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2018年12月26日 Vol.337

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 48『カトマンズのチャイ店 』向田麻衣(IRIS SUN)

その店はネパールの首都カトマンズのチャイ店だ。そこに店名があったかはわからない。初めて行ったのは20年前で、その店はいつのまにかなくなってしまった。1998年のカトマンズは、まだ今ほど道も舗装されていなくて、土埃が舞っていた。パタンホスピタルからタメルに向かう道の途中にそのチャイ店は現われた。畳一畳分くらいの小屋の中で大きな寸胴鍋の中に、茶葉を入れたミルクがふつふつと沸いている。カトマンズについてはじめてひとりで町を歩いたときに、私はそのチャイ店の前で足を止めた。

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art

高橋舞のガムテープ

このメルマガでも何度か紹介している浜松市の障害福祉施設アルス・ノヴァ。最初に訪れたのは2016年、「一日ノヴァに来てもらって、感想を話してください」という「ひとインれじでんす」と名づけられたプログラムだった。それまでアウトサイダー・アートの取材を通じて知っていたいくつかの施設とはまるで異なる、自由で、ほとんどフリーキーとさえ呼びたい、利用者とスタッフがつくる空間のありかたに衝撃を受けた。今年の春には朝日新聞からお話をもらって再訪している。

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photography

菊地智子が歩くチャイニーズ・ワイルドサイド vol.3 ネオンライトの下の葬式~パフォーマンス化する死(写真・文:菊地智子)

初めて行った中国重慶の郊外で行われていた葬式に私は度肝を抜かれた。僧がお経を唱える声、葬式儀式用の楽器の音、音楽バンド、泣き女が大声で泣く声、爆竹、花火、博打の音、麻雀の牌のじゃらじゃらという音、様々な騒音が同時に会場を駆け巡り、まるでお祭り騒ぎの喧噪で沸き立っていた。葬式用の花輪や装飾が並ぶ派手な会場は、私の想像していたモノクロームの葬式とは全く異なる原色の風景だった。トランスジェンダーの友人が、都市でのショービジネスから退き田舎の葬式でパフォーマンスをするようになったというのを聞き、彼女に会いに行ったのは2011年のことだった。ドラァグクイーンパフォーマンスが農村で?と半信半疑で葬式に足を踏み入れ、私は葬式の光景に圧倒された。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 92 The National Great Blacks In Wax Museum, Baltimore, Maryland

先週に続いてメリーランド州ボルティモアから。市街北部、窓ガラスの代わりにベニヤ板を打ちつけた廃屋が目立つ、思わず車のドアのロックを確かめたくなるエリアに、全米唯一のアフリカ系アメリカ人、つまり黒人の歴史と偉人だけを扱ったロウ人形館がある。人口の半分以上を黒人が占めるボルティモアに長年暮らし、アメリカにおける黒人の歴史を学ぶ場があまりに少ないことを危惧したエルマー&ジョアン・マーティン博士夫妻が、1983年に開いた小さな展示館がミュージアムの始まり。スクールバスを連ねて押し寄せる子供たちの多さに、すぐに手狭になり、寄付を募ってあらたに開館したのが、現在のグレート・ブラックス・イン・ワックス・ミュージアムだ。

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movie

はぐれAV劇場 27 北極SEX探検隊(文:大須蔵人)

ダイヤモンド映像編集室に座り作業をする若者と、その後ろに立つ男を映し出す。手前の若者が「じゃあ監督! 編集始めましょうか」と声をかけると、「ウシ!」と気合を入れて編集デスクに座る男。彼が本作の監督、小路谷秀樹だ。そして、監督に声をかけた若者が、現在ではソフト・オン・デマンドの代表取締役会長を務める日比野正明の若かりし頃の姿だ。ふたりが編集を始めようとしたところに、「監督~、私も一緒に見ていいですか?」と、ひとりの女性が割って入ってくる。「徹夜になるけどいい?」「私、明日休みなんで大丈夫です」といった会話に続いて、監督が「よ~し、じゃあ行きますか……北極セックス探検」の掛け声に続いて、女性の張り切った声で「スタート!」こうして始まるのが、今回紹介する作品、『北極SEX探検隊』(ダイヤモンド映像、1990)だ。冒頭の編集室のくだりでは、この作品が一体何なのかが皆目伝わってこないのだが、タイトルが示すように、これは日本のアダルトビデオで初めて、「北極圏」に降り立った作品なのだ。

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2018年12月19日 Vol.336

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 47『まんまる』上迫愛(案山子家)

20代の中頃、私は広島市内に住みサラリーマンをしていた。給料は手取りで15万ほど、ボーナスなど無いのであまり贅沢はできず、休みの日には散歩をして気になったお店に入って食事するのが楽しみの一つだった。広島駅周辺には昔からある安くて面白い味のあるお店が多く、政令指定都市の駅前とは思えないような古い鉄骨むき出しの廃墟のような建物もあり、そういった場所を散歩すると妙に落ち着くのでよく訪れていた。今にも崩れそうでボロボロな建物の中に「駅前横丁」という飲食街があり、1m程の通路の両脇に小さなお店が10店舗ほど入っていた。その駅前横丁の入口の角に、うどんとおはぎと巻き寿司が食べられる「まんまる」というお店があった。

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design

マッチ箱のエキゾチシズム

姫路駅から姫路城にまっすぐのびる大手前通りに君臨してきた老舗デパート・ヤマトヤシキが閉店したのは今年(2018)2月のこと。裏手の商店街に面した一角は「みゆき通りステーション」という観光拠点に活用されていて、そこでひっそり開催中なのが『マッチラベル展』。姫路の地元民にすらあまり知られていない地味な展示のようで、こちらも「いちおう」ぐらいの気持ちで寄ってみたら、意外な充実内容! 今週は知られざるマッチ・デザインの世界をじっくりご覧いただこう。なぜに姫路でマッチ展かといえば、実はマッチ生産は姫路の地場産業。展覧会を主催する日本燐寸(マッチ)工業会によれば、日本全国のマッチの9割は兵庫県でつくられ、姫路市だけで8割を占めているのだそう。

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book

マッチ箱に詰まった記憶

ちょうど気になっていた新刊が絶好のタイミングで届いたので、一緒にご紹介したい。『マッチと街』。サブタイトルに「MATCH KOCHI 1950-90」とあるとおり、これは終戦後から、昭和が平成にかわるまでの高知の街を、マッチ箱から辿ってみようというユニークきわまりない試みなのだ。いまの高知も僕は大好きだけれど、ずっと住んできたひとにとって、いまの高知は「きれいだけどおとなしすぎる!」歯がゆくてしょうがない場所なのだろう。本書は、高知市の江ノ口川沿いに建つ漆喰壁の倉庫群がアートゾーンに再生された藁工倉庫にあるギャラリーgraffitiで2009年10月に開催された展覧会『高知遺産 マッチと町』で展示されたコレクションが、9年の歳月を経て書籍化されたもの。

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ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行 10 山西省(写真・文:関上武司)

大家好!(中国語で皆さん、こんにちは!)軟体トラベラーの関上武司です。今回は山西省運城市の関羽にまつわる観光地や日本では見られない塩湖の魅力について紹介します。2017年12月28日。この日は中部国際空港から山東省煙台を経由して山西省太原市に到着。太原武宿国際空港には山西省各地の名所や歴史上の人物を紹介するパネルがお出迎え。

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Back in the ROADSIDE USA 91 American Dime Museum, Baltimore, Maryland

大西洋から深く切れ込んだチェサピーク湾に面するメリーランド。全米50州のうち42番目の小さなステートだが、隣接するワシントンDCと主要都市ボルティモア(州都はアナポリス)を結ぶ巨大な経済圏は、全米有数の豊かな消費市場でもある。というような公式見解は置いといて、メリーランドは実に奥行き深いおもしろステート。とりわけボルティモアは、あのジョン・ウォーターズ監督のホームタウン。女装の怪人ディヴァインを起用した『ピンク・フラミンゴ』をはじめとする、米国B級ポップ・カルチャーの歴史に残る傑作を生みだした、キッチュ&トラッシュ・マニアの聖地なのだ。

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photography

菊地智子「The River」とプリピクテジャパンアワード

不定期連載「菊地智子が歩くチャイニーズ・ワイルドサイド」で、重慶のドラァグクイーンや錯綜するセクシュアリティなど、いまこの瞬間にある中国のリアリティを伝えてくれてきた写真家・菊地智子さん。代官山ヒルサイドフォーラムで開催中のグループ展『プリピクテジャパンアワード2015―2017』に参加しています。聞き慣れない名前かもしれないけれど、プリピクテとはスイスの超名門プライベートバンク、ピクテ銀行が設立した写真賞。プリピクテジャパンアワードは――「地球の持続可能性(サステナビリティ)の問題に対して強いメッセージを投げかけている、優れた若手日本人写真家を支援することを目的にしています」(公式サイトより)ということで、2015年以来2名の受賞者を出しています。菊地さんはその第1回目(2015年受賞)、2回目が2017年の志賀理江子さん。

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2018年12月12日 Vol.335

food & drink

Neverland Diner 二度と行けないあの店で 46『「浮かぶ」の正しいナポリタンとハイボール』安田理央(ライター)

飲むことについての原稿をよく書いていたりするので、酒場に詳しいと思われることが多い。でも実は、一人で酒場に行けなかったりするのだから、酒飲みとしては半人前だ。家で一人飲みするのは好きなのだが、一人で酒場で飲むのはどうも苦手だ。居酒屋だと、手持ち無沙汰なので、すごいスピードで飲み食いしてしまい、お腹もいっぱいになって、すぐ店を出るはめになる。一人でぼーっと酒を飲む、ということが出来ないのだ。人見知りなので、スナックみたいな店で初対面の人と会話するなんてことも難しい。だから一人で飲みに行けるのは、知り合いがやってる店くらいなのだ。その数少ない店のひとつが、「浮かぶ」だ。

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欲望の形の部屋

新宿駅西口から高層ビル街を抜け、中央公園を横切った通りに、ちょっと前までは真っ黒いお湯で知られた十二社(じゅうにそう)温泉があった。麻布十番温泉と同じように、西新宿の地元民にこよなく愛されてきた温泉がなくなったいま、表情の乏しい大通りに足を運ぶ理由はほとんどなくなってしまったが、通りに面したマンション内にビューイングルームを持つギャラリーYUMIKO CHIBAでは高松次郎から東恩納裕一、鷹野隆大までキャラの立った作家たちをいろいろ見せていて、今月は山本渉の『欲望の形/Desired Forms (2012-2017)』を展示中だ。山本渉(やまもと・わたる)は写真をつかうアーティスト。2013年に写真雑誌『IMA』から原稿を頼まれたのが彼の作品を知るきっかけだったが、高尚な写真評論が並ぶ中でなぜ僕に原稿依頼が来たかというと、そのとき取り上げた作品「欲望の形」が、オナホールの内部を石膏で型抜きした棒状の物体を撮影したシリーズだったから・・・だと思う。

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案山子X 51:由利高原鉄道かかし列車(秋田)、へのへのもへじ卓球場(秋田)(写真・文 上迫愛)

こんにちは。上迫愛です。今回は秋田県の由利高原鉄道かかし列車と、へのへのもへじ卓球場を紹介します。まずは秋田県由利高原鉄道の「かかし列車」を紹介します。由利高原鉄道は羽後本荘駅と矢島駅を結ぶ鳥海山ろく線を運営する、第三セクターの鉄道です。標高2236メートルの鳥海山の麓を走り、車窓から自然豊かな美しい風景を堪能する事ができます。毎年秋になると鳥海山ろく線沿いの駅舎や田畑にかかしが展示され、列車に乗りながらかかしを見る事ができます。昔は沿線の田畑にかかしが立っており、秋の風物詩といえばかかしという事で、かかし列車の企画が始まったそうです。2016年に6回目を迎え、沿線の地域の方や愛好家の方が作った65体のかかしが展示されました。

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travel

テキーラ飲んでゾンビになろう!2018

10月24日配信号で、ワルシャワの激渋タトゥー・コレクション「ステイ・ロウ、ステイ・ベーシック――オールドスクール・タトゥーの教え」を特集したモーリシー・ゴムリッキ。ポーランド人ながらメキシコシティ在住のアーティストであるモーリシーくんは長い友人なのですが、本メルマガでは2012年11月21日号でメキシコシティの秋の風物詩!ゾンビ・ウォークを紹介してくれてます(テキーラ飲んでゾンビになろう!)。あれから6年、現在のメキシコはさらに物騒な国になってしまっているけれど、有名な「死者の日」の祭もゾンビ・ウォークも健在のようで、久しぶりに「今年のゾンビ・ウォーク便り」を送ってくれました。

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art

マイ・バッドアート展、一夜かぎりの開催!

11月21日号で大特集した『バッドアート美術館展』、展示場所となっている東京ドームシティ内Gallery AaMoは、現代美術の展覧会ではありえない、笑い声の絶えない空間になっているようです。今週土曜日(15日)には、お知らせしているとおりトークも開催。ずっと前に訪れた本家ボストンのバッドアート・ミュージアムのことなど、いろいろお話しするつもりですが、せっかくの機会なので! ひそかに(でもないが)収集を続けてきた、ささやかなマイ・バッドアートをトークの夜だけお見せすることになりました! 自分の写真展すらめったにないのに、こんなに妙なコレクションの展示なんてまずありえないので、これを逃すと次にお見せできる機会はないかも・・・。よろしければぜひ、見物に来てください! 日本のバッドアート、アメリカにもぜんぜん負けてないので!

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art

DOMMUNEスナック芸術丸「アウトサイド・ジャパン」購読者限定アーカイブ公開!

10月16日にDOMMUNEスタジオから生配信したばかりの「スナック芸術丸/第五十一夜 アウトサイド・ジャパン」が、メルマガ購読者限定でアーカイブ公開になりました。以下からご視聴いただけます。メインゲストに本メルマガの連載でもおなじみ、アウトサイダー・キュレーター櫛野展正を迎え、新著『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』刊行を記念した特別番組。総勢135名の「アウトサイダー・アーティスト大辞典」ともいえるコレクションのなかから、スペシャルゲストとして遠藤文裕、けうけげんの両名をスタジオに向かえてのパフォーマンスも完全収録! かなりの神回になったプログラムです。

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2018年12月05日 Vol.334

movie

映画美術監督・木村威夫の時代

人生でいちばん映画を観たのは浪人時代だった。もっとも受験科目の少ない私立文系コースを選んで(たった2教科だった)、午前中に予備校が終わるとそのまま名画座に直行。たしか1年間で通算300本以上は観たはずで、なかでもハマったのが今はなき大井武蔵野館。昭和30年代のB級日本映画のおもしろさを教えてくれたのが、この場末の名画座で過ごした長く幸せな平日午後の時間だった。クロサワでもミゾグチでもなくて、何本観ても同じようなプログラム・ピクチャーに、どうしてあんなに夢中になったのだろう。それは作品としての完成度ではなくて、1時間半の映像に籠められた時代の空気や匂いに酔ったのかもしれない。70年代のそのころ、すでにまったく時代遅れだった映像空間には、いかにもな役ばかりを演じる男優と女優がいて、最初の5分で予測できてしまうような筋書きと、現実にはとても口にできないような決め決めの台詞があって、そういう「あらかじめできあがった世界観」を支えていたのがあの時代の、あの手の映画特有の映画美術だった。そして僕はそこで、いまだにいちばん尊敬する映画美術監督・木村威夫を知ることになった。

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travel

ディープ・コリアふたたび 21 道高温泉~ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

タイム・ホテルの裏通りには小さいながら繁盛しているカルビ屋などもあり、それなりに新しい道高のもうひとつの顔(といっても極狭い)になりつつあるのかもしれないが、もともと静かでぼーっとした温泉村なのだから夜は地味である。コーヒー屋は、それでも新築の中型~大型の間ぐらいの店があった。そこは1階がコーヒー屋で上の数階が歌飲食店という作りだったが、店に客はいなかった。夏休みのピークともなればもっと人は増えるのだろうか。浴場だけでなく、大プールもできたことだし、パラダイス・スパのおこぼれで皆なんとかなるのだろう。と思いつつ、たとえば28年前の道高温泉と現在の道高温泉は確かに流れの中でひとつの場所であるのだろうが、我々にはそれが、2018年の現状に立ってみて納得がいくようでいかないようでやはりしっくりこない。かつての道高温泉は一度終わった、といわれたほうが気持ちは多少静まる。

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photography

つめたくてあたたかい浴槽

たとえば「道に寝てる酔っ払い」とか「田舎の案山子」とか、ひとつのテーマをしつこく追い続ける写真家を、このメルマガではいろいろ紹介してきた。2014年10月22日号「浴槽というモノリス」で特集した牧ヒデアキさんは、路傍にうち捨てられたポリやステンレスの浴槽をしつこく撮っている「浴槽写真家」だ。牧さんは1971年生まれ。三河湾に面した愛知県西尾市で、建築設計の仕事をしながら、2009年から写真を撮っている。これまで何度か展覧会を重ね、小冊子をつくり、とうとう自費出版で写真集『浴槽というモノリス』を発表することになった。届いた写真集はA5サイズの小ぶりなサイズ、しかしポリ浴槽そのものの淡いブルーに丸く落とした角(何冊か重ねると浴槽のように見える!)、そして浴槽に溜まったお湯のように、表紙の写真にブルーの枠が糊付けされているという凝った造本だった。

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travel

Back in the ROADSIDE USA 91 New England Pirate Museum, Salem, Massachusetts

ボストンの北側に位置するセイラムを中心とした海岸線の一帯は、17世紀後半には「黄金海岸」と呼ばれ、海賊たちが跋扈していた。いったいどれくらいの船が沈められ、人が殺されたのか定かではないが、ここ数年だけでもマサチューセッツ沖合で、3千万ドル以上にのぼる財宝が海中から発見されたという。ニューイングランド・パイレート・ミュージアムは、大西洋を舞台にアメリカ、ヨーロッパ入り乱れて繰り広げられた海賊たちの戦いと冒険の物語を、ジオラマによって再現したユニークな展示館。もちろん海賊姿に扮装した威勢のいいガイドが、1シーンずつ丁寧かつ大げさに解説してくれる。

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book

2千体のソフビ宇宙!

2017年11月1日号『ソフビになったホームレス』で特集したソフビ作家デハラユキノリの初作品集『DEHARA』が今年7月末に発行された。たいへん紹介が遅くなってしまったが、内容の抜粋をいただいたので、ここでご覧いただく。デハラユキノリは1974年高知市生まれ、フィギュアイラストレーターとしてデビューしたあと、ソフビを手がけるようになってもう20年近く。コンスタントに年間300体ほどをつくっているというので、これまで生み出したフィギュアの総計が約6,000体! 初作品集となる『DEHARA』にはそのうち約2,000体のフィギュアとソフビが、オールカラー312ページに詰め込まれた渾身の大作。これだけの数が集まると、もはやソフビの肌を持つ新種の生きもの図鑑のようにも見えてくる。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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