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2020年07月22日 Vol.414

art

なんだかわからないピーター・ドイグ

お小遣いあげるから旅行してきなと背中を押され、けど東京都民だけはどこも行っちゃダメと言われ、しょうがないので都内で再開した美術館やギャラリーに足を運ぶ日々。先週はようやく、竹橋の国立近代美術館で開催中の『ピーター・ドイグ展』に行ってきた。 展覧会が始まったのは2月26日、しかし新型コロナウィルス感染防止で29日から臨時休館(わずか3日の展示期間!涙)、しかし6月12日にめでたく再開して10月まで会期延長される話題の展覧会。もう見てきたというひとも多いだろうし、SNSなどにも感想がたくさんアップされている。現代美術業界ではもちろん有名な作家であるものの、正直言って日本でそれほどポピュラーではなかったと思うし、今回が日本では初めての個展だが、毎日たくさんの観客を集めているようだ。メディアの報道よりも、SNSでのクチコミで情報が拡散している気がする。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 110  Maryhill Museum of Art, Goldendale, WA

ものすごく久しぶりのロードサイドUSA。もう連載終わったと思ってたひとも多いでしょうが、終わってないです! 昔のフィルムをスキャンするのをサボってただけ!涙 新型コロナウィルス感染防止のために、世界中でさまざまなビッグイベントがオンライン化してますが、パリコレも史上初の「デジタル・コレクション」になったのは、けっこうニュースで取り上げられたのでご存じのかたもいるかと。その皮切りとなる2020-21秋冬オートクチュールで、ディオールが発表した短編映画のような映像が、いろんな意味で話題になってます。 イタリアの映画監督マッテオ・ガローネによる、めっちゃ耽美な映像と、人形サイズの完璧なオートクチュール・ドレスによるビジュアル・ファンタジーに酔うひとあり。映像はきれいだけど、登場するのが全員白人なのが、いまどき神経を疑うという批判するひとあり。いろんな反応を報じたニュースのなかで、今作のヒントとなったのが「第二次大戦中に人形に服を着せた展覧会があった」という簡単な説明が見うけられます。でも、これはちょっと端折りすぎ!というわけで今週紹介したいのがアメリカ・ワシントン州の奥深くに眠るパリコレ人形ドレス・コレクション。

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lifestyle

蒲田リハビリ日記 第2回  場末のマンション整体院をめぐる心の旅 (写真・文:リーサル・ウエポン金本)

「人間は最終的に他人との信頼関係とか、感謝とか、そういう心のつながりを求めてしまうよね。他人をだましてカネを稼いでも、得るものはなにもない。歳をとって、ようやくわかった。遅いけど……」とYさん(現在65歳)は語る。 蒲田には指圧マッサージや中国整体などを含む整体院が数多く存在する。昨今どこの街にも多いが、蒲田には特に多い。マンション整体院も多々ある。15年ほど前、俺は仕事でこの街を何回か訪れている。マンション整体院とは業界内の隠語だが、それはいったいどんなものだろうか。

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photography

そこにあるコロナ

写真家・初沢亜利(はつざわ・あり)を初めて紹介したのは2013年1月23日号「隣人。―― 北朝鮮への旅」だった。 「緊急出版」という煽り文句はよく使われるが、これはそうとう緊急だなとまず驚かされたのが、初沢さんの新作写真集『東京、コロナ禍』。2月下旬から7月初めにかけて東京の街を歩きまわり撮影したコロナ禍の東京風景を142点、時系列に並べた写真集で、書店の店頭に並ぶのが今月20日ごろというスピード感。今回のコロナ禍を撮影した自費出版写真集やZINEのようなものは、うちにも届きだしているが、一般の商業出版ではこの写真集がたぶん初めての「コロナと東京の記録」ではないだろうか。

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2020年07月15日 Vol.413

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 97  ミクシィ時代の「都会の森ガーデン」 田尻彩子(編集者)

私にとっての2000年代は、宴会の時代だった。盆暮れ正月花見はもちろんだけど、飲む理由は何でもよかった。そこに、宴会をしたい店があるからやるのである。2000年代といえばつい最近のようだけど、何しろLINEがない。大人数で飲もうと思ったら、メーリングリストを作るなり、幹事が一人一人電話やメールで誘うなりするわけで、想像するだけでもうめんどくさい。しかし当時の私たちにはミクシィがあった。宴会をしたければ、コミュニティを作り、仲間を招待すればいいのである。まさに宴会革命。宴会2.0だった。この頃には本当にたくさんの宴会したい店があった。そしてその店のすべては、もう今はない。

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fashion

着るものと着られるもの ――特別展「きもの KIMONO」@東京国立博物館

このところ数十年から百年以上も前の記録映像が、AIのおかげできれいに修復・着色されて見られるようになってきた。明治・大正・昭和初期の映像もずいぶんあって、そういうものを見つけるたびに、僕は撮影された市井の人々の、衣服の着こなしに見入ってしまう。このあいだYouTubeに上がったばかりのこの映像は1913~15年、つまり大正初期の東京・浅草六区あたりの風景で、巡査や小学校の先生といった少数の例外をのぞけばほぼ全員が着物姿だ。男も女も、老いも若きも。あたりまえだが、その自然な着こなしがすごくいい。成人式やお茶の稽古や歌舞伎鑑賞といった、現代のハレの場の衣裳というのとはぜんぜんちがって。いま初台オペラシティ・アートギャラリーで開催中の『ドレス・コード?』展の解説に書いたように、「数千年の西洋文明のなかで、洋服はいまのようなかたちになってきた。でも日本ではほんの百年かそこら前まで全員が着物を着ていたのに、突然ほとんど全員が洋服になってしまった」。日本人にとっての衣服というものが、わずか百年でほんとうに激変してしまった事実を、東京国立博物館で開催中の特別展「きもの KIMONO」は僕らにあらためて突きつけてくれる。すでにかなり話題になっている展覧会だが、前後期展示替えをあわせて約300件の作品が披露されるのは、質量ともに世界最大の着物コレクションを持つ東博といえども実に47年ぶり。

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fashion

アンチコロナ・ファッションショー!@鶯谷デパートメントH

新型コロナウィルス感染防止のためにたくさんの定例イベントが中止や延期を余儀なくされてきたが、このメルマガでは創刊の2012年から何度も取材させてもらった「デパートメントH」もその被害者のひとつ。アメリカン・コミックス・スタイルの作風で知られるイラストレーター・ゴッホ今泉さんが主宰する日本最大級の、もっともよく知られたフェティッシュ・パーティであるデパH。スタートしたのが「よく覚えてないけど、たぶん1991年から93年ぐらい」(ゴッホさん談)というから、もうすぐ30年! 毎月第一土曜にほとんど欠かさず開かれてきて、これまで通算2百数十回以上は開催されたご長寿イベントであるものの、「こんなことはデパH史上初めて!」という未曾有のコロナ禍。ステージの出演者のみによる無観客配信も試みたが、やはりお客さんと一緒につくる場のエネルギーに勝るものはないはず。そこで7月4日の土曜深夜~日曜明け方にかけて、いつもの鶯谷・東京キネマ倶楽部で開催されたのが「200名限定スペシャルナイト・アンチコロナ・ファッションショー」という、果敢なイベントだった。

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art

アウトサイダー・キュレーター日記 vol.45 丹 作造 (写真・文:櫛野展正)

蛇腹状に広げられた帳面の両面に描かれた絵画。手にとって広げると、苦悩の表情を浮かべる人々の顔がいくつも描かれている。片面は、1枚の壮大な絵巻になっており、つくり手の途方も無い情念のようなものさえ感じてしまう。本作は、今年1月、ニューヨークで開催されたアウトサイダー・アートフェアで、世界の人々から驚きを持って迎え入れられた。作者は、丹作造(たん・さくぞう)と名乗る人物だ。彼との出会いはフェアが始まる2ヶ月ほど前のこと。小雨の降るなか、東京・上野駅の公園改札前で、人混みの中から僕は彼の姿を探していた。前夜に電話した際、教えてくれたのは「携帯電話なんて持っていないんですけど、とにかく派手な格好をしているから」という情報だけ。しばらく待っていると、「どうも」と無精髭を貯えたニット帽の男性が話しかけてきた。首には廃材を組み合わせた自作のネックレスをぶら下げ、上下ともに自分でリメイクした服を着ている。上着は缶バッジや布などを貼り付けたブルゾンで、履いているジーンズにも自作のペイントが施されている。

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2020年07月08日 Vol.412

design

ATGが遺したもの

ATG、と聞いて思わず遠い目になってしまうひとは、もはや70代だろうか。1970年に20歳だった青年が、いま70歳だし……。 ATG=アート・シアター・ギルドが遺した映画ポスター展が、6月から再開した鎌倉市川喜多映画記念館で開催中だ。 1961年に設立されたATGは海外のアート系作品の配給・上映から活動を始め、低予算実験映画製作へと幅を広げていって、後期には若手監督による娯楽作品路線にシフトしながら1992年まで存続してきた。今回の展覧会は初期の輸入作品から1970年代末までの製作作品をおもに、90点以上のポスターによってその活動を振り返る試み。同時に1960年代後期~70年代のイラストレーション/グラフィック・デザイン全盛期の、日本のクリエイティブ・センスを体感できる機会にもなっている。

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lifestyle

新連載! 蒲田リハビリ日記 第1回 色のない街 ザ・蒲田のファンキー障害者 (写真・文:リーサル・ウエポン金本)

「圏外雑誌GON!回想録」を絶賛連載中の比嘉健二さんから「昔からの仲間で、おもしろいライターがいるから」と紹介されたのがリーサル・ウエポン金本さん。「あまり遠出ができないからだで……」と言われて地元の蒲田にうかがったら、脳梗塞のリハビリ中で、それこそリーサルになりかねない、なかなか深刻な状況。なのに「蒲田って、自分も含めて障害者や変人が多くて飽きないんですよ!」と、いたってポジティブ。おしゃべりがすごく楽しかったのでさっそく、いろいろ書いてください!とお願いした。これからしばらく隔週でお送りする「蒲田リハビリ日記」。ご自分のリハビリ記録というよりも、街全体がリハビリ中みたいな、蒲田というパラレルワールドの空気感を味わっていただけたらうれしい!

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art

公園通りのアウトサイダー

渋谷公園通り、新装なったPARCOと交差点を挟んだ斜め向かい角というプライム・ロケーションにありながら、ものすごく地味なたたずまいゆえに、めったに気づかれることのない渋谷区立勤労福祉会館(略称「きんぷく」)。その通りに面した1階がアウトサイダーアート/アール・ブリュットに特化した公立ギャラリーになったことを、どれほどのひとが知っているだろう。 東京都渋谷公園通りギャラリーは新木場の東京都現代美術館のサテライト施設として、今年2月8日にグランドオープン記念展「あしたのおどろき」で開館したのだったが……新型コロナウィルス感染防止でさっそく2月末から休止、そのまま閉幕という無念の結果に。しかし続いての企画展「フィールド⇔ワーク展 日々のアトリエに生きている」が会期を変更して、6月2日から無事にスタートしている。場所も至便、入館も無料でありながら、まだあまり知られていない公園通りギャラリーの展覧会を、ここで少しだけ紹介しておきたい。

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travel

ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行 17 浙江省前編 (写真・文:関上武司)

大家好!(中国語で皆さん、こんにちは!)軟体トラベラーの関上武司です。今回は浙江省の諸葛八卦村やパリの街並みを巨大なスケールで再現したニュータウンを紹介したいと思います。 2014年1月1日。この日は安徽省の蕪湖市からバスで移動し、夜になって浙江省の杭州市北部のバスターミナルに到着。速8酒店というホテルで宿泊することにしました。

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book

怪甲斐ワンダーランド!

新型コロナウィルスによって全国でたくさんの夜の場所がなくなったり、なくなりそうになったりしているけれど、コロナが出現するずっと前から「もうダメかも!」と店主みずから悲鳴のようなメッセージをSNSに連投し続け、常連たちの気を揉ませてきた店。といいつつしぶとく生き延び、長い夜にだれも来なくても、天井が抜けて上階から激しく水漏れしたのに大家が修理してくれなくても、夜が明けて日が暮れればまたなんとなくカウンターに灯がともり、うずたかい本やレコードの山、破れかけのポスターのほこりを隠してくれて、客より先に店主が酔っ払ったりしている店。昔からのなじみの店が全部なくなってしまい、いまや僕にとって京都でただ一軒、なんの気も遣わずに飲んだくれられる店。それが三条木屋町の「八文字屋」だ。

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2020年07月01日 Vol.411

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 96 『見えない餅』 工藤玲音(くどう・れいん 俳人・歌人・作家)

餅は餅屋と言うが、岩手に住んでいて祖父母が米農家のわたしは餅屋に行ったことがなかった。「家で食べられるものをわざわざお金払って食べるなんて」というのが工藤家の信条で、だとすると余るほど祖母から貰える餅を外食で食べるという選択肢はないのだった。しかし、ある日待ち合わせた友人がどうしてもくるみ餅を食べたい気分だと言った。餅を食べられる場所……と調べたのが、盛岡市上ノ橋町の「丸竹餅店」だった。和菓子屋だろうか、といつも通り過ぎていたところは餅屋だった。入り口には盛岡名物丸竹茶屋、と書いてあった。紫色の暖簾を潜り店内に入ると、狭いと思っていた店内は思いのほか奥行きがあり、席もたくさんあった。既に先客がたくさんいる。何年も使い古されて黒々と光る木の椅子に腰かけ手渡されたメニューを開く。

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book

圏外雑誌 GON! 回想録 第2回 GON!創刊号 大方の予想を裏切り創刊号は売れに売れ、TVや大手メディアが食いついてきた――最底辺雑誌が出版界に風穴を開けた! (文:初代編集長・比嘉健二)

バイク事故、発売延期の陰にライバルあり――人は死ぬ間際に走馬灯のように様々な思い出が脳を駆け巡るというが、俺は「やばい! 死ぬかも!」これだけだった。通勤途中の青梅街道をいつものように400ccのバイクで走っていたら、チャリンコが急に歩道から車道に蛇行してきた。このままだと確実にチャリンコを跳ねる。俺は急ブレーキをかけたが、当然スリップして転倒。ただ、死んでいないことだけはわかった。沿道のヤジ馬がなにやら騒いでいる。それに気がついたと同時に、左足首に強烈な激痛が走った。ほどなくして救急車のサイレンが近づいてきた。この救急車は俺のため? チャリンコの運転手はどうなった? 救急車は俺のためだった。チャリンコを運転していたのは大学生風の青年で、かすり傷ひとつ負っていなかった。生まれて初めての救急車であり、バイク事故だった。この時点で20年以上運転していて、ただの一度も事故ったことがなった。命が助かったと安堵したのだろう、救急車の中で今度は現実問題に直面した。『GON!』の発売日まで2ヶ月もない。それに来週は創刊号の目玉企画の撮影がある。これは這いつくばってでも行かなければ。

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music

音楽はいまどこにあるのか――四谷アウトブレイクの「無観客住み込みギグ」

東京都心、千代田区と新宿区の境にある四谷駅から徒歩5分ほど、四谷アウトブレイクというライブハウスがある。大きくもなく、小さすぎもせず、どこの街にもあるライブハウスという感じだ。アウトブレイクはロックだけでなく、妙なイベントにもけっこう門戸を開いていて、僕もこのメルマガで取り上げたミャンマー音楽ナイトや、月亭可朝さんのイベントに参加したこともあるし、「起き上がり赤ちゃん」の取材では「人見知りが激しいので」と、店長が千葉まで取材に同行してくれもした。なんといってもうちからいちばん近いライブハウスだし。そして今回の新型コロナウィルス・アウトブレイク……。このライブハウスは2004年オープンなので当然ウィルスとはなんの関係もないのだが、全国のライブハウスと同様、非常事態宣言とともに休業させられたうえに、名前もワル目立ち。しかしそこで営業ストップのかわりに、店長がいきなり始めたのが「無観客2週間住み込みギグ on YouTube」という無謀な企画だった。

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lifestyle

タキシードサムライ 5(最終回) 飲食事業の展開

昭和41年、銀座ソニービル内にベルベデーレ、パブカーディナル、そしてマキシムを開店したあたりから、三好三郎の関心はクラブ経営からもっと幅広い飲食ビジネスへと移行していくことになった。ソニービル開館の翌年、昭和42年には大阪に「青冥(チンミン)堂島店」をオープン。まだ中華と言えばラーメン、チャーハン、シュウマイに餃子という発想が一般的だった時代に開業した、本格的な中華料理レストランだった。「ブルーヘヴン」を意味する店名は、中国文明に造詣の深かった作家・井上靖氏による命名。同年12月には前述の「エル・フラメンコ」を新宿に開いているし、昭和46年には銀座に続いて六本木にパブ・カーディナル六本木店を開く。当時の六本木はキャンティ、ベビードール、ドンク、シシリア、ハンバーガーインといった限られた店に「六本木族」「キャンティ族」が集まる先端的な街だったが、大箱ディスコが入るスクエアビルや、瀬里奈などの店が並ぶエリアの入口に開業したパブ・カーディナルは、六本木の夜のベースキャンプのような役割を担うことになって、夜ごとファッショナブルな男女で賑わい、『anan』など新しいファッション雑誌の撮影場所としても頻繁に登場するようになった。

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art

波磨茜也香のおんなのこ散歩 第13回  夜の手紙は今もなお続く

「生きている内にこんな事が起こるなんてねえ」と横で90年以上生きている祖母が言っているのだからこりゃすごいことが起きてるんだ、と「首相が緊急事態宣言を発令」「私たちの暮らしはどう変わるのか」というテレビのテロップを空っぽの脳味噌でただ見つめていた日からもうすぐふた月が経ちます。皆さんはどうお過ごしでしょうか。日々情報が更新されていってなにがなんだかな毎日ですが、私はひたすら実家にて引きこもっています。両親は医療系の仕事なので基本夜までおらず、祖母とこの連載で毎度お馴染みの愛猫ペコちゃんと私で元気に生きています。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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