蒲田リハビリ日記 第4回 医療リハビリテーションと認可外ゴミ回収の基礎知識 再発入院と多摩川大花火、そしてホームレス小脱走 (写真・文:リーサル・ウエポン金本)
脳梗塞を患って病院近くの蒲田へ移り住み、初めてその音を聴いた。毎週決まった曜日(資源ゴミ回収日)の早朝、ホームレスたちが自転車やリヤカーを走らせ、競うように空き缶を拾い集めてゆく。その際に生じるアルミ…
lifestyle 新宿区立総合天然宙屯地 5 最終回 埴輪のじいさんに弟子入りする (画・写真・文:小指) |
そういえば私は一度だけ、埴輪のじいさんのところへ弟子入りを考えたことがあった。このままバイト生活を続けていても将来になんの展望もないことに悲観し、いつにもまして精神的にどん詰まっていた時期だったように思う。 |
|
この独特な埴輪づくりの技法は、埴輪のじいさん本人が編み出したもので、この技法を知る人はなんとこの世にじいさんたったひとりしかいないという。ということは、この粉石鹸で作られた埴輪もこの世でじいさんしか作れないもので、唯一無二のものなのだった。 |
|
でも、花王の件がよくわからずとも、私はじいさんの人生が羨ましかった。じいさんにしか作れない埴輪をこの世に生み出した上に、今もなお人生をかけて埴輪を作り続けているのだ。それこそ、私の憧れる芸術家像だった。 |
|
翌日、下の階に来客があった。若い女性の声だった。 |
|
モラトリアムの終わり |
初めは散々に言っていたこの「埴輪ハウス」だったが、気づいたらあっという間に何年もの月日が経ち、このあまりの異常なほどの居心地の良さに、生まれた時からここに住んでいたんじゃないかと思うくらいすっかりここが「自分の家」になってしまった。ここでは誰の干渉もなく、本当に自由だ。私は、やっと見つけたこの安心の場所を、手放したくないと思った。 |
|
埴輪のじいさんとの別れ |
この家で過ごして6年目の秋口頃だったと思う。最近、埴輪さんのじいさんを家の周りで見ないなと思った。じいさんの部屋の戸は固く閉ざされ、埴輪も外に出ていなかった。もうひとつの家があると言っていたから、最近はそっちで生活しているのだろうか? 最後に会った時、「いつも家の前で立ち話はなんだから、みんなで食事でもしましょう」なんて言っていたのに、どうしてしまったのだろう。気にはなっていたのだが、その時彼氏が私の部屋に転がり込んできたり、バイトだけでなく展示などでも忙しくなっていたので、様子を見に行きたくてもなかなかできない日々が続いていたのだった。 |
|
さらば、埴輪ハウス |
結局その後、埴輪のじいさんがこの家で亡くなってしまうと、初めの約束通りこの埴輪ハウスは立て壊されることが決まった。そして、私はその立て壊しの数日前まで、この家に居座っていた。気づいたら7年もの月日が経ち、私は30代になっていた。 |
|
小指/小林紗織 https://twitter.com/koyubii |
脳梗塞を患って病院近くの蒲田へ移り住み、初めてその音を聴いた。毎週決まった曜日(資源ゴミ回収日)の早朝、ホームレスたちが自転車やリヤカーを走らせ、競うように空き缶を拾い集めてゆく。その際に生じるアルミ…
部屋の主は上海の南に位置する浙江州の州都・杭州出身のアーティスト。ロンドンに2年半の留学を終えて、上海には去年4月に移ってきた。故郷から近いけれど近すぎない、「両親からちょうどいいくらい離れていられる…
子どもの頃から現在まで「エロ」への強い思い、愛情がある。地方の低層貧民街に生まれ育ち、肉体を売ってでも強く生きてゆこうとする女性陣に圧倒されてきたからだ。彼女たちや、彼女たちを取り巻く胡散臭い男性陣の…
吉田恭淑(51歳)は、俺の高校の同級生である。彼はノイズアーティストとして世界的に評価され、音響のみならず美術の領域にまで足を踏み入れている。自由奔放な彼のセンスや発想力、やりたい放題の悪ふざけをすべ…
以前、『F』というAVプロダクションがあった。全身に和彫りの入ってるメンタルを病んだ女性や、まだ19歳なのに30歳過ぎの中年にしか見えないブクブクに太っている女性など、「この人たちは本当にAVに出られ…
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!