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2015年10月28日 Vol.185

art

単眼少女たちのいるところ

この夏のもっとも暑かったころ、ろくに冷房の効かない幕張メッセのワンフェス会場に充満する甘酸っぱいオタク臭に意識を失いかけながら、まるで知らないアニメのフィギュアが何百と並ぶ展示に辟易としはじめたころ、ひとつのブース前で動けなくなった。だれもいないテーブルの上に、美少女の被り物が置いてあるのだが、それは巨大な一つ目の美少女なのだ。そこだけひんやりとした空気が流れるようでもある、一つ目小僧ならぬ一つ目小娘に見とれていると、ブースの主の仲間らしき男子が、「いまいないんですけど、こんなのもあります」と薄手の写真集を見せてくれた。『chimode』というタイトルのそれを購入して帰ったものの、表紙からしてあまりのインパクトに「だれがこんなのつくってるんだろう!」と会ってみたい気が抑えられなくなって、連絡をとってみた。作者の小沢団子(おざわ・だんご)さんは、被り物の一つ目がそのまま二つ目になったような、可愛らしい女の子だった。

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art

詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 08 杉本たまえ

8月にこの短期集中連載を始めたときに、そのきっかけとなった作品との出会いのことを書いた。それは近江八幡NO-MAが主催した『アール・ブリュット☆アート☆日本』展の、会場のひとつとなった薄暗い民家の奥座敷に、浮かび上がるように展示された杉本たまえの作品だった。東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。今回はその杉本たまえの作品を紹介する。

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fashion

捨てられないTシャツ 15

九州芸工大準硬式野球部/52歳女性(不動産管理)/福岡県出身。博多のど真ん中で生まれ育ち、九州芸術工科大学(現在の九州大学芸術工学部)に進む。女性ながらメカ好きで、専攻は工業設計。卒業後は自動車メーカーに7年間勤務、そのあと京都のギャラリーに7年間勤め、現在は実家の保有する不動産管理を担当している。「どんな楽な仕事かと思って(博多に)帰ってきたら、もう大変で・・・水漏れとか鍵の紛失とか、細かすぎる対応にせこせこ働きまくる毎日です」。

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photography

写真のマジック・リアリズム――『ブッシュ・オブ・ゴースツ』を見て

フライヤーを壁に貼っておいても、グーグルカレンダーに書き込んでおいても、なかなか気になる展覧会ぜんぶには行ききれない。この11月8日で終わってしまうクリスティーナ・デ・ミデルの写真展『ブッシュ・オブ・ゴースツ』も、ほんとうはもっと早い時期に紹介しておきたかったが果たせず、ぎりぎりのタイミングでのお知らせになってしまった。クリスティーナ・デ・ミデルは1975年スペイン生まれ、メキシコ在住の写真家である。彼女の作品に出会ったのは数年前になるのだが、それは『The Afronauts』と名づけられた奇妙なシリーズだった。「アフロノーツ」は「アフリカ」と「アストロノーツ」を混ぜあわせた造語。

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travel

案山子X 26:山田のかかしコンテスト(高知)(写真・文 ai7n)

こんにちは。ai7n(アイン)です。今回は高知県香美市土佐山田町の山田のかかしコンテストを紹介します。香美市土佐山田町は高知県の中東部に位置し、伝統工芸品・土佐打刃物発祥の地として知られています。毎年10月中旬の土日に「刃物まつり」が開催され、土佐打刃物の展示即売会、無料刃物研ぎ、伝統工芸士による鍛造体験教室等が行なわれています。様々な出店やイベントも開催され、多くの来場者で賑わっています。この刃物まつりのイベントとして開催されているのが「山田のかかしコンテスト」。2014年に24回目を迎えました。土佐打刃物は包丁やナイフだけではなく農業に使う鎌や鍬等も作っている事から、農業のシンボルでもあるかかしのコンテストを開催する事になったそうです。

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2015年10月21日 Vol.184

art

機械仕掛けの見世物小屋――ジルベール・ペールのアトリエから

先週まで2週にわたって、パリのアル・サンピエールで開催中の展覧会『HEY! ACT III』についてお伝えしてきた(『モンマルトルのベガーズ・バンケット 前・後編』)。60名以上によるビザールでエネルギッシュな作品が展示されている中で、ひときわ奇妙なユーモアを漂わせ、動きのある作品を出展していた数少ない作家がジルベール・ペール。1947年生まれ、みずからを「エレクトロメカノマニアック=電気機械マニア」と呼ぶ、風変わりなフランス人アーティストである。現代美術でもあるけれど、機械による演劇でもあり、スペクタクル=見世物でもある彼の作品に、これまで日本ではほとんど接するチャンスがなかった。今週はパリ郊外のアトリエを訪ね、インタビューを交えながら過去20年以上にわたる作品群を紹介してみたい。

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fashion

東京駅のアリスたち(写真:山田薫)

1988年に誕生し、1997~98年ごろからロリータ・ファッションに専念するようになった「ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト」は、いまや全国各地に20数店舗を展開、パリ店、サンフランシスコ店、ニューヨーク店と、海外にも影響力を広げている。毎回のお茶会にも海外からファンが参加するようになったし、パリから上海まで、海外のファンによる現地お茶会も増えている。日本のハイファッション・メディアが取り上げることはないけれど、「ロリータ」「ゴシック・ロリータ」はすでに日本発の世界的なトレンドとして、しっかり根付きつつあるのだ。コアなファンが「本部お茶会」と呼ぶ、ベイビーのお茶会の第6回目が、9月21日に前回と同じく東京ステーションホテルで開催された。今回のテーマは『BABY仕掛けの♡Fairy tale♡ ~pop-up Labyrinth~へようこそ』。ポップアップとは「飛び出す絵本」のことで、それは一冊の絵本を開くことから始まる物語という設定の、お茶と食事とファッションショー、そして幸運にも参加できた120名のファン同士の交流を深められる濃密な時間だった。

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movie

浅草が発情した日――SODプレミアム・イベント密着記(写真:多田裕美子)

9月11日、浅草で『SODプレミアムフォトラリー』『SODプレミアムナイトin浅草』という2つのイベントが開催された。SOD(ソフト・オン・デマンド)は言わずと知れた老舗AVメーカー。正統派美女をフィーチャーしたものから、時にはシュールですらある実験的作品まで、時代をリードするコンテンツを制作・販売してきて、今年がちょうど創立20周年にあたる。今回のイベントはSODのDVD作品を購入し、ポイントを貯めた上位1000人を招待して、浅草の遊園地花やしきを一夜貸し切り、女優120人とともに大パーティを開こうというクレイジーな企画。さらに昼間は浅草のさまざまな店舗に人気女優を配置。参加者は自由に写真撮影を楽しめ、同時にスタンプを集め、それが規定数に達した先着50名が、花やしきのパーティに参加資格を得るという・・・浅草が鼻息荒い男子たちに占領された一日だった。

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fashion

捨てられないTシャツ 14

乱一世/44歳女性(喫茶店経営)/浅草でホットケーキが美味しい店として知られる小さな喫茶店「珈琲 天国」をひとりで切り盛りする店主。もともと文化服装学院からアクセサリーの会社に入ったが、ほどなく神保町のマニアックなCD&DVD屋に転職。20代でカフェ・ブームを体験し、「いつかは自分でも」と思いながら10年が過ぎたころ、ついに開業を決意。「ホットケーキが似合う街」を探して人形町か浅草に的を絞るものの、人形町では物件に巡り合わず、浅草を歩くうちに現在の店の前を通りかかり、「貸店舗」の札を見て即決。今年6月で10周年を迎えた。Tシャツは往年の人気深夜テレビ番組『トゥナイト2』で人気絶頂、しかし「トイレはCMの間に」発言でどん底に叩き落された乱一世のTシャツ。20代中頃、渋谷のTシャツ・ショップで購入したもの。

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art

詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 07 島崎敏司

東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。今回は島崎敏司(しまざき・さとし)の作品を紹介する。島崎敏司は1957年、八王子生まれ。1988年に丘の上病院に入院したというから、31歳のときだったろうか。しかし4年にわたる入院期間のうちに、「絵を描こう」とは思いもしなかった。初めて画用紙に向かうことになったのは、退院後にデイケアに通うようになって2年近くたってからのこと。いったい彼の内面に、そのときどんな衝動が生まれたのだろう。

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2015年10月14日 Vol.183

art

モンマルトルのベガーズ・バンケット――『HEY! ACT III』誌上展・後編

先週に続いて、9月18日からパリのアウトサイダー・アート専門美術館アル・サンピエールで『HEY! Modern Art & Pop Culture / ACT III』と題された興味深い展覧会のリポート後編をお送りする。パリで発のアウトサイダー/ロウブロウ・アート専門誌『HEY!』がキュレーションするグループ展。2011年の第1回、2013年の第2回展に続く、本展が第3回。もとは市場だったという大きな建築の2フロアに、60名以上の作家によるビザールでエネルギッシュな作品が展示されている。今週は2階フロアに展示されている作家のうちから、個人的に気になった作品を紹介してみる。展覧会は3月まで続くので、機会があればぜひ会場に足を運んでいただきたい。先週書いたように、アートを金持ちのおもちゃではなく、ほんとうに生あるものにしたいと願う人間たちが、いまこんな最前線にいるのだということを体感していただきたいから。

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music

旅姿浪曲娘――港家小柳一代記

先週告知した「浪曲DOMMUNE vol.2」は、いよいよ本日(10月14日)配信! そして6月の第1回と同じく当夜のトリを勤めていただく、今年が芸歴70周年(!)の港家小柳師匠を追ったドキュメンタリー『港家小柳 IN-TUNE』は、来週19日から渋谷アップリンクで上映開始。ベテラン浪曲ファンはもちろん、先のDOMMUNEで「明治が生んだ最強のハードコア・ストリートラップ」ともいえる浪曲の魅力に打ちのめされた初心者ファンも、今月はあらためて小柳師匠の、88歳とはとうてい信じられない、恐ろしいほどエネルギッシュな芸に酔いしれていただきたい。70年におよぶ芸歴を誇りながら、港家小柳の浪曲はかつて、それほど東京や大阪の浪曲ファンになじみのあるものではなかった。ドキュメンタリーが撮影された去年の浅草木馬亭における舞台が、「芸歴69年にして初の独演会」だったという事実が、それを如実に示している。

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fashion

捨てられないTシャツ 13

白川郷/26歳男性(ベーシスト)/江戸川区生まれ。ゲームよりも外で遊ぶのが好きで、缶蹴りや鬼ごっこのようなスポーツ以外の遊びに熱中する子供だった。小学校高学年になると、「モーニング娘。」と「19」にハマり、楽器を演奏するように。最初はブルースハープのようなハーモニカ、その後おじいちゃんの家においてあったアコギを手に取るように。地元の中学校に進学し、軟式テニス部に入部。ハタチくらいのお兄さんたちが駅前で弾き語りをしているのを見て、19の影響もあり、僕らもやってみようと友人と二人で弾き語りを始める。オリジナル曲もあったが、その地元のお兄さんや学校の先生がくれた曲なども演奏していた。

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art

詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 06 奥村欣央

東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。今回はそのなかでも異色の作家、奥村欣央(おくむら・よしお)の作品を紹介する。奥村欣央は1965年生まれ、東京都立芸術高校の日本画科を卒業した、つまり専門のトレーニングを積んだアーティストである。そして実は、安彦さんの〈造形教室〉のメンバーでもない。足立区が主催する、区内の精神科病院や障害者施設を紹介する催しでの作品展示コーナーで安彦さんと奥村さんは1997年に出会い、それからは毎年の『“癒やし”としての自己表現展』での常連参加アーティストとなっている。

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art

アウトサイダー・キュレーター日記 07 西川正之(写真・文:櫛野展正)

三重県伊勢市にある近鉄宇治山田駅。真向かいにある明倫商店街のすぐそばには、読売ジャイアンツ草創期に活躍した投手・沢村栄治の生家跡地がある。そんな名投手を生み出したこの地で、本物そっくりな立体凧を制作し続けている西川正之さんを訪ねた。西川正之さんは昭和20年、三重県多気郡明和町に生まれた。あるとき、次男だった父親の「田舎におったんではいかん」という一言で、伊勢市常磐町の呉服屋へ家族で丁稚奉公に。そこの呉服屋を間借りして暮らしていたが、西川さんが小学校5年生のころ父親が独立。宇治山田駅前にある明倫商店街の中に店を構えた。いまはシャッター商店街だが、当時は夜9時半まで商売するほど賑やかだったそうだ。両親が共働きで、4つ下の妹は祖母の家で暮らしていたため、小学校から帰ると自分で鍵を開けて帰宅する日々だったという。そんな西川さんの趣味は、絵を描くことだった。

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2015年10月07日 Vol.182

food & drink

酒を聴き、音を飲む ―― ナジャの教え 04

地元の人間がさまざまな感情を込めて「尼」と呼び習わす兵庫県尼崎の周縁部・塚口にひっそり店を開く驚異のワインバー・ナジャ。独自のセレクションのワイン、料理、音楽の三味一体がつくりあげる至福感。喉と胃と耳の幸福な乱交パーティの、寡黙なマスター・オブ・セレモニー、米沢伸介さんによる『ナジャの教え』。第4夜となる今回はおだやかな秋の宵に、かすかに不穏な空気感をブレンドするミックスを披露してくれた。

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art

モンマルトルのベガーズ・バンケット――『HEY! ACT III』誌上展・前編

すでに告知でお知らせしてきたように、9月18日からパリのアウトサイダー・アート専門美術館アル・サンピエールで『HEY! Modern Art & Pop Culture / ACT III』と題された興味深い展覧会が開かれている(来年3月13日まで)。昨年秋の南仏における『MANGARO』『HETA-UMA』展に続き、見世物小屋の絵看板コレクションで僕も参加しているこの展覧会は、パリで発行されているアウトサイダー/ロウブロウ・アート専門誌『HEY!』がキュレーションするグループ展。2011年に第1回が開催され、2013年の第2回展は本メルマガの2013年8月21日号で紹介している。その記事の中で『モンマルトルのアウトサイダーたち』と題して、こんなふうにアル・サンピエールと『HEY!』のことを書いた――

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fashion

捨てられないTシャツ 12

レイ・ミステリオ/36歳男性(音楽プロデューサー/ベーシスト/漫画家)/田んぼに囲まれたのどかな田舎に生まれる。小学生のころから足が早く、中学校では陸上部に入る。種目は3,000メートル。部活以外することがなかったので練習に打ち込むが、そこまで真面目でもないし、途中で膝も悪くなったため、陸上では目が出ないと徐々に諦めの気持ちに。中学生のときは尾崎豊など聴いていたが、高校生になるとブランキー・ジェット・シティやミッシェル・ガン・エレファント、洋楽ではNIRVANA、GREEN DAY、OFFSPRINGなどロック系を聴くようになった。友達とバンドを組むが、ギターはやりたいひとが多くやらせてもらえなかったので、ベースを始める。

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art

詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 05 本木健

東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。教室の参加者たちによる展覧会で、毎回ひときわ暗い色調の大きな画面で壁を埋める、本木健(もとき・たけし)の作品を研修は紹介する。水道の蛇口を止めたはずなのに、灰皿の吸い殻を捨ててはずなのに、ドアの鍵を締めたはずなのに、また確認せずにはいられない。だれにも多少はそういう経験があるかと思うが、本木さんはその不安と恐怖が日常生活に支障をきたすほど悪化した、重度の強迫性障害に長年苦しんできた。

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movie

はぐれAV劇場 08 バベルのビデオ館──中村企画訪問記(文:大須蔵人)

そこは、埼玉県志木市の住宅街にひっそりとたたずむ、倉庫のような建物だった。いつもシャッターが閉じられていて、外からでは中に何があるのかをうかがい知ることはできない。軒先に「中古ビデオ、DVD買います!! 中村企画」という看板が掲げられているのみだ。シャッター脇にあるインターホンを押すと、迎えてくれたのが中村企画の社長、中村友嘉さんだった。中村企画は、中村さんのほか数名のスタッフとともに、この倉庫兼事務所で、インターネットでのアダルトビデオの通信販売と買い取りをしている。事務所には大量のVHSデッキや空のビデオケースが並べられ、そこで日々、買い取ったビデオの検品、クリーニング、発送の作業をしている。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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