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櫛野展正
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アウトサイダー・キュレーター日記 05 稲村米治(文:櫛野展正 写真:都築響一)
都心から60キロの場所にある群馬県の東の端・群馬県邑楽郡板倉町。東武日光線「板倉東洋大前駅」付近は開発が進んでいたニュータウンの面影が残り、街のほとんどは広大な農地がいまも広がっている。遠くに見える浅間山を横目にのどかな田園風景を車で走ること10分、とある民家の床の間に飾られていたのは、高さ80cmほどのガラスケースに入った武者人形だった。目を凝らして見ると、驚くべきことに、カブトムシやクワガタムシやコガネムシなど同じ種類のたくさんの昆虫の死骸が左右対称にピンで付けられている。
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新連載! アウトサイダー・キュレーター日記(写真・文:櫛野展正)
先月の『スピリチュアルからこんにちは』展でも紹介した、本メルマガではおなじみの広島県福山市・鞆の津ミュージアム。死刑囚の絵からヤンキーまで、従来の「アウトサイダー・アート」の枠から大きく踏み出した、挑発的な展覧会を連発してきたキュレーターが櫛野展正だ。展覧会の企画を組み立てるプロセスで、多くの「アウトサイドに生きる創作者たち」と出会ってきた櫛野さん。これから毎月ひとりずつ、そのリアルな出会いの旅を誌上で再現していただく。第1回めは現在開催中の『スピリチュアルからこんにちは』展でも大きくフィーチャーされている、創作仮面館だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 03 酒井寅義(写真・文:櫛野展正)
源泉数、湧出量ともに日本一を誇る温泉地「別府」。多くの観光客でにぎわう別府駅から電車で3分。別府南部に位置する「東別府駅」は1911年に開業、当時のままの古い木造駅舎が残る風情ある駅だ。そこから徒歩圏内にある「浜脇温泉」は、別府八湯のひとつに数えられ、地元の人たちを中心に愛され続けている。そんな昔ながらの街並みの中に「酒井理容店」はある。理容店といっても外側に看板が出ているわけでもなく、営業中はサインポールがクルクルと回っているだけ。ただ、このサインポールの中で回っているのは、よく目にするあの赤・青・白の模様ではなく、デコレーションされた不気味な仮面や人形なのだ。店主の酒井寅義さんは、1936年生まれの79歳。いまも現役でひとりお店に立ち続けている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 10 にがおえコインランドリー(写真・文:櫛野展正)
東京の京成小岩駅から徒歩10分。葛飾区鎌倉にある「にがおえコインランドリー」と看板を掲げた小さな店舗には、鉛筆で忠実に描かれた有名人の似顔絵が床から壁に至るまでぎっしりと貼り巡らされている。中にはバイク事故直後の北野武や、和歌山カレー砒素事件の林眞須美死刑囚の似顔絵も。「それも有名人には違いないからね」。声のする方へ振り向くと、隣の自宅に住む似顔絵の作者・菅野武志(すがの・たけし)さんが顔をのぞかせた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 14 西本喜美子(写真・文:櫛野展正)
衝撃的な写真を目にした。お婆さんがゴミ袋をかぶって可燃ゴミとして処分されていたり、車に轢かれたりしている。どう考えても尋常ではない。けれど、それがセルフポートレート写真だと気付いたとき、一気に笑みがこぼれてしまった。作者の西本喜美子さんは、現在87歳。熊本県熊本市にあるエレベーター付きの一戸建て住宅で、感情認識パーソナルロボット「Pepper」と暮らしている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 25 梶田三雄(写真・文:櫛野展正)
名古屋駅から電車で8分。たどり着いた南荒子駅の周辺は、あちこちに畑が残り、とても穏やかな町並みが広がっている。駅の最寄りにあるのが、一軒家を改築した美術館『小さな美術館かじた』だ。駐車場のユニークな庭木や「美術は心の栄養」「人生助け合い」など標語の入った手作り看板が楽しい。玄関を開けると、年配のお客さんたちの談笑が聞こえてきた。その中心にいたのが、館長の梶田三雄(かじた・みつお)さんだ。梶田さんは、昭和15年に愛知県知多郡美浜町上野間で5人兄弟の三男として生まれた。長男が一男(かずお)、次男が次男(つぎお)、梶田さんが三番目だから三雄(みつお)なのだとか。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.48 鴨江ヴンダーカンマー (写真・文:櫛野展正)
アウトサイダーアートの取材を続けながら、昨年末から静岡市に移住して、「アーツカウンシルしずおか」でも働き始めた。静岡県西部、遠州地方に位置する県内最大の都市・浜松市。駅から車で西へ5分ほど走ったところに、「鴨江観音」の名で知られる鴨江寺(かもえじ)がある。 この遠州地域では、かつて人が亡くなれば、その霊は鴨江寺へ行くと信じられており、死んだ霊をなぐさめるため、彼岸に「鴨江まいり」をする風習があった。鴨江寺で春と秋に開催されるこの彼岸会には、境内が参拝客で大賑わいとなり、サーカスや見世物小屋だけでなく、境内周辺の道路には瀬戸物市や植木市、玩具や飲食物を販売する屋台が立ち並んでいたという。
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アウトサイダー・キュレーター日記 02 小林一緒(写真・文:櫛野展正)
昨年12月、埼玉県浦和市の埼玉会館で『うふっ。どうしちゃったの、これ!? えへっ。こうしちゃったよ、これ!! 無条件な幸福』という展覧会を観に行った。これは埼玉県障害者アートフェスティバルの一つとして企画された展覧会で、5回目を迎える。障害のある人たちの作品群が並ぶ会場を歩いていると、隅の方に展示されていた奇妙なイラストに目が留まった。『俺の日記』と題されたその作品は、ルーズリーフやノートに弁当やラーメンなど実に美味しそうな料理のイラストが描かれている。料理の名前や値段、そして食材と共に、画面の余白に書き添えられた「旨イッ!!」という感想。これは、実際に食べた料理をイラストと感想で記録した絵画だった。展覧会場で身震いがして、僕はその作者を追いかけた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 30 井脇満敏(写真・文:櫛野展正)
宮崎駅から電車に揺られること1時間。緑と清流と温泉の町、宮崎県日南市北郷町にやってきた。無人駅となっている北郷駅から5分程歩いたところに、魚やモアイ像、二宮金次郎像などのイラストが外壁に描かれた家がある。中を覗くと、雑多な品が並ぶ庭先に2体の人型のオブジェが見えた。「これは僕の両親がモデルでね、チェーンソーでつくったものなの」と中から声をかけてきたのが、作者の井脇満敏さんだ。井脇さんの車に乗って、しばらく県道33号線を走っていると道沿いの切り開いた斜面に並ぶ無数の作品群が目に飛び込んでくる。着物姿の女性や動物に富士山、そして作業する人の姿まで…これら全て井脇さんが木を切り倒しチェーンソーで加工した作品で、「井脇アート」と命名している。
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アウトサイダー・キュレーター日記 31 安達則子(写真・文:櫛野展正)
広島県尾道市にある千光寺公園には、プロポーズにふさわしいロマンチックな名所として「恋人の聖地広場」に認定された場所がある。平成26年には、「恋人の聖地広場」から「恋人の広場」に名称変更し、約1000万円の事業費が投じられ整備された。敷地内にはハート形の大小の花壇が計10台設置されているが、千光寺公園内のメインの通りから外れているため、未だ知名度も低く訪れる人もまばらだ。そんな「恋人の広場」の対面には、奇妙な飾りのある家が建っている。近づいてみると、入り口の門のところには、ピンク色や花柄を主体とした装飾が施され歓迎ムードを漂わせているものの、足元の案内板に目をやると「Here is a Private house」の文字が記されている。立ち入りを拒否しているのか歓迎しているのか分からない状況だか、僕は勇気を出して歩みを進めた。雑多な品が並ぶ庭を抜け、インターホンを押すと、ロングヘアーにピンクの衣装が周囲の景観とマッチした女性が現れた。彼女こそ、この作品群の生みの親・安達則子さんだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 33 けうけげん(写真・文:櫛野展正)
僕の人生で不可欠なものの一つに「笑い」がある。小さい頃から『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)や『8時だョ!全員集合』(TBS)に夢中になり、あの時代の誰もがそうであったように、学生時代は「ダウンタウン」の影響を大いに受けた。そこから過去の漫才やコント番組を見返すようになり、本格的にネタを作ることこそ無かったものの、今でも頻繁に若手芸人やネタ番組をチェックしているし劇場にも時々足を運んでいる。最近、お笑い芸人の方々とトークライブで共演させていただいているのも、そうした憧れの気持ちが根底にはある。そんな僕が、最近「この人には勝てない」と感服してしまうほどの熱量を持ったお笑い好きの若者と出会った。待ち合わせ場所の「せんだいメディアテーク」にやってきてくれたのは、「けうけげん」と名乗る25歳の青年だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 35 岩崎風水(写真・文:櫛野展正)
通称「ビックリ箱」と呼ばれる部屋を描いた絵画。「ビックリ箱」とは刑務所用語で、受刑者は面会や診察の待ち時間の際、この白塗りの電話ボックスのような鍵のかかった個室で待機しなければならない。隣に誰が入っているのかも分からないし話をすることも出来ない。絵の中には、若者から腰の曲がった老人まで描かれている。彼らの服装は、運動靴にスリッパ、作業服に半袖など様々だ。「衣類のラインナップを全部描こうと思って。ゴムの草履は舎房で履くやつで、累進処遇が上位の人は優遇措置として、スリッパを買うことが出来るんです。端の老人は、1年間懲罰や事故がなかった時に貰える無事故賞が右腕に付いてて、これは23年間無事故が続いたということ。無期懲役の人の場合、40年無事故賞を集めた強者もいました。」
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.41 河合良介(写真・文:櫛野展正)
アリス・オディロンなどのヌードグラビアの上から鉛筆で肋骨などを描きこむことで、極限まで痩せた状態に見せた写真。なかには背景をマジックで塗り込み、鉛筆で骨格を強調することで即身仏のようになった写真もある。これは会社勤めをしていた河合良介さんが誰に見せることもなく、密かに行っていた表現だ。死後、娘の塙興子さんがSNSで発表したことで大きな話題を集めた。東京都練馬区にある閑静な住宅の一角に河合さんが暮らしていた邸宅がある。現在は、塙さんが一人暮らしをする家は、木製の家具や調度品が個性的な昭和建築とマッチし凛とした空気を醸し出している。部屋を訪ねると、塙さんの手によって発見され、整理されたファイルが机の上には並べられていた。見てはいけないものを覗き見ているようで、ページをめくる僕の手にも緊張感が走る。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.46 長 恵 (写真・文:櫛野展正)
「最近、こんなのを描いとるんよ」 そう言って見せてもらった写真には、頭に十字架の付いたふくよかな体型の天使が描かれていた。他の写真も、やはり同じような天使の絵が描かれており、その規則性のある描き方は、まるで「障害者」の人が描いた作品のようだ。僕が興味津々で覗き込んでいると、長さんは笑みを浮かべていた。この絵の作者は、広島県呉市在住の長恵(ちょう・めぐむ)さんだ。長年に渡って知的な障害のある人の福祉に携わってきた人物で、僕は勝手に師と仰いでいる。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.47 沖井誠 (写真・文:櫛野展正)
見渡す限りの水平線上に、島々の陰影が描き出す景色が広がる瀬戸内海。広島在住の僕にとっては慣れ親しんだはずの海も、対岸の愛媛県から眺めるとまた違った景色に見えてしまうから不思議だ。この愛媛県伊予市双海町は、「夕日の美しい街」として知られている。海岸沿いをドライブしていると、道路に沿って飛行機の模型や宇宙人のオブジェなどが密集した場所が目に留まった。潮風を受けて、飛行機のプロペラが一斉に音を立てて回りだしている。慌てて車を停車させ、インターホンを押すと現れたのは年配の男性だった。彼こそが、こうした作品群の作者で、この家に住む沖井誠(おきい・まこと)さんだ。今年69歳になる沖井さんは、5人兄弟の末っ子としてこの街で生まれた。
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スピリチュアルから最後のこんにちは
毎週のようにいろいろな展覧会を紹介してきて、なるべくなら毎回ちがう場所での企画を選びたいけれど、どうしても登場回数が多くなる美術館やギャラリーが出てきてしまう。本メルマガでは銀座ヴァニラ画廊と並んでヘヴィロテ度が高いかもしれない(笑)、福山県の鞆の津ミュージアム。このほど開館3周年を迎えて、いま開催中なのが『スピリチュアルからこんにちは』である。「ポニョの舞台になった町」といえば聞こえがいいが、なかなか訪れるのに気合いが必要なロケーション。しかも私立という立場でありながら、後述のように1年目から「死刑囚の絵」、2年目に「ヤンキー」と来て、今度は「スピリチュアル」・・・その企画力と実現力において、現在の日本でもっともエクストリームなミュージアムであることは間違いない。
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アウトサイダー・キュレーター日記 06 滝本淳助(写真・文:櫛野展正)
滝本淳助という名前に、すぐに反応できる人はどれほどいるだろう。カメラマンで、1988年から2年ほど出演した『タモリ倶楽部』のコーナー「東京トワイライトゾーン」では、『孤独のグルメ』の漫画原作者・久住昌之さんとともにレギュラー出演。当時「VOW」に先駆けて街中にある「トワイライトなモノ」を紹介し、話題となった。その後は、その独特の思考や言葉遣いを取り上げた久住さんとの共著『タキモトの世界』が復刊を果たす。そんな滝本さんも現在61歳。東京都渋谷区の甲州街道に面した立派な自宅マンションで静かに暮らしている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 08 飯島純子(写真・文:櫛野展正)
鮮やかな色彩の絵画に出会った。皮膚のしわが大胆にデフォルメされ、画面の端に大きく描かれた「JuNKO」のサイン。何より、アクリル絵の具と一緒にラメやシャドーが画面に塗りこめられている。ぼくは今まで、こんな風に直接化粧が絵に施された絵画を見たことが無い。この絵の作者に会うため、茨城に飛んだ。都心から約40キロに位置する茨城県つくばみらい市。江戸時代の探検家・間宮林蔵の出身地としても知られるこの場所は、ことし開業10周年を迎えた首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの誕生に伴い開発が進んだニュータウンが広がっている。駅からほど近い住宅街の一角で、作者の飯島純子さんは父親と暮らしていた。1973年に茨城県筑波郡伊奈町小張(現在のつくばみらい市陽光台)で生まれた飯島さんは、現在41歳。これまで5箇所の病院を渡り歩き「強制退院になったこともあった」と語る。
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アウトサイダー・キュレーター日記 11 田中拓治(写真・文:櫛野展正)
正直、こんなに寒いとは思ってもみなかった。人生で初めて訪れた北海道。「札幌時計台」や「旭山動物園」など名だたる観光名所をすっ飛ばしてやってきたのは、札幌市営地下鉄南北線の幌平橋駅。そこからビュウビュウと寒風の吹きすさぶ中、鼻水を垂らしながら向かった住宅はゴウゴウガラガラと大きな音を立てていた。風が通り抜けると、家の周囲を囲むように設置された色鮮やかな玩具が回りだす。これは、この家に住む田中拓治さんがつくったオブジェだ。昭和14年生まれの田中さんは現在76歳。十勝の河西郡芽室町で8人兄弟の4番目として生まれた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 12 辻修平(写真・文:櫛野展正)
気になるWEBサイトを見つけてしまった。サイト内にはショッキングピンクを基調とした作品が多数掲載されているが、クリックすることを躊躇してしまうような良い意味で素人臭いデザインが、一層ビザールな雰囲気を醸し出している。後日、まるで何かに引き寄せられるかのように、僕はあのサイトの主に会いに東京へ向かっていた。東武鉄道伊勢崎線の竹ノ塚駅から徒歩15分。東京都足立区にある入り組んだ路地の一角に、周囲の集合住宅とは明らかに異彩を放つ建物「あさくら画廊」はある。入口にまで多数のオブジェが侵食し、入ることを誰もが躊躇する奇抜な外観。ここまでショッキングピンクが多用されるとファンタジーを通り越して、もはや狂気さえ感じてしまう。恐る恐る入口の扉を開けると、中から出てきたのは意外にも同年代の男性の姿だった。
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アウトサイダー・キュレーター日記 15 小林伸一(写真・文:櫛野展正)
横浜市の西区と保土ケ谷区をまたにかける洪福寺松原商店街。ダンボールを屋根に積み上げた光景が名物の外川商店をはじめ、あたたかい下町人情が漂い、「ハマのアメヨコ」としていつも賑わいをみせている。その商店街の中にある総菜店「京町屋」で、なぜかいつも自分のメガネを中性洗剤で洗ってもらっているという人に出逢った。この店の常連でもある小林伸一さんだ。そのメガネは、とても変わっている。レンズはセロハンテープで固定され、耳にかける部分は何重にもガムテープが巻かれていた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 18 鈴木敏美(写真・文:櫛野展正)
唐突だが、僕はテレビ番組やアニメに登場する「巨大ロボット」が苦手だ。現実離れしているからなのだろうか、自分でも理由はよく分からない。小さいころ見ていたテレビの戦隊ヒーロー物でも、巨大ロボットが出てくるとチャンネルを変える始末。だから、「新世紀エヴァンゲリオン」や「進撃の巨人」も未だにじっくり見たことがない。そんなロボット音痴な僕が今回訪ねたのは、1979年に誕生し、ロボットアニメ変革の先駆けとも評される、あの「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツを自作している人だ。やってきたのは、青森県上北郡おいらせ町。太平洋に面し、町の東西には十和田湖を源流とする奥入瀬(おいらせ)川が流れている。レンタカーで国道338号線を走っていると、どう考えても見落としようのない外観が現れた。ガンダムに登場する10体ほどのモビルスーツが立ち並ぶのは、「スズキ理容」と看板を掲げる理容院の敷地だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 19 熊澤直子(忍者ブキミ丸)(写真・文:櫛野展正)
高知県には、「藁工ミュージアム」というアール・ブリュット美術館がある。そのため高知を訪れる機会も多いのだが、市内を歩いていると自転車に乗った風変わりな「パンダ」をよく目にすることがあった。もちろん、それは動物ではなく、手製のパンダの被り物をした人間だ。その人は、ファンキーな見た目と、いつどこに現れるかわからない神出鬼没さから、「忍者ブキミ丸」と呼ばれている。すれ違った時の声の感じから、どうやら女性のようだ。どうしても彼女に会いたくなって、後日僕は再び高知にやってきた。高知駅から車を走らせること約10分、閑静な住宅街のなかに彼女の自宅はある。しばらく外で待っていると、派手にデコレーションされた自転車をこいで「忍者ブキミ丸」はやってきた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 20 今井豊一(写真・文:櫛野展正)
勇気を出してインターホンを押すと、ドイツの模型メーカー「メルクリン」による機関車模型が陳列された玄関に、ひとりの小柄な男性が現れた。その人が案内してくれた部屋に入ると、天井からたくさんの模型飛行機が吊り下がっている。「21歳のころから、趣味で飛行機の模型を作っとった。ラジコンは10年くらい前からや。黄色のんは、材料から自分で作って、スイスで自分が乗った飛行機やねん。プロペラのついとるんが、好きやねんな。」そう語るのは、今井豊一(いまい・とよかず)さん。1930年生まれの86歳だ。大阪市中央区船場で4人兄弟の長男として生まれた今井さんは、小学校のころから木を削って船を作るなど、工作の得意な少年だった。
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アウトサイダー・キュレーター日記 21 野村一雄(写真・文:櫛野展正)
いまや3億2000万人が利用するソーシャルメディアのひとつTwitter。国内では3500万人が利用し、宮崎駿監督の映画『天空の城ラピュタ』がテレビ放映されると「バルス」とツイートすることが流行したり、地震や台風の際にはTwitterで救助を求めたりするなど、ライフラインツールとしても不可欠なメデイアのひとつになっている。そんなTwitterのタイムラインに、ある日こんな興味深いツイートが流れてきた。「30年前、父が7年と数ヶ月の歳月をかけて描いたA1サイズの迷路を、誰かゴールさせませんか。#娘として困惑してる #この才能を他の場面で活かせなかったのか――」
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アウトサイダー・キュレーター日記 22 金山勝茂(写真・文:櫛野展正)
地方の道路を走れば、よく目にするもののひとつに、道沿いに立つ交通安全人形がある。「飛び出し坊や」と呼ばれる既成の人形がお馴染みだが、田舎に行けば行くほど、個人レベルでそうした人形を手作りしている人たちは多い。今回は、そんな交通安全人形の作り手に会うため、広島県福山市から電車を乗り換えること5時間強(遠かった…)、長崎県平戸市を訪れた。歴史の教科書で、誰もが必ずその名前を目にしたことがある平戸市。16 世紀にはポルトガル船が来航し、キリスト教伝来の窓口にもなった異国文化が息づく港町だ。レンタカーで県道を走っていると、交差点に平戸の歴史や伝統とは無縁の奇妙なオブジェの乱立するスポットが現れた。敷地内には、「交通安全」と書かれた電波塔や、自転車に乗ったミッキーマウス、そして映画『スター・ウォーズ』に登場するC-3POとR2-D2など様々なキャラクターを模したオブジェが点在し、既にパラレルワールドと化している。
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アウトサイダー・キュレーター日記 23 北 浩子(「Hair & facial ciel」オーナー)(写真・文:櫛野展正)
やってきたのは、兵庫県西宮市にある阪急夙川駅。駅から程近い高級住宅街が立ち並ぶ住宅街の一角に、今回の取材先であるヘアサロン「Hair & facial ciel(シエル)」はある。この店は、外観からして凄い。とにかく目立ちまくっているのだ。まず、入り口には、懐かしいテレビ番組『ザ・ベストテン』を模した手書きの順位表が貼られ、開放的な大きな窓には、お立ち台ギャルの手書きイラストが大きく描かれている。柱の横についたスピーカーまで手作りだから驚きだ。「Hair & facial ciel」という看板がなければ、ここが美容室だとすぐに認識することは難しいかもしれない。
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アウトサイダー・キュレーター日記 24 唐崎歩美(写真・文:櫛野展正)
福岡のギャラリールーモで開催され、今年の夏に大きな話題を呼んだ展覧会『悶絶!! 桃色秘宝展』。入場無料ということもあって、SNSで評判となり、会期延長にもなったこの展覧会で展示されていたのは、エロ雑誌やエロ雑貨にピンク映画のポスターなど「昭和のエロス」だった。そうしたエログッズを収集・展示していたのが、奇書ハンターとして知られる唐崎歩美さんだ。唐崎さんは、昭和63年、北九州市小倉にある銀行員の両親の元で生まれた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 26 武装ラブライバー(写真・文:櫛野展正)
数年前からTwitterで目にするようになって、ずっと気になっていた。その姿は、画面の中で見るたびに進化し続け、どこか異国の民族衣装やRPGゲームのラスボスのようにも見えるし、そのファサード感は絢爛豪華な祭りの山車のようでもある。これは『ラブライブ! School idol project』のグッズを身にまとった男性の姿だ。2010年にゲーム雑誌の読者参加企画として始まった『ラブライブ!』は、9人の女子高生で構成されるスクールアイドルグループが学校統廃合の危機を救うために全国大会優勝を目指す物語で、メディアミックス作品として社会現象を巻き起こしている。そのファンは、「ラブライバー」と呼ばれており、中でも「武装」と称される好きなキャラのグッズで全身を囲った人たちは全体の1割ほど存在する。
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アウトサイダー・キュレーター日記 28 佐藤 和博(写真・文:櫛野展正)
クリスチャン・ラッセンの代名詞とも言えるイルカの絵が胴体に描かれた「こけし」。アンバランスな和洋折衷の雰囲気が、笑いを誘う。ユーモアたっぷりで、どこか批評性に富んだ本作の作り手は、著名な現代美術家ではなく、秋田県に暮らす佐藤和博さんの手によるものだ。日本有数の豪雪地帯のひとつ、秋田県横手市。冬になると「かまくら」で有名になるこの街で、佐藤さんは水道や給排水などの設備工事会社「佐藤施設工業」を営んでいる。社内に一歩足を踏み入れると、たくさんの絵が事務所に飾られていた。社長である佐藤さんが全て描いたものだ。奥から出てきた佐藤さんに「先に見るべさ」と案内されたのが、会社事務所と自宅の間に立つ建つ二階建ての大きな蔵だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 29 一ツ柳 外史春(写真・文:櫛野展正)
改札に石像の模型が鎮座する駅にやってきた。岡本太郎が「こんな面白いもの見たことがない」と絶賛したその像は、『万治の石仏』という名で親しまれ、街の観光名所になっている。ここは長野県のほぼ中央に位置する下諏訪郡下諏訪町。かつては中山道と甲州街道の合流地で宿場町として栄えた温泉宿も多い。駅から国道沿いを少し歩いたところにあるのが、今回の目的地「ヘア・サロン ヒトツヤナギ」。すぐ下にあるのが「海のジオラマ ヒトツヤナギ」の看板だ。ここは、細密なジオラマを制作する店主が営む理容院として知られている。階段を上がり店の扉を開けると、さっそく大きなアクリルケースに入ったジオラマが迎えてくれた。3台ある散髪台のうち、ひとつは作業台となっている。待合いの席で、お客さんとコーヒーを飲みながら談笑しているのが店のオーナー、一ツ柳外史春(ひとつやなぎ・としはる)さんだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 34 馬田亮一(写真・文:櫛野展正)
佐賀県大和町にある「巨石パーク」。静かな森に10m以上の巨石群が17基も点在し、いまや佐賀県を代表するパワースポットになっている。佐賀駅からその「巨石パーク」に向かう途中、国道263号線沿いで異彩を放つ建物に遭遇した。たくさんの廃材や廃物が幾重にも重なり構成されたその建築物は、一見すると廃墟のようでもあるし、どこか異国の要塞のようでもある。入り口にはコンクリートや茶器やガラスなどを組み合わせて制作されたシーサーがこちらを見据えている。その周りの黒板にはポップな社会風刺の言葉が書かれており、どうやらアートハウスのようだ。道路沿いに車を止め、中に入って呼びかけてみた。「こんにちは、どなたかいらっしゃいますか」。
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アウトサイダー・キュレーター日記 37 伊藤 保(写真・文:櫛野展正)
高架上を走ることから「ソラ鉄」の愛称で親しまれている「日暮里・舎人ライナー」。同じ無人運転の鉄道「ゆりかもめ」とは違って、下町の気取らない長閑な街並みを駆け抜けていく様は、自然と心が安らいでしまう。その停車駅のひとつ、赤土小学校前駅から商店街を歩いていると、一際異彩を放つ店舗が見えてくる。ティラノザウルスやトリケラトプスといった子どもたちに人気の恐竜がリアルなイラストで外壁一杯に描かれ、入り口には金網でつくられた恐竜のハリボテまである。よく見ると室外機まで彩色されており、制作者の並々ならぬこだわりが伺えて、何とも面白い。ここが今回の目的地「お好み焼き110(いとう)」だ。店内は、靴を脱いでゆったりくつろぐことの出来る座敷スペースが広がっているが、四方の壁に描かれた恐竜のイラストや壁に展示された恐竜の張り子とお好み焼き店とのアンバランスさに思わず笑みがこぼれてしまう。
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アウトサイダー・キュレーター日記 38 生亀光明(写真・文:櫛野展正)
何気なくSNSを眺めていた時、畸人研究学会のメンバーで“海老名ベテルギウス則雄”こと小久保則和さんの投稿に目が止まった。そこに写っていたのは、天高くそびえる銀色の不思議なオブジェで、相模鉄道本線の西谷駅から鶴ヶ峰駅間の車窓から見えるという。事前に何度か電話をしてみるものの全く繋がらない。そこで教えてもらった電車に乗り、車窓から見える場所を頼りに探し歩いていると、住宅街の中に異彩を放つ建物が現れた。一見すると電波塔のようにも見えるが、よく見るとそれは空き缶などで出来ており、太い柱の周囲には大きな龍が巻きついている。「昔から電話恐怖症だから、電話は出ねぇんだよね」と出迎えてくれたのが、このオブジェの作者・生亀光明(いきがめ・みつあき)さんだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.40 みゆき(写真・文:櫛野展正)
名古屋駅の新幹線口で待っていると、現れたのは「みゆき」と名乗る細身の女性だった。小雨のなか、駅からほど近い場所にある自宅マンションに招き入れてもらった。部屋の一室には、これまで描いてきた油彩画が広げられている。スナックの店員を描いたものや人形や仮面を描いたものまで様々だ。未だ自分の表現を手探りで模索している様子は伺えるものの、そのどこか暗鬱な表現はいつまでも僕の頭から離れてはくれなさそうだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.42 土屋 修(写真・文:櫛野展正)
日本列島のほぼ中央に位置し、「水の都」と呼ばれるほど、豊かな地下水に恵まれた土地として知られている岐阜県大垣市。市内の県道沿いには、カンガルーやキリン、孔雀などのオブジェが顔を並べる場所がある。この家に住む土屋修(つちや・おさむ)さんが、古いタイヤを利用して制作したもので、子どもたちに人気の名所となっている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.43 藤田孝士(写真・文:櫛野展正)
広島県福山市の北西部に位置する新市町。城田貞夫さんが経営する自作のカラクリ人形やエロオブジェが魅力のスナック「ジルバ」がある地域のため、僕にとっては頻繁に足を運ぶ場所のひとつになっている。そんな町に2019年10月、またひとつ魅力的なスポットが誕生した。スナック「ジルバ」からも程近いその場所は、テイッシュアート 喫茶「紙の城」という看板を掲げる喫茶店だ。扉を開けると、1000点以上のテッシュペーパーでつくられた多彩な作品群に思わず圧倒される。桜や城、松の盆栽など同じテーマで作品が量産され、ティッシュペーパーにこだわった執拗な創作に目眩すら感じてしまう。室内で新作の制作に取り組んでいたのが、この喫茶店の店主で、作者の藤田孝士さんだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.44 須田久三(写真・文:櫛野展正)
昨年、京都御所東の荒神口にあるギャラリー「art space co-jin」で興味深い展覧会が開かれていた。ここは障害のある人の作品や表現に出会える場として定期的に展示やイベントを開催しているが、そのとき行われていたのが『Emotional Drawing|須田久三 展』だった。小さなスペースの中には、絵画だけでなく印章技術や山水画などが展示されており、表現の多彩さに驚かされてしまう。特に、会場中央のテーブルに並べられていたのは、展覧会名にも使われている近作「Emotional Drawing」シリーズだ。大小さまざまなサイズのノートには、緻密なドローイングが繰り広げられており、作者が描き出す奇妙な世界と余白とのバランスが絶妙な絵画作品になっている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.45 丹 作造 (写真・文:櫛野展正)
蛇腹状に広げられた帳面の両面に描かれた絵画。手にとって広げると、苦悩の表情を浮かべる人々の顔がいくつも描かれている。片面は、1枚の壮大な絵巻になっており、つくり手の途方も無い情念のようなものさえ感じてしまう。本作は、今年1月、ニューヨークで開催されたアウトサイダー・アートフェアで、世界の人々から驚きを持って迎え入れられた。作者は、丹作造(たん・さくぞう)と名乗る人物だ。彼との出会いはフェアが始まる2ヶ月ほど前のこと。小雨の降るなか、東京・上野駅の公園改札前で、人混みの中から僕は彼の姿を探していた。前夜に電話した際、教えてくれたのは「携帯電話なんて持っていないんですけど、とにかく派手な格好をしているから」という情報だけ。しばらく待っていると、「どうも」と無精髭を貯えたニット帽の男性が話しかけてきた。首には廃材を組み合わせた自作のネックレスをぶら下げ、上下ともに自分でリメイクした服を着ている。上着は缶バッジや布などを貼り付けたブルゾンで、履いているジーンズにも自作のペイントが施されている。
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アウトサイダー・キュレーター日記 04 三浦和香子(写真・文:櫛野展正)
北陸新幹線の開通によって、すっかり身近になった北陸地方。富山県の高岡駅から氷見線に乗り換えると、迎え入れてくれたのが「忍者ハットリくん列車」だ。外装から車内の内装にいたるまで「忍者ハットリくん」のラッピングで包まれた列車に、堂々と大人が乗りこむのはどこか恥ずかしく、ハットリくんの「次は~でござる」という観光アナウンスにそっと耳を傾けながら、美しい海岸線に沿って走ること約30分。たどり着いたのが、終点の氷見駅だ。漁業の町として知られる人口5万人ほどの富山県氷見市は、藤子不二雄A先生の出身地ということもあり、代表作の一つ「忍者ハットリくん」の登場キャラクターが街の至るところに(なんとタクシーにも!)点在し、街全体がA先生のワンダーランドと化している。
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アウトサイダー・キュレーター日記 07 西川正之(写真・文:櫛野展正)
三重県伊勢市にある近鉄宇治山田駅。真向かいにある明倫商店街のすぐそばには、読売ジャイアンツ草創期に活躍した投手・沢村栄治の生家跡地がある。そんな名投手を生み出したこの地で、本物そっくりな立体凧を制作し続けている西川正之さんを訪ねた。西川正之さんは昭和20年、三重県多気郡明和町に生まれた。あるとき、次男だった父親の「田舎におったんではいかん」という一言で、伊勢市常磐町の呉服屋へ家族で丁稚奉公に。そこの呉服屋を間借りして暮らしていたが、西川さんが小学校5年生のころ父親が独立。宇治山田駅前にある明倫商店街の中に店を構えた。いまはシャッター商店街だが、当時は夜9時半まで商売するほど賑やかだったそうだ。両親が共働きで、4つ下の妹は祖母の家で暮らしていたため、小学校から帰ると自分で鍵を開けて帰宅する日々だったという。そんな西川さんの趣味は、絵を描くことだった。
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アウトサイダー・キュレーター日記 09 黒川 巌(写真・文:櫛野展正)
全国各地のアウトサイダー・アーティストたちを取材していると、取材を拒否されるケースも少なくない。今回ご紹介する黒川巌(くろかわ・がん)さんもそのひとりだ。かつて、彼の自宅兼アトリエが「2ちゃんねる」で「お化け屋敷」などと酷評を受け、それがきっかけで、2012年に「日刊SPA!」の取材を一度受けてしまった結果、若者たちが毎夜家の周りを取り囲み、自宅周辺にタバコの吸殻を撒き散らしたり庭に卵を投げ込んだり、ひどいときは二階の窓ガラスを投石で割られたこともあったという。黒川さんは、その後一切の取材を拒否。今回、何度かの交渉により特別に取材させていただくことができた。おそらく彼にとって最後の取材となる。
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アウトサイダー・キュレーター日記 13 爆弾さん(写真・文:櫛野展正)
全国各地の表現者を求めて取材を続けていると、拒否されることだってある。今回取り上げるのは岡山に暮らす路上生活者だ。彼はこれまでメディアの取材は一切断ってきた。自分の人生が一変するような高額報酬でもない限り、決して首を縦には降らない。考えてみれば無理もない。取材によって名が知れ渡ることは、路上生活者にとって、ともすると嘲笑の対象となり、自分の身に危険が及ぶことも想定されるからだ。今回は何度かお会いすることにより、特別に取材を受けていただくことができた。林央子の著書をもとに開催された展覧会『拡張するファッション』を香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で見た帰りに、岡山駅でデザイナーズ・ブランドの変形服を着用したような出で立ちの路上生活者に遭遇した。それは展覧会で見たどの衣服よりも刺激的な風貌だった。本名や生年月日は非公開。通り名で「爆弾さん」と呼ばれている。以前、体験ノンフィクション漫談芸人・コラアゲンはいごうまんの漫談で紹介されたこともあり、岡山ではちょっとした有名人だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 16 藤沢正広(写真・文:櫛野展正)
「本人がちょっと難しい人でね。恥ずかしがり屋というか、取材とか嫌みたいで、約束してもすっぽかしちゃうの。自分の個展のときも、オープニングにも出ずに、すぐ帰っちゃうくらいだからね」。電話口の相手は、「ギャラリー・マルヒ」のオーナー・鴻池綱孝さんだ。ここは東京都文京区。職人の町として知られる根津の路地に「ギャラリー・マルヒ」はある。東京芸大近くで20年以上営業を続けるアンティークショップ「EXPO」のオーナーでもある鴻池さんが代表を務めるギャラリーだ。大正時代の質屋をリノベーションしたこの場所で、ことしの4月23日から15日間だけ開催されていた展覧会があった。藤沢正広さんによる初めての個展『野良サイダー』だ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 17 橋本晁光(写真・文:櫛野展正)
高知市からレンタカーで北上すること約1時間、たどり着いたのは、高知県長岡郡本山町。ここは、高知県のほぼ中央に位置し、中心部を吉野川が流れる水と緑に恵まれた人口4000人ほどの小さな町だ。国道439号線沿いにあるブルースマン・藤島晃一さんが経営する『CAFE MISSY SIPPY』でお腹を満たしたあと、さらなるワインディングロードを突き進み、今回僕がやってきたのは高角集落の入り口にある「極楽入口」という黄色の大きな看板が掲げられた場所。いかにも怪しげな匂いがプンプンするが、何かに導かれるように矢印に沿って山肌の長いカーブを曲がると、深い緑と美しい田園風景に囲まれた山間の小さな集落の中に手作りのテーマパークが現れる。まず、目に飛び込んでくるのが道沿いに立ち並ぶ大きな巨石の数々だ。入口の大きな石の看板には「田園自然石アート ストーンロード」の文字が。その下には作者の「モイア橋本」という名前が刻まれているが、「極楽入口」とあっただけに、それはどこかの神様の名前にも思えてくる。
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アウトサイダー・キュレーター日記 27 中條狭槌(写真・文:櫛野展正)
群馬県西部にある甘楽郡。近くには工場見学などが楽しめる無料のテーマパーク「こんにゃくパーク」があり、少し足を伸ばせば世界文化遺産に登録された富岡製糸場にも近い。そんな小さな田舎町に、ひときわ異彩を放つ不思議な場所がある。「アートランド竹林の風」「ナニコレ珍庭園」「ふれあいセンター銘酒館」「名勝楽賛園」などいくつものサイケデリックな手書き看板が掲げられ、周囲にはたくさんの廃品が並べられたその場所は、見所満載で眺めているだけでも時間を忘れてしまうほどだ。道路を挟んだ向かいの家には、「中條家」と大きな文字で書かれた同様の装飾が施されており、ここが作者の家であることは明らかだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 32 スギノイチヲ(写真・文:櫛野展正)
2017年4月の時点で、全世界の月間アクティブ利用者数が7億人を突破したInstagram。プロではない人たちもスマートフォンで自分の表現を容易に発表できる手軽さから、ますます人気を集めている。膨大な量の写真がタイムラインの海をスクロールしていく中で、「おじコス」とハッシュタグの付いた投稿に目が止まった。よく見ると、タモリや会田誠など自らの顔を著名人に扮して投稿した写真で、つげ義春や浦沢直樹など随分マニアックな人たちの顔真似もある。それからしばらくして、クシノテラスに「フォローしてくれてありがとうございます」とやって来てくれたのが、作者のスギノイチヲさんだった。商業デザイン会社で常務取締役を務めるスギノさんは、現在51歳。職場がクシノテラスの近所だったこともあって会話が弾み、後日福山市内の高台が一望できるご自宅でお話を伺うことができた。
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アウトサイダー・キュレーター日記 36 夜見陣八(写真・文:櫛野展正)
クシノテラスで18禁の『性欲スクランブル』展を開催している時、広島が誇る変態の「アキちゃん」など、これまで出会うことのなかった分野の人たちとたくさん出会うことが出来た。中でも印象的だったのが、緊縛ショーを撮影するカメラマンの夜見陣八(よみ・じんぱち)さんだ。ギャラリーでの立ち話に花が咲き、後日彼が独居生活を送る広島県尾道市南部にある向島を訪れた。向島にある夜見さんの借家は、どこにでもあるような普通の民家だ。ところが、一歩中に入ると作業場になっている1階のキッチン周りにたくさんの鞭が並んでいたり、2階の寝室には夜見さんの趣味で溢れた書庫があったりと、その外観とのギャップに思わず息を飲んでしまう。特に綺麗に整理整頓された書棚は、今では手に入れることの出来ない貴重な本も多いそうだ。
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アウトサイダー・キュレーター日記 vol.39 泥沼毒生(写真・文:櫛野展正)
激しい水しぶきをあげるモーターボートに乗った男性が、モンキーターンのときにSM調教をする様子を描いたデジタルアート。その背後には、体に大きく「原発反対」と落書きされた女性たちが水車責めを受け、苦悩の表情を浮かべている。別の作品に目をやっても、おそらく作者であろうと思しき色黒で坊主頭の男性が加虐を行なっている場面が描かれている。作者の激しい性的な欲望が前面に押し出されたその構図とポップでフラットなデジタルアートとの落差に、僕の脳内はまるで平衡感覚を失ったようにクラクラした。こんな風に絵を見て酔ってしまったような経験は初めてのことだ。作者の泥沼毒生(どろぬま・どくお)さんは、1974年に奈良県で2人きょうだいの長男として生まれた。これまで本格的に絵を学んだ経験はなく、むしろ絵を描くことを避けて生きてきたようだ。
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ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!