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幻の名盤解放同盟

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墓前報告――〈無名芸術家之墓〉(文:青木淳悟)

新宿2丁目のお座敷があるへんてこなバーで、僕と彼の仲間たちは数冊のファイルを前に興奮していた。収められた数十枚の作品は、どれも一見素朴派と言えそうな画風でありながら、よく見ると女性のお尻がやけに強調されたり、グラビアの写真が切り抜いてコラージュされていたり。どこへ向かおうとしているのかよくわからないままに、激しい熱量を帯びた画面なのだった。ファイルを持ってきてくれたのは青木淳悟さん。2003年に『四十日と四十夜のメルヘン』で新潮新人賞を獲得したのを皮切りに、2012年には『わたしのいない高校』で三島由紀夫賞を受賞した注目の若手小説家。現在も『新潮』に連作『学校の近くの家』を連載中である。実はこの絵の作者は亡くなった青木さんのお父さんで、それも亡くなってから初めて、こんな絵をこんなにたくさん描いていたと家族も知ったというのだった。

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ディープ・コリアふたたび 01 下関~関釜フェリー~釜山(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

『深夜特急』『全東洋街道』・・それぞれの時代にそれぞれの決定的な旅の書があった。そしてバブル景気に日本中が踊ろうと腰を浮かせたときに、「踊れなかった者たち」を闇へと誘い込んだ『ディープ・コリア』の刊行から、今年は30年目にあたる。いま行くしかない、という思いに駆られ幻の名盤解放同盟の3名――根本敬・湯浅学・船橋英雄――はふたたび、海を渡り大韓民国へと向かう。これから始まる長い連載は、30年の時を経て変わった韓国と変わらぬ韓国をさまよう、海を越えてつながる時空の巻き戻しと早送りの体験になるはずだ。

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ディープ・コリアふたたび 02 釜山~光州(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

南の玄関口といわれる駅のすぐ前のアイスクリーム屋のそのまたすぐ裏が性臭漂うチャイナタウン(かつてのロシア人街)であるが、夜とはいえ外国人女性の戸口呼び込みの4つや5つはあるものの、通行人そのものが極めて少ない。だから客はさらに少ない。中華とボルシチとシシカバブがメニューに揃っている店をのぞいても店員すら見えない。釜山に人々は少なくないが、色に呆けているやつの絶対数は極端に減った。それとも別天地で盛り上がっているのだろうか。淋しい盛り場は哀愁よりも虚しさにあふれている。「ニホンジン? チャイニーズ?」と声をあげる女たちは寒中水泳の後のようなかっこうをしている。店の奥からもれてくる音楽はユーロ系のハウスのようなもの。

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ディープ・コリアふたたび 03 木浦(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

大韓の鉄道には改札がない。改札的な入口はあるが切符をチェックする駅員はほとんどいない。切符の自動販売機はない(地下鉄はある)。切符は窓口と対面して買う。座席はコンピュータで管理されている。希望の列車を告げて、空きがあればそこに座る。それだけのこと。希望列車の座席が埋っていると窓口の切符売が相談に乗ってくれる。ただそれだけのことで、日本でも長距離はそうやって買うことが多いわけだが、しかし改札チェックは必ずある。そのため切符が発行される。しかし大韓鉄道には切符がない。そのかわりにあるのは、レシートである。コンピュータ管理だから入口チェックなんていらない。だから切符も改札機もいらない。嘘乗車するようなやつはすぐわかるのだコンピュータで。そもそもそういう輩は列車に乗ろうと考えないものだ。鉄道乗車性善説もそこには投影されている。

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ディープ・コリアふたたび 04 木浦~大田(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

カセットテープは、もちろんメインの売りだなにはもうない。木浦の商店街ではなく市場のはずれの電気製品とその他を商う小さな店のその中のすみっこに売れ残りとして数本があった。そこではいわゆるポンチャック・ディスコやメドレー歌謡(トロット)のたぐいはCD(ほとんどが2枚組)とDVDで売られていた。どこの街でも全般的にCD屋(旧レコード屋)がそもそもほとんど見当たらない。かつて買っていた店のあたりを探しても消えていた。釜山では、洋楽も扱っている比較的大きめの一軒に行き当たったのみで、あとはポンチャックの屋台が一つ、チャガルチ市場近くにでてたくらい。地方商店街には一軒や二軒あったものだがそれもない。光州には新しい大型書店の一隅にCD売り場があったのみ。木浦も駅近くにあった店など跡かたもなく、その市場の店しか見なかった。CDは売れない、というけれど、たしかにそうだし、日本だって、チェーン店以外で新譜を商う独立したCDレコード屋は数えるほどしかない。

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ディープ・コリアふたたび 05 大田~博多(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

老人ディスコは大韓全土にあり、雑居ビルやバス・ターミナル周辺などで、地域老人壮年男女の憩いや発展の場となっている。しかしそこに身を置き続けるには、老人たちと同様の、負の同調性というようなものを身につけていなければならない。それを道々痛感しながら我々はかつての大田万博会場へと向かった。そこは現在巨大な公園になっている。モニュメントである宇宙的な尖塔はそのまま立っている。人が大量に行きかっていた塔周辺の地には、ただ風が吹いているだけだった。そして誰もいなくなった。万国博覧会の、そこはただひたすらその跡地でしかなかった。広く誰もいない公園には、いくつかの建物が遺されていた。コンベンション・センターのようなもの、国際交流で国が得た品々を展示している(宝物殿というか見本市というか)建物、体育館のような建物その他が大きな駐車場とともにあった。

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ディープ・コリアふたたび 06 成田~釜山(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

黒の中に群青が混在している空の下の先に光の列がいく筋もある。だんだんその光が大きくなってきて、船の明りであることがわかる。光の渦はない。バラバラにともっている街頭は暗い。オレンジ色の光は以前よりも減っている。きっとあちらこちらがLEDに変えられているのだろう。さぞかしLEDを手にしたときは誇らしい気分で胸を張って電球を手にしたのにちがいない。確かに20年前でさえ、今よりずっと暗かった。イメージは暗い空だった。今はグレーや青みもある。街灯の数だって増えている。頑張ってそのひとつひとつが光っている。きっと日本にはない、世界のどこのものよりもよく光る電球が活躍しているにちがいない。

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ディープ・コリアふたたび 07 釜山~全州(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

暑かった。6月中旬だが、真夏のような陽射しだった。しかし大韓民国は湿度が低いので暑さが体にまとわりつかない。少し助かる。古くて小さくて傾いているモーテルや旅館、その近くにはナイトクラブなども多数ある。何をするでもなく、酒飲んで歌ってうまくいけば店の女の子を連れ出してまぐわったり、出前してもらったりする一帯が駅から2分のところにかたまってある。その背後には20階建ての高級マンションがニョキニョキと伸びている。駅には隣接していない。それはどこの町でも同様だ。

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ディープ・コリアふたたび 08 全州~南原(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

鮮やかな朝とは? 美しい朝やけとかさわやかな風とか美しい妻の作ってくれた朝食とか朝露が光っているくさはらとか、雲がゆるやかに動く山々とか、そのようなものが身近な朝ということなのか。想像しては見る。鮮やかとはスカっと晴れ渡った朝のたとえば10月や5月の空というものかもしれない。ベイビー・ワシントンの69年の作品に「ブレックファースト・イン・ベッド」があるが、考えようによってはこれも情交の果ての朝食だったらきっと鮮やかかもしれない。キャット・スティーヴンスの「モーニング・ハズ・ブロークン」は確かに爽やかで、鮮やかといえないこともないメロディとサウンドであるしソフトな歌い口も大韓民国人には良好だろう。しかしそれらがはたして朝の鮮やかな半島でいかように感じられているのか。何度も何百時間もその土地に足を踏み入れ立ってみてもイメージはぼやけている。鮮やか、という言葉に思い至るものといえば、不備やピンぼけや歪美がまっさきに浮かぶ。それらの鮮烈さは天下一品だ。有無をいわせない反論の余地などない揺るぎない堂々としている。人類はここに学ばねばならない。アイロニーや比喩ではない。心底そう思っている。

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ディープ・コリアふたたび 09 南原~順天(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

なくなってしまった町の中で、かつて訪れた、かもしれない場所を探すというのは多次元空間物SFではありふれたことだ。それもディープ・コリアだったのね。と思いつつ乾いた初夏の遅い午後の南原を歩いている。『プリズナーNO.6』を連想しないでもないが、とりあえず西の方向へ向かっている。東方には観光公園のようなものがある、とファンシーな観光地図に出ていた。新しいお寺でもできたのかな? という佇まいの木造新築レトロモダンというか朝鮮時代劇のセットそのものの建物が、我々の行く手に出現した。樹木は植えられてさほど時を経ていない。こんなものでもありがたく思う観光客が手を合わせに来るのだろうなあ、と思ってよく見ると、似たような建物で小型化したやつが奥にいくつも点在している。おやおや? お寺じゃないのねここらは。コテージ・ホテルだったのだ。こいつがずいぶんな広さだった。

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ディープ・コリアふたたび 10 順天~釜山(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

駅前はちょっとした公園になっていてベンチだの植え込みだの、陽陰用のひさしだのがあり、老人だけではなく若者やおばさんおじさんも、くつろいでいる。順天周辺の地図はないか、と駅中に旅行案内所があったので訪ねてみた。「韓国全図はありませんか?」以前は観光公社のロビーなどに普通に置いてあった。むしろその地方の地図のほうがめずらしいものだった。というより、地域の地図の配布はほとんどなかった。それらが作られていたのは、ソウルと釜山、慶州ぐらいのものだ。さらに、我々は、大韓の様々な土地へ赴いたが、地図を求めたことはなかった。探しもしなければ使う気もなかった。端から地図といえば大韓全図しか頭になかった。あれだけあれば十分だった。だから再訪の旅にあたってもそれを使おうと考えていた。それが当然のことだと思っていたのだが、何故かどこへ行っても見当たらないのだった。

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ディープ・コリアふたたび 11 ソウル~清州(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

日本で大韓民国の話をするとき全羅南道から入る人はほとんどいない。一極集中しているのは日本人の認識も同様であると、ずいぶん長い間感じてきたが、21世紀に入ってそれはより強くなったんちゃう? と思うのだがそもそも他の国に対する場合も似たりよったりなのだろうとは思えるくらいに我々も年をとってはいる。しかしまあそのなんだなあ、この『ディープ・コリア』観光30周年記念再訪の旅(以下デコ30)も3回目にしてソウルに足を踏み入れることになった。

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ディープ・コリアふたたび 12 清州~水安堡温泉(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

ソウル南部の高速バスターミナルの2階は寝具屋だらけだった。何故だろう。あそこで買ったらすぐバスに積み込めるでしょう? その日から使えますよ。日本にこんなバスターミナルがありますか? と訊かれている気分にはもうならない。中にはそのような大韓人もおられるのでしょうね、もちろん日本にはそんな気のきいた寝具屋街付バスターミナルはありません。“気のきいた”店だの人だの物体が、大韓では数多く生み出されてきた。それは気が配られた結果なのだろう、と想像させるもの、ということであって、実際それが便利だとか使いやすいとか心地いいとか、そういうものであるわけではない。むしろその逆であることがほとんどである。何故そんなことに・・・と思うもの、人、ことのほうがたいへん多い。しかし、それは日本人が勝手にそう感じているだけだ、といわれれば、そうですね、というしかない。むしろ合理的快楽、ということを日本人は考慮しすぎだぞ、と大韓の人々のなさる“気のきいた”こと/もの/人その他は諭してくれているのだと、我々はしばしば思う。

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ディープ・コリアふたたび 13 水安堡温泉~東海(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

大韓の温泉で我々がこれまでに行ったところはそのほとんどが日本の温泉に比べると、そっけなかった。温泉であることをやたら主張しないところが多かった。そこのところは年月を経てもさほど変わっていないようだ。お風呂に一日に何度もつかるというような人は、大韓には似合わないと我々は思う。銭湯にも何度か行ったが、そこらへんは日本とさほどマナーに違いはなかった。ああ、そういえばソウルの大型浴場で何度も何度もからだを洗う青年がいたが、そういう人は日本にももちろんいますね。そいつをちょっとおもしろいな、と思ったのはほとんど湯船に入らなかったからだ。洗って湯で流すと離れたところでボーとしていて何分かするとまた洗い場に来て泡立ててゴシゴシやる、その繰り返し。最終的に湯につかったかどうかは未確認。そういうやつ。

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ディープ・コリアふたたび 14 東海~江陵(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

茫漠とした空気は大韓の多くに漂っているが、そこに山と山にぶつかって吹き乱れる寒風が加わるのが東海岸~江原道流だ。厳しい中にも笑いありの大韓だが、ここもそうではあるものの、どこか笑いよりも痛々しい感のほうが多くあるように思えてくる。東海は先ごろ朝鮮民主主義人民共和国の美人様たちだか楽団だかを載せた船が着岸した墨湖港のあるところとして一部でちょこっと有名になった。鉄道の駅と海岸の間には商店と民家がバラバラに広がっていて畑も少なくない。のどかで静かな町だ。人の姿もさほど多くなくアジュマが1人でやっている小さなコーヒー屋もあるし、古い文房具屋もあるが、本屋やレコード屋などはない。夜が明けて宿の周辺を見てみると、宿も数軒しかなく、つぶれてしまったままになっているモーテルも2軒ほどあった。海に近い駅であることは確かなのでせっかくだから、と海岸へ行ってみることにする。

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ディープ・コリアふたたび 15 江陵~安木(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

安らかな眠りから目覚めるということは、大韓民国を旅行していて、一度もない。安らかな気分になりたいと思って大韓に来たことも一度もないのだから、当然だと思う。朝目が覚めた瞬間、ここはどこだろう、とまず思う生活を続けてきた。反射的にそう思ってしまうのは大韓旅行の日々が多かったからかもしれない、とふと考えた朝だった。ポンチャック・テレビを見るでもなく、ぼんやりニュース番組をながめて顔を洗って歯を磨いてすぐに、ヤリテババアストリートどん突きのモーテルを出る。出てすぐとなりの日向に三毛猫がいた。耳が大きい。顔の左半分が黒い。美猫だ。つながれている。大きな道路が近いからだろうか。猫を繋いで犬を放し飼いというのが大韓の旧スタイルだが、猫は機嫌よくごろんごろんカラダをロールさせている。

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ディープ・コリアふたたび 16 羽田~ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

0泊2日はめずらしくない羽田からのソウル・ツアーであるが、便利というのは結果的に場を乱したりするものではないか、と老婆心も生まれる。行きたい人が行きたいように行けばいいに決まっている。現在は安い航空チケットがばかすか取れる状況なので、朝思い立って昼過ぎにはソウルにいることも可能らしい。旅客機に対する認識もずいぶん変わったと思う。鉄道の新幹線ぐらいの気安さで近隣の外国に行ける感覚になっているのかもしれない。30数年前にパンナムでソウルを行き来したとき、機内食がサンドウィッチ4個入りの箱一つだったことにちょっとショックを受けた。たかが2時間のフライトなんだからこれぐらいで十分だろう、といわんばかりのあしらいぶりの軽さが堂々としていた。キャビン・アテンダントも圧倒的におばさんだった。若いお姉さんがニコニコ対応してくれるのだとばかり思っていたら大まちがいだと強く教えられた。

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ディープ・コリアふたたび 17 ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

ソウル駅構内ならではの空気、といえるようなものは、もうない。おしなべて“大韓鉄道の駅の一つ”しかなくなってしまった大韓全国事情はいかんともしがたいことをここでも感じながら我々は夏の日曜日の午後、大韓民国何十回目かの再訪の初日に、これからどこへ行こうかとぼんやり考えていた。東のほうへ行った。北の方向はDK再訪という感じにはならず西の方へ行くならソウル駅はふさわしくなく、ならば南の方か。全羅北道/南道はなんとなくだがこのところ体になじみがいいことは確かだし、いくつかすでに再訪している。ということは、そこをまたぎ越すか。済州島で新婚さんがいるかどうか確かめるなら、また金浦へ戻らねばならない。あそこは日本から直に行ったほうがいいという気もした。

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ディープ・コリアふたたび 18 永登浦~珍島(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

目が醒めると窓の外は曇っていた。ねずみ色、といってもどういうねずみなのか、そこのところを避けられない。二十日ねずみではなく、ドブねずみともちがう。想像の中にプリセットされている家ねずみの色ということになる。むしろ、幼稚園のときに渡された灰色のクレヨンの巻紙のところにねずみ色と書いてあり、そのクレヨンの色をそのまま、ねずみと結びつけたまま今まで生きてきたことが、ねずみ色のイメージとして保持されている、ただそれだけのことに思えてきた。大韓民国でねずみを見た記憶はあるか。己に問うてみる。釜山のタワーの下方周辺で20年ぐらい前に見たことがある。ソウルの鐘路の路地で25年ぐらい前に見たような気がする。そのぐらいのものだ。ねずみは灰色ではなく黒に近い茶色だった。

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ディープ・コリアふたたび 19 木浦~群山(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

木浦に長居するつもりはなかったので、さっさと鉄道に乗る。西の方へ行くことにしたので、群山(クンサン)方面に近づく方向で考えた。翌日の移動を考えるとあまり小さな駅には降りられない。以前光州へ行ったとき、乗り換えで通った光州松汀へ投宿することにした。大きく変貌を遂げて立派な地方都市として見た目と、おそらく内実も整えた光州の中で、光州駅は立地のせいもあって、周辺は今も旧市街然としていたが、光州松汀のほうはKTXの停車する至便な駅のある町として隆盛しているように思えた。実際どうなのか確かめようということになったのである。

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ディープ・コリアふたたび 20 大川~道高温泉(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

駅のまわりが殺風景なのは、新築である証し、とでもいうように、大韓西海岸の駅のいくつもが同じような様相を見せつけてくる。かつては小さな町の小さな駅ばかりだったが、大川駅も高架の大きな駅へと変貌を遂げていた。駅のまわりには町らしい町はない。以前は町の真ん中にあった。こじんまりとしていたが周囲には商店と民家がひしめきあい活気があった。新しい駅周辺には新築のモーテルが一軒、後はコーヒーショップのある小さめのバスターミナルのビルがひとつあった。おそらく鉄道とバスの駅を近くに設置できる土地を探して、現行の場所になったのだろう。旧市街のほうへ行かないと、宿にも飯にもありつけないようだった。

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ディープ・コリアふたたび 21 道高温泉~ソウル(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

タイム・ホテルの裏通りには小さいながら繁盛しているカルビ屋などもあり、それなりに新しい道高のもうひとつの顔(といっても極狭い)になりつつあるのかもしれないが、もともと静かでぼーっとした温泉村なのだから夜は地味である。コーヒー屋は、それでも新築の中型~大型の間ぐらいの店があった。そこは1階がコーヒー屋で上の数階が歌飲食店という作りだったが、店に客はいなかった。夏休みのピークともなればもっと人は増えるのだろうか。浴場だけでなく、大プールもできたことだし、パラダイス・スパのおこぼれで皆なんとかなるのだろう。と思いつつ、たとえば28年前の道高温泉と現在の道高温泉は確かに流れの中でひとつの場所であるのだろうが、我々にはそれが、2018年の現状に立ってみて納得がいくようでいかないようでやはりしっくりこない。かつての道高温泉は一度終わった、といわれたほうが気持ちは多少静まる。

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ディープ・コリアふたたび 22 成田~釜谷(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

成田空港に向かうスカイライナーの中に美人がいた。スッキリとした容姿はCAだろうと想像させた。小さなキャリーバッグを自分の隣の席に置いていた。チャコール・グレーのスーツでタイトスカートがスタイルをより美しく伝えていた。朝8時の日暮里駅ホームにはさまざまな肌の色の人がいた。帰国するのだろうラテン系の人たち、日本人のおばさん二人はサンドウィッチを食べながら笑っている。おにぎりを駅中のコンビニで買ったほうが良かったか。腹が減ってきた。

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ディープ・コリアふたたび 23 密陽~慶州(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

駅前はありがちなちんまりとした整備のされた清潔風なたたずまいで、それに合わせるかのように新しめの雑居ビルなどが立ち並んでいる。釜谷からここ、密陽に来るのに駅近くで大きな河を渡って来たので、この町が河の両側に広がっているのであろうとは想像がつくが、鉄道の駅周辺もそれなりに人々が行きかっていて、かつてのような“おきざりにされた鉄道駅”の風景はない。暑い。大韓にしては湿気もある。気がつけばこの日、午後4時ごろであるのに、コーヒーを飲んでいなかった。駅前周辺にコーヒーショップが、あることはあるが、薄暗い店内がのぞけて、少々入るのがためらわれた。鉄道と平行に走るバス通りに出て探すことにした。5分ほど歩いて一軒見つかった。扉を開けると店内にはおばあさんから高校生らしい一団などまで、女性しか見あたらず、しかもほぼ満員だった。かき氷やアイスクリームが目に入った。こんな日にホット・コーヒーなど飲んでいる人間はいない。

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ディープ・コリアふたたび 24 慶州(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

寺の本堂にキーボードが置いてあるのを、25年ほど前に見かけたことがあった。それも何回か。中にはエレクトーンのような結構高価で立派なものがどんと設置されているところもあった。それはたとえば教会におけるオルガンを連想させた。「このキーボードは何に使うの?」「みんなで歌を歌うときの伴奏に使います」それだけか? そんなことのためだけにこんな立派なものを本堂に置くのか?と、そのときは思った。しかし、そもそも仏教で歌を歌うってどういうことなんだ。という疑問も湧いた。大韓の友人に問うと、お坊さんや信者の人たちで歌う会があるのです、という。お寺で歌の会をやっている。それはめずらしいことではない。どういう歌を歌うのかというと、仏教の歌だという。仏教にも賛美歌のようなものがあるらしい。

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ディープ・コリアふたたび25 慶州~蔚山(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

仏具屋を探せ。慶州2日目の我々のミッションのひとつがそれだった。仏心歌謡をさらに探りたいという一心だ。駅に戻る途中で一軒発見。若い女性が店番をしている。入っていくと、尼僧が一人いた。前日の老夫婦の店よりも店の奥が広く、品物も多い。それでいて小ざっぱり感がある。古いカセットはほとんどなく、CDが多めにある。風景や植物の写真をジャケットにした作品が多い。いわゆるヒーリング系とおぼしきものが多々見うけられる。あるいはニューエイジ系のものとか。仏心を伝えようとする若者デュオとかアイドル然としたジャケのものもある。若手の仏心ものである。僧でない人たちの作品もこうして仏具と一緒に売られている。あきらかにニューエイジ・ミュージック系のものも少なくない。この店には仏心はあるが、“歌謡”がなかった。むしろこのような“仏心ミュージック”のほうが現状主流というか裾野をひろげているものと考えられる。

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ディープ・コリアふたたび26 蔚山~大邱(画・写真・文:幻の名盤解放同盟)

 かつてこの町には捕鯨の拠点港があった。そのため今でも鯨料理の店がたくさんある。鯨を食わせるところなら釜山にもいくつもあるが、店の数の多さ、料理の豊富さと質の良さでは蔚山に軍配が上がるだろう。我々が入った店には往時の捕獲の様子や港の風景を写した写真が壁に飾られていた。店の娘さんは自分の叔父が捕鯨をやっていたのだ、と胸を張りはしなかったが少し誇らしげに我々に告げた。蔚山は大きな町で、多くの会社や工場を有している。特別市だ。人口も多い、税収も多い、太和江駅が旧蔚山駅だからといって、昔の人々が暮らしているわけではない。そんなことは当たり前だろう、と駅前に長々と幅広く延びる道路の歩道を歩きながら、町自体に教えられた。右側も左側もモーテルとホテルだらけ。それも10階建てやそれ以上の大型のものがやたらに多い。こんなに人が泊まるのか。そんなにたくさんの人が一時に番うことがあるのか。そういうことがあるかもしれないからこそ、こうして態勢を整えているのです。備えよ常に。という声も聞こえてくる。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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