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2012年12月26日 vol. 048

music

8トラックのエロ 後編

『ヒゲの未亡人』なる不思議なユニットを岸野雄一さんと展開するミュージシャン、ゲイリー芦屋さんが甦らせた8トラック・エロテープの奥ヒダ世界を、先週はご紹介した。すでに100本以上のテープを収集してきたゲイリーさんの手元には、手づくりCD-R『肉の悶え』には収録されていないものの、そのジャケット(というかボックス)・デザインだけで溜息連発の、珠玉のコレクションが秘蔵されている。Macもアドービもなかった手描き時代の、無名のデザイン美学を今回はいきなり、たっぷりお見せしよう。ゲイリーさんのご厚意によって先週号にアップしたCD-Rの冒頭部分を、もういちど載せておくので、なるべく大きな音量でプレイしながらの鑑賞をおすすめする!

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art

新宿にゾンビ来襲! @新宿秘宝館

すでに告知しているとおり、先週土曜日からギャラリー新宿座において、『新宿秘宝館』が開催されています。土曜日の初日には、あいにくの雨模様にもかかわらず、100人以上のお客さまが来てくれました。どうもありがとう! 新宿秘宝館:みんな嘘っぱちばかりの世界だった 甲州行きの終列車が頭の上を走ってゆく 百貨店の屋上のように寥々とした全生活を振り捨てて 私は木賃宿の蒲団に静脈を延ばしている――かつて旭町と呼ばれた新宿4丁目の木賃宿で、林芙美子は放浪記にこう書いた。JRとタカシマヤの澄まし顔に、道の向かいから思いきり毒づいているような、すえた昭和の匂いがいまだ漂う一角。そんな場所で、昭和の秘宝をいま開陳できる幸せを思う。

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art

未来の油彩画展――あるホームレス画家の心象風景

年末もおしつまった今月28日から31日のカウントダウンまで、たった3日間だけ開かれる、小さな展覧会をお知らせする(30日は休廊)。展覧会の主は横浜で『ビッグ・イッシュー』を売って生計を立てている路上生活者、ピエトロ-L-キクタ画伯である。キクタさんのことを教えてくれたのは、日本近代美術思想史を専門にする研究者の宮田徹也さんだった。横浜のなかでもっとも昭和の匂いを残し、暗闇の似合う街でもある野毛の名物酒場・旧バラ荘で、宮田さんはピエトロ-L-キクタ展を2011年に企画。今回の展覧会はキクタ画伯にとって2度目の、ホームグラウンド横浜での展示となる。

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食の無限天国「聚楽ホテル」で煩悩全開!

夕食はバイキングでお腹いっぱい。ひと風呂浴びて、小腹が空いたら餅つき大会のお餅をパクリ。カラオケ絶唱の後は締めの生ビールとラーメンをペロリ。巨大観光温泉ホテルで煩悩を解き放つ! 旅館の廊下を芸者衆が忙しげに行き交い、浴衣姿に下駄をカランコロンさせて外に出れば、いい匂いの女の人たちが袖を引き・・・飯坂温泉はかつて、東北屈指のオヤジ天国だった。東北新幹線が開通して、東京駅から2時間弱、ものすごく便利になった現在はといえば・・・はっきり言って、かなり寂れた温泉街であります。

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2012年12月19日 vol. 047

music

8トラックのエロ 前編

民放FMでなにがきらいかって、いまだにはびこるバイリンガル臭いアナウンサー(と言えばいいのに、ナビゲイターとか自称したり)。でも、もっときらいなのが、あのラジオドラマ仕立てのコマーシャルだ。長くて、気取ってて、くだらなくて、中途半端で、構成作家のしたり顔がうかんできて思わず運転中に暴れたくなるような。いま、『肉の悶え』という世にも不思議なCDを聴きながら、僕はラジオドラマの黄金時代のことを思い出す。映像のともなわない、音声だけのドラマ。声とBGMがつむぎだす、ゆたかな世界のことを。そういえばかつて聞き書きに通った稀代の性豪「安田老人」も、「(性行為を記録した)ビデオより、カセットテープのほうがずっと刺激的です」と言い切っていたっけ。

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travel

圏外の街角から:大洲

かつて松山から宇和島方面に南下するには、宇和島街道と呼ばれる国道56号線を使うのが一般的だった。松山市街を抜け、のどかな田園地帯と山並みを抜けて、伊予吉田あたりのトンネルを抜けると突然、宇和海が目の前に広がる。その景色がすごく好きだった。そして街道沿いに現れ消える内子、大洲といった古い街にクルマを停め、歩き回る時間も。高速道路の松山自動車道が宇和島まで延びてから、すべてが変わってしまった。運転時間は短縮されたけれど、宇和島まで海はひとつも見えないし、わざわざ高速を途中で降りて、街を散策しようというひとだって、ずいぶん減ったにちがいない。高速道路も新幹線も、いざ誘致してみたら街は寂れるばかり・・というのが、いま日本中で起きている「取り返しのつかない勘違い」だ。

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スナックショット 12 長野1

メリークリスマス! どうも平田です。今回のスナックショットは長野県ですが、ひとえに長野県といっても東西南北に広く、幾つもの山々に阻まれて地域ごとに文化も異なるのでまず今回は東信地方、ほかの地域は次回以降にご紹介する予定です。長野県東部、東信地方の中核となるのは上田市で、ここから盆地を西に10キロ向かったところに信州の鎌倉と称される古刹安楽寺と別所温泉があり、上田電鉄のローカル電車が結んでいる。沿線にある青木という集落が東急グループの創始者である五島慶太の出身地で、この上田電鉄も東急グループ傘下にある。

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旅館は君なんか泊めたくないのだ――日本温泉旅館七不思議

温泉旅館、と一語にされても困る。「温泉」と「旅館」。この二者はまったく別物である。少なくとも僕にとっては。何年間も職業として日本全国を旅してきた立場から言わせてもらえば、温泉とはまことによいものだが、旅館とはしばしば嫌悪すべきものにほかならない。なぜかといえば、1 予約なしのひとり旅では、まず泊めてもらえない。2 メシがまずい。あるいはよけいな皿が多すぎたり、時間が早すぎる。3 高すぎる。旅なんてのは、本来ひとりで、予定など決めずに行くものだろう。気に入ったところがあればそこに泊まり、なければ車や電車で先へ行く。旅館とはその晩、からだとこころを休める場であるはずだ。「名旅館に泊まる楽しみ」みたいのもあるだろうが、それは例外的な趣味であって、旅館そのものが目的になってしまうのは、ちょっと本末転倒な気がする。

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2012年12月12日 vol.046

travel

石巻のグレイトフルデッド

3.11をめぐる報道で、もっとも頻繁に取り上げられた土地のひとつが宮城県石巻だろう。石巻を「いしまき」と読んでしまうひとも、これでいなくなったにちがいない。石巻湾に面し、旧北上川の河口に沿って広がる石巻市が、地震と津波で壊滅的な被害を受けたのはご承知のとおり。宮城県復興庁のデータによれば死者3486人、行方不明者462人、住宅・建物の全半壊は3万3378戸。ひとつの市で、3000人以上が命を落とし、3万もの建物が壊れてしまったことになる・・すぐ北隣に位置する女川原発が無事だったのが、信じられないくらいだ。そして震災から1年9ヶ月がたった現在、石巻がどうなったかといえば、いまだに被害の惨状は生々しいまま。道路や空き地のガレキはさすがに片付けられたけれど、それは集積所に集められただけのことだ。街を歩けばあいかわらず崩れたまま、空き地のままの地所が目立つ。

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music

ウィークエンド・ハードコア

11月7日配信の041号で告知した、新雑誌『実話レイジ』でスタートした連載『Weekend Hardcore ― 週末ハードコア』。仕事を持ちながらハードコア・バンドを続けている「永遠のロック少年少女」たちを訪ね歩く企画でしたが・・・なんと『レイジ』が1号で休刊決定! 昔は「三号雑誌」という、その名のとおり3冊で消えてしまう雑誌のことを揶揄する言葉でしたが、最近はたった1冊で休刊なんですねえ・・・世知辛すぎ。僕が創刊まもないPOPEYE編集部で働き出したころ、編集長から聞いたのは、「いまは売れなくてもいいから、思いっきりやればいいんだ、社長も『1年は待つから』と言ってくれてる」と、僕ら若手編集者を思い思いの方向に突っ走らせてくれたものでした。

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畸人研究学会報告 02 大飢饉という極限状態と表現(海老名ベテルギウス則雄)

東北旅行の楽しみの一つがグルメであることはいうまでもない。今回私は野辺地の自転車オブジェ以外に八戸、そして盛岡を廻ったが、どのガイドブックを見ても八戸、盛岡ともにグルメ情報満載である。まず今年2012年のB-1グランプリを獲得したのは八戸せんべい汁だし、また八戸は日本有数の漁港であり、有名な朝市を始め美味しい魚介類が食べられる店が目白押しである。一方盛岡もわんこそば、盛岡冷麺、じゃじゃ麺などの麺類や前沢牛など、やはり美味しそうなお店情報いっぱいだ!だいたい東北は米どころであり酒どころでもある。観光ガイドブックの誘惑に素直に従った旅行をすれば体重が数キロ増えて帰宅すること請け合いである。

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たまたま少数派vsぬるま湯少数派

僕はしがない編集者だ。現代美術やデザインの本を作っているが、どれも初版2000部、3000部という侘びしいスケールで、印税生活など夢のまた夢。渡辺淳一のような高額納税者になる確率など、一生ゼロのままだろう。そういう事実からすれば、僕はたしかに「少数派」ということになる。でも、正直に言ってしまうと、少数派なんてキライだ。っていうか、別に好きで少数派やってるわけじゃない。メジャーになりたいけど、残念ながら本がそこまで売れない、ただそれだけのことだ。

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2012年12月05日 vol. 045

design

捨てる神と拾う神――森田一朗すてかんコレクション

捨てられてしまうもの、忘れられてしまうものを集め、記録するようになってずいぶんたつが、その道の大先輩であるひとりが森田一朗さんだ。森田さんはフリー・カメラマンとして自分の写真を撮るとともに、昔の写真や絵葉書など、明治から昭和にかけてのヴィジュアル・ヒストリーの収集でも知られている。ずいぶん前に(調べてみたら1998年だった)、筑摩書房の『明治フラッシュバック』というシリーズで『サーカス』『ホテル』『遊郭』『働く人びと』という4冊の貴重な資料集を出していて(いずれも絶版)、そのテーマの選び方からも森田さんの、街とひとを見つめる目線が伝わってくる。

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ソウル日日:신로 오타케(大竹伸朗展)ソウル・ダイアリー2

約3週間のソウル滞在から戻った。今回は作品設置に加えネオン管による現地制作があり通常よりチト長めの滞在になった。二十歳から今年までに制作した作品百数十点を広いフロア2つを使っての展示になりました。 今回の展覧会は現地制作のネオン管新作を含め「路上」が軸となるテーマで組み立てました。路上に物質として落ちているモノによるコラージュ的作品と、路上に非物質として捨てられた音や光、また捨てられた気配をモチーフに描いた「ジャパノラマ・シリーズ」という自分の中で対極に位置する作品をあえて2フロアに分けて展示してみた。 年末から正月明け、航空運賃の安くなる極寒のソウルに是非とも足を運んでみて下さい。

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travel

タコス食ってゴスになろう!

先々週のメルマガではメキシコシティのゾンビ・ウォークを紹介した。今週はゾンビと並んでメキシコシティのヤングに人気(?)の「メキシカン・ゴス・ストリート」をご案内しよう。太陽サンサンのメキシコと、黒革にモヒカンに化粧のゴスはあまり相性いいように思えないが、こちらメキシコシティのダウンタウンの一角、「エル・チョポ」(El Chopo)と呼びならわされるエリアは、毎週土曜日になるとゴス&ヘヴィメタル関連のフリーマーケットが立ち並び、「メタルの竹下通り」的な様相を呈する。

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連載:スナックショット 11 新潟(平田順一)

どうも下町のナポレオン、平田です。北海道から東北を経て関東地方の連載を続けましたが、今回は紅葉前線に逆行して新潟篇です。ひとむかし前は「チャッラーン! 越後生まれのこんぺーでえーす!」とNTV系「笑点」の挨拶で怪気炎を上げる林家こん平師匠、そのまえはコンピューター付ブルドーザー田中角栄氏の姿が良くも悪くも越後を印象付けるものとして記憶に残ってますが、こっちは坂口安吾のように、酒場の壁やネオンサインに美を求めて歩き回りました!

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失われたドキュメンタリー

気持ちよくなる音楽はたくさんあるけれど、深く考え込ませてくれる音にはなかなか出会わない。最近復刻された『ドキュメント日本の放浪芸』という、全4箱CD22枚組の「音のドキュメンタリー」が、いま目の前にある。もともと1970年から77年にかけてLPレコード・シリーズとして発売されたもので、俳優の小沢昭一氏が訪ね歩いた日本各地の大道・門付けの諸芸能を記録した貴重な録音である。当時中学から高校生活を送っていた僕は、高価なLPセットに手が出ず、万引きするにも箱が大きすぎて、悔しい思いをしていた。いま30年近くたって復刻される奇跡に、驚喜一括購入したことは言うまでもない。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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