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2020年12月23日 Vol.434

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赤い手拭いマフラーにして、ふたりで行こうよ大銭湯展

BBCの歴史番組でルーシー・ワースリーというものすごくチャーミングな歴史家のファンになってしまい、『暮らしのイギリス史 王侯から庶民まで』という分厚い本を少しずつ読んでいる。中世から現代までのイギリス生活史を楽しく紹介したこの本の「浴室の歴史」という章には、1550年から1750年までの「不潔な二百年」に、イギリスの人々がいかに入浴を不気味なものと思っていたかが描かれていて、その一因は「水が病を、とりわけ人心に恐怖をかきたてる新しい病である梅毒を拡散するという理由から、入浴が疎んじられるようになっていった」のだった。その後18世紀に入浴の習慣が復活するが、家庭に独立した浴室が誕生するのは19世紀になってからだった。 小金井の「江戸東京たてもの園」ではいま、「大銭湯展」と題された銭湯の歴史と現在・未来を俯瞰する展覧会が開かれている。 東京屈指の都立公園である小金井公園のなかにある江戸東京たてもの園は、両国の東京都江戸東京博物館の分館。山の手エリア、下町エリアなどと名づけられた区域に、茅葺き農家から田園調布の優雅な邸宅、商店街の看板建築などが復元されていて、定期的に訪れるというファンも少なくない。

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Paradise Lost 二度と行けない珍日本紀行 04 千葉県

バブルの象徴とも言える「ふるさと創生事業」は、1988年から89年にかけて、各地の市区町村に「地域振興のために1億円を交付する」という、竹下内閣による究極の交付金ばらまき事業。このおかげで日本各地に珍名所が続々誕生したわけだが、房総半島のローズマリー公園もそのひとつ。なぜローズマリーかといえば、道の駅がある旧・安房郡丸山町が地中海と同じ緯度に位置することから、「風車とローズマリーの里」が構想され、1991年(平成3年)に「ローズマリー公園」として開園したのだった。 園内に「シェイクスピア・カントリー・パーク」が誕生したのは1997(平成9)年4月23日のこと。1564年4月23日に生まれ、1616年4月23日に亡くなったウィリアム・シェイクスピアににちなんでだった。

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music

『ステレオ時代』の時代 04 ネットで変わる中古オーディオの世界 (文:澤村信)

「中古オーディオってどこで買うんですか」と訊かれることがある。 かつて中古オーディオは専門店を中心に流通していた。有名なダイナミックオーディオ、オーディオユニオン、テレオン、ハイファイ堂などがとくに高級な中古オーディオ店として知られていた。が、私のような庶民にはなかなか手が出にくい価格な機器が並ぶ。その敷居の高さたるや普段、牛丼屋で済ます人が叙々苑に行くがごとく。 もちろん牛丼屋にあたる安い中古品を扱う中古オーディオ専門店もあった。 これはかつて秋葉原のラジオ会館にあった名店『清進商会』だ。もともとは新品のオーディオを扱う専門店だったが、下取り販売を始めたところ、徐々にそちらがメインになっていたのだという。

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art

ふたりの寿老人

本メルマガでおなじみのダダカンと秋山祐徳太子、ふたりの「独居老人王」の展覧会が、期せずして東京の高輪と銀座で開催中。年の瀬のひととき、ふたりの寿老人が辿ってきた人生を拝み、来る2021年への活力としていただきたい。 高輪のCafé GODARD galleryで開催中なのが「ダダカンの『殺すな』展」。11月11日配信号「祝・ダダカン師、百歳!」でお知らせしたとおり12月2日、無事に百歳の誕生日を迎えたダダカン=糸井寛二がたびたびテーマに取り上げてきた「殺すな」を中心とした作品展に、ダダカンを慕う作家たちのオマージュ作品を加えた展覧会。12月24日からは後期展示がスタートする。 カフェ・ゴダールは忠臣蔵で有名な高輪泉岳寺の境内、土産物屋が並ぶ仲見世にあるカフェ・ギャラリー。こんな立地の展示場所もなかなかないかもしれない。

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2020年12月16日 Vol.433

art

とろとろのりんごのわたし――友沢こたお「Pomme d'amour」

小説家は作品を重ねるにしたがって円熟していくけれど、詩人は最初の作品でいきなり高みに達してしまうことがある、と言ったひとがいた。スタートしたとたんにトップスピードに乗る、みたいな。音楽にもそういうことがあるけれど、アートの場合はどうなのだろう。 本メルマガではもうおなじみ、新御徒町のモグラグ・ギャラリーでいま友沢こたお個展『Pomme d'amour』が開かれている。タイトルの「ポム・ダムール」はフランス語でりんご飴を意味する。直訳すれば「愛のりんご」。とろとろの飴がかかった果実。ちなみに「pomme d'Adam」(アダムのりんご)になると喉ぼとけのこと。イヴに差し出されアダムがかじってしまったりんごが喉に引っかかったことから来ているが、「ポム・ダムール」にはそんな禁断のニュアンスも秘められているのだろうか。

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travel

Paradise Lost 二度と行けない珍日本紀行 03 埼玉県

日本の伝統美を残すため、彫った彫刻600体 神秘珍々ニコニコ園―― ウィキペディアにすら項目がある神秘珍々ニコニコ園は、関東地方の珍スポットでも大物として知られ、ネットでも数多くの訪問記がアップされているほか、テレビ番組でも取り上げられていた。高坂駅前の不動産屋の社長である橋本保久氏がニコニコ園の園長でもあり、一時は東松山遊園地という手作り遊園地も開いていたという。 2004(平成16)年、園長の高齢化により閉園(2006年に他界された)。ヨドコウ物置が迷路のように並ぶ園内は、「展覧会開けなかったら、自分で物置買って田んぼに置けばいいんだよな。美術館や画廊のせいとかにしてないで」と、大いに勇気を与えてくれたものだったが。 グーグルストリートビューで見ると、ニコニコ園の跡地にはいま、太陽光発電パネルが並んでいた。

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design

Freestyle China 即興中華  ご近所の「師匠」を探す旅 『上海師傅』著者・周祺(ジョウ・チー)インタビュー (写真:周祺 / 文:吉井忍)

近年は成都や重慶、杭州などトレンド入りする都市も増えてきたが、それでも上海は中国でトップクラスのおしゃれな街だと思う。海外の人間と文化を早くから受け入れてきただけあって情報に敏感で、道を歩く人のファッションを見てもかなりコーディネートに気を遣っているのがうかがわれる。例えば首都・北京は、もちろんインフラはどこにも引けを取らないのだが、まだどこかのびんりしていて、「文化的事業は北京、ファッションとビジネスは上海」という住み分けが今でもうっすら残っている。 そんな上海でも大通りを離れて小さな通りに入ると、また違う世界が広がる。靴を洗って修理してくれるお店、包丁を研ぐ人、せいろで蒸しあげたシュウマイが飛ぶように売れている風景。もう行けなくなって1年経つけれど、今はどんな風なんだろうと思っていたら、都築編集長から意外な展示があると教えていただいた。 この展示会『上海師傅(Shanghai Shifu)』は生粋の上海っ子、周祺(ジョウ・チー)さんが企画したものだ。彼女は今夏に同名の書籍を出版しており、展示会ではこの書籍で取り上げた上海ならではの手作りの日用品を紹介。 “師傅(シーフー)”は日本語に訳すと「師匠」に近く、英語では「master」。特定の技能に長じた年長者への呼びかけに使うことが多いが、決して大仰な言葉ではなく、例えばタクシーの車内で運転手に話しかける時などにも「師傅、ここで右折してください」のように気軽に使われている。書籍『上海師傅』では60人の“師匠”たちのストーリー、そして彼らが作り出す合計100種類の日用品や工芸を収録。およそ8年をかけたというこの『上海師傅』の背景について周さんにお話を伺った。

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book

『ピンク映画水滸伝』復刊に寄せて

本メルマガで2018年02月14日号から2019年12月18日号まで、全12回にわたって連載された、ピンク映画研究家・鈴木義昭さんによる『桃色の罠――日本成人映画再考』を覚えていらっしゃるだろうか。1960年代から70年代にかけて、場末の映画館の病みに輝いた「桃色映画アウトローの軌跡」(本書序文より)を丹念に追い、監督や出演者の証言、ポスター、されにはビデオにもDVDにもならなかった貴重なフィルムの一部をデジタル化してご覧いただいた(おかげでYouTubeからはアカウント永久凍結になってしまったが、涙)、かなり貴重なオーラル・ヒストリーの成果だったと思っている。 もう40年あまりをピンク映画と共に生きてきたという鈴木さんのデビュー著作『ピンク映画水滸伝 その二十年史』(プラザ企画刊、1983年)がこのほど、37年ぶりに文庫版となって復刊された。その記念として今月12日から阿佐ヶ谷ラピュタのレイトショーでの連続上映「香取環と葵映画の時代」も開催中なので、ここでお知らせしておきたい。

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2020年12月09日 Vol.432

design

しめかざりをめぐる旅

我が家は皇居から徒歩数分の大通りに面しているが、そんな都心でも毎年、年末にはしめかざりの露店が出る。あのひとたちはいったいどこから来るのだろう? おでんやラーメンの屋台を出したら即座に警官が飛んでくるのに、あのひとたちはどうして許されてるんだろう? 年末年始となればみんな閉まるのに、無人のオフィスにしめかざりを飾ってるのはどういうわけなんだろう? 謎のまま毎年、しめかざりは視界の片隅にあらわれ、消えていく。 三軒茶屋の高層ビル・キャロットタワー内「世田谷文化生活情報センター・生活工房」でいま、しめかざりの展覧会が開かれている。『渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり』と題された、絶妙のタイミングで開催中のこの展示、しめかざりも初詣もおせちも雑煮も、正月というものすべてに興味ゼロの僕にとって予想をはるかに超えて興味深い企画だった。

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music

新型コロナとフランス・アンダーグラウンドシーン 03  ロックダウン、そして解除 (画・文:ショビレヌ・K)

こんにちは。ショビレヌ・Kです。前回の投稿では3月6日からフランスでロックダウンが開始された3月17日までに行ったライブ5本について綴りました。 今回は人生で初めて経験するロックダウンの日常、その期間に始めた自分のプロジェクト等についてレポートします。 3月18日にブレストからパリに戻った翌日からロックダウンが始まった。 どんちゃん騒ぎツアーでは嫌という程、濃厚接触の機会に晒され、何度も危機感をしっかり持つよう自分に言い聞かせたものの結局、最後の最後までしっかり楽しんでいたので自分が感染しているか否かもちろん心配だった。しかし健康状態は至って良好だったので外出時のマスク着用とうがい手洗をしっかり行い、体が冷えるような格好はせずに、いかなる時でも睡眠を最優先することを心掛けた。そして2週間後にピンピンしていたらラッキーだったと捉えるよう心に決めた。

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movie

映画女優 山口淑子、生誕100年特集上映に寄せて

多くの映画ファンを集めた「羅生門」展が終了したばかりの国立映画アーカイブで、「生誕100年 映画女優 山口淑子」特集上映が間もなくスタートする。山口淑子/李香蘭という名前に、どれだけのひとが反応してくれるだろうか。 戦前に“李香蘭”として一躍スターとなり、戦後に本名で日本映画界に復帰、また“シャーリー・ヤマグチ”の名でアメリカ映画にも出演した、稀代の女優・山口淑子(1920-2014)。

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photography

ハトの国から

2019年06月12日配信号「南さんはヘンな眼をしている」で特集した写真家・南阿沙美。仕事の同僚だったマツオカさんを撮った『MATSUOKA!』も、偶然友達になったOLを制服姿で撮った『島根のOL』も最高で、いきなり大好きになった。おもしろいけど茶化してるのではなくて、なんだこれと思うけど冷たくなくて。その南さんの写真展「ハトの国」が、かつて嬉野観光秘宝館があった佐賀県嬉野温泉の「おひるね諸島」で12月11日からスタートする。

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2020年12月02日 Vol.431

travel

Paradise Lost 二度と行けない珍日本紀行 02 茨城県

ゆう・もあ村は土浦市東城寺に1965(昭和40)年開業。珍スポットとしてそれなりに知られるようになったが、展示物の盗難事件などもあり、2001(平成13)年に閉園。その後、こころない侵入者などの破壊行為もあり、建物はすべて解体された。グーグル・ストリートビューで見ても更地のようである。なおYouTubeには盛業当時のPRビデオが上がっている。貴重な動画、記事とともにじっくり楽しんでいただきたい。

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design

新連載! nobunobuと歩く東京ビル遺産 01 (写真・文:鈴木伸子)

雑誌『東京人』の編集者だった鈴木伸子=nobunobuさんと出会ったのは、もう15年以上前。職業柄もあるけれど、東京生まれ育ちの鈴木さんはさすがにこの都市の隅から隅まですごく詳しくて、得意分野は「都市・建築・鉄道・町歩き、食べ歩き」。フリー・ライターになってからもいろんな雑誌の記事や著書を読ませてもらっていたが、2016年に『シブいビル ― 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトルモア刊)を発表。有名建築家の作品とはまたちがう、無名の建築物のいとおしさをたっぷり教えてくれた。正直、先を越された悔しさもあったし・・・・・・。 鈴木さんはそれからも熱心に都内のあの街、この街と日々歩きまわり、見つけた「シブビル」をInstagramで積極的に紹介しているのを最近発見。僕のほうが長く東京に生きて、東京を歩いてきたはずなのに、完全に負けてる! というわけでさっそく連載をお願いした。これからだいたい月一のペースで、もしかしたら知ってるはずなのに見えてなかった東京のビル遺産を案内していただく。

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lifestyle

蒲田リハビリ日記 第10回  蒲田発!! 世界屠音紀行 ノイズアーティスト GOVERNMENT ALPHA 吉田恭淑――「好きなことを全うするしか、自分の人生に満足する道は開けないと思っているから」 (写真・文:リーサル・ウエポン金本)

吉田恭淑(51歳)は、俺の高校の同級生である。彼はノイズアーティストとして世界的に評価され、音響のみならず美術の領域にまで足を踏み入れている。自由奔放な彼のセンスや発想力、やりたい放題の悪ふざけをすべて受け入れてくれるのが、ノイズアートという現代芸術の世界なのだ。彼の生き様は魅力に満ちあふれていると、20代のころから強く思っていた。好きなことに身も心も捧げる人生、彼ほど幸せな男を俺は知らない。2020年11月14日(土曜日)、女性と暮らす都内の自宅マンションを訪ね、話を聞かせてもらうことになった。ところどころ郷土の方言が飛び交う和やかな雰囲気のなか、あらためてノイズアートの奥深さを知る貴重なインタビューとなった。

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music

『ステレオ時代』の時代 03 9395円の音 (文:澤村信/写真:山田芳朗)

前回の『今どきレコードの楽しみ方』でご紹介したとおり、プレーヤー、アンプ、スピーカーを合わせて9395円弱(送料除く)で揃えることに成功。「レコードプレーヤー:ローディ UNITORQUE 1295円/アンプ:オットー(三洋電機)DCA-A20 3500円/スピーカー:ローディ HS-780 4600円(2本)/計:9395円(すべてヤフオク!で落札)」 そして編集部の試聴室で聴くと、これが最高なのだ! とくにスピーカーは特筆モノ。それまでメインに据えていたコーラル(これも2万円で入手したもの)を押しのけて、最近はこればかり聴いている。音が良くて、佇まいが良くて、ネットを外すとギラギラ光るパストフューチャー的なアルミコーンが異様な存在感を主張する。うーん、最高。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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