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2013年03月27日 vol. 060

music

石巻のラスタファライ――ちだ原人半生記

石巻ミュージック・シーンの立役者というか、ムードメイカーというか、伝説的存在というか、とにかく石巻の象徴のような存在、それがレゲエ・シンガーである「ちだ原人」だ。そして彼もまた、3.11ですべてを失った被災者のひとりである。これからお送りするのは、この稀有なアーティストの、おそらく初めての包括的なライフ・ヒストリーだ。ものすごくメガ盛りなドレッドヘア、ものすごく日焼けした顔と、うるんだような優しい瞳、夏は半裸体、厳冬期でも足元は素足にゴムゾーリという、いちど見たら忘れられないインパクトを放つ「ちだ原人」は、1958(昭和33)年に石巻市で生まれた。いまも残る生家は日和山(ひよりやま)という小高い丘の麓にあって、周囲を役所の出張所や公民館、学校などに囲まれた、中心部ながら静かな文教地区である。

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movie

石巻のパラダイス・ガラージ――パールシネマ潜入記

ちだ原人のインタビューにも協力いただいた石巻のデッドヘッズカフェ『ROOTS』を紹介した去年12月12日配信号で、ちらっとお見せしたのが石巻商店街にある宮城県内唯一の成人映画館『日活パールシネマ』だった――。もともとは石巻で酒蔵を始めた、現在のオーナー清野太兵衛さんの先代が、大正15年に石巻歌舞伎座といいう芝居小屋を建立。芝居の合間に日活の活動写真を上映するようになり、昭和26年に現在の劇場を建て、しばらくダンスホールとして営業したのち、昭和30年から映画館としての営業を始めたという。

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archive

今夜も来夢来人で ~宮城県岩手山編

2年ほど前に『アサヒカメラ』で連載していた、全国各地の「来夢来人」という名前のスナックをめぐるという・・・趣味全開の連載。案の定、全国47都道府県を制覇する前に連載終了になってしまいましたが・・・涙。今回はちょうどいいので、宮城県岩手山のスナック来夢来人をご紹介します。岩手山は、仙台と石巻とちょうど正三角形の角になる山側の小さな町。駅の周囲は寒々としてるけど、店の中は貫禄ママさんと可愛いホステスさんと、いっぱいの常連さんで、とびきり暖かい居心地でした!

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2013年03月20日 vol. 059

art

祈りの言葉が絵になるとき

メールマガジンで楽しいのは、小さな記事がときには思わぬ発見に結びついて、それをすぐにまた掲載できるところだ。担当編集者との打ち合わせとか、会議とか、そういうのをぜんぶすっ飛ばして。今年の2月6日号で、小さな展覧会の告知記事を掲載した。『アートリンク:奈良県障害者芸術祭』というそれは、障害者とアーティストが手を組んで作品をつくる、ユニークな試みだった。その参加作家である黒瀬正剛さんからある日、薄いパンフレットが届いた。黒瀬さんが企画を手伝った、地元のアマチュア・アーティストの展覧会カタログだそうで、表紙には穏やかな表情の仏画と、「伊東龍宗 Tatsumune Ito」という作家名だけが記されている。

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interview

水もしたたるイイ女

その円奴から久しぶりに電話がかかってきたのだけど、なんだか声が震えてる。どうしたの?って聞くと、「うちが水害にあっちゃって!」と、しんみり。え、そこ新大久保でしょ? 円奴の部屋はアパートの1階なのだが、数日前に大家さんが住む2階から水漏れ・・・なんてレベルじゃなく、天井から雨のように水が・・・という大事件が発生。めちゃくちゃになった部屋を少しずつ片付けながら、いまは近くのウィークリーマンションで避難生活なのだという。笑っちゃいけないけど、よりによってこんなにあふれんばかりのブツが詰め込まれた部屋にかぎって、こんな被害に遭うなんて。隣の部屋はぜんぜん無事だったというし。「悔しいから、写真撮りに来て!」と言われて、喜んで駆けつけました。

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travel

連載:スナックショット 18 愛知、三重、岐阜(平田順一)

いらんモノはコメ兵へ売ろう!どうも平田です。1993年公開の「ミスター・ベースボール」は野球に大して興味のない自分にも面白い映画で、何度かテレビ放映もされました。トム・セレックが演じる元メジャーリーガーの助っ人外人が、カルチャーギャップに悩みながらもチームメイトや監督から友情と信頼を得るという痛快なスポーツコメディであり、ユニバーサルピクチャーズ配給の洋画なのに舞台となるのは名古屋、つまり中日ドラゴンズの助っ人選手です。言葉も風習もわからない島国に連れてこられて、名古屋というローカルな環境で戸惑いつつも、東京の人気球団に対抗心を燃やすというひねった設定にリアリティーがありました。今回のスナックショットはその名古屋にも対抗心を燃やしているかもしれない、愛知・岐阜・三重の周縁部からお送りします。

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art

『つくることが生きること』の空虚

先週のメルマガで特集したワタノハスマイルの新作が展示されている、神田3331の東日本大震災復興支援『つくることが生きること』東京展に行ってきた。もともと錬成中学校という千代田区の公立中学校だった建物の、1階展示室の主なエリアを使った広い展示空間に、大震災で肉親を失った畠山直哉さんや、建築写真で知られる宮本隆司さんをはじめとする多数のアーティスト、研究者が参加した合同展である『つくることが生きること』。大きな期待を持って会場に足を踏み入れ、最初に感じたのは――静かすぎ! という抑えきれない苛立ちだった。

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2013年03月13日 vol. 058

art

ワタノハスマイルふたたび

去年の3月21日に配信した『ワタノハスマイル』を、覚えていらっしゃるだろうか。まだ読んでいないかたは、ぜひサイトのバックナンバー・ページからご一読いただきたい。3月11日の東日本大震災で壊滅的な打撃を受け、避難所となった宮城県石巻市の渡波小学校で、子どもたちが瓦礫から拾い上げたゴミでつくりあげた、それは魔法のようなアートが誕生した瞬間だった。「ワタノハスマイル」のオーガナイザーとなった、山形県出身の絵本作家・犬飼ともさんは、思いがけず全国からイタリアまでを回ることになった展覧会に際して、こんなふうに書いていた――。

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movie

負け組音楽映画の真実――『シュガーマン』と『ジンギス・ブルース』

今週末からいよいよ『シュガーマン』の上映が始まる。正式タイトルは『シュガーマン 奇跡に愛された男』だが、『サーチング・フォア・シュガーマン』という原題のほうがずっといいなあ・・・などと思っていたら、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門を受賞してしまった。今年は作品賞も実話をもとにした『アルゴ』だったし、「なんとか2」とか「3」とかばかりに巨費を投じるハリウッドの制作スタイルが、すでに限界に達していることを示しているのかもしれない。もうテレビでも新聞雑誌でもずいぶん紹介しているので、いまさらここで書く必要もないと思うが、『シュガーマン』はロドリゲスという実在のミュージシャンをめぐる、数奇としか言いようのないドラマを映像化した作品だ。

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travel

畸人研究学会報告 04 夢の王国の荒々しさと優しさ、そして郷愁 (海老名ベテルギウス則雄)

兵庫県の三田市で醤油鯛の取材を終えた後、私は次にどこへ行ってみようかと考えてしまった。お恥ずかしながら今回の取材で訪れるまで、三田市はただ漠然と大阪とか神戸の近くだと思っていて、どのあたりにあるのかをきちんと把握していなかった。しかし実際に行ってみると宝塚の先で、結構大阪や神戸から距離がある。取材後は大阪か神戸あたりに行ってみようと考えていた私に迷いが生まれた。そこで近くに面白そうな場所が無いか、醤油鯛の取材をした後の沢田さんに聞いてみることにした。「そうですね、確かに三田って結構兵庫の奥なんですよね。ここまで来たら大阪や神戸に行くのも良いですが、反対側の日本海側に向かうのも面白いと思いますよ。近くには丹波篠山なんかもありますし」。

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2013年03月06日 vol. 057

art

シャム双生児の夢

ヒトの頭をした犬がいる。水頭症の子供がいる。シャム双生児がいる・・・鵜飼容子の描く画面、立体の造形は、現代美術画廊のホワイトキューブ空間に、どこかの時代からいきなりワープしてきた見世物小屋のようだ。場末の奇形博物館のようだ。そしてそれらは確かに不気味だけれど、同時にどこか神々しくもある。かつてさまざまな文明で、奇形や不具の人間が「神に愛でられた存在」であったように。鵜飼容子は1966(昭和41)年生まれ、46歳の画家だ。生まれ育った鎌倉の地で、週の半分は通いの仕事で生活を支えながら、静かに絵を描いて暮らしている。

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photography

海辺にて――デレク・ジャーマンへの旅

来週月曜(11日)まで、そのタカシマヤ美術画廊で開催されているのが『高橋恭司 “ブルーブルー” ―デレク・ジャーマンの庭―』という写真展だ。亡くなったのが1994年だから、もうすぐ没後20年になるデレク・ジャーマン。「映画監督・舞台デザイナー・作家・園芸家」などとウィキには書かれているが、みなさんにとってデレク・ジャーマンとは、どんな存在だったのだろう。最初から最後まで画面が青一色だった、あまりに異色な遺作『ブルー』を思い出すひともいるだろうし、かつて日本でも彼の庭園を紹介する本の翻訳版が出たことから、おしゃれな園芸家として知っているひともいるだろう。

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travel

連載:スナックショット 17 静岡(平田順一)

旅ぃゆけぇばー、駿河のぉ国にぃ、茶のぉ香り、どうも平田です。今回のスナックショットは浜松市・静岡市と政令指定都市が2つありながら新幹線のぞみの停まらない静岡県の、新幹線の駅もない街を中心に各駅停車でお送りします。関東と関西の中間に位置して海と山に恵まれ気候も温暖、商工業ともにバランスが良く新商品のテスト販売地域として知られる静岡県ですが、少し前まではコンビニの新規出店が厳しく住民騒動になったりしました。自分の関心でいえば静岡県のパチンコ店の条例で投機性の高い一発台が禁じられており、古い一般台が多く残るパチンコ店の佇まいが印象に残っています。

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archive

今和次郎のこと、広島のこと

ちょっと前の告知コーナーでお伝えしたように、いま広島市現代美術館では『路上と観察をめぐる表現史――考現学以後』というグループ展が開催中です。「考現学」という言葉は今和次郎が吉田謙吉らと1920年代なかばに提唱、研究を始めたジャンル。今回の展覧会は今和次郎の考現学から、戦後の赤瀬川原平や藤森照信らによる「路上観察学会」など、ふつうのひとびとの暮らしを見つめてきたアーティストや研究者たちの、観察記録を集めたユニークなグループ展です。そのなかに僕の「珍日本紀行」や大竹伸朗の作品群も含まれているのですが・・・。2月16日に美術館で開催された公開対談でもお話したように、大竹くんや僕が見てきた「路上」と、学問(あるいは学問ふう)の視線で観察されてきた「路上」にはずいぶん隔たりがあります。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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