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比嘉 健二
lifestyle
新連載 かなりピンボケ――さすらいのピンパブ放浪記(比嘉健二)
比嘉健二という編集者をご存知だろうか。『ティーンズロード』『GON!』『実話ナックルズ』など、その時代時代のアンダーグラウンド・パワーをもっとも的確にキャッチする媒体をつくりあげてきた編集者だ。僕と同じ歳でほとんどただひとり、ライバルだと勝手に思ってる同世代の同業者でもある。暴走族、ヤクザ、足立区・・・比嘉さんが得意とする分野は最高に偏ってて、最高におもしろいのだが、彼はまた「ピンパブ」=フィリピン・パブの権威でもある。年にほんの何回か、「たまには」と会って飲むとき、比嘉さんが話してくれるフィリピーナと、フィリピーナにハマったおやじたちのストーリーはめちゃくちゃおもしろくて、何度か行きつけのピンパブにも連れてってもらった。
lifestyle
かなりピンボケ 05 涙のバースディ編(写真・文 比嘉健二)
ただでさえ客層の高齢化に拍車がかかり、店も客も瀕死のピンパブだが、未だにひとつだけ盛り上がるイベントがある。それがフィリピーナの誕生日を祝う「バースディイベント」なのだ。なんだ、ホステスの誕生日を祝うイベントならキャバクラだってひけをとらない、というのがごく平均的な意見だろう。このコーナーで再三語っているように、すべてが滑稽な空間であるフィリピンパブでは、残念ながら(?)それがキャバの比ではない。バースディイベントがなぜかくも特異で滑稽な空間であるかということを説明する前に、まずフィリピーナがいかに「誕生日」というものに人生のウエイトをかけているかを、解説する必要があるだろう。
lifestyle
かなりピンボケ 06 ぶらりピンパブ、ローカル線の旅 中央線特急・石和温泉編(写真・文 比嘉健二)
フィリピンパブはほぼ日本全国にある。こういうと信じられないというのが、まっとうな常識人だ。ところが実際は、北海道の網走から沖縄の東大東島まで、くまなく全国に存在している。ではなぜ、多くの人間に意外だと思われるのか。ひとつには「関心がない」ため。その存在に目がいかないからだろう。ピンボケのおやじ達は普通の人間が気がつかない「その存在」を発見する、ある種の「特技」を身につける。答えは店の名前(ボラカイだとか、マニラクイーンだとか)、そしてさりげなく店の外に掲げられるフィリピンの国旗。このふたつを遥か500メートル先から察知できる、「負の能力」が身につくのだ。そしてもうひとつ、フィリピンパブの存在する地域が比較的男の歓楽街、もしくはなぜこんなとこにっていう過疎に存在しているから、そこに足を踏み込まない限りわからないのだ。
design
エロ手帖・誕生秘話
オヤジ道の正しいあり方を、笑いと涙で教えてくれる本メルマガの人気連載「かなりピンボケ」の比嘉健二さんと、年末に「今年の大晦日もピンパブでカウントダウンですかね」などと茶飲み話していたときのこと。「そういえば都築さん、エロ手帖って知ってる?」と言われて驚いた。ずっとむかしに古書店で見つけて驚愕、デザイン雑誌『アイデア』で2000年に記事を書いて、その後『デザイン豚よ木に登れ』にも収録したのだが、比嘉さんも神保町の古書店で見つけて、当時編集長をしていた雑誌『GON!』で特集したことがあるという。さらに「そのころは温泉街とかで売られてるのかと思ってそう書いたんだけど(僕もそうだった!)、それからいろいろ調べてみたら、ぜんぜんちがったんだよね」と、意外な真相を教えてくれた。ピンボケでもおなじみの粘り腰を存分に発揮しての調査結果を、以下にお読みいただこう!
lifestyle
かなりピンボケ 07 空気を読めないおやじの最後の楽園:ピンパブに生息する変なおやじ図鑑と、ピーナが好きな意外なJ-POP(写真・文 比嘉健二)
これまでピンパブ及びピーナについて散々語ってきたが、今回はそこに集う、あるいはのめりこんだ、いわゆる人生を「転がり落ちていった」客の話を紹介してみよう。これを読んだあと、多くの方が「アーよかった、自分はここまで落ちてはいないな」と再認識するはずだ。逆説的に言えば、人に勇気と希望を与えることにもなるだろう。俺は2005年の9月からピンボケ病という病にかかり、以来完治する見込みはない。もちろん、フィリピーナという強烈なウィルスに感染したわけだが、同時にそこの空間とそれを共有するウィルスにも、少なからず感染してるわけだ。俺の場合の感染ルートはやや特殊で、実は「客とその空間」のおかしさに先にやられた口だ。
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かなりピンボケ 08 なにかとお騒がせなフィリピン女性の下半身事情 元校長、ピンボケ同士としては無罪?!(文:比嘉健二 写真提供:住倉カオス、ピンボケ69)
4月のワイドショーの主役は例の神奈川の中学の元校長。1万人以上のフィリピン女性とやりまくり、しかもご丁寧にその相手との「思い出のアルバム」を年代順にファイルしていたというから、そこらへんのエロ本編集者は大いに見習うべきだろう。再就職先はミリオン出版あたりを勧めたいところだ。世間がこのニュースにかくも反応したのは、その歳が定年を迎えた60代ということ大きいだろう。日頃「死ぬまでSEX」だの「60からの回春」なんてさんざん特集している週刊誌の連中も、まさかの本物の登場にど肝を抜かれたことだろう。当然、こんなどうでもいいニュースに金をさけるのもまた大手週刊誌の強みで、「文春」「新潮」はこぞって現地まで取材に行き、元校長に斡旋したという元愛人のインタビューも掲載。何人か関係を持ったフィリピーナにも取材をしていた。ここまで熱心だったのは、自分も元校長とまでいかなくても、あわよくばと想像したに違いない。
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かなりピンボケ 09 ピンパブを舞台にした映画が1週間限定、新宿で上映――ごく一部のピンマニアから注目された映画『ピン中』を「ピン中」が語る!(文:比嘉健二 [ピン中12年])
久しくこの連載をさぼっている間に、とんでもなく間抜けな映画が上映された。『ピン中』という題名からして、もう何を言わんとしているかはおわかりだろう。この連載のタイトルは「かなりピンボケ」。「中」か「ボケ」の違いはあるが、いずれにせよ、フィリピンパブ及びフィリピーナにものの見事に「感染」した特異な病を持つ、どうしようもなくグータラな男達のことを指す。で、いったいこの映画を俺のような同好の士から観たら、どんな映画評になるのかというところを書いてみよう。
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かなりピンボケ 10 ピンボケグルメ(文:比嘉健二)
ご無沙汰です、単純にナマケてて原稿を書けませんでした。今回の「ちょっとピンボケ」は比嘉健二(依然ピンボケ進行中、重症)による「ピンボケグルメ」研究。いったいフィリピーナはどんなメシを食べているのか・・・誰も興味ないだろうけど。フィリピーナとメシといっても夜、フィリピンパブで働いている現役と、引退あるいは日本人のダンナとつつましく日本で暮らしている家庭持ちのフィリピーナではかなり、その食事内容が違ってくる。パブで働くフィリピーナは店から一定のノルマを課せられている。
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かなりピンボケ 11(番外篇)ピンパブ専門の呼び込み――亀戸の夜に20年以上立ち続ける“小さいおじさん”こと田中さんの自堕落半世記(文:比嘉健二 写真:福田光睦)
すっかりご無沙汰。あれだけ好きだったフィリピンパブの話もすっかり書く気力さえなくなり、そのグータラなところは、仕事嫌いで遊ぶ事が何より大好きな、フィリピン人男性化しつつあると、やや不安を覚えてる今日この頃なのだ。もっとも、書くという作業は放棄しているけど、相変わらず週に2、3回はピンパブで遊んでいるのだから、不安は見事に的中している。おそらくDNA鑑定したら、俺の血液は半分フィリピン人になっているはずだ。ところが今回、これは書かずにおけないというテーマに遭遇した。それはピンパブ専門の呼び込みを生業として、30年以上の人生をだいなしにした田中さん(たぶん仮名)。通称“小さいおじさん”という、こっちの世界ではそれなりに有名な人物の話を聞き出す事に成功したからだ。といっても他のメディアはどこも注目してないから、実際インタビューのオファーを出したら、意外にも即OKの返事が来た。もちろん舞い上がったのは俺ぐらいなものだろうけど。
lifestyle
かなりピンボケ 12 涙の俺のバースディ編(文:比嘉健二)
以前、ピンパブにおけるバースディ・イベントがいかに重要であるかを説いた。この場合のバースディとは当たり前だが、フィリピーナのことを指す。が、今回取り上げたいのは客側。つまりあの空間にボケーッとダラダラ無駄な時間を過ごしている、だらしないピンボケの客の事を指す。で、今回の客のバースディとはつまり“俺”の事である。俺は5月30日が誕生日で、今年で還暦を過ぎる事2年なのだが、2006年から毎年この夜はフィリピンパブで祝ってもらっている。別に俺はいい歳こいて誕生日など祝ってもらいたくもないのだが、これが摩訶不思議な事に、ちょっとでも仲良くなったフィリピーナ達はさりげなく話した客の誕生日をしっかり覚えているのだ。まぁ、それだけかの国の人達は本当に誕生日というものが重要ということなのだ。
lifestyle
新連載! ティーンズロード回想録 よろしく流星 第1回 伝説のレディースにムチャクチ怒鳴られた・・・日本全国のヤンキーを追い求めて約5年。俺が見た、面白くて、ちょっぴり恐かったあの秘蔵話を大公開!(文 比嘉健二)
1989年秋、埼玉県東松山の某公園。きれいに晴れ渡った秋空のさわやかさとは真逆な光景。紫のニッカにさらしを巻いた13~16歳位の少女と、タイトのスーツを纏った、その少女達よりやや年上に見える少女の一団に取り囲まれた、大人二人。その大人の一人が俺だ。タイトスーツの少女が俺に向かって怒声を投げつけている。何も答えられず、ひたすらうつむく俺ともう一人の大人。彼はカメラマンの山下。山下もひたすらうつむいている。「なんで、私が来る前に後輩を先に撮ってしまうのよ! 私が来るのを待つのが常識でしょ!」そのチームの総長であるU子の怒りは収まりそうにない。「いや、だって遅れたのは君で、後輩達が先に撮って良いっていうから・・・」なんて言い訳は喉まででかかったが言えない。ひたすら頭を下げる。
lifestyle
ティーンズロード回想録 よろしく流星 第2回 自信満々の創刊号だが・・・日本全国のヤンキーを追い求めて約5年。俺が見た、面白くて、ちょっぴり恐かったあの秘蔵話を大公開!(文:比嘉健二)
「止めときなよ、暴走族雑誌なんてさ、面倒くさいだけで、生意気な奴らをおたく扱える?」その男は応接間のソファに足を投げ出し、右手に持ったタバコは自分の頭上近くまで高々と上がっている。神経質なのか、しきりにタバコの灰を落としている。それは明らかにこっちを牽制している態度に見えた。同時にその目はまるでサメのように冷徹に俺を品定めしている。俺が今まで会ってきたどんな人物よりも威圧感がある。身体がデカイとか喧嘩が強そうだとか、そういう単純な迫力ではなく、何か、自分の心の奥底を鷲掴みにしてくるような洞察力の鋭さを感じた。この人の前では多分おべんちゃらとか通じないだろう。
lifestyle
ティーンズロード回想録 よろしく流星 第3回 史上最強レディース 三河遠州女番連合(通称・女連)参上! 前編 [文:比嘉健二(ティーンズロード初代編集長)]
豊橋駅前が女連72人で埋め尽くされた!――それは一本の電話から始まった。ティーンズ編集部は出勤とほぼ同時に、全国の読者や取材依頼のヤンキー連中からの電話がひっきりなしに鳴る。中には父兄や学校関係者からのクレームも少なからずあることはあるが、そういう対応にも次第に慣れてきていた。その一本の電話を取ったのは編集部最年少の今井だった。「編集長、内容がよく聞き取れないんですが、なんか文句があるみたいで、あと、ちょっとラリってるようです」シンナーを吸いながら読者やヤンキーからの電話は日に数回あるが、今井の態度を見ると、俺が対応したほうが早そうだったので電話を代わった。女性だったが、その声はあきらかに少女の声ではない。多分、OBだろう。確かにシンナー特有のラリリ方と、早口な名古屋弁があいまって、先方が何を言いたいのか理解するのに数分を要した。ティーンズに出ているレディースはみなハンパばかりだ、うちのチームはハンパじゃない、比較にならないので取材に来て欲しい。要約するとこういうことで、よくあるといえばよくある話。みな、自分たちのチームがナンバー1だと自負してる自己顕示欲の塊みたいな連中なのだから。「で、そちらは何人ぐらい集まりそうですか? え、ひ、100人以上・・・ですか。本当に?」
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ティーンズロード回想録 よろしく流星 第4回 史上最強レディース 三河遠州女番連合(通称・女連)参上! 後編 [文:比嘉健二(ティーンズロード初代編集長)]
「女連伝説」として連載開始――三河遠州女番連合(以下スケレン)が巻頭で掲載したティーンズロード1991年2月号は売れに売れた。VOL5で低迷していたテーィンズロードが、東松山紫優嬢の掲載で爆発的に売れ、息を吹き返してからしばらくは安定路線で月刊誌としては順調ではいたが、もうひとつ勢いに乗れそうで乗れない時期でもあった。このスケレンの登場で、完全にティーンズロードはヤンキー雑誌として他誌を凌駕した。読者、他のレデーィスからの賛否両論の意見が凄かったのは、スケレンの存在がそれだけ印象的だったということの証でもあった。こんな存在感のあるチームはそうは出てこないだろう。これはなにか連載を開始して、毎月スケレンを登場させたい。しかし、ネックは活動拠点が愛知県なので、そう頻繁には訪れることはできない点だろう。 そこで考えたのが、もういちど初代会長のぶこに会い、集中的にインタビューして、何回かにわけて連載することだった。題して「女連伝説」、ストレートでなんのひねりもないが、読者はこういう判り易さを求めている。
lifestyle
ティーンズロード回想録 よろしく流星 第5回 世間で叩かれ悪書指定に [文:比嘉健二(ティーンズロード初代編集長)]
青森でティーンズロード絡みのリンチ事件が――1991年ティーンズロードは大ブレイクした。90年の7月に月刊創刊され、前回でも紹介した三河遠州女番長連合の反響等もあり、出せば実売は平均90%ぐらいの勢いだった(特筆すべきは実はコンビニにはほとんど入っていなかったのだ。理由はこういう奴らがコンビニにタムロすると迷惑だからと不扱いに指定されていた)。部数も17万部ぐらいに膨らみ、世間でも一般的にも認知されてきた。この一般にも浸透したことが思わぬ事件を産んでしまった。1991年の夏休み明けぐらいだっただろうか、一本の電話が編集部にかかってきた。この日はたまたま俺しか編集部にいなかったので、すぐに受話器を取った。
lifestyle
かなりピンボケ 13 外出自粛編:毎日憂鬱、だからあの能天気な伝説のピンパブを語りたい (写真・文:比嘉健二)
高円寺「カレン」 JR高円寺駅高架下、飲み屋が密集した路地のど真ん中で、ほとんど下着姿に近い過激な露出のフィリピーナにブチュッとキスされる。「うわきだめよ、またあしたくるね、まってるからね、あいしてるからね」 ぴったり体を密着してこの別れの挨拶。高級ソープだってこんな見送りはしてくれないだろう。そんなやり取りに、かの有名な焼き鳥屋「大将」の客は100%軽蔑の眼差しを向ける。というか、あまりの醜態にまともに目を向けるのさえバカらしいというのが正解だろう。この羞恥にさすがの俺も最初は戸惑ったが、別に何も恥じらいがなくなるのがピンボケの所以である。ほどなくして俺はまったく、他人の視線をなんとも感じなくなってしまうほどに、脳内感染してしまったのだ。
book
新連載! 圏外雑誌 GON! 回想録 第1回 創刊前夜・幻の創刊準備号 一般流通させなかった超レア・タブロイド版制作裏話 (文:初代編集長・比嘉健二)
日本最強のストリート・エディター比嘉健二編集長による、伝説の雑誌創刊回想録。本メルマガで2018年にお送りした「ティーンズロード回想録 よろしく流星」に続く新連載のテーマは『GON!』。1994年に創刊され、2000年代に『実話ナックルズ』に後継されるまで、『ティーンズロード』『egg』など同じミリオン出版からの雑誌とともに、日本の90年代アンダーグラウンド・シーンの公式メディアとして熱い支持を得てきた。あの時代のコンビニ雑誌棚を懐かしく思い出すひとも多いはず。 振り返ればインターネット登場以前における印刷版のSNSとも言える、希有な雑誌の誕生秘話がいま、創刊編集者によって明かされる!
book
圏外雑誌 GON! 回想録 第2回 GON!創刊号 大方の予想を裏切り創刊号は売れに売れ、TVや大手メディアが食いついてきた――最底辺雑誌が出版界に風穴を開けた! (文:初代編集長・比嘉健二)
バイク事故、発売延期の陰にライバルあり――人は死ぬ間際に走馬灯のように様々な思い出が脳を駆け巡るというが、俺は「やばい! 死ぬかも!」これだけだった。通勤途中の青梅街道をいつものように400ccのバイクで走っていたら、チャリンコが急に歩道から車道に蛇行してきた。このままだと確実にチャリンコを跳ねる。俺は急ブレーキをかけたが、当然スリップして転倒。ただ、死んでいないことだけはわかった。沿道のヤジ馬がなにやら騒いでいる。それに気がついたと同時に、左足首に強烈な激痛が走った。ほどなくして救急車のサイレンが近づいてきた。この救急車は俺のため? チャリンコの運転手はどうなった? 救急車は俺のためだった。チャリンコを運転していたのは大学生風の青年で、かすり傷ひとつ負っていなかった。生まれて初めての救急車であり、バイク事故だった。この時点で20年以上運転していて、ただの一度も事故ったことがなった。命が助かったと安堵したのだろう、救急車の中で今度は現実問題に直面した。『GON!』の発売日まで2ヶ月もない。それに来週は創刊号の目玉企画の撮影がある。これは這いつくばってでも行かなければ。
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 98 『なくなったピンパブ』 比嘉健二(編集者)
ドレスで着飾ったステージ上のフィリピーナに俺は花束を渡した。そのフィリピーナの腕には、すでに他の客から贈られた数本の花束が抱えられていたが、明らかに自分のが一番大きい。「オー、ケンジありがとうね」ライカがしばし俺を見つめる。気のせいだろうけど、間違いなく俺からの花束を一番喜んでいるように見えた。それまで女性に花束なんて一度も贈ったことはなかったし、とっくに還暦を過ぎた今、この先こういう体験もないだろうから、これが人生で最後の花束贈呈だろう。ライカというフィリピーナの、今宵は日本最後の夜になるサヨナラパーティ。覚悟していたとはいえ、遂にライカと別れる日が来たのだ。50を過ぎたおっさんの胸は切なさと言い知れぬ寂しさで、足が地についていない状態だった。このサヨナラパーティから逆算して、俺は9日間連夜この店に足を運んだ。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!