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春の書評特集

身軽になりたい、モノに埋もれたくないと思っても、いつのまにか溜まってしまう本や雑誌。なかなか新聞や雑誌では紹介されない、でもみんなに知ってほしい新刊を、これから「書評特集」として、年に何度かまとめてレビューしたいと思います。だいたい500字とか1000字とかしかくれない新聞や雑誌の新刊紹介で、気に入った本のちゃんとした紹介なんてできるわけないし! というわけで、今回は4冊の写真集を選んでみました。

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失われたドイツを探して

もう十数年前に、たぶん彼女が東北大学に留学して日本美術史を学んでいたころだったと思うが、ミヒャエラ・フィーザーというドイツ人が訪ねてきたことがあった。珍日本ネタで話が盛り上がり、彼女からはドイツのロードサイド・スポットをいろいろ教えてもらい仲良くなって、そのうち彼女は九州のお寺で1年間を過ごすことになり、帰国してからその体験を『ブッダとお茶を——日本の寺院で過ごした1年』という本にまとめて、それはドイツでベストセラーになった。この春、ベルリンで久しぶりにミヒャエラと会ったら、「最近こういう本を出したの」と、立派なハードカバーの写真集を渡された。『ALTES HANDWERK』——英語だと「OLD HANDCRAFT」ということになる、これは失われた手仕事、仕事場、職業の姿を捉えた写真集なのだ。

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オブジェクト・レッスンズ:科学の墓場から

指名手配の容疑者を探すのに使われるモンタージュ。街頭でよく見かけるあれには写真と似顔絵があるが、実は写真よりも似顔絵のほうが容疑者を見つけやすい、と聞いたことがある。生物図鑑の図版も、いまだに絵のほうが写真より使いやすかったりする。創作活動ではなく、完全に実用的な絵画。それはある意味で視覚的な取捨選択をあらかじめ行うことで、見るものの意識をいくつかの特徴にフォーカスさせる効能があるのだろう。写真のようにすべての部分を等価に写すのではなく、「この部分を注視すべき」と画家が選ぶことによって。『珍世界紀行』などで、これまでヨーロッパの医学標本を何度か紹介してきた。ずっと以前にアートランダム・クラシックスというシリーズで、人体解剖図の画家として有名なジャック=ファビアン・ゴーティエ・ダゴティの画集を編集したこともある。見てくれたひとはどれくらいいるだろうか。

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夜のアートブックス

きょうは日曜日、グッチ山口さんは、いつものスクーター「グッチモービル」を駆って、いつものように展覧会巡りをしているだろうか。2012年7月11日号で紹介した、毎年1000本以上の展覧会を訪れる「日本でいちばん展覧会を見る男」――山口‘Gucci'佳宏と、音楽業界では最大手印刷所である金羊社が手を組んで、今年初めにスタートさせたZINE形式のアーティストブック・プロジェクトが「ミッドナイト・ライブラリー」だ。2014年から銀座ヴァニラ画廊で個展を続けている波磨茜也香(はま・あやか)を1月に出したのを手始めに、吉岡里奈、写真家のオカダキサラ、長谷川雅子、そして5月には冠木佐和子と、ロードサイダーズでもおなじみの作家たちが含まれたラインナップで、毎月25日に一冊ずつという驚異的なペースで刊行を始めている。

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ROADSIDE LIBRARY 誕生!

ようやくこれをお知らせできる日が来ました。ロードサイダーズ・ウィークリーでは独自の電子書籍シリーズ「ロードサイド・ライブラリー」を今月からスタート。その第一弾として、『秘宝館』をリリースします。特設サイトで今日から予約開始、来週にはお手元に配信できる予定です。『ROADSIDE LIBRARY』は週刊メールマガジン『ROADSIDERS' weekly』から生まれた新しいプロジェクトです。2012年から続いているメールマガジンの記事や、その編集を手がける都築響一の過去の著作など、「本になるべきなのに、だれもしようとしなかったもの」や、品切れのまま古書で不当に高い値段がついているものを中心に、電子書籍化を進めていきます。電子書籍といってもROADSIDE LIBRARYは、Kindle、kobo、iBooksなどの電子書籍用の専用デバイスや読書用アプリケーションに縛られない、PDF形式でのダウンロード提供になります。なのでパソコン、タブレット、スマートフォン、どんなデバイスでも特別なアプリを必要とせずに読んでいただけます。コピープロテクトもかけないので、お手持ちのデバイス間で自由にコピーしていただくことも可能です。

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.5 ポルノ・ムービーの映像美学――長澤均の欲望博物学

ピンク映画やAVに関する本はいくらでもあるし、本メルマガでも大須蔵人さんに「はぐれAV劇場」を連載してもらっている。でも、まさかこんな本が出るとは思わなかった。『ポルノ・ムービーの映像美学』は、19世紀末の映画草創期から現代まで、約100年間にわたるエロティック映画の歴史を総写真点数534点、38万字を超えるテキストによってひもとく、432ページの超大作だ。これで定価3000円(+税)というのは、どう考えても安すぎる。

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『アメリカは歌う。 ― 歌に秘められたアメリカの謎』 東理夫・著

アメリカ人が車を運転するとき、4人にひとりはカントリー・ミュージックを聴いているという。数年前に『ROADSIDE USA』のためにアメリカの片田舎をさまよっていたとき、ものすごくヘヴィローテーションで、何度も聞くうちに歌詞もすっかりわかってしまった曲があった。

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紙の束になったモンシェリ ――ドクメンタの大竹伸朗と、エディション・ノルトの仕事

『モンシェリ』の全貌を伝える記録集が、新潟県浦佐のedition.nord(エディション・ノルト)から刊行された。ただし、全部で5段階になるという出版プロジェクトのうち、今回リリースされたのは第1弾から第3弾まで。これから年末~来年にかけて、さらにふたつの刊行物が用意されるという。5種類の記録集。それがすべて東京の大出版社ではなく、新潟県の片隅で、夫婦ふたりで営むデザイン・スタジオ兼出版社から、完全に自費出版のかたちで制作販売される。しかも通常の印刷プロセスを省き、全ページをレーザー出力し、そのコピー紙の束をそのまま封筒に詰めたり、製本したという・・・。これも『モンシェリ』本体に負けず劣らずの、素敵に無謀なプロジェクトだろう。

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幻視者としての小松崎茂――ウルトラマン紙芝居ボックスによせて

かつてあまりに身近にあったために、紙芝居という優れたビジュアル・エンターテイメント・メディアが、実は日本の発明であることを僕らは忘れがちだ。絵解き物語や絵巻物の伝統が生んだものかは定かでないが、ひとつの物語を十数枚の絵で構成して、その1枚ずつの解説をいちばん後ろになる絵の裏側に記し、説明し終わった絵を順繰りに送っていくことで、「紙芝居のおじさん」が物語を絵と語りによって進めていけるという独創的なシステムは、1930年代に誕生して以来、日本人の感性に深く浸透してきた。

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昭和という故郷――本橋成一と小沢昭一の写真集

先月末から今月にかけて、昭和の空気を捉えた見事な写真集が2冊、重なるように刊行された。ひとつはこのメルマガでも今年6月19日号で紹介した『上野駅の幕間』の著者・本橋成一による『サーカスの時間』(河出書房新社)、もう一冊は昨年(2012年)12月に亡くなった小沢昭一の『昭和の肖像<町>』(筑摩書房)である。本橋さんの『サーカスの時間』は、『上野駅の幕間』に続く再刊プロジェクト。旧版は1980年に出ているから33年ぶりの再刊ということになるが、「旧版から写真を大幅に差し替え、増補再構成した決定版!」とのこと。大判で200ページを越える、ずっしり重量級の造本で、モノクロームの印刷も深みをたたえて美しい。さらに巻末には小沢昭一さんと、サーカス曲芸師のヘンリー・安松さんの対談も収められている。

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独居老人の教え

先月発売された『独居老人スタイル』、書店店頭でご覧になったかたもいらっしゃるだろうか。すでにいくつか紹介原稿も書いているが、本メルマガではまだきちんと取り上げていなかったので、いま紀伊國屋書店の広報誌『scripta』に掲載されているテキストに加筆、画像や動画を含めて、ここであらためて紹介させていただく。『独居老人スタイル』とは読んで字の如し、この数年間で出会った独居老人16人の生きざまを、350ページ近くにわたって語り尽くしたものだ。もともと筑摩書房のウェブマガジンで去年から今年にかけて連載していた記事に、さらに取材を加えてぎりぎり2013年が終わる前に間に合った。

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巻き寿司アートの陰日向

玉ちゃん(玉袋筋太郎)ではなく、たまちゃん。2013年2月13日配信号「ノリに巻かれた寿司宇宙」で紹介した「巻き寿司アーティスト」だ――。あれから1年、あいかわらずというか、たまちゃんの暴走は加速している気もするが(行きつけのバーが一緒なので、よく会うんです)、ついに彼女の暴走につきあおうという出版社が出現、このほど『Smiling Sushi Roll /スマイリング・スシ・ロール』として世に出ることになった(3月28日発売)。ノルウェー観光局のコンペ『世界一長い「叫び」プロジェクト』で、全世界からの応募のうち2位を受賞、オスロに招かれムンク美術館でも巻いてきたという、『叫び』が表紙になっているこの一冊。

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捨てられしもの、捨てられしひと

すでに何度もNHKで番組が再放送されて、いまやその名もすっかり全国区になった広島市の「清掃員画家・ガタロ」。このメルマガでも2013年8月7日号で特集、大きな反響をいただいた。ほんの1年ちょっと前までは、団地の商店街を毎朝掃除しているだけの、だれにも見えない老人だったのが、あっというまにこれほどひとびとのこころを動かすことになるとは、当の本人がいちばん驚いていることだろう。(中略)ガタロさんには『素描集 清掃の具』という自費出版画集があり、これは長らく入手困難だったのが現在は再版されているが、6月末にNHK出版から『ガタロ 捨てられしものを描き続けて』と題した、初の本格的な画集がリリースされた。著者はガタロさんの「発見者」とも言える、当時NHK広島放送局勤務だったディレクターの中間英敏さん。僕も短い文章を巻頭に寄せさせてもらっている。

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フランス書院文庫の30年

駅のホームで新幹線を待ちながら、なにげなくキオスクの書棚を眺める。『未亡人兄嫁・三十四歳』『隣の独身美母』『服従教室 女教師姉妹と教育実習生』・・・きょうも健気にフランス書院文庫の、黒い背に黄色のタイトルが光ってる。「なぜ駅でエロ本が!」と憤るムキもあるようだが、キオスクに『東スポ』とフランス書院文庫がなくなったら、それはもう日本のキオスクじゃないと思うのは僕だけだろうか。Amazon Kindleストアでは『フランス書院文庫オールタイム・ベスト100』という電子書籍を、4月1日から無料で(!)配信開始している。「未来に残したい官能小説100作品」を精選、書影(カバー)、タイトル、著者などのデータとともに、中味の引用も数ページ添えられ、気になったらそこからワンクリックでKindleストアに飛べるようになっている。

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元祖ブロガーとしての植草甚一

「雑学」という言葉を最初に使ったのは、とまではいかなくても世に広めたのは植草甚一だったのではないか。『ぼくは散歩と雑学がすき』が晶文社から出たのが1970年。3年後にはのちに『宝島』となる『ワンダーランド』が出て、当時中学から高校生になる僕は当然ながら計り知れない影響を受けたのだったが、それから40数年が経ち、晶文社は自社で文芸書をつくることをほとんど放棄するにいたり、宝島はポーチをくるむ包装紙としてのファッション誌製造メーカーになってしまうとは、いったいだれが想像できたろう。そして「雑学」という単語は、それにあたる英語の単語がない。「トリビア」とよく書かれるが、トリビアは「瑣末な知識」、雑学には「系統立ってはいないが、それぞれは深い知識」というニュアンスがある。それで「雑学」が日本的な知へのアプローチなどという気はないが、きわめて「植草甚一的」ではある。「互いに関連性を持たないまま深化していく知の集積」という、アカデミックでもなければ在野の碩学とも言えない、ふわふわと一か所に落ち着かない大きな脳みそのありようが、植草甚一という存在だったのかもしれない、といまになって思う。

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ヨッちゃんの教え

たまに家にインタビューに来るひとが、そこらじゅうに置いてある絵とかを見て「すごいコレクションですね~」などと言われることがある。自分に収集癖はないので、「集めてるんじゃなくて、取材してるうちに集まっちゃっただけです」というと、「そうですか」となるが、眼は納得していない。いつもいろんな作品や人物を取り上げていて、「どうやってネタを選ぶんですか」と聞かれることもあるけれど、その基準は簡単。「自腹で買いたいかどうか」に尽きる。ふつう、雑誌で記事を作るときは、まず部内のゴーサインを得て、それから取材に行く。作品や商品の写真が必要なら、借りてきて撮影する。でも僕は多くの場合、まず買ってしまう。それが取材対象に「こいつは真剣なんだ」とわからせてくれるし、なによりも「自分で買ってもいいほど記事にしたい」のか、「タダで貸してくれるなら記事にしたい」のかを見抜く、自分自身へのテストになるからだ。

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穴があればハメてきた――「顔ハメ看板ハマり道」

旅はひとりに限る――とは思うが、ひとりで旅するのが哀しくなるときもある。顔ハメを撮りたくて、「シャッター押してください」と頼めるひとが通りかかるのを、じっと待っている時間だ。日本の、世界の片隅で、これまでどれほど、そんな情けない時間を過ごしてきたろうか・・・。「顔ハメ看板ニスト」の肩書を持つ塩谷朋之(しおや・ともゆき)さんは、おそらく日本でいちばん「顔ハメにハマった男」だ。これまでハマった穴が2千枚以上! 感動的でありつつ、だれもが絶賛はしないかもしれない、その成果の集大成が8月末に発売された『顔ハメ看板ハマり道』である(自由国民社刊)。

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追憶のほんやら洞

2015年1月21日号で、火事で焼失した京都「ほんやら洞」のことを書いた。店主の甲斐扶佐義(かい・ふさよし)はあれから、もう一軒の店である木屋町の八文字屋で毎晩がんばりながら、大きな怪我も乗り越えながら、積極的に新刊を発表していて、こう言うとナンだが火事の前よりアクティブなようでもある。火事からほどなくして去年は『ほんやら洞日乗』という分厚い記録集を出したが(657ページ!)、それから一年たった今月には『追憶のほんやら洞』と題された、こちらは在りし日のほんやら洞を愛した人々による追憶の記録集。そして今月19日からは新宿イレギュラーリズムアサイラムで、出版記念写真展も開催される。

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.2 「デスメタルインドネシア」――小笠原和生と悪魔の音楽パラダイス

最近発売された「マニア本」の著者にお話を伺い、その情熱のお裾分けをいただくシリーズ第2弾は、『デスメタルインドネシア』! 実は「世界第2位のブルータルデスメタル大国」であるらしいインドネシアのシーンを362ページにわたって、それもA5版のサイズに極小文字で情報を詰め込んだ、造りからしてブルータルな、もちろん日本で初めてのインドネシア・デスメタル紹介本である。発行元の「パブリブ」は、今年3月9日号で紹介した『共産テクノ』の版元であり、本メルマガ連載「絶滅サイト」の著者ハマザキカクさんの個人出版プロジェクト。これまで『デスメタルアフリカ』や、『童貞の世界史 セックスをした事がない偉人達』といった書籍を発売しているが、このあと8月上旬発売予定の新刊が『ヒップホップコリア 韓国語ラップ読本』・・・どこまでマニアックなラインナップなんだろう。

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.3 「ヤクザライフ」――上野友行のヤクザたらし交際術

ヤクザ系実話誌、というジャンルがあって、僕も嫌いではないのだが、いったいだれが読んでいるのだろうといつも思う。暴力団排除条例ができて、締め付けが厳しくなるいっぽうなのに、そういう雑誌はなくならない。書かれてる当のヤクザが主力読者というわけでもないだろうから、一般の人間が大組織の親分同士の杯外交とか、昔ながらの任侠道でシャブは御法度、みたいな話を読んで、どれだけおもしろがれるのか、よくわからない。それはある種の歴史ファンタジーか、RPGゲームを楽しむような感覚だろうか。そういう伝説というか、実話誌が描くフィクションに近いヤクザ世界とちがって、すぐそこにいるヤクザや地下格闘技や暴走族のことを、ずっと教えてくれている貴重な友人が上野友行くんだ。上野くんはフリー編集者として「週刊実話ザ・タブー」や「ナックルズ」など、さまざまな雑誌に記事を書くかたわら、これまで『デキるヤクザの人たらし交際術』『「隠れ不良」からわが身を守る生活防衛術』という、実際役に立つかどうかはともかく、タイトルからして楽しくてしょうがない本を出していて、さらに人気絶頂の漫画『闇金ウシジマくん』の「闇社会コンサルティング」も務めている。そのウシジマくんの作者・真鍋昌平が表紙画を担当した、装幀からして危険な匂いが漂う新刊が『ヤクザライフ』(双葉社刊)だ。

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.4 「ハプバー入門/探訪」編――元鞘と肉欲のジャムセッション

「元鞘」(もとさや)という妙なハンドルネームの女の子に出会ったのは、まだ3ヶ月ほど前のことだった。ある食事会で隣に座った彼女は、23歳という若さの巨乳美少女なのに、からだじゅうから隠しきれないセクシーなエネルギーを放っていて、漫画家だというので「どんなの描いてるんですか」と聞いたら、渡された一冊の同人誌が『元ハプニングバー店員による、独断と偏見のハプバー入門』・・・。雑誌のルポかなにかの仕事かと思ったら、「いえいえ、自分がハプバーを好きすぎて、一時は店員として働いてたくらいなので、ハプバーの良さを知ってもらいたくて作ったんです!」という。「それで、これは『入門編』なんですけど、もうすぐ実践的な『探訪編』も出します!」というので、初対面のその場でいきなり取材をお願いしてしまった。これまで本メルマガではさまざまな性にまつわる話題を紹介してきたけれど、ハプニングバーについての記事は今回が初めてかもしれない。

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ハロー・マイ・ビッグ・ビッグ・ハニー!

いまから10年以上前に、バンコクの書店で見つけた本があった。『ハロー・マイ・ビッグ・ビッグ・ハニー!』というその一冊は、バンコクの売春婦にハマった欧米人のラブレターを集めた楽しい奇書で、2006年に紀伊國屋書店の広報誌で書評を書いたあと、書評集『ROADSIDE BOOKS』にも収められたが、なにせ版元がラストギャスプというサンフランシスコのサブカル系出版社なこともあって、なかなか日本では手に取る機会もないかと思っていたら・・・なんと最近、Kindleの電子版が出ていることをTwitterで教えていただいた。

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あいかわらず無茶なTRASH-UP 11号!

「出版界は構造不況で・・」とか、高給もらいながら能書き垂れてる大手出版社のオヤジたちに、正座して読んでほしいのが『トラッシュアップ』。「日本で唯一のトラッシュ・カルチャー・マガジン」と銘打たれてますが、たぶん世界でいちばん豪華な(笑)トラッシュ・カルチャー・マガジンじゃないでしょうか。だってA4の大判で300ページ超のボリューム。ちゃんとカラーページもあって、おまけに広告は(たぶん)表3と表4(裏表紙)だけ! いったいどうやったらこんなの成立するんだろうという、ミステリアスすぎる雑誌であります。

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『東京右半分』ついに完成!

このメルマガの前に書いていた、ブログ時代からの読者諸君にはおなじみかもしれません、2009年9月から2011年10月まで丸2年間、全96話にわたって筑摩書房のウェブマガジンで続けてきた連載『東京右半分』が、やっと単行本になりました。すでにアマゾンなどでは予約が始まっていますし、書店にも23日ごろから並びます――。 (中略)2年間で歩き回った右半分を網羅して、撮った写真もぜんぶ見直して、できあがったのがこれ、576ページのハードカバー! はっきり言って重いです・・

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発禁本から世界が見える

先週は用事で大学を3つほど訪れた。最初に行った江古田の日大芸術学部は、門でいきなりガードマンに止められる。来訪者はすべて記名、訪問者カードを首から下げさせられた。そのあと慶応大学日吉キャンパスと、明治大学駿河台キャンパスに行ったら、こちらはまるで出入り自由。なんだか大学のランクとキャンパスの開放度って、相関関係にあるみたいだ。

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天沼のランボオ

イースタンユースが今年で結成25年を迎えるという。すごい、ほんとうに・・・。読者の方々にもイースタンのファンは多いと思うが、1988年に札幌で結成されてから吉野寿(ギター、ボイス)、二宮友和(ベース)、田森篤哉(ドラムス)のスリーピース、最小編成にいささかのブレもないまま、ここまで走ってきたそのエネルギーと持続力には、ただ頭がさがるのみ。(中略)そのイースタンユースでギターとボイス(ボーカルでなく、こう表記する)を担当する吉野寿が、この1月に発表した『天沼メガネ節』は、もうお読みになっただろうか。

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残像・命ギリギリ芸――小沢昭一写真集『昭和の肖像<芸>』

去年12月4日配信号『昭和という故郷』で紹介した、小沢昭一の写真集『昭和の肖像<町>』に続く待望の続編『昭和の肖像<芸>』が先週あたりから書店に並んでいる。近代日本大衆文化、またフィールドレコーディングに関心のある者にとっても最重要な記録音源『日本の放浪芸』(復刻版CDボックス4セット、全22枚!)でもわかるように、失われ滅びゆく芸能を訪ね歩き、記録する作業は、小沢昭一にとって単なる趣味でもなければ、学問的な興味でもなかったろう。

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呉ジンカンと『キッチュ』の挑戦

呉塵罡(ゴ・ジンカン)と最初に会ったのはいつだったろう。たぶんどこかのトーク会場で声をかけられたのだったが、カジュアルな服装の参加者ばかりの会場で、ひとりだけ古風なオーバーにハット姿の長身がちょっと目立っていた。完璧な日本語を話す台湾人で、自費出版の漫画雑誌を作っていると紹介され、ふ~んと思いながら手渡された『キッチュ』というその雑誌は、「自費出版漫画」というイメージをはるかに超えた、まるで一般の商業漫画誌そのものの体裁で、こんなのをひとりで作ってるのかと、その内容よりもまずボリューム感に驚かされたのだった。

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ROADSIDE BOOKS――書評2006-2014

ちょうど今週から書店に『ROADSIDEBOOKS』が並ぶ。昨年末の『独居老人スタイル』に続く、2014年最初の新刊である。「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。装丁を見てピンとくる方もいらっしゃるだろうが、今年3月5日配信号で紹介した浜松のBOOKS&PRINTSで、独自の手描きショッピングバッグをつくっている若木欣也さんの作品を、カバーに使わせてもらっている。

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『圏外編集者』発売!

このメールマガジンも年が明ければ5年目。書いた記事もすでに600以上。始めたころは、どんどん記事を作っているうちに「これ、本にまとめましょう」と言ってくれる出版社がいくつも出てくると期待していたのが・・・なんと、いまだにオファー、ゼロ! 憮然とせざるを得ない状況のなかで、去年の『ROADSIDE BOOKS 書評2006-2014』に続く新刊が、今年も終わりそうないま、ようやくできました。『圏外編集者』――文字どおり業界の圏外、電波マークが1本も立ってない場所で編集稼業を続けている自分を、立ち止まって振り返ってみた本です。発売は12月5日予定。今週末までには書店に並ぶはずです。書きおろし、じゃなくて「語りおろし」。これまでこういう内容の本も、こういう作り方の本も、あえてやらないようにしてきたのですが・・・

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.1 「我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか」――廣田恵介とセンチメンタル・プラモ・ロマンス

たくさんの本が僕の前を通り過ぎていく。全部読むことはとてもできない。川の流れに掌を入れるように、そのほんの少しを掬い取ることしか。このところ気になる本のなかに、度を越して(もちろん、いい意味で)マニアックなテーマの本が目立つようになってきた。度を越してない、当たり障りない本がもう、目に入らなくなってしまっただけかもしれない。なので今週から数回、最近発売された「マニア本」の著者にお話を伺い、その情熱のお裾分けをいただくことにした。その第1回は廣田恵介さんの『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』をご紹介する。美少女フィギュアならまだしも、「美少女プラモ」というようなジャンルが、この世に存在することすら知らないひとが、僕を含めて大多数ではないだろうか。その美少女プラモの「下半身にパンツが彫りこまれた瞬間」――美少女プラモを知らぬ人間にとっては、あまりにどうでもいい「事態」が、ひとりのプラモ好き少年にどれほど決定的な影響を与えたのか。これは単なるプラモデルオタ、アニメオタのコレクションブックのかたちをとった、実はきわめて今日的なビルトゥングスロマン=成長物語なのだった。

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短期集中連載:マニア本の著者に聞く 特別編 「ちろりん村顛末記」――広岡敬一と、はぐれものたちの国(文:大須蔵人)

先月からスタートした短期集中連載。今週は5月にちくま文庫から発売されたばかりの『ちろりん村顛末記』を取り上げる。しかし残念ながら、僕がもっとも尊敬する風俗ジャーナリストである著者・広岡敬一さんは、2014年に他界されてしまっている。そこで今回は、本メルマガの連載『はぐれAV劇場』でおなじみの大須蔵人さんに、じっくり書評していただくことになった。約7500字・・・ほんとは書評って、これくらいないと「評」にならないんだよなあ、と納得の力作。お読みいただいたあとは、すぐに書店に走るか、ネットでポチりたくなるはず!

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ROADSIDE LIBRARY 002『LOVE HOTEL』、ついにリリース!

先日からお伝えしてきた電子書籍シリーズ「ロードサイド・ライブラリー」の第2弾『LOVE HOTEL』が、ついに完成! ダウンロード版の配信を開始しました。USB版も1週間以内に準備完了、すでにサイトからご予約いただけます。新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。

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Kindle版写真集『CALCUTTA』に寄せて

「カルカッタの朝は静かに明ける。フグリー川に立ちこめる靄が、ハウラー橋をモノクローム写真のように見せていた。古ぼけた植民地時代の建物が、この街の辿ってきた歴史をあらわしている。」 英語で書かれた序文の出だしを適当に訳させていただいたのは、芦沢武仁のKindle版写真集『CALCUTTA』。9月18日にリリースされたばかりの新刊だ。芦沢武仁(あしざわ・たけひと)の写真はこのメルマガでも2014年末から15年初めに、3回に分けて紹介した。『CALCUTTA』は芦沢さんにとって初めての写真集になる――。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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