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2016年10月26日 Vol.233
art
軽金属の妖精たち
最初に見たときはCGかと思った。それも初歩的な。緑の木々や、夜景に浮かぶメタリックなかたまり。球形や円錐やカプセルを組み合わせてつくられた、アニメのロボットのような、生き物のような。それがCGではなくて金属による立体作品だと知ってまず驚き、それがまだほとんど知られていない若い女性作家によるものだと知って、さらに驚いた。服部美樹は1983年生まれ、33歳のアーティストである。「作品はほとんど自宅にあります」というので、さっそくお邪魔した東京都心に近い、こんな場所にこんな家屋が!と目を疑う一軒家が、服部さんのアトリエ兼住居だった。聞けば築70年というから、終戦直後に建てられたそのままで、ビルの谷間に生き延びてきたことになる。
lifestyle
新連載! 圏外芸能人 vol.01 コミック歌手の生き方 ~さいたまんぞうという人生~(写真・文:菅原養史)
「圏外」にしぶとく生きる編集者やアーティストがいるように、芸能にも「圏外」というサバイバル・フィールドがある。今週から始まる不定期連載「圏外芸能人」。書いていただく菅原養史(すがわら・おさむし)さんは――「1980年生まれ、個性的な流れ者の漁師や肉体労働者が多く住む港町・神奈川県の三浦三崎に育つ。ひょんなことからAVの世界に迷い込み、気づけばうつ病とお付き合いしながら細々と熟女系ドラマAVの監督として10年の月日を迎えた自称・AV監督。とあるドラム奏者を被写体に自主制作ドキュメンタリーも制作中」という、こちらも圏外のツワモノ表現者。ご紹介いただく最初の「圏外芸能人」は、いちど聞いたら忘れられない芸名の、懐かしいあのかたです!
fashion
捨てられないTシャツ 61
軽井沢骨折T/44歳男性(メルマガ運営)/滋賀県出身。両親ともに地方公務員、共産党員の家庭で育つ。小学生のころ、人がいっぱいいて楽しかった祭りの記憶は、今思うとメーデーの集会だった。赤旗新聞の集金をすると小遣いがもらえた。中学生では選挙前にはビラ折りのノルマがあったし、高校生になると駅前で拡声器で喋ってる父を発見した。このころ父は市役所を辞めて近所にできた左翼系診療所の事務長に転職し、活動がパワーアップしていたんだと思う。ちょうど今の自分と同じ年齢くらいかと思う。
movie
はぐれAV劇場 15『松野行秀の堕落論』(文:大須蔵人)
スキャンダルは一度利用したら最後まで押し通せ! このテロップとともに作品は始まる。画面には派手な衣装に身をつつみ、マイクを持って話す1人の男。その背後にはタイガー・ジェット・シンのポスターが貼られていて、どうやらプロレスラーの試合後会見のようだ。そこで満身創痍のまま、ピエロのような白塗りの顔で会見をしているのが、本作の監督であり、主演男優でもある、ゴージャス松野こと、松野行秀だ。今回紹介する作品は、2002年に制作された『松野行秀の堕落論』。上記のように監督と主演を、AV初出演となる松野行秀が担当し、松野さんが「AVに出演すること」そのものがテーマとなっている、類まれな珍作だ。
travel
Back in the ROADSIDE USA 10 Bedrock City, Custer
アメリカの地図のやや左上、つまり中北部にどっしり控えるノース&サウスダコタ両州。ノースダコタはアメリカにおける「ど田舎」の代名詞的存在だが、南半分のサウスダコタのほうは東端のスーフォールズ、西端のラピッドシティを中心に、けっこう見所が少なくない。それでも州の面積が全米で17番目なのに、人口は46番目と、すばらしくスカスカな土地ではあるのだが。ラピッドシティ周辺の西側には、全米屈指の観光スポットであるマウントラシュモア(あの大統領4人の顔が、岩山に彫ってあるやつ)をはじめ、バッドランズ国立公園など有名どころがひしめいてる。「白人の聖地」であるマウントラシュモアをいだく町カスターには、「ベッドロック・シティ」という楽しいレクリエーション・パークがある。名前でわかってしまうひともいるかと思うが、ここはあの『原始家族フリントストーン』をテーマにした観光スポットであり、キャンプ場でもある。
2016年10月19日 Vol.232
art
レペゼン小倉のストリート・アーティスト、BABU
今月末の会期終了まで10日あまりとなった福岡天神アルティアムでの『僕的九州遺産』展。1990年代に『珍日本紀行』で日本中を巡っていた時代から、つい最近までの九州ネタをぎゅうぎゅうに詰め込んである中でもっとも新しい、というか最近の出会いだったのが、会場奥に設けた奇妙なスケートボード作品群。暴走族単車に畳、果ては琴まで(!)、なんにでもホイールをつけてスケートボードにしてしまう、恐るべき改造マニアによる作品だが、そのアーティストが「BABU(バブ)」。小倉を拠点に活動するストリート・アーティストであり、スケートボーダーであり、彫師でもある。そしてそのアトリエは偶然にも、見世物小屋絵看板の伝説的な絵師だった志村静峯の「大衆芸術社」があったのと同じ、小倉の中島本町にある。
art
東京・東と西のロウブロウ
高級割烹の職人が遊びで牛丼作っても似合わないように、ハイエンド・オーディオショップの試聴室でゴリゴリのラップをかけても気持ちよくないように(ちがうか?)、ロウブロウ・アートには銀座や表参道の高級アートギャラリーよりも、やっぱり得体の知れない(失礼!)場末のスペースがしっくりくる。ちょうどいま、これまで本メルマガで紹介してきたアーティストの小さな展覧会が、東京の東側と西側で開催中。急いでハシゴしてきたので、急いでご報告する!
fashion
捨てられないTシャツ 60
K.P.M./38歳男性(編集者)/鳥取県の中部地方、倉吉に生まれる。「人口が最も少ない県」第3の市は良く言えば鳥取における名古屋だけれど、人口は5万人、つまり東京ドームに全員が入ってしまう。4回勝てば甲子園の「水と緑と文化の都市」は、当時「トイレ」で町おこしをしていた。打吹天女の物語から採った「天女の忘れもの」というウ○コ型のおまんじゅう、今も販売してるのだろうか。
photography
移動キャバレーの誘惑――沈昭良写真展『STAGE』
これまでも本メルマガで何度か取り上げた台湾の写真家・沈昭良(シェン・ジャオリャン)によるステージ・トラックの写真展『STAGE』が、いま東京虎ノ門の台湾文化センターで開催中だ(10月28日まで)。台湾式ステージ・トラックの再解釈とも言える、やなぎみわのステージ・トレーラー・プロジェクトをご存じのかたもいらっしゃると思うが、今回展示されるステージ・トラックは、2006年から2014年までに撮影されたものだという。
travel
Back in the ROADSIDE USA 09 The Buckhorn Saloon & Museum, San Antonio
州としてもアメリカ有数の大物、B級珍名所の数でもアメリカ有数であるのがテキサス。とにかく大きくて、たくさんあるのが大好きというお国柄なのはご存じのとおり。テキサス随一の観光名所、名高いアラモの戦いの舞台となった砦があるサンアントニオのダウンタウンに、なんともキッチュで楽しい寄り道スポットがある。『ザ・バックホーン・サルーン&ミュージアム』は創業1881年という、サンアントニオきっての歴史を誇る「居酒屋兼博物館」。アルバート・フリードリックなる人物が最初に年に店を開いたのだが、客集めのために「仕留めたシカの角を持ってきたら、ビールかウィスキーが1杯タダ!」と宣伝したところ、あれよというまにものすごい量の角が集まってしまった。
2016年10月12日 Vol.231
travel
Y氏とめぐる、福岡マジカルミステリーツアー
おかげさまで好評開催中の『僕的九州遺産』展。これから観に行こうというかたもいらっしゃるかと思う。オープニング翌日の10月2日にはバスツアーも開催されたが、そこでツアーコンダクターとして活躍していただいたのが、通称「Y氏」こと山田孝之さん。本業はウェブ関連の会社を運営しながら、これまで福岡を中心とする九州の「B面」の楽しさを紹介する、最強のガイドとして発信を続けてきた。主戦場であるブログ「Y氏は暇人」で2013年からさまざまな調査の成果を発表するとともに、冊子『福岡のB面』『福岡ふしぎ旅』『福岡レトロ旅』などを次々に刊行。昨年末には単行本『福岡路上遺産』(海鳥社刊)も出版しているので、福岡の書店で見つけたひともいるのでは。今回はY氏にお願いして、これまでブログで紹介されたスポットの中から、これから展覧会に来ていただくみなさまのために「福岡に来たなら、これは行っとかないと!」という場所を選び、特選・福岡B面ガイドとして紹介させていただくことにした。
book
ハロー・マイ・ビッグ・ビッグ・ハニー!
いまから10年以上前に、バンコクの書店で見つけた本があった。『ハロー・マイ・ビッグ・ビッグ・ハニー!』というその一冊は、バンコクの売春婦にハマった欧米人のラブレターを集めた楽しい奇書で、2006年に紀伊國屋書店の広報誌で書評を書いたあと、書評集『ROADSIDE BOOKS』にも収められたが、なにせ版元がラストギャスプというサンフランシスコのサブカル系出版社なこともあって、なかなか日本では手に取る機会もないかと思っていたら・・・なんと最近、Kindleの電子版が出ていることをTwitterで教えていただいた。
fashion
捨てられないTシャツ 59
タケオキクチ/35歳男性(フリーランス)/生まれは千葉県市川市。夢を見て上京した人たちが最後にしがみつく東京である小岩と、中流のための高級住宅地である船橋に挟まれた、夢破れた漂流者を中流にたどり着かせないためのフィルターみたいな街だった。安保闘争や学生運動に挫折した店主の古本屋なんかもけっこうあって、いつも世界同時革命とか言ってたり、生計を立てるためのエロ本を店主に向かって右側、古典やら現代思想やらを左側に陳列していたのが、やっぱりこだわりなんだろうか?と思ったのを覚えている。
art
アウトサイダー・キュレーター日記 21 野村一雄(写真・文:櫛野展正)
いまや3億2000万人が利用するソーシャルメディアのひとつTwitter。国内では3500万人が利用し、宮崎駿監督の映画『天空の城ラピュタ』がテレビ放映されると「バルス」とツイートすることが流行したり、地震や台風の際にはTwitterで救助を求めたりするなど、ライフラインツールとしても不可欠なメデイアのひとつになっている。そんなTwitterのタイムラインに、ある日こんな興味深いツイートが流れてきた。「30年前、父が7年と数ヶ月の歳月をかけて描いたA1サイズの迷路を、誰かゴールさせませんか。#娘として困惑してる #この才能を他の場面で活かせなかったのか――」
travel
Back in the ROADSIDE USA 08 Shenandoah Caverns, Shenandoah
「ヴァージニアで唯一エレベーターで降りていけて、階段の昇り降りがいらない」のが売りというシェナンドー・キャヴァーンズは、1922年から公開されている観光洞窟として老舗中の老舗である。そのシェナンドー洞窟の持主であるハーグローヴ社の本業が、実はパレード用のフロート製作。アメリカ人は、もしかしたら世界でいちばんパレード好きな人種かもしれないと思うのだが、野球チームの優勝パレード、フットボールのパレード、政党の大会のパレード、大統領就任式のパレード・・・ディズニーランドで毎日見られるようなパレードが、なにかにつけてはきょうもアメリカのどこかのメインストリートで、にぎやかに繰り広げられてるわけだ。パレードの華であるフロートは、日本語では山車となるんだろうが、そこはアメリカだけにサイズがスーパー。ひとつのフロートが、大きいもので長さ30m以上。だいたいどれも25mプールぐらいはあると言ったら、そのボリューム感を想像していただけるだろうか。
2016年10月05日 Vol.230
travel
見世物に魅せられて――見世物大博覧会@国立民族学博物館
大阪モノレールを万博記念公園駅で下車。ずいぶん汚れてしまった太陽の塔を横目で見ながら公園をずずっと奥に進むと、国立民族学博物館の大きな建物が見えてくる。通称「ミンパク」ではいま注目の展覧会『見世物大博覧会』を開催中(11月29日まで)。英語のタイトルが「アメイジング・ショウ・テンツ・イン・ジャパン」とされていることからも明らかなように、この珍しい、そして画期的な展覧会は、ショウ・テント=仮設の小屋で営まれてきた見世物の歴史を、江戸時代から平成の現在まで200年あまりにわたって振り返るという、ある意味、国立博物館らしからぬ(?)企画展だ。
art
『僕的九州遺産』開幕!
先週、誌上プレビューした福岡天神アルティアムでの『僕的九州遺産 My private Kyushu』、先週土曜日になんとか無事、開幕できました! 福岡という展覧会は初めての場所で、どれだけのひとが来てくれるかと心配でしたが、おかげさまで10月1日のオープニングは大盛況。一時は入場制限がかかるほど、たくさんのお客様が来てくれました。ほんとうにありがとう! 展示内容については先週号で詳しく紹介したので、もう繰り返しませんが、今週は会場をご案内します。
fashion
捨てられないTシャツ 58
エミリーテンプルキュート/24歳女性(アーティストの経理・プロジェクトマネージャー)/出身は広島県広島市。ずっとひとりで、家の中でいくらでも遊べる子どもだった。人形遊びが好きで、リカちゃん、ジェニーちゃんから指人形までなんでも。両親は共に武蔵野美術大学出身、日曜美術館を毎週観るような家庭だった。母親は専業主婦で、父親はサラリーマン。4つ上の兄と2つ上の姉がいる。小学生になっても性格は変わらなかったが、わりと優等生タイプでもあったので、たとえばだれも立候補しないのがイラッとなって、しかたなくみずから学級委員になったり。
book
ROADSIDE LIBRARY 002『LOVE HOTEL』、ついにリリース!
先日からお伝えしてきた電子書籍シリーズ「ロードサイド・ライブラリー」の第2弾『LOVE HOTEL』が、ついに完成! ダウンロード版の配信を開始しました。USB版も1週間以内に準備完了、すでにサイトからご予約いただけます。新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
design
絶滅サイト 09「雅子さま」~「旧ソ連のエアライン」(文:ハマザキカク)
「スポーツセックス推進委員会 (SportSex)」――『珍スポーツ』という企画を考えた時に、それはそれで色々あるのを知ったのだが、一石二鳥になると思ったのがセックスとスポーツを融合させたもの。汗も掛けるし、子作りにも励めるし、ダイエットにもなるし、気持ちが良い。そんな事を考えている人がいないかな?と探したら、ドンピシャで出てきたのがこのサイト。しかしこれは見れば分かるが何かのアフィリエートサイト。この「Sport-sex」というドメインを確保しておくために「子宮頸がんについて」や「ノードラッグ!」という適当に無関係のコンテンツを乗っけているのが明らかだ。スポーツという訳ではないのだがドルショック竹下著『セックス・ダイエット』という本が出ていて、実際にセックスで痩せる方法を指南している。こうなったら『オナニースポーツ』という本を出して、自家発電しながら筋トレも出来る様なマニュアルを作るしかないのかもしれない。
book
Kindle版写真集『CALCUTTA』に寄せて
「カルカッタの朝は静かに明ける。フグリー川に立ちこめる靄が、ハウラー橋をモノクローム写真のように見せていた。古ぼけた植民地時代の建物が、この街の辿ってきた歴史をあらわしている。」 英語で書かれた序文の出だしを適当に訳させていただいたのは、芦沢武仁のKindle版写真集『CALCUTTA』。9月18日にリリースされたばかりの新刊だ。芦沢武仁(あしざわ・たけひと)の写真はこのメルマガでも2014年末から15年初めに、3回に分けて紹介した。『CALCUTTA』は芦沢さんにとって初めての写真集になる――。
travel
Back in the ROADSIDE USA 07 Rock City Gardens, Lookout Mountain
テネシー州南東部、ジョージア州境に近いチャタヌガ。19世紀から南部の主要工業都市だったこの都市は、名前こそエキゾチックだが、1970年あたりには全米でもっとも大気汚染のひどい都市という、ありがたくないお墨付きをもらうほどに汚れきっていた。ダウンタウンでは、昼間でも自動車のヘッドライトをつけないとならない日が年間150日以上。呼吸器系の病気発症率はアメリカ平均の3倍以上だったというから、事態は非常に深刻だったのだ。それから30年あまり、現在のチャタヌガは美しく再開発された模範都市として、全米から観光客を集めている。チャタヌガといえばグレン・ミラーの『チャタヌガ・チューチュー』を思い出す人が多いだろうが、実はチャタヌガでいちばん、というよりテネシーでいちばん、というより南部一帯でいちばんの観光名所として全米にその名を轟かせてきたのが、ルックアウト・マウンテンにある『ロック・シティ』。音楽じゃなくて岩のほうのロックです。
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カテゴリ別バックナンバー
BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!