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バックナンバー:2022年06月08日 配信号 収録

art クイーン・オブ・バッドアート降臨! 後編


〈おしゃれをしているエレファントマン〉

先週号「クイーン・オブ・バッドアート降臨! 前編」で紹介した新開のり子さん。お母さん、お姉さんとともに5月3日から8日まで世田谷美術館区民ギャラリーで開いたグループ展「女系家族 パート3」の様子を先週はお見せしたが、今週はいよいよ本編! 新開のり子さんのビザールな鉛筆ドローイング世界へとお連れする。

新開のり子は1972年東京都港区生まれ、今年50歳。長く暮らす世田谷区内のご自宅に伺い、お話を聞くことができた。


新開のり子さん、自室にて

小さいころから新聞に落書きしたりするのが好きでした。広告の写真の男性を女性の顔にするとか、髪型を聖飢魔IIにしちゃうとか。学校でも、友だちの似顔絵を描いて受けたりして。でもその程度です。

高校を卒業したあと、デザイン専門学校のヴァンタンに入学して、1年目はグラフィックキャラクター、そのあとエディトリアル・デザインを専攻するんですが、それもデザインで身を立てる!みたいな志ではなくて、なんか楽しそうだな~くらいの気持ちだったんです。


1歳のころ、七五三の姉と親戚の家の前で


12歳、劇団いろはに応募した写真。自分からではなく父の希望で、小学校高学年から中学生まで劇団いろはに所属していた。オーディションには落ち続け、出演はエキストラのみ。「金八先生」では屋上でバドミントン、羽賀研二と本田美奈子の「微熱マイラブ」など、まったく芽が出ず3年間で退団する。

なので勉強より遊んでるほうが忙しくて……技術はぜんぜん身につかなくて、絵もヘタなままでした。けっきょく学んだことを活かせずに、普通の会社に就職したんです。最初はやっぱり働くならデザイン系かなと思って、いちどバッグとか靴をデザインする会社を受けたんですが、面接で「馬と神社の絵を描いてください」と言われて、しかたなく描いたら呆れられちゃって。面接官に「あなたこれ、自分で何点だと思いますか」って聞かれて、ほんとは零点だと思ったけど「20点です……」「ですよね、ハイもうお帰りください」って。それから絵を描くのがほんとうにイヤになっちゃった。私に描かれる絵が気の毒になったというか。


19歳、このころ誘拐された。自宅の近所でクルマに乗った男に声をかけられ、言葉巧みにシートに座らせられてそのまま発進。夜中に延々ドライブの末に湘南まで連れていかれ、さらに高速道路に乗って御殿場あたりのサービスエリアで男が仮眠した隙にクルマを降りて逃げ出す。駐車中のクルマの窓を叩いて「助けてください!」と懇願するがだれも助けてくれず、やむを得ず高速の反対車線の道路端を全力疾走。通りかかったクルマに乗せてもらい、朝になって無事に家にたどり着いた。さいわいなにもされなかったが、それから外に出るのが怖くて1年間近く引きこもっていた。小さいころから見知らぬおじさんやお兄さんに声をかけられ、怖い思いを幾度も経験してきたという。

就職したのは求人誌の会社で事務的な仕事だったんですけど、もちろんおもしろくはないので……実は私、これまで何十社もいろんな会社を転々としてるんです。最初のうちは転職も前向きに「次はこれをやってみよう!」とか思うんですけど、ちょっとやって2週間で辞めちゃうとか。あるていど、1週間くらいは我慢するけど(笑)。

転職の原因は人間関係でこころが傷んだり、セクハラやパワハラもあったり。ま、いちおう次を見つけてから辞めるんですけど。けっきょく「やだ!」って思うと、どんどん次に行きたくなるんですね。そのころはいまより就職状況も楽だったろうし。それからいちど「そろそろ腰を落ち着けんと」と思って、ある会社に10年くらいいて、それからいまの会社が7年くらい続いてます。ふつうの事務職ですけど。


30代、会社員時代

[新開のり子さんの華麗なる職歴リスト(思い出せたぶん)]

アルバイト編:

ファミリーレストラン
ガソリンスタンド
化粧品テレアポ
郵便局(夏のアルバイト)
ケーキ屋
パン屋
ファストフード
半導体
ドラッグストア
讃岐うどん
サーティーワン
居酒屋
コンビニ
別のコンビニ
広告代理店(派遣)
製造業(派遣)
弁当屋
デザイン事務所
和食店(仲居さん)
アクセサリーショップ
歯医者
不動産屋(クビになる)
洋服のタグづけ
印刷屋
ホテル内和食店
別のガソリンスタンド
etc.

就職編:

自動販売機事務
求人誌
半導体
空気調査
チェーン飲食店
企画会社
広告代理店(ストーカー被害により退社)
広告代理店
大気調査(ストーカー被害が半年続く)
版下制作会社
浄水器
エステ(エステティシャン&脱毛)
看板制作企画会社
化粧品会社(10年)
TV制作会社(7年~現在に至る)


〈母〉第4回宮本三郎記念デッサン大賞 鴻池朋子賞受賞

いまみたいに絵を描くようになったきっかけは、5年前の宮本三郎のデッサン大賞展です(先週号参照:2017年第4回 宮本三郎記念デッサン大賞で鴻池朋子賞を受賞)。応募したきっかけは姉から「世田谷美術館でコンペがあるよ」って教えられたんですが、絵を描くのは子どものころのイタズラ書き以来で……あと就活の面接の「馬と神社」もあったけど(笑)。なにを描いたらいいかもまったくわからなかったときに、お母さんが犬を抱いてる写真があって、「あ、これは死ぬまで目に焼き付けておかないと」と思いついて、これを描こうとなったんです。

そのとき出したのは2枚で、ひとつが母と犬を描いたもの、もうひとつが父の絵でした。それで母のほうが受賞して、「え~~~、これが!!!」と自分がまずびっくりしました。初めての表舞台ですし、記念品もいただいて、なんだか自分のことじゃないような。公募展にはサイズも重要らしいのに、なんにも知らなくて画用紙も手元にあった小さいのに描いただけだったり。受かるなんて思ってもみなかったから。落ちたひとが授賞式でけっこう怒ってたり、ちょっと嫌味を言ってくるひともいて「すいません、すいません」って謝ったりして……でもこの受賞をお守りにして、これからイヤなことがあっても我慢しようと思ったんです。


それから絵を描きだして、翌年に自由が丘のDIGINNER GALLERYという小さな画廊で女系家族展の第1回になりました。姉から家族展やろうと言われて、もうほんとに汗だらだらで、毎日冷や汗かいて。姉はプロの現代美術家だし、母も絵を習い始めて30年とかで作品もたくさんあったんですが、私はなにもかも初めてだったので。展覧会の前は仕事が終わって家に帰ったあと、たとえば8時から12時までとか時間を決めて、必死に描いてましたね。大変だったけど、なんだか不思議な感覚でもあって。それまで母と姉の制作をずっと見ていたのに刺激はまったく受けてなくて、「あ~描いてるな~」くらいの感じだったから。




2019年には世田谷美術館区民ギャラリーで「女系家族 パート2」、2020年には第1回女系家族展と同じDIGINNER GALLERYで、初個展「カオス ドローイング」を開かせてもらったんです。


自室の机に向かい制作中の新開のり子さん。畳に正座!






「カオス・ドローイング」の展示の大半は女系家族展で出した作品でしたが、作品数が足りなかったので、急いでネコとか、カメの絵を描きました。カメは前に飼ってたんですが、描いてるうちに2匹がくっついちゃって。それでギャラリーのひとに「すいません描き直します」って言ったら、「もういいですこれで」って(笑)。あとから見るとけっこう変なところがある絵がたくさんあるので、「家に持って帰って直します」って言うんだけど、そのままでいいですって言ってくれるんです。


〈ホシガメ〉

そうやって展覧会を重ねるうちに、コンスタントに描き続けなくちゃならないと思うようになって、それでTwitterとInstagramに定期的にアップするのを始めました。SNSに上げてるのはだいたい芸能人、時事ネタ、お亡くなりになったひと。いかに短時間で仕上げるかという練習を兼ねて。いつも描くのが遅くて、ものすごく時間がかかっちゃうので、なるべく早く描くようにこころがけて。だって亡くなって1週間も2週間も経って上げても、しょうがないですし。けっこうむらがあるんですけど、だいたい2日に一枚くらい上げるようにがんばってます。見てもらえてるんだって思うと、気持ちもそうだし、鉛筆にも力が入るし。鉛筆に思いを乗せるというか(笑)。


〈海の音〉第9回武井武雄記念日本童画大賞・応募作品


〈遠い記憶〉第9回武井武雄記念日本童画大賞・応募作品


SNS投稿作品を描くためのアイデアリスト


描いてるのはずっと鉛筆です。色をつけるも好きなので、ちょっと試してみたんですけど、ほんとうにひどくて、これは……と自分で引いたというか。それからはずっと鉛筆と消しゴムと練り消しで。描く題材はたいてい身近な物で、特に基準はないんです。なんかいいな、と思ったものを描くだけ。写真を見て描くのも好きですし。写ってるなかで意外な表情をしているだれかだったり、落ちてる意外な物だったり、だれもいいと思わないものを自分で見つけるのが好きなんですね。


5歳、友だちと一緒に(右端が新開さん)


〈友だちと〉


愛用の筆箱




8B、12Bといった鉛筆が揃う


手元にはペットボトルの口に填める鉛筆削り、削りカスを貯めておく


貯まった削りカスを貼り込めてつくった作品〈ひまわり〉






(部分)

姉が私に絵を勧めてくれたのは、子どものころに絵が好きだったのを覚えていて「嫌いなひととか、きょうあったイヤなこととか描いてみなよ」って言われて描いてみたら、けっこうおもしろがってくれて、それで宮本三郎賞に応募することになったんですね。姉に言わせると、私の絵はデッサン力とかじゃなくて、本人は見たまま描いてるつもりだけど似てない(笑)。でも部分的に似てる。顔はすごく細かいのに手がてきとうだったりもするし。そういうのがおもしろいんだそうです。


百円ショップで買ったまな板に描いたシリーズ


〈鳩に囲まれて〉


〈虎〉菓子箱のフタに描かれている


でも絵を描くようになって、この5年間でほんとに生活一変しました。こんなに熱中したことはいままでなかったから。私、むかしすごく浪費癖があったんです。特に買い物依存症でもブランド物収集でもなかったけど、借金まで抱えるようになっちゃって。それで家族にとっては心配な存在だったんですけど、絵を描いてるうちに浪費もいつのまにか治まってたし、夜遊びしないで、うちでひとりでずっと絵を描いていられるようになった。ほんとに絵があってよかったな~って家族も安堵してます(笑)。


食べもの日記








「私なんかを取材していただくなんて」と、ずっと恐縮しながらインタビューに付き合ってくれた新開のり子さん。たくさん職場を移ってきたのもそうかもしれないけれど、これまでの人生に成功体験というものがなくて、自分に自信を持てなかったのが、絵を描いて見てもらえるようになって、評価されていると実感できたことがなによりうれしいと教えてくれた。

鉛筆が一本 鉛筆が一本
ぼくのポケットに
鉛筆が一本 鉛筆が一本
ぼくのこころに

という坂本九の歌がむかしあった。お話の終わりごろ、のり子さんが「鉛筆が好きなのは、私の人生と重なってるからなんです」と呟くので聞き返してみると――「鉛筆って、消して直せるでしょ。時間をかけたらきれいに直せる。日々のこと、いままでのことって、消しても直らないことが私には多かったから。やり直せない人生を消しゴムで消して、やり直してる気持ちなんです」。

先週の記事で僕は新開さんの絵をザ・シャグズの音楽にたとえさせてもらった。記事中にも触れた2018年11月21日号の、ボストンのバッドアート美術館東京展を紹介したなかで、バッドアートの魅力をこんなふうに書いてみた。自分の絵を「バッドアート」と呼ばれてご本人が喜んでくれるか心配だけど、僕が思うバッドアートの魅力は、僕にとってのアーティスト新開のり子の魔力と完璧に重なっている――

バッド・アートの魅力とはなんなのだろう。それはアウトサイダー・アートのように、正統な美術の枠を超えた美や、創作の無垢な情熱を教えてくれるものではない。ロウブロウ・アートのように、音楽や漫画やゲームと共有できるようなポピュラー・カルチャーの興奮をかき立ててくれるものでもない。バッド・アートにあるのはいかなる意味の「感動」でもなく、むしろ「当惑」なのだ。

音楽で言えば、それは理性を駆使した現代音楽でもなく、破壊衝動に満ちたパンクでも、あえて感覚を逆なでするノイズ・ミュージックでもない。僕が瞬間的に思うのはシャグズの、あの本人たちは大まじめに演奏しているだけなのに、どこかが致命的におかしくて、音が重なれば重なるほどその音楽が狂気に向かってしまう……そういう種類の当惑体験だ。そして、時として僕らは感動よりも、そのような当惑――どうしていいかわからない宙ぶらりんの感覚――にこそ、深く揺り動かされたりもする。
(2018年の記事より)


〈ザ・シャグズ〉先週の記事を読んで描いてくれたできたての新作!

新開のり子さんの次の展覧会はまだ決まってないけれど、SNSでは頻繁に新作がアップされている。そちらをフォローしつつ、原画と出会える機会を待っていてもらえたらうれしい。

https://twitter.com/noriko_shinkai
https://instagram.com/noriko_shinkai/

[新開のり子 誌上展覧会]


〈カフェで〉


〈私の赤ちゃんのころ〉


〈母の昔〉


〈父〉


〈公園でおばあちゃんと一緒〉


〈イルカ〉


〈正月〉


〈幼少のころ〉


〈犬と人形〉


〈熱海〉


〈トラ〉


〈ゴリラ〉


〈ネコA〉


〈犬A〉


〈オルゴールを見つめるネコ〉


〈ネコ雨の日〉


〈獅子舞〉


〈ネコさん〉


〈ネコB〉


〈海辺で遊ぶ〉


〈愛犬を抱く〉


〈おめで鯛〉


〈ネコとバレリーナ〉


〈犬B〉


〈ネコC〉


〈犬C〉


〈かわいい犬〉


〈クリスマス〉


〈お腹を向けている〉


〈人形の美容院 in New York〉


〈床屋 in New York〉


〈ノイエギャラリー in New York〉


〈ボーイズ〉


〈友だちと〉


〈入学式〉


〈ハニカミ〉


〈抱っこして〉


〈ガールズ〉


〈石原兄弟〉


〈ウィンナーコーヒー in 神保町〉


〈カキフライ in 神保町〉


〈親友マーシャル〉


〈舟に乗る〉


〈マーシャルと一緒〉


〈社長たち〉


〈水戸黄門〉


〈吉田栄作〉


〈ドラマ〉


〈市川さんの家族〉


〈三船敏郎〉


〈マイケル・ジャクソン〉


〈石原親子〉


〈山口百恵〉


〈長渕剛〉


〈トシちゃん〉


〈少年隊〉


〈東京オリンピック柔道〉


〈相棒〉


〈太陽に吠えろ〉


〈西部警察〉


〈寺内貫太郎一家〉


〈山崎育三郎〉


〈西部警察峰竜太〉


〈ロックの日〉


〈音楽家〉


〈マリリン・モンロー〉


〈人気の占い師〉


〈文豪たち〉


〈音楽家〉


〈ムツゴロウと仲間たち〉


〈貴乃花〉


〈滝川クリステル〉


〈小泉進次郎〉


〈ロイヤルカップル〉


〈アイドルカップルA〉


〈アイドルカップルB〉


〈井上陽水〉


〈聖子ちゃん〉


〈阿部寛〉


〈田村正和〉


〈郷ひろみ〉


〈ヤング千葉真一〉


〈千葉真一〉


〈宍戸錠〉


〈遠山の金さん〉


〈布袋寅泰〉


〈坂上忍と仲間たち〉


〈ミランダ・カー〉


〈泣いているマリリン・モンロー〉


〈宮本浩次〉


〈笑う犬〉


〈チワワ〉


〈ドール〉


〈ワラビーと父〉

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ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

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かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
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ROADSIDE LIBRARY vol.002
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新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
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1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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