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椋橋彩香

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Neverland Diner 二度と行けないあの店で 62『深夜の路地で、立ち食いサラダバー』椋橋彩香(地獄研究家)

私は「タイの地獄寺」というものに惹かれ、数年前からタイ全土を旅している。地獄寺とは、敷地の一角にキッチュでグロテスクなコンクリート像をもって地獄を表現している寺院のことである。2010年に都築響一氏による『HELL 地獄の歩き方《タイランド編》』(洋泉社)が刊行されているので、ご存知の読者も多いかもしれない。地獄寺はタイ全土に70か所以上存在しているが、その多くは外国人観光客がまったく訪れないような田舎町にある。時が止まったようなゆったりとした空気の中で、見渡す限りのサトウキビ畑や水牛の群れを横目に地獄めぐりをすることもしばしばだ。

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新連載! 地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記 (写真・文:椋橋彩香)

ロードサイダーズのみなさまならご存じのかたも多いと思われる地獄研究家!の椋橋彩香(くらはし・あやか)。タイ全土の(ど)田舎に隠れる仏教寺院の地獄庭園をひたすら巡り歩き、その成り立ちや思想の背景をアカデミックに追求し続ける、日本唯一どころか本国タイでも希少な研究者である。2019年04月17日号の「Neverland Diner 二度と行けないあの店で では、そんなフィールドワークの旅で巡り会った深夜屋台の思い出を『深夜の路地で、立ち食いサラダバー』に書いてもらったりもした。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #02 ワット・サムパシウ (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月21日  ワット・パイローンウアでの調査を終えると、我々(私・弟さん・娘さん)は次の目的地、ワット・サムパシウへと向かった。 ワット・サムパシウは、ワット・パイローンウアと同じくスパンブリー県内にあり、ちょっと変わった壁画が有名だ。大学院の夏休みに行なっているこの調査では、立体像のある寺院(これを「地獄寺」と称している)だけでなく、地獄が描かれた壁画のある寺院も対象としている。 さっそくお堂に入ると、こんな感じで隙間なく描き込まれた壁画が視界いっぱいに飛び込んでくる。ちなみに仏像の後壁には仏教の宇宙図が描かれていて、その下部にお目当ての地獄絵がある。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #03 ワット・プラローイ วัดพระลอย (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月21日(続き) 地獄寺調査第1日目、最後はワット・プラローイという寺院へ向かう。 その前に、お昼ごはん。 これはグアイジャップという名前の料理で、お米でできたシート状のくるくる麺が入っている。八角の香る中華っぽい味のスープに、具材は豚の血を固めたやつとか、内臓系のお肉とかそんな感じ。濃~いスープはくるくる麺と相性抜群だ。 無事に腹ごしらえを済ませ、いよいよワット・プラローイへ。 大きな男女の像が並ぶ地獄エリアの入口は、なぜか小さな動物園になっていた。檻の中では孔雀や猪などが飼育されていて、そのせいかハエが多く身体にまとわりついてやまない。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #04 ワット・スラケット วัดสระเกศ (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月22日 昨日の初調査で疲れた身体に鞭を打ちつつ、この日向かったのはバンコクにあるワット・スラケット。 「黄金の山」の異名をもつ、黄金に輝く大きな仏塔が有名な寺院である。 頂上までのぼってみると、バンコクの街並みを一望できた。風が気持ちいい。長い階段はキツかったが、のぼる価値は十分にあると感じた。 しかし本来の目的は地獄なので、即下山した。常に頭の中は地獄でいっぱいなのである。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #05 ワット・スタット วัดสุทัศน์ (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月22日(続き) ワット・スラケットからタクシーで十数分、次なる目的地ワット・スタットへ到着した。 ワット・スタットには、サオ・チンチャーと称される巨大な建造物がある。鳥居のようなこの建造物はジャイアント・スイングとも呼ばれ、巨大ブランコとして街のシンボルにもなっている。 ちなみに、このブランコを使用した祭祀行事の際に死亡事故が相次いだことから、ワット・スタットは餓鬼や霊魂が集まってくる心霊スポットにもなっているらしい。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #休獄日~マヒドン大学 มหาวิทยาลัยมหิดล (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月23日 この日は休獄日(地獄寺へ行かない日)。 ゆっくり起きて、朝ごはんにガパオを作ってもらった。 タイ人の友達によれば、ガパオは「何も考えないごはん」らしい。献立を考えるのがめんどうな時や、とりあえず何か食べたい時に食べる、それくらいポピュラーなメニューということである。 日本でもそうだけれど、ガパオは店や作る人によってぜんぜん味が違う。だから、これが正解というものはないんじゃないかなと思う。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #06 ワット・パークボー วัดปากบ่อ (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月24日  この日はバンコクにある小さな寺院、ワット・パークボーへ向かう。 と、その前に。 ワット・パークボーへ行くにはBTS(スカイトレイン)オンヌット駅で下車するのだが、その一駅前にプラカノーンという駅がある。タイに詳しい人、とりわけホラー映画に詳しい人は、プラカノーンと聞けばすぐにピンと来るであろう。そう、タイの国民的幽霊譚『メー・ナーク・プラカノーン』の舞台である。 『メー・ナーク・プラカノーン』(別称『ナーン・ナーク』)は、口頭伝承をもとに生成された幽霊譚で、バンコクにあるマハーブット寺院が舞台とされる。その初出は100年以上も遡り、1912年には演劇化、1936年には映画化がなされた。特に映画はこれまでに少なくとも20本はリメイクされていて、タイのピー(おばけ)イメージの一端を担うものとなっている。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #07 ワット・ドゥシダラームウォラウィハーン วัดดุสิดารามวรวิหาร (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月25日  昨日託しておいたアンケート調査用紙を回収しに、ふたたびワット・パークボーへ。 かなり不安であったが、昨日のおじさんはちゃんとアンケート調査を書いておいてくれた。これでひと安心。ワット・パークボーをあとにする。 この日のメインは、バンコクにあるワット・ドゥシダラームウォラウィハーン。 本堂にある壁画が描かれたのは18~19世紀で、この調査時点では最古の現存作品である。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #休獄日~シラパコーン大学 มหาวิทยาลัยศิลปากร (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月26日  この日は3日ぶりの休獄日(地獄寺へ行かない日)。 私が下宿しているナコンパトム県には、タイを代表する美術大学・シラパコーン大学の別キャンパスがある。そこにタイ人の友達が通っているので会いに行くことになった。 シラパコーン大学は日本でいう東京藝術大学にあたるような大学で、美術分野ではタイ最高峰の大学である。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記 #08 ワット・ムアン วัดม่วง (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月27日  コンビニで朝ごはんのカノムパン・サンカヤーバイトゥーイ(パンダンリーフを使用した甘~い緑のカスタードクリームのせ食パン)とラブリ~すぎる飴を得て、いざバンコクへ出発。 BTSアヌッサワリー駅でロットゥー(乗り合いバン)へ乗車し、バンコクから北上すること約3時間。アーントーン県にある有名寺院、ワット・ムアンへ到着した。 ここは、私にとって特別な地獄寺だ。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #09 ワット・ガイ วัดไก่ (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月27日(続き) ワット・ムアンでの調査を終え、次なる目的地であるワット・ガイへ向かう。 が、寺院からの交通手段がなかった。 仕方なくまわりの人たちに相談すると、全身真っ黒に日焼けして胸に大きなタトゥーの入ったいかついおじいさんが、親切にも停留所まで連れて行ってくれることになった。ありがたい。 おじいさんのおかげで、バイクの前方に取り付けられた荷台に乗るという新しい移動手段を得た。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #10 ワット・プートウドム วัดพืชอุดม (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月28日  記念すべき調査10か所目の地獄寺は、パトゥムターニー県にあるワット・プートウドム。 ここには昨年も訪れていて、この日はSNSで出会った友人と一緒に行くことになっていた。まずはバンコクからランシット行きのロットゥーに乗車。その後、ランシットからタクシーで数十分。400バーツ近くもかかってしまったが、無事到着。 ワット・プートウドムは、1956年制作とタイの地獄寺のなかで最も古い地獄寺だ。 それに加えて、他に類を見ない屋内型の地獄寺でもある。薄暗い空間の雰囲気も相まって、日本の人にも人気があるようだ(と勝手に思っている)。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #11 ワット・バーンノムコー วัดบางนมโค (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月29日  この日向かったのはアユタヤーにある寺院、ワット・バーンノムコー。 バンコクからアユタヤー行きのロットゥーに乗車したが、なかなか目的地にたどり着くことができず、何度か乗り継ぎようやく寺院の前で下車した。 まずは境内にあるお堂へ。このお堂は#8ワット・ムアンのように全体が鏡張りで美しく、参拝客は途絶えることがなかった。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #12 ワット・タースンタクシナーラーム วัดท่าซุงทักษิณาราม (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月29日(続き) ワット・バーンノムコーで出会ったおじさんに車で送ってもらい、同じくアユタヤー県内にあるワット・タースンタクシナーラームへ到着した。 今回は幸いにも車で連れて行ってもらえたが、この寺院は道路沿いにあったので、公共交通機関ではおそらく行くことができないだろうと思った。 ワット・タースンタクシナーラームには、仏像や僧像が並んでいるお堂の一角に地獄をあらわした浮彫がある。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #休獄日~バンコク กรุงเทพมหานคร (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月30日  この日は休獄日(地獄寺へ行かない日)。 先日会ったシラパコーン大学の友達が「今度、地獄の授業があるからおいでよ!」と誘ってくれたので、バンコクにあるキャンパスへ向かった。 おそるおそる教室に入り、初めて大学の授業にもぐる。 シラパコーン大学は美術大学なので、地獄の授業とは主に地獄絵やその典拠となる『三界経(さんがいきょう)』についての内容だった。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #13 ワット・セーンスック วัดแสนสุข (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月31日  前号で夜のバンコクを堪能した知人たちと、この日は朝から2泊3日の小旅行へ。 いわゆる珍スポットめぐりと島でのバカンスを楽しむため、バンコクから南下して、有名リゾート地・パタヤへ向かう。 途中、チョンブリー県のバンセーという海辺の街にある地獄寺、ワット・セーンスックへ寄る。 私が地獄寺を研究していることを知っている知人たちがぜひ行きたいとのことで、調査もかねて旅程に組み込んでもらったのだ。 ワット・セーンスックは、バンコクから2時間ほどで行くことができるうえ規模も大きいため、多くの人が訪れている有名な地獄寺である。地獄エリアがつくられたのは1963年頃と、#10ワット・プートウドムに次いで2番目に古い。地獄寺の先駆けともいえる寺院だ。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #休獄日~パタヤとサメット島 เมืองพัทยาและเกาะเสม็ด (写真・文:椋橋彩香)

2016年8月31日(続き)~9月2日  前号#13ワット・セーンスックで寺院の人にアンケート用紙を託すと、我々(私&珍スポット好きな知人2名)は、次の目的地・パタヤにある「サンクチュアリーオブトゥルース」へと向かった。 この神々しい名前の場所は、タイ人実業家であったレック・ビリヤファント氏によって創設・設計された巨大木造建築。見た目はワット(寺院)のようだが、公式ではミュージアムとのこと。タイ語では通称プラサート・サッチャタム、プラサートは城の意だ。 その最大の特徴は、1981年より現在も建設が進められていることで、「タイのサグラダファミリア」と呼ばれている。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #休獄日~ラーチャブリーとカンチャナブリー ราชบุรีาและกาญจนบุรี (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月4日~5日  パタヤとサメット島を満喫し、3日ぶりにナコンパトム県の下宿先へ帰宅した。 久々に帰ってみるとどこか安心感があり、この家はすでに我が家となりつつあることに気づく。 翌朝、この日は家族で少し遠くまで出かけると聞き、私ももれなくついて行くことになった。 家族が言うには「タンブン(積徳する)」らしいのだが、詳細はよく聞き取れず。どうやら寺院の催し物に参加するみたいだった。 この「タンブン」は、タイにおいて欠かせない習慣のひとつである。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #14 ワット・バーンプリーヤイグラーン วัดบางพลีใหญ่กลาง (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月5日  この日はバンコクの隣県、サムットプラーカーン県にある寺院へ。 チャオプラヤー川の河口の位置しているサムットプラーカーンは、タイの玄関口スワンナプーム国際空港がある県。バンコクからスカイトレイン(BTS)が伸びていて、また日系企業の工場が広がっていることから、日本人居住者も多い地域である。 調査の日の朝は必ずコンビニに寄るのだが、この日はなぜか人生で初めてプロテインを買った。 タイのコンビニはほとんどがセブンイレブンなので、タイの人々はコンビニのことを「セウン(セブン)」と呼んでいる。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  #15 ワット・パーヤップ วัดพายัพ (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月6日  前日、ワット・バーンプリーヤイグラーンの調査を終えて下宿先へ帰宅。 この日の夜から念願のタイ東北、イサーン地方へ入ることになっていた。なので下宿先ともしばしお別れ。おばさんたち家族に見送られながら、荷物をバックパックに詰めて、夕方ふたたびバンコクへ向かった。 バンコクに着いて、バスターミナルからイサーン地方の玄関口、ナコンラーチャシーマー県へ向かう高速バスに乗り込む。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  # 16~17 ワット・カオソムポートとワット・チャイヤプームピタック วัดเขาสมโภชน์และวัดชัยภูมิพิทักษ์ (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月7日~8日  この日向かったのは、宿泊しているナコンラーチャシーマー県の隣、ロッブリー県にあるワット・カオソムポート。本堂の壁画の一部に地獄が描かれているという情報を得ている。 ナコンラーチャシーマー県の中心部から、さっそくロッブリー県行きのロットゥー(乗り合いバン)へ乗り込む。隣県だし、今日の調査はそんなに時間はかからないだろうとふんだ。 ワット・カオソムポートは1937年に建立された寺院で、「カオ(=山)」の名前からもわかるように周囲を山々に囲まれている。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  # 18 ワット・トゥンセンティー วัดทุ่งเศรษฐี (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月9日  この日向かったのは、宿泊地のナコンラーチャシーマー中心部から200km先にあるコーンケーン県の地獄寺。名前はワット・トゥンセンティー(ワット・トゥンセーティー/ワット・トゥンセッティーとも)。まずはナコンラーチャシーマーからコーンケーン行きのロットゥーに乗車。その後、20分くらいタクシーに乗り寺院前で下車した。この時点で朝の10時ごろ。有名寺院なので割とスムーズに到着できた。とはいえ決してアクセスのよい場所ではないのだが、前2か所の移動時間があまりにも長すぎたので距離感覚がバグってきている。 寺院に着くと、そこが有名観光地であることがすぐにわかった。 一般的なタイの寺院建築とは明らかに異なっている。敷地もかなり広そうだ。

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地獄よいとこいちどはおいで――タイ地獄寺巡礼記  # 19 ワット・パーバーンジャーン วัดป่าบ้านจาน (写真・文:椋橋彩香)

2016年9月9日(続き)  この日は#18 ワット・トゥンセンティーのあと、時間があったのでもう1か所追加で調査へ向かう。タイの地獄めぐりはなかなか思うように進まないことも多いので、数は稼げる時に稼いでおきたい。 ワット・トゥンセンティーからそのままタクシーに乗り、コーンケーン県から隣県マハーサーラカームへ入る。目的地はワット・パーバーンジャーンという名の寺院。県をまたぐとはいえ、県境にある寺院なので30分くらいで到着した。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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