art

天使の誘惑――10歳の似顔絵師・モンド画伯の冒険

101歳のアマチュア画家・江上茂雄さんに荒尾でお会いした翌日、福岡市に戻ってもうひとり、ずっとお会いしたかったアマチュア画家にお目にかかることができた。モンド画伯・・・こちらは10歳のアーティストである。モンド画伯――本名・奥村門土くん――は福岡の小学4年生、先月10歳になったばかりだ。3人兄弟の長男である門土くんのお父さんは、福岡の音楽シーンでは知らぬもののないミュージシャンであり、イベントオーガナイザー...

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LATEST ISSUE
最新号 2017年07月26日 Vol.269

art

嫌われしものの美

それは縦横70センチほどの絵だった。銅色で覆われた画面の中央に、なんの鳥だろう、崩れかけた死骸がある。その周囲をびっしり取り巻く点々は、目を近づけてみれば無数の蛆虫なのだった。言葉で説明するとグロテスクに聞こえるが、その光景に気持ち悪さは微塵もなく、むしろ命のかけらが鳥から蛆虫へと受け渡されようとする瞬間の、ある種の神々しさがそこには漂っているようだった。蛆虫、アリ、ムカデ、ユスリカ・・・そういう「嫌われもの」を好んで画題に取り上げ、緻密な日本画で表現する作家、それが萩原和奈可(はぎわら・わなか)である。萩原さんを知ったのは、本メルマガではおなじみの銀座ヴァニラ画廊が主催する公募展の審査で、『HEROES』と題された鳥の死骸と蛆虫の作品に出会ったときだった。第5回を迎えた2017年度の「公募・ヴァニラ大賞」で、僕は萩原さんの作品を「都築響一賞」に選び、他の作品も見たくなって彼女が両親と暮らす茨城県龍ケ崎市の家にお邪魔させてもらうことにした。

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photography

遺された家の記憶

かつて「グラフ雑誌」というものがあった。「アサヒグラフ」「毎日グラフ」など、アメリカの「LIFE」を範とするグラフ・ジャーナリズムは20世紀の報道媒体として重要な役割を果たしてきたのだが、そうしたグラフ誌が全滅してしまった現在、とりわけ硬派なドキュメンタリー・フォトグラファーにとっては厳しい状況が続いている。ネットがあるじゃないかと言っても、個人での発信は影響力でも経済力でも全国誌とは比べものにならないし、セールスが期待できない写真集を出そうという出版社は減るばかりだ。そんな現状でときたま、時間をかけて丁寧につくられたドキュメンタリー作品に出会うと、背筋が伸びる思いがする。『遺された家』は奈良県在住の写真家・太田順一が去年12月に発表した写真集だ。大阪の朝鮮人コミュニティ、沖縄人コミュニティ、ハンセン病療養所など、入り込むことすら簡単ではないテーマばかりを選び、「歩いてなんぼ」と通い詰めて本にまとめてきた太田さんにとって、これは久しぶりの写真集になる。

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travel

案山子X 38 鬼木棚田まつり(長崎)(写真・文 ai7n)

こんにちは。ai7n(アイン)です。今回は長崎県東彼杵郡波佐見町鬼木郷の鬼木棚田まつりを紹介します。長崎県の中央部に位置する波佐見町は、長崎県内で唯一海に面していない町です。400年の伝統をもつ陶磁器の波佐見焼の産地であり、オシャレで使いやすい日用食器として近年注目されています。波佐見町には日本の棚田百選に選ばれた「鬼木の棚田」があります。毎年9月に「鬼木棚田まつり」が開催されており、棚田の美しい景観とユニークなかかしを見ようと多くの人が訪れます。2000年に棚田百選に認定された事をきっかけにこの祭が始まったのですが、その時はかかしの展示は無く枝豆の収穫イベント等が行われただけでした。翌年2001年に、祭に来る人に喜んでもらおうと住民の方が5体程のかかしを製作して棚田に展示したのが始まりで、その後かかしはどんどん増えていきました。今では100体以上のかかしが展示され、かかしを目当てに訪れる人も増えてきました。

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travel

フランスわき道より道 見聞録 03 ピエール・ラ・ポリスの展示を観にエクスへ寄り道(写真・文:中山亜弓)

ピエール・ラ・ポリス(Pierre La Police)は、レジデンツやバンクシーのように生年月日も本名も不祥のフランスのアーティストで、現代美術、コミック、アニメ、挿絵…と幾つものジャンルにまたがり活動をしていますが、いずれの作品も、念入りな不条理に満ちています。公式サイトによれば、1980年代の終わりから100部に満たない自主制作のコピー本を、パリの書店Un Regard Moderneで販売し、作品を発表しはじめており、30年ほどのキャリアを持つ作家であることがわかります。その活動初期、89/90年に、ピエール・ラ・ポリスがコピー誌で発表した3人のヒーローもの『フォンゴーとテミステクル兄弟』(Fongor et des frères Thémistecle)のコミックは現在も進行中の物語で、紙の書籍のみならず、iPhoneやiPadで見る電子書籍にも対応した1ページ1コマ形式で描かれた最新シリーズ『地獄の実務家』(LES PRATICIENS DE L’INFERNAL)の第2巻が今年の3月に刊行されたのに合わせて、南フランスのエクス=アン=プロヴァンス(略称エクス)でシリーズの原画展が開催されました。

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art

極限芸術~死刑囚は描く~@アツコバルー

先日はオリエント工業40周年記念展で話題を集めた渋谷アツコバルーが、ラブドールに続いて開催する展覧会が『極限芸術~死刑囚は描く~』。昨年、広島県福山市クシノテラスで開かれた展示の東京バージョンで、作品の選択はアツコバルーのスタッフによる独自のものになるそう。しかしラブドールから死刑囚の絵・・・「生と死」ならぬ「性と死」、振り切ってるなあ。死刑囚の絵について、このメルマガで最初に取り上げたのは2012年、広島のアピエルトという小さな劇場で開かれた展示の紹介だった。いま、日本には125人の死刑囚がいるのだが(2017年7月現在)、その中には数十年も獄中で「その日」が来るのを待っているひともいれば、死刑確定から数年のうちに執行されてしまうひともいる。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 43 Cross Garden, Prattville, GA

アラバマの2大都市モンゴメリーとバーミングハムを結ぶ、州間高速65号線に面した小さな町プラットヴィル。町はずれの丘に『クロス・ガーデン』と呼ばれるアウトサイダー・アート空間がある。今年で74歳になるW・C・ライスが1976年以来ずっと書き続け、作り続けてきた数百の十字架と、洗濯機やエアコンの廃品を使った「メッセージ・ボード」が、剥き出しの地面に林立する、なんとも過激な「作品」だ。「ユー・ウィル・ダイ!」「ヘル・イズ・ホット・ホット・ホット!」などと、素晴らしく簡潔な言葉が大地に、頭上に踊るさまは立体の現代詩のよう。

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AFTER HOURS
編集後記 : 今週も長いメルマガになってしまいました、最後までお付き合いありがとうございます。

告知に書いたように、今週末は佐世保と博多でトーク。6月初旬から始まった『捨てられないTシャツ』トークツアーも、ずいぶんいろんな場所に行きましたが、これでひと段落です。参加してくれたみなさま、ありがとう!

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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