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バックナンバー:2023年09月27日 配信号 収録

photography 電子写真集『わたしたちがいたところ』完成!

2016年にリリースしたvol.1『秘宝館』からvol.6『BED SIDE MUSIC ―めくるめくお色気レコジャケ宇宙』までPDFフォーマットで自主制作してきたROADSIDE LIBRARY。しばらくお休みしていましたが、ようやく新作ができました! 『天野裕氏写真集 わたしたちがいたところ』。ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。


『わたしたちがいたところ』は天野裕氏にとって13冊目の作品集であり、これまで「一冊1部で一対一の対面鑑賞」というユニークなスタイルにこだわってきた彼の、公刊される初めての写真集でもあります。

本書は500枚の写真をPDFフォーマットにまとめた電子書籍として刊行されます。デジカメやスマホで撮影し、コンビニのコピー機でプリントしてきた天野裕氏には高価な印刷物としての作品集である必然性はないし、むしろ選ばれた500カット、500の瞬間をひとつも落とさず、ひとつひとつを同価値・同サイズで読者に提供することのほうが、はるかに大切だと考えました。

書類や資料のやりとりでおなじみのPDFというフォーマットなので、KindleやiBookなど、IT企業によって提供される(そしてユーザーを囲い込むための)どんなアプリも必要ありません。パソコン、タブレット、スマホ、どのようなデバイスであっても、ファイルをクリックすればそのまま瞬時に500ページの写真集が立ち上がります。ディテールに目が留まったら、拡大して写真の内部に入り込んでいくことも可能です。大判豪華本から文庫本まで、サイズによってクオリティが左右される印刷本とちがい、パソコンの大型モニターでも小さなスマホのディスプレーでも同じクオリティの視覚体験が得られます。

そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
(特設サイトより)








常に旅しながら写真を撮り続け、コンビニでプリントアウトし、自分で編集して一冊だけの分厚いポートフォリオとしての作品集をつくる。それをファミレスや喫茶店やホテルのロビーで、見料を取って一対一で披露し、その売上げで旅を続けていく・・・・・・たぶん写真家のだれもが憧れながら、だれもできていなかったスタイルで創作を続けている天野裕氏。対面のコミュニケーションにこだわってきたことから、プリントを額装して壁面に飾る通常の写真展も、印刷版の写真集もいままでいちども実現していません。彼の写真の噂は聞いていても、実際に作品を見ることができたのは幸運な少数に留まっていました。

天野くんにとって13冊目になる『わたしたちがいたところ』は、500枚の写真で構成されています。それは普通の写真集にするにはあまりに大きなボリュームですが、デジタル・フォーマットなら可能ではないか。そして、こちらのほうがさらに大切なのですが、一冊の完結した作品集としてではなく、天野くんがどんどん撮っていく写真を購入者に随時送っていくことで、常に開かれた、常に拡大していく写真集ができるのでは、という天野くんと僕らの思いからこの希有な一冊が生まれました。




 種田山頭火を放浪の俳人と呼び、山下清を放浪の画家と呼べるならば、天野裕氏(あまの・ゆうじ)は放浪の写真家である。2017年に出会ったとき、彼は展覧会をせず、写真集の出版もせず、軽自動車に寝泊まりしながら日本中を走り回り、ツイッターで「きょうはこの町にいます」とつぶやき、喫茶店やファミレスやスナックや公園で「客」を待っていた。旅の時間のなかで撮影した写真をコンビニでプリントして束ねた「写真集」をテーブルに置いて。そうしてやってきた客に「一冊千円」で写真集を観てもらう。1対1で。その見物料で食費やガソリン代をまかない、また次の場所に行く。毎日が旅で、毎日が撮影で、毎日が一期一会の、極私的な展覧会。そういう生活を天野くんはずっと続けて、いまも続けている。愛車の走行距離が20万キロを越えて潰れてから飛行機や新幹線やバス移動に変わっただけで。
 寒そうな海、フロントグラスに滲むテールライト、パンツを下ろした女の子、ぼやけた花、散らかった部屋、からまる舌、闇、光……それは旅情などという甘い語感ではとうていあらわせない、圧倒的にリアルな旅の時間の集積であり、乾いた日常であり、いつまでも終わらない旅であり、でもたしかにその旅には「情」の気配もあるのだった。


 「写真を見てください」と声をかけられたり写真集をいきなり送ってくれるひとはけっこういる。その大部分はごく私的な日常生活をスナップした写真で、正直言ってこころ惹かれるものはほとんどない。その写真を支える日々の生活にまったく興味をそそられないから。そういうどうでもいいスナップ写真と「自分の範囲5メートルの写真だけ撮る」天野くんのどこがちがうかといえば、テクニックがどうこうではなくて(カメラもコンパクトデジカメ、いまはほとんどスマホだけ)、そこに写された時間、空間、人間関係――つまり天野くんの日常の濃度・強度が圧倒的だからだ。
 「もう隠すのやめよう、病気のこともセックスのことも全部出そう。それがおもしろくないなら俺はおもしろくないし、才能ないんだってことにしよう」――写真を始めるときに決めたマイルールを信じて動き続け、撮りたいひとに躊躇なく声をかけ続ける。呼び止めて「天野裕氏で検索してみて。すごくかわいいと思うんで撮らせてもらえないですか」と頼めば「100パー、オーケー」。ブログサイトに電話番号、住所、LINE IDまでぜんぶ載せて、逃げも隠れもしないから。それで真夜中だろうがなんだろうが「写真を見たいです」と連絡をもらったら、どこへでも飛んでいく。
 長いあいだ重い鬱症状に苦しみ入院と投薬を繰り返し、「写真がなかったら死んでたんじゃないですか」という天野くん。肩書きに写真家と付けられることもあるが、「そういう意識はないし、アートやってるつもりもないし、むしろ嫌いだし、暴走族のアクセルミュージックとか、街で喧嘩してるやつらのがよほど芸術だと思うから」という天野くん。かっこいい男とかわいい女だけを撮り続けて、それが一日、一晩を生きぬくなによりの支えになると言う天野くん。そういう自分の生きざまこそがかっこいいとはまったく気づいてない天野くんが、僕には出会ってからずっといちばん気になっている写真家なのだ。

(序文:都築響一)


前述したように天野裕氏にとって公刊される初の写真集である本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。でも、これが本としての一冊ではなくて、毎年、あるいは数ヶ月にいちどずつ、何十枚と「追加作品」が手元に届き、天野裕氏の旅と人生に並走して増殖し続ける、ひとつの「生のあかし」なのだとしたら。そしてその増え続けるあかしが、スマホやタブレットのなかで、つねに自分と一緒にいてくれるとしたら。

詳細は特設サイトでご覧いただけますが、ご購入いただけたかたには天野くん本人のテキスト、僕の解説を記した小冊子と、ダウンロードQRコードを載せたカードが天野くんのサイン入りで届きます。そのQRコードをスキャンしてもらえばスマホ、タブレット、パソコンなどお好きなデバイスにダウンロードしていただけて、PDFフォーマットなので拡大などの操作も自在に楽しんでもらえます。


こんなかたちのデジタル作品集はいままでにたぶん一冊もなかったと思うし、こんな値段の電子書籍もなかったでしょう。正直言って、この『わたしたちがいたところ』がどれだけのひとに受け入れてもらえるのか、写真家本人にも、僕らにも見当がつきません。まったく前例のないプロジェクトですから。

でも、天野くんのきわめてユニークな創作のスタイルは、普通の窮屈な印刷版写真集に、普通の編集とデザインで閉じ込めてしまうにはあまりに惜しい。その思いだけで、こうしてリリースまでこぎつけることができました。これからトークなどいろんな場所でお見せできる機会もあるかと思いますが、まずは特設サイトから内容だけでも見てもらえたらうれしいです。

荒れ果てた光景と優しい息遣いが同居する「わたしたちがいたところ」に、ひとりでも多くのかたがそっと滑り込んできてくれますように。


サイン入りの封筒に小冊子とダウンロードコードがついたカードが封入されています


『天野裕氏写真集 わたしたちがいたところ』

特設販売サイト:https://roadsiders.com/amano/

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天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

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すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
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捨てられないTシャツ

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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