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  • 私の特別な人を編んでください!――編み物☆堀ノ内の「肖像編み物」 第1回 妻による家庭内インタビュー (写真:久富健太郎 文:川上雅乃)

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バックナンバー:2021年04月07日 配信号 収録

design 私の特別な人を編んでください!――編み物☆堀ノ内の「肖像編み物」 第1回 妻による家庭内インタビュー (写真:久富健太郎 文:川上雅乃)

「編み物☆堀ノ内」という奇妙な名前のニット・アーティストと知り合ったのは数年前。それまでも橋本治とか男性による編み物は見聞きしていたけれど、その編みの緻密さと、モチーフの破天荒さ――シド・フィシャスとかクラフトワークとかディバインとか!――のマッチングに爆笑、そしてめちゃくちゃ欲しくなってしまったのだった。

いまでは「編み物☆堀ノ内」の名前はトレンディ界隈に知れ渡り、展示会はいつも大人気。いまでも欲しいけど。で、今年になって久しぶりにお会いしたら、年内に作品集の刊行を考えていると聞いて、そのウォーミングアップ!として「編み物☆堀ノ内」によるオーダーメイド作品の数々を、依頼主のインタビューを交えて短期集中連載していただくことにした。

夫君の「編み物☆堀ノ内」を支えつつ、記事を書いてくれるのは奥様の川上雅乃さん。実はこのおふたり、『捨てられないTシャツ』の珠玉の一編「JAWS 2」の主人公でもある。

捨てられないTシャツ JAWS 2:
https://roadsiders.com/backnumbers/article.php?a_id=899

これから約4ヶ月にわたって毎週!お送りする怒濤の新連載。第1回目の今週はイントロダクションとして、「編み物☆堀ノ内」さん自身の紹介と誌上作品展から!


《シド・ヴィシャス》2020|機械編み

編み物☆堀ノ内:プロフィール
1967年神奈川県生まれ。桑沢デザイン研究所を卒業後グラフィックデザイナーに。2013年、44歳のときに「毛糸で絵を描きたい」と編み物を習得し、2015年より「編み物☆堀ノ内」名義で活動を開始。家庭用編み機を使用した機械編みと手編みの二刀流で製作。編み物において大きな影響を受けたのは、小説家の橋本治さんが1984年に刊行した『男の編み物 橋本治の手トリ足トリ』(河出書房新社)。初めて編んだ作品は、心の師匠(マスター)、ブルース・リーのチョッキ。オーダーメイドで肖像を編むほか、岡村靖幸や中村達也などミュージシャンとの編み物コラボ、フィギュア・メーカー「メディコム・トイ」とコラボでニット・ブランド「KNIT GANG COUNCIL」も手掛ける。

https://amimono.tokyo/
https://twitter.com/Amimono_Hori
https://instagram.com/amimono_horinouchi/
https://facebook.com/buddy.tatsuya


よりによってなぜ編み物?

堀ノ内が編み物を始めた最大の理由は、「グラフィックデザインでは食っていけないから」。堀ノ内が席を置いているデザイン事務所「図工室」にいる坂啓典君という先輩デザイナーは、グラフィックとペーパークラフト作家をしています。https://zuko.to/kobo/
今は日本でもペーパークラフトはだいぶメジャーになりましたが、坂君はその先駆け的な存在です。

坂君がグラフィックとペーパークラフトの二足のわらじを履き、さっそうと仕事をしている姿を間近で見ていた堀ノ内は、「俺も副業つくりてぇー!」と思ったといいます。安定的な収入を得たいなら、会社員になるって選択もあるじゃん?と振ったところ、「子どもたちを保育園に迎えに行くために毎日17時に職場を出なくちゃならない。それに俺あの時、40歳とっくに過ぎてたんだよ? そんな奴を雇う会社なんか無いよ」と。




《沢田研二》2016|機械編み


副業。誰かが既にやっていることでは勝負できないので誰もやっていないことを、と考え抜いてサブカル×グラフィック×編み物に行き着いたそうです。介護ヘルパーでもタクシー・ドライバーでもなく編み物にいくというのが、堀ノ内の狂ってて面白いところかもしれません。その選択に、小説家でありながら素晴らしい編み物を何着も産み出していた橋本治先生(2019年没)の影響は、とても大きかったみたいです。


「図書館の手芸本コーナーにある編み物の教則本をありったけ借りて、毛糸と棒針買って見よう見真似で編もうとしたけど、どの本も解読できず挫折。今思えば手芸本の読み取りに慣れていなかったせいもあるかなぁ。その点、橋本治先生の『男の編み物 橋本治の手トリ足トリ』は、編み物も手芸の経験も皆無の俺でもすんなり理解できて。橋本先生は頭がいいだけじゃなく説明がうまいんだなぁと感心したよ。この本のおかげで、生まれて初めて直線編みのマフラーを編み上げられた」


「イラストも描き文字も、橋本先生おんみづから書いてる。先生のしゃべりをテープ起こししたみたいな説明文は、教習車の助手席に座ってる教官に指導されてるみたいな実地感」


「山口百恵やジュリーやデヴィッド・ボウイ。橋本先生は当時勢いのあった人の顔のセーターを続々と編んでたんだよね。そんな橋本先生に俺は影響を受けてる、いや違う、もろにマネ。巻頭には、スタイリストやモデル、イラストレーターなど「イケてる業界人」が橋本先生の編み物を着ている写真が載ってて。その顔触れや当時の空気感はたしかに面白いんだけど、肝心の編み物が隠れてる写真が多くて! 「編み物がちゃんと見える写真使ってくださいよ~~肝心なところが隠れちゃってるよ~~」って。この本についての唯一かつ最大の不満」

堀ノ内は人当りはいいのですが肝心なことは何も話さない人で、編み物を始めたことはまったく知らされていませんでした。図書館で編み物の教則本を借りられる上限(12冊とか)まで繰り返し借りて(本を買うお金はなかったそう)人知れず手編みを学び、猛暑日の連続だった2013年の8月、ブルース・リーのチョッキを編み上げました。どっかの平日の熱帯夜、家の食卓で完成品を「ねぇこれどう思う?」と見せられました。


《ブルース・リー》2013|手編み
「生まれて初めての肖像編み物。編み方を学びながらの制作だったので完成までに1年近くかかった。セーターではなくチョッキなのは、袖を編む気力が残っていなかったから」

「俺が編んだ」と。衝撃でした。しかもブルース・リーの肖像。顔はたぶん、ほぼ原寸か少し大きいくらい。毛糸なのに、やたらリアルで。「すごすぎ……」と言いつつ、なんか笑ってしまいました。だっておかしいじゃないですか、44歳の男がいきなり編み物ですよ。編み物はおろか、ボタンつけしているのも見たことなかったし。そのチョッキを手に取り、表も裏もまじまじと見て、その場で着てみました。汗だくになりながら(我が家にエアコンはありません)鏡に映して「何これ~ヤバイ~~~」と私が興奮しまくるのを見て、堀ノ内は何かの手応えを得たようです。

「毛糸というちょっと脱力した素材でギンギンな人を編むのは面白いと思ってたけど、当たる確信はなかった。だけどマサノが「わー!!!」って反応するのを見て、「これはいける」と。すぐ何かになるほど甘くはないと分かってたけど、何かになるまで絶対にやめないと心に誓ってはいた。正直に言うと当時は本当に仕事が無くて時間だけはたくさんあったから、事務所でひたすら編んでた。近ちゃん(同じ事務所の先輩デザイナー近田宏生さん)と坂君はそんな俺を見て、「堀ノ内君は暇過ぎて狂った!」と思ったんじゃないかな。だって、いきなり編み物だし」

その後、横山やすし、三億円事件、クラフトワークと編み物が出来上がるたび、堀ノ内はそれを家に持ち帰り、「ねぇこれどう思う?」と見せてきました。そのたびに「何これー!」と興奮しながら、フト「これって鶴の恩返しみたい……」と思いました。「決して覗かないでください」と機織り部屋にこもり、美しい織り物を織り上げてそっと差し出してくる娘(鶴の化身)と、外で編み上げた変なセーターを、食卓で次々に差し出してくる堀ノ内(44歳のおじさん)の姿が重なり、笑ってしまいながらもしんみりしました。


《横山やすし》2014|手編み

「昭和の破天荒極まりない人で、しかも天才芸人。そして誰もが知っている人というところもいい。生き方も死にざまもパンクなところにも惹かれるなぁ。そもそも横山やすしのセーターなんて見たことないし、絶対面白いと思って編んだっけ。制作期間は2か月弱。事務所の先輩デザイナーふたりはめちゃ仕事してるのに俺だけ暇で、朝から晩まで編み物。きまり悪すぎて、この頃から事務所ではなくマンガ喫茶で編むようになった。「でも、やるんだよ!」の心境」



《三億円事件》2014|手編み

「昭和の人なら、だれでも知っている顔。事件はミステリアスでドラマ性がすごいし。モチーフとして最高」



《クラフトワーク》2014|手編み

「テクノなのに毛糸で手芸で編み物っていうのが可笑しいと思って。今は1周回って「かっこいい」と言っていただくこともあるけど、狙いは「笑い」。横山やすしと三億円とクラフトワークあたりまでは、見る人がぷっと噴き出したり、「何だこりゃw」と呆れてもらうことを第一に考えてモチーフを決めてた」 

手編みじゃ食ってけない
家庭用編み機いってみるか

「手編みで肖像編み物を1着完成させるには2か月近くかかる。もしこれが今後仕事になったとしても、全然食えない。そう気づいて編み機を導入することにした。俺が使ってるのは、昭和のお母さんたちが使ってた家庭用編み機。「ジャー!ジャー!」って音がする、キーボードみたいな形のあれね。昭和30~40年代までは一家に一台みたいな存在だったらしいだけど、服が安く買える時代になって衰退。その頃、デザインで久しぶりにまとまった入金があったから、ほぼ生産中止状態の編み機を大枚15万円で買った。でも操作がわからなすぎて。まったく使えなかったから、千葉にある編み物教室に毎週習いに行くことにした」



「千葉で石橋ニッティングスクールを主宰する石橋寿子先生は、俺の編み物恩人。ここで俺は、家庭用編み機を使いこなす技術を授けてもらった。石橋先生は大先輩でもバリバリ現役。そんなところもかっこよくて尊敬してる。学校名の看板の「世界に通用する技術」というキャッチコピーもいいなぁ」





編み機の使い方を習いに千葉まで通っていることも、始めは知らされていませんでした。まぁ知らされたところで、「学校なんか行ってないでもっと働け!」と言っていたでしょうね。そうこうしているうち、編み機で編んだ第1号の作品「スペース・インベーダー」のミトン、第2号の「イエローマジックオーケストラ」、ほどなくして第3号の作品「ビズ・マーキー」のセーターを「ねぇこれどう思う?」と見せられました。ビズ・マーキーの編み物を見たときに、「ヤバイ、この人、きっと何かになる」と確信しました。


《スペースインベーダーのミトン》2015|機械編み

「家庭用編み機を使い、初めて模様編みで仕上げた作品。柄がどんどん編み上がっていく様子に感動」



《イエローマジックオーケストラ》2015|機械編み

「家庭用編み機で編んだセーター第一号。ジャカード編みという技法を初めて使った。まだ編み機に慣れてなくて、使える色は2色。赤と黄色だけでどれだけかっこいいグラフィックをつくれるか、めちゃ工夫した。線画にすると野暮ったくなるので、背景に細いボーダー柄を敷くことで輪郭を表現。服と靴を一体化させないために、靴を細かい市松模様にしたり。「よし。俺は毛糸でグラフィックが出来る」。地味な編み物に見えるかもしれないけど、自分的には会心の仕上がりだった」


「これが元ネタ」



《ビズ・マーキー》2015|機械編み

「編み機で初めて多色で複雑な肖像編み物を編めるようになった、俺には記念碑的作品。編み物教室の先生にも「これは機械ではできないよ~」と言われてたけど、教えていただいた技法を使い、ありえない根気を発動してひたすら繰り返せばできることがわかって。絵柄面を編むのに一か月くらいかかった」


「この編み物をインスタに上げたらビズ・マーキー本人が見てくれて。「俺の顔を勝手に編みやがって!」と怒るどころか、自分の公式インスタのアカウントでこのセーターの投稿をリポストしてくれた。こういうSNSでのリアクションも、編み物を続ける原動力になってるなぁ。だってご本人だよ?!」



《松田聖子と犬》 2014|手編み


《松田聖子と犬》 2016|機械編み
「同じ絵柄を手編みと機械編みで編んだ。機械だと編み目が細かくなるから、よりリアルな表現ができる。わかりやすいのは髪の毛で、犬も立体的に。顔も手編みより機械編みのほうが似てる」

今日から君は「編み物☆堀ノ内」

アーティスト・ネーム「編み物☆堀ノ内」は私の案です。堀ノ内が食卓で名前の候補をいくつか挙げ、「ねぇこれどう思う?」と聞いてくるのですが、それがどれもスカした欧文や外国語で。「こんなんじゃ何やってる人か全然わかんないし、誰も覚えられないよ!」とダメ出ししました。せっかく誰もやってないことをしているんだから、キャンドル・ジュン並みにわかりやすくしないと。また、堀ノ内はさいしょ、「編み物」と「堀ノ内」の間に半角入れていたのですが、これは原稿打つときに紛らわしいので「半角アキなんてダメ! ☆を入れなよ!」と提案しました。おしゃれな名前ではないところも含め私はクールだと思っていますが、娘(19歳)と息子(14歳)からは「いくらなんでもダサすぎる」と不評です。


《萩原健一》 2019|機械編み

「今は編み機にもだいぶ慣れてスピードアップしたけど、それでもセーターを1着制作するのに2週間はかかる。だからグラフィック・デザインをしていたほうが、収入的には全然効率いいんだよね。ただしそれは、コンスタントに仕事があればの話」





「模様編みの裏側。洗濯バサミをぶら下げて糸にテンションをかけながら編むよ。洗濯バサミの色がめちゃ主張してるけど、色に意味はなし」

編み物が俺を、
いろんなところに連れて行ってくれる

堀ノ内は編み物で何かを発信したいというよりも、「人にいいと思っていただいてお金にすることが第一義」と話していて、それがファインな芸術家の方々とは大きく異なる点だと思います。最近は「アーティスト」と言われることもあるみたいですが、本人はいつも「俺はアーティストではなくデザイナー」と言っています。堀ノ内が蓄えてきた映画や音楽などのサブカル教養(うちでは駄教養と呼んでます)を編み物という表現手法で発信して、そういうものが好きな人に「うぉー!」と反応していただけるのも、大きな喜びのようです。


《仁義なき戦いで風街ろまん》 2016|機械編み


《イギー・ポップ》 2016|機械編み


《ジョン・ウォーターズ》 2016|機械編み


《クラウス・ノミ》 2017|機械編み


《矢沢永吉》2017|機械編み

「編み物のおかげで出会わせてもらってる人が何人もいる。編み物が俺をいろんなところに連れて行ってくれてる感じだなぁ。永ちゃん(矢沢永吉さん)はインタビューなんかでよく「Thank youロックンロール!」と言ってるけど、俺も「Thank you編み物!」って心境」

ご発注くださる方が途絶えなくなったり、メディアに取材していただくことも増えているようですが、堀ノ内の生活は変わらず地味です。朝6時台に起きて家事をして9時に事務所に着いて20時までだいたいずっと編み物、合間にメールや打ち合わせの対応をし、まっすぐ家に帰ってきます。それが週6日。人と群れないし、社交もしない。状況が変わっても自分のスタイルは変えないと決めているみたいです。

「作品さえ良ければ、仕事はくると気づいて。それに今はSNSがあるから俺が営業しなくても、編み物自らが人に働きかけてくれるし、誰かが拡散してくれる。だから人間関係を耕すよりも、とにかくいい物をコンスタントに編んで発信することを優先するのが大事だなぁと」


夏休みの旅行中、機内で糸始末をする堀ノ内。隣で窓の外を眺めているのは息子のイッコウ。この写真を撮った直後、CAさんに「すみませんー機内はハサミ持ち込み禁止なんですよ……」と優しくたしなめられ、作業は中止に


《アフリカ・バンバータ》 2020|機械編み


《ピーウィー・ハーマン》2017|機械編み


《マイケル・ジャクソンとバブルス》2020|機械編み

「たとえば渾身の編み物を5着編んだだけでは評価してもらえない。こんな数では俺が何をしたいのか、誰にも伝わらないから。だから編み始めた当初は朝もから夜まで必死で編み、せっせとSNSで公表。今は「何をしたいのか」はだいぶわかってもらえてきてると思うけど、食っていくためにはもっとたくさん編まなきゃ。今は、人と疎遠になるくらい編み物に集中してる。何年も暇だったからこれくらいでちょうどいいよ。いや、もっとやらなければいけないと思ってる」

[誌上編み物中継]

・デザイン画をつくる




・試し編みしたスワッチでゲージを測る




・製図を作る




・延々編む


「編み物を始める前の俺は多動の傾向があって、勉強をしていてもデザインをしていてもじっと座っていられず、すぐ立ち上がってウロウロしてた。それが編み物だけは集中して出来て、今は、8時間以上ぶっとおしで編み物するのが普通になった。俺のどこにこんな集中力があったんだろう?って今もときどき思う。その根本には、編み物がものにならなかったら俺マジでヤバいっていう崖っぷちの危機感があったのは確か」


「糸をかけ、編み機を走らせ、洗濯バサミを付け替える。ほぼ誰とも話さず、その単純作業を1日6~9時間、ひたすら繰り返し。「めんどくせー!」って思いながら編んでるよ」




・糸始末


「絵柄面の裏の糸を一目一目針で掬って結んで切る作業が糸始末。絵柄面は魂だと思っているから、どんなに面倒でも糸始末まで俺がやり、納期に間に合わなさそうな物はタマオ(19歳の娘)に手伝ってもらう。糸始末は1着につき15時間とか余裕でかかることもあるけど、外注はしない。コンサルの人とかが見たら、こういうのは「非効率」って言うよね、きっと。でもここは効率化しちゃいけないところだと思う」


糸始末は食卓で




「やついいちろうと犬」の糸始末完了。「犬も人もメチャ細かくてマジ死んだw。18時間くらいかかったかなー。糸始末しながらスマホで映画5本観た。面白かったのは「ブルーバレンタイン」と「イカとクジラ」、「かもめ食堂」(タマオ)


「映画が大好きだけど、今は年に100本くらいしか観られていないなぁ。コロナの影響で新しい映画が作られず劇場公開が減っていることもあって、最近は職場か家の食卓で糸始末しながらスマホで観ることがほとんど。手元を見ながら作業をするので字幕は見られず、いつも吹き替え」


《ディーヴォ》 2016|機械編み


「編み始めの頃は服というより毛糸で描いたイラストのつもりだった。それで雑誌「イラストレーション」のコンペ「ザ・チョイス展」に応募したら、秒で返送されてきて。「これイラストじゃないでしょー!対象外!」ってことだったんだろうね。編み物だから編集部でかさばって邪魔だろうし」


《セーラー・ムーン》 2020|機械編み


元ネタ


試し編み


元ネタから起こした製図


絵柄面の裏側


「twitterで俺の編み物をリツイートしてくれた人が「ヒマか」って書いててw。普通はそう思うよね。変な編み物何着も編んで、いい歳したおじさんがどんだけ暇なんだって」




堀ノ内は、代々木にある『図工室』というデザイン事務所に机を置いています。桑沢(桑沢デザイン研究所)の同級生だった近ちゃんと坂君の事務所に押しかけ女房のように仲間に入れてもらい、今年で20年になるそうです。

「俺は真ん中、近ちゃんと坂君は右と左。編み機の音、うるさいと思う。だって近ちゃんと坂君いつも、巨大なヘッドフォンつけて仕事しているし…。でも「うるさいですよね?」とは、とてもじゃないけど聞けない。「うん、うるさいね。だから出てって」と言われたら、とても困るから……。この事務所にいさせてもらって、両脇にふたりがいるから、俺は緊張感をもっていられる。だから近ちゃんと坂君も、俺の編み物恩人だなぁ」

「暇すぎて副業つくりたくて始めた編み物。今は肖像編み物の注文をたくさんいただくようになって、納期に追われる毎日。ついに暇じゃなくなった!(笑) ありがたいし、本当に良かった‥。今(2021年4月)編んでるのは去年の展示(2020年8月の「編み物☆堀ノ内 ~ THE CRAZY THUNDER KNITTING 展覧会&パーソナルオーダー会」@Grand Gallery/The Beach Gallery)でご注文いただいた物。1枚1枚ひとりで編んでるから時間がかかって。数をこなすことで、これでもだいぶスピードアップしたけど、それでも1着仕上げるのに2週間はかかる。今以上に速く編むのは無理だなぁ。


手作業で1着1着作る肖像編み物はオートクチュール、工場で編んでもらう製品はプレタポルテと思ってる。仕事として安定させるために、今後はプレタポルテが一定数売れるように育てたい。そうすれば、より肖像編み物に魂と時間を集中できるようになるから。編みたい人は、まだまだたくさんいるしね」

[編み物★堀ノ内・誌上作品展]


《たこ八郎》 2016|機械編み


《ソ連》 2015|機械編み


《オバQと魔太郎》 2015|機械編み


《トレイシー・ローズ(クライベイビー)》 2018|機械編み


《チャーリー・ワッツ》 2017|機械編み


《たのきんトリオ》 2017|機械編み


《デヴィッド・ボウイ》 2018|機械編み


《デビ―・ハリー》 2016|機械編み


《イザベラ・ロッセリーニ(ブルーベルベット)》 2017|機械編み


《王貞治》 2015|機械編み


《イーニド(ゴースト・ワールド)》 2018|機械編み


《徳仁・雅子(天皇皇后両陛下)》 2019|機械編み


《ディヴァイン》 2017|機械編み


《エイミー・ワインハウス》 2018|機械編み


《ナポレオン・ダイナマイトとキップ・ダイナマイト(ナポレオン・ダイナマイト)》 2018|機械編み


《ジェネシス・P・オリッジ》 2016|機械編み

■KNIT GANG COUNCIL

メディコム・トイとのコラボレーション・ブランド


【The Shining】CREW NECK SWEATER 'TWINS'/KNIT GANG COUNCIL


【A CLOCKWORK ORANGE】CREW NECK SWEATER 'ALEX'/KNIT GANG COUNCIL


【JOY DIVISION】 CREW NECK SWEATER "UNKNOWN PLEASURES"/KNIT GANG COUNCIL


【DEATH DISCO】 CREW NECK SWEATER /KNIT GANG COUNCIL


[HAJIME SORAYAMA] CREW NECK SWEATER “SEXY ROBOT”/KNIT GANG COUNCIL

■岡村靖幸 2017年公式ツアーグッズ


■GAVIAL(中村達也 ex.BLANKEY JET CITY)公式ニット


■プレタポルテ☆堀ノ内

見た目のクセは強いけど実用性は意外に高いニットバッグのシリーズ。
A4が縦にスッポリ収まる。肩掛け可能。裏地付き


肉ニットバッグ/縦35cm×幅32cm 持ち手60cm ¥12,000(税込)


クラウス・ノミのニットバッグ/縦35cm×幅32cm 持ち手60cm ¥13,500(税込)※缶バッジつき


スー・キャットウーマンのニットバッグ/縦35cm×幅32cm 持ち手60cm ¥12,800(税込)

☆ROADSIDERS' weekly読者さま限定特典
バッグをお買い上げいただいた方に編み物☆堀ノ内の特製ステッカーをお付けします!
ご購入のさいSHOPの備考欄に「ROADSIDERS' weekly読者です」とお書きください。


YKOYKO(ヨコヨコ aka タカハシユキオ)さん
に描いていただいたビック◯マン・シール風キラキラステッカー


ミラーヤンキーステッカー

※お買い上げ1点につき1枚。
どちらが付いてくるかはお楽しみ!

編み物☆堀ノ内SHOP
https://amimono-horinouchi.com/


◎次号からは、編み物☆堀ノ内に肖像編み物をオーダーされたお客様のインタビュー。来週4月14日(水)配信号は手塚るみ子さん。お父様の手塚治虫先生を編みました! プレッシャーまじ半端なかったです…。

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ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

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旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
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捨てられないTシャツ

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あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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