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2020年02月26日 Vol.393
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銀色人間の国
メルマガも9年目ともなると、新しい出会いとともに、以前に取材したひとの新しい作品や挑戦を教えてもらうことも増えてきた。2014年12月25日配信号で特集した『裸眼の挑戦――若生友見とragan books』。そのころはまだ比較的ゆったりだった東京アートブックフェア会場で出会って、クールでシャープなコンセプトとデザインに唸った「ragan books」の若生友見さんに会いに、宮城県七ヶ浜町まで出かけてつくった記事だった。 先日、久しぶりに会った若生さんから「これ、新作です」と渡された2つの小冊子。最初、どういう趣旨なのかよくつかめなくてボーッとしていたら解説してくれて、それがすごくおもしろかったので、今週はragan久しぶりの新作を紹介してみたい。
lifestyle
SNSの神々 第5回 「団地の給水塔」を追い続ける男(文:吉村智樹)
SNSを通じて自己表現をしたり、収集や観察の成果を発表したり。そうして熱い支持を集めるカリスマたちに迫る「SNSの神々」。第5回目は、日本中を旅しながら、ひたむきに「団地の給水塔」を撮影し続けるUCさん(37)。給水塔高層部分の外形がズラリと並んだUCさんのInstagramアカウントが、日本はもとより海外でも話題となっている。先ごろは韓国で出版された花形インスタグラマーたちを紹介した本にも採りあげられた。UCさんは、大阪市内のとある団地に住むサラリーマン。会社勤めをしながら、団地の給水塔を探し求めて全国をさまよっている。「日本給水党党首」という肩書きをもち、団地愛好家集団「チーム4.5畳」の一員でもあり、InstagramやTwitterを有効活用しつつフィールドワークを深めてゆく姿は、「SNS時代の路上観察家」の、ひとつの理想形だろう。
art
笑う彫刻家――ヴィーゲランに会いにオスロに行く(写真・文:清田貴代 [にっこり寿司アーティスト・たまちゃん] )
いまや説明の必要もなくなったクリエイティブ巻き寿司アーティスト「たまちゃん」。2013年2月13日号「ノリに巻かれた寿司宇宙」で紹介したころは、ラップでくるんだ「割るとウンコ(の絵柄)が出てくる寿司」とかを新宿の飲み屋で披露してたのが、いまや海外に招かれパフォーマンスを披露するまでに! 先日はムンクの『叫び』をテーマにしたコンペで、なんと世界2位を受賞してノルウェー旅行のご褒美。帰国後に会ったら「とんでもない彫刻公園があった!」と興奮していたので、お願いして記事をつくっていただいた。世の北欧デザイン好き女子を震撼させる……真のスカンジナビア・スピリットをご覧あれ!
travel
案山子X 63:新庄かかし祭り(山形)(写真・文:上田愛)
こんにちは。上田愛です。今回は山形県新庄市の「新庄かかし祭り」を紹介します。山形県の北東に位置する新庄市。山形新幹線の終着駅である新庄駅があり、福島駅から青森駅を結ぶ奥羽本線、余目駅までを結ぶ陸羽西線、宮城県の小牛田駅までを結ぶ陸羽東線の3路線も乗り入れています。雪深い地域であり、雪に関する情報や歴史を展示する「雪の里情報館」や、雪崩などの雪氷災害を研究している「雪氷防災研究センター(新庄雪氷環境実験所)」があります。また、8月24日~26日の3日間開催される新庄まつりが有名で、豪華絢爛な山車行列を見ようと毎年多くの観光客が訪れます。2017年8月に、エコロジーガーデン・原蚕の杜で開催された「第15回 新庄かかし祭り」に行きました。
lifestyle
SHANGHAI STYLE 当世上海住宅事情 case 12(最終回)
上海市内を蛇行しながら東と西に二分する黄埔江(こうほこう)。もともとの中心は西側(浦西)にあって、東側(浦東)は発展が遅れた地域だったが、いまでは浦東新区と呼ばれる超高層ビル街となり(上海を象徴する東方明珠電視塔などもこちら)、新旧入り乱れる楽しい地域でもある。彼女が住むのは昔ながらの団地の1階。地下鉄駅まで徒歩15分という微妙なロケーションだが、フリーの編集者で毎日出勤する必要がないのと、なんといってもここが20年間にわたって両親が住んできた部屋だから。
2020年02月19日 Vol.392
design
不自由な国の自由なデザイン――ポーランド映画ポスター展を見て
とりあえずこのポスターを見てほしい。往年の日本映画のポスターなのだが……なんの映画かおわかりだろうか。 実はこれ、高倉健や千葉真一が主演したパニック映画の傑作『新幹線大爆破』(1975年東映)のポーランド版ポスターなのだ。世界のB級映画ファンにおなじみのこの作品、英語タイトルは「The Bullet Train Super Express 109」というので、たしかに題名のSUPER EXPRESSは入っているけれど……パニックの緊張感が1ミリもない、かわいらしいイラスト! あまりに独創的な解釈に、展示会場でにんまりしてしまったのは僕だけではないだろう。 東京京橋の国立映画アーカイブではいま『ポーランドの映画ポスター』展が開催中だ(3月8日まで)。日本・ポーランド国交樹立100周年を記念したというこの展覧会。100年前のポーランドはまだ共和国時代だったと思うが、第二次大戦のナチ占領時代を経て、戦後はポーランド人民共和国として共産主義国家となった。その後、1989年に共産党独裁体制が崩壊するまでの半世紀近いなかで生まれた映画ポスターが、今回は96点も集められて見応えある展覧会になっている。
lifestyle
SHANGHAI STYLE 当世上海住宅事情 case 11
「八万人体育場」と呼ばれ、北京国家体育場に次いで中国第2の規模を誇る上海スタジアム(体育場)のすぐ脇、古い団地に住むロック・ギタリストである。 彼が育ったのは大連、大学進学で寧波にやってきて、2008年から上海で働くようになった。最初は広告代理店に勤めていたが、忙しすぎて音楽に時間が割けないので、別の会社に移ってマーケティング担当として働きながら、バンド活動を続けている。いまの会社も平日は出社しなくてはならないが、年に18日の有給休暇があるので、その期間を利用して練習に集中したり、海外に行くこともできる。去年(2019)は10月にヨーロッパ・ツアーをしてきたばかりだ。 彼がギターを担当するのは「上海秋天(Shanghai Qiutian)」、地元のインディ・シーンではかなり知られたロックバンドで、メンバーは彼を含めて5人。その全員が仕事を持ちながら音楽活動を続けている。
travel
ショッピングセンターに隠された恐怖の館・生命奥秘博物館
三国志をはじめとする歴史名所旧跡にあふれ、パンダ・ファンの聖地であり、四川料理のふるさとでもある成都。その中心となるのが巨大な天府広場だ。地下鉄網のハブ駅であり、成都博物館と四川科学技術館に囲まれて、いつも地元民と観光客で賑わっている。 広場の地下はこれまた巨大なショッピング街になっていて、棒になった足を休められる場所を探しさまよっていたら、なんだかグロテスクな輪切り(というか縦割り)のマンボウが、通路にどーんと展示されていた。脇に立っていたお姉さんからパンフレットをもらうと、「生命奥秘博物館」と書いてある。なにこれ・・・・・・。 マンボウを通り過ぎた先、ドラえもんショップの隣に大々的に展開していたのが生命奥秘博物館だった。入口の左手には立ち上がったシロクマの半分は毛皮、もう半分は皮を剥いだ内蔵露出標本が、「本物ですから触らないで」という注意書きとともに飾られているが、反対側はパンダの縫いぐるみが山積みになっている。「奥秘」かどうかはともかく、「奥謎」施設であることは確か。
travel
ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行 特別編:蘇州一席 (写真・文:関上武司)
大家好!(中国語で皆さん、こんにちは!)軟体トラベラーの関上武司です。今回は当連載の特別編ということで、昨年10月に江蘇省蘇州市で開催されたイベントで中国遊園地について語ることになりました。 2019年9月。この月は本業以外のスペシャルミッションでかなりストレスフルでした。神経を使う作業が連日続き、1週間ぶりにメールを確認したところ、中国の「一席」というグループからイベントの招待というメールが届いていました。こ、これは・・・・・・。1週間も返信しなかった無礼をお詫びするメールを先方へ送りました。しかも一席に私を紹介したのは都築編集長ということで、イベントで使う写真の選択やトーク内容の中国語の文章を気合いを入れて作成。一席の担当者の楽さんとは1回、スカイプでやりとり。こちらの中国語が特に問題ないことを認識してもらってから、軟体技を披露。とんでもないものを見てしまったという反応でしたが、あちらにカメラがついてなかったので表情までは確認できなかったのが残念でした。 2019年10月25日の金曜日。私の本業は技術職のサラリーマンなので、有給を使って中国へ。
2020年02月12日 Vol.391
travel
人民公園の休日
成人の日の翌日から、重慶と成都に行ってきた。1週間弱の短い旅行で、そのときはだれもマスクすらしてなかったけれど、帰ってきたらいきなりコロナ・ウィルスのアウトブレイク。こんなことになるとは、だれが想像できたろう……・。「8D都市」と呼ばれるほどの超重層近未来都市・重慶については、以前メルマガでも紹介したが(2019年12月25日号)、訪れるのは10年ぶり。『重慶マニア』(パブリブ刊)にたっぷり紹介された、その近未来感覚を確かめたかったし、記事で吉井忍さんが書いてくれたように、「京都と大阪みたいな永遠のライバル」と言われる、成都との比較にも興味があった。成都は四川省の州都。言わずと知れた四川料理の本場だし、パンダ・ファンの聖地でもある。三国志マニアには蜀の都としておなじみ、劉備玄徳と諸葛孔明の廟があり、古代史好きにはいまから4000~5000年前という、謎の仮面文化・三星堆(さんせいたい)遺跡が発見された地としても、胸躍る場所だろう。
travel
中国快適旅行案内 (写真・文:スナック・アーバンのママ)
1月のはじめに、10日間ほど中国を旅行してきた。とくに計画もなく上海イン・アウトの航空券だけ買って(中国東方航空で4万円少しだった)、あとはGoogle Mapを見ながら計画をたてて、上海→重慶→成都→西安→上海と鉄道と飛行機で移動しながら、たまに誰かが合流したりひとりになったりを繰り返す、なんだかちょっと学生時代のような懐かしい旅になった。都市間の移動は飛行機や鉄道が発達しているからとても快適で、電子マネー決済のおかげでお金のやり取りも簡単、困ったときには翻訳アプリで会話することもできる。そういうコミュニケーションのハードルが下がったおかげで、中国を旅するハードルもぐっと下がったんじゃないだろうか。いま、世界ではコロナウイルスが猛威をふるっていて、しばらくのあいだ中国を訪れることはできないけれど、わたしたちにできる一番のことは、いつか安心して中国に行ける日が来たら(なるべく早くそうなってほしい!)、たくさん旅して、めいっぱい楽しむことだと思っています。その日のために、今回の中国旅行での役立ちアプリや、ホテル・交通情報など、気楽に旅する方法をちょっとだけ書かせていただければと思います~。中国、大好きだよ!
lifestyle
SHANGHAI STYLE 当世上海住宅事情 case 10
上海市中心部の北東に位置する虹口区。第二次大戦中は日本の租界があって、「小東京」と呼ばれていたという。上海人の憩いの場である魯迅公園、その一角にはサッカー場の上海虹口足球場があり、1部リーグに所属する上海申花(シャンハイシェンホァ)のホームスタジアムでもある。巨大なスタジアムを見おろすように建つ高層ビルの18階、こんな場所にと驚くロケーションに、彼女は友人とふたりでヘアメイク/タトゥー・スタジオを開いている。
art
波磨茜也香のおんなのこ散歩 第10回 知識は時にして残酷、28歳のココ最近
みなさま、明けましておめでとうございます。一富士、二鷹、三茄子っぽい夢、見れましたか。この連載が配信されるころには年が明けて2020年。というかもう正月云々どころか日常に戻っている時期でしょう。先は長いと思っていた東京五輪が直ぐそこに。去年の初めからこの連載を開始してやっと10回目。専門学校に通いながらなんだかんだ続けてこれましたが、2019年はとにかく「一難去ってまた一難」という言葉がぴったりな年でした、ゆえにボロボロの状態でなんとか文章・絵のデータをド深夜(3時とか4時とか)に都築さんに送り付ける日々だったのですが、そんな中でも自分なりに動き回り、さまざまな出会いがあった年でもありました。毎日フルで動いて知らない間に寝てる。これを繰り返してたら、あっという間に冬休み。
2020年02月05日 Vol.390
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 88 『イクツニナッテモアソビタイ、と台湾料理屋のママは云った』 友川カズキ(歌手、画家、競輪愛好家)
川崎に住んで五十年になんなんとしている。別段、居を定める、と云うほどの確信めいたモノは今の今まで無かったのだが、気づけば早、半世紀である。この間、市内で数度の引っ越しを経験してはいるが、つげ義春の『李さん一家』のごとく、何とは無しにここ西口界隈にとどまっているのである。五十年も暮らしていれば、どんな偏屈者でも馴染みの飲食店の五軒や六軒はありそうなものだが、私にとって堂々常連ヅラできるような気安い店は、今となってはほとんど無い。ここ数年、腰の調子がよくないのもあって、近所の呑み屋に一人フラッと入るようなことも、まったくと云っていいほど無くなった。
lifestyle
SHANGHAI STYLE 当世上海住宅事情 case 9
上海市中心部の大きな団地ブロック。エレベーターなしの7階の広いアパートを、彼女は2人の友だちとシェアして住んでいる。生まれたのは山東省、大学進学を機に上海にやってきたのが7年前のこと。そのうち1年間はアイルランドに留学していて、「でも勉強というより、外の世界を見たかったから、学校より街を歩きまわってばかりいた」。卒業論文のテーマは「ヴェイパーウェイヴ」。もともとネットから誕生した音楽形態で、過去のさまざまな音源にデジタル・イフェクトを重ねていくことで制作される、いかにも21世紀的な音楽だが、いまではそのスタイルがアートの世界にも波及しているのをご存じのかたもいらっしゃるかと。いま、多くの日本人音楽愛好家を困惑させている(?)、海外におけるバブル期シティポップ・ブームも、ヴェイパーウェイヴとかなり関わりが深い現象ではある。
food & drink
私の香港 私の中國冰室 (写真・文:鈴木久美子)
2019年9月4日号「針と糸でつづる香港愛」で紹介した刺繍作家・鈴木久美子。2011年ごろから「macaroni」という活動名で作品を発表している鈴木さんはハンカチやトートバッグ、ポーチのようなかわいらしいサイズの布地に自分の好きなものを、絵を描くように刺繍しているのだが、macaroniという名前を付けたのも「香港の朝ご飯の定番がマカロニ=通粉だから」というくらいの香港偏愛者。その鈴木さんが「香港でいちばん好きな場所のひとつ」で、作品のモチーフにもしてきた中國冰室(チョンゴンビンサッ)が、昨年末でまさかの閉店。哀しみに暮れる鈴木さんに、「二度と行けないあの店」の思い出と、香港庶民文化の象徴ともいえる冰室への思いを書いていただいた。
photography
私たちは消された展 2020
2019年2月6日号「消され者たちの歌」で紹介した『私たちは消された展』と、主宰の写真家・酒井よし彦さん。神保町のギャラリーで開かれた展覧会は、たった1週間の会期に900人もの観客が訪れたという。『私たちは消された展』はFacebook、InstagramなどのSNSに、性的な内容が「ガイドラインに反する」とされて、アカウントを凍結・削除・警告されてしまった表現者たちが集まって開いたグループ展。来場者は展示を撮影して「#私たちは消された」のハッシュタグをつけてSNSへの投稿を要請(強制?笑)され、それによって来場者までもが投稿削除されるという……なかなかに刺激的な観客参加型展覧会だった。予想をはるかに超える反響を受けて、2月3日からスタートしたのが『私たちは消された展 2020』。前回を超える16名の作家たちが参加して、より挑発的な喧嘩上等展覧会になっているはずだ。
lifestyle
肉筆――ゆきこの日々これ風俗 08 ウズメマキエの『昼顔』 (文:ウズメゆきこ/写真:マキエマキ)
こんにちは、ウズメゆきこです。2019年もあいかわらずドラマティック(トラブルだらけ)の1年でした。躁鬱との闘い、在籍店からのパワハラ、失恋……なぜ楽しい記憶よりも、辛かった記憶ばかりが思い出されるのでしょうか。あまり良いとは言えなかった1年間の中で、特筆すべき明るい思い出を、憧れの人へのラブレターとして書いてみたいと思います。その人の名は「マキエマキ」さん。マキエさんを初めて見たのは都築さんのメルマガ。ホタテのビキニを堂々とまとい岩場でポーズをとる美熟女。思わずえっ!?、同時にニヤッと笑ってしまう、そこには不思議なインパクトがありました。
travel
日本性祭紀行7 宮城県石巻市の「名振のおめつき」 (写真・文:深沢佳那子)
「名振のおめつき」は宮城県石巻市雄勝の名振地区で行われる火伏せの祭りだ。火伏せの祭りというのは、つまり火災・火事除けの祭りのことである。このおめつきは1783年にこの地で大きな火災が起きたことをきっかけに始まったものだという。男根崇拝はこれまで紹介してきたように五穀豊穣や子宝祈願の祭りによく見られるものだが、火伏せとの関係もしばしば見られる。特に福島県の南会津地方では火伏せの男根として家を建てるときに屋根裏に木彫りの男根を奉納するという習俗があるという。一般にこれらは男根の持つ呪力によって火災を除けるという信仰であると考えられている。さて、名振のおめつきが開催されるのは毎年1月24日だ。名振地区は石巻市の中でも特に海岸沿いの地域であり、真冬はとてつもない寒風が吹きすさぶ。わたしが初めておめつきを訪れたときも気温はマイナス5℃を記録し、更に雪と強風で体感温度はかつて感じたことがないほどの寒さであった。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!