photography

異界へお出でと笛を吹く――内藤正敏『異界出現』

いまから20年以上前、『珍日本紀行』という企画で地方の町や野山を走り回っていたころ。最初の2、3年はあちこちで出会う妙な風景や建造物を、とにかくなるべくきっちり写さないと、というだけで必死だったが、旅と撮影の生活に身体が少し慣れてくると、ときに白日夢のように眼前に広がる光景を、白日夢のように写せたらと思い始めて、行き着いたのが針穴写真(ピンホールカメラ)だった。だれもいない湖に浮かぶ白鳥型のボート...

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LATEST ISSUE
最新号 2018年12月05日 Vol.334

movie

映画美術監督・木村威夫の時代

人生でいちばん映画を観たのは浪人時代だった。もっとも受験科目の少ない私立文系コースを選んで(たった2教科だった)、午前中に予備校が終わるとそのまま名画座に直行。たしか1年間で通算300本以上は観たはずで、なかでもハマったのが今はなき大井武蔵野館。昭和30年代のB級日本映画のおもしろさを教えてくれたのが、この場末の名画座で過ごした長く幸せな平日午後の時間だった。クロサワでもミゾグチでもなくて、何本観ても同じようなプログラム・ピクチャーに、どうしてあんなに夢中になったのだろう。それは作品としての完成度ではなくて、1時間半の映像に籠められた時代の空気や匂いに酔ったのかもしれない。70年代のそのころ、すでにまったく時代遅れだった映像空間には、いかにもな役ばかりを演じる男優と女優がいて、最初の5分で予測できてしまうような筋書きと、現実にはとても口にできないような決め決めの台詞があって、そういう「あらかじめできあがった世界観」を支えていたのがあの時代の、あの手の映画特有の映画美術だった。そして僕はそこで、いまだにいちばん尊敬する映画美術監督・木村威夫を知ることになった。

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travel

ディープ・コリアふたたび 21 道高温泉~ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

タイム・ホテルの裏通りには小さいながら繁盛しているカルビ屋などもあり、それなりに新しい道高のもうひとつの顔(といっても極狭い)になりつつあるのかもしれないが、もともと静かでぼーっとした温泉村なのだから夜は地味である。コーヒー屋は、それでも新築の中型~大型の間ぐらいの店があった。そこは1階がコーヒー屋で上の数階が歌飲食店という作りだったが、店に客はいなかった。夏休みのピークともなればもっと人は増えるのだろうか。浴場だけでなく、大プールもできたことだし、パラダイス・スパのおこぼれで皆なんとかなるのだろう。と思いつつ、たとえば28年前の道高温泉と現在の道高温泉は確かに流れの中でひとつの場所であるのだろうが、我々にはそれが、2018年の現状に立ってみて納得がいくようでいかないようでやはりしっくりこない。かつての道高温泉は一度終わった、といわれたほうが気持ちは多少静まる。

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photography

つめたくてあたたかい浴槽

たとえば「道に寝てる酔っ払い」とか「田舎の案山子」とか、ひとつのテーマをしつこく追い続ける写真家を、このメルマガではいろいろ紹介してきた。2014年10月22日号「浴槽というモノリス」で特集した牧ヒデアキさんは、路傍にうち捨てられたポリやステンレスの浴槽をしつこく撮っている「浴槽写真家」だ。牧さんは1971年生まれ。三河湾に面した愛知県西尾市で、建築設計の仕事をしながら、2009年から写真を撮っている。これまで何度か展覧会を重ね、小冊子をつくり、とうとう自費出版で写真集『浴槽というモノリス』を発表することになった。届いた写真集はA5サイズの小ぶりなサイズ、しかしポリ浴槽そのものの淡いブルーに丸く落とした角(何冊か重ねると浴槽のように見える!)、そして浴槽に溜まったお湯のように、表紙の写真にブルーの枠が糊付けされているという凝った造本だった。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 91 New England Pirate Museum, Salem, Massachusetts

ボストンの北側に位置するセイラムを中心とした海岸線の一帯は、17世紀後半には「黄金海岸」と呼ばれ、海賊たちが跋扈していた。いったいどれくらいの船が沈められ、人が殺されたのか定かではないが、ここ数年だけでもマサチューセッツ沖合で、3千万ドル以上にのぼる財宝が海中から発見されたという。ニューイングランド・パイレート・ミュージアムは、大西洋を舞台にアメリカ、ヨーロッパ入り乱れて繰り広げられた海賊たちの戦いと冒険の物語を、ジオラマによって再現したユニークな展示館。もちろん海賊姿に扮装した威勢のいいガイドが、1シーンずつ丁寧かつ大げさに解説してくれる。

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book

2千体のソフビ宇宙!

2017年11月1日号『ソフビになったホームレス』で特集したソフビ作家デハラユキノリの初作品集『DEHARA』が今年7月末に発行された。たいへん紹介が遅くなってしまったが、内容の抜粋をいただいたので、ここでご覧いただく。デハラユキノリは1974年高知市生まれ、フィギュアイラストレーターとしてデビューしたあと、ソフビを手がけるようになってもう20年近く。コンスタントに年間300体ほどをつくっているというので、これまで生み出したフィギュアの総計が約6,000体! 初作品集となる『DEHARA』にはそのうち約2,000体のフィギュアとソフビが、オールカラー312ページに詰め込まれた渾身の大作。これだけの数が集まると、もはやソフビの肌を持つ新種の生きもの図鑑のようにも見えてくる。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました。

いろんな場所からいろんな話題が集まりましたが、どれかひとつでも気に入っていただけたでしょうか。先週は阿佐ヶ谷ロフトの「クレイジーな旅のススメ」、渋谷ロフト9の「さよなら、キャバレー」と、2つのトークがありました。ご参加いただいたみなさま、どうもありがとう! 告知でもお知らせしたように、来週土曜は東京ドームシティでバッドアート美術館展のトークがありまして、これが今年のトーク納めになります。よろしければぜひご参加ください。

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BACK NUMBERS
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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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