帰ってきたファンシー絵みやげ(写真・文:イチゴドロボウ)
ファンシー絵みやげ研究家の山下メロさんが、初のガイドブック『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』を刊行した。前回の記事を読んだ出版社の編集担当がメロさんにアプローチ、単行本に…
book 人生はキャバレーだった――『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』刊行に寄せて |
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今年1月に銀座の『白いばら』が閉店してからというもの、ちょっとしたキャバレー再評価ブームが起きているようで、ロードサイダーズにもPDF版電子書籍『キャバレー・ベラミの踊り子たち』の写真貸出依頼がけっこう来たりする。書店に行けば往年の有名キャバレーのオーナーや支配人、名物ホステスさんの回想録などが数冊見つかるが、それではキャバレーという空間そのものを記録した書籍がどれくらいあるかというと、ほとんどない。だって、キャバレーそのものがもう、ほとんどないから。なくなってから惜しまれる秘宝館や見世物小屋やオールド・スタイルのラブホテルと同じように、キャバレーもなくなってから惜しまれつつある昭和のポピュラー・カルチャーの仲間入りを果たしたのだろう。「ライフ・イズ・ア・キャバレー」と歌ったのはライザ・ミネリだったが、キャバレーのことも過去形で語らなくてはならない時代がもうそこまで来ている、そういうタイミングでこの3月に『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』という写真集が出版されたのには驚いた。 |
各地に残るキャバレー、ダンスホールなど昭和の歓楽遺産をまとめた写真集。 |
2017年8月の閉店直前に取材できた蒲田『レディタウン』に捧げられた序章に始まって、東京赤羽と北千住の『ハリウッド』から熊本八代の『白馬』まで、現在も営業を続けるキャバレー10軒。日比谷の『東宝ダンスホール』と鶯谷『新世紀』のダンスホール2軒。イベント会場として生き残っている鶯谷『東京キネマ倶楽部』や大阪『ユニバース』など4軒。さらにはキャバレーのマッチ・コレクションやソファ、壁、照明などディテールに関するコラムも交えて、本書はいま日本に残るキャバレーのもっとも詳細なビジュアル資料コレクションといえる。いったい、どんなキャバレー・マニアがこんな本をつくったのかと思ったら、編集した西村依莉(にしむら・えり)さんはキャバレー全盛期にはむろん生まれていない、この本で取材するまでキャバレーで遊んだこともない、お酒すらあまり飲めないという若い女性編集者なのだった。 |
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西村さんは出版社勤務を経て2012年にフリーの編集者・ライターとして独立するとともに、東京から福岡に移住。福岡で知る人ぞ知るリトルプレス『福岡ついで観光』『中洲ついで観光』などを刊行してきた。2015年に東京に戻ってからは、これまで70年代の床材を集めた『足の下のステキな床』や、「東京ビルさんぽ」の一員として『いいビルの世界 東京ハンサム・イースト』の2冊を発表。レトロでかわいい、という視点で昭和の都市文化が残してきたデザイン・エレメントをすくい上げる、『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』は3冊目の作品集になる。 |
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私は出身が土佐清水という、すごくひなびた漁村だったんです。商店街も寂れてて、地元民にはそれが日常の風景だったけど、都会の人間にはそれが珍しかったりおもしろかったり、かわいらしく見えるものだと、外に出てから再発見するようになったんですね。 |
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夜空にきらめくネオンサイン、大シャンデリアに照らされたダンスフロア、臙脂のベルベットに白いレースがかぶさったソファ席、壁の装飾、階段の手すりの造作・・・全景から細部まで、ほとんど建築資料集のように端正に、丁寧に撮影された写真の集積(撮影:奥川純一)。しかしそこにはキャバレーの夜の主役たる酔客も、ホステスもダンサーもバンドマンも登場しない。キャバレーと同じくらい、キャバレー空間に展開する人間模様に惹かれる僕は、取材でもなるべく人物を入れ込んで撮影してきたので、それが興味深くて、4月3日のDOMMMUE『スナック芸術丸』にお呼びしたときも、西村さんに尋ねてみた。 |
人物を入れなかったのは、ひとが入るとやっぱり、そっちに目が行っちゃいますから。今回はキャバレーの建物やディテール、あの空気感を主役にしたかったんです。空間としての華やかさとか、賑やかさ。ディテールのデラックス感、ムード・・・私と同じくカメラマンにとってもキャバレー遊びは未知の世界だったので、ふたりとも同じテンションで楽しめた高揚感。そういう感覚を表現したかったんです。 |
水割りの香りも、安香水も匂わず、ありふれた口説き文句や営業トークや、生バンドのダンスミュージックも聞こえないこの本は、そのとおりキャバレーの空間そのものが主役であって、それはそれでとてつもなく貴重な、ビジュアルによる時代の証言であるにちがいない。 |
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キャバレーのことを書いたり話すようになって、「女の子だけでも遊びに行っていいんでしょうか?」と、よく聞かれるようになった。今回の取材でキャバレー遊びを知ることになった西村さんに感想を聞いてみると―― |
まず、予想以上に気前がいい場所だと思いました(笑)。セット料金で、お酒もいっぱい飲めるし。女の子たちもざっくばらんで、いろんな話ですごく盛り上がって、楽しかった。キャバレーはお客さんの高年齢化が経営難につながってる面がありますけど、もしかしたら女の子こそ楽しめる場所なのかもと思って。 |
確かに。キャバレーは気になるけど行くチャンスがない女の子たちのために、ガールズ・ナイトとかやったらいいかも! まあその前に男たちが、奥さんやガールフレンドと一緒に、キャバレーに遊びに行くようになればいいんですけどね。 |
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このあと、取材を通して西村さんが体験した「こぼれ話」をお読みいただくが、いまやキャバレー事情通となった西村さんが気にしているのが、札幌のキリンビール園(本館・中島公園店)。ここは1974年にオープンした「東北以北最大のキャバレー」と言われた『ミカド』だった建物を、86年の閉店後そのまま引き継いで誕生したビール園である。巨大な吹き抜け空間はキャバレー時代そのままの雰囲気だったが、今年9月末で閉店が決定。インバウンド狙いのホテルか複合商業施設になってしまう前に、こちらもぜひ足を運んでいただきたい。 |
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『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』こぼれ話 |
文:西村依莉 |
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大きく掲げられているネオン看板の写真を撮っていると、そこにいたフィッシングベストを着たおじさんが声をかけてきた。下のパチンコ屋の客だと思っていたので(すみません)油断していた私は、「勝手に写真撮ったらダメ!」と怒られるのかとドキドキしていると、 |
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空間としてのキャバレーは、10年以上前に『ニュージャパン』『クラブハイツ』『東京キネマ倶楽部』をイベントがあった時に、遊びに行って体験していたものの、改めてじっくりと見るキャバレーの印象は、月並みな言葉だけれど、非日常の異空間。舞台セットやスタジオではない、リアルに稼働している作り込まれた空間が、こんな古い雑居ビルの中にあるなんて! そのギャプや、2フロアに渡る広い客席と3つのシャンデリアのある、こってりとした空間に酔いそうになった。そして視点を一歩ずらすとそこここに見える、ゆるさ。かつては格調高く見えていたかもしれない、妙に殺伐としたクロークや雑多にものが置かれたステージは、経年から来る哀愁が漂っていた。まだ全然使えるのに! と思わせる客席とは裏腹に、非常階段や厨房はなかなか味のある感じ。 |
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無くなってしまう直前の姿をなんとしてでも本に収めたい! その思いをおじさんに伝えると、 |
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撮影終了後、『ダンスホール新世紀』の店長が親切にも屋上へ案内してくれた。間近で見る塔屋看板や見晴らしの良さに大興奮だったが、それ以上に興奮したのが、屋上へ出るドアの前に、置かれていた店のソファ。 |
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その後事務所で、毎月発行しているゲストやバンドのスケジュールを記載した『新世紀ミュージックガイド』の1960年代からのバックナンバーを見せてもらった。 |
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横浜の格調高きダンスホール。ネットで検索すると情報もちらほら出てくるし、個人的にも大好きな横浜の情報サイト『はまれぽ』で、以前取材していた記事を読み込んでいたので、イメージトレーニングはできていたつもりだったけれど、いざ行ってみると、きらびやか、とは別種の空間。どちらかというと厳かな雰囲気。『ダンスホール新世紀』にすっかり当てられていたので、同じダンスホールでも地味だな、というのが正直な感想だったけれど、戦後のダンスホールやキャバレーが出てくる映画の雰囲気がなんとなく感じ取れる。鼻腔をつくカビ臭さに、どことなく冷んやりした空気。撮影やイベント会場としてコンスタントに使用されているという話だが、使われなくなった施設の匂いが充満していたのが印象的だった。 |
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空調も古いまま(でもルックスは◎! 上の下手な写真は個人的な趣味で私が撮ったもの)だし、サイトもダンスホールとして営業していた数年前から更新されていない感じ。このまま老朽化を理由になくなってしまったらどうしよう……。この本の中で唯一、取材をしている時になくなるのでは、と不安になった店だったが、余計な心配だった。 |
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今年に入ってから、ものすごくしっかりとした、お洒落なサイトにリニューアルされていたので、たぶん『クリフサイド』は静かにやる気に満ちているのだと思う。 |
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対応は森川会長自ら。私のようなわけのわからない小娘にも、申し訳ないほど腰が低く、丁寧にやり取りをしてくれた。ただし、毎日11時過ぎに出社し、16時前には帰ってしまうので、案外タイミングが難しい。少しずつ話を進め、9月に博多、11月に福山、三原、徳山の店舗を取材させてもらうことになった。 |
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そこは『みはらし温泉』最高ランクの“デラックスルーム”で、会長室の内装とそっくり。壁紙から家具まで、パステルカラーのロココ調。なるほど、これが森川会長の考える極上の概念か……。なんてかわいらしい人なんだろう! と感激したが、店にも部屋にも会長室にも、たくさん置いてあった森川会長の伝記を読むと、それはそれはハードボイルドな内容で、かわいらしさとはかけ離れたものだった。 |
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『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』でも少し触れているけど、 |
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旅つながりで、本には掲載出来ていないキャバレーだった空間をもうひとつ。北海道は札幌にある『キリンビール園 本館 中島公園店』はキャバレー『ミカド』だった場所を生かして営業している。内装は一新(とはいえ、『キリンビール園』になってからも随分経つので燻された感じ)していて、『ミカド』時代の面影は構造くらいだけど、スケールの大きさだけでも感じることができる。 |
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付録:キャバレー本、さらに! |
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『キャバレー』の冒頭には、北尾氏によるこんな解説があり、キャバレーという社交場の性格がよく表現されている―― |
都市構成の要素としてその繁栄と魅力が結集されているものに繁華街なる名称がある。即ち商店街、飲食店街、娯楽街等の盛り場を総称するもので、現代文化思潮風俗の諸相が最も鮮明に流動展開している。その繁華街の中にあって最も近代的な色調や構想のもとに都人の愛と歓楽を呼ぶ社交施設にキャバレーがある。それは他の料亭や社交喫茶、サロン、バー、ナイトクラブ等と共にジャズとネオン、酒と美女、魅力と香りと味の交錯を現出してまさに近代人の官能をそそってはいるが、キャバレーはまた別趣な意味に於て現代の新しい一つの社交形態をも構成して所謂国際的な親睦施設の線にまで到達している感がある。 |
もっとも近代的! 都人の愛と歓楽! 国際的な親睦施設! 最先端であり、最盛期であった時代のキャバレーとは、そういう場所だったのだ。 |
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『建築寫眞文庫』はいまから半世紀以上前に出版されたまま、ほとんど忘れられた存在となっていたので、出版元の彰国社を口説き落として2009年に『Showa Style 再編・建築写真文庫』と名づけた800ページを超える本を出させてもらった。145巻の『建築写真文庫』から商業・公共建築に分類される79巻を選び、再編集したこの本では、『キャバレー』『ナイトクラブ』からも数十枚の写真を選んで載せている。オリジナルの『建築寫眞文庫』は古書でもなかなか入手困難だが、再編版建築写真文庫のほうは現在も販売中なので、ご覧いただきたい。なお、発売当時に作成した内容紹介ブログがまだ生きてるので(!)、興味あるかたはこちらもどうぞ。 |
建築写真文庫・紹介ブログサイト:http://showastyle.blogspot.jp/ |
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ファンシー絵みやげ研究家の山下メロさんが、初のガイドブック『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』を刊行した。前回の記事を読んだ出版社の編集担当がメロさんにアプローチ、単行本に…
このメルマガの前に書いていた、ブログ時代からの読者諸君にはおなじみかもしれません、2009年9月から2011年10月まで丸2年間、全96話にわたって筑摩書房のウェブマガジンで続けてきた連載『東京右半分…
ぼーっとSNSを見ていたら「カストリ雑誌 創刊号表紙コレクション」というスゴいタイトルの本が目に・・・。え? マジ2018年の話? 驚いて調べると、発行は昭和の夜の道先案内人・カストリ出版さん。さ、流…
「雑学」という言葉を最初に使ったのは、とまではいかなくても世に広めたのは植草甚一だったのではないか。『ぼくは散歩と雑学がすき』が晶文社から出たのが1970年。3年後にはのちに『宝島』となる『ワンダーラ…
先月からスタートした短期集中連載。今週は5月にちくま文庫から発売されたばかりの『ちろりん村顛末記』を取り上げる。しかし残念ながら、僕がもっとも尊敬する風俗ジャーナリストである著者・広岡敬一さんは、20…
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!