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2018年10月24日 Vol.329
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 43『ずっと、チャレンジャー。』中尊寺まい(ベッド・イン)
あの頃の私、22歳。とにかく、家を出たかった。家庭にこれといった大きな問題があったわけではない。母子家庭ながら、周りの大人たちのおかげでひもじい思いをしたことは一度もなかった。ひとりっ子だったし、なんだかんだ欲しい物は買ってもらえていたし、おやつとかお菓子とか、生まれてこの方分けたことなんてないし、ふかひれの姿煮を白いごはんに乗せてクチュクチュして食べさせてもらっていたし。父がいなかったからといって、それを悲観したこともなかったし、家族と大きな喧嘩をしたこともなかった。ただ、その分ずっと家族に気を遣っていたから、そんな中途半端にお利口な自分と付き合っていくのが、もうだるくなっていた。
travel
Northern Lights 2018 vol.3 カナディアンワールド~北の京芦別、バブル遺産の旅
空知地方の芦別はかつて北海道の石炭産業を代表する「炭都」だった。三井、三菱など5つの炭鉱を抱え、星形の市章は「黒ダイヤ」(石炭)を表している。しかし90年代にはすべて閉山。最盛期には人口7万5千を数えたというが、いまは1万4千人弱。夕張をはじめとする炭鉱町と同じ斜陽の道を辿ってきたわけだが、復活の起爆剤として芦別駅から10キロほどの緑深い山中に『カナディアンワールド』が突如登場したのは1990年、バブルの絶頂期だった。事業者となった「星の降る里芦別」は芦別市や、計画を描いた東急エージェンシーなどによる第三セクター。総事業費52億円という大規模プロジェクトだった。カナディアンワールドと言っても、芦別のカナダが再現したのはバンクーバーやトロントじゃなくて、プリンスエドワード島。日本人の女子ならばいちどは行ってみたい(たぶん)、あの『赤毛のアン』の故郷である。
art
神戸でおかんとアートな週末!
「おかんアートってなに?」というようなひとは本メルマガ読者にいないと思われるので、もう説明は省きますが、どんなにクールな現代建築空間も一発で台無しにしてしまう、究極にウォームな極北、というより極南のストリート・アートフォーム。そのおかんアート研究の同志であり、もっとも早くから、もっともしつこくおかんアートを調査保存拡散してきたのが、神戸の「下町レトロに首っ丈の会」。その下町レトロが毎年開催しているオカンアートの祭典『おかんアートとハンドメイド展』が、10回目となる今年も11月3、4日の2日間、神戸で開催されます。おかんアートの領域における最重要アートイベント、おかんアート界のベニスビエンナーレというか、バーゼルアートフェアという感じでしょうか。
food & drink
くいだおれニューヨーク・アンダーグラウンド 03 潭頭王記魚丸店(写真・文・調理 アキコ・サーナー)
振り返れば3年ぶりとなってしまった、アキコ・サーナーさんの「くいだおれニューヨーク・アンダーグラウンド」。そこでちょいと趣向を変えて、アッコさんお勧めの一軒に連れて行ってもらったのち、その店の名物を自宅で再現してもらおう!という、チャレンジングな企画にしてみました。世界一のフード激戦区ニューヨークを舞台に、自分のレストランやケータリングで活躍してきたアッコさんならではの記念すべき復活第1回は、今年6月13日号「ニューヨーク、ふたつのチャイナタウン満腹回遊記」で紹介した潭頭王記魚丸の名物ピーナッツヌードル! 見て、読んで、作って、食べてください!
art
ステイ・ロウ、ステイ・ベーシック――オールドスクール・タトゥーの教え(写真:モーリシー・ゴムリッキ)
行きたい展覧会が多すぎる。これが国内なら思い立って新幹線に飛び乗ればいいけれど、海外だとさすがに、いきなりパスポート握って羽田に直行、カウンターで正規料金チケット購入というわけにはいかない・・・メルマガ購読者があと千人くらい増えればなあ(涙)。ポーランド・ワルシャワのザヘンタ国立美術館では今週末(10月28日)まで、モーリシー・ゴムリッキによる写真展『DZIARY』を開催中である。DZIARYとはポーランド語でタトゥー/入れ墨のこと。ずっと前にメキシコで知り合ったゴムリッキくんは、メキシコシティに住むアーティストで、ポップ・カルチャーやアイコンの収集を得意とし、それをまた自分の作品に活かしてもいる。本メルマガでは2012年11月21日号『テキーラ飲んでゾンビになろう!』で、メキシコシティのゾンビ・ウォークをレポートしてもらった。
2018年10月17日 Vol.328
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 42『かけめぐる青春 ~吉祥寺・シャポールージュ~』益子寺かおり/ベッド・イン(地下セクシーアイドル)
どんなに街の景色が変わっても、自分が変わっても、君が特別な存在であることだけは変わらなかった。君も変わらず、ずっとそこに居てくれると思っていたのに…。ああ、私が愛した吉祥寺の「シャポールージュ」よ! ともに青春を生きた、心の友よ。どうしていなくなってしまったの…。――想いを綴り始めたら、Romanticが止まらなくなり、クサくて稚拙な深夜のラブレターみたいになってしまった。大変お恥ずかしい。穴があれば入れたい…いえ、入りたい心地だが、ここに赤裸々な記憶を記しておきたいと思う。
travel
Northern Lights 2018 vol.2 アイスパビリオンはいまもマイナス41度だった!
北海道の真ん中に近い旭川市から、東にドライブすること約1時間。大雪山、層雲峡温泉で名高い上川町の『北海道アイスパビリオン』を訪れたのは1994年、ほとんど四半世紀前のことだった。開館が1991年というから、当時はまだ目新しい観光スポットだった。あれから20年以上経った2018年猛暑の夏、アイスパビリオンはなんとほとんど当時のままのスタイルで、営業を続けていた・・・氷壁600平米、氷量1000トンという氷柱群は、もしかしたらより分厚くなっているかもしれない。
travel
Freestyle China 即興中華 楽しんだもん勝ち! 成都のタトゥー展(写真:子弾、吉井忍 文:吉井忍)
パンダと三国志で知られる中国・四川省は、昔から美人の産地としても有名だが、今でも省都・成都市を歩いていると、ふとすれ違う女の子のかわいさに「えっ!」となることがある。男性も負けず劣らず、何より人当たりがいい。四川の男は気立てがよく料理も掃除もできて奥さんを大事にする一方、女は美人で気が強い、というのが中国における大方の見方らしい。尻に敷かれるタイプと男を尻に敷くタイプ。よくできていると思う。ちなみに、四川省は中国でも特に地元人同士のカップルが多いらしい。さて、そんな四川の若者たちを眺めていて気がついたのが、タトゥーを入れている人の多さだ。季節が夏だったこともあり、腕や肩に入れられた絵柄がよく見えて、なんともカッコよかった。さらにタトゥー展もあると聞いて行ってみたらすごい熱気だったので、それをみなさんにぜひお伝えしたい。
art
アウトサイダー・キュレーター日記 vol.40 みゆき(写真・文:櫛野展正)
名古屋駅の新幹線口で待っていると、現れたのは「みゆき」と名乗る細身の女性だった。小雨のなか、駅からほど近い場所にある自宅マンションに招き入れてもらった。部屋の一室には、これまで描いてきた油彩画が広げられている。スナックの店員を描いたものや人形や仮面を描いたものまで様々だ。未だ自分の表現を手探りで模索している様子は伺えるものの、そのどこか暗鬱な表現はいつまでも僕の頭から離れてはくれなさそうだ。
travel
Back in the ROADSIDE USA 88 Yogi Bear Graveyard, Halifax, NC
ノースカロライナ北部、州間高速95号線脇の古びたトラック・ストップ。ディーゼルの給油機が並ぶ奥に、あぶらぎったカフェテリアがある。駐車エリアの端を見ると、往年のアメリカ漫画の主人公ヨギ・ベアが芝生の上に立っている。長年の風雨ですっかり塗装が剥げ落ち、そこはかとない哀愁を周囲に漂わせている。裏の草地を歩いてみたら、かつては駐車場を飾っていたであろうキャラクターたちが、無造作に放り出されていた。
art
江中裕子・長谷川亮介2人展@にしぴりかの美術館
仙台から東北自動車道経由で1時間ほど、黒川郡大和町の「にしぴりかの美術館」で、いま江中裕子・長谷川亮介による2人展が開催中である。障害者支援のグループホーム内に設けられたプライベート・ミュージアムでありながら、宮城県で唯一のアウトサイダー・アート/アールブリュット展示空間として、本メルマガではすでに何度か展覧会を紹介している「にしぴりか」。今回は2015年に『詩にいたる病――安彦講平と平川病院の作家たち』と題した連続記事のなかで紹介した、江中裕子(えなか・ゆうこ)と長谷川亮介(はせがわ・りょうすけ)というふたりのエネルギッシュな作家による、注目の展覧会だ。
travel
ディープ・コリアふたたび 18 永登浦~珍島(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)
目が醒めると窓の外は曇っていた。ねずみ色、といってもどういうねずみなのか、そこのところを避けられない。二十日ねずみではなく、ドブねずみともちがう。想像の中にプリセットされている家ねずみの色ということになる。むしろ、幼稚園のときに渡された灰色のクレヨンの巻紙のところにねずみ色と書いてあり、そのクレヨンの色をそのまま、ねずみと結びつけたまま今まで生きてきたことが、ねずみ色のイメージとして保持されている、ただそれだけのことに思えてきた。大韓民国でねずみを見た記憶はあるか。己に問うてみる。釜山のタワーの下方周辺で20年ぐらい前に見たことがある。ソウルの鐘路の路地で25年ぐらい前に見たような気がする。そのぐらいのものだ。ねずみは灰色ではなく黒に近い茶色だった。
2018年10月10日 Vol.327
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 41『道玄坂を転がり落ちた先の洞窟』スズキナオ(酒場ライター)
数年前まで、渋谷の道玄坂を上りきった場所にあるビルの中のIT企業で働いていた。パソコンに向かい、仕事をしている風を装ってウトウトしているか、どうしても眠気が引かない時は個室トイレにしゃがみ込んで寝る。とにかく眠くて仕方なかった。有能な同僚や競合他社ではなく、私のライバルは眠気だった。なんとか終業時間までたどり着くと、道玄坂を転げ落ちるような勢いで降りていき、いつも「細雪」という居酒屋を目指すのだった。
art
銀河芸術祭と佐渡島圏外ツアー
先週末の土日2夜にわたって佐渡からお送りしたSADOMMUNEスナック芸術丸、ご覧いただけただろうか。DOMMUNEスタート当時から始まったスナック芸術丸の、49回目と50回目・・・100時間目!という記念すべき回を、初めてリアル・スナックから、それも佐渡という離島の地からお送りできたことはまことに感慨深い。配信前は台風直撃を心配したのだが、幸いにも進路が逸れて、夜中に強風が吹いたくらい。3日間の滞在中、天候にも恵まれたので、配信の合間に芸術祭のいくつかのロケーションを中心に、久しぶりの佐渡を急いで回ってきた。今週は北海道めぐりの2回目を掲載する予定だったけれど、芸術祭が10月14日まで開催中とのことで、急遽佐渡特集をお送りすることに。新潟では越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」、新潟市の「水と土の芸術祭」という2つの大型芸術祭が今年は重なったけれど、「大地」と「水と土」に対して、こちらは「銀河」。今回が第1回、それも手作り感覚満載の、あまり知られていない芸術祭の私的なリポートにお付き合いいただきたい。
lifestyle
ティーンズロード回想録 よろしく流星 第2回 自信満々の創刊号だが・・・日本全国のヤンキーを追い求めて約5年。俺が見た、面白くて、ちょっぴり恐かったあの秘蔵話を大公開!(文:比嘉健二)
「止めときなよ、暴走族雑誌なんてさ、面倒くさいだけで、生意気な奴らをおたく扱える?」その男は応接間のソファに足を投げ出し、右手に持ったタバコは自分の頭上近くまで高々と上がっている。神経質なのか、しきりにタバコの灰を落としている。それは明らかにこっちを牽制している態度に見えた。同時にその目はまるでサメのように冷徹に俺を品定めしている。俺が今まで会ってきたどんな人物よりも威圧感がある。身体がデカイとか喧嘩が強そうだとか、そういう単純な迫力ではなく、何か、自分の心の奥底を鷲掴みにしてくるような洞察力の鋭さを感じた。この人の前では多分おべんちゃらとか通じないだろう。
movie
桃色の罠――日本成人映画再考 06 北鎌倉に眠る桃色アルチザン秘話・佐々木元とは(文:鈴木義昭)
鎌倉駅前裏の小路に、大島渚作品などで知られる松竹撮影所出身の美術家戸田重昌の夫人だった女性が経営していた酒場「とのやま」があった。カウンターの一枚板は、松竹大船撮影所の大道具さんたちが作ったという年代物で奥まで長く続いていた。古い日本映画の話などができるので、鎌倉に行くとよく顔を出した。ある日、店を覗くと必ずのようにいる、鎌倉生まれで映画好きな常連客の男性と隣になった。「佐々木元って映画監督のことを調べているんですが、知りませんか。どうも晩年は鎌倉に住んでいたみたいなんですけど」「元さんか。知ってるよ。よく飲んでたよ、ここへも何度も来たことがあるよ」「本当ですか! やはり御存知なんですね。そうじゃないかと思った……」「ある意味で有名だったからね。女には手が早いとかで(笑)。あんまり良い噂は残ってはいないけどね……」「映画監督だったというのは知ってたんでしょう」「知っていたよ。ピンク映画の監督でしょ。大した映画は、撮ってないんじゃないの。映画の評判とかは聞いたことがなかったから。ねえ、ママ」
2018年10月03日 Vol.326
food & drink
Neverland Diner 二度と行けないあの店で 40『孤独うどん』ケイタタ(写真家、コピーライター)
住宅街の急な坂道の真ん中にその店はあった。自転車からみんな下りて歩くほどの急な坂道だった。小学校低学年のときは駄菓子だった。高学年になると文房具屋になった。中学校になるとクリーニング屋になった。立地が悪いからだろう、店はすぐに変わった。高1のとき、うどん屋になった。『たか乃』という屋号だった。30半ばぐらいのおっさんがやっていた。恰幅が良く、いつも裸の大将のような白いランニングシャツを着ていた。ヤノマミ族のような髪型をしていた。
travel
Northern Lights 2018 vol.1 シゲチャンランド再訪
短い夏休みにどこか遠くへ行きたくなって飛行機を探したら、お盆休みの真っ只中に北海道行きのフライトが空いていた。羽田から女満別空港に飛んで、たった3泊だけど北海道を西から東に走り、新千歳空港から帰るフライト&レンタカーのパックを楽天で予約。ずっと昔、「珍日本紀行」などの取材で訪れた場所が、いまどうなっているのかが最近気になって、よく足を運ぶようになった。先日、文藝春秋の巻頭グラビアで「もうなくなってしまった珍日本スポット」のような特集を掲載した。そのリストアップの段階で、予想以上にたくさんの珍スポットが消滅していることに驚いたのだが、逆に立派な観光名所に格上げされて盛り上がっている場所もある。今回もいくつか行ってみたい場所があり、その訪問記をこれから数回にわたってお届けする。地震で大きな被害を受けた北海道に、ひとりでも多くのひとが訪れてくれることを願いつつ。
movie
『バイオレンス・ボイジャー』、ついに公開!
ずいぶん待った宇治茶監督の新作ゲキメーション『バイオレンス・ボイジャー』が来週末、京都国際映画祭で国内のお披露目を迎える。2014年3月26日号『デジタル紙芝居としての「燃える仏像人間」』で特集して以来、丸4年を経た新作ということになる。前作では一部に実写場面が挿入されていたが、今回は約80分の全編が、原画総数3,000枚によるゲキメーション。その作画・撮影・脚本・監督のほとんどを自分ひとりで手がけた、圧巻の力作である。
travel
ディープ・コリアふたたび 17 ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)
ソウル駅構内ならではの空気、といえるようなものは、もうない。おしなべて“大韓鉄道の駅の一つ”しかなくなってしまった大韓全国事情はいかんともしがたいことをここでも感じながら我々は夏の日曜日の午後、大韓民国何十回目かの再訪の初日に、これからどこへ行こうかとぼんやり考えていた。東のほうへ行った。北の方向はDK再訪という感じにはならず西の方へ行くならソウル駅はふさわしくなく、ならば南の方か。全羅北道/南道はなんとなくだがこのところ体になじみがいいことは確かだし、いくつかすでに再訪している。ということは、そこをまたぎ越すか。済州島で新婚さんがいるかどうか確かめるなら、また金浦へ戻らねばならない。あそこは日本から直に行ったほうがいいという気もした。
lifestyle
肉筆――ゆきこの日々これ風俗 06 マンコンプレックスと潮吹きガール 後編(文:ウズメゆきこ)
「フェイク潮吹き」でとびっきりの笑顔をくれた、あのときの彼みたいにどんな男性も喜ばせられるようになりたいと願い、女性器の名器形成手術を受けられる病院を探した私。しかしそういう手術は当時あまり一般的ではなかったらしく、苦労の末に見つけたところは男性の包茎手術やED治療がメインで、女性用に併設されたクリニックに来るのは出産で緩くなった膣を縮小して、パートナーとの性生活をもっと楽しみたいというカップルや、結婚する相手が処女じゃないとダメだとの理由で処女膜再生の手術を受ける若い女性、性のプロの道を究めるために、名器形成にすでに1千万円以上!も注ぎ込んだという伝説の嬢もいた。
art
アウトサイダー・キュレーター日記 vol.39 泥沼毒生(写真・文:櫛野展正)
激しい水しぶきをあげるモーターボートに乗った男性が、モンキーターンのときにSM調教をする様子を描いたデジタルアート。その背後には、体に大きく「原発反対」と落書きされた女性たちが水車責めを受け、苦悩の表情を浮かべている。別の作品に目をやっても、おそらく作者であろうと思しき色黒で坊主頭の男性が加虐を行なっている場面が描かれている。作者の激しい性的な欲望が前面に押し出されたその構図とポップでフラットなデジタルアートとの落差に、僕の脳内はまるで平衡感覚を失ったようにクラクラした。こんな風に絵を見て酔ってしまったような経験は初めてのことだ。作者の泥沼毒生(どろぬま・どくお)さんは、1974年に奈良県で2人きょうだいの長男として生まれた。これまで本格的に絵を学んだ経験はなく、むしろ絵を描くことを避けて生きてきたようだ。
travel
赤線酒場×ヤミ市酒場 ~盛り場のROADSIDERS~ 第2回 神奈川県川崎市(文・写真:渡辺豪+フリート横田)
酒場には、過去の記憶が閉じ込められている。遊廓家・渡辺豪と路地徘徊家・フリート横田が、かつての赤線とヤミ市で呑み、過去から湧いてきた言の葉の海に身を沈める。第ニ回に訪れた地は、日本の重工業、もっと言って戦後の高度経済成長を支えた京浜工業地帯の中心都市、川崎。川崎駅周辺には、かつて大工場で汗を流した男達が集った色街や古酒場が残り、その蠱惑的風景は今も人を惹きつける。今回からは各分野のオーソリティをゲストとしてお迎え。語り、飲んだ第一回ゲストは、ベストセラー『ルポ川崎』の著者、音楽ライターの磯部涼氏。音楽を核にして、この街・人を見つめてきた気鋭のライターと語り尽くす。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!