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2015年11月25日 Vol.189
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八潮秘宝館、開張!
告知でお知らせしたように11月13~15日の3日間、稀代のラブドール・コレクターであり、ご本人によれば「写真家兼模造人体愛好家」である兵頭喜貴(ひょうどう・よしたか)が、「自宅秘宝館」として『八潮秘宝館』を一般公開。全国から50人以上のマニアが拝観に訪れたという。兵頭さんが初めて本メルマガに登場してくれたのは2012年3月21日配信号。『人形愛に溺れて』と題したその記事は、葛飾区内の古びたアパートの一室に構築された、驚異の変態人形空間訪問記だった。
art
詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 12 堀井正明
東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。最終回となる今回は12人目の作家・堀井正明の作品を紹介する。最初にお断りしておくと、堀井正明は〈造形教室〉に属する作家ではなかった。しかし僕が〈造形教室〉の活動を知るきっかけとなった、今年6月の『第5回 心のアート展』で特集コーナーが設けられ、それは前年の作家本人の急逝を受けてであること。そして『心のアート展』実行委員である平川病院〈造形教室〉のスタッフが、残された膨大な作品群の整理・保管に関わるようになったこと。さらにこの連載1回目で紹介した名倉要造の展覧会が9月まで開催されていた宮城県黒川郡大和町の「にしぴりかの美術館」で、彼の全作品を保管することになり、そのお披露目展覧会『堀井正明回顧展 昇華する魂~絵が生きる事のすべてだった~』が、いま始まったばかりであること。そうした経緯を踏まえ、8月末から3ヶ月間にわたった連載の最後を、堀井正明と開催中の回顧展紹介で締めさせていただくことにした。
fashion
捨てられないTシャツ 19
ジョーイ・ラモーン/42歳女性(バー経営)/神奈川県生まれ、中2で夜遊びを覚える。高校時代はバンドブームど真ん中だったため、迷わずバンギャの道へ。そしてそのまま売り子になる。わらしべ長者のように様々な繋がりが生まれ、演劇映画現代美術の裏方に。DJだったりもした。その後、とあるお偉いさんの理不尽さに啖呵を切り、裏方仕事を干される。サブカル系本屋店員・雑貨屋店員・こども電話相談室の中の人を経て、新宿御苑近くの小さなバーの2代目ママとなって、現在4年目。
travel
案山子X 27 東村町かかし祭り(広島)(写真・文:ai7n)
こんにちは。ai7n(アイン)です。今回は広島県福山市の東村町かかし祭りを紹介します。広島県の東端に位置し、広島市の次に大きな都市である福山市。 福山市の西南に位置する東村町では毎年12月の第1日曜日に、とてもユニークで歴史のある「東村町かかし祭り」が開催されています。1946年(昭和21年)に始まったこのお祭りは2014年に69回目を迎えました。終戦直後ですさんでいる人々の心を和らげようと企画され、農作物を守るかかしへの感謝の気持と豊作を祈願する気持を込めて祭が始まりました。現在では地域のコミュニケーションの役割も担っており、子どもからお年寄りまでかかし作りや祭を通して交流を持てる場になっています。
movie
はぐれAV劇場 09 ザ・スキャンダル:日本で一番有名人と寝た女(文:大須蔵人)
今に始まったことではなく、ずっと以前から芸能人や有名人のスキャンダルやプライベート情報の流出などが話題となり、世間の注目を浴びることが多くある。最近では現役アイドルやアナウンサーのプライベートエロ画像が流出してネットの話題をさらうことも、もはや珍しいことではなくなってしまった。海外に目を転じれば、現代の神とも呼ばれるセレブリティたちの存在は、パパラッチたちが暴露する、きわめて下世話なスキャンダルによって補完され、その地位と名声を強化するという共犯関係を築き上げているともいえるだろう。聖と俗、現代で崇められる者たちは、それと同時に大衆からの下世話な欲望に身をさらされ、「あの人、実はこんなんだよ」という悪意ある暴露の対象となるのだ。
2015年11月18日 Vol.188
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フランス式グラフィティの教え
この原稿を書いている最中にパリの同時多発テロ第一報が、つけっぱなしのテレビから流れてきた。土曜日早朝、CNNのライブ・ニュースで、しばらく画面に釘付けになるしかなかったが、そのあと日本の地上波を見てみて、あまりの軽い扱いように、ふたたびのけぞった。現場に突っ込んでいく取材力がないのと(土曜日で支局員はお休み?笑)、掘り下げていけば当然ながら、集団的自衛権が抱え込む危険に言及しなくてはならないからだろうけれど。こんなタイミングで、パリの街のガイドのような記事を書くのはどうかとも思ったが、こんなときだからこそ書くべきかとも思い、そのまま進めることにした。日本ではいまだ「落書き」扱いのグラフィティだが、それがきわめて先鋭的なメッセージを発信するメディアとなり得ることを、記事から読み取っていただけたらうれしい。文中でも触れるが、いまごろパリの街角では、テロの犠牲者たちに捧げるグラフィティが、爆発的なスピードで生まれているはず。都市の生命力とは、そういうエネルギーのことを言うのだろう。高層ビルの数とか、巨大店舗の売上高とかではなくて。
fashion
捨てられないTシャツ 18
座頭市/51歳女性(主婦)/大阪出身。中高時代は部活(バスケット)に明け暮れていたが、短大卒業後、某コピー機器会社に入社し、上京する。その時期からブラックミュージックにハマって、夜の部活に明け暮れるように。東京の生活に疲れ、大阪に戻ってきてからも、酒好きが嵩じて西道頓堀にあったソウルバー『マービン』の常連客になり(近所には系列店の焼肉ハウス『セックスマシーン』もありました)、そこで知り合ったのが今の旦那。
fashion
「和服」の誕生――日本衣装絵巻展を見る
「着物」と言い、「和服」と言う。でも店は「呉服屋」。外国圏では「KIMONO」で通るだろうが、欧米で着ているものは「アパレル」だったり「ウェア」だったりして、「ウェスタン・アパレル」なんて言いはしない。着物という存在のありようは、そのまま重層的な日本文化のありようなのかもしれない。現存するいちばん古い着物って、なんだろう。正倉院に残っている布はいまから1200年以上前のものだけれど、それはあくまでも「裂(きれ)」、断片であって、身につけるまるごとの着物というのは、だいたい江戸、いちばん古くて桃山ぐらいではないだろうか。それは掛け軸や屏風や刀剣や焼き物とちがい、着物を美術品として見ることが一般的ではなかったことなのかもしれないし、素材がそんなに長期間、完全な状態で保存できなかったからかもしれない。
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詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 11 松本作和子
東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。大詰めが近づいた今回は11人目の作家・松本作和子の作品を紹介する。松本さんの作品に出会ったのは、先週の石澤孝幸と同じく、今年6月に池袋の東京芸術劇場で開催された『第5回 心のアート展』だったが、「このひとはプロのイラストレーターか漫画家だったのが、たまたまこころを病んでここにいるのではないか?」と思わせてしまうような、達者な筆使いだった。
2015年11月11日 Vol.187
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花咲く娼婦たちのかげに――オルセー美術館『華麗と悲惨:売春のイメージ』展
先月2回にわたって紹介したアウトサイダー/ロウブロウ・アートの展覧会『HEY!』に、見世物小屋絵看板コレクションで参加した折り、ちょうどオープニングがあるというので楽しみにしていたのが、オルセー美術館の『Splendeurs et misères, Images de la prostitution 1850-1910』という展覧会だった。ご承知のとおりオルセー美術館はセーヌ河畔近くの、もともと駅舎兼ホテルだった巨大な建物を改造した、19世紀美術に特化した美術館。正確には二月革命の1848年から第一次大戦勃発の1914年までの期間を扱い、それ以前はルーブル、以降はポンピドゥ・センターという区分になっている。特に印象派のコレクションが有名で、パリ有数の観光名所として日本からの観光客にもおなじみ。本メルマガではちょうど1年前の2014年11月19日配信号で『サド展』を紹介したが、それに続く意欲的というか、挑戦的な企画展が今回の『Splendeurs et misères』だ。
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秘密の小部屋とエロティック・プリント
オルセー美術館で古き良き時代のフレンチ・エロに浸ったあとは、ぜひ立ち寄っていただきたい店がある。いや、娼館じゃなくて。ラーメン屋に安居酒屋(安くないが)、焼肉屋が軒を連ね、なんだか日本のどこかの駅前飲み屋街の様相を呈しつつあるパリ・オペラ座かいわい。その裏手のシャバネ通り(rue Chabanais)に店を構えるのが『Au Bonheur du Jeur(オウ・ボヌール・ドゥ・ジュール)』だ。ここは19世紀から20世紀前半の、エロティックなビンテージ写真プリントや素描、版画を専門に扱う画廊であり、またそうしたコレクションを書籍として発表する出版社でもある。
fashion
捨てられないTシャツ 17
スヌーピー/40歳女性(翻訳、tassel boyの制作・広報など全ての業務)/生まれたのは新宿だが、八王子に近いほうの相模原に中学のときに引っ越す。自分のおおらかな性格はそこで培ったと思う。中学校は都内のはずれで、学校帰りに遊んでいたのは渋谷や町田。ほとんど校則がない自由な校風で、大学まで同じ学校に通うことに。学生時代は「自分で責任を取るかぎりは好きなことをしていい」と言われていた。お母さんが自由なひとだったので、その影響が大きい。大学生になると車に乗り始めて、親からは「あなたは4年間で東京の裏道をかなり覚えたね」と言われるほどに。
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アウトサイダー・キュレーター日記 08 飯島純子(写真・文:櫛野展正)
鮮やかな色彩の絵画に出会った。皮膚のしわが大胆にデフォルメされ、画面の端に大きく描かれた「JuNKO」のサイン。何より、アクリル絵の具と一緒にラメやシャドーが画面に塗りこめられている。ぼくは今まで、こんな風に直接化粧が絵に施された絵画を見たことが無い。この絵の作者に会うため、茨城に飛んだ。都心から約40キロに位置する茨城県つくばみらい市。江戸時代の探検家・間宮林蔵の出身地としても知られるこの場所は、ことし開業10周年を迎えた首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの誕生に伴い開発が進んだニュータウンが広がっている。駅からほど近い住宅街の一角で、作者の飯島純子さんは父親と暮らしていた。1973年に茨城県筑波郡伊奈町小張(現在のつくばみらい市陽光台)で生まれた飯島さんは、現在41歳。これまで5箇所の病院を渡り歩き「強制退院になったこともあった」と語る。
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詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 10 石澤孝幸
東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。今回は石澤孝幸の作品を紹介する。今年6月に池袋の東京芸術劇場で開催された『第5回 心のアート展』を取材させてもらったのが、この連載のきっかけになったことは前に書いたが、そのときに石澤さんの作品も見て、そのあと八王子の平川病院を訪れてみると、〈造形教室〉の片隅に立てたイーゼルの前で、展覧会で見たのとそっくりな絵に向かっている石澤さんがいた。不思議に思ってスタッフの方に聞いてみると、それはそっくりな新作ではなくて、展覧会に出した作品に、さらに手を入れているのだという。
2015年11月04日 Vol.186
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明るさも暗さも底なしの国で――BEAUTÉ CONGO展@パリ・カルティエ財団
先週、ふたつの展覧会を観に、パリに行ってきた。今週、来週とその紹介をしたいのだが、今週はまずカルティエ財団で開催中の『BEAUTÉ CONGO 1926-2015 CONGO KITOKO』にお連れする。アフリカというと、どうしてもプリミティブ・アートに偏った紹介になりがちだが、本展はタイトルどおりコンゴの近代美術を体系的に展示する、画期的な展覧会である。ちなみにタイトルにある「KITOKO」とはコンゴの言葉(リンガラ語)で「美しい」「きれい」などを広くあらわす表現。「かわいい」や「おいしい」にも使えるそうなので、覚えておくといつか役に立つかも。
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詩にいたる病――平川病院と東京足立病院の作家たち 09 佐藤由幸
東京八王子の精神科病院・平川病院と、足立区竹塚の東京足立病院で安彦講平さんが主宰する〈造形教室〉から生まれた作家たちを紹介する短期集中連載。今回は佐藤由幸の作品を紹介する。平川病院の〈造形教室〉を初めて訪れたとき、すらっとした青年が大きなスケッチブックを、はにかみながら見せてくれた。柔らかな物腰と、紙の上に描かれている激しい感情の表出。そのギャップの大きさに驚いた。それが佐藤由幸さんだった。佐藤由幸、1973年生まれというから42歳になるはずだが、とてもそんな歳には見えない、若々しいルックスである。
fashion
捨てられないTシャツ 16
GAP/67歳女性(著述業)/熊本県生まれ。子どものころから映画が大好き。「悲しみよこんにちは」のジーン・セバーグや、オードリー・ヘップバーンのボーイッシュなスタイルなど、映画に出てくるファッションにすごく憧れたものの、地元にはそんな洋服を売っているお店がないので、母親に頼んで作ってもらったりしていた。高校を卒業したら早く家から出たいと思っていたが、まったく勉強していなかったので大学は諦め、試験のなかったセツ・モードセミナーに入学。
movie
路地裏のビンテージ・エロ――フランス最後の成人映画館ル・ビヴァリー潜入記
メトロのボンヌ・ヌーヴェル駅を降りると、目の前にアールデコ様式の巨大な映画館がそびえている。「Le Grand Rex(グラン・レックス)」は1932年に開館、収容人数2700~2800人を誇るパリ最大の映画館だ。そのレックスから徒歩30秒、カフェ脇の小路を入った先に客席数90、サイズから言えばレックスの1/10どころか1/100くらいの「ル・ビヴァリー(Le Beverley)」がある。こちらはフランスで唯一、1970年代から80年代にかけてのフランス製ポルノ映画を、いまも35ミリ・フィルムで上映し続けている「成人映画館」。フランスではすでに1990年代に35ミリ・ポルノ映画最後の配給会社が消滅したというから、ここはヴィンテージ・フレンチ・ポルノを銀幕で、オリジナルの状態で鑑賞できる、唯一の重要な上映館なのだ。
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BOOKS
ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
捨てられないTシャツ
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
圏外編集者
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
独居老人スタイル
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
ヒップホップの詩人たち
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
東京右半分
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!