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2012年08月22日 vol.032
art
軽金属の娼婦たち
いっとき、日本でだれよりもよく知られたイラストレーターで、いまはほとんど雑誌でも広告でも作品を見ることのなくなってしまったひと、それが空山基(そらやま・はじめ)である。「ソラヤマ」の名前を知らない世代でも、あのメタリックなアンドロイド美女のイメージは、どこかでいちどは見たことがあるだろう。空山さんはいま、商業イラストレーションではなく、オリジナルのドローイングを国内・海外のギャラリーで展示販売する、画家としての活動に集中している。
art
旅のついでに展覧会めぐり
まだまだ猛暑のただ中ではありますが、先週から各地でちょっとストレンジ・テイストな展覧会がスタートしたり、もうすぐ始まったりします。もう夏休み終わっちゃった! という方も多いでしょうが、ここでまとめてご紹介しておきます。場所は広島、山口、滋賀、東京・・どれかひとつでも、どこかで巡り会えますように。まずは以前、僕もオープニングのグループ展『リサイクルリサイタル』に参加した、広島県福山市の鞆の津ミュージアムでは、先週土曜日から『万国モナリザ大博覧会』なる展覧会を開催中。ちょうど空山基さんのハードコアなモナリザをお見せしたばかりですが――
archive
紫峰人形美術館
秋祭りの華ともいうべき菊人形。色とりどりの菊花を全身に挿した等身大の人形が、民話や歌舞伎の名場面を演じ出す伝統的な見世物だ。名古屋中心部から電車でも車でも1時間足らず、愛知県三河地方の高浜市吉浜は、いまでこそトヨタ関連の工場群と郊外型住宅が混在するサバービア・タウンだが、実はいまでも全国の祭りを飾る菊人形を制作する職人の7割を出している人形の町でもある。
2012年08月15日 vol.031
travel
圏外の街角から:鳥取市若桜通り
鳥取駅から県庁に向かって北に真っ直ぐのびる本通り(若桜通りとも)が、鳥取市のメインストリート。その両側と、左右にのびる商店街が、かつては鳥取市の買い物需要を一手に引き受けていた。本通りあたりの街並みは、実は近現代建築史の分野ではよく知られた存在なのだという。鳥取市は太平洋戦争最中の1943年に、死者1210人を出した大地震と、戦後間もない1952年の「鳥取火災」と呼ばれる、市内全世帯の約半数を焼失した大惨事によって、市内中心部の歴史的な街並みをほとんど失ってしまった。
travel
海景と死者の町
1時間かそこら走って、車窓の左側に大山の雄大な景観が見えてくるころ、JR山陰本線・赤崎駅への曲がり角がある。もともとの名前を赤崎町、2004年からは町村合併で琴浦町と呼ばれるようになった、あっというまに走りすぎてしまうような小さな漁村。どんな観光ガイドブックにも載らないこの地味な町に、これまた観光ガイドには載らない、とびきりの奇景が隠されている。ふつうの観光名所のように、道路標識はない。カーナビにも表示されない。「道の駅・ポート赤崎」を過ぎて、赤崎駅入口の交差点に差し掛かったら、その信号を海側に右折すれば、そこが赤崎の町。そしてさらに海側を走る細い道を見つけたら、それを右に折れてみよう。すると左の海側に・・すぐ見つかるはずだ、巨大な墓地が。
travel
連載:スナックショット 04 青森(平田順一)
どうも流浪のノイズフォークシンガー平田です。 2010年に開通した新幹線で、東京から3時間10分で着くようになった青森市ですが、ちょっとスピードと時間が実際の距離感覚に追いつかないというか、便利なのは良いですが小奇麗になりすぎて、演歌の似合いそうなスナックが急に淘汰されるんじゃないかとも思います。その新幹線の開通前、2007年と2009年に歩いた青森県下の記録です。
photography
記憶の島
川崎の生田緑地にある岡本太郎美術館で、いま『記憶の島――岡本太郎と宮本常一が撮った日本』という展覧会が開催中です(10月8日まで)。宮本常一(みやもと・つねいち)は偉大な民俗学者であり、僕のこころの師匠でもあるというか・・『土佐源氏』のような物語を、死ぬまでにひとつでいいから書いてみたいというのが夢でもあり。宮本常一は1907(明治40)年、岡本太郎は1911(明治44)年生まれ。ふたりは同時代人でもありました。そして岡本が華々しく活躍しながら、美術業界からは常に一歩引いた目で見られてきたように、宮本もまた民俗学の本流であった柳田国男派から長らく、徹底的に冷ややかな目で見られてきた、アウトサイダー的な存在でもありました。
2012年08月08日 vol.030
travel
バンコク猟盤日記
来週はお盆! 夏休み! メルマガに休みはないけど・・・。というわけで、来週はタイで夏休みを過ごそうというひともいるでしょう。羨ましい・・・。 ご飯にショッピングにエステ、いろんな計画を立てているみなさまに、今回はタイのレコード屋めぐりをおすすめする「バンコク猟盤日記」。タイ語が読めなくても、タイの音楽にまったくなじみがなくても、ジャケットを見ているだけでうっとりしてしまう、タイ製アナログ盤の魅力をご紹介しよう。僕がタイに通いはじめたのは、いまから10年ぐらい前。そして2004年から数年間は、年に何回もバンコクに通う「ハマリ状態」に。
art
夜露死苦現代詩2.0 最終回 レイトのアートワーク
文芸誌『新潮』で去年初めから連載してきた、日本語ラップの詩人たちを訪ね歩く旅「夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち」が、昨日発売の第15回で最終回を迎えました。これから単行本化の作業に入りますので、お楽しみにお待ちください。THA BLUE HERBにはじまって、B.I.G. JOE、鬼、田我流、RUMI、TwiGy、ANARCHY、TOKONA-X、小林勝行、チプルソ、ERA、志人、NORIKIYO、ZONE THE DARKNESSと、個性的なラッパーたちをたくさん紹介してきましたが、最終回を飾ってくれた「レイト」も、これまでの14人に負けず劣らずの超個性派。いままで登場したなかでもっとも詩的な感性にあふれたリリックを書くひとりです――。
art
日日 3 美は断面に宿る(大竹伸朗)
知らない街中を歩いているとグッと心を持っていかれる「ブツ」にときどき出会う。例えば煙突、看板、壁、鉄柱、鉄橋、窓枠、道を歩いていれば誰でも目にするものだ。個人的には時間を経た古いものに惹かれることが多いがペンキ塗り立てのギラギラでペラペラなブツのことも多々あり、それらの「ブツ底」には一筋縄では行かない共通項が潜んでいる。四の五の言わず仰ぎ見るブツをとりまく空間ごとスパッと切り取って持ち帰りたい! お宝との遭遇時には言葉にならないため息混じりの衝動がクックックと込み上げる。
travel
連載:スナックショット 03 北海道 後編(平田順一)
北海道には過去3回行っている。1回目は1990年で札幌と函館に行ったが、これは団体旅行のため自由行動皆無である。2回目は1998年で、この時も5日間乗り放題の「北海道フリー切符」を使用して稚内・網走・根室まで行ったが、JRの乗車距離を稼ぐあまり全部車中泊となってしまった。3回目は2003年で、往復千歳空港・札幌市内泊の格安ツアーパックを利用している。今回は4回目だが、過去3回は函館と札幌以外、ほとんど街を歩いていない。これを補完する意味で、徹底して街を歩くつもりで来ており実際に初日で7都市を歩いた。旭川のホテルでゆっくり考えようと思ったが、ビール3缶飲んだら眠ってしまった。
archive
國華という奇跡
現代美術がどれだけわかりにくいか、どこまで低俗に、グロテスクに堕ちられるかを競うゲームのようになりつつあるいっぽうで、いま古典美術に新鮮な関心を向ける人が増えている。記録的な成功を収めた若冲大回顧展でも、京都国立博物館を取り巻いて長い列を作ったのは、旧来の美術愛好家とはずいぶんちがう雰囲気の人たちが多かった。考えてみれば東京や京都の博物館にしても、名品を伝える寺社にしても、ずっと昔からそこにあったわけで、単にこちらの足が向かなかっただけのこと。「遠くの現代より近くの古典」、というのは少々おかしな言い方だが、すぐそばにありすぎて気がつかなかった「美」が、急に霧が晴れるように姿をあらわす、そんなときがあるようだ。
2012年08月01日 vol.029
travel
みちのく路の特殊美術喫茶・ブルボン
福島県いわき市・・県内最大の都市であり、東北全体でも仙台に次いで第2の人口を誇っているが、いかんせん知名度の低さはいなめない。先週号の編集後記でも触れたように、去年の大震災では死者310名、家屋の全半壊が数万軒にのぼる甚大な被害を出しながら、石巻などのようにマスコミに取り上げられる機会もほとんどないまま。福島第一、第二原発から30~70キロ圏内にあることで、なかなか観光客も戻ってこない。スパリゾートハワイアンズも、ようやく2月に全面再開したのに。 そのように地味なイメージを払拭できないいわき市ではあるが、珍スポット・ハンターたちには広く知られた名所がある。市内中心部、平(たいら)1丁目交差点近くにある『喫茶ブルボン』だ。
art
夭折の天才少年画家・沼祐一
会場は老若男女の山下清ファンで、オープン早々にもかかわらず驚くほど混み合っていた。『山下清とその仲間たち』と題されているように、本展は山下清を中心に、八幡学園で育った子供たちの作品が展示されているのだが、もちろん多くの入館者のお目当ては山下清。でも僕としては山下清はもちろん大好きだけれど(容姿も似てるし)、なかなか原画を見る機会のない他の入園児童たち、なかでも「沼祐一」という名の少年にすごく興味があった。以前に本の図版で見ただけで、原画はいちども見たことがなかったが、そのクオリティの高さには衝撃を受けていたので・・。
travel
連載:スナックショット 02 北海道 前編(平田順一)
どうも前回都築編集長からご紹介賜っております、得体の知れないノイズフォークシンガーの平田です。今回は夏の北海道、次から徐々に南へ進んでいこうかと思います。新幹線と高速道路が延びて地方空港の整備がすすんでも、気候と地理的条件は簡単に変えられないもので、炎天下の東京にいると、夏の北海道が天国のように眩しくみえる。2006年8月、求職中だった私は都内でJRに乗っていて、44000円で5日間北海道のJR乗り放題「ぐるり北海道フリー切符」のポスターを発見。金銭的にはやや苦しいが、応募中の仕事が進展していないので、盆休みをずらした夏の北海道に行くチャンスである。
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スナックの灯よ 闇夜を照らせ
3月11日から3ヶ月近く経った6月になっても、仙台塩釜港にほど近い多賀城市の飲み屋街は、がれきだらけだった。『さざん花』『ハニー』『酔族館』・・ぐちゃぐちゃになったドアや看板の先に、ひとつだけ灯りがついた飲食雑居ビルが見えた。がれきが積み上げられたエントランスを抜け、止まったままのエレベーターの脇の非常階段を2階まで上がってみると、一軒のスナックから楽しそうなカラオケの音が漏れている。そっとドアを開けてみると、若いママさんと、さらに若い女の子たちと、お客さんたちで店内はほぼ満員。いい感じに盛り上がってる! 少しずつ詰めてもらって空いた席に座って、とりあえずウーロンハイをぐびり。被災地を歩き回ってカチカチになっていたこころのしこりが、なんだか一気に溶けていくような気がした・・。
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ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!