• TOP
  • バックナンバー

BACKNUMBERS
バックナンバー

2024年06月26日 Vol.602

photography

国破れてしぶとい日常があった ――横浜都市発展記念館の戦後横浜写真アーカイブズ

横浜市中心部、神奈川県庁と横浜スタジアムがある横浜公園に挟まれた、歴史的建築物が並ぶエリア。昭和4(1929)年に横浜中央電話局として建てられた茶色い大きな建物がある。かつてはここでたくさんの女性電話交換手が、手作業で横浜の電話をつないでいた場所だ。2003年にこの建物内に横浜都市発展記念館と横浜ユーラシア文化館という、ふたつの博物館が誕生。あいにく去年から空調設備の更新で休館中だが今年7月20日に再開館とのこと。 閉館中ではあるが、横浜都市発展記念館の公式サイトではさまざまな収蔵品を見ることができる。

続きを読む

design

デザインの世間体  004 近接する政と性 (写真・文:若生友見)

大学時代、「なにか撮影できたら」と漠然とカメラを持って向かった山形県酒田市。酒田駅からぶらぶらと日本海方面を目指して歩いていた私の目に入ってきたのは選挙ポスターでした。その時期はたまたま酒田市議会議員選挙の直前で、特設の掲示板には立候補者のポスターが何十枚と貼られていたのです。 宮城県の田舎育ちで、国政選挙や地方議会議員選であっても、候補者なんて多くてせいぜい10数名程度の地域で長い間過ごしてきた私にとって、その光景はとても衝撃的でした。 静かな酒田市の風景に突如現れた4段組の大量の顔、鮮やかな配色、極太の候補者名。

続きを読む

photography

Once upon a time ~ もうひとつのカリフォルニア・ドリーミン 11  オン・ザ・ストリーツ・オブ・ロサンジェルス part 2  ブルース・オズボーン(写真家)

その頃住んでいたのは、Western Blvd.とMelrose Ave.に近いロフト。裏庭にはバレーコートにできるスペースがあり、週末になるとみんなが集まってきて、大音響で音楽をかけながらバレーボールを。定番のサウンドトラックは、James White, Specials, Ramonesなど。Friction, Phew, Sheena and the Rocketsなどの日本のミュージシャンも人気だった。 幸いなことに、旅を終えて帰国した後も、前から働いていたPhonographic Record Magazineで働くことになったので、仕事のリサーチも兼ねてコンサート通いをしたりクラブを回って地元のバンドを聞き歩く毎日だった。

続きを読む

lifestyle

おいでよヘンタイの森  08 女装子は何を考えているかわからない ゆきさん編 文・イラスト:mimi(会社経営&フリー女王様)

変態というべきか?女装がしたい男性はある一定数いる  それが、女子を恋愛対象としている女装なのか?  男子を恋愛対象にしている女装なのか?  毎日女装したいのか?  たまに遊びでしたいのか?  いろんなパターンがいる  わたしのところにくる女装は、もちろん恋愛対象女のわたしとレズがしたいとまでではなく、理解してもらって一緒に買い物行きたい  食事がしたいといった、感じのひとが多かった  とはいっても、数人かな  そのなかのゆきさんという人はわたしを困惑させた 

続きを読む

art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  40話 私の闇 ② (画・文:新開のり子)

社員旅行に行った時の事。 学生時代のような無邪気な気持ちの旅行とは違い、どんな旅行になるのか不安な気持ちでいっぱいです。 大きめのポストンバックに荷物を詰め込み出発しました。 旅行先では、主にお寺巡りをします。 無言でひたすら歩き、お参りをします。 一日中歩き周るので全身が 汗でびしょ濡れです。 タオルを首に巻き、ポタポタ垂れる汗を拭います。 ずいぶんと健康的な社員旅行です。 まるで合宿に参加している気分です。 朝・昼・夕は皆で食事を摂りますが、あとは部屋で自由行動です。 フラフラと立ち寄れるようなお店はまったくなく、あるとすれば自動販売機だけです。 部屋に戻り一息つきます。部屋割りは会社で決めた、一部屋に二人ペアで泊まります。 組み合わせ方法は、あみだくじです。

続きを読む

art

波磨茜也香のおんなのこ散歩  第23回「右往★左往」

前回のひっっさしぶりの連載に続き、この回はどのぐらいの期間を経て皆さんの元に届いてるのか。 今回はいつもより短い期間でお届け出来ている、はず…! 前回の連載でもお話ししたように、最近介護が必要になった祖母の一進一退に振り回されつつもどうにか仕事と制作と趣味を無理矢理ぶん回す毎日を送っています。去年は厄年なのも(?)あって私生活でかなりダメージを喰らう事が多々ありましたが、なんとなく30代になってからの方が充実してて楽しいなあと最近感じます。

続きを読む

2024年06月19日 Vol.601

photography

死体のある風景と「火サスごっこ」

すでに完売だったのをご本人のXアカウントに連絡して送っていただいた『レトロホテルへようこそ』は、「さかもツインねね」という不思議な名前の作者による小さな写真集だが、これも女性によるラブホ・コレクション。でも、さかもツインねねさんの写真はほかのどんな昭和ラブホ写真ともちがっていて、それは画面のなかに死体・・・・・・ではないけれど、死体に擬態した本人が横たわっていて、それは彼女が長くつづける「火サスごっこ」活動のコレクションなのだった。

続きを読む

design

デザインの世間体  003 ドライビング・ガーデン (写真・文:若生友見)

私は自動車教習所が好きです。 自動車教習所の魅力は合理性を突き詰めた結果、箱庭のようになっているところにあると思っています。 前回ご紹介したブルーシート収集で味をしめた私は、Googleマップの航空写真を使用した、自動車教習所をひたすら集めるInstagramアカウントも持っています(更新は大変気まぐれ)。

続きを読む

art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  39話 私の闇 ① (画・文:新開のり子)

美容部員の接客業をしていた時のこと。 お店の中を行ったり来たり忙しく歩く度、首のスカーフが風になびきます。 最近制服が新しく変わり、首の右側にスカーフを花のよう巻き付けるスタイルになりました。 火曜日の午後になると 杖をついた年配の男性客ががお店に現れます。 私達は、「また来たなー」と目を合わせます。 今日は、いつも以上に激しく杖を振り回します。 「なんだー!その制服は!! お前達!一列に並べー!」

続きを読む

music

民謡の“おつゆ”  文:佐藤千春(民謡研究会ゆたちた)

みんな興味があるはずなのに、なかなか他で見られないもの、聞けないお話を共有する場として始めた大道芸術館のイベント。今月28日にはお色気民謡――昔からいろんな時と場所で歌い継がれてきたのに、公式の民謡史やコンサートではけっして歌われない春歌――を紹介する「ニッポンの春歌を嗜む会 おつゆナイト」が開催される。最近、話題に上ることがずいぶん多くなってきた民謡だけど、春歌を知る資料や音源もなかなか見つからないし、実演に接する機会はほとんどない。僕自身、すごく興味を持ってきたテーマなので、ひとりでも多くのかたに参加してもらえたらと願う。

続きを読む

photography

ニュー・シャッター・パラダイス 70  リビングのかたすみで (写真・文:オカダキサラ)

あれ?と気づいたのは、つい数ヶ月前でした。 リビングに置いてあったクマのぬいぐるみが、いつの間にか消えていたのです。 全長1メートルないくらいの、少し大きめのそのぬいぐるみは、リビングの棚の上に長いこと座らされていました。 白かった毛並みは日焼けし、綿のハリもなくなって、全体的にヨレヨレした様子は、疲れたおじさんを連想させました。 もしかして古くなりすぎて捨てられてしまったのか?…

続きを読む

travel

ユーラシア後ろ歩き 10  チベット高原での修羅場 (文・写真:多田麻美)

私や他の旅行客たちが期待とともに思い描いていたチベットのイメージ、つまり人間がまだ汚していない、清らかで崇高な最後の秘境というイメージは、排せつ問題という、きわめて卑近で切迫した問題によって、押し流され、かき消えそうになっていた。それは夜行バスという古びた殻の中で、混濁の度を増し、人の心の闇のどす黒さのみならず、ある種のきな臭さまで帯び始めていた。 正式なチケットを買っていない、定員オーバーの乗客をたくさん載せていたバスは、検問所が近づくと、いったん停まり、定員オーバーの客を降ろした。

続きを読む

lifestyle

バンカラ女銘々伝 第六回  モデルと弟子と愛人に挑戦する女 山田順子 (文:平山亜佐子)

 かつて山田順子は「秋田から小説の原稿を持って夫と子供を捨てて上京し、自然主義の大家、徳田秋聲の家に巧みに入り込んで秋聲を翻弄して捨てた毒婦」という見方をされることが多かった。  それはひとえに当時のマスコミや評論家、および彼女と関係のあった徳田秋聲、竹久夢二、勝本清一郎など、いわゆる「書く男たち」のなかで喧伝された姿だった。  とくに秋聲の「春来る」「質物」「元の枝へ」「仮装人物」など30編にも及ぶ「順子もの」と呼ばれるモデル小説の影響は大きい。

続きを読む

2024年06月12日 Vol.600

lifestyle

母の舞台と娘の舞台  ストリッパー2代のハダカ人生劇場! 後編

獣姦ショーで一世を風靡した浜みゆきを母に、有賀美雪が生まれたのは1974年9月19日。母が32歳のときに生まれた娘だった。 いまで言うシングルマザーだった浜みゆきは熱海で芸者をしながら子育てを始めたが、やはり生活が苦しく34歳でストリッパーに転身。娘・美雪が2歳のころ猿ヶ京温泉の劇場でデビューを飾る。いまも昔もストリップは基本的に10日公演。日本各地の劇場から劇場へと流れていく生活が始まった。 2歳になったころから、8歳で老神温泉でストリップ劇場の経営者に落ち着くまでの約6年間、有賀さんは保育園も小学校もほぼ行かずに、母について巡るストリップ劇場の楽屋で育った。

続きを読む

design

デザインの世間体  002 ブルー・ブルー・プラネット (写真・文:若生友見)

青い地球……のなかでも異様なくらい青々としている膜、ブルーシート。 自然のなかに溶け込まない青さと独特のツヤにより、なかば暴力的に目に飛び込んでくるあの存在感。 しかしGoogleマップの航空写真モードで見ると、どんなに広い面積を覆っているブルーシートであっても、地図モードでは(あたりまえですが)表示されません。地図モードで青く表示されるのは水(河川、海、池、ダムなど)です。 自分としてはその点が妙におもしろく感じられ、在学中の2010年にこういった作品を作ったことがありました。

続きを読む

lifestyle

おいでよヘンタイの森  07 射精ポイントがやばい女装子 まいちゃん編  文・イラスト:mimi(会社経営&フリー女王様)

女装子が続きます  わたしの月に一回開いていたイベント「悶悶ノミノミM男ふ会」といわれるゆるーいSMイベント  そこは、どんな変態でもカモンなイベント  だから、女装子もたまにくるのです  まいちゃんと初めて会ったときは衝撃だった  わたしは池袋を拠点としていて 池袋の会場で、北口にお迎えにいってそこから会場まで ツアーガイドのように連れていく  たぶん、普通に変な集団がぞろぞろ若い女の子についていくのは面白い光景だっただろうなと思う

続きを読む

art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  38話 さよなら紫陽花 (画・文:新開のり子)

紫陽花が綺麗に咲く頃 新しい会社に転職しました。 「おはよう!」と元気な声をかけてくれるのは、少し年上のノバラさんです。 とても明るいノバラさんに一日の仕事を教えてもらいます。 午前中はノバラさんと一緒に植物の世話やゴミ捨て掃除など身体を動かすことがほとんどで、午後はデスクワークといったところです。 夕方に社長と男性スタッフが帰ってきますが、ほぼ入れ替わりで退社します。 定時に上がれるのはとても嬉しいです。 午前中に出勤すると、前日に使い終えた茶殻を肥料代わりに土にパッパと撒きます。 タバコの匂い消しにはコーヒーの粉を乾燥させ灰皿に入れるなど…… 外では、綺麗な紫陽花が雲のようにモコモコっと咲いて可愛さにうっとりしてしまいます。

続きを読む

travel

スリープウォーキング・チャイナ 08  大黒天の逆輸入(前編) ──中国で流行する大黒さま信仰を追って  写真・文:無常くん(副書記)

 以前、本連載にて、中国の仏具展に大黒天(耳たぶのデカいおっさんが打出の小槌と福袋を持ったアレ)が大量に陳列されているという奇妙な光景をレポートした(「驚異の仏具展覧会──今年のトレンドは「大黒天の逆輸入」!?」)。  ピンとこない方のために簡単に解説すると、我々がよく知る大黒天というのは、もともとマハーカーラという名のインドの厳めしい神さまだった。それが、チベットに伝わり、中国に伝わり、日本に伝わり、最終的に「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と習合することで、例の優しそうなおっさんの姿に変容することとなった。まさにその日本オリジナルの大黒天(以下、「大黒さま」と呼ぼう)が、どうしたわけか中国の仏具展にて大量販売され、さらには中国各地の寺廟や個人宅にて盛んに祀られ始めているというのである。これを奇妙と言わずしてなんと言おうか。  好奇心がムクムクと湧いてくるのを感じた私は、さっそくこの珍現象を「大黒天の逆輸入」と命名し、今なぜ中国で大黒さまが大人気なのか、その謎を追ってみることにした。

続きを読む

photography

妄想ホテル room:039  はじまりのダンスを踊ろう (写真・文:フクサコアヤコ)

いつものラブホテルの受付、部屋を選ぶパネルの前で私は不思議なパワーを感じていた。 古く廃れたこのラブホテル、昨年壊れたボイラーはまだ直らないらしく「バスタブは使えませんがよろしいですか?」と毎回確認される。 そんな有様なので少し前までは平日の昼であれば部屋は選び放題だったのだが、インバウンドの波かコロナの反動かここ最近は満室が続いていた。 なのに今日は5室ほど空室を示すランプが点灯している。そしてその中に蝶をモチーフにした部屋があった。 「あ、ここ!蝶のお部屋がありますよ!」その部屋を見つけた彼女は嬉しそうに振り返った。 彼女はミラ・スワロウテイル、蝶の名前を持つバーレスクダンサー、今回のモデルである。 彼女自身が自分の名前に所縁のある部屋を引き寄せたのかもしれない。彼女の笑顔にはそう思わせる不思議なパワーがあった。 私たちは受付を済ませると蝶の舞う部屋へと向かった。

続きを読む

2024年06月05日 Vol.599

lifestyle

母の舞台と娘の舞台  ストリッパー2代のハダカ人生劇場! 前編

大衆芸能史研究家の西条昇さんが今年3月末に開いたストリップチラシ・コレクションのトークイベントで、1990年代から2000年代にかけて人気ストリッパーだった有賀美雪さんと出会った。 有賀さんは二世信者ならぬ二世ストリッパー。お母さんの浜みゆきさんは犬・チンパンジー・馬を使った唯一無二の獣姦ショーで、1970年代に日本中のストリップ・ファンを震撼させた伝説的存在だ。さらに叔父は珍しい黒黒(男ふたりによる本番)ショーのスター。そして有賀さん本人は2歳半からストリップ劇場の楽屋で育ち、15歳で年齢を偽って舞台デビューという、ある意味アンダーグラウンドの超エリートコースを歩んできたひと。今月の大道芸術館ギャラリー・トークには有賀さんをスペシャルゲストにお呼びして、二代にわたるストリップ人生を語り尽くしていただくが、その予習として!今週・来週の2回にわけて浜みゆき・有賀美雪の母娘ストリップ人生を記事で振り返ってみたい。

続きを読む

design

新連載! デザインの世間体 (写真・文:若生友見)

若生友見さんに初めて会ったのは2014年、ちょうど10年前だった。そのころはまだゆったりだった東京アートブックフェア会場で見つけた、若生さんが自費出版している「ragan books」のシャープなコンセプトとデザインにびっくりして、宮城県七ヶ浜町まで出かけて『裸眼の挑戦――若生友見とragan books』という記事をつくらせてもらった。

続きを読む

art

暗黒絵日記 のり子の夢は夜ひらく  37話 ブルドック (画・文:新開のり子)

どんよりとした空、強い雨が急に降り出し雷も鳴っています。 私がびしょ濡れになりながら会社に出勤すると、珍しい人が珍しく話かけてきました。 「今日の天気は、大荒れねーアハハハハハ」と奇妙に笑うのは先輩のブル子さんです。 その日の朝は、いつになくご機嫌でした。 ブル子さんは朝からポテトチップスを配っています。 「好きな味じゃないから、あげるわ!」と言っています。 意地悪の代表みたいな先輩が配るお菓子は何だか怖いです。

続きを読む

travel

地の橋、人の橋[ウクライナ特別編] 06 日常の中に取り入れられたボランティア  写真・文:ERIKO(定住旅行家・モデル)

皆さんはボランティアと言うと、どんなイメージを持つだろう。日本では学校機関などでオーガナイズされることも多々あるし、日本人は往々にしてボランティアに積極的だとも感じるので、多くの人が一度は経験したことあるだろうと思う。私も成人してから何度か、知人の会社が催すビーチの清掃活動に参加したことがある。海岸のゴミをひたすら拾ったのだが、漁具から一般ごみ、どこかの国から流れ着いたゴミまであって、ゴミがそこに至るまでのいろんなストーリーを辿るような気分だった。何袋にもなったゴミを見て、どことなくいいことをしたような気持ちになったのを覚えている。ボランティアというと、誰かのために手助けをしたり、時間に余裕のある人が善意で行うようなイメージがあった。 目下、戦時中のウクライナでは、このボランティア活動が国民の生活の一部と化している。

続きを読む

travel

ニュー・シャッター・パラダイス 69  右足の靴紐 (写真・文:オカダキサラ)

彼氏が彼女の靴紐を結び直している姿を、見かけたことがあります。多くの場合、男性はアジア系の外国人。日本人の男性があまりやらないように思うので、ちょっと驚きます。 そういえば、漫画でこれに似たシーンを読んだことがあります。 舞台は着物が普段着だった時代の日本。鼻緒が切れて歩けずにいた女性を、通りがかりの青年が見かねて手助けする…、恋の始まりに繋がるエピソードとして描かれていました。

続きを読む

lifestyle

バンカラ女銘々伝  第五回 イタリア人狙撃事件で一躍有名になった少女  深谷愛子 (文:平山亜佐子)

 深谷愛子は、拙著『明治 大正 昭和 不良少女伝---莫連女と少女ギャング団』(河出書房新社、ちくま文庫)でもとりあげた「イタリー人狙撃事件」の加害者である。  発端は、1925(大正14)年9月28日午後10時、16歳の少女愛子が3000円(今の約600万円)のダイアモンドの指輪をめぐってイタリア人の自称実業家リッチを五連発ピストルで撃ったことによる。

続きを読む

travel

ユーラシア後ろ歩き 9  読経に守られた難所越え (文・写真:多田麻美)

神聖なるチベットの大地は、はるか遠くにあってこそ、人に強い憧れを抱かせるのだろう。そうは思っても、自由な個人旅行が好きな者にとって、現在のチベットはあまりにも遠すぎる場所となってしまった。聞いた話では、限られた移動手段で入境し、数の限られたツアーに参加して、高い外国人向け料金を支払いながら旅行する以外に選択肢がないと言う。安全なことは安全かもしれないが、あまりにもパターン化されていてまるでファーストフードの何とかセットみたいだ。自由な旅が好きな者にとっては不粋この上ない。 だが幸い、私が訪れた2004年頃のチベットはもうちょっと緩かった。もちろんそれも、私自身が少し鈍く、向こう見ずだったからだが。

続きを読む

  • TOP
  • バックナンバー

月別バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

amazonジャパン


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン