• TOP
  • バックナンバー

BACKNUMBERS
バックナンバー

lifestyle

追悼・浅草のチェリーさん

浅草を歩くと、いつもそのひとがいた。六区のマクドナルドあたりに、小さなからだを独特のセンスの服で包んで、ふらふらと立っていたり、道端に座り込んでいたり。チェリーさんとも、さくらさんとも、あるいはただ「おねえさん」とも呼ばれてきたそのひとは、道行く男たちに声をかけ、からだを売る、いわゆる「立ちんぼ」だった。だれかに声をかけたり、かけられたりしているところを見たことは、いちどもなかったけれど。ほとんど浅草の街の風景の一部と化していた彼女が、亡くなったらしいと聞いたのは去年の年末のことだった。

続きを読む

lifestyle

ハダカの純心――あるストリッパーと医者の恋物語

いまは一時更新を休んでしまっているが、うちにあふれる本を、探しているひとに直接届けたいという思いから、「e-hondana」という自前のネット古書店を開業して、もう数年になる(近々メルマガのサイトに統合する予定なので、乞うご期待)。そこに出品していた成人映画の資料集を欲しいと連絡してくれたひとがあり、「亡き妻が成人映画に出ていたので、その資料を探しています」と言うので、本を届けがてらお話を聞かせていただくことになったのが、いまから2ヶ月ほど前のこと。行きつけだという、伝説のストリッパー浅草駒太夫の店『喫茶ベル』のカウンターでお会いした...

続きを読む

lifestyle

ハダカの純心――あるストリッパーと医者の恋物語2

先週の前編に続いて送る医師と、偶然出会ったストリッパー・芦原しのぶ(通称カメ)の、オトナの恋の物語。北の漁港のキャバレーでふたりは知り合い、東京で再会。お互いに惹かれあって、彼女の小さなアパートで『神田川』の歌詞そのままの同棲生活が始まった。そのとき永山さんは26歳、芦原さん30歳。しかし1960年代の東京で、医師とストリッパーという若いふたりの前には、さまざまな困難が待ち受けていた・・・。

続きを読む

lifestyle

秘宝館の女

今年の3月、銀座ヴァニラ画廊で兵頭喜貴さんとギャラリー・トークをしたときのこと。「おもしろい女を連れて行きますから」と兵頭さんが言うので楽しみにしていたら、着物姿で、背中に見覚えのある秘宝館のチンマン・マークを背負った女性が現れた・・・「都築さん、これが北海道秘宝館のロウ人形を買った女ですよ」「えっ!」「奥村と申します、よろしくお願いしますぅ(微笑)」「こ、こちらこそ・・・」。奥村瑞恵(みずえ)さん、36歳。パートナーの菊地雄太さんとふたりで「特殊造形製作」という特殊な職業に従事しながら、秘宝館好きが嵩じて、ついに閉館した北海道秘宝館のロウ人形その他を買い取り。現在は自宅に安置、修復に励んでいるという恐ろしい情熱の持主である。ぜんぜん、そんなふうに見えないのに・・・。

続きを読む

lifestyle

酒と注射針と精液の街で

「セックス、ドラッグ&ロックンロール」という言葉がいまだ有効であるならば、それが世界でもっとも似合う場所はニューヨークでもLAでもロンドンでもなく、ハンブルクであるにちがいない。ベルリンに次ぐドイツ第2の都市であり、ドイツ最大の港を持ち、『ツァイト』『シュピーゲル』『シュテルン』なども本社を構えるメディアの中心であり、人口あたりの資産家の割合がいちばん高い、ドイツでもっとも裕福な都市であるハンブルク。そして市内ザンクトパウリ地区にあるレーパーバーンは、ヨーロッパ最大の歓楽街でもある。歌舞伎町を3倍ぐらいに引き伸ばして、もっとあからさまな売春と、庶民の暮らしをぐちゃぐちゃに混ぜ込んだ、他にほとんど類を見ない、朝から翌朝まで酔っ払ってる街。それがレーパーバーンだ。

続きを読む

lifestyle

レーパーバーンで『カンパイ』2

「ヨーロッパの歌舞伎町」ハンブルク・レーパーバーンで今夜も、酔っぱらいドイツ人相手に店を開く寿司屋「KAMPAI」。こころ優しき大将・榎本五郎(通称「エノさん」)のドイツ人生劇場、今週は疾風怒濤編! お待たせしました!

続きを読む

lifestyle

アナーキーゲイシャ・キス・キス!――エロチカ・バンブーの踊り子半生記 前編(写真:多田裕美子、都築響一)

ラブホテルと外人売春婦と熟女風俗・・・東京でいちばん魑魅魍魎が跋扈する街のひとつである鶯谷に降り立つ。駅から徒歩1分、1969年にできたグランドキャバレー・ワールドは、いまでは東京キネマ倶楽部という名のライブハウスになっているが、5月16日の今夜だけはグランドキャバレーの残り香が、ほんの少し帰ってくる。バーレスクやピンナップ・カルチャーを発信するウェブサイト「BAPS JAPON」5周年イベントとして、人気バーレスク・ダンサーたちが集結する『バーレスク・オー・フューチャラマ(Burlesk-O-Futurama)』が開催されるのだ。

続きを読む

lifestyle

25年目のTOKYO STYLE

あれから四半世紀のうちに、僕にもいろいろあったし、部屋主のひとりひとりにもいろいろあったろう。撮影させてもらった人の多くは、あとがきに書いたように付き合いがなくなってしまったり、音信不通だったりしたのだが、このところFacebookなどのSNSや各地のトーク会場、打ち上げの場などで「再会」する機会が増えてきた。お互いの無事を喜び、思い出を懐かしみながら、「四半世紀たったいま、みんなはどういう暮らしをしているのだろう」と気になって、覗き見したくてたまらなくなった。ちょうど25年前に、みんなの暮らしを覗き見したくてたまらなくて、カメラを買いに走ったように。これから毎週、というわけにはいかないけれど、なるべく頻繁に、かつて撮影させてくれたひとたちを訪ねて、いまの暮らしを見せていただこうと思う。「25年目のTOKYO STYLE」がどんなふうになっているのか、ご覧いただきたい。四半世紀を隔てた彼らの昔と今。それは僕ら自身の25年間でもあるはずだから。

続きを読む

lifestyle

25年目のTOKYO STYLE 02 湯浅学

『TOKYO STYLE』が最初の大判写真集として世に出たのが1993年。実際に撮影で東京都内を原チャリで走り回っていたのが1991年あたりだったから、今年はあれからちょうど25年というタイミングで、当時の部屋主たちを再訪する新連載。第1回からちょっと間が空いてしまった第2回は、前回の部屋主・根本敬と共に「名盤解放同盟」を支えてきた盟友でもある音楽評論家・湯浅学宅からお送りする。西麻布・新世界で続けてきた連続企画『爆音カラオケ』でも毎回ゲスト役を務めてくれた湯浅くんは1957年生まれ、いま59歳。来年還暦を迎えることになる。新刊『アナログ穴太郎音盤記』(音楽出版社刊)を出版したばかりの5月半ばの週末、「この日なら家族が揃うから」という文京区・護国寺に近い静かな住宅街の一軒家を訪ねた。

続きを読む

lifestyle

ラバー・ソウルふたたび

毎年5月6日の「ゴムの日」にあわせて開催される、デパートメントH『大ゴム祭』。言わずと知れた日本でいちばん古くて、いちばん大規模でフレンドリーなフェティッシュ・パーティの、いちばん人気のイベントのひとつだ。本メルマガでも2012年5月9日号、2013年5月8日号と紹介してきたが、ここ2年ほどは開催日に東京にいられなくて取材断念。なので今年のゴム祭(6月4日開催)をまたここで報告できて、ほんとうにうれしい。ちなみにデパHの「大ゴム祭」は今年がすでに7年目。デパH自体、すでに20年以上続いているパーティである。オーガナイザーのゴッホ今泉さんをはじめとする、デパHクルーの献身的な努力には、つくづく頭が下がる。今年のデパHゴム祭も、恒例の全国から集結した「ラバリスト」たちのお披露目、海外公演で大成功を収めたラバー工房・池袋KURAGEのファッションショー、そして今年の目玉はやはり本メルマガでも以前紹介したラバー・アーティスト・サエボーグの大がかりな新作『Pigpen』(豚小屋)。

続きを読む

lifestyle

古くて新しい古い家

今年2月8日号で紹介した、北九州市若松のグランドキャバレー・ベラミの物語には、予想以上の反響をいただいた。記事中ではベラミのステージを飾ったダンサーや芸人たちの写真と共に、もともとキャバレーの従業員寮だった「ベラミ山荘」を紹介したが、そのオーナーが文中で「Fさん」と書かせてもらった古家さんだ。と子供3人の家族を支える主婦であり、パートでも働きつつ、古い家を買っては貸している「古家商」を名乗るその活動は(なので「古家」は仮名です)、僕らが抱く「大家さん」の先入観からかけ離れたユニークなスタイルだし、これからの都市型生活への重要な啓示でもある。今週は「古家業」という、文字どおり古くて新しい生活のプラットフォームづくりを紹介させていただく。

続きを読む

lifestyle

ケンケンという唄

去年の秋ごろ、新宿ゴールデン街で飲んでいたときのこと。筑摩書房のウェブで連載している『独居老人スタイル』の人探しに苦労しているという話をしていたら、「それならぴったりの独居老人でシャンソン歌手というのを知ってる!」と店主に言われて大喜び。日を改めて店に来てもらったら、どうもようすがおかしい。「あの・・失礼ですけど、いまおいくつですか?」「え、51ですけど」。えーっっ、僕より若いじゃないですか。これはいくらなんでも、「独居老人」呼ばわりするには無理がある。す、すいません・・と謝りつつ、「ぜんぜん老人じゃないじゃない!」と店主をにらんだら、「そんなに若いの、ケンケン! もっと老けてみえるし~~」と言われて、当人もがっくり。「そうなの、昔から(年より)上に見られちゃうんですよねぇ」と苦笑い。それが歌手・ケンケンさんとの出会いだった。

続きを読む

lifestyle

ウグイス谷のラバー・ソウル

去年のちょうどいまごろ、5月9日配信号に掲載した『ウグイス谷のゴム人間』。イラストレーターのゴッホ今泉さんが主宰してすでに20年間以上、通算200回以上は開かれている毎月第1土曜日の『デパートメントH』。日本でいちばん古くて、いちばん大規模でフレンドリーなフェティッシュ・パーティで、毎年5月6日の「ゴムの日」にあわせて開催されるのが『大ゴム祭』だ。あれから早1年。「今年も新作がいっぱい出ます!」と教えていただいて、いそいそと会場の鶯谷・東京キネマ倶楽部に行ってきた。例によって舞台に群がり乗り出し、激写・熱写に夢中のカメコ諸君に混じって、美しくもビザールなラバー・ファッションの粋を撮影してきたので、じっくりご覧いただきたい。

続きを読む

lifestyle

永遠のニューサザエ

TimeOut TokyoのWeb連載『東京観光案内所』で紹介した『ニューサザエ』。5月1日号の告知でお知らせしましたが、見ていただけたでしょうか。新宿2丁目最古の現役老舗店という重要スポットでありながら、マスターの紫苑(シオン)さんにお聞きした、あまりに激動の半生が、TimeOut Tokyoでは字数の関係でまったく書けなかったので、ここであらためてお送りしたいと。文字数1万8000字オーバー、じっくりお読みください! いまや「ni-chome」という言葉が世界語になるほど、国内外で認知されるようになった世界屈指のゲイタウン・新宿2丁目。東西南北数ブロックのエリアに、数百のゲイバーやレズバーがひしめく不夜城である。閉店(開店ではなくて)が昼過ぎ、なんて店がざらにある、歌舞伎町と並んで日本でいちばん「眠らない街」でもある。

続きを読む

lifestyle

新連載:CURIOUS MONKEY ~見たい、聞きたい、話したい~ 01――サドゥーになった日本人(文・渡邊智昭 写真・酒井翔太)

今週から始まる新しいシリーズ『キュリアス・モンキー』。「見ざる・言わざる・聞かざる」の真逆を行こうという、気鋭のライター渡邊智昭さんによる不定期連載です。本メルマガでもすでに今年4月9日配信号で、驚愕のディスコ・バスのお話をタイからリポートしてくれた渡邊さん。今週はインドでサドゥーの世界に入り込んでしまった日本人青年を紹介してくれます。ご存じの方も多いと思いますが、サドゥーとはヒンズー教の修行者のこと。すべての所有を放棄し、決まった住居も家族も、極端な場合は衣服すら持たず、俗界を捨て、みずから定めた行を通して解脱を求める者たち。観光地でよく見かける「観光サドゥー」はともかく、初めてのインド行で、それもひょんなきっかけで、神秘的なサドゥーの世界に招き入れられてしまった若者の体験談を、じっくりお聞きください。※ 記事中、一部にショッキングな画像が含まれています。ご留意のうえ御覧ください。

続きを読む

lifestyle

新連載 かなりピンボケ――さすらいのピンパブ放浪記(比嘉健二)

比嘉健二という編集者をご存知だろうか。『ティーンズロード』『GON!』『実話ナックルズ』など、その時代時代のアンダーグラウンド・パワーをもっとも的確にキャッチする媒体をつくりあげてきた編集者だ。僕と同じ歳でほとんどただひとり、ライバルだと勝手に思ってる同世代の同業者でもある。暴走族、ヤクザ、足立区・・・比嘉さんが得意とする分野は最高に偏ってて、最高におもしろいのだが、彼はまた「ピンパブ」=フィリピン・パブの権威でもある。年にほんの何回か、「たまには」と会って飲むとき、比嘉さんが話してくれるフィリピーナと、フィリピーナにハマったおやじたちのストーリーはめちゃくちゃおもしろくて、何度か行きつけのピンパブにも連れてってもらった。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 2――涙のジャーニー 湯島歌合戦(比嘉健二)

おそらくこのメルマガの大多数のファンはフィリピンパブというところが、実はどんなこところなのか知らないだろう。というか、日本国民のいったい何%の人間が実態を知っているというのか? もちろん統計などあるわけないが、100人に聞いても、おそらく正解は10人もいないだろう。もっとも知らなくてもなんら生活に支障はないけど・・・。いや、むしろ知らない方が人としては間違ってはいないだろう。そして、おそらくこう想像する人も多いだろう。色の黒いやけに肌が露出した、口説けば即股を開くだらしないフィリピン女と、日本人にまったくモテない寂しいおやじたちが、傷をなめ合う場だと。日本人にモテないはほぼ正解だが、こんな想像がガッカリするくらい、実はやたら健全な空間なのだ。

続きを読む

lifestyle

ハダカのこころ、ハダカの眼 03 花電車・鮎原かおり(牧瀬茜)

彼女の通っていた芸術系の大学の映画学科には見世物小屋が好きな教授がいて、昭和の文化と見世物小屋についての講義をしていた。各地のお祭りなどを回って興行をする見世物小屋の一座は、今はもう日本に一軒しか残っていないのだが、講義の中で教授はまだ沢山の見世物小屋があった時代に自身が撮った映像を見せながら、失われつつある昭和の良さと文化について語った。以来彼女は毎年7月と11月の靖国神社のみたま祭りと花園神社の酉の市の、大寅興行社の見世物小屋に必ず足を運んだ。大学在学中に始めたカメラマンの仕事を卒業後も数年続け、その後はモバイルの通販サイトの運営会社に入りOLをしながらも、心の中ではいつも「将来は蛇女」と、 そう思っていた。

続きを読む

lifestyle

瞬間芸の彼方に——ドキドキクラブと写真のテロル

いまから1年かもう少し前、たしか中野のタコシェで見つけたのが、『非エロ本』といういかにも自主制作らしいペラペラの作品集だった。ペラペラなのに、発行者が六本木のおしゃれな写真画廊のゼン・フォトギャラリーだったのにも驚いたが、雑誌から引き破いたセクシー・グラビア写真に落書きという、あまりに子供っぽい、あまりにパンクで、あまりにスカムな、そしてへなへなと笑い出さずにいられない、ローファイなクオリティにすっかりやられたのだった。今年9月、東京アートブックフェアにそのドキドキクラブが出店すると聞いて会いに出かけたら、「クラブ」と名乗ってはいても実はひとりで、それもすごくシャイな青年で、作品とのギャップにまた驚かされた。

続きを読む

lifestyle

新連載! エノさんの「ドイツ落語」01(文:榎本五郎)

今年10月15日号から3週にわたって配信、多くの読者を驚かせたハンブルク・レーパーバーンの寿司屋「KAMPAI」。1965年というから東京オリンピックの翌年、いまからほぼ半世紀前にリュックひとつ担いで、シベリア鉄道でヨーロッパに渡り、波瀾万丈の年月の末に「ヨーロッパの歌舞伎町」レーパーバーンで、10人かそこらで満席の小さな小さな寿司屋を営んでいるのが名物大将・榎本五郎=通称「エノさん」だ。「エノさん一代記」を書いてくれたドイツ在住ジャーナリスト・坪井由美子さんの文章にあったように、エノさんの店には『ドイツ落語』と題された、手製本の文集が置いてある。ご本人によれば「ドイツで出会ったひとたちを主人公にした落語のようなもの」というこの一冊、僕も読ませてもらったけれど、もうとにかくおもしろい! びっくりもして、ホロリともする! でも「出版の予定なんかありません」というから、ハンブルクのKAMPAIに足を運んで、エノさんに気に入られないと、読むことすらできない。もったいなさすぎ!・・・というわけで無理やりお願いして、『ドイツ落語』全30編のなかから数話を、本メルマガで掲載させていただくことになった。

続きを読む

lifestyle

ハダカのこころ、ハダカの眼 06 ケンという男(写真・文 牧瀬茜)

昭和47年。カンカンとランランが上野動物園にやってきた年に、ケンはこの世に生を受けた。生まれた場所は鹿児島だと聞いている。ケンが2歳の時に両親が離婚、彼は7つ年上の兄とともに和歌山の養護施設に預けられた。施設に連れて行かれた日のことはぼんやりと覚えている。父親の運転する緑色の車に母親と兄と自分と4人で乗っていたこと、そして、施設の入り口で車を降りて外で待っているときにバナナを食べたこと。両親とはそれっきりだ。どんな顔をしたどんな人間だったのか今も知らない。

続きを読む

lifestyle

新連載! どこのドイツでお達者くらぶ 01 ボールペン宇宙の夫婦愛 (写真・文 久保田由希)

いま世界でトレンディな都市、というとまず挙がるのがベルリン。たしかにニューヨークやロンドンの異常物価高から逃れたクリエイティブな若者たちが、世界でいちばん集中しているのがベルリンであることは間違いないだろう。でも、ベルリンに住んでるのは若者だけじゃない。「ふつうのひとたち、特に年配のひとたちが慎ましく、でも自由に暮らしている姿が、長く住むうちにだんだん見えてくるんです」と、久保田由希さんは教えてくれた。

続きを読む

lifestyle

どこのドイツでお達者くらぶ 02 ドイツ式あたりまえ生活(写真・文 久保田由希)

市内中心部の住まいは、4、5階建ての集合住宅が基本だが、郊外まで来ると、ぽつりぽつりと一戸建ても現れはじめる。今日これから訪れるヴェルナー・ネアコンさんのお宅は、テーゲル空港からほど近い、一戸建てが並ぶ住宅地にある。ネアコンさんは1947年生まれの、今年68歳。自営で電気の配線工事を専門としている。私が今のアパートに引っ越したとき、わが家のコンセントを増設してくれた人だ。立派な口ひげが印象的で、初めて見たときはまるでZZ TOPのようだと思った。ハーレーダビッドソンを飛ばしていそうな容貌だ。ネアコンさんのような職人の生活は、私がこれまでたくさん取材してきたデザイナーやアーティストたちの家とは、まったくの別世界に違いない。何かこう、実直な生活がありそうだ。そういう暮らしぶりを覗いてみたくて、家を訪問したいとお願いした。

続きを読む

lifestyle

アナーキーゲイシャ・キス・キス!  ――エロチカ・バンブーの踊り子半生記 後編

先週号でフィーチャーしたベテラン・バーレスクダンサー、エロチカ・バンブー。現在はベルリンを拠点に、ヨーロッパ、アメリカ、日本の舞台から舞台へと飛び回っている。白虎社の舞踏を通じて肉体表現に目覚めていった、若き日の彼女。舞踏団の資金を稼ぐために日本各地のステージでフロア・ダンサーとして踊り、旅する生活が始まった。93年に白虎社が解散した後は東京に移住。そのあたりから「旅する踊り子生活」が本格的に始まっている。ダンサーの地方巡業がちゃんと商売になっていたのは、80年代なかばから90年代初めごろまで。エロチカ・バンブーが巡業生活を始めたころには、すでにキャバレーも、フロア・ダンスも衰退の一途をたどっていたが、それでもまだ、いまよりはるかにダンサーが踊れる場所が日本の隅々に残っていた。2000年前後に彼女は『踊り子日記』という、各地で踊っていた時代の記録を残している。今週はフロッピーディスクを復元した原稿から抜粋した、「ステージから眺めた日本の夜の風景」をご紹介しよう。なお、ところどころ添えた店舗写真は、いくつかのグランドキャバレーを僕が過去に撮影したもの。文章と対応しているものではないことを、あらかじめお断りしておく。

続きを読む

lifestyle

音大生スタイル(文:奥中康人)

このメルマガではすでにおなじみ、これまで石巻の「北村大沢楽隊」や浜松のラッパ祭りを紹介してきてくれた静岡文化芸術大学の奥中康人さん。最近お会いした機会に、「そういえば昔、こんなのやったことある!」と思い出してくれたのが、この企画。いまから10年ほど前だそうだが、当時教えていた名古屋や大阪の芸術大学の音楽専攻の学生に、自分の部屋のピアノのある風景を携帯で撮影してくるよう課題を出したのだという。そこから図らずも浮かび上がってきた「音大生スタイル」を、今回はリポートにまとめていただいた。しかし当時はスマホなどと言う便利なモノが存在しない、ガラケー全盛時代。その画像の軽さたるや、だいたい20~50KBほどで、いまのスマホで撮る画像の百分の一くらい! ここ10年で携帯写真って、すごいことになったんだなあと改めて実感。なのでお見苦しい画像ではありますが、それもまた時代感覚、ということで憧れの音大生のリアルを、じっくりお楽しみください。

続きを読む

lifestyle

新連載! 圏外芸能人 vol.01 コミック歌手の生き方 ~さいたまんぞうという人生~(写真・文:菅原養史)

「圏外」にしぶとく生きる編集者やアーティストがいるように、芸能にも「圏外」というサバイバル・フィールドがある。今週から始まる不定期連載「圏外芸能人」。書いていただく菅原養史(すがわら・おさむし)さんは――「1980年生まれ、個性的な流れ者の漁師や肉体労働者が多く住む港町・神奈川県の三浦三崎に育つ。ひょんなことからAVの世界に迷い込み、気づけばうつ病とお付き合いしながら細々と熟女系ドラマAVの監督として10年の月日を迎えた自称・AV監督。とあるドラム奏者を被写体に自主制作ドキュメンタリーも制作中」という、こちらも圏外のツワモノ表現者。ご紹介いただく最初の「圏外芸能人」は、いちど聞いたら忘れられない芸名の、懐かしいあのかたです!

続きを読む

lifestyle

快楽の先のどこか

某日、品川のシティホテル、ツインルーム。ベッドの上で全裸の女が、ときに声をあげながらからだをくねらせる。そこにヒゲ面、サングラス、短パン姿の初老男性がのしかかり、局部に指を這わせ、ヒゲで乳首をこすり、手の甲に生えた毛まで使って「マッサージ」を続けている。こちらは隣のベッドに座って見ているだけ。さっきから1時間あまりも続いていたセッションは、女が何度目か全身を突っ張らせてからだを震わせたあと、「じゃあここらでひと休みしましょうか」という声で、仕切り直しになった。男の名は玄斎(げんさい)。ふだんは鍼灸マッサージの店を都内で開業しながら、それとは別に「回氣堂玄斎」という名で、性の喜びによって心身の変調や歪みを治癒する「快楽術(けらくじゅつ)」を実践して、もう30年以上というマスター・セラピストなのだ。

続きを読む

lifestyle

ウグイス谷のゴム人間

深夜3時、日付が変わって5月6日になった鶯谷の「東京キネマ倶楽部」。舞台を埋めつくすのはピーコックのように、レインボーのようにカラフルなゴムの衣裳を着込み、というより全身に被せて、思い思いのポーズを決める60人近くの「ラバーフェチ」。そしてその足元に群がる、さらに多くのカメラマン、というよりカメラ小僧。なんでラバーなのかって? それは5月6日が「ゴムの日」だから。そしてここが月にいちどの『デパートメントH』だから!

続きを読む

lifestyle

連載:スナックショット 19 石川、福井(平田順一)

どうも平田です。卒業に就職に人事異動に契約更改、年度が替わって落ち着かない4月の1回目は開店祝いの花輪を巡る旅です。十数年まえに富山県で廃線の危機にある鉄道に乗って探索していたところ、沿線の街のスナックの佇まいに惹かれ、観光ガイドに載らないような街の風景を求めて全国各地を記録して歩くようになりました。これをスナックショットの第1回に書きましたが、厳しい気候風土のなかで培われた北陸地方の街並みはとりたてて魅力的に映ります。しかし時期によっては、ビル全体を埋め尽くすくらいに花輪を飾ってあるのは何故でしょうか?

続きを読む

lifestyle

追悼・濡木痴夢男

すでに数々のツイートやブログなどで書かれているように、濡木痴夢男さんが亡くなった。8月中旬に呼吸困難で倒れ、9月9日に永眠。故人の強い希望ということで、お身内だけで葬儀を済ませたあと、こちらにもようやく知らせが回ってきたのが、9月中旬のことだった。1930年のお生まれなので、83年の生涯ということになろうか。濡木痴夢男(ぬれきちむお/本名・飯田豊一)はご存じの方も多いだろう、SM小説家、縛り師として、日本のSM美学をここまで完成させた、最大の功労者のひとりである。

続きを読む

lifestyle

ハダカのこころ、ハダカの眼 02 上野のおいどん(牧瀬茜)

不忍池からほど近い、飲食店が並ぶ通りに建つ雑居ビルの地下1階に、ストリップ劇場がある。表には「シアター上野」と赤い字で大きく書かれた、黄色の角型の電光看板が置かれている。踊り子の写真が壁いっぱいに貼られた狭い階段を下りると受付があり、その先にはたたみ1畳ほどの通路兼喫煙所がある。そして、その奥の黒い扉の向こうが場内だ。客席は30ほどあるだろうか。40人も入れば満杯で身動きできないほどになってしまう。そんなときに後方の席や立ち見になると、人の頭と頭の隙間から踊り子の手の先やら頭やお尻や背中なんかがちらりちらりと見えるのだそうで、それはまるで覗き見をしているような感じなのだ、と客の一人が話していた。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 3――フィリピーナは休みの日に何をしているのか? 哀愁のシーフードヌードルと地獄の教会編(比嘉健二)

フィリピンパブで夜働いているフィリピーナはオフタイム、休みの日にいったいどういう過ごし方をしているのか? おそらく常識ある一般人の方はまったく想像がつかないであろうし、そんなことを知りたいとも思わないだろう。ただ、あえて今回このテーマにしたのは、フィリピンパブという空間に常識人も突然ハマる、もしくは転落する可能性がけっこうあるからだ。そうなってしまった時、このコーナーはおそらく偉人の啓蒙書のように感じられることだろう。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 04 さよならパーティー おやじの涙とフィリーピーナの涙、その意味はまるで違う(比嘉健二)

フィリピンパブのせつなくて滑稽なイベントとして、1)自分の誕生日、2)クリスマスパーティー、3)さよならパーティー、この3大イベントがあげられるが、なかでも「さよならパーティー」のおかしさ、悲しさ、むなしさはそこらへんの恋愛小説やドラマよりはるかに面白く、奥深い。ただ、残念ながらこの「さよならパーティー」は今ではあまりみられなくなってしまった。というのも2005年にタレントビザの規制が強化され、フィリピンからそれまで大量に来日していた、タレントの来日が厳しくなってしまったのだ。

続きを読む

lifestyle

新連載! 老遊女 01(中山美里)

ほとんどストリップ業界のオフィシャル・フォトグラファーのような立ち位置で、激減するストリップを撮り続ける写真家が谷口雅彦さんだ。その谷口さんとおしゃべりしていたとき、「前に『漂流遊女』っていう連載をしてたことがあって、その続編をやりたいんですけど、どの雑誌もウンと言ってくれなくて・・」と嘆くので、企画内容を聞いてみたら、AVや風俗で働く老女たちを訪ね歩きたいのだという! 谷口さんが写真、フリーライターの中山美里さんがテキスト。だいたい一般誌で取り上げられないネタを引き受けるのがエロ雑誌だけど、エロ雑誌ですら引き受けられないネタ・・・それはメルマガしかない! というわけで、これから月にいちどのペースで想像を絶する、しかもどこか愛おしい老女たちの生きざまをご紹介してもらうことになりました。

続きを読む

lifestyle

老遊女 03 3億円の宝くじ当選を夢見る、恋する老遊女 後編(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

ちなみにそのバッグの中には、財布や携帯、図書館で借りた本、チラシ、ポイントカード、病院の診察券などが入っている。大事なものや今使っているものなどだ。つまり宝くじは、沢村さんにとって、財布や携帯とともに持ち歩くほど大切なものだということになるだろう。「これで逗子に土地を買うのよ」3億で土地を買い、建物を建て、現在つきあっている5歳年下のIさんという男性と一緒に介護ビジネスを始めるのだと語り始める。

続きを読む

lifestyle

ハダカのこころ、ハダカの眼 04 絵描きの日田さん(写真・文 牧瀬茜)

「ストリップが新聞で取り上げられるなんて摘発のときだけですからね。画期的なことだと思います。素晴らしいことです」少し興奮した様子の日田さんは、胸の内ポケットから手帳を出し、その中から丁寧に折りたたまれた紙片を取ってテーブルの上に広げた。それは、数日前に某大手新聞の文化欄に載った5センチ×6センチほどの記事の切り抜きだった。『時代に踊ったストリッパーを撮り続けた元興行師の写真展』、そんな見出しだった。

続きを読む

lifestyle

老遊女 04 5億稼いだシャブ中ソープ嬢の穏やかな老後(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

以前、『F』というAVプロダクションがあった。全身に和彫りの入ってるメンタルを病んだ女性や、まだ19歳なのに30歳過ぎの中年にしか見えないブクブクに太っている女性など、「この人たちは本当にAVに出られるんだろうか?」という女性ばかりが入っているスゴイ事務所だった。『F』を知ったきっかけは、私の夫(元コアマガジンの編集者)が、『マッドマックス』という雑誌で、その名も『スゴイAV女優』というタイトルの地雷女の宣材(メーカーなどに持っていくプロフィールシートのこと)をただ並べるだけという企画をやったことがあり、ちょうど私がインタビューしてみたいと思っていた女性が『F』に所属していたため、紹介してもらったのだった。ちなみにその企画の際、もっともたくさんの宣材を提供してくれた事務所が『F』だったのはご想像のとおりである。

続きを読む

lifestyle

レーパーバーンで『カンパイ』3(文:坪井由美子 写真:坪井由美子、都築響一)

「ヨーロッパの歌舞伎町」ハンブルク・レーパーバーンで、酔っぱらいドイツ人相手に店を開く名物寿司屋「KAMPAI」。こころ優しき大将・榎本五郎(通称「エノさん」)のドイツ人生劇場、ついに大団円! お待たせしました!

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 05 涙のバースディ編(写真・文 比嘉健二)

ただでさえ客層の高齢化に拍車がかかり、店も客も瀕死のピンパブだが、未だにひとつだけ盛り上がるイベントがある。それがフィリピーナの誕生日を祝う「バースディイベント」なのだ。なんだ、ホステスの誕生日を祝うイベントならキャバクラだってひけをとらない、というのがごく平均的な意見だろう。このコーナーで再三語っているように、すべてが滑稽な空間であるフィリピンパブでは、残念ながら(?)それがキャバの比ではない。バースディイベントがなぜかくも特異で滑稽な空間であるかということを説明する前に、まずフィリピーナがいかに「誕生日」というものに人生のウエイトをかけているかを、解説する必要があるだろう。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 06 ぶらりピンパブ、ローカル線の旅 中央線特急・石和温泉編(写真・文 比嘉健二)

フィリピンパブはほぼ日本全国にある。こういうと信じられないというのが、まっとうな常識人だ。ところが実際は、北海道の網走から沖縄の東大東島まで、くまなく全国に存在している。ではなぜ、多くの人間に意外だと思われるのか。ひとつには「関心がない」ため。その存在に目がいかないからだろう。ピンボケのおやじ達は普通の人間が気がつかない「その存在」を発見する、ある種の「特技」を身につける。答えは店の名前(ボラカイだとか、マニラクイーンだとか)、そしてさりげなく店の外に掲げられるフィリピンの国旗。このふたつを遥か500メートル先から察知できる、「負の能力」が身につくのだ。そしてもうひとつ、フィリピンパブの存在する地域が比較的男の歓楽街、もしくはなぜこんなとこにっていう過疎に存在しているから、そこに足を踏み込まない限りわからないのだ。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 07 空気を読めないおやじの最後の楽園:ピンパブに生息する変なおやじ図鑑と、ピーナが好きな意外なJ-POP(写真・文 比嘉健二)

これまでピンパブ及びピーナについて散々語ってきたが、今回はそこに集う、あるいはのめりこんだ、いわゆる人生を「転がり落ちていった」客の話を紹介してみよう。これを読んだあと、多くの方が「アーよかった、自分はここまで落ちてはいないな」と再認識するはずだ。逆説的に言えば、人に勇気と希望を与えることにもなるだろう。俺は2005年の9月からピンボケ病という病にかかり、以来完治する見込みはない。もちろん、フィリピーナという強烈なウィルスに感染したわけだが、同時にそこの空間とそれを共有するウィルスにも、少なからず感染してるわけだ。俺の場合の感染ルートはやや特殊で、実は「客とその空間」のおかしさに先にやられた口だ。

続きを読む

lifestyle

老遊女 07 熟女花びら4回転 前編(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

前回の「鴬谷デッドボール」の系列店である「鴬谷おかあさん」に、今回は突撃。この店は30〜60代の熟女をウリにしたデリヘルである。地雷だらけのデッドボールとは違って、体型はスレンダーからグラマーまで、外見も美しい方が所属している。今回、インタビューをしたのは40代後半〜50代の4人の女性。“老”の冠をつけてしまうのは、いささか申しわけない、おばあちゃん世代ではなく、おかあさん世代の年齢だ。超熟女とでも呼ぶとよいのだろうか。さて、取材日当日は、東京では珍しい朝からの大雪だった。電車が止まるかもしれないというニュースが流れるなか、山手線で鴬谷に向かう。こんな天候で、果たして女性たちは出勤しているのだろうかという不安があったが、大雪の日の風俗の待機室を覗く機会なんて滅多にない。一体、どんな状況なのだろうかという好奇心もあり、約束の時間どおりに事務所を訪ねた。

続きを読む

lifestyle

老遊女 09 寝取られ老人とスケベ老女が出演する超熟AVメーカーに行ってみた!(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

ルビーというAVメーカーがある。ご存知の方もおられるだろうが、圧倒的多数の方が知らないと思う。熟女AV女優が出演する作品を作っているメーカーで、今までの最年長AV女優は77歳とのこと。熟女というよりは、超熟女、高齢者と呼んだほうがいいような60~70代の女優も、年間約10本撮影・販売されている。50代の女優は“ざらにいる”と言ってもいいほど。ホームページを見ると、50~60代の女性たちが、ルビーから月に3人ほどデビューしているのが分かる。

続きを読む

lifestyle

上新庄のヘルマプロディートス(写真・文 ヤマモトヨシコ)

ヤマモトヨシコさんから久々に連絡があり、「なかなか不思議な出会いがあったので、書いて送ります!」と言われて、届いたのがこれからおおくりする「大阪版・両性具有物語」である。タイトルにある「ヘルマプロディートス」とはギリシャ神話に登場する両性具有の神。もともとは美少年だったのが、水浴び中に泉の精に強姦されて、むりやり合体、両性具有者にさせられたという・・・フェリーニの『サテリコン』に出てくる両性具有の生き神もそうだし、美術作品では豊かな乳房を持った少年や、男根を持った女性などの姿でしばしば描かれてきた。さて、大阪のヘルマプロディートスは、いったいどんな生き神様なのだろうか。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 08 なにかとお騒がせなフィリピン女性の下半身事情 元校長、ピンボケ同士としては無罪?!(文:比嘉健二 写真提供:住倉カオス、ピンボケ69)

4月のワイドショーの主役は例の神奈川の中学の元校長。1万人以上のフィリピン女性とやりまくり、しかもご丁寧にその相手との「思い出のアルバム」を年代順にファイルしていたというから、そこらへんのエロ本編集者は大いに見習うべきだろう。再就職先はミリオン出版あたりを勧めたいところだ。世間がこのニュースにかくも反応したのは、その歳が定年を迎えた60代ということ大きいだろう。日頃「死ぬまでSEX」だの「60からの回春」なんてさんざん特集している週刊誌の連中も、まさかの本物の登場にど肝を抜かれたことだろう。当然、こんなどうでもいいニュースに金をさけるのもまた大手週刊誌の強みで、「文春」「新潮」はこぞって現地まで取材に行き、元校長に斡旋したという元愛人のインタビューも掲載。何人か関係を持ったフィリピーナにも取材をしていた。ここまで熱心だったのは、自分も元校長とまでいかなくても、あわよくばと想像したに違いない。

続きを読む

lifestyle

圏外芸能人 vol.02 ナンセンスフォークの王様は今~南雲修治という生き方~(写真・文:菅原養史)

「♪ホンジャマ ホンジャマ ・・・・ わが身に春が 訪れてから やたらと行きたい女風呂 とにかく行きたい女風呂 粋な芸者の姉さんの 背中流してあげたいの」――軽快かつ軽薄なリズムに合わせてまるで銭湯の湯船に浸かっているようなイイ~湯加減の歌詞で始まるこの歌は昭和45(1970)年、デビュー間もない無名歌手が作詞作曲歌唱をして、何かの間違いでスマッシュヒットをしてしまった。オリコンチャート初登場76位、売り上げは公称45000枚。翌年にはこの歌を元に、『いちどは行きたい女風呂』という映画が日活で作られることになる。このシンデレラボーイは当時23歳の大学1年生(!)。その頃のフォーク歌手といえばベルボトムのジーンズを履き、汚いTシャツを着て長髪姿で反戦やら愛だの恋だのをギター片手に歌うのが主流だった。そこへ突如として現れた黒縁眼鏡に角刈り頭、スラックスを履いた野暮ったい姿のこの男。歌っている内容ときたら、便所やらウンコやらバキュームカーやら女風呂やらと、スカした若者なら鼻をつまんで逃げそうな下ネタソング。三上寛や友川カズキとは一味違う、まさにアウトサイダーフォーク歌手・・・その男の名は南雲修治。かつてナンセンスフォークの帝王と呼ばれた男だ。

続きを読む

lifestyle

老遊女 02 3億円の宝くじ当選を夢見る、恋する老遊女 前編(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

「ちょっと、この話、聞いてもらえます? ペナルティが20万円、発生しちゃったんですよ……」前回の記事を書くにあたって、最年長AV女優の黒崎さんにインタビューを申し込んだ。その際、プロダクションのマネージャーから、ある女性をインタビューしてくれないかと逆にお願いをされた。その女性は沢村みきさん。昭和23年生まれ、65歳の女性である。沢村さんに、とあるAVメーカーから仕事の依頼が入ったのだが、撮影日の当日、現場に向かう途中の道端で具合が悪くなって、沢村さんが倒れてしまったのだという。

続きを読む

lifestyle

ハダカのこころ、ハダカの眼 05 踊り子という選択(写真・文 牧瀬茜)

ストリップとは何ぞや……。戦後、額縁ショーから始まった日本のストリップは、時代の流れの中で多様化し、変容してきました。時代の流れとはいっても需要だけがストリップの変遷を決めてきたわけではなく、そこには常に警察とストリップ屋とのいたちごっこが絡んでいたそうです。法の目を掻い潜りながら行きつくところまで行きつき、後を追かけるように張り巡らされてきた規制の網の中で窒息しそうになりながらも生き抜いてきた過程そのものが日本のストリップ文化なのかもしれません。

続きを読む

lifestyle

日展という魔界

やっぱりいまだに泰西名画が強いんだな〜、としみじみ思うが、そういうなかでいまだに別格、最強クラス、しかし現代美術ファンにも、欧米古典美術ファンにもほとんど見向きもされない「日本最大の公募美術展」がある——そう、日展だ。去年10月30日に朝日新聞がスクープした、書道部門での入選事前配分という不正行為に端を発した日展スキャンダル報道を、興味深く読んだかたもいるだろう。一般的にはほとんど話題に上ることのない、過去の遺物的な印象しかない展覧会が、いまだにそれほど力を持っていたというか、パワーゲームの舞台になっていたことに、驚いたひとも多いのではないか。

続きを読む

lifestyle

老遊女 06 デッドボールで没収試合! 後編(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

『地雷! レベルの低さ日本一』がキャッチコピーの風俗店、『デッドボール』の後編、いきます! ちなみに地雷とは、前回説明したが、ここでもう一度おさらい。デブ、ブス、ババアという、当たったら痛い風俗嬢のこと。そもそもは、写真の加工技術が進化してパネマジ(パネルマジック)全盛の昨今、風俗嬢は実際に会ってみないと、本物の容姿がどの程度なのか分からなくなっている。そのため、「やってきたら爆弾女だった…」なんてことはざら。実際にプレイがスタートしたら、性格の問題で満足できないというレベルではなく、苦痛な時間を味わされたという残念なときもある。そんな容姿や性格が地獄な女性のことを、ネットや風俗愛好家たちの間では地雷と呼んでいるのである。さて、そんな痛い風俗嬢ばかりのデッドボール…。インタビューを受けてくれたのは、オビスポさん、65歳である。名前の由来は巨人と日本ハムに在籍していたウィルフィン・オビスポ選手である。

続きを読む

lifestyle

老遊女 08 熟女花びら4回転 後編 〜嘘つき女と出稼ぎ母さん〜 (文:中山美里 写真:谷口雅彦)

先日、私自身がインタビューを受けたことがあった。それは風俗嬢に関するものだったのだが、「風俗やAV女優など今まで何人ぐらいのインタビューをしたことがあるか?」と問われ、改めて過去を振り返ってみた。今月(2015年2月)だけでデリヘル嬢3人、職業愛人2名、AV女優1名、SM嬢1人、風俗経営者3名と合計10人に話を聞いている(ちなみにこの老遊女のインタビューは先月行った)。少ない月でも3人にはなる。おそらく少な目に見積もっても月平均5〜6人になるのではないだろうか。そうやって計算すると、750〜900人くらいになる。「同じ人から何度も話を聞くこともあるので延べ人数になってしまうが、アダルト系の取材をするようになって12年半くらいになるから、計算上だと1000人弱になりますね」そう答えてみて、自分でも「そんなに話を聞いてきたのか」と驚いてしまった。

続きを読む

lifestyle

老遊女 10 8本のAVに出た76歳のナンパ師、ジゴロRYU氏を家庭訪問!(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

AVという世界。素人といっても企画女優が出ていることもあるし、どこまでが本当でどこまでがフィクションなのかは分からない。だが、私が知る限りこのRYU氏、「RUBY」の「ジゴロRYU氏の秘蔵映像コレクション」シリーズにしか出演していない。(中略)前回「RUBY」の制作スタッフにインタビューをした際、「ジゴロRYU氏に話を聞いてみたい」とお願いしたところ、「今はもう撮っていないんですよね。バクシーシ山下さんが連絡先を知っているので、聞いてみて下さい」とのことだった。

続きを読む

lifestyle

かなりピンボケ 09 ピンパブを舞台にした映画が1週間限定、新宿で上映――ごく一部のピンマニアから注目された映画『ピン中』を「ピン中」が語る!(文:比嘉健二 [ピン中12年])

久しくこの連載をさぼっている間に、とんでもなく間抜けな映画が上映された。『ピン中』という題名からして、もう何を言わんとしているかはおわかりだろう。この連載のタイトルは「かなりピンボケ」。「中」か「ボケ」の違いはあるが、いずれにせよ、フィリピンパブ及びフィリピーナにものの見事に「感染」した特異な病を持つ、どうしようもなくグータラな男達のことを指す。で、いったいこの映画を俺のような同好の士から観たら、どんな映画評になるのかというところを書いてみよう。

続きを読む

lifestyle

老遊女 11 85歳の熟女が働いている超熟女専門店Xに突撃!(文:中山美里 写真:谷口雅彦)

風俗のメッカである東京都内の某駅。そこには超熟女専門のデリヘルというものがある。ホームページを見てみると、所属している女性は40代後半以降で、50代、60代がメイン。70代、80代の女性もいて、最高年齢は80代半ばというから驚きである。しかし、実はこの店以外にも、都内には超熟女をウリにした風俗店がいくつかあり、いずれも60代以降の女性たちが何人も働いている。さすがに数は多くないため、駅名を書くと大方の検討がついてしまう。

続きを読む

  • TOP
  • バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン