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2025年04月23日 Vol.642

photography

紅子の色街探訪記2 撮影日記

ロードサイダーズではもうおなじみの色街写真家・紅子さんが新作「紅子の色街探訪記2」をまもなくリリース、刊行記念写真展が東京吉原と大阪飛田新地で開催される。 紅子さんを初めてロードサイダーズで紹介したのが2022年のインタビュー。その時点でSNSで写真を発表しはじめてから2年も経っていなかった。そのころから数冊のZINEはつくっていたが、初の本格写真集「紅子の色街探訪記」を刊行したのが2023年11月末。出版のためのクラウドファンディングが「カメラを48歳から独学で始めた私に326名様が4,538,900円をご支援くださいました」という結果で、ほぼ無名の、写真を始めたばかりの女性にこれだけの支援が集まったことに驚いたひとが少なくなかったろう。

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travel

東北タイ特殊寺院巡礼記 その3  ワット・パー・タムマ・ウッタヤーン

「象の寺」「崖の寺」と続いた東北タイ特殊寺院巡礼記、3回目は「森の寺」にお連れする。 コーンケーンの市街地から10キロ少々北上した農村部にあるワット・パー・タムマ・ウッタヤーン(Wat Pa Thamma Utthayan)は、いわゆる「森林寺院」。森林寺院とは特に上座部仏教(テーラワーダ仏教)において、自然の中、おもに森林に建てられた修行・瞑想のための寺院のことを指す。タイ語では「วัดป่า(ワット・パー)」と言い、「森の寺院」という意味になる。敷地面積70ライ(約28ヘクタール)という広大な寺域を誇るパー・タムマ・ウッタヤーンは、伝統的な仏教修行と、テーマパークのようなユニークな要素が融合した珍しいスポットでもあり、瞑想や修行目的で訪れる人だけでなく、観光や家族連れにも人気がある。

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travel

中原に花咲く無常信仰 ──3人の李さんをめぐる旅の記録──  写真・文:無常くん(副書記)

中原(ちゅうげん)、それは中華文明発祥の地。王道政治によって教化された彼の地は、儒教流ポリティカル・コレクトネスが浸透する清く正しい土地として、長らく中華世界の中心に君臨してきた。今でいう河南省を中心とする華北一帯がちょうどその辺りに該当する。 むろん、中心があれば周縁がある。まさに本連載で紹介してきた福建・広東・湖南・遼寧……は、かつて中原の周縁に位置する「化外の地」(未だ教化されざる野蛮な土地)とされてきた場所だった。今日それらの地域に儒教ポリコレに反する奇々怪々な民間信仰──すなわち「淫祠邪教」が根強く息づいているのも、おそらく上記したような土地の記憶が深く関係しているのである。 となれば、淫祠邪教が大好物の私にとって、意識高すぎの中原は用なしの場所ということになるのだろうか。答えは、否である。ひょんなことからかの地を訪れ、幾度かの旅を重ねてきた私は、今そう確信を持って断言することができる。なぜならそこに広がっていたのは、「子は怪力乱心を語らず(by孔子)」とは真逆の世界──すなわち、鬼神が尊ばれ、巫術が幅をきかせる、化外の地となんら変わらぬ景色だったからである。

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movie

絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション  触手ブーム到来か!? (文:押スノ踏マズ)

今年のエイプリルフール。AV村ではとんでもないことが起きました。「天高く」という謎のレーベルからリリースされた『触手学園 触手に堕ちた生徒会』が発売早々日間4位にランキングしたのです。週間・月間ランキングの上位にもランクインし、触手&AVファンと業界をざわつかせました。その内容は、なんと弱冠30歳の若手監督1,000万円自腹企画!! このご時世に!!! AV新法が導入されてから3年が経ち、じわじわとメーカーの体力が落ちていてめっきり元気のないAV村ですが、久しぶりにとんでもない企画モノが登場したのです。ランキング上位を賑わわせているのは、だいたい大手メーカーの1年落ち格安商品か福袋などのセール品です。そのなかでダークテイストに輝いていたこの『触手学園 触手に堕ちた生徒会』は4K版動画4,480円の高額商品です。 現場でも話題になり「あの監督は一体誰なのだ?」と噂で持ち切りになりました。二次元表現ではファンも多い触手界隈ですが、実写化では莫大な金額がかかるのでそんなにお目にかかれないのです。 というわけで、今月は触手モノAVを見ていきましょう!

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art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  80話 いつものドタバタ (画・文:新開のり子)

今日は血圧が高めで体がフラフラ。 数日前から血圧の薬が見当たりません。かかりつけの病院に電話をしたところ いつもとは違った優しい声での対応と違い、淡々と話す女性。 受付の人が変わってしまったようです。 相談で電話をしたはずが、 「薬をなくされた場合は、再発行はできませんから!実費になります!予約はいっぱいです!!!インターネットからお願いします」ガチャッ(電話が切られた音) 私は、「もしもし!もしもし!」 プープープー

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lifestyle

バンカラ女銘々伝 第26回  性の求道者に伴走する女 小倉ミチヨ (文:平山亜佐子)

1913(大正2)年から1955(昭和30)年まで約40年間にわたって続いた性の研究会がある。主宰者は小倉清三郎、ミチヨ夫妻。会員には知識人や著名人ら錚々たる面々が名を連ねていた。おもな活動は、会員の性のレポートを謄写版刷りの会誌「相対会研究報告書」に掲載すること。研究一筋の夫の協力者として弾圧と貧窮と闘ったミチヨは、ある意味で清三郎より過激な女性かもしれない。

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design

デザインの世間体 038  パブリックな絶景 (写真・文:若生友見)

今回扱うテーマは、前回のテーマ「色褪せた印刷物」を探しているときにいくつか見つけた副産物のようなものです。 まだ名前はついていないと思われますが、全国的に存在し、多くの人が目にしたことがありながら、それでいてほとんど(まったく)気に止められないものです。

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2025年04月16日 Vol.641

travel

東北タイ特殊寺院巡礼記 その2  ワット・タム・セーン・タム

先週の「象の寺」に続くイサーン地方の特殊寺院巡礼記は「崖の寺」。 コーンケーン市内中心部から北東にドライブすること約2時間半。タイで初めて恐竜の化石が発掘されたプー・ウィアン国立公園を越えた先、のどかな田園の背景にそびえる山々の中腹に、建つというよりへばりついた建築群があらわれる。まるで鳥取県の三徳山三佛寺を巨大にしたような。これが今週お連れするワット・タム・セーン・タムだ。

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music

ジャズとダンスのニッポン

大阪・千里にある関西大学の広大なキャンパスは数多くの村野藤吾建築でも知られている。そのひとつでもある関西大学博物館では、春期企画展として「ジャズとダンスのニッポン」と題したユニークな展覧会を開催中。企画構成は関西大学社会部教授の永井良和さん。大衆文化史が専門で、1991年の『社交ダンスと日本人』(晶文社)を皮切りに、これまで社交ダンスなどに関する著作を多く発表してきた。昨年末には展覧会と同名の新刊『ジャズとダンスのニッポン』(関西大学出版部)を刊行、今回の展覧会はその新刊の内容を、おもに永井さんが長く収集してきた実物の資料でじっくり辿れる貴重な機会になっている。

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lifestyle

極上世界の極上生活  02:極上世界がこれからやりたい「デコトラ爆破」とは!?  写真・文:極上世界(ぱにぱにぱにぱにともちんぱ&ふりふり)

こんにちは!極上世界のふりふりです。 極上・極上・極上世界!! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ワーイ!! 前回は極上世界ってなあに!? ぱにぱにとふりふりの関係とは!? みたいなことをカキカキしました。 今回は、極上世界が今後どんな活動をしたいかシェアハピしていきたいと思います。 愛本店でのパーティーや、大道芸術館でのミュージカルを主催した 私たち極上世界が今後やりたいこと!! それは、

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food & drink

世界の中のインド亜大陸食紀行/日本編 浦河町のインド人厩務員 後編 (写真・文:小林真樹 編集:島田真人)

前回、浦河町に住むインド人厩務員の生活についてを紹介したが、ここで改めて浦河町にインド人が増えた歴史について少しふれておきたい。もともと競走馬(軽種馬)の育成が盛んだった日高管区には現在、約13,000頭もの競走馬がいる。競走馬にもいろんな段階があるが、特にこの地域では若馬(1歳~2歳)をトレーニングしてオークションにかけられるまで、競馬用語でいう「幼駒」の育成・調教を主たる業務としているところが多い。その仕上がりがオークション価格を左右する重要な仕事である。

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photography

ニュー・シャッター・パラダイス 90  青臭さはスパイスか? (写真・文:オカダキサラ)

SNSで、イギリス食をテーマにした漫画コラムを見かけました。 「イギリス食は本当に不味いのだろうか?」という疑問から、イギリス旅行を企画した作家さんが、いろいろなレストランやカフェ、バーを訪ねて噂を確かめた体験記です。 内容を一言でまとめると、「イギリス食は不味いと美味いの差が激しい」とのこと。例えばスコーンはとても美味しいけれど、謎のスープは食べられないほどえぐかった、というようにコース料理でも、舌がとろけそうなものと、とても完食できないものとが混在していて、評価をまとめきれないでいました。

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art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  79話 一人はしご酒 (画・文:新開のり子)

仕事帰りになんだか飲みたくて街をぶらつきました。 張り紙には「お一人様大歓迎!ダーツもあります」 どうやら地下にお店があるようです。 階段の下を覗き込むと、地下のドアがバタッと開き、店の中から人が出てきました。 私は張り紙から目を離し、その場から離れようとモジモジしていると「ねえねえ寄ってかない?入って!入って!」と地下に案内されました。 店内にはカウンターにずらりと常連客らしき男女が座っていました。

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lifestyle

おいでよヘンタイの森 27  自分の体を感じるように変化させようとする変態  文・イラスト:mimi(会社経営&フリー女王様)

10年以上付き合ったM男くんの話  彼の名前はあっくん 出会ったころはまだ35歳くらい  彼との出会いはまだわたしが女王をしていたころ、出会い系で  普通のM的な感じのひとだった印象  彼は、そして資産家でお金持ち  会社は30代でやめて今は投資をして生きている  主に株取引なので、15時以降は時間がある人  そしてわたしと出会い  SMというか、自分の快楽に対しての探求心みたいなものに火がついてしまったみたい

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travel

ユーラシア後ろ歩き 30  湖岸鉄道でのんびり旅 (文・写真:多田麻美)

バイカル湖畔のスリュジャンカ行きの列車には、近郊列車らしい長閑さがあった。 イルクーツクは、市街地を少し離れただけで、風景がかなり田舎風になる。畑はそう見られないのだが、家々の素朴で古びた外観がそう感じさせるのだろう。風景と合わせるように、電車そのものもかなりのんびりと走っていた。電車とは名ばかりで、スピードは田舎道を走るバスのようだ。駅によっては待合室まで、田舎道のバス停のようだった。

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2025年04月09日 Vol.640

travel

東北タイ特殊寺院巡礼記  その1 ワット・パー・カム・ホゥア・チャーン

先月、取材とは別の用事でバンコクを訪れた。せっかくなのでどこか遠くまで行ってみようと思い、選んだのがタイ東北部イサーン地方。タイ有数に辛い料理や、最近ではモーラムのような伝統的な大衆音楽でもよく知られるようになった。タイ全土の約3分の1を占める広大なイサーン地方には、いくつか重要な都市があるが、今回はイサーン第2の都市コーンケーンに国内線で飛び(バスだとバンコクから約6時間)、そこを拠点にレンタカーで走り回ってみた。これから数回にわたり、その成果を報告させていただく。今回、コーンケーンからバンコクを経由して帰国したのが3月19日。ミャンマー地震が起きてバンコクも大きな被害が出たのは、その翌週だった。災害の規模を思うと、わが身の幸運を喜ぶ気持ちなどにはとてもなれない。せめて募金と、これまでと変わらず頻繁に旅することを続けていきたい。

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art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  78話 ローンの行方 (画・文:新開のり子)

着物展示会場で「似合う!似合う!」と言われ、すっかりその気になってローンを組んでしまいました。肩にズシッと重いものが乗り、前に進むことがでません。 スマホで「ローン地獄」と検索していたところで、着信がありました。出てみると着物の担当者からでした。 「大変申し訳ないのですが、手違いがありまして…ローンがまだ成立していないんです。」 えっ!これは!? 耳を疑いました。そして・・・ローン不成立!?

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lifestyle

シブメグの人生小劇場 41  サボってた10月の日記 (写真・文:シブヤメグミ)

私の心の大恩人・植島啓司先生を囲む会に行くため大阪に。 あれこれ予定を立ててたら、会いたい人や行きたい展覧会があったので、珍しく弾丸ツアーをしない方向で。しっかしどっこもホテルが高くてうんざりしていたら、西成でいいホテルを見つけて予約。 24時間働くバイトを終えてからそのまま新幹線に飛び乗る。私は肌が弱くて化粧が出来ないので、普段から荷物が少ない。特にこういう時は便利だなあと思う。 新幹線の中ではシウマイ弁当と翠ジンソーダ。

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photography

妄想ホテル room:049  祭りはまだ終わらない (写真・文:フクサコアヤコ)

2025年3月某日。 私は人生で初めての刈上げに挑戦していた。もみあげをバリカンで短く刈り上げる、いわゆるツーブロックというヘアスタイルである。 その日は気温も上がり外はすっかり春の陽気。半年続いたOLの仕事もあと2週間で終わろうとしており、私の気分は完全に浮足立っていた。 私の働き方は少し特殊で形としては個人事業主だが、業界が繁忙期となる秋から冬にかけてはOLとして会社に勤務し、逆に閑散期となる春から夏にかけてはフリーランスのカメラマンとして働いている。 時間の制限を受けるOL期と違って、カメラマン期は仕事をするのも遊びに出かけるのも自由だ。 誰とどんな撮影をしようかな、撮影を兼ねて旅行に出かけるのもいいな、などと私の胸は期待に大きく膨らんでいた。

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design

デザインの世間体 037  碧い日焼け跡 (写真・文:若生友見)

今回のテーマは色褪せた印刷物です。 私の興味対象は一貫して人工物(とくに工業製品)なのですが、今回扱う「色褪せた印刷物」は自然の力が加わらないと完成しないという点では今までのものと少々毛色が違います。ただし“色褪せた印刷物を放置しておく”という行為は人によるものなので、そういう意味では人為的なものとも言えるのではないでしょうか。

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lifestyle

バンカラ女銘々伝 第25回  有楽町のパンパンガール 西田時子 (文:平山亜佐子)

15年続いた戦争が終わり、人々は大手を振って街を闊歩し始めた。食糧難は相変わらずひどいが、少なくとももう爆弾は降ってこない。食い扶持を稼ぐために親を亡くした子どもたちは街頭で靴を磨き、家や職を失った女たちは街頭に立って春をひさいだ。彼女たちは闇の女、パンパンと呼ばれ、卑しめられた。そんな匿名のパンパンのなかに、個人として生の声をお茶の間に届けた女性がいる。西田時子、人呼んで「ラクチョウのお時」である。

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2025年04月02日 Vol.639

art

柔らかい天使たちの国

先週まで神田TETOKAで開催されていた「どろにんぎょう展」に続いて、ロードサイダーズ配信チームが見つけてきた小さな、しかしとても興味深い展覧会を東京の片隅からお送りする。「柔らかい天使たち」と名づけられた、それは編み物作品の展覧会。でも、天使って柔らかいの?

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lifestyle

新連載! 極上世界の極上生活  写真・文:極上世界(ぱにぱにぱにぱにともちんぱ&ふりふり)

少し前、大道芸術館で「極上世界」という意味不明な名称のユニットが、貸し切りパフォーマンス・イベントを開いてくれた。ちょうど出張中で行けなかったけれど、朝昼夜3公演が即ソールドアウトと聞いてびっくり! 女将によれば「おもしろすぎてパワフルすぎて震えました!」。いったいどんなことしてくれたんだろう!!!と思っていたら、縁がつながってロードサイダーズで連載してもらえることになった。これから隔週で登場する誌上パフォーマンス。最近の若者はおとなしくて~とか言ってるオトナたちにぶちかます現在進行形の、いまここで生まれつつあるエネルギーに震撼せよ!

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travel

アーバンママのヨーロッパ満腹紀行  その3 ノルマンディーからバスク地方まで 西海岸をロングドライブ (写真・文:アーバンのママ)

先日お届けしたドーヴィル・トゥルーヴィルを後ろ髪引かれながら出発し、サンセバスチャンに向けて長いドライブ旅行が始まりました。 ノルマンディ地方の中心都市カーンからはじまって、大西洋に近いロワール河口の大都市ナント、中世の歴史が詰まった海沿いの観光地ラ・ロシェル、そして大西洋の高級避暑地ビアリッツまでという、約800キロの道のりです。

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food & drink

世界の中のインド亜大陸食紀行/日本編  浦河町のインド人厩務員 前編 (写真・文:小林真樹 編集:島田真人)

コロナ禍真っただ中の2020年9月。私は北海道・日高管区の浦河町にあったダービーというインド・ネパール料理店を訪れていた。『日本のインド・ネパール料理店』(阿佐ヶ谷書院)の取材で北海道全域を巡っていた時のことである。 「浦河町周辺にインド人の厩務員が増えている」という、そんな噂を聞きつけて、どこかで出会えないかととりあえず訪問してみたのがそのインド・ネパール料理店だった。何せ店名からしてダービーである。確かにインド人厩務員が近くに住んでいることだけは当時そこで働いていたネパール人スタッフから確認出来たが、訪問時間も遅く滞在時間もごくわずかだったため、結局その姿を見ることは出来なかった。

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travel

ユーラシア後ろ歩き 29  地球のへそと同い年の町 (文・写真:多田麻美)

たとえ行きの切符が買えても、帰って来られるのはいつになるか分からない。ふらりと降りた駅に泊まったり食事をしたりできる場所があるのかどうかも分からない、となると、現地に信頼できる友人でも住んでいない限り、行くのは無謀だ。セヴェロバイカリスクは孤立した町と言われ、西側の最寄りの町ウスチ・クートまでは250キロ以上、大都市に至っては500キロも離れている。東はさらに遠くに行かないと、町と呼べるような場所はないだろう。 いつか、沿線に住む人と親しくなり、もっと情報が集められたら、さらに東へ行く機会も得られるはず。 そう思うことで、私はバム鉄道をさらに東へ行きたいという気持ちを何とか脇に押しやった。

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art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  77話 着物 (画・文:新開のり子)

「着物を一人で着られる‼」無料体験レッスンに 通っていました。 初級コースでは毎回、メンバーがかわります。 行く度に「初めまして」と言って、とても品の良い雰囲気です。 しかし、みな新しい着物をもってます。 私だけ母の着物をもっていきます。 週一回のレッスンですが、毎回、着物屋さんから「今日も時間ない?」とお声がかかります。 「はい、ありません。すみません。」そういって、帰ろうとすると、 「〇月〇日は、絶対絶対来てください‼」

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photography

ニュー・シャッター・パラダイス 89  人生の着替え時 (写真・文:オカダキサラ)

「定年後、男はダメになる。」 そういったのは、一回り以上年上の先輩でした。 先輩の父親はアウトドア派で、釣りや町内会のイベントにもよく参加していました。ところが、定年を迎えた後、家に引きこもりがちになってしまったそうです。 一日中テレビを見ている姿は、以前の父親とはまるで別人のよう。心配したご家族が、「テレビばかり見ているとボケちゃうよ」冗談交じりにと注意していましたが、それが現実になりました。退職して数年後には認知症が発症したのです。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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