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最新号 2025年04月23日 Vol.642
photography
紅子の色街探訪記2 撮影日記
ロードサイダーズではもうおなじみの色街写真家・紅子さんが新作「紅子の色街探訪記2」をまもなくリリース、刊行記念写真展が東京吉原と大阪飛田新地で開催される。 紅子さんを初めてロードサイダーズで紹介したのが2022年のインタビュー。その時点でSNSで写真を発表しはじめてから2年も経っていなかった。そのころから数冊のZINEはつくっていたが、初の本格写真集「紅子の色街探訪記」を刊行したのが2023年11月末。出版のためのクラウドファンディングが「カメラを48歳から独学で始めた私に326名様が4,538,900円をご支援くださいました」という結果で、ほぼ無名の、写真を始めたばかりの女性にこれだけの支援が集まったことに驚いたひとが少なくなかったろう。
travel
東北タイ特殊寺院巡礼記 その3 ワット・パー・タムマ・ウッタヤーン
「象の寺」「崖の寺」と続いた東北タイ特殊寺院巡礼記、3回目は「森の寺」にお連れする。 コーンケーンの市街地から10キロ少々北上した農村部にあるワット・パー・タムマ・ウッタヤーン(Wat Pa Thamma Utthayan)は、いわゆる「森林寺院」。森林寺院とは特に上座部仏教(テーラワーダ仏教)において、自然の中、おもに森林に建てられた修行・瞑想のための寺院のことを指す。タイ語では「วัดป่า(ワット・パー)」と言い、「森の寺院」という意味になる。敷地面積70ライ(約28ヘクタール)という広大な寺域を誇るパー・タムマ・ウッタヤーンは、伝統的な仏教修行と、テーマパークのようなユニークな要素が融合した珍しいスポットでもあり、瞑想や修行目的で訪れる人だけでなく、観光や家族連れにも人気がある。
travel
中原に花咲く無常信仰 ──3人の李さんをめぐる旅の記録── 写真・文:無常くん(副書記)
中原(ちゅうげん)、それは中華文明発祥の地。王道政治によって教化された彼の地は、儒教流ポリティカル・コレクトネスが浸透する清く正しい土地として、長らく中華世界の中心に君臨してきた。今でいう河南省を中心とする華北一帯がちょうどその辺りに該当する。 むろん、中心があれば周縁がある。まさに本連載で紹介してきた福建・広東・湖南・遼寧……は、かつて中原の周縁に位置する「化外の地」(未だ教化されざる野蛮な土地)とされてきた場所だった。今日それらの地域に儒教ポリコレに反する奇々怪々な民間信仰──すなわち「淫祠邪教」が根強く息づいているのも、おそらく上記したような土地の記憶が深く関係しているのである。 となれば、淫祠邪教が大好物の私にとって、意識高すぎの中原は用なしの場所ということになるのだろうか。答えは、否である。ひょんなことからかの地を訪れ、幾度かの旅を重ねてきた私は、今そう確信を持って断言することができる。なぜならそこに広がっていたのは、「子は怪力乱心を語らず(by孔子)」とは真逆の世界──すなわち、鬼神が尊ばれ、巫術が幅をきかせる、化外の地となんら変わらぬ景色だったからである。
movie
絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション 触手ブーム到来か!? (文:押スノ踏マズ)
今年のエイプリルフール。AV村ではとんでもないことが起きました。「天高く」という謎のレーベルからリリースされた『触手学園 触手に堕ちた生徒会』が発売早々日間4位にランキングしたのです。週間・月間ランキングの上位にもランクインし、触手&AVファンと業界をざわつかせました。その内容は、なんと弱冠30歳の若手監督1,000万円自腹企画!! このご時世に!!! AV新法が導入されてから3年が経ち、じわじわとメーカーの体力が落ちていてめっきり元気のないAV村ですが、久しぶりにとんでもない企画モノが登場したのです。ランキング上位を賑わわせているのは、だいたい大手メーカーの1年落ち格安商品か福袋などのセール品です。そのなかでダークテイストに輝いていたこの『触手学園 触手に堕ちた生徒会』は4K版動画4,480円の高額商品です。 現場でも話題になり「あの監督は一体誰なのだ?」と噂で持ち切りになりました。二次元表現ではファンも多い触手界隈ですが、実写化では莫大な金額がかかるのでそんなにお目にかかれないのです。 というわけで、今月は触手モノAVを見ていきましょう!
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 80話 いつものドタバタ (画・文:新開のり子)
今日は血圧が高めで体がフラフラ。 数日前から血圧の薬が見当たりません。かかりつけの病院に電話をしたところ いつもとは違った優しい声での対応と違い、淡々と話す女性。 受付の人が変わってしまったようです。 相談で電話をしたはずが、 「薬をなくされた場合は、再発行はできませんから!実費になります!予約はいっぱいです!!!インターネットからお願いします」ガチャッ(電話が切られた音) 私は、「もしもし!もしもし!」 プープープー
lifestyle
バンカラ女銘々伝 第26回 性の求道者に伴走する女 小倉ミチヨ (文:平山亜佐子)
1913(大正2)年から1955(昭和30)年まで約40年間にわたって続いた性の研究会がある。主宰者は小倉清三郎、ミチヨ夫妻。会員には知識人や著名人ら錚々たる面々が名を連ねていた。おもな活動は、会員の性のレポートを謄写版刷りの会誌「相対会研究報告書」に掲載すること。研究一筋の夫の協力者として弾圧と貧窮と闘ったミチヨは、ある意味で清三郎より過激な女性かもしれない。
design
デザインの世間体 038 パブリックな絶景 (写真・文:若生友見)
今回扱うテーマは、前回のテーマ「色褪せた印刷物」を探しているときにいくつか見つけた副産物のようなものです。 まだ名前はついていないと思われますが、全国的に存在し、多くの人が目にしたことがありながら、それでいてほとんど(まったく)気に止められないものです。
AFTER HOURS
編集後記 : 今週も最後までお付き合いありがとうございました! 来週がメルマガお休みなので、いつも以上のメガ盛りになってしまいましたが、気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。
BACKNUMBERS
バックナンバー
2025年04月09日 Vol.640

lifestyle
シブメグの人生小劇場 41 サボってた10月の日記 (写真・文:シブヤメグミ)
photography
妄想ホテル room:049 祭りはまだ終わらない (写真・文:フクサコアヤコ)
lifestyle
バンカラ女銘々伝 第25回 有楽町のパンパンガール 西田時子 (文:平山亜佐子)
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!