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2013年01月30日 vol. 052
art
グラフィティがかき乱す台北のランドスケープ
昨年10月3日号で、仙台在住のグラフィティ・アーティスト「SYUNOVEN=朱乃べん」を紹介した。彼の作品はアメリカ発のグラフィティという表現が、ようやく日本独自の進化を遂げつつあることの優れた一例だった。この正月に台北で出会ったグラフィティ・アーティスト「CANDY BIRD」の活動もまた、台湾の風土にあわせて独自の進化を遂げつつある、新たなエネルギーをいきなり突きつけられるようで、すごく興味深い。中国本土(台湾ふうに言えば大陸)でも台湾でも、現代美術の世界では基本的にコンセプチュアルな作家、作品が大多数で、キャンディ・バードのようなストリート・レベルのアーティストが、いまどれくらい増えてきているのか、僕はまだ調査不足でわからない。でも、なにかが起こっている感触は、確実にある。それはこれから長い時間をかけて探っていくことになるだろうが、まずはそのイントロダクションとして、キャンディ・バードの作品世界をご覧いただきたい。
lifestyle
ケンケンという唄
去年の秋ごろ、新宿ゴールデン街で飲んでいたときのこと。筑摩書房のウェブで連載している『独居老人スタイル』の人探しに苦労しているという話をしていたら、「それならぴったりの独居老人でシャンソン歌手というのを知ってる!」と店主に言われて大喜び。日を改めて店に来てもらったら、どうもようすがおかしい。「あの・・失礼ですけど、いまおいくつですか?」「え、51ですけど」。えーっっ、僕より若いじゃないですか。これはいくらなんでも、「独居老人」呼ばわりするには無理がある。す、すいません・・と謝りつつ、「ぜんぜん老人じゃないじゃない!」と店主をにらんだら、「そんなに若いの、ケンケン! もっと老けてみえるし~~」と言われて、当人もがっくり。「そうなの、昔から(年より)上に見られちゃうんですよねぇ」と苦笑い。それが歌手・ケンケンさんとの出会いだった。
photography
サーカスが街にいたころ
昨年12月5日配信号の『捨てる神と拾う神――森田一朗すてかんコレクション』をご記憶だろうか。それは昭和の時代の、無名の作者たちによる優れたストリート・デザインだったが、コレクションの主である森田一朗さんは、市井の人間を長く撮りつづけてきたドキュメンタリー・フォトグラファーである。品川区にある森田さんのご自宅には、ほんの少し前に過ぎ去ってしまった時代の日本人と、その生活の記憶が、膨大なネガとプリントになって保存されている。これから数回にわたって、その貴重なストックの一端を見せていただこうと思う。まず今週、来週はサーカスのお話から。
2013年01月23日 vol. 051
photography
隣人。―― 北朝鮮への旅
去年末、北朝鮮を撮影した写真集が出版された。タイトルは『隣人。――38度線の北』。撮影したのは初沢亜利(はつざわ・あり)という日本人のカメラマンだ。北朝鮮の写真と言われただけで、思い浮かぶイメージはいろいろあると思う。でもこの本の中にはボロボロの孤児も、こちらをにらみつける兵士も、胸をそらした金ファミリーの姿もない。 そもそも隠し撮りではなく、真っ正面から撮影されたイメージは、遊園地でデートする若いカップルであったり、卓球に興じる少年であったり、ファストフード店で働く女性や、海水浴場でバーベキューを楽しんだり、波間に寄り添う中年夫婦だったりする。言ってみればごくふつうの国の、ごくふつうの日常があるだけで、でもそれが他のあらゆる国でなく、「北朝鮮」という特別な国家のなかで撮影されたというだけで、この本は特別な重みをたたえている。
photography 無料公開中
可愛くて、やがて恐ろしき堕落部屋
今週あたり全国の書店に行き渡っているだろう、話題の写真集がある。先行販売している一部書店やネットでは、すでにかなり盛り上がっているその一冊は『堕落部屋』という。デビューしたてのアイドルだったり、アーティストの卵だったり、アルバイトだったりニートだったり・・・さまざまな境遇に暮らす、すごく可愛らしい女の子たちの、あんまり可愛らしくない部屋を50も集めた、キュートともホラーとも言える写真集だ。実はこの本、僕がオビを書かせてもらっている。ほかの文筆業の方々はどうなのかわからないが、僕にとって他人の本のオビを書くというのは、けっこうプレッシャーのかかる仕事で、ごく親しいひとの本以外はなるべく受けたくない。だから自分の本のオビも、かならず自分で書く。でも、この川本史織という若い写真家の作品集は、ゲラを見せてもらった時点で、なんとかキャッチーなオビを書いてあげたい、という気持ちになった。
photography
共犯者をさがして ―― 中田柾志の写真世界3
2週にわたってお送りしてきた中田柾志のビザール・ドキュメンタリー。最後になる今週は、2006年から現在まで続行中のプロジェクト「モデルします」をご紹介する。素人女性が応募してくるモデル募集サイトで探した女性たちを、中田さんはすでに数十名撮影してきた。その写真プリントと、応募してきた彼女たちの自己評価というか、自己アピールをセットにした作品群。プロのモデルのように美形でもなければ、スタイルも並みか、並み以下。そんな女の子たちが、自分を撮影モデルとして、会ったこともない人間にみずから売り込むという、それ自体がきわめて異常なシチュエーション。
travel
スナックショット 14 長野3+山梨(平田順一)
どうもオッサンの面を被ったカメラ女子、平田です。今回も地域ごとに撮った写真をまとめていく過程で、ここもあそこも外せないと選択に迷いました。というわけでもう1回長野県から中信地方・諏訪・伊那、中央本線と国道20号に沿って山梨県からお送りします。古くから日本海側と太平洋側を繋ぐ街道の交錯するところで、伝統的な宿場町・門前町の風情を留めつつ、街角や店の背後に上高地や八ヶ岳の山々を望む2004年から2011年にかけての記録ですが、撮影時期の新旧にかかわらず現況がどうなっているか気になります。
2013年01月16日 vol. 050
lifestyle
追悼・浅草のチェリーさん
浅草を歩くと、いつもそのひとがいた。六区のマクドナルドあたりに、小さなからだを独特のセンスの服で包んで、ふらふらと立っていたり、道端に座り込んでいたり。チェリーさんとも、さくらさんとも、あるいはただ「おねえさん」とも呼ばれてきたそのひとは、道行く男たちに声をかけ、からだを売る、いわゆる「立ちんぼ」だった。だれかに声をかけたり、かけられたりしているところを見たことは、いちどもなかったけれど。ほとんど浅草の街の風景の一部と化していた彼女が、亡くなったらしいと聞いたのは去年の年末のことだった。
travel
ROADSIDE台湾2:麻豆代天府
先週の彰化・八卦山南天宮に続いて、今週は台湾屈指とだれもが認めるキング・オブ・ビザール・テンプル、麻豆代天府にお連れしよう。台北から新幹線で南下すること1時間半あまり、台南エリアの要所、台南市からクルマで1時間足らずの麻豆(マードウ)は、文旦(ザボン)の産地として名高い、静かな町である。台湾の古寺旧跡は、台北のある北部よりも、早くから中国文明が流入した南部にずっと多く残っている。台南郊外には南鯤鯓代天府という台湾有数の大寺院があるが、麻豆代天府は南昆身に次ぐ規模を誇る、明朝末期建立の古刹だ
photography
阿片とオヤジと制服たち――中田柾志の写真世界2
先週に続いてお送りする写真家・中田柾志のストレンジ・ドキュメンタリー・ワールド。今週はラオス、キューバ、タイの3ヶ所でまとめられたシリーズをご紹介しよう。アルバイトで生活費を稼ぎながら、テーマを熟考しては旅に出る生活を繰り返してきた、43歳の知られざる写真家。そのエネルギッシュな視覚の冒険をお楽しみいただきたい。 なお、本稿は先週書いたように前後編にわけてお送りするはずだったが、あまりにも紹介したい作品が多いので! 次週もまた別のシリーズをお見せする予定、お楽しみに。
2013年01月09日 vol. 049
travel
ロードサイド台湾1:八卦山南天宮
日本の地方を回りはじめたのは『週刊SPA!』誌で1993年から1998年まで続いた連載『珍日本紀行』がきっかけだった。その連載では正月、ゴールデンウイーク、夏休みなどの連休シーズンにあわせて『珍世界紀行』という特別版を発表していて、それが2004年には『珍世界紀行 ヨーロッパ編』として一冊にまとまり(2009年文庫化・筑摩書房)、同時にSPA!の連載が終わってまもなくの2000年からは『月刊TITLE』誌(文藝春秋・・すでに廃刊)で『珍世界紀行 アメリカ編』が始まって、2007年まで続いたこの連載は2010年に分厚い単行本になった(アスペクト刊)。同時にSPA!誌の海外特別編でいくつか取り上げたアジアの珍名所探訪は、2006年から07年にかけて『月刊パパラッチ』(双葉社刊)の連載に引き継がれたが、こちらもあえなく休刊・・涙。
photography
ブローニュの森の貴婦人たち――中田柾志の写真世界1
深い緑の森の夜、フラッシュに浮かび上がる挑発的な女。ビニールの花のごとく地面を覆う使用済みのコンドーム・・・。パリ、ブローニュの森にあらわれる娼婦たちの生態である。パリ市街の西側に広がるブローニュの森。凱旋門賞のロンシャン競馬場や、全仏オープンのロランギャロスも含むこの広大な森林公園が、昔から娼婦や男娼の巣窟としても有名だったことを知るひとも少なくないだろう。そういえばあの佐川一政が、死姦し食べ残した遺体を捨てようとしたのも、この森のなかだった。陽と陰がひとつの場所に、こんなふうに混在するのがまた、いかにもパリらしいというか。
art
石巻だより――ワタノハスマイル新作展
昨年の3月21日配信号で大きな反響を呼んだ「ワタノハスマイル」の主宰者・犬飼ともさんから、うれしいお知らせが届いた。ワタノハのメンバーたちによる新作がもう120点あまりもたまって、来週から新作展ツアーが始まるというのだ。前の記事を読んでいただいた方はご存じかと思うが(未読の方はバックナンバー・ページからぜひ!)、「ワタノハスマイル」とは2011年3月11日の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市の、渡波(わたのは)小学校で避難所生活を強いられていた子供たちが、校庭に山積みされた廃材を使って作りだした作品群を発表するプロジェクト。
photography
連載:スナックショット 13 長野2(平田順一)
寒中お見舞い申し上げます、どうも平田です。今年もぐっと胸にくるような街角、時空を超越したような酒場を求めて歩き回りますので、よろしくお付き合い願います。今回のスナックショットは長野県北信地方、15年前冬季オリンピックの舞台となった長野県の北部です。長野県は首都圏から割と近いわりに気候・風土が関東平野と異なるので、夏は避暑、冬はスキーやスノーボードで活況を呈しており、そのどちらにも縁がない自分も足繁く訪れている。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!