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  • 編み物☆堀ノ内の「帰ってきた肖像編み物」 第7回 ダリオ・アルジェントとアーシア・アルジェント  オーダーした人/吉本ばなな(小説家) (写真:久富健太郎 / 聞き書き:川上雅乃)

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バックナンバー:2024年05月01日 配信号 収録

design 編み物☆堀ノ内の「帰ってきた肖像編み物」 第7回 ダリオ・アルジェントとアーシア・アルジェント  オーダーした人/吉本ばなな(小説家) (写真:久富健太郎 / 聞き書き:川上雅乃)

今日のお客さんは吉本ばななさんです。うちには吉本さんの本が新旧何冊もあるので、インスタグラムのDMで問い合わせをいただいたときには「え。本物?!」とビビりました。吉本さんは神保町の「(元)鶴谷洋服店」に文化屋雑貨店の物を見に行ったとき、編み物☆堀ノ内のディヴァインのバッグを目にして僕を知ってくださったそうです。吉本さんが「人生でいちばんはじめに、本当に惹きつけられた」というイタリアン・ホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェント監督と娘のアーシアさんの肖像を編みました。


ダリオ・アルジェント
1940年9月7日、ローマ生まれの83歳。イタリアの映画監督、映画プロデューサー、脚本家。イタリアンホラー映画の巨匠として知られる。1970年、『歓びの毒牙』で映画監督デビュー。同作は1971年の『わたしは目撃者』と『4匹の蝿』とともに「動物3部作」で人気監督の地位を確立。1975年に『サスペリアPART2/紅い深淵』、1977年に『サスペリア』を監督し、ホラーの新しい境地を切り開いたとされる。その後の監督作品に『インフェルノ』(1980年)、『シャドー』(1982年、)『フェノミナ』(1985年)、『オペラ座/血の喝采』(1987年)、『トラウマ/鮮血の叫び』(1993)、『スタンダール・シンドローム』(1996)、『オペラ座の怪人』(1998)、『スリープレス』(2001)、『デス・サイト』(2004)、『サスペリアテルザ/最後の魔女』(2007)、『ジャーロ』(2009)、『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』(2012)など。2023年には10年ぶりの新作『ダークグラス』が公開された。

アーシア・アルジェント
1975年9月20日、ローマ生まれの48歳。女優・映画監督。ダリオ・アルジェントと女優ダリア・ニコロディの次女で、姉のフィオーレ・アルジェントも女優。1986年、11歳のときアルジェント監督が製作・脚本を務めた『デモンズ2』に出演。以降、父の監督作『トラウマ/鮮血の叫び』『スタンダール・シンドローム』、『オペラ座の怪人』、『サスペリア・テルザ 最後の魔女』に出る。1994年には『DeGenerazione』で初監督。2004年には『サラ、いつわりの祈り』で監督・脚本・出演。2001年生まれの娘アンナ・ルー、2008年生まれの息子ニコラ・ジョヴァンニがいる。

アルジェント監督の映画は私の原点

ダリオ・アルジェント監督の作品をはじめて観たのは小6。『ゾンビ』(1979)でした。まず、映画で使われているゴブリン(アルジェント監督のやってるバンド)の音楽を「すごい!」と思って、音楽監督をやっていたアルジェント監督に興味をもちました。『ゾンビ』の監督はジョージ・A・ロメロですが、色彩感覚とか、音楽と映像の組み合わせは完全にアルジェント監督のセンス。それはのちに、アルジェント監督の『サスペリア』(1977)を観て気づきました。私がぐっときたのはこれだったんだ!って。


『ゾンビ』を初めて観た1978年は、数年前にベトナム戦争が終わって、日本は高度経済成長期が終わったけどまだ経済成長してて、大人たちはやたら働いてる一方でいろんな思想が出てきて、人々の心が揺れている感じがあった、そんな時代。子ども心に「世界はこのままどうなっちゃうんだろう?」と感じていたときに観たので、余計心にくるものがあったんだと思います。社会の状況も『ゾンビ』で理解しました。アメリカには、日本にはまだなかった豊かさの象徴としてのショッピングモールがあって、そこには物がたくさん並んでいるけど、ゾンビのいる世界では役に立たないとか、人種差別というものがあって、プエルトリコの人が差別されて最初にゾンビになっちゃって小さな区画に閉じ込められてしまうとか、そういうことです。

中1のときに観た『サスペリア』で決定的なことに気づきました。アルジェント監督の映像は、私の「見え方」と同じだったんです。私は子どもの頃弱視で左の視力が0.001しかなく、訓練して視力を取り戻しています。その過程でなにか変なことが起きたんだと思うんですけど、物の見え方とか角度とか、あとなんて言うんだろう……夜になると葉っぱがすごく近くに光って見えるとか。こんなの私だけだろうと思っていたけど、『サスペリア』の映像、たとえば冒頭の雨のシーンは、私の目の見え方と完全に同じでした。こんなふうに物が見えるのは自分だけだ思ってたから、「私と同じ人がいる!」と知って、それでもう本当にぐっときちゃって、それからずっとアルジェント監督一筋で生きています。

アルジェント監督が映像にしているのは、人間の無意識の世界だと思います。恐怖とか、せつなさとか、孤独など、心の奥底にあるものが、あり得なく美しい色彩で映像化されていて、観るたび心に力を与えてくれる。映画と文章はまったく異なる表現ですが、アルジェント監督の映画は私の原点で、こういう世界に近づきたい!とずっと思いながら書き続けています。だから、わかる人が見れば、私の作品はアルジェント監督の映像にそっくりだということに気づくと思います。

初めて会ったとは思えなかったアーシアちゃんとフィオーレちゃん姉妹

アルジェント監督に初めて会ったのは1990年代。私の本がイタリアで出版されることになってイタリアのナポリに行き、そのとき出版社の人が会わせてくれました。そこには娘のアーシア・アルジェントちゃんがいて、『フェノミナ』(1985)って作品で一番最初にざっくり殺されてしまう役を演じたフィオーレちゃん(アーシアちゃんのお姉さん)もいました。この豪華な顔ぶれでごはんを食べました。

アーシアちゃんとフィオーレちゃんはあるときからアルジェント監督の作品にたびたび出るようになって(さすがイタリア人、家族で一緒に働く)、少女だったふたりが映画のなかで成長していく様子を見てきました。だから長い時間をともに過ごし、一緒に育ってきたような感覚があり、初めて会った気がしませんでした。

私のすべての出発点はアルジェント監督の映画なので、「私は監督が描く世界の住人だ!」「私のことをみんなわかってくれている!」という感覚をずっと持って生きていましたが、みんなの姿を見たことはなく、その世界はいわば仮想現実だったわけです。それがこうして同じ場所にいる。「これは現実なんだ! みんな生きてるし、笑ってるし、普通にごはん食べてる!」と感動しました。

アルジェント監督はとてもやさしくて、賢くて、素敵な人でしたし、もう成人していたアーシアちゃんとフィオーレちゃんも可愛かった。アルジェント監督の作品の中でのアーシアちゃんはいつも、これでもかというほどひどい目に遭わされていますが、私の目の前にいるみんなは、映画の怖い世界観とは違う(当たり前か…)、仲のいいイタリアの家族って感じでした。

アーシアちゃんとフィオーレちゃんと気が合ったのは大きな喜びでした。とくにアーシアちゃんはいろんな事を経験しすぎてるぐらいですが、どんなことを話しても、何となく似たようなことを考えてるのかなと感じ、「仲間だ!」と思いました。アーシアちゃんは私の小説『キッチン』(1988)を気に入ってくれていたし、フィオーレちゃんは『ハードボイルド/ハードラック』(1999)という、私の作品のなかではかなりマイナーな小説を熱狂的に好きで、いつもバッグに入れて持ち歩いていると話してくれました。そんなふうに通じ合うのは、私たちはみんな、アルジェント監督の映画で育っているからだと思います。原点が同じ。


愛犬のオイ子ちゃんと。「名前はスティーヴン・キングの長編小説『ダークタワー』に出てくる犬のような生きもの、Oy(オイ)ちゃんから取りました」。

オバケのQちゃんはガードが堅そうだ

編み物☆堀ノ内さんを知ったのは、神保町の雑貨屋の(元)鶴谷洋服店のサイトです。(元)鶴谷洋服店には、文化屋雑貨店の長谷川さん(店主だった長谷川義太郎さん)が今も作っている雑貨が置いてあるっていうので、見に行きました。お店でディバインの編み物のバッグを見て「編み物☆堀ノ内」の本を買って、とてもいい本なので読み込み、結局バッグ(牛肉の柄とネコの柄)を神保町に買いに行った記憶があるのですが、それがきっかけでセーターを注文したいと思いました。

「編み物☆堀ノ内」の本を読んだらみなさん自分のセーターに託す夢をかなえているので、もしも自分がひとつだけモチーフを選ぶとしたらなんだろう?と思い、最初に思いついたのはQちゃん(藤子不二雄の『オバケのQ太郎』)でした。

Qちゃんは子どもの頃からすごく好きで、引っ越しても本を捨てずに、つねに一緒にいます。たとえば『ドラえもん』は役立ち過ぎるというか、全体に出来過ぎている感じがしますが、『オバケのQ太郎』はまったく役に立たない。作品自体も混沌としていて、訳わかんないところが大好きです。


藤子・F・不二雄先生が亡くなったときに入れた入れ墨。「このQちゃんをずっと見て育ってきたうちの子どもは、すべての母に絵がついてると思い込んでいて、幼稚園のお友達に“君のママには何がついてるの?”なんて聞いてました。で、こんな絵が付いているのはうちのお母さんだけだったという…」

左目が弱視でほとんど見えなかった幼少時、見えない方の目を鍛えるために、見える方の眼に眼帯をして暮らしていました。そのとき「Qちゃんの漫画が読みたい!」って頑張って、その念力で見えない方の目が見えるようになったくらいです。

ただQちゃんを編んでもらうとなると、「権利」がある。藤子プロのかたに入れ墨を見せたとき、あ、権利…!ってハッとして「入れ墨に®️って入れた方がいいですか?」と聞いたら、「それだと公式になってしまいますね…」ってまじめにおっしゃっていて。Qちゃんを編んでもらったところで川崎の藤子・F・不二雄ミュージアムにも着ていきづらいだろうなぁと思ってQちゃんのセーターは断念。でもアルジェント監督とアーシアちゃんの2人なら、なんとか許してもらえる自信があったので、ふたりを編んでもらうことにしました。


編み物の元にした写真。「2人が一緒にいる写真はなかなかないので、これは貴重。アーシアちゃんは入れ墨を入れる前の時代です」


製図


《ダリオ・アルジェントとアーシア・アルジェント(2023):機械編み》

セーターでは仲よさそうですが、彼らはひんぱんにけんかする親子でもあります。けんかのテーマは、映画に出る出ないとか、監督が出てくれとか言ったのに娘が他の撮影で忙しいとか、その逆とか、私が出るって言ったのになんで出さないのか、など。そんなふたりに仲良くいてほしいという願いも込めています。撮影に入るとなかなか連絡がつかない親子なのですが、編み上がったセーターの写真を送ったらすごく喜んでくれました。

編み物☆堀ノ内の話「アルジェント監督は編み映えする」

吉本さんからInstagramのDMで「うんと時間がかかってもいいので、ダリオ・アルジェント肖像ニットをお願いできますでしょうか?」と問い合わせをいただき、メールを何回か往復して打ち合わせしました。絵柄の元になる写真が数枚あったなか、バッチリ撮られたこれを選びました。吉本さんの「私は「親子」(のいちばんふたりともいい顔の時期)を推したいと思います」という言葉が決め手でした。仕事をずっとしている女の人の「あるある」で、吉本さんも決断や返信が早いひとでした。「う~ん」ってならない。

若くない男性(おじさんやおじいさん)の肖像を編むのは得意です。特徴を忖度せずに表現できるし、しわや凹凸があるから、編んだときに絵になります。アルジェント監督も典型的な編み映え顔」。顔のゴツゴツした骨格とこの眼光、そして、このひとにしかない灰汁がしたたっていて、製図にした次点で完成が見えました。

一方、若い女性、とくに美人と言われているような人を編むのは、ほんとに難しいです。毛糸の表現は描いたものより粗くなるので、特徴をやや強調して編まないと伝わらないのですが、そうすると美人じゃなくなっちゃったり、ご本人が見たとき「え…これ私?(ヤダ)」って思うであろう仕上がりになりがちなんです。そこで特徴の表現をを控え目にすると、ツルツルした「普通の美人」になってしまって本人に似ず、「だれこの人?」と気まずいことになってしまう。最近も女優さんの肖像をオーダーいただき、非常~に苦戦しました(似てなさ過ぎて編み直し)。その点このアーシアさんは、上手く編めたと思います!


服も「やりたい放題」に近づいていく気がする

私はバブル世代なので買い物は好きで、服もよく買います。好きなのは高級品よりも(あ、ギャルソンだけは例外)、「私、あの時代、よくあれ着ていたな」みたいに記憶に残る服。子どもの頃に着ていた、日本人は絶対思いつかないような、とんでもない柄や配色のワンピースを今もはっきり覚えていますが、そういう服が好きです。

よくオーガニック系だと思われるんですけど、服については、その要素は本当にゼロです。これから先、おばあさんになっても、民芸調には絶対行かないなって思ってます。私は体のことに興味があって、鍼灸とかロルフィング、代替医療なんかが好きだから、じゃ、オーガニック系ですよね?ってなるのでしょうね。中身はそうかもしれないけど、身につけるものは違います。

30代くらいまではライフスタイルも自分自身も定まっていなくて、何を着るかも定まっていませんでした。その後40代になって、いつも服に子どものよだれや汚れをつけられていた時代を過ぎ、人前に出たときどう見られるのかを気にする時代も過ぎ、今は自分が好きと思う服を堂々と着て楽しもうと思っています。また、本当に好きと思う服にお金を使い、今持っている服は大切にしようとも思っています。編み物☆堀ノ内さんが作るものは色が素晴らしいから、差し色にすることが多いです。

服は本や居酒屋と並んで、私の生きがいのひとつです。今年60歳になりますが、これから人生の最後まで、やりたい放題っていうのにどんどん近づいていく気がしています。理想は上も下も全身真っ赤の「赤いおばあさん」ですね。


吉本ばなな
1964(昭和39)年、東京生れ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。1987年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1988年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、1989(平成元)年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、『TUGUMI』で山本周五郎賞、1995年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版され、イタリアでスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞〈Under35〉、マスケラダルジェント賞、カプリ賞を受賞。近著は『はーばーらいと』(2023年/晶文社)。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も幻冬舎より発売中

編み物☆堀ノ内
1967年神奈川県生まれ。2013年、44歳のときに「毛糸で絵を描きたい」と編み物を習得し、2015年より「編み物☆堀ノ内」名義で活動を開始。家庭用編み機を使って肖像を編むほか、岡村靖幸や中村達也などミュージシャンとの編み物コラボ、フィギュア・メーカー「メディコム・トイ」とコラボでニット・ブランド「KNIT GANG COUNCIL」も手掛ける。https://amimono.tokyo/

編み物☆堀ノ内SHOP
https://amimono-horinouchi.com/

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ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
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捨てられないTシャツ

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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