POCKET ROADSIDERS

ロードサイダーズおなじみの筆者の皆さんと作る新プロジェクト「POCKET ROADSIDERS」! どこにでもお供できるPOCKETサイズ(文庫版)です。個性と愛が溢れた三作品となっております。

・小指「宇宙人の部屋
・シブヤメグミ「懺悔の値打ちもない
・新開のり子鉛筆画集「フィロソファー・オブ・ザ・ワールド






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お取り扱いいただける書店さまも募集中です。
お問い合わせ:contact@roadsiders.com

電子写真集『わたしたちがいたところ』完成!

2016年にリリースしたvol.1『秘宝館』からvol.6『BED SIDE MUSIC ―めくるめくお色気レコジャケ宇宙』までPDFフォーマットで自主制作してきたROADSIDE LIBRARY。しばらくお休みしていましたが、ようやく新作ができました! 『天野裕氏写真集 わたしたちがいたところ』。ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。


『わたしたちがいたところ』は天野裕氏にとって13冊目の作品集であり、これまで「一冊1部で一対一の対面鑑賞」というユニークなスタイルにこだわってきた彼の、公刊される初めての写真集でもあります。

本書は500枚の写真をPDFフォーマットにまとめた電子書籍として刊行されます。デジカメやスマホで撮影し、コンビニのコピー機でプリントしてきた天野裕氏には高価な印刷物としての作品集である必然性はないし、むしろ選ばれた500カット、500の瞬間をひとつも落とさず、ひとつひとつを同価値・同サイズで読者に提供することのほうが、はるかに大切だと考えました。

書類や資料のやりとりでおなじみのPDFというフォーマットなので、KindleやiBookなど、IT企業によって提供される(そしてユーザーを囲い込むための)どんなアプリも必要ありません。パソコン、タブレット、スマホ、どのようなデバイスであっても、ファイルをクリックすればそのまま瞬時に500ページの写真集が立ち上がります。ディテールに目が留まったら、拡大して写真の内部に入り込んでいくことも可能です。大判豪華本から文庫本まで、サイズによってクオリティが左右される印刷本とちがい、パソコンの大型モニターでも小さなスマホのディスプレーでも同じクオリティの視覚体験が得られます。

そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
(特設サイトより)








常に旅しながら写真を撮り続け、コンビニでプリントアウトし、自分で編集して一冊だけの分厚いポートフォリオとしての作品集をつくる。それをファミレスや喫茶店やホテルのロビーで、見料を取って一対一で披露し、その売上げで旅を続けていく・・・・・・たぶん写真家のだれもが憧れながら、だれもできていなかったスタイルで創作を続けている天野裕氏。対面のコミュニケーションにこだわってきたことから、プリントを額装して壁面に飾る通常の写真展も、印刷版の写真集もいままでいちども実現していません。彼の写真の噂は聞いていても、実際に作品を見ることができたのは幸運な少数に留まっていました。

天野くんにとって13冊目になる『わたしたちがいたところ』は、500枚の写真で構成されています。それは普通の写真集にするにはあまりに大きなボリュームですが、デジタル・フォーマットなら可能ではないか。そして、こちらのほうがさらに大切なのですが、一冊の完結した作品集としてではなく、天野くんがどんどん撮っていく写真を購入者に随時送っていくことで、常に開かれた、常に拡大していく写真集ができるのでは、という天野くんと僕らの思いからこの希有な一冊が生まれました。




 種田山頭火を放浪の俳人と呼び、山下清を放浪の画家と呼べるならば、天野裕氏(あまの・ゆうじ)は放浪の写真家である。2017年に出会ったとき、彼は展覧会をせず、写真集の出版もせず、軽自動車に寝泊まりしながら日本中を走り回り、ツイッターで「きょうはこの町にいます」とつぶやき、喫茶店やファミレスやスナックや公園で「客」を待っていた。旅の時間のなかで撮影した写真をコンビニでプリントして束ねた「写真集」をテーブルに置いて。そうしてやってきた客に「一冊千円」で写真集を観てもらう。1対1で。その見物料で食費やガソリン代をまかない、また次の場所に行く。毎日が旅で、毎日が撮影で、毎日が一期一会の、極私的な展覧会。そういう生活を天野くんはずっと続けて、いまも続けている。愛車の走行距離が20万キロを越えて潰れてから飛行機や新幹線やバス移動に変わっただけで。
 寒そうな海、フロントグラスに滲むテールライト、パンツを下ろした女の子、ぼやけた花、散らかった部屋、からまる舌、闇、光……それは旅情などという甘い語感ではとうていあらわせない、圧倒的にリアルな旅の時間の集積であり、乾いた日常であり、いつまでも終わらない旅であり、でもたしかにその旅には「情」の気配もあるのだった。


 「写真を見てください」と声をかけられたり写真集をいきなり送ってくれるひとはけっこういる。その大部分はごく私的な日常生活をスナップした写真で、正直言ってこころ惹かれるものはほとんどない。その写真を支える日々の生活にまったく興味をそそられないから。そういうどうでもいいスナップ写真と「自分の範囲5メートルの写真だけ撮る」天野くんのどこがちがうかといえば、テクニックがどうこうではなくて(カメラもコンパクトデジカメ、いまはほとんどスマホだけ)、そこに写された時間、空間、人間関係――つまり天野くんの日常の濃度・強度が圧倒的だからだ。
 「もう隠すのやめよう、病気のこともセックスのことも全部出そう。それがおもしろくないなら俺はおもしろくないし、才能ないんだってことにしよう」――写真を始めるときに決めたマイルールを信じて動き続け、撮りたいひとに躊躇なく声をかけ続ける。呼び止めて「天野裕氏で検索してみて。すごくかわいいと思うんで撮らせてもらえないですか」と頼めば「100パー、オーケー」。ブログサイトに電話番号、住所、LINE IDまでぜんぶ載せて、逃げも隠れもしないから。それで真夜中だろうがなんだろうが「写真を見たいです」と連絡をもらったら、どこへでも飛んでいく。
 長いあいだ重い鬱症状に苦しみ入院と投薬を繰り返し、「写真がなかったら死んでたんじゃないですか」という天野くん。肩書きに写真家と付けられることもあるが、「そういう意識はないし、アートやってるつもりもないし、むしろ嫌いだし、暴走族のアクセルミュージックとか、街で喧嘩してるやつらのがよほど芸術だと思うから」という天野くん。かっこいい男とかわいい女だけを撮り続けて、それが一日、一晩を生きぬくなによりの支えになると言う天野くん。そういう自分の生きざまこそがかっこいいとはまったく気づいてない天野くんが、僕には出会ってからずっといちばん気になっている写真家なのだ。

(序文:都築響一)


前述したように天野裕氏にとって公刊される初の写真集である本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。でも、これが本としての一冊ではなくて、毎年、あるいは数ヶ月にいちどずつ、何十枚と「追加作品」が手元に届き、天野裕氏の旅と人生に並走して増殖し続ける、ひとつの「生のあかし」なのだとしたら。そしてその増え続けるあかしが、スマホやタブレットのなかで、つねに自分と一緒にいてくれるとしたら。

詳細は特設サイトでご覧いただけますが、ご購入いただけたかたには天野くん本人のテキスト、僕の解説を記した小冊子と、ダウンロードQRコードを載せたカードが天野くんのサイン入りで届きます。そのQRコードをスキャンしてもらえばスマホ、タブレット、パソコンなどお好きなデバイスにダウンロードしていただけて、PDFフォーマットなので拡大などの操作も自在に楽しんでもらえます。


こんなかたちのデジタル作品集はいままでにたぶん一冊もなかったと思うし、こんな値段の電子書籍もなかったでしょう。正直言って、この『わたしたちがいたところ』がどれだけのひとに受け入れてもらえるのか、写真家本人にも、僕らにも見当がつきません。まったく前例のないプロジェクトですから。

でも、天野くんのきわめてユニークな創作のスタイルは、普通の窮屈な印刷版写真集に、普通の編集とデザインで閉じ込めてしまうにはあまりに惜しい。その思いだけで、こうしてリリースまでこぎつけることができました。これからトークなどいろんな場所でお見せできる機会もあるかと思いますが、まずは特設サイトから内容だけでも見てもらえたらうれしいです。

荒れ果てた光景と優しい息遣いが同居する「わたしたちがいたところ」に、ひとりでも多くのかたがそっと滑り込んできてくれますように。


サイン入りの封筒に小冊子とダウンロードコードがついたカードが封入されています


『天野裕氏写真集 わたしたちがいたところ』

特設販売サイト

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電子画像集第6弾『BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙』

2016年の『秘宝館』から数えて6冊目になるロードサイダーズ版電子書籍『BED SIDE MUSIC ―― めくるめくお色気レコジャケ宇宙』が、ついにリリース!


本メルマガでもおなじみの「日本でいちばん展覧会を見る男」であり、稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

グッチさんは「いまもまだ集めてる」そうですが、とりあえず2019年6月までに収集されたアルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!


ROADSIDE LIBRARY vol.006:
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙

山口‘Gucci’佳宏+都築響一 編

PDFフォーマット  全2759ページ(3.65GB)
ダウンロード版 2,000円 [サンプル音源なし](税別)
特製USBメモリ版 3,500円 [サンプル音源5曲付き](税別)+送料360円 [978-4-9910880-5-6]


[内容]
序文(都築響一)
解説(山口‘Gucci’佳宏)
1. アート系
2. ポーズ
3. エロ顔
4. ザ・ヌード
5. ムーディー
6. ビューティー
7. モード
8. 水着
9. 薄幸
10. 和
11. 美女と楽器
12. カクテル
13. 夜
14. クリスマス
15. イラストレーション
16. 竹久夢二
17. ヘンテコ
18. シンメトリー
19. 表裏使い廻し
20. シリーズもの
21. ボックス・セット
22. ジャケ帯
インタビュー(山口‘Gucci’佳宏)
収録音源について

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【クレジットカード・PayPal支払いをご希望の方】以下の「購入」ボタンよりお申込みください。

USB版の場合、お申込みいただきましたら事務局より注文確認のメールをお送りいたします。お申込みから1週間以内の発送を予定しています。ダウンロード版の場合も事務局よりダウンロード方法についてメールいたします。



「お色気レコジャケ」なんて初耳、というかたもいらっしゃると思うので、とりあえず僕が書いた序文をお読みください。

雑誌の巻頭や書店の写真集コーナーを彩るセクシー・グラビアを眺めながら、ふと思う。どうして自分はこういうグラビアアイドルに惹かれないのだろう。

それはたぶん、「幸薄く見えない」からだ。見事な身体に、見事な顔。極小水着を食い込ませようが、縄で縛られようが、彼女たちはすべてのカットで自信にあふれ、鼻息荒くページをめくる男性読者を上から見下ろす。その行く手に、とりあえずこれから数年は立ちふさがるなにものもない(ように見える)グラビアアイドルたちに、不幸な陰はひとかけらもない。それが僕を萎えさせる。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。


よく知られた歌謡曲やスタンダード・ナンバーのインストルメンタル・バージョンをただただ並べ、ときとして曲と曲のあいだにセクシーなお姉さんの語り(ナレーション)を入れてアルバム全編をつないでいく、なんともユニークな形態のアルバムを、音楽ファンのどれほどが知るだろう。

いま「インストバンド」というと、「あらかじめ失われた恋人たち」のようなダブだったり、テクノやジャズだったり、意図的にボーカルを排したアーティスティックな音楽を指すわけだが、1960年代から70年代初期にかけては、そういうオリジナリティを追求する音楽とはまたちがうインスト・レコードが無数に作られていた。一時は日本中のレコード店に流通し、なかにはかなりの枚数を売り上げたアルバムもあったけれど、70年代後半ごろから急激に廃れていって、いまではまったく見かけなくなってしまった。








表裏ジャケ、ダブルジャケ仕様は外、内側もすべて収録
















「夜のムードを高める」目的と書いたが、実はインスト・レコードが実際、昭和40年代の日本でどのように使用されたのかはよくわかっていない。インスト・レコードが出回っていた当時、僕は子供すぎたし、制作に携わっていた人々はすでにレコード会社にほとんど残っていない。真摯な音楽ファン向けではなかったろうから、それについて書かれた文献もない。音楽雑誌にすら取り上げられなかった、昭和の夜のBGM・・・・・・。

ジャケットの雰囲気や内容からして、「夜用」を主に意図されたのだろうが、いざというときになって、こんなヌード写真のアルバムを取り出してきたら、女は燃えるよりも萎えるのではないかという気もする。とはいえ曲自体はあくまでインストルメンタルであって、「官能小説朗読」とかではないので、オナニー用途にも向かなかったろう。












「意味不明」のレコード群は、そのつくりもまた、いい意味でも悪い意味でもユニークだった。まず、タイトルがてきとう。「ピンク」と「ムード」と「夜」と「誘惑」と「サックス」を組み合わせれば一丁上がり、みたいな。

そしてデザインがてきとう。曲の内容とまったく関連のない、単なる外人女性ヌード写真が全面にフィーチャーされ、なのに曲は純邦楽という、ねじれきったケースが大多数を占める。

そのヌード写真、お色気写真も表ジャケットと裏ジャケットで、同じ写真を反転して使用したり、それすらも面倒くさかったのか、そのまま2回使っているケースまである。現在ではとうてい考えられない、デザイナー絶句の荒業だ。








そしてまたタイトルの書きかたで、全編インストであるにもかかわらず、一見オリジナルの歌曲コレクションであるように錯覚させるジャケがある。よ~く見ると演奏者が表記されているが、中にはダブルジャケットの内側にしか表記がないものもあり、そうなると買ってみるまでわからない・・・・・・騙しですね、ほとんど。

そういう適当さがどくどく滲み出るお色気インスト・レコードだが、多くの場合、演奏者は一流、超一流のプロ・ミュージシャンが担当していた。ただ、こうした楽曲はレコード会社の買い切りが普通だったため、ひとつの演奏が何度も手を変え品を変え、というかバンド名を適当に変えたりして、くりかえし使用されているのも特徴だ。ミュージシャン本人も知らないままのレコードも、けっこうあるかもしれない。

しかも、そのようにインストの演奏であるにもかかわらず、ジャケットには全曲の歌詞が印刷されていることが珍しくない。これは「聴いてるうちに歌いたくなった人用」だろうか、カラオケ以前の時代のカラオケ代わりだったのだろうか。

知れば知るほど、謎が深まるばかりである。


象の上に雑すぎる切り抜き画像が


表ジャケにタイトルも演奏者も記されてないアルバムすら!


ズンドコ節から野球ケンまで!

こんなふうにてきとうにつくられ、てきとうに消費されて、だれも気にしないうちに消えていったのが、昭和40年代の日本に現れ消えたセクシーな徒花・お色気インスト・レコードだ。そうして、レア・グルーヴとして高値がつくこともなく、和物DJ諸君ですら見向きもしない、中古レコ屋のエサ箱でホコリをかぶったままの不良在庫を、ひたすら集め続けた男がいた。

レコード・コレクターの山口‘Gucci’佳宏氏による約850枚の日本人演奏もの「お色気ジャケ・インスト・レコード」コレクションを紹介する、これは本邦初の(そしてたぶん最後の)決定版電子書籍である。






いまから40年前、50年前だから、モデルの質だってグラビアアイドルとは比較にならない。現在なら全員「熟女枠」に入れられてしまいそうな、くたびれた身体が堂々と30センチ角のLPジャケットに収まっている。その写真とても、ほとんどはアルバムのために撮影されたのではなく、通信社あたりのストックからてきとうにえらんだものだったろう。

無邪気に微笑んだり、思わせぶりにからだを投げ出す彼女たちは、自分のセクシーな写真がはるか極東の島国で、『ウナ・セラ・ディ東京』や『人形の家』や『黒ネコのタンゴ』と一緒になっていることを知るよしもない。

てきとうな選曲と、てきとうなデザインと、てきとうな写真。そんなふうに消費されるけなげな熟女モデルの表情から、身体から、そしてジャケットから滲み出る「陰」の深みに、きみの官能はどうかきたてられるだろうか。




繰り返しになるが、これらのレコードはいまから40年前、50年前につくられたものである。そして、ここまでくればもうおわかりのように、この時代のほうが実は、現在よりずっと、レコジャケ・デザインは自由だった。

半世紀前とは比較にならないほどポピュラー・ミュージックの地位が向上し、比較にならない量の新譜が量産され、プロフェッショナルなグラフィック・デザイナーがジャケットを手がけ、大手レコード会社に頼らないインディーズも増えて、そうしていま、ヌード写真を使用したジャケットを見かけることはまずない。別にヌードだからいいというわけではないけれど、「オトナのお色気」を醸し出すジャケットすら、ほとんどない。

ほかの印刷物と同じように、レコードやCDでも過剰な性表現は取り締まりの対象になるが、音楽業界が特別厳しい規制のもとにある、なんてことはない。「放送禁止歌」と一緒で、すべて制作側の自主規制によるものだ。大手のレコード会社だけでなく、インディーズですら。


絶妙すぎる乳首の位置取り!


タバコの煙がタイトルを描くオトナ感


お色気ナレーション入りの「コンセプト・アルバム」もあった

いま、音楽業界は「子供の音楽」によって生き延びている。エクザイルからAKBからビジュアル系まで。「何年も映画館に行ってない」ように、「何年もCD買ってない」オトナが、どれほどたくさんいることか。

オトナが買うからこそ、オトナの色気をアピールするジャケットがあったのだろうが、いまやオトナが買いたくなる音楽自体が減ってしまった。いや、あるのだけれど、メディアに乗らなくなってしまった。音楽業界では昔の音源の「リイッシュー」がブームで、それはたしかにオトナ向けだけど、何万円もするボックスセットを予約購入するような、マニアックなオトナ向けの商品でしかない。

かつてのように音楽が、そして音楽自体だけでなくレコード・ジャケットというものが、日々の生活空間のなかで存在感に輝く時代は、もう二度と来ないのだろう。あらゆるレコード・コレクション道のうちでも、最底辺の一角を占めるにちがいない「お色気インスト・レコード」という徒花。それは秘宝館やラブホテルやピンク映画ポスターと同じように、失ったことすら気がつかないままに僕らが失ってしまった、たからものでもある。「てきとうさ」という、オトナのフィロソフィでもある。








見ているだけで昭和のお色気にむせてしまうような2500枚以上の写真に加えて、

・山口‘Gucci’佳宏氏による詳細な解説

・当時日本コロムビアに所属し、演奏を担当したサックス奏者・稲垣次郎氏のインタビュー

・CDでは聴けない珠玉のサンプル音源5曲!

1. ナイチンゲール
「ECSTASY 恍惚/エクスタシー 川原正美とエキゾティック・サウンド 」より
2. ヘイ・ジュード
「ロックとラテンの激突 見砂直照と東京キューバン・ボーイズ & 稲垣次郎とソウル・メディア」より
3. 学園天国
「歌謡ヒット速報 稲垣次郎 ゴールデン・ポップ」より
4. ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー
「真夜中のレキント・ギター ベッドで煙草を吸わないで 木村好夫とザ・ビイアーズ」より
5. あなたが帰った鏡の前で
「愛しすぎて男を天国に行かせた女のお話」より


全画像の中から特選ジャケット、600枚ほど選んで高速スライドショーにしてみました。1カット1秒で8分弱あります!(笑)年齢制限あり!

30センチ角のLPジャケットはスキャナーからはみ出してしまうので、1枚1枚、永遠に続くかと思われた複写作業を経てのデジタル・コレクション化。これ以上のアーカイブは、今後もありえないと断言できます(まあやろうというひともいないだろうが)!

ほんの40~50年前に日本の音楽業界はこんなものを大量生産していて、いまはすっかりなかったことになってる!という、秘宝館やオールドスタイル・ラブホテルやキャバレーの踊り子たちとまったく同じ「忘れられた宝物」を、ぜひご覧ください。



ROADSIDE LIBRARY vol.006:
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙

山口‘Gucci’佳宏+都築響一 編

PDFフォーマット  全2759ページ(3.65GB)
ダウンロード版 2,000円 [サンプル音源なし](税別)
特製USBメモリ版 3,500円 [サンプル音源5曲付き](税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-5-6]

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電子画像集第5弾『渋谷残酷劇場』DVDカタログ

好評のうちに終了したアツコバルーでの『渋谷残酷劇場』展。展示していた写真と動画、すべてを収めたPDFカタログのWEB販売を開始しました!


これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。


ROADSIDE LIBRARY Vol.005
都築響一 presents 渋谷残酷劇場

Kyoichi Tsuzuki presents "Shibuya Hell Garden"
ATSUKOBAROUH Night Gallery  2018.04.14 Sat - 05.13 Sun

地獄に行きたい人間は、あまりいない。
なるべくイヤなこと、体験したくないことを何百年、何千年にわたって、何億人もが考え抜いた、究極のネガティブ・イメージ。それが地獄というものであるはずだ。
それなのに世の中には、死んでからしか行けないはずの地獄を、いますぐ味見してもらおうと、手間ヒマかけて再現してしまうひとたちがいる。
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。ちからを合わせて造りあげた苦しみのヴィジョン。現世の片隅にひっそり毒花を咲かせる、そんな地獄のランドスケープに魅せられて、長いこと撮影行を続けてきた。これをアートと呼べるのかどうか、僕にはわからない。けれど世の中に「アート」という名前で流通している商品よりも、はるかにリアルな思いのカタマリがここにある。


[内容説明]

01. ハニベ巌窟院(石川県)
02. 伊豆極楽苑(静岡県)
03. 祖谷渓お山公園(徳島県)
04. 正観寺(徳島県)
05. 仙台武家屋敷人間教育館(宮城県)
06. 人間ポンプ安田里美
07. 見世物小屋絵看板
08. 彰化八卦山(彰化・台湾)
09. 麻豆代天府(麻豆・台湾)
10. タイの地獄庭園
11. ベジタリアン・フェスティバル
12. スイティエンパーク(ホーチミン・ベトナム)
13. セドレツ納骨堂(クトナホラ・チェコ)
14. カタコンベ(パレルモ・イタリア)
15. ロンドン・ダンジョン(ロンドン・イギリス)
16. ヨーク・ダンジョン(ヨーク・イギリス)
17. ブレイディング・ワックスワークス(ワイト島・イギリス)
18. ザ・ハンタリアン(グラスゴー・イギリス)
19. バルセロナ・ロウ人形館(バルセロナ・スペイン)
20. スピッツナー博士コレクション(パリ・フランス)
21. ミュゼ・フラゴナール(パリ・フランス)
22. ラ・スペーコラ(フィレンツェ・イタリア)
23. フィレンツェ大学病理学研究室(フィレンツェ・イタリア)
24. ナレントゥルム(ウィーン・オーストリア)
25. ヨゼフィーヌム(ウィーン・オーストリア)
26. 中世法制史博物館(ウィーン・オーストリア)
27. アレックス・ショウ(サンクトペテルブルク・ロシア)
28. クンストカメラ(サンクトペテルブルク・ロシア)
29. ペトロパヴロフスク要塞(サンクトペテルブルク・ロシア)

■動画1『日本編』
伊豆極楽苑、ハニベ巌窟院、人間教育館(from ROADSIDE JAPAN, BQ 2004~5 ディレクター:十川利春)
最後の見世物芸人・安田里美(鼻でハモニカ、金魚、眼力、碁石、火吹き @1990年2月21日 京都・アートスペース無門館)
■動画2『台湾編』
彰化八卦山、麻豆代天府
■動画3『タイ編』
ワット・パーラックローイ、ナコーンラチャシマー


最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入っています。


ROADSIDE LIBRARY vol.005:渋谷残酷劇場

都築響一 著

PDFフォーマット 全289ページ(833MB)+動画3本(1.65GB)
ダウンロード版 1,500円(税別)
DVD-R版 1,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-4-9]

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電子画像集第4弾『TOKYO STYLE』リリース!


2016年7月にリリースした『秘宝館』から始まったロードサイド・ライブラリー。『ラブホテル』、『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』と続いて、ついに第4弾『TOKYO STYLE』が完成!

『TOKYO STYLE』が最初の大判写真集として世に出たのが1993年。実際に撮影で東京都内を原チャリで走り回っていたのが1991年あたりだったから、今年はあれからちょうど25年、四半世紀。世界があれからますます不景気になり、不安定になって、貧富の格差が開いていることだけは確かだ。日本は前よりずいぶん暮らしにくくなったろうし、大災害にも襲われた。同時に多くのひとが前よりずいぶん消費欲にも、所有欲にも、勝ち組を目指そうという野心にも惑わされなくなってきた気がする。




オリジナルの大判写真集はもう古書店でしか手に入らないけれど(それも美本はまず見かけない)、文庫版はいまも絶版になることなく、ちくま文庫で販売中だ。それなのに電子書籍版を出させてもらったのは、ロードサイド・ライブラリーで試してきたPDFによる高解像度画像集というフォーマットに、僕の仕事では『TOKYO STYLE』ほどうまく適合するコンテンツはないと思ったから。ライブラリーを始めるときから、いつかはこれをやってみたいと考えていた、念願の一冊である。

これまでダウンロード版やUSB版で購入してくれたひとはおわかりかと思うし、この記事でもある程度は体験できるように、電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。もちろん電書版でページ数に制限はないから、書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい。なので前の3冊と同じく、812ページ、高圧縮技術を使用してなお600メガバイトに近いメガボリュームのデジタルリミックス版になっている。





ROADSIDE LIBRARY vol.004:TOKYO STYLE

都築響一 著

PDFフォーマット  全812ページ(585MB)
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-3-2]

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オトナの漫画とテレビ番組に関する記事を書いて生活するライター。なんの飾り気もない寝室の居心地よさ。


片側5車線、高速道路も通るメイン・ストリートに面した古いビルに住む、ミュージシャン志望のアルバイト生活者。トラックが通るたびに部屋は揺れるが、すぐに慣れてしまったし、1階が24時間オープンのコンビニなのがとても便利。三畳しかない部屋は楽器とステレオでほぼ満杯で、布団を敷くスペースが足りない。考えた末、布団の半分を押し入れの中に敷き込んで寝ている。

四半世紀を隔てて甦った、100人近くの参加者たちのくらしを眺め返していると、さまざまな思いが胸をよぎる――

カタツムリよりもヤドカリのように

あのころは2年ほどの京都生活を終えて東京に戻り、雑誌に記事を書いて原稿料が入るたびにフィルムを買っていた。原チャリの足元にカメラバッグを置き、三脚を背中に背負って東京中を走り回って撮影した部屋が約100軒。それが京都書院から分厚い写真集になったのが1993年のこと。3年後の1996年には文庫本になって、と思う間もなく京都書院が倒産してしまい、7年経って筑摩書房から文庫となって再出発。そのたびに新しいあとがきを書いてきたが、まさかあの原チャリでふらふら走っていた日々から25年経ってもういちど、4つめの新しいあとがきを書くことになろうとは。


高校卒業後、ミュージシャンを目指して荷物を小さなバイクに積み、九州から1週間以上かかって上京した男性。郷里でそうだったようにまわりに緑が欲しくて、多摩川のそばに見つけたアパート。まだ音楽では生活できないので、郷里から一緒に上京したバンド仲間たちと毎日工事現場で働いている。部屋に家具らしい家具はひとつもない。必要なものは全部、床に並べておく。


都内でも有数の超高級住宅地、広尾に残る昔ながらの木造住宅。3万円かそこら出せば、風呂なしトイレ共同の三畳ひと間とはいえ見つけるのが難しくないのは、すぐそばの超高級マンションが月家賃百万以上という例も珍しくないだけに不思議な気分がする。若いデザイナーにの部屋主は帽子やアクセサリーをこつこつ作っては売り、日本舞踊と長唄を習ってストレス・ゼロ。「いままでたくさん引っ越したけど、トイレのついてるお部屋はひとつもなかった」と豪快に笑っていた。

最初の写真集は大判ハードカバーで1万2000円もしたから、文庫になって手軽に手に取ってもらえるようになったのはうれしかったが、たとえばコタツの上とか本棚の中味とか細かいところを見てほしいのに、どうしても図版が小さくなってしまうのが悔しかった。数年前から電子書籍の企画やお誘いはあったけれど、一般的な電子書籍のフォーマットでは、写真が大きくきれいに見えるかどうかは、読む側のデバイスによってしまう。デジタルデータなのだから、気になる部分を拡大して見たりといった、紙の本とはちがう見せ方ができるはずなのに、それが現状では意外に難しい。なにか方法はないかと悩んだすえに、去年とうとう「手づくり・手売り電子書籍」しかないと決断し、ROADSIDE LIBRARYをスタートさせることになって、ささやかではあるけれど、ようやく自分の思う本来の電子書籍のかたちで『TOKYO STYLE』を、こんなふうに甦らせることができた。

25年前に大判カメラで撮影したフィルムを今回はすべてスキャンし直し、退色や色かぶりを補正した、これはいわばデジタルリマスター版のTOKYO STYLEだ。全部で2ギガバイト近い、電子書籍としては非常識なサイズではあるが、そのぶんどの写真もかなりアップに耐えられるようになっている。気になる本、レコード、テーブルの上、冷蔵庫の中・・・いろんなディテールを覗き見してもらえたらうれしい。




学校近くに見つけた長屋式の木造アパートに住む、短大の女子学生。6畳ひと間、トイレ、風呂共同で家賃1万8000円。学校まで毎日自転車で通う。小演劇の熱狂的なファンで、壁は劇団のポスターや写真で埋め尽くされている。とにかく掃除、整理整頓が大の苦手なので、毎日のように学校の後輩が部屋の整頓と御飯づくりに来てくれるのがなにより大助かり。

1990年代初頭の日本とは、バブルが崩壊した時期だった。家賃100万円だった超高級マンションは60万円に下がったけれど、バブルのピークに家賃3万円だった木造アパートは、バブルが崩壊してもやっぱり3万円のままで、25年後のいまでも3万円のままだろう。景気や時代に影響されるのは「持てるひとびと」の暮らしであって、「持たざるひとびと」の暮らしはそんなに変化がない。所有しないことの強みはそこにあるので、本書に出ているような部屋はいまだってたくさん、そこらじゅうに見つかるはずだ。

とはいえこうして四半世紀ぶりに写真を見直してみると、変わったなあと実感する部分もたしかにある。テレビはブラウン管だったし、そこに室内アンテナもときどきついていたり、VHSビデオプレーヤーが組み込まれたテレビデオだったりもした。リモコンよりも「万能棒」が活躍していた部屋もあった。イケアもなかったから、家具はいまよりバラバラなテイストだったし、やたらと洋服の山や洗濯物が目立つのは、ユニクロみたいなファストファッションがなかった時代に、みんな服をもっと大切にしていたからだとも思う。

台所に新聞紙の束なんていまは見ないし、ファンシーケースのような昭和スタイルの家具もすでに絶滅状態だろう。ときどきトイレも撮影したが、この本にウォッシュレットはひとつも写っていない。パソコンもノートではなく箱形、そしてなにより携帯電話がここにはない。あるのは固定電話、留守電レコーダー、ファックス――これは僕らがインターネット・コミュニケーション時代に飲み込まれる直前の姿である。


携帯がないということは、SNSがないということ。だれかと話したかったら固定電話にかけて、つながらなければ留守電にメッセージを吹き込む。込み入った用件は紙に書いてファックスで送る。家に帰ってきたらそれを聞くか見るかして、相手に電話をかけ直す。LINEやツイッターのDMが携帯に届いて、すぐさま折り返さないと「既読スルー」と非難を浴びる、そういうスピード感に縛られてしまったいま、TOKYO STYLEの部屋にそこはかとなく漂う牧歌的な感覚は、実は部屋のシンプルさではなく、ライフスタイルのシンプルさにあるのではないかと、フィルムをスキャンしながら気がついた。SNSとは言うまでもなくソーシャル・ネットワーキング・サービスの略だが、ここにあるのは僕らがソーシャルなネットワークに組み込まれる以前の暮らし、ということでもある。






DJ見習い少年が住む三畳ひと間の木造アパート。トイレも風呂もついていないが、仕事が多い新宿から歩いて帰れるエリアで2万7千円という家賃は魅力的である。常人とは生活時間帯が正反対なので電話は持たず、ポケットベルで連絡はすます。呼ばれれば近くの公衆電話に走り、出たくなければ放っておく。ちなみにこの物件は番地がない、都心のエアポケット。住民登録ができないかわりに税金もない。

表現のデジタル化やインターネット・コミュニケーションがもたらした意識革命は決定的だし、僕自身その恩恵に頼って仕事をしているので、いまさら写真をデジタルではなくフィルムで撮ろうとか、電子書籍ではなく印刷本の写真集じゃなきゃいやだとか、あえて携帯を持たないとか、文章は原稿用紙に手書きとか、そういう人間になろうとは思わない。アナログからデジタルに変換された情報の総体が、この本なのだし。ただ、世の流れと一緒にスピードアップするのは簡単だけど、流れに抗してスピードダウンするのはとても難しい。

いつかふたたび、僕らは駆け足をやめて、ゆっくり歩くように暮らすことができるだろうか。25年前と現在と、狭い部屋の見かけはたいして変わらないかもしれないけれど、たくさんの部屋を見ているうちに、なんだかいまとは感覚の脈拍数が、精神のBPMがちがうように思えてこないだろうか。


東京というよりむしろ香港を思わせる駅前雑居ビルの中、四畳半ひと間の部屋に住むコンピュータ・プログラマー。風呂なし、トイレは各フロアにひとつ、使用時は自分のトイレット・ペーパーを持っていく。働くのは月に10日ほど、あとは酒とクラシック音楽と哲学書に浸る。毎晩のように通うバーから歩いて帰れる距離で、布団が敷けるだけのスペースがあればいい、だからこの部屋で充分という。


美術大学に通っていたころからの木造アパートに、そのまま住み続けているアーティスト。四畳半ひと間、風呂なし、トイレ共同だが、窓が隣家の広い庭に面していて、それほど閉塞感はない。このひと部屋で絵を描き、他の住人が出払う昼間には趣味のクラシック音楽を聴き、夜は立てかけたキャンバスの隙間に布団を敷いて寝る生活が、もう10年近く続いている。手前の洗面器がお風呂セット、これで銭湯に通う。


テレビのドキュメンタリー番組の制作で年の半分以上は海外生活。それもアフリカやアジアの奥地にひとりでビデオを担いで入り、現地でクルーを雇い2ヶ月、3ヶ月にわたる撮影旅行をこなすタフなフリーランス・カメラマン。だから東京のベースは出来るだけ安く、寝られればそれでいいというわけで電車の線路すぐ脇の、古びたアパートの一室を借りている。鍵もかけたことがないし、いつでも友達がひとりかふたり居候や留守番役に泊まっている。

なにしろ25年前に取材した本なので、登場してもらったひとたちのほとんどはずっと連絡がつかないでいる。「カタツムリでなくヤドカリであれ」と言ったのは生涯旅人だった寺山修司だが、オリジナルの写真集から文庫版が出る3年ほどのあいだに、本書の登場人物の9割近くはすでに引っ越してしまっていた。これだけの歳月を経たいま、みんないったいどこでどうしているだろう。もし本書を手に取る機会があって、登場してくれたご本人や、お心当たりのあるかたがいらっしゃったら、ぜひご一報いただきたい。そしてここでもういちど、おそらく最後の「あとがき」を書く機会に、登場していただいたすべてのみなさまにこころからの感謝を捧げる。どんなかたちであっても、どこにいても、日々を楽しんでくれていますように。




ファッションショーの運営をする会社に勤める男性。。ベッドの横には友達からもらった三輪車があるが、これはサイドテーブルの役目を果たす。飲み物を乗せるところもあり、ハンドルにぶら下がったコンビニ袋はゴミ箱代わりになるし、どこへでも引っぱって動かせるのが便利。


偶然、同じ部屋に住んでいた女性が本を見て連絡をくれて、『TOKYO STYLE』から18年後に撮影した写真! 電子書籍版で初収録される写真やエッセイも多数あり。


明治時代に建てられた、木造3階建て全70室の威風堂々とした下宿屋。学生あり、学生時代からずっと借りている人あり、お年寄りあり、セカンドルームにしている人あり、入居者はさまざま。共同便所、共同炊事場など館内すべて掃除が行き届き、きれいに保たれている。家賃は2万円前後と格安。火災への気配りはひとしお。毎晩管理人が「火の用心」と声を掛けながら廊下を回っているのなどは、現代の東京と思えない風情である。










2011年に取り壊されてしまった本郷館のフォローアップ記事も収録


ROADSIDE LIBRARY vol.004:TOKYO STYLE

都築響一 著

PDFフォーマット  全812ページ(585MB)
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [978-4-9910880-3-2]

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電子画像集第3弾
『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』


『秘宝館』『LOVE HOTEL』に続く電子書籍シリーズ「ROADSIDE LIBRARY」第3弾が、ついにリリース。題して『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』。そう、2017年2月8日号で特集、予想をはるかに上回る反響を呼んだ北九州市若松のグランドキャバレー・ベラミの歴史と、そのステージを飾った踊り子や芸人たちの写真コレクションである。記事でも200点近い宣伝用写真(ブロマイド)をお見せしたが、今回は発掘されたプリントすべて、数にして約1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載、前の2冊を超えて2ギガバイト!というメガ・ボリュームのダウンロード版およびUSB版デジタル写真集としてお届け!


ROADSIDE LIBRARY vol.03
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち

都築響一・編 協力:古家しょう子、寺井到(RKB毎日放送)

PDFフォーマット  全1409ページ(2.0GB)+動画3本(300MB)
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [978-4-9910880-2-5]

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USB版は前2冊とは趣を変えて、カード型USBをプラスチックケースに収納

(かつては従業員寮だった)ベラミ山荘をFさんが買ったとき、家の中にはさまざまな生活用品から、かつての住人たちの個人的な手紙類まで、膨大な量の物品がそのまま残されていた。キャバレーの備品もたくさんあって、半分途方に暮れながら整理していたところ、写真アルバムや店のマッチといった備品に混じって段ボール箱があって、開けてみたら写真プリントがぎっしり詰め込まれていた。

それはキャバレーのステージを飾った歌手や踊り子、芸人たちの宣伝用写真(ブロマイド)だった。




ほとんどがモノクロームのその写真には、精一杯の笑みやお得意のポーズを決めた、タキシードから半裸まで衣装もさまざまな女たちや男たちがいた。安っぽいプリントから生バンドの音楽や、ホステスの香水や、カクテルやタバコの匂いがムワッと立ち上ってくるようだった。いまから50年も前のことなのに。

段ボールから出てきた写真は、数えてみると約1400枚にのぼった。その1枚ずつをスキャンし、裏に書かれた名前を写していく。それは1960年代の夜へと続くタイムトンネルだった。






写真に写っているのは9割方が女たちで、それは時にドレスや着物をまとっていても、ごく少数の歌手や漫才をのぞけば、演じるのが「ヌードダンス」だからである。なかには名前とともに「ピンクヌード」「外人ヌード」「日劇スター」といった特長(?)や、「キャンドルヌード」「夜光ラクガキショー」「金粉ショー」「トップレスシンガー」「コミカルポルノ」「スネークベッドショー」などなど、印象的なキャッチフレーズを冠したダンサーもいて、いったいどんなワザが舞台で繰り広げられていたのか、気になってしかたがない。




なのに彼女や彼たちのことは、数人の歌手以外には、ネットで検索したくらいではひとりもヒットしない。こんなにも無名の踊り子たちがいて、日本各地にあった無数のキャバレーで、音楽と男の視線と酒とタバコの匂いに夜ごと肌をさらし、スポットライトを浴びていたのかと思うと、そしてその記録がまったく残されないままキャバレーとともに消えていったのと思うと、胸が締めつけられるようでもある。ほんのわずかな年月のうちに、僕らはどれほどの記憶を失ってしまったのだろうか。

(序文より)


高速全ページ・プレビュー!

キャバレー・ベラミは昭和34(1959)年のキャバレー絶頂期に開店、平成元年(1989)に廃業している(同じ年に有名な赤坂ニューラテンクオーターも閉店)。30年間にわたるその歴史を、ベラミ山荘オーナーとなったFさんは熱心に調査、その成果をメールマガジンで掲載させてもらったが、今回も『古家商のこと、ベラミのこと』『ベラミについてわかったこと』『年表』として完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像も、動画ファイルとしてご覧いただける。


昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみいただけたらと願う。例によって本書は巨大なPDFファイル(+動画)。パソコン、タブレット、スマホなど、すべてのデバイスで特別のアプリ不要、コピープロテクトなしでお読みいただける。



ROADSIDE LIBRARY vol.03
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち

都築響一・編 協力:古家しょう子、寺井到(RKB毎日放送)

PDFフォーマット  全1409ページ(2.0GB)+動画3本(300MB)
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-2-5]

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電子画像集第2弾『LOVE HOTEL』ついにリリース!


「LOVE HOTEL」表紙

ROADSIDE LIBRARY vol.002 LOVE HOTEL:

PDFフォーマット  全483ページ 1GB
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-1-8]

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インテリア・デザインにおけるエロの極北、ラブホテル。セックスのためのホテルという空間は、なにも日本だけでなく世界各地に存在する。しかし円形の回転ベッドだとか、「パートナーがお風呂に入っているのを寝ながら見るための透明バスタブ」だとか、「いろんな使い方ができるブランコ」だとか、短時間の性行為のための場所という本来の目的から大きく逸脱した、ユニークとしか表現しようのない独自の空間へと変異している例は、世界広しといえども日本にしか存在しない。そしてもちろん我々は、要求される機能を完璧に満たすのがクラフトであり、要求を超えた無用無意味の領域に踏み込んでいくのがアートだという基本原理を、忘れてはならない。


新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。

円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!


高速全ページ・プレビュー!

ラブホテルを撮影した写真集はもともと Street Design File vol.17 の『Satellite of LOVE ラブホテル・消えゆく愛の空間学』 として、アスペクト社より2001年に刊行されました。そのあと2008年に少し小さな判型になって再版されましたが、それも長く版元品切れのまま・・・。なので今回、vol.1『秘宝館』と同じく、書籍版では掲載できなかったカットを大幅に増やし、しかもすべてのフィルムをスキャンし直した、デジタル・リマスター・バージョンです。






全73室でちょうど1ギガバイト! 『秘宝館』よりはやや少なめですが、それでも通常の電子書籍の数百倍! もちろんこちらもPDFで特別なアプリ不要、コピープロテクトもかけていません。どうかお好きなように、お好きなデバイスでご覧ください。

巻末に掲載していますが、いまから15年以上前の取材時のまま、インテリアが生き延びているラブホテルは、わずかに3~4軒。すでに閉店してしまったホテルも少なくありません。もはやこの電子書籍でしか味わえない珠玉のエロティック空間デザイン、483ページのボリュームでたっぷりお楽しみください。


2016年現在の悲惨な現況報告


チェンマイのレッドローズ・ホテル

そしてさらに! 今回は特別付録として、以前このメルマガでも紹介した「タイのラブホテル」も掲載。チェンライ、チェンマイ、バンコクの3都市から、日本式ラブホ・スタイルの南国式展開もご覧いただけます。こちらも他のメディアではなかなか見ることのできない、レア・アイテム。豪華スパリゾートなんかより、はるかに楽しそうです!


こちらがUSB版

PDFフォーマット  全483ページ 1GB
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-1-8]

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全777ページ驚異の電子画像集『秘宝館』好評販売中!


「秘宝館」表紙


サンプル版PDF(67.6MB)


ROADSIDE LIBRARY vol.001 秘宝館:

PDFフォーマット 全777ページ 1.8GB
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 ※売り切れ

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商品

『ROADSIDE LIBRARY』は週刊メールマガジン『ROADSIDERS’ weekly』から生まれた新しいプロジェクトです。2012年から続いているメールマガジンの記事や、その編集を手がける都築響一の過去の著作など、「本になるべきなのに、だれもしようとしなかったもの」や、品切れのまま古書で不当に高い値段がついているものを中心に、電子書籍化を進めていきます。

電子書籍といってもROADSIDE LIBRARYは、Kindle、kobo、iBooksなどの電子書籍用の専用デバイスや読書用アプリケーションに縛られない、PDF形式でのダウンロード提供になります。なのでパソコン、タブレット、スマートフォン、どんなデバイスでも特別なアプリを必要とせずに読んでいただけます。コピープロテクトもかけないので、お手持ちのデバイス間で自由にコピーしていただくことも可能です。

いまだに発展途上にある電子書籍では、さまざまなデバイスやフォーマットが乱立しています。本を読む前に、まずアプリをダウンロードしなくてはならなかったり、「印刷本のようにページがめくれる」というような無用の仕掛けのためにデータが重くなったり、プロテクトをかけることによって友人にプレゼントすることもできなかったり。ある意味では読者を自分たちのシステム内に囲い込もうとする、電子書籍業界のやりかたに深い疑問を抱いたことが、「PDFでのダウンロード販売」というかたちの選択に結びつきました。

これまでずっと本を作ることを仕事としてきたのですから、「印刷本の存在感」に愛着がないわけはありません。精緻な印刷で豪華大判作品集にできたらという思いが消えることはありませんが、経済的な問題はもちろん、そのような「願望」よりも、「いま出さねば!」という切羽詰まった思いのほうがはるかに強くなったことが、電子書籍の自費出版に踏み切ることになった最大の動機です。それだけ、いまの出版業界で「好きな本を好きなようにつくる」ことが困難になった、ということでもあります。

いま、写真家のほとんどはフィルムでなくデジカメで撮影しているはずです。カメラのディスプレーで画像を確認し、そのデータをパソコンにコピーして調整して仕上げる。言ってみればモニター上の画像が、作家にとってのオリジナルであり、それを四色分解して紙に印刷するのは、どれほど高精度なオフセットであっても、劣化コピーにすぎません。文章も同じこと。文筆業にたずさわるほとんどの人間が、もはや原稿用紙に手書きではなく、パソコンのワープロやテキストエディターで文章を書いているでしょう。ですから撮影者であれ、書き手であれ、もっとも作者に近づけるのは印刷というプロセスを経た紙上ではなく、ディスプレー上であるとも言えます。

メールというかたちで直接お届けするROADSIDERS’ weeklyとまったく同様に、ROADSIDE LIBRARYは出版社も印刷所も、取り次ぎも書店も、電子書店すら介さずに、作り手と読み手を直接に結びつける試みです。印刷することもなく、中間業者もなく、配送費すら必要ない――それが、できるかぎり制作費を安く抑え、世界のどこでも同じ値段で購入できることにつながります。

すでに創刊5年目に入り、200号を越えたいまも毎週ぎりぎりで発行し続けているROADSIDERS’ weeklyのように、ROADSIDE LIBRARYも完全な「手作りデジタル本」として、なんとか冊数を重ねていきたいと願っています。どんなペースで発行していけるのか、まだまったくの未知数ですが、メールマガジンと同様、とうてい一冊の印刷本には収まらない「データの大海」を楽しんでいただけたら幸いです。
(『秘宝館』巻末より)


『秘宝館』全ページ、超高速プレビュー!

1993年頃から去年あたりまで、もう20年間以上も秘宝館の取材を続けてきて、これまでに撮影した秘宝館は北海道から九州嬉野まで11館になります。そのうち、いまも残っているのは熱海秘宝館と、伊香保女神館の2館にすぎません。

書籍としての写真集では、当然のことながら膨大なカットのうち、ほんの一部しか掲載できませんでしたが、今回は電子版ということで、これまで断腸の思いで落としていたカットも一挙収録。『秘宝館』は全777ページという、印刷ではとても望めないボリュームのデジタル写真集になりました。もちろんオールカラー。しかも! そのすべてのカットがかなりの拡大に耐えられるような、通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータなので、気になるディテールがあればクローズアップしてご覧いただけます。

秘宝館の取材に通ったのは1990年代が多く、つまりその多くはフィルムでの撮影でした。なので今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した、音楽でいえば「オリジナル音源からのリマスター」。すでにある書籍をデジタル・フォーマットに流し込む、通常の電子書籍とはまったく異なるプロセスで制作されています。

僕自身の単行本でも、最近は『ヒップホップの詩人たち』から『圏外編集者』まで、出版社ごとに電子書籍版が販売されるようになってきましたが、そのすべてはテキスト中心の書籍でした。ロードサイド・ライブラリーはあくまでも画像中心で、それも現在の電子書籍の常識をはるかに超える高解像度。なので必然的に一冊のデータサイズも巨大になっています。

いま、僕らが読んでいるふつうの電子書籍は、小説だと1.5MBかそこら、長い漫画でも100~200MBほどです。今回の『秘宝館』は777ページで約1.8GB! メガじゃなくてギガ! つまりふつうの電子書籍の百~千倍くらいのボリューム! 当然ながら、こんな常識外れの「電書」を扱ってくれるオンラインブックストアは世界中どこを探してもありえないので、ロードサイド・ライブラリーは特設ウェブショップからの直販だけで、当面スタートします。また、今回は特に第1号記念として、特製のかわいいUSBメモリもご用意しました。



キーホルダーとしても利用可能! 真ん中を押すとライトが光ります。

ROADSIDE LIBRARY vol.001 秘宝館:

PDFフォーマット 全777ページ 1.8GB
ダウンロード版 2,000円(税別)
特製USBメモリ版 3,500円(税別)+送料360円 [ISBN:978-4-9910880-0-1]

目次:
イントロダクション『秘宝館の記憶』
北海道秘宝館
野生の王国・東北サファリパーク
HIHOKAN 夢
伊香保 命と性ミュージアム 女神館
鬼怒川秘宝殿
熱海秘宝館
元祖国際秘宝館
元祖国際秘宝館鳥羽館・SF未来館
お山公園
別府秘宝館
嬉野武雄観光秘宝館
ROADSIDE LIBRARY 発刊にあたって

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絶版コーナー

NADiffにて限定販売中!

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TOKYO STYLE

名作"TOKYOSTYLE"の最初の文庫化は、いまはなき京都書院から。

1997 / 京都書院 / 文庫 / 1,575円(税込)

ローカル Roadside Japan 珍日本紀行リミックス版

都築響一、大竹伸朗 著
写真と絵画、グラフィックの驚愕のリミックス。デザインは北川一成。
2001 / アスペクト / 248×246mm / 120頁 / ソフトカバー / 8,400円(税込)

ROADSIDE JAPAN ―珍日本紀行

『珍日本紀行』150回以上分を一冊に凝縮した、画期的な総集編。秘境は君のすぐそばにある。
2001 / アスペクト / 254×248mm / 435頁 / ソフトカバー / 10,500円(税込)

イメクラ オリジナル版

2003 / Amus / 2,310円(税込)

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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