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2013年05月22日 vol. 068

photography

笑う流れ者――アンダーグラウンド・フォトグラファー木股忠明の世界

仙台、新宿ゴールデン街、神奈川県綱島・・・同時多発的に小さな写真展が、ひっそりと開かれている。『笑う流れ者木股忠明の思いで』――ひっそりすぎて、そんな展覧会があることすら知らないひとがほとんどだろうし、木股忠明という写真家の名前も、よほど詳しいひとでないと聞いたことがないだろう。写真に詳しいひとですらなく、アンダーグラウンド・ミュージック・ワールドによほど詳しいひとでないかぎり。1970年代末期から80年代にかけて、日本の音楽業界がインディーズ・ブームというものに(ニューウェーブと呼ばれるようにもなったが)浮き立っていたころ、それとは一線を画した場所で、ずーっと小さくて暗い片隅で、ふつふつとうごめくエネルギーがあった。

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lifestyle

永遠のニューサザエ

TimeOut TokyoのWeb連載『東京観光案内所』で紹介した『ニューサザエ』。5月1日号の告知でお知らせしましたが、見ていただけたでしょうか。新宿2丁目最古の現役老舗店という重要スポットでありながら、マスターの紫苑(シオン)さんにお聞きした、あまりに激動の半生が、TimeOut Tokyoでは字数の関係でまったく書けなかったので、ここであらためてお送りしたいと。文字数1万8000字オーバー、じっくりお読みください! いまや「ni-chome」という言葉が世界語になるほど、国内外で認知されるようになった世界屈指のゲイタウン・新宿2丁目。東西南北数ブロックのエリアに、数百のゲイバーやレズバーがひしめく不夜城である。閉店(開店ではなくて)が昼過ぎ、なんて店がざらにある、歌舞伎町と並んで日本でいちばん「眠らない街」でもある。

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archive

スナック・ビルの人生迷路 後編

先週は五反田駅そばの「スナック・ビル」、ロイヤルオーク・ホテルをご紹介した。終戦直後の闇市が発展した五反田新開地の再開発に伴って、新築ホテルの地下1階から地上2階まで3フロアを、新開地から移転してきたスナックと居酒屋が占める、それは異様な空間だったが、同じくらい特異なスナック・ビルとして、ぜひいっしょにご紹介しておきたいのがここ「都橋商店街」である。「東京スナック飲みある記」と題していながら申し訳ないが、場所は横浜。日ノ出町と桜木町の、ふたつの駅のあいだにある都橋商店街は、大岡川の緩やかなカーブにぴったり寄り添うように、2階建ての建物自体が緩やかな弧を描いて印象的。「ハーモニカ横丁」という別名が、いかにも納得のデザインである。

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music

ROADSIDE RADIO 大阪のラッパーと高知のブルースマン

5月20日の「ロードサイド・ラジオ」では大阪のラッパー、チプルソのライブをお送りしました。『ヒップホップの詩人たち』でも取り上げた新進気鋭の、そしてかなり異質なラッパーです。記事のためにインタビューしたときはまだアルバムが、それも自主制作で1枚あっただけでしたが、今回は2枚目のアルバム・リリースを記念しての「リリパ」――去る4月5日に大阪心斎橋・アメ村のクラブ・クラッパーで行われたばかりのステージを録音してきました。

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2013年05月15日 vol. 067

art

ガラクタ山の魔法使い

隅田川に近い浅草橋の裏のビル。階段を上がった先の奥の部屋。展覧会なのに、カメラのISO感度を6400ぐらいに上げないと撮れなそうな暗い部屋の中で、もじゃもじゃの髪ともじゃもじゃのヒゲの男が、机にかがみこんで作業に没頭していた。ここ、展覧会場ですよね・・・。「マンタム」という不思議な名前を持つ彼は、古物商=古道具屋でありながら、自分のもとに集まってくるガラクタを素材に、なんともユニークな立体作品をつくりあげるアーティストでもある。そしてシュールで、魔術的でもある彼のオブジェが詰まった展示空間に足を踏み入れること、それはまるでヤン・シュヴァンクマイエルかブラザース・クェイのアニメの中にワープしてしまうような、不思議な体験でもある。

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travel

スナックショット 22 岡山(平田順一)

どうも平田です。旅先で酒場の街並みを撮っていると「ちょっとあんた、何を写しているの?」と問いかけられる時があります。またこの一連の行動に対して「そこに何かあるの?」「こういうのが面白いの?」と問われる時もあり、「この雰囲気が良いんですよ」「何があって面白いかは、いろんな町に行って歩いてみないとわからないんですよ」などと答えながら、つくづく説明の下手な自分に嫌気がさすのですが、今回の岡山県は半分が倉敷市水島地区の写真になります。こういう所の写真を撮って伝えたいという気分が顕著に表れているので見てください!

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music

ROADSIDE RADIO 三上寛、カラオケを唄う!

5日に続いて、12日の「ROADSIDE RADIO」では三上寛特集。それも三上さんが好きな演歌を選んでカラオケで歌い、そのあいまに僕が三上さんにいろいろ話を聞くという、奇跡的なプログラムをお送りしました。日曜深夜とはいえ、FM局で1時間、カラオケで番組をつくっちゃうなんて、放送史上でもマレなんじゃないでしょうか。舞台となったのは西荻窪のファンキーでサイケデリックなバー『ゼン・プッシー』。その店名でイカレ度がすでに察せられますが、三上さんはこの店でもう何十回もライブを開いてきた、常連スター。しかしさすがにカラオケでステージを務めるのは初めてでしょうし、お客さんの手拍子に乗って歌うのも初めてだったかも! 笑

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archive

スナック・ビルの人生迷路 前編

街にはスナックがあり、スナック街があり、スナック・ビルもある。上から下までずらりと店が詰まった飲食ビルは、どこの飲み屋街にも見受けられるが、たとえば新橋駅前ビルのように、上階はふつうのオフィスなり住居でありながら、階下に降りるといきなりフロア丸ごと飲み屋街、ということになると、ちょっと珍しくてウキウキしてくる。品川区五反田。駅西口を降りてすぐ、JRと東急池上線、それに目黒川がかたちづくる小さな三角形に、ロイヤルオークというビジネスホテルが建っている。外から見ればふつうの駅前ビジネスホテルだが・・・ここ、実は地下1階、1階、2階の3フロアがすべてスナック、キャバクラ、居酒屋という強力なインドア飲食街。

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2013年05月08日 vol. 066

music

民謡酒場のマスター・オブ・セレモニー

浅草、吉原、向島・・・いま都内に3軒ほどしか残っていない「民謡酒場」という存在を教えてくれたのは、山村基毅さんの『民謡酒場という青春―高度経済成長を支えた唄たち―』(ヤマハミュージックメディア)という一冊の本だった。山村さんによれば、昭和30年代からの高度成長期に東京、それもいまはソープ街として知らぬもののない吉原を中心に、数十軒の民謡酒場が盛業していたのだという。わずかに残っている数軒を、僕は山村さんに案内をお願いして訪ね歩き、それは単行本『東京右半分』に収められたが、そのうち亀戸の『斎太郎』はすでに閉店してしまっている。この記事の最後に東京右半分・民謡酒場探訪記の前説を再録しておくが、山村さんとはしごした店でいちばん興味深かったのは、民謡歌手やお客さんたちよりも、司会者の存在だった。

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lifestyle

ウグイス谷のラバー・ソウル

去年のちょうどいまごろ、5月9日配信号に掲載した『ウグイス谷のゴム人間』。イラストレーターのゴッホ今泉さんが主宰してすでに20年間以上、通算200回以上は開かれている毎月第1土曜日の『デパートメントH』。日本でいちばん古くて、いちばん大規模でフレンドリーなフェティッシュ・パーティで、毎年5月6日の「ゴムの日」にあわせて開催されるのが『大ゴム祭』だ。あれから早1年。「今年も新作がいっぱい出ます!」と教えていただいて、いそいそと会場の鶯谷・東京キネマ倶楽部に行ってきた。例によって舞台に群がり乗り出し、激写・熱写に夢中のカメコ諸君に混じって、美しくもビザールなラバー・ファッションの粋を撮影してきたので、じっくりご覧いただきたい。

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music

ROADSIDE RADIO 2週連続で三上寛!

インターFM史上で早くも、もっともビザールなプログラムとなりつつある「ROADSIDE RADIO」。先週の障害者ツインボーカル・インプロビゼーション・バンド「ギャーテーズ」に続いて、さきおとといの日曜は三上寛のライブをお送りしました。しかも番組内で話したとおり、こんどの日曜日も続けて三上寛! しかも通常のオリジナル曲を歌うライブではなく、演歌のカラオケ・ライブ! こんなこと許されるのでしょうか・・・いつまでも(笑)。自分でもやっててドキドキしてます。

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photography

ガラパゴス・シティ、大阪

昔は憧れて京都に住んでみたこともあるけれど、いまは仕事に行くにも、遊びで行くにも、京都より大阪のほうが百倍好きだったりする。一見、なんの変哲もない、なんの風情もない大阪の街を歩いていて、突然に出くわす人々や風景。そこには同じ日本でありながら、明らかに東京とも、京都とも、ほかのどこともちがう、大阪っぽいとしか言いようのないノリというか、グルーヴというか、そういう異質な空気感が確実にある。だから僕にとっての大阪のイメージは、ここだけがどこか別な方向への進化を辿っているとしか思えない、ガラパゴス的な印象の場所でもある。そういう大阪の空気をすごくうまく捉えている、若い写真家が谷本恵さんだ。

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2013年05月01日 vol. 065

photography

一夜漬けの死体――川本健司の「よっぱらい天国」

新宿でも、渋谷でも池袋でもどこでもいい。東京の夜の街を初めて歩く外国人がいきなり度肝を抜かれるもの――それは道端に倒れている人間たちだ。あっちにもこっちにも、街路樹の根本にもビルの入口にも、ぐったりとからだを横たえて動かないひとたちがいる。それは人体というより、薄暗がりのなかの小さな障害物だ。ニューヨークだってロンドンだってパリだって、バンコクだってマニラだって道に倒れている人間はいっぱいいるが、東京の場合はそれがスーツ姿のサラリーマンだったり、ミニスカートの女子だったりする。で、事情を知らない外国人は「東京はなんてタフな場所だ!」と驚いたり、「死んでるんじゃないの?」とオロオロしたりするのだが、「いや、酔っぱらってるだけだよ」と聞かされて二度びっくり。「財布やカバンを盗られないのか!」「レイプされないのか!」と、こんどは「東京って、なんて安全な場所なんだ」と感心したりする。

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travel

連載:スナックショット 21 京都・兵庫(平田順一)

どうも平田です。京都・大阪・神戸と大都市が近接しながら、それぞれに独自の文化を培ってきた関西地方の街並みは大好きなんですが、コテコテとかベタベタといった形容詞の関西レポートは避けるべく、今回のスナックショットは京都府の中丹地方と兵庫県の播州地方からお送りします。京都府が海に面している事は小学校の社会科で学習するものの、山に囲まれた京都の盆地からは海がイメージできません。一方で古くから海軍の拠点だった舞鶴市を歩いてみると、逆にここが京都の洛中とおなじ自治体にあるのが遠く感じられ、京都共栄銀行や京都北都信用金庫の店舗があるので、あらためてここも京都だったと認識させられます。

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music

ROADSIDE RADIO ギャーテーズ降臨!

ロードサイド・ラジオ、先週日曜日にはその前の『爆音クラシック=爆クラ』から180度路線変更、フリー・インプロビゼーション・バンドの雄「ギャーテーズ」のライブをお送りしました。ギャーテーズの音楽がラジオで放送されること自体、ものすごく異例だと思いますが、1時間まるごとライブの実況は・・・奇跡じゃないかと、自分で言うのもなんですが・・・。ギャーテーズは10人前後の編成によるバンドですが、そのフロントをつとめるふたりのボーカルと、ライブではそのすぐ後ろで縦笛を吹きつづける3人が障害者。そのバックを手練のプロ・ミュージシャンが固めるという、なかなか他に類を見ないユニークなバンドです。

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archive

ヌケないハダカ

篠山ヌードとは、ヌケないヌードである。ま、そんなことない!と言い張る諸君もたくさんいるでしょうが。当代一の人気ポルノ・アクトレス、夏目ナナが丸坊主で仁王立ちになって、こっちを睨んでいる。すごいからだだな、とは思うけれど、ぜんぜん欲情しない。ホームグラウンドであるDVDでは『「超」ヤリまくり!イキまくり! 24時間!!』『Gカップ美人巨乳秘書 10連発!野獣中出し』なんて作品をリリースしまくり、「チンポおいしい! もっとチンポちょうだい! ナナに精子かけて!」などと大阪弁で絶叫しまくり、「ほぼすべての出演AVでイッてる」と公言するセックス・クイーンであった彼女。その全身からしみ出すスケベ汁を、篠山さんのカメラはきれいに拭いとってしまっている。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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