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2025年02月05日 Vol.631
photography
いちばんつよいのはなにもかくさないこと――天野裕氏と自宅図書館
あれから8年あまり。何度も会って、何度も記事にして、2023年にはデジタル写真集『わたしたちのいたところ』もロードサイダーズから刊行した。その天野くんは長いこと鬱病に苦しんでもいて、障害者手帳も20代から所持。この数年、症状が重い状態が続いて、2024年の1年間は旅に出ずにホームグラウンドである大牟田の病院とアパートを行ったり来たりしていたという。で、そのアパートがいま「だれでも泊まれる図書館状態」になっていて、さらに来たひとのために写真を撮って紙に挟んだ一点物のポートフォリオもつくっていると聞いて興味を掻き立てられ、久しぶりに会いに行ってきた。
lifestyle
バンカラ女銘々伝 第21回 芸と神秘に憑かれた女 木村駒子 (文:平山亜佐子)
日本における第一波フェミニズムの牙城といえば、なんといっても「青鞜」である。 創刊号に掲載された平塚らいてうの序文「元始、女性は太陽であった」や、与謝野晶子の詩「山の動く日来る」は教科書にも掲載されている女性史に燦然と輝く金字塔である。 しかしここに、「青鞜」に対抗して雑誌を創刊、盛んに演説会などを開催したものの、それ以外の要素がバンカラすぎて教科書に載らない女性がいる。 木村駒子、戸籍名、黒瀬こまは1887(明治20)年7月29日、與作と千津の一男四女の長女として生まれた。黒瀬家はもと細川藩の御鍛治御用で、名字帯刀を許された由緒正しい家柄だったというが、父の與作は消防ポンプ会社の番頭を務めていた。家は裕福だったようだ。
art
暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく 69話 バレンタインデー (画・文:新開のり子)
もうすぐバレンタインデー。 小学生時代のバレンタインデーの思い出です。 学習塾に通っていました。 そこは自宅で塾を開いていて、寺子屋みたいに畳の上に長い文机が列になって置いてあります。いつもどこに座ろうか迷っていますが、だいたい塾の先生から遠く離れたところに座ります。 初恋は、この塾で見つかりました。 同じ学校の先輩一つ上のおうちがお菓子屋さんをやっているスーくんでした。 私は、勉強に集中できなくて、しょっちゅうトイレに行きます。トイレが一番好きな時間でした。トイレの小窓から、ピアノの曲が聞こえてきます。
photography
ニュー・シャッター・パラダイス 85 卒業適齢期 (写真・文:オカダキサラ)
「実際に写真作品を買ったことがある?」そう聞かれたのは、打ち合わせの時にポロリと出た世間話からです。日本のアート市場において、写真作品は他の作品よりも売れにくく、ギャラリーからしても扱いにくい、という話から冒頭の質問に繋がりました。 ギャラリーからではないのですが、私は一度だけ写真作品を購入したことがあります。それは夜中の中野サンロードででした。当時、私は大学1年生で、中野ブロードウェイにあるお店でアルバイトしていました。夕方から閉店までシフトを入れていたので、帰りはシャッターで閉じられた商店街を抜けて駅に向かっていました。アーケード内は明るいため、お店は開いていないのに往来は家を目指す人が行き交っていました。
travel
ユーラシア後ろ歩き 25 美術界の闇をのぞく (文・写真:多田麻美)
ふたたびペテルブルグに戻った私は、一日をどう過ごそうかと考えた。 それはペテルブルグで最後の一日だった。月並みだけれど、やはり、エルミタージュへは行っておこう。 名所だから一応、というわけでも、宮廷の文化に特別な興味があるからでもなかった。セザンヌやゴッホやモネなどの世界的巨匠の絵画が収蔵されているというし、何といっても名監督ソクーロフの『エルミタージュ幻想』の世界に身を置いてみたかった。それは、3世紀にわたったロマノフ王朝の栄枯盛衰を、エルミタージュ美術館を舞台に、90分ワンカットの幻想的な映像でつづった作品だった。
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カテゴリ別バックナンバー
BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!