンズのブラック・インディアンズ)という展覧会が開催中だった。ご承知のとおりエッフェル塔近くに2006年に会館したケ・ブランリは世界屈指の民族学博物館であり、原始美術(プリミティブ・アート)の美術館でもある。 ニューオリンズといえばマルディグラ。リオのカーニバルなどと並ぶ大イベントだ。マルディグラとは「太った火曜日」という意味だそうだが、カトリック教徒にとって重要な、飲食を慎む約40日間の四旬節の直前に行われる最後の宴がマルディグラ。四旬節が明けるとキリスト復活を祝う復活祭(イースター)が待っている。イースターはキリストが復活した日曜日と決まっているので、そこから40日(日曜を除く)遡ると火曜日になるので「太った火曜日」というわけ。ニューオリンズでは今年も2月21日の火曜日に2023年度のマルディグラが開催されたそうで、リオと同じくいちどは行ってみたいもの・・・・・・。ちなみに「カーニバル」という言葉自体も、もとはラテン語の「カルネ(肉)+バル(去る)」、つまり肉よさらば!という意味だ。
book
捨てられなかった本のこと 06 張り込み日記
ROSHIN BOOKSという、それまで聞いたこともなかった出版社から写真集『張り込み日記』が出版されたのは2013年10月初めのこと。ロードサイダーズでは10月9日号でじっくり紹介させてもらい、予想を超える反響があった。1,000部限定の初版はすぐに完売、翌年には第2版がやはり1,000部刊行され、同年ナナロク社からミステリー作家の乙一氏が構成に参加した版が発売されている。 ちょっと古くて手に入りにくい出版物を主に紹介しているこの連載で、比較的新しくて入手も簡単な『張り込み日記』を紹介したかったのは、初版から10年を経てこのほどROSHIN BOOKSで第3版が刊行されたから。
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 40 レンズ越しの理想 (写真・文:オカダキサラ)
私がアニメ「セーラームーン」をテレビで初めて見たのは小学校に上がってからです。 どっぷりハマってしまった私を、両親がセーラームーン・ショーに連れて行ってくれたことがあります。 その舞台がどんな内容だったかは、もう思い出せませんが、登場したセーラー戦士たちが、アニメで描かれる姿と全く異なっていたことに、ひどくショックを受けたことは覚えています。 顔が異様に大きく、表情は全く変わらない。体もずんぐりしていて、衣装の部分はとにかく素肌の部分も不自然なシワが寄っている… そう。セーラームーンの着包みショーだったのです。 なぜ舞台とテレビで見る姿はあんなに違うのか… アニメと現実のギャップに、幼い私はひどく混乱しました。
fashion
Tシャツをめくるシティボーイ 第19回 Tシャツの裾と二つの定点観測・1990年代編 / 文:高畑鍬名(QTV)
Tシャツをめくるシティボーイ。 連載も残すところ、あと4回。 ここからは、二つの定点観測を追いかけながらTシャツの裾をめくっていきます。 1990年ごろに東京の若者、そして2020年ごろの若者たちのストリートスナップ。 二つの時代の二つの定点観測から、Tシャツの裾のイン点とアウト点を見つめます。 まず今回は、1990年ごろの若者たちのTシャツの裾について振り返っていきましょう。 東京の若者たちがTシャツの裾を出し始めたタイミングについては、 1989年:メンズノンノ「ファッション・コーディネート大賞」にてタックアウト。 1991年:月刊アクロス「定点観測」にてタックアウト。 この2つの定点観測が基準になります。
AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。
BACKNUMBERS
バックナンバー
2023年03月15日 Vol.541

2023年03月08日 Vol.540

photography
地底の闇、地上の光 ― 趙根在写真展
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 39 メイクアップ (写真・文:オカダキサラ)
2023年02月22日 Vol.538

photography
漁師町とタイワニーズ・キャバレー ――沈昭良写真展「續行」
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 38 アイラブ… (写真・文:オカダキサラ)
バックナンバー検索
BOOKS
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!