Neverland Diner 二度と行けないあの店で 11『真夏の夜の夢』土岐麻子(歌手)
その店は、世田谷区某駅から歩いて15分ほどのはずれにあった。にぎわう商店街を過ぎて、ひっそりとした住宅地を進む。かつてはおそらく細い川だったんじゃないかというような、緩くくねったカーブの坂をのぼり、お…
food & drink 新連載! はばたけ!宴会芸! 第1回「羅漢だ羅漢だ」(文:御手洗太) |
ロードサイダーズのみなさまにはおなじみ『隙ある風景』のケイタタさんが、「めちゃおもしろい会社の後輩がいるんです」と教えてくれた。ケイタタさんにそこまで言わせるとは!と聞いてみると、「最近コンプライアンスなどなどで消えゆく日本の宴会芸を保存、発掘し、後世につなげようとする『日本宴会芸学会』というものを主催しているものたち」なのだという。宴会芸……たしかに絶滅危惧種かも! そして「消えゆく大衆文化」といえば、本メルマガで取り上げないわけにはいかないですよね。さっそくお会いして執筆をお願い、これから6回にわたって連載をしていただくことになった。月にいちどくらいのペースで、消えゆく宴会芸の奥義を教えていただく予定。今年末の忘年会シーズンまでには最終講義が終了の予定なので、各自研鑽に励んでいただきたいと願いつつ、第1回の開講! |
はじめに 御手洗太(日本宴会芸学会会長) |
ROADSIDERS' weeklyの読者のみなさま、はじめまして。 |
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研究の基本が文献調査だということも、他の学問と変わりません。 |
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最近の若い研究者はAmazonをかなり活用しているようですね。私もパソコンを叩いてみたところ、駆け出しの頃に夢中で写経した(当時はコピーなんてものはありません)宝物のような文献が多数出品されていて、心底驚きました。しかも、そのほとんどが1円で買えるのです! ガーファはビッグデータの力を活用し、宴会芸の世界にも変革を起こしているのです。 |
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さておき。「宴会芸史」ひとつをとっても、アプローチは様々です。 |
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「最大多数の最大幸福のためであれば、宴会芸は可能である」とするベンサム哲学と「人間の尊厳が守られる限りにおいてのみ、宴会芸は可能である」とするカント哲学。この二つの哲学は激しく対立しながら、人類の文明と宴会芸を発展させてきた。 |
この名文句から始まる対話型の講義「宴会白熱教室」は宴会芸学会名物として人気を博しています。 |
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宴会芸研究は歴史的に男性たちによって担われきてました。 |
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日本宴会芸学会は決して大きな組織ではありません。長年、事務方仕事を一手に引き受けてくれている中野原真澄専務理事を筆頭に、宴会芸を愛する研究者たちの献身によって支えられております。 |
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さておき。宴会芸を取り巻く環境は、極めて厳しい状況だと言わざるを得ません。 |
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世の中が、このような方向に進んでいる今だからこそ。私たち学究の人間の使命は、毅然とした態度で研究を続けることだと考えております。 |
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それ以前の宴会芸には、日本古来の「あはれ」の精神を感じさせるものが数多くございました。当時の日本人にとって宴会芸とは教養であり文化だったのです。そのことを、私達は声を大にして発信していきたいと思っています。 |
20世紀宴会芸史(上) 御手洗太(日本宴会芸学会会長) |
第1章 「喝采」のための宴会芸 ~明治時代の文献から~ |
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はしがき |
どのセンテンスを取っても名文ですね。 |
酒席に列して無芸大食は野暮の骨頂。これ浮世の面白みを解せず。芸なし猿の不可趣味をして直ちに大通酔人となる(後略) |
この時代、宴会芸をしない人は「浮世の面白みを理解しない野暮の骨頂の芸なし猿」と言われていたことが分かります。「猿」まで言うか!と驚いた人も多いのではないでしょうか。宴会芸が「人間にとって不可欠な教養」と考えられていたことがよく分かります。 |
深く本書によって練習すれば、ある意味においての喝采は請合い申す(後略) |
という部分です。 |
1 へりくだりの美学 カサつむり |
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『宴会お座敷芸』を皮切りに多数の文献に登場する有名古典芸です。 |
手ぬぐいを鉢巻にして、割りばしを2本頭に刺して、角にする。蛇の目の傘を持ち、傘の柄を手前にして広げ置く。傘の横の方からにゅーっと顔を出し、かたつむりのように頭を振る。そうして、二三度伸び縮みをしながら、ゆっくりと動く。(『宴会お座敷芸』の演目説明文要約) |
バックミュージックは時代によってさまざまで「傍の人に狂言の『蝸牛』の文句を歌ってもらうものです」と高度な教養を要求するものがあれば、「歌はもちろん、でんでん虫虫、かたつむり、お前の頭はどこにある~」と決めつけるものもあります。 |
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カタツムリは「のろまで」「醜くて」「弱い」生き物として有名です。すなわち、カタツムリになることで、記号的に「へりくだり」の姿勢を伝えることができるのです。 |
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老若男女誰がやっても、それぞれの味が出るというのもこの芸の大きな魅力です。若い女性の「カサつむり」出世頭の「カサつむり」セクハラで処罰された人の「カサつむり」。どれも、味わい深いものです。 |
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2 逆にキツネに化けてみる 狐歩行 |
両足の爪先をことごとく内へまげて歩く。 |
そんなことで?と訝る人は、まず、やってみましょう。 |
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はい、2秒で狐に化けることができました。 |
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ちなみに『宴会お座敷芸』の説明文中では、 |
少しく難しい歩行法だが、やる時にはよく注意してやらないといけない、畳の上でも板の間でも出来る、このやり方は、両足のつま先をことごとく内に曲げて歩く。歩けさえすればそれで勝つが、中々そう歩けるものではない。ただ注意するのは、つま先を曲げて歩く時によく注意をしてください。(一部仮名遣い等改変) |
「よく注意してやりなさい」と短い文中で3回言ってます。やる時にはよく注意をしてください。それにも関わらず「歩けさえすればそれで勝つ」とあることから、狐歩行で競走をする「やんちゃなキツネたち」が明治の宴席にたくさんいたことが分かります。 |
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「狐歩行」は記念撮影のポーズでも使えることが知られています。旅の思い出の一枚に、使ってみてはいかがでしょうか。 |
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3 神秘のゲーム型宴会芸 羅漢だ羅漢だ! |
一座の人数は何人でもよく、この遊びは五百羅漢の色々な像にある身振りをするので、一座の人々は口々に「羅漢だ羅漢だ」と囃子立てれば、一座は羅漢にある身振りをちょっとして見せるのです。その中に、一度やった身振りが出る。その時には、それをやった人が罰杯を受けるのです。羅漢の真似が最もうまく出来る人が賞を受けるのであります。(一部仮名遣い等改変) |
つまりは、こういうことです。 |
「羅漢だ羅漢だ!」 |
いかがでしょうか。 |
コラム:ゲーム型宴会芸いろいろ |
宴会芸とゲームは切っても切れない関係にあります。 |
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「ゲームとゲーム型宴会芸は何が違うのか?」を明らかにしておく必要があるでしょう。 |
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「ビンゴ」と「ビンゴマン」の違いは、そこに滑稽な人間がいるか、ということです。 |
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[闇のつぶて] |
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[茶碗たたき] |
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[帽子の指冠り] |
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[こよりの指引き] |
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[叩き合いの相撲] |
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4 腹筋ショー 額の水茶碗 |
素人にも出来るべき面白きもののみを選んでこれ一巻を成したり |
とあるように、宴会芸とは素人のためのものです。 |
仰向きに足を延ばして長く寝たる、その人の額に、茶碗に水を七・八分目に入れて載せ、水を少しでもこぼさないように起き上がれば、今度は又寝るのである。水を少しでもこぼすときは負けとなるのですが、これは熟練さえすればうまくできる。茶碗はなるべく口の広がったる方がやりにくい、飯茶碗なぞは、最もおかしみがある。これをやり損じた時には、茶碗の水が顔や着物にかかるのが、観客をして最も面白きを感じさするのです。(一部仮名遣い等改変) |
早速、「飯茶碗なぞ」に水を入れて、やってみましょう。 |
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額(身体の先端)に水茶碗を置くことで、重さが十倍近くに感じられて「水を少しでもこぼさないように起き上がる」ことが途方もない苦行と感じられるでしょう。そうです、それこそ、テコの原理です。 |
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そして、「今度はまた寝るのです」。この辺りから、腹筋が悲鳴をあげて、ぷるぷると震えてくるでしょう。それにも関わらず、頭が地面につく直前でまた折り返し「水を少しでもこぼさないように起き上がる」のです。「水をこぼしたくない」と強く願えば願うほど、皮肉なもので腹筋の悲鳴は激しくなります。 |
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5 おめでとう、のメガ盛り 松づくしの踊り |
座敷の真ん中にたって、一本の扇の要をくわえ、一本は足の指先にはさみ、一本ずつ両手にみな扇を開いて、足の扇は上げて縮める。そうして端唄の松づくしを歌わせながら、一つ所に居て身振りをするのです。これは、熟練さえすれば五本でも六本の扇でも使える。(一部仮名遣い等改変) |
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「松」は不老長寿の象徴であり、非常におめでたい木です。そんな「松」が描かれた扇子を、頭・口・両手・足につけて踊る。「おめでとうのメガ盛り」とでも言うべき舞踏なのです。これだけやって、祝意が伝わらないはずがありません。 |
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これまで紹介してきた演目と少し違うのは、寄席や郷土芸能の世界にプロとして取り組んでいる人もいる、と言う点です。プロの「松づくし」は松の数が常軌を逸してます。 |
ここまでやると、準備・片付けがあまりに大変です。大変すぎて、最近あまり寄席では演じられない、という本末転倒な話も聞いております。 |
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読者の中に、結婚式の余興として「アイドルグループの歌や踊り」「トリセツの替え歌」「フランダス」などを準備している人がいるかもしれません。ここまで読んでいたら、もう、お分かりかと思いますが。あえて、質問させてください。 |
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6 明治宴会芸の到達点 鼻毛の曲藝 |
マルハーゲ帝国の皇帝が、人類を丸坊主にするべく結成した「毛狩り隊」から、人類の髪の毛の自由と平和を守るため、「鼻毛真拳」の使い手である「ボボボーボ・ボーボボ」が戦う。 |
というストーリーの漫画です。当時の少年少女たちは「鼻毛で闘う」新しいヒーローに熱狂しました。鼻毛には、ほどよい不潔さと間抜けさがあり。強い喜劇性があることは知られていました。しかし、大便・小便・放屁ほど身近ではないため(少年少女にあまり鼻毛が生えていない、という点が大きいと思います)漫画やアニメで大きく取り上げられることはありませんでした。 |
鼻毛の曲藝 |
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鼻毛を出し、こよりをつくり、綱にして、綱を渡る。そしてまた、鼻の中にしまい。また出して、鼻の上に立てたり、頭の上に立てたり、様々なおかしみをやる。 |
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「鼻毛の曲藝」は、徹底してナンセンスな世界観と、複数の芸が集まって一つの芸を構成している複雑さで同時代の他演目との間に一線を画しています。それこそ、明治宴会芸の到達点と言われる所以です。この系譜は、次の時代の「アヴァンギャルド宴会芸」へと引き継がれていきます。 |
その店は、世田谷区某駅から歩いて15分ほどのはずれにあった。にぎわう商店街を過ぎて、ひっそりとした住宅地を進む。かつてはおそらく細い川だったんじゃないかというような、緩くくねったカーブの坂をのぼり、お…
ドレスで着飾ったステージ上のフィリピーナに俺は花束を渡した。そのフィリピーナの腕には、すでに他の客から贈られた数本の花束が抱えられていたが、明らかに自分のが一番大きい。「オー、ケンジありがとうね」ライ…
あの頃、「おみせやさんごっこ」に興じた少年はどのくらいいたのだろう。カゲロウのように朧な記憶をまさぐってみると、あれは少女の遊びで、男の子はいやいや引きずりこまれるものだった。姉が弟にエプロンをさせ、…
飲むことについての原稿をよく書いていたりするので、酒場に詳しいと思われることが多い。でも実は、一人で酒場に行けなかったりするのだから、酒飲みとしては半人前だ。家で一人飲みするのは好きなのだが、一人で酒…
父親の仕事の関係で、子供のころはよく赤坂の東京ヒルトンホテルに行っていた。家族4人で年末から新年にかけ宿泊して、隣の日枝神社に初詣にいくことも多かった。ヒルトンホテルは1963年、日本初の外資系ホテル…
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!