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上海スタイル

ニューヨークを抜いて、いまや世界でいちばん日本人がたくさん住む外国の都市になった上海。でも僕らは、こんなに日本に近いメガ・シティの、ほんとうの暮らしを、ほんとうの居心地良さを、まったく知らなかった。

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畜生道

犬は拾うかもらうもの、エサは家族の残り物、飼うのは庭の犬小屋で、名前はポチかチビか、シロかクロ。そういうふうに日本人は犬とつきあい、共存してきた。何百年も。 犬業界では絶滅危惧犬種というのが問題になっているけれど、ほんとうにいま絶滅の危機に瀕しているのは、昔ながらの“畜生道”に則って飼われてきた「ポチ」のほうだ。

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ほめられもせず、苦にもされず・・・タイの地域犬

バンコクに着いた旅行者がまず驚くのは人の多さ・・じゃなくて犬の多さかもしれない。 ほんとうは広いはずのメインストリートに屋台がびっしり並んで、ただでさえ狭くなっている上に、歩道の真ん中に大きな犬がのっそり寝ていたりする。気をつけないと踏みつけそうだが、だれもが平然と、またいだりよけたり。犬もまた通行人なんか気にしないで寝ころんだり、腹をかいたりしてる。死んでるんじゃないかと思う犬もいるが、近寄ってみると息をしているから、きっと安眠してるだけなのだろう。

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ギルバート&ジョージからメイプルソープまで、おもしろうてやがて哀しき・・・

いま東京・池袋のセゾン美術館ではギルバート&ジョージの大回顧展が開催中である。デビュー以来、彼らが一貫して掲げてきたモットーを引いて『ART for ALL 1971-1996』と題されたこの展覧会は、1970年代以降の現代美術シーンでもっとも重要な作家のひとり(ひと組)でありながら、いままで日本ではほとんど接することのできなかった・・・

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そして夜のオプションは『スナック来夢来人』で!

『西の雅 常盤』のすぐ裏には、おそらく湯田温泉でも最強のスナック『来夢来人』があります。2008年から2010年にかけて、『アサヒカメラ』誌上で『今夜も来夢来人で』という連載をしていたのですが、それは「全国各地の、来夢来人という名前のスナックを訪ね歩く」という、すばらしくおいしい(笑)お仕事でした。

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見本市だよ人生は:レジャー&サービス産業展2007

露出度満点のキャンギャル(キャンペーン・ガール)とカメコ(カメラ小僧)は、愛憎半ばする結合双生児として、見本市会場に華(?)を添える存在である。師も走る12月のある平日、東京有明のビッグサイトでは、キャンギャル軍団はこれでもかと魅力を振りまいているのに、カメコがひとりもいない、異例の光景が展開していた。あー、もったいないというか、ちょっと寂しい。

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素晴らしくバカげたアイデア

「人生には、ものすごくバカげて、でも魅力的なことが目の前にあらわれる瞬間がある」と彼は書いている。大多数の人間はそれを、単なる思いつきとして頭の中からふるい落としていくのだが、中にはそのバカげたアイデアに飛び込んでしまう人間がいる。その結果は最高だったり最低だったりするが、とりあえず飛び込んでしまえる人間は、ある意味ハッピーだ。自分もそういうハッピーな人間でありたいと、トニーはついに冷蔵庫を買い、アイルランド一周ヒッチハイクに旅立ってしまうのだ。

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上海スタイル

現地の出版社に勤務する吉井忍さんが、やはり出版社につとめる編集者の夫とふたりで暮らす新婚の部屋は、フランス租界の中心部にあった。戦前に中国人のビジネスマンが、フランス人ではなく中国人のために建てた共同住宅で、革命後に彼は家族とともに香港へ逃げてしまったものの、「最近里帰りして、ここを訪ねてきた」のだそう。いったい、どんな思いが亡命老人のこころに去来しただろうか。

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あの三角のとこ

京都に住んでいたころ、安売り屋で買ったママチャリをキコキコ漕いで、本屋やレコード屋や観光客の来ないお寺を巡るのが楽しい日課だった。疲れるとお菓子屋(これが京都には異常にたくさんある)かたこ焼き屋に寄って、包んでもらったのをその辺の公園か川沿いの土手で食べる。そのうち買い食いシーンにはかなり詳しくなったが、わかったのは「どこでなにを買うか」ではなく、「どこで食うか」がいちばん大事なポイントだということだった。味覚に訴えるのは食物そのものだけど、五感を満足させてくれるのは食べる環境なのだ。

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らせん階段一代記

関西には天下一品があって、名古屋にはスガキヤがあって、東京には富士そばがある。24時間営業、いつでも熱いそばが食べられて、シンプルなかけそばからコロッケ、春菊天までトッピングもバラエティ豊かなメニュー。忙しいさなかの昼飯から、酔っぱらったあとの夜食まで、あらゆるニーズに対応してくれる富士そばは、山手線内の東京都心部を中心に現在66店舗を展開中。実はかなり「東京の味」を代表する存在なのだ。

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演歌歌手のオン・ザ・ロード

もともと彼女を取材した初めての機会は「カラオケファン」という月刊誌で、そのあとエスクァイア誌のために、営業の旅を追いかけて再取材、さらに去年出版した『演歌よ今夜も有難う』(平凡社刊)でも後書きに書き足しました。そして今回、写真をいっぱい足してもういちど・・しつこいけど・・それだけすごいひとが、ぜんぜん知名度ないままにがんばってるってことで、コラアゲンさんとペアで読んでいただけたらうれしいです。こういうひとたちが、ほんとは地球を回してるんだと信じつつ--。

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ついでに新開地にも足をのばしてみれば

かつては神戸随一の繁華街として栄えた湊川新開地商店街。昼間からシャッターを閉める商店が目立つ中で、歩道まで商品をあふれさせているのが松野文具店だ。 名前こそ文房具屋だが、店先にはカレンダーや扇子といった少々毛色のちがう商品ばかりが、商店というより屋台が壁に埋まった趣の極小空間にびっしり詰め込まれ、その真ん中にからだを丸めて座っているのが、ご主人の松野宏三さん。

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ニッポンの「性」を変えた目黒エンペラー

日本におけるモーテル第一号といわれる『モテル北陸』が、石川県加賀市にオープンしたのは1963年のこと。68年にはそれまでの簡素な造りから、贅沢な設備とインテリアをウリにした『モテル京浜』が開業、モーテルからラブホテル時代への架け橋となったが(いまも横浜新道脇にホテルニュー京浜として営業中)、それまでの暗いイメージを払拭する決定打となったのが、1973年に開業した『目黒エンペラー』である。

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オレサマ商店建築:ホストクラブ愛

いまだに電飾ギラギラ、そこだけエレクトリック・サーカスのごとく激しい夜のオーラを放っているのが、愛田武社長ひきいる愛田観光グループ。現存最古の老舗ホストクラブ『愛』本店を中心に『ニュー愛』、パブ『カサノバ』、おなべBAR『マリリン』など数店舗を歌舞伎町の一角に集中経営する愛田社長は、この町でもっとも知られた顔である。

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Between C & D

カネはないが元気だけはありあまってる、そういうアーティストがおもに住んでいたのが、ニューヨークではダウンタウン・マンハッタンの東側、ロウアー・イーストサイドと呼ばれる地域だった。ご承知のようにマンハッタンは東から縦に1、2,3と順番にアヴェニューが走っているが、ロウアー・イーストサイドにはファースト・アヴェニューのさらに東側にアヴェニューA、B、C、Dという短いアヴェニューがある。

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明暗分かれるケルンのふたつのミュージアム

ベルリンにお株を奪われるまでは、ドイツ現代美術シーンの中心だったケルン。いまケルンを訪れる美術、建築ファンが真っ先に向かうのは、完成まで600年かかった奇跡のケルン大聖堂・・・じゃなくて、そのすぐそばに2008年に完成した通称「コロンバ」―― 聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館だろう。

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ゴシックホラー喫茶・伴天連

広島県東広島市西条。県道32号線から「広島カントリークラブ西条コース」の指示看板を頼りに脇道に入り、コース内を通り抜けて裏山へと登っていく。人家も途絶え、こんなところに・・と不安が募るころ、カーブした道の先に「伴天連」と大書された柱が。ああ、やっと見つかった。これが広島エリアで名高い「ゴシックホラー喫茶」伴天連(バテレン)なのだ。いままでテレビ番組などで何度も取り上げられた、ある意味地元きっての有名店である。

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70歳のマダムが支えつづけるロック・スピリット

歌舞伎町から大ガードをくぐって西口側に出る靖国通りと、いまは大江戸線が地下を走る小滝橋通りの交差点から、北側に広がる新宿7丁目あたり。“新宿”という語感からはちょっとはずれた地味なエリアである。ここが超のつくレア盤からブートレッグ(海賊版)まで網羅した店が一時は50軒以上も林立した、世界一密度の濃いレコードCD屋街でありつづけていることは、一部の音楽ファン以外にあまり知られていない。そういうマニアックなエリアの中で、日本はもとより世界のロック・ファンにとって聖地として輝くのが、新宿レコードである。

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タイガーバーム・ガーデンズ(ハウパー・ヴィラ/虎豹別墅)

胡文虎(Aw Boon How 1882-1954)と胡文豹(Aw Boo Par 1888~1944)の兄弟が築いた万能軟膏タイガーバーム帝国。ミャンマー(ビルマ)のヤンゴンで華僑の漢方薬屋に生まれたふたりの兄弟が、タイガーバーム(萬金油)の発明で億万長者にのし上がったのはすでに戦前のことだった。1926年には拠点をシンガポールに移し、32年に香港進出。豊富な資金をもとに「伝統的な中国の神話や道教の教えを説く,啓蒙の場所」として35年にタイガーバーム・ガーデン香港を開き、2年後の37年にはシンガポールにも同様のガーデンをオープンさせた。

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人に見られたくない我が故郷

今週のアーカイブは2005年にミリオン出版から一瞬だけ出版された『実話ブルース銀ちゃん』って・・これ、ほんとに雑誌名なんですから。いかにも3号雑誌っぽいネーミングだけど、実際はたしか1号で終わってしまったのでは(ちがったらごめんなさい!)。この雑誌で連載(といっても1回だけ・・涙)したのが、「帰りたくない故郷に、むりやり帰省してもらい、なんにもない町を案内してもらう」という無茶な企画。もしかして長期連載にでもなってたら、いったいどうなったんでしょう・・。しかしいまや、この池田町でさえ、2006年に合併して町名消失、三好市になっちゃいました・・。

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スナックの灯よ 闇夜を照らせ

3月11日から3ヶ月近く経った6月になっても、仙台塩釜港にほど近い多賀城市の飲み屋街は、がれきだらけだった。『さざん花』『ハニー』『酔族館』・・ぐちゃぐちゃになったドアや看板の先に、ひとつだけ灯りがついた飲食雑居ビルが見えた。がれきが積み上げられたエントランスを抜け、止まったままのエレベーターの脇の非常階段を2階まで上がってみると、一軒のスナックから楽しそうなカラオケの音が漏れている。そっとドアを開けてみると、若いママさんと、さらに若い女の子たちと、お客さんたちで店内はほぼ満員。いい感じに盛り上がってる! 少しずつ詰めてもらって空いた席に座って、とりあえずウーロンハイをぐびり。被災地を歩き回ってカチカチになっていたこころのしこりが、なんだか一気に溶けていくような気がした・・。

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國華という奇跡

現代美術がどれだけわかりにくいか、どこまで低俗に、グロテスクに堕ちられるかを競うゲームのようになりつつあるいっぽうで、いま古典美術に新鮮な関心を向ける人が増えている。記録的な成功を収めた若冲大回顧展でも、京都国立博物館を取り巻いて長い列を作ったのは、旧来の美術愛好家とはずいぶんちがう雰囲気の人たちが多かった。考えてみれば東京や京都の博物館にしても、名品を伝える寺社にしても、ずっと昔からそこにあったわけで、単にこちらの足が向かなかっただけのこと。「遠くの現代より近くの古典」、というのは少々おかしな言い方だが、すぐそばにありすぎて気がつかなかった「美」が、急に霧が晴れるように姿をあらわす、そんなときがあるようだ。

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紫峰人形美術館

秋祭りの華ともいうべき菊人形。色とりどりの菊花を全身に挿した等身大の人形が、民話や歌舞伎の名場面を演じ出す伝統的な見世物だ。名古屋中心部から電車でも車でも1時間足らず、愛知県三河地方の高浜市吉浜は、いまでこそトヨタ関連の工場群と郊外型住宅が混在するサバービア・タウンだが、実はいまでも全国の祭りを飾る菊人形を制作する職人の7割を出している人形の町でもある。

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須坂の夜は、やっぱりスナック来夢来人!

信州中野生まれの小林千枝子ママは、須坂の会社で事務員として働いたあと、何軒かのスナック勤めを経て、平成元年に自分の店を出した。「主婦しながらだったので、朝は主人と子供たちを送り出して、昼はパート、夜にいちど家に帰って、ご飯作ったりしたあと、夜11時から朝2時ぐらいまでスナックで働いてましたからねえ、よくからだが持ったもんです」と当時を思い出して笑っているが、子育てと夜の仕事の両立は、さぞや大変だったろう。

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平田一式飾:山陰のアルチンボルドたち

島根県平田市・・・ああ、あそこねとうなずく人は少ないだろう。出雲大社からクルマで30分ほど。シジミで有名な宍道湖そばにある小さな町である。毎年7月19日から3日間、平田天満宮の祭礼にあわせて、市内の数ヶ所に不思議なオブジェが出現する。陶器や仏具をはじめとするさまざまな日用品を組み合わせて作られる、「一式飾」(いっしきかざり)と呼ばれる飾り物である。陶器なら陶器だけ、仏具なら仏具だけと、1種類の素材だけを使って組み上げられることから「一式飾」と名がついたこの行事、江戸時代は寛政5年(1793)年に平田町の住人であった表具師・桔梗屋十兵衛が、茶器一式で大黒天像を造って天満宮に奉納したのを始まりとする。すでに210年以上の歴史を持つ伝統行事なのだ。

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渋谷のスカンジナビアン・ナイト

昼間もひどいけど、夜ともなればさらに騒々しい若者に占拠され、オトナにはなかなか近寄りがたい最近の渋谷界隈。駅から青山方向に宮益坂をあがったすぐ裏手に、古びたスナック・ビルが隠れていることを知るひとは少ない。そのビルの3階、正確に言えば3階と4階のあいだの踊り場に入口がある、まこと知る人ぞ知る存在の店、それが『パブ・スコーネ』である。「SKÅNE」と書いて「スコーネ」と読ませるこの店は、スウェーデン直送のチーズをつまみに、スウェーデンを代表する蒸留酒であるアクアヴィットを飲む、スウェーデンのスコーネ地方そのままの店。しかも店内のインテリアは完璧に北欧デザイン。しかもお酒を注いだり、チーズを削ってくれるのは北欧美人。しかも営業スタイルはカラオケ・スナック! 渋谷でスウェーデンでカラオケで、というワケのわからないミックスが、異様に居心地いい隠れ名店だ。

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上海スタイル:丁沛華&左君

上海市中心部から、地下鉄で15分ほど。外国人観光客ゼロの、四角いアパートが並ぶ住宅街に新居を構えているのが、丁沛華(Ding Shihua=ディン・ペイフォア)と左君(Zuo Jun=ズオ・ジュン)のふたり。おたがい26歳、2年前に結婚したばかりで、いまだにハネムーンの雰囲気がむっちり立ちこめる、ラブリーな住空間だ。夫のディンは広告会社でグラフィック・デザイナーとして働き、妻のズオはイラストレーター兼漫画家。ある経済雑誌に連載中の、むかし懐かし中国製品のイラスト・エッセイは、たとえばもともと日本人が作った企業だったのが、革命以降に中国のブランドになった永久印の自転車とか、中国人ならだれしもホロリとくるチョイスで、人気ページなのだとか。

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夜をひらく 女の市場

ハリウッド映画のはずなのに、なぜかエンディングで日本の歌手の“テーマソング”が流れたり、ストーリーとなんの関係もない「挿入歌」がドラマを盛り下げたり。最近の広告代理店主導の映画やテレビ・ドラマと歌の関係って、すごく不純だ。その昔、「歌謡映画」というジャンルがあった。だいたいまず曲が大流行して、それにあわせて急造されたB級映画ではあるが、なにより曲の歌詞と映画のストーリーがちゃんと連動していたし、歌手本人が映画にも登場して、キャバレーのシーンとかで歌っていた。いま見直せば、あたかも1時間30分のミュージック・ビデオのように、それは音楽と映像の幸福な結合だった。

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建築家の首まわり

板前に鉢巻きがあるように、消防士に銀色の防火服があるように、建築家にはスタンドカラーのシャツがある。ちょっぴりソフトめの黒いスーツに、白のスタンドカラー・シャツ。この奇妙な組み合わせが、日本における建築家の定番ファッションとなってから久しい。実際スタンドカラーのシャツなんて、いまや建築家のほかは牧師とピーター・バラカン以外に、愛好者を見つけるのは難しいだろう。

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失われたドキュメンタリー

気持ちよくなる音楽はたくさんあるけれど、深く考え込ませてくれる音にはなかなか出会わない。最近復刻された『ドキュメント日本の放浪芸』という、全4箱CD22枚組の「音のドキュメンタリー」が、いま目の前にある。もともと1970年から77年にかけてLPレコード・シリーズとして発売されたもので、俳優の小沢昭一氏が訪ね歩いた日本各地の大道・門付けの諸芸能を記録した貴重な録音である。当時中学から高校生活を送っていた僕は、高価なLPセットに手が出ず、万引きするにも箱が大きすぎて、悔しい思いをしていた。いま30年近くたって復刻される奇跡に、驚喜一括購入したことは言うまでもない。

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たまたま少数派vsぬるま湯少数派

僕はしがない編集者だ。現代美術やデザインの本を作っているが、どれも初版2000部、3000部という侘びしいスケールで、印税生活など夢のまた夢。渡辺淳一のような高額納税者になる確率など、一生ゼロのままだろう。そういう事実からすれば、僕はたしかに「少数派」ということになる。でも、正直に言ってしまうと、少数派なんてキライだ。っていうか、別に好きで少数派やってるわけじゃない。メジャーになりたいけど、残念ながら本がそこまで売れない、ただそれだけのことだ。

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旅館は君なんか泊めたくないのだ――日本温泉旅館七不思議

温泉旅館、と一語にされても困る。「温泉」と「旅館」。この二者はまったく別物である。少なくとも僕にとっては。何年間も職業として日本全国を旅してきた立場から言わせてもらえば、温泉とはまことによいものだが、旅館とはしばしば嫌悪すべきものにほかならない。なぜかといえば、1 予約なしのひとり旅では、まず泊めてもらえない。2 メシがまずい。あるいはよけいな皿が多すぎたり、時間が早すぎる。3 高すぎる。旅なんてのは、本来ひとりで、予定など決めずに行くものだろう。気に入ったところがあればそこに泊まり、なければ車や電車で先へ行く。旅館とはその晩、からだとこころを休める場であるはずだ。「名旅館に泊まる楽しみ」みたいのもあるだろうが、それは例外的な趣味であって、旅館そのものが目的になってしまうのは、ちょっと本末転倒な気がする。

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食の無限天国「聚楽ホテル」で煩悩全開!

夕食はバイキングでお腹いっぱい。ひと風呂浴びて、小腹が空いたら餅つき大会のお餅をパクリ。カラオケ絶唱の後は締めの生ビールとラーメンをペロリ。巨大観光温泉ホテルで煩悩を解き放つ! 旅館の廊下を芸者衆が忙しげに行き交い、浴衣姿に下駄をカランコロンさせて外に出れば、いい匂いの女の人たちが袖を引き・・・飯坂温泉はかつて、東北屈指のオヤジ天国だった。東北新幹線が開通して、東京駅から2時間弱、ものすごく便利になった現在はといえば・・・はっきり言って、かなり寂れた温泉街であります。

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ROADSIDE FASHION x eastern youth

せっかくイースタンユースのことを書いたので、今回のアーカイヴは2011年に『SENSE』というメンズファッション誌に掲載したお話を。この雑誌では半年ほど『ROADSIDE FASHION』という連載をしていて、「うちのブランドイメージにふさわしくない」とスポンサーすじに怒られて辞めるまで、7回の記事をつくったのだけれど、そのひとつがこれ。ただの古着をとんでもない値段で売る、おしゃれ古着屋は大嫌いだ。でも、ほとんどすべての商品が数百円という、ほんとうの意味での古着屋に、それも東京都内で出会って大興奮。スタイリストにお願いして山ほどの衣装を買いまくり(借りるまでもないし)、イースタンユースの3人にモデルになってもらった、珍しいファッション・ページです。お世話になった古着屋『ヴァンベール』はいまも健在、盛業中なので、東京右半分にお出での際はぜひお立ち寄りを。

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今和次郎のこと、広島のこと

ちょっと前の告知コーナーでお伝えしたように、いま広島市現代美術館では『路上と観察をめぐる表現史――考現学以後』というグループ展が開催中です。「考現学」という言葉は今和次郎が吉田謙吉らと1920年代なかばに提唱、研究を始めたジャンル。今回の展覧会は今和次郎の考現学から、戦後の赤瀬川原平や藤森照信らによる「路上観察学会」など、ふつうのひとびとの暮らしを見つめてきたアーティストや研究者たちの、観察記録を集めたユニークなグループ展です。そのなかに僕の「珍日本紀行」や大竹伸朗の作品群も含まれているのですが・・・。2月16日に美術館で開催された公開対談でもお話したように、大竹くんや僕が見てきた「路上」と、学問(あるいは学問ふう)の視線で観察されてきた「路上」にはずいぶん隔たりがあります。

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今夜も来夢来人で ~宮城県岩手山編

2年ほど前に『アサヒカメラ』で連載していた、全国各地の「来夢来人」という名前のスナックをめぐるという・・・趣味全開の連載。案の定、全国47都道府県を制覇する前に連載終了になってしまいましたが・・・涙。今回はちょうどいいので、宮城県岩手山のスナック来夢来人をご紹介します。岩手山は、仙台と石巻とちょうど正三角形の角になる山側の小さな町。駅の周囲は寒々としてるけど、店の中は貫禄ママさんと可愛いホステスさんと、いっぱいの常連さんで、とびきり暖かい居心地でした!

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今夜も来夢来人で ~ 敦賀編

読むたびに激しく旅情をかきたててくれる、平田順一さんの連載『スナックショット』。今回は石川、福井編だったので、アーカイブ・コーナーも福井県敦賀市で取材したスナック来夢来人を再録してみました。もともとは『アサヒカメラ』誌で2008年から2010年にかけて連載されたこのシリーズ、敦賀編が記念すべき第1回目だったので、イントロ付きでお送りします! しかし読み返して感慨深かったけど、この連載を始めたきっかけのひとつが、ニコンからD3という高感度に強いフルサイズ・デジカメが発売されたから。それからたった5年弱で、D3はとっくに時代遅れ・・・まだ愛用してるけど! フィルムカメラは古くてもヴィンテージになるけれど、デジカメはコンピュータと同じ、ただの時代遅れになるだけなんですねえ・・・涙。

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ヌケないハダカ

篠山ヌードとは、ヌケないヌードである。ま、そんなことない!と言い張る諸君もたくさんいるでしょうが。当代一の人気ポルノ・アクトレス、夏目ナナが丸坊主で仁王立ちになって、こっちを睨んでいる。すごいからだだな、とは思うけれど、ぜんぜん欲情しない。ホームグラウンドであるDVDでは『「超」ヤリまくり!イキまくり! 24時間!!』『Gカップ美人巨乳秘書 10連発!野獣中出し』なんて作品をリリースしまくり、「チンポおいしい! もっとチンポちょうだい! ナナに精子かけて!」などと大阪弁で絶叫しまくり、「ほぼすべての出演AVでイッてる」と公言するセックス・クイーンであった彼女。その全身からしみ出すスケベ汁を、篠山さんのカメラはきれいに拭いとってしまっている。

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スナック・ビルの人生迷路 前編

街にはスナックがあり、スナック街があり、スナック・ビルもある。上から下までずらりと店が詰まった飲食ビルは、どこの飲み屋街にも見受けられるが、たとえば新橋駅前ビルのように、上階はふつうのオフィスなり住居でありながら、階下に降りるといきなりフロア丸ごと飲み屋街、ということになると、ちょっと珍しくてウキウキしてくる。品川区五反田。駅西口を降りてすぐ、JRと東急池上線、それに目黒川がかたちづくる小さな三角形に、ロイヤルオークというビジネスホテルが建っている。外から見ればふつうの駅前ビジネスホテルだが・・・ここ、実は地下1階、1階、2階の3フロアがすべてスナック、キャバクラ、居酒屋という強力なインドア飲食街。

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スナック・ビルの人生迷路 後編

先週は五反田駅そばの「スナック・ビル」、ロイヤルオーク・ホテルをご紹介した。終戦直後の闇市が発展した五反田新開地の再開発に伴って、新築ホテルの地下1階から地上2階まで3フロアを、新開地から移転してきたスナックと居酒屋が占める、それは異様な空間だったが、同じくらい特異なスナック・ビルとして、ぜひいっしょにご紹介しておきたいのがここ「都橋商店街」である。「東京スナック飲みある記」と題していながら申し訳ないが、場所は横浜。日ノ出町と桜木町の、ふたつの駅のあいだにある都橋商店街は、大岡川の緩やかなカーブにぴったり寄り添うように、2階建ての建物自体が緩やかな弧を描いて印象的。「ハーモニカ横丁」という別名が、いかにも納得のデザインである。

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ベスト・ジュークボックス・イン・タウン

どんなに高性能のMP3プレイヤーと、ダイナミックレンジの広いヘッドフォンを組み合わせても、絶対に出せない音がある。ジュークボックスの音だ。酔っぱらった男と女の肉声に、グラスや氷がぶつる音、ドアが開くたびに流れ込んでくる通りの雑音があわさってぐちゃぐちゃになった音場を、あるときは突き刺すように、あるときは足先からじわっと包み込むように流れる、あの音。極端に重い針圧のせいで、すぐにノイズだらけになってしまうシングル盤の、あの音。そしていま東京で最高の選曲を誇るジュークボックスは、六本木の小さなバーにある。

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ホットロード ~十代の光と影~

ヤンキーといえば、ほとんど聖書といえるのが漫画『ホットロード』。これまでの販売累計700万部なのだそうだが、このほど完全実写化され、しかも和希役が能年玲奈というニュースに、ひそかに震えたひとも多いのでは(映画は8月公開)。今週のヤンキー特集に華を添えるべく! 2011年に書いた短い書評があったのを思い出したので、それも再録しておきます。映画の出来はわからないけれど、漫画原作版はいまでは電書でも読めるので便利。しかし通勤途中にキンドルで読んだりして、号泣しないように。

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ペルソナのいる役所

ここは京都府庁広報課。パソコンに集中するスタッフを見おろすように、じっと動かない女性の上半身。彼女(マネキンのほう)の名前は人見知子(ひとみ・しりこ)。亀岡市に住む32歳の主婦。性格は協調性があるが人見知り。趣味はガーデニング、オークション・・なんだか不条理演劇の舞台みたいだが、これ、実は本気(マジ)。よりよい広報活動のための、新しい取り組みだ。もともとは職員のひとりが「自治体のウェブサイトを使いやすくするためのセミナー」に参加。そこで講師から紹介されたのが、「ペルソナ手法」という聞き慣れない単語だった。

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直島の超絶スクラップ・アーティスト!

単行本に未収録の原稿をサルベージする「アーカイブ」コーナー。前にやったのはいつだったか忘れちゃうぐらい久しぶりですが、夏休み直前ということで今週は、2009年8月にこのメルマガの前に書いていたブログで紹介した、直島の小さな文房具屋の話をお送りします。ご主人の村尾さんは、2009年ですでに80歳だったので、いまごろはもうすぐ85歳になるはず。しばらくお会いしていないので、お元気だといいのですが。この休みに直島行きを計画している方は、ぜひ覗いてみてください。フェリー乗り場からも、『直島銭湯 I♥湯』からも歩いてすぐですから!

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クラブハイツ最後の夜

もはやその存在すら本メルマガ内で忘れられつつある、単行本未収録原稿墓場「アーカイブ」。久しぶりにいきます! 今回お送りするのは2009年に『エスクァイア』誌のために書いた、『クラブハイツ最後の夜』。いまからちょうど6年前の出来事だけど、あれから文中にある札幌クラブハイツもすでに閉店してしまったし、「歌舞伎町ルネッサンス」は順調に進行中。コマ劇場跡はもう来月となる2015年4月に、都内最大級のシネコン「TOHOシネマズ新宿」とホテルグレイスリー新宿に生まれ変わって開業予定だ。そんなもん、歌舞伎町じゃなきゃいけないのか! クラブハイツでなじみだったホステスさんたちは、蒲田あたりのキャバレーに流れたりしていったが、もう営業電話もかかってこない。この6年間で銀座がすっかりダメになっていったように、これから東京オリンピックまでの5年間で、歌舞伎町もすっかり去勢されていくのだろうか・・・。

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畜生道

佐々木まことさんの写真を見て、お話を聞いて、すごく腑に落ちた。そこらへんの犬も猫もだいたいは雑種だし、そこらへんで生きている人間もだいたいは雑種だ。佐々木さんも、僕も。けれど雑種の犬猫がペットショップで何十万円という高値で売られることはないし、『アニマルプラネット』で特集されることもまずない。そこらへんで生きている人間が、めったにメディアに取り上げられないように。2008年にBRUTUS誌が犬特集をしたときに、ふたつの記事をつくった。『畜生道』と『タイの地域犬』という話で、それは日本とタイで見た「雑種犬の生きざま」だった。ふたつとも本メルマガが始まってすぐの2012年1月にアーカイブとして再録したけれど、佐々木さんのお話を補完するような内容だと思うので、ここにもういちど掲載させてもらう。併せて読んでいただけたら幸いである。

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ザ・ワン・アンド・オンリー・レコードショップ――演歌の殿堂「MSダン」

先週号で野村義男=ヨッちゃんのギター・コレクションを網羅した新刊書籍『野村義男の“思わず検索したくなる”ギター・コレクション』を紹介したところ、思いがけないほどの反響をいただいた。内容を紹介したFacebookの告知メッセージだけで、すでに1万3000以上のリーチ! やっぱりみんな音楽が好きなんだ、書いてても楽しいし。というわけで久しぶりのアーカイブは2008年に、いまはなきエスクァイア誌の連載『東京秘宝』で紹介した、東京屈指の演歌専門レコードショップ訪問記をお届けする。日本はもちろん、世界的に見ても東京のレコードショップはその数も質もすごいけど、廃れつつある演歌という日本固有のジャンルで「MSダン」のような、音楽魂のカタマリのような店が生き残っているのは、うれしいかぎり。取材からすでに6年以上が経過しているが、もちろん現在も盛業中。音楽はこんなふうに、僕らと一緒にいてくれるものなのだ。

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中村キース・ヘリング美術館/目黒エンペラー

数えてみればもう1年ぶりになる「アーカイブ」。これまでいろんな雑誌に書いてきて、単行本に未収録の記事を読んでもらうコーナーです。今回は久しぶりのアーカイブで、しかも2本立て! 特にセットにする意味はないのですが・・・渋谷アツコバルーの「神は局部に宿る」展覧会会場で、ラブホテルについてよく聞かれるのと、物販コーナーでTENGAのキース・ヘリング・シリーズを買っていくお客さんがけっこういるのを見て、そういえばこんな記事つくったな~~と、思い出した次第。目黒エンペラーの記事はいまから4年前、2012年5月16日号で再録してあるけれど、日本におけるラブホテルの成立について、少し詳しく書いたので、これから展覧会場でラブホテル・インテリアのシリーズをご覧いただく上で役立つかと、もういちど掲載させていただく。よかったら2本立てトリビア予備知識としてご覧のうえ、展覧会を楽しんでください!

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ペルソナのいる役所

「マネキン」と「京都」で思い出さないわけにいかなかったのが、ずいぶん前に取材した京都府庁の「ペルソナ」。もともと週刊誌のために2010年に取材して、本メルマガでも2014年5月7日号で再録した。なのでロードサイダーズのウェブサイトからアーカイブを辿っていただければ読めるけれど、せっかくなのでオマケとしてここにつけておく。しかしあれ、いまはどうなってるんだろう? 府庁の職員さんたちは、いまもマネキンに見つめられながらお仕事に励んでるんだろうか?

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オレサマ商店建築:ヘアサロン・アスカ

単行本に未収録の取材記事を紹介する、久しぶりの「アーカイブ」は、覚醒剤のニュースで思いついたわけではないけれど・・・知る人ぞ知る新宿のギャングスタ・バーバー「アスカ」。外観はごく普通の床屋ながら、内部は超絶のブラックミュージック・ミュージアム状態。椅子は一脚のみ! 潔すぎる侠気職人の世界をじっくりご覧いただきたい。

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ピコ太郎とバースジャパン

今年、全世界でいちばん流行った曲は・・・ジャスティン・ビーバーでもなければテイラー・スウィフトでもなく、ピコ太郎の『PPAP』だったことはご存じのはず。あの「パイナッポー」が脳内永遠リピートで情緒不安に陥ったひともいるだろうし、いまごろは全国各地の忘年会で、何万人が余興で踊らされてることかと・・・涙。先週末、仕事の合間に愛読誌『実話ナックルズ』を読んでいたら、本メルマガではおなじみのアウトロー・ライター上野友行くんが「ピコ太郎の衣装を生み出した新潟のバースジャパン訪問記」という記事を書いていて(このあと週刊新潮にも載るそう)、やっぱりそうか!と深く頷いたのでした・・・わかるの、遅すぎ? 2011年のあいだの半年と少し、ふつうのファッション誌があまりに画一化しておもしろくないと思っていた僕は、高級メンズファッション誌『SENSE』で『ROADSIDE FASHION』という変わったファッション連載をしていて、それはファッション誌にはまったく出ないけれど、街場ではよく見る、ほんとうに日本の男たちが着ている服を見せたかったのだけれど、残念ながら高級ファッション誌に広告を出すクライアントたちのお気に召さず、1年持たずに終了してしまいました。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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