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追悼:秋山祐徳太子

4月3日、秋山祐徳太子が亡くなった。85歳、死因は老衰だったという。

秋山さんの活動は中学生のころから知っていたが、ナマ秋山祐徳太子にお会いするようになったのは12年ほど前のこと。当時すでに70代だったが、とにかく全身から放射されまくりのエネルギー(と大声)にいきなり圧倒された。

新宿のバー、浅草の路上や居酒屋、いろんな場所で秋山さんと出会うことがあったが、ものすごくフレンドリーな秋山さんは、ものすごく汚い自宅にもどんどん招いてくれて、その暴れん坊な室内が最高におもしろかったので、2008年にまずいちど、それから『独居老人スタイル』の取材でも撮影させてもらったのが、いまとなっては僕にとってすごく大切な思い出だ。

つい先週、書店やコンビニに並んだばかりの『お一人様老後のこれで安心大丈夫』というものすごい誌名の雑誌に、秋山さんのことを書いたばかりで、掲載誌が届いたと思ったら死去の報せを受け取るというタイミングに呆然となった。

「独居老人」という言葉は世間では負け組の代名詞のようだが、これまで僕が出会ってきた独居老人は、世間の理解は得られなくても、本人は自由気ままでハッピーに生きている「年取った青年」ばかりだった。

たくさんの「年取った青年」に会ってきて、いくつか共通するキャラクターも見えてきた。それは——

•他人の忠告に耳を貸さない
•むやみに部屋を片付けない
•健康法とか気にしない
•よく寝る

なんといってもこの4項目がストレスフリーの生活にはいちばん大事で、それを教わったひとりがパフォーマンス・アーティストの草分け、秋山祐徳太子さんだった。

秋山さんとは新宿のバーや浅草の大衆居酒屋でよく遭遇していたが、しばらくお見かけしていなかった。先日、『独居老人スタイル』が文庫になることに決まって、久しぶりに連絡してみようと思ったが見つからず、親しい人に聞いて回ったら、3年ほど前から「認知症人生」に突入、都下の施設で暮らしているという。今年85歳、まあ仕方ないかもしれないけれど、あんなに元気はつらつとしていた人が……と暗い気持ちになったが、いろんなことをぜんぶ忘れて、楽しい妄想の世界で大騒ぎしてるのも、たしかに秋山さんらしいかと思い直しもした。

人間は生まれかたを選べないし、死にかたも選べない。ボケたらイヤだとか、寝たきりにはなりたくないとかいろいろ思うが、そんな望みを神様が聞いてくれるわけもない。そして、そういう「望んでない死にかた」が、いつ自分に降りかかるのか、前もって知ることはだれにもできない。だからこそ、ハッキリ生きてるとわかっているいまこの時間を、どうでもいい片付けなんかで浪費してないで、眠ければ寝て、ムラッときたら大衆ソープに行って、飲みたければ朝まで飲んでればいいんだと、おおかたのひとからは単なる変人と思われてきた秋山さんから、僕は教わったのだった。
(記事より)

『独居老人スタイル』の登場者からは首くくり栲象さんに続いて2人目となってしまったが、その破天荒なスタイルで僕らすべてを元気づけてくれた秋山祐徳太子への思いを込めて、書中の秋山さんの章をここでお読みいただきたい。


片づけるってのは、消極的なことですよ

秋山祐徳太子 アーティスト


グリコマンの格好をしてパフォーマンスを繰り広げたり(のちに「ダリコ」に変更)、都知事選に出馬したり、はたまたブリキ彫刻家として現代美術館で展覧会を開いたり・・・アーティストという肩書が窮屈すぎるエネルギーのカタマリ、それが秋山祐徳太子(本名は秋山祐徳=すけのり)である。

秋山さんは1935(昭和10年)生まれ、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)彫刻科を卒業後、東芝オーディオ工業にインダストリアル・デザイナーとして就職するが、在職中からポップ・ハプニングと称したパフォーマンス活動を展開して、当然ながらまもなく退職。大阪万博前年の1969年には、「万博破壊共闘派」の一員として、会期中の会場への全裸突入を目指して京都大学などで全裸パフォーマンスを展開し、公然わいせつ罪で逮捕・拘留されたりしている。


玄関脇には当時のヘルメットが大切に保存してあった


玄関部分。右奥がドアになる


玄関から室内に続く廊下

1975年と79年には「政治のポップアート化」を掲げ、二度にわたって東京都知事選に立候補。90年代からは各地の現代美術館で大規模な展覧会が開かれるなど再評価が進み、著書も立て続けに刊行、テレビ番組にも多数出演と、衰えるどころか右肩上がりの活動量で、僕らを唖然とさせ続けているのである。2010年に東京渋谷で開かれた個展『高貴骨走』に、秋山さんはこんなコメントを寄せていた――

“人生は高速ダリコ・マン”

今朝も私は元気なリズム感でどこかに飛び出そうとしている。まてよ、この三月でついに七十五歳になった。「高貴高齢波高し、とうとう骨董品になってしまったのか ?」ところがこの老人極めて元気が良すぎるのである。養殖老人といわれている今日、自ら逆境をつくり出しそれをエネルギーにしている。下町の皇帝・ブリキの円空・夜の都知事など命名されていたが、今や天然老人と言われつつ走りまわっている。
(AISHO MIURA ARTS, 2010)

秋山祐徳太子は生後1歳でお父さんとお兄さんを結核で亡くし、以後ずっとお母さんとふたりで暮らしてきた。お母さんである秋山千代さんは、小林カツ代との共著『カツ代が聞く、九一歳現役台所』でも知られる料理の達人。1997(平成9)年に最愛のお母さんを亡くされてからは、ふたりで長く暮らした高輪台の都営住宅にひとり住まいつつ、自由気ままな制作の日々を送っている。

港区高輪の高台にそびえる、14階建てのモダンな都営アパート。隣接するのは高松宮邸(もとは大石内蔵助ら16人が切腹した肥後熊本藩下屋敷跡でもある)という好立地だ。久しぶりにお邪魔した4DKの秋山邸は・・以前にも増して熟成が進み、恐るべき混沌のなかにブリキ彫刻が林立する、それ自体がインスタレーションであるようなリビングアート空間と化していた。


リビングルーム全景。左奥に見えるのが台所。寝るのはベッド・・・・・・の上の書類の上


窓に向かっての眺め


これが同じ場所を、2008年に撮影したもの。まだ、かろうじて床(の一部)が見えている

――秋山さんのお母さんは、もともと築地の新富町でお汁粉屋さんをやってたんですよね。

僕は日暮里で生まれたんですよ。それで4つくらいのときに新富町に映ってきて。それで昭和25年かな、おばあちゃんが都営アパートに当たったんですよ。で、ひとりで当たってもしょうがないんで、しょうがないから来ちゃおうってんで、来ちゃったの。高校1年のときでした。それからずーーーっとね。大変なんですよ、所得制限がいろいろあって、稼ぐと出なくちゃなんないしね、じゃあ稼がないでいいかっていうと、そういうわけでもないし。うまくこう、なんとかやってんだけどね。

――そうすると、ここが建て替わる前からということですよね。

そうそう、古いアパートがまたよかったんですよ。風呂もなくて、僕に適してたんだよね。それが建て替えで新しくなったんで、94年にまた入ったの。




抜群の眺望を誇るベランダで制作を続けてきたが、最近は「大きいのをつくるのが億劫」なのと、ベランダに到達するのがひと仕事なので、台所での制作が多い

――じゃあ作品も、古いほうの都営アパートでずっと作ってらしたんですか。

畳の上で作ったりね。そのころに美濃くんっていう友達が泊りに来るわけよ。ふとんがないっておふくろが言うと、「僕、あの、ブリキでいいです」って。富士山の型どりして穴が開いてるブリキを、かぶって寝てるわけよ。わざとやってんの(笑)。と、おふくろが「変わりモンだねえ~……」って。「ブリキだよ。寒くないかい、祐徳?」って言うから、しょうがないじゃねえか、ふとんねえんだからって(笑)。

――本を読むと(『天然老人』アスキー新書)、いつもお母さまがとても部屋をきれいにしていて、秋山さんの部屋だけがすごいことになっていてっていうことが書いてありましたけど(笑)。

おふくろが、死んでも死にきれねえって(笑)。「なんとかなんないの?」ってこぼすんだけど、とぼけちゃうんだよ。でも、おっかないからさ。まあ、この部屋(居間)でごはん食べられたんだから。おでんの会とか、やってね。


秋山祐徳太子個展『ラッキー7』広報動画(2012年)

――お母さんと一緒に住んでらしたころは、秋山さんがどんどん置いていくものをお母さんがどんどん片づけていく感じだったんですか。

そう、気がつくと段ボールに入っちゃってるのよ。オレね、いちどだけ言ったの、「お母さん段ボールに入れちゃうから、わからなくなっちゃうんだよ」って。さすがにムカッきたらしんだ。いや、喧嘩しちゃまずいんで、すぐに「お母さんごめんごめん! 言い過ぎちゃったよ」って。生粋の江戸っ子ですからね、うるせんだ。

――そういうすがすがしい環境で住まわれていたのが、だんだんこうなってきちゃって、不便とかそういうことはないんですか。

……ま、いろいろありますけどね(笑)。こないだ、明治学院大学の山下裕二さんのゼミの卒業生たちが来て、この台所だけで6袋、捨ててくれたのよ。もう、なんで捨てちゃうのっていうのまで捨てる袋に入れてくれちゃったけど、まあ、それはもう、よきにはからえっていうことで。ここ(台所)だけでも、きれいにしないと。
だけど、ものを片付けるのは苦痛なんだけれど、ものを作ったりするのは……片づけるっていうのは消極的なことでしょ。消去するわけだから。ものをつくるっていうのは、僕にとっては生産的なことだと思うんですよ。


荷物をかき分け廊下を進むと、右にリビングルーム、左にもうひとつ部屋がある


その部屋は倉庫状態だった・・


台所奥の和室


ここも4年前には、まだゲストが寝られるスペースがかろうじて確保できていた

――前にうかがったときには、ところどころ床が見える状態でしたけど、徐々に標高が上がってきた感がありますよね。

標高はね(笑)。どうしようか、富士山みたいになっちゃったら。いや、今年あたりにはカタをつけたいと思ってるの。

――だってここ、そうとう広いですよね。しかも角部屋だし。本来すばらしいお宅というか・・。

本来! 言葉静かに……いろいろ言うね(笑)。60㎡、ベランダが入るともっと大きい。でも、去年の大震災のときもぜんぜん大丈夫だったね。だって隣が高松宮邸ですから。で、泉岳寺もあるでしょ。皇室があるところは地盤が固いっていうのは、有名なんですよ。ぐわーっと来ましたけどね、崩れたりは、全然(笑)。

――このあたりは(居間を指して)?

や、それはもともと崩れてるんだから(笑)。崩れようがねえっつんだよ。

――ちなみに執筆は、どこでするんですか。

ひざの上で(笑)。

――寝るのは?

書類の上に寝ちゃうの。カラダが、なんかいいんだよ。

――暑かったり寒かったりの調整は?

それはもう、テレビ会社のひとが電気毛布くれたりね。みんなやさしくしてくれるの!

――だけど、電気はあぶなくないですか。

だからあんまり使わない。毛布を1枚、冬は2枚かけるぐらいだな。エアコンがあるから、けっこうあったかいんだよ。

――洋服は、この中から発掘するんですか。

洋服は、まあ、こんなかからごちょごちょと。

――書類と……電話も埋もれてる(笑)。

電話は(鳴るから)探せるのよ。


なだらかな標高を形成する書類の山には、作品も埋もれている


電話は音で探せるから大丈夫


浴室部分を見る


4年前と較べてみると、熟成ぐあいが一目瞭然


大型作品に囲まれるトイレ・タイム

――いちおう、ゴミ出しはするんですよね。

やりますよ! ちゃんと仕分けして、それだけは。いちばん怖いのは食中毒だから、それだけは気にしてきれいにして。いちどももなったことないですから。

――写真を見たらみんなびっくりすると思うんですが、それにしてもお元気ですよねえ。77歳というお年が信じられない・・。

いや、元気ですよ。こーーーんのやろーーーってなもんですよ! とにかく寝るのね。ぐいぐい寝ちゃう。すぐ、ごろごろ、にゃおーんと寝ちゃうから。

――ごはんも自炊で、気を遣ってらっしゃるし。

そうよ、自炊の男よ。朝は、いっかい目が覚めるのが4時なんです、かならず。それからまたグーグー寝て。一日8時間は絶対寝る。それは守ってるんですよ、どんなことがあっても。寝るの楽しいんですよね(笑)。そのまんま起きなかったらどうしようと、考えることもあるけど、最近もうどうでもいいやーなあんてね(笑)。


台所にて。電子レンジの上がギャラリー


食卓もこのとおり


しかし4年前には鍋会も可能でした(奥は美濃瓢吾さん)


足元のワークスペース

で、朝ご飯はですね、状況によってですけど、夜中に目が覚めたときに、もう炊いちゃうの。前は1時間置いてから炊いたんだけど、おっくうになって、すぐに炊いちゃうの。そうするとね、ごはんが煮えるまで、1時間くらいかかるんですよ。で、コメの選び方が難しい。水で研がないやつはダメだね、あの無洗米。まずくはないけど、合理化すると人間がおっくうになる。ぎゅっぎゅやんないとね。これが大事なんですよ。
それで炊けるとね、音がするんです、ぴっぽっぴ~とか(笑い)。で、またぷらぷらして、また寝るとか。とにかく自由ですね、つねに。オレこんなに自由でいいのかな~って、ときどき思うけどね。こんなに楽しくて、自由で・・・・・・みんな、どんなに苦労してるかわかんないのに。




台所の眺め。使い込まれた風格


大鍋で大根、人参、ゴボウ、干し椎茸を1時間ほど煮込む自家製野菜スープを、3日にいちどは作っている。冷蔵庫右下に冷やしてあるのが、それだ

あとは野菜スープね! これがなかったら死んでますよ。宗教みたいなのはイヤなんですけど。これを必ず飲むんですよ、一日3杯(と言いながら、ぐびぐびと飲む)。びんびんですよね、すべてが。ぐあーーーーっと!
実はね、飲尿療法ってのを1年間やってたのよ。トイレにコップを置いておいたのよ。おふくろは勘がいいでしょ、「祐徳、ちょっと」って言うから、ヤバいなと思ったら「これ、おしっこだろ?」って。ぎゃぎゃぎゃと思ったら、「おしっこでしょっ!!!……もう、おまえとは縁切る」って言うんだよ。「どうもおかしいおかしいと思ってた、なんか音がして」って。それでやめたの。
よくわかんないけど、とにかく僕は病気しないの。芸大受験の最中に盲腸をやったんですよ。それでもがんばりぬいて、3次試験まで行ったのに落としやがったから、芸大は大っ嫌い。ま、それはどうでもいいんだけど、それ以来57年間、入院したことないですよ、ほんと。

――すごいなあ、お酒も飲まれますもんね。

飲みますよ、朝まで飲んじゃうこともあるもんね。

――そういえば原稿書くのも競輪場で、とか書かれてましたよね。

いまでも行ってますよ。(有料の指定席は)豊かな感じでいいんです。集中すると、音が聞こえなくなってくるし。大穴を買っておくのね、100円か200円だけ。それが、ときどき入ることあるんです。でも、欲を通り抜けてるからね。


DVDコーナー。AV女優では北島玲がお好きとのこと

――さっき見てたら、テレビのそばにずいぶんAVがありますねえ。

アダルト? ああ、けっこうあります。飽きたら、どんどん捨てちゃうの。買いに行くんです、神保町まで。もっと言えば、たまにソープランドに行くんです。千葉の栄町。これがまた、さびれてきてるんですが、いいのが1、2軒あるのね。いくら安いったって、2万円でしょ。行きつけじゃないけど、たまにね。いちおうこう、アレがいたんだけど・・

――お気に入りの子が?

最近ちょっと・・・電話したら、まだ出てませんって。で、また電話したら、辞めましたって。いやあ、僕はああいう女のひとに会ったことないです、いちども。サービス満点で。昔から素人女性って怖いんですよ、なんか恐怖症があって。玄人はいいけど。
で、またそういうところに行けない人間、隠す人間って嫌いなんです。それで一緒に行く相棒がいて、千葉まで往復グリーン車で行くわけ。そしたらグリーン車のアテンドさんに覚えられて、「またお会いしましたね!」なんて言われちゃって(笑)。昔は西川口も、オートレースで勝ったら帰りによく寄ってたけど、なくなっちゃったからね。

――ご苦労もあるでしょうけれど、そういうストレスを感じない生きかたが、健康の秘訣なんでしょうかね。

僕はあんまりストレスないですから。あとどれくらい生きるのかって考えることもあるけど、とにかくころっと寝ちゃう。みんな、薬飲まないと眠れないとか言うでしょう、バカかこいつらって。医者がときどき精神安定剤の、いちばん軽いのくれることあるんですよ。ふたつ飲むとびゅーっと寝ちゃう、で、すきっとする。基本的に必要ないけど、なんかこう、深い眠りが欲しいときにね。
前にいちど平和島(競艇)で儲かっちゃってさ。連れと、どうしようかってなって、北品川にちょこっと飲みに行こうと。行ったらおばあちゃんがいて、「なに、競艇なんかやって」って、江戸っ子調のお小言を聴きながら飲むのが最高なんだよね。あすこは昔は女郎もいた宿場町で、『幕末太陽伝』の世界ですから、そら楽しいですよ。
そういうのもおもしろいから書けって(出版社から)言われてるけど、めんどくさくて書いてない。めんどくせえ、なんか食えりゃいいって。人間さ、食えてれば強いんだよね。あと、貯金がちょっとあれば。借金したり、金がないって愚痴ったりしたら、絶対だめですよ。


「牛と男」秋山祐徳太子
2007年作のブリキ絵。こんな極楽で秋山さんは遊んでるのかも


「独居老人スタイル」ちくま文庫、2019年刊


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ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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