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バックナンバー:2014年12月25日 配信号 収録

design 裸眼の挑戦——若生友見とragan books


『Disastered Boys』2010

新国立競技場問題でいま話題の神宮外苑の一角で(日本の建築家オヤジって、自分たちは海外でさんざん好き放題やっときながら、よく言うよな~)、この秋に開かれた東京アートブックフェア。ドキドキクラブや公園遊具の木藤富士夫など最近のメルマガで紹介した写真家、アーティストに何人も出会うことができたが、たくさんのブースのなかで、びっくりするほどシャープというか、クレバーなデザインのジンを並べているテーブルがあった。

テーマは日本だけど、扱うセンスはむしろ欧米のクールな感性が漂っていて、もしかしたら東京在住の外国人デザイナーなのかも・・・とか思いつつ、店番をしていた若い女の子に尋ねてみたら、「これ、私が作ったんです」と言われてびっくり。それも東京ですらなく「仙台でやってます」というので、「仙台市ならよく行きます、デザイン事務所とか?」と聞くと、「いえ、仙台市じゃなくて七ヶ浜・・・知らないですよね」。「えーっ、そこでデザインのお仕事を?」「いえ、学習塾で教えながら、これ作ってるんです」と言われて絶句。それが宮城県七ヶ浜町在住の若きグラフィック・デザイナー、若生友見(わこう・ともみ)さんなのだった。


津波に押し流された七ヶ浜の海沿いで

仙台市の郊外とも言える七ヶ浜は、松島のすぐ南側に位置する、ウィキペディアによれば「東北地方の市町村のうちで最小の面積」を誇る町。事前に若生さんに「どこでお会いしたら?」と伺うと、「町内にカフェとかないので、公民館内の生涯学習センターで」と言われたほど、まあひなびた場所ではある。七ヶ浜も震災で大きな被害を被ったが、若生さんの実家はすぐそばまで津波が来たものの、わずかな差で九死に一生を得たという。インタビューのあと、被害を受けた海沿いを案内してもらったが、そこにはいまだガレキを片付けただけの、荒涼とした空き地が見渡すかぎり広がっていた。

若生友見さんは1986年生まれ、いま28歳。生まれたのは仙台だが、小学校4年生のころ、両親の離婚があって、母親と七里ガ浜に移り住むことになった。

小さいころから、絵を描くのは好きだったんです。それもあったのと、あと制服を着るのが嫌で、高校は仙台の宮城野高校美術科に行きました。お母さんも、「自分は会社勤めのときにやりたいことがやれなかったから」って応援してくれて。

美術科は2年で専攻がわかれるんですけど、そこでデザインを選んだのが始まりですね。担任が変わった先生で、ミニゼミみたいなのを開いては、ビョークのPVとか、おもしろい映像をいろいろ見せてくれたりしました。

大学は山形市の東北芸術工科大学、グラフィックデザイン・コースです。そこでふつうに勉強してたんですが、卒業が近づくにつれて、みんなが目指すような商業的なデザインにまったく興味が持てなくて。それでとりあえず大学院に進学しまして、25歳で卒業しました。


『Comic Stripe』2010

そのあと・・・東京には行きたくなかったんです(笑)。理由は、ゴキブリのいるところが嫌で! それで七ヶ浜の実家に戻ってきて、昔のテキストを引っ張りだして勉強しなおして、学習塾の先生になっていま2年目。毎日、学校が終わる4時ごろから、10時ごろまで英語を教えてるんです。

こういうジンというか作品集は、卒業制作でつくったのがきっかけでした。指導教官に、作品だけじゃなくて本も作ってみたらとすすめられて。それで卒制で10冊つくってみたときに、「ragan books」という名前もつけたんです。そのころはジンという言葉すら知らなかったですが・・・。

若生さんが運営するragan booksのウェブサイトには、その趣旨がこう書かれている――

色眼鏡をはずして、もう一度よく見てみよう。
「これまでの概念を覆す」ような大それたことではありません。

今までの経験や生活上の暗黙の了解のせいでよく見えていなかった部分や、たとえ見えていてもあまり意識されることなく数秒後には忘れてしまうような、そんな日常に点在する、ちょっとした違和感や疑問。それらを本の形に落とし込み、反復させ、日常的な意味を剥いでしまうとただの図となり、そこに「物そのもの」が見えてくるはずです。

さて、毎日毎日見ているごく普通の風景は、本当に“普通”の風景なのでしょうか。


『condolences circle』2011

たとえば開店祝いや葬式の花輪とか、道路上のサインやお惣菜のプラ皿や、日常生活のなかで出会う異様なデザインはたくさんあるのに、それがあまりにも日常的であるために、僕らにはもうそれが「異様」には見えなくなっている。日本にしか存在しないものであるとも、認識しなくなっている。大学院在籍当時の研究発表で、若生さんはそれをこんなふうに表現していた――

デザインと離れた世界にいる一般の人々は、世界のあらゆる物に人の手が加わっているということを、ほとんど意識せずに生活をしているのではないか?と思う瞬間が今までに何度かあった。

「なぜこれが今まで見えなかったのだろう?」という、閲覧者の自らへの問いを誘発すること。作品自体を楽しむよりも、見え方の変化を体験すること。

私専用の眼鏡を閲覧者にもかけてみてほしいのではなく、閲覧者が既にかけている色眼鏡を外したいのである。

「慣れ」という色眼鏡。それを裸眼で見たらどうなるかと問いなおす試み、それが ragan books の挑戦なのだった。

それで大学院に在籍していた2010年から、当時2回めだった東京アートブックフェアに出すようになりました。それが秋なので、あとゴールデンウィークにあるイベントと、年2回は出展するようにして、それにあわせて新作をつくるようにこころがけてます。


2013年、SICF14(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)での展示ブース。後藤繁雄賞を受賞

これまで20冊ほど発表された若生さんの作品集は、しかしブックフェアなどのイベントと、あとは本人のウェブサイトでしか購入することができない。

一冊ごとにだいたい20~30部ほど、オンデマンドで制作しまして、それを700~1000円で販売してます。つくってるのは自宅の6畳間、それが倉庫兼寝室兼作業場ですね(笑)。

ウェブサイトでも販売してるけど、どこにも宣伝してないので、注文は年にひとり、ふたりくらいしかないんです。ブックフェアで見て、買ってくれるのがうれしいんですね。発送もめんどくさいし(笑)。それに私としては、ここまで自分で売ることにこだわるのは、なんでかというと・・・けっきょく「ヘンな感じに売られるのが怖いから」なんでしょうね。サブカル扱いされるのが嫌なんです。これは、自分としてはあくまでデザインの仕事の延長であって、アートじゃないと思ってるから。


『glassland on the table』2014

テーマの設定から始まって、撮影、デザインから販売サイトの構築、受注発送まで、若生さんはragan booksのすべての作業をひとりで、七ヶ浜の自宅でこなしている。学習塾での授業の合間に。それは個人の情熱とセンスと、コンピュータとインターネットというテクノロジーの、もっとも幸福な結合の一例でもある。

「最終的にはこれで食べていければいちばんいいけど、儲け方がまったくわからないし」と言って笑う若生さん。世界中のほとんどのデザイナーがAppleとAdobe(とGoogleとAmazon)を仕事のベースとするようになって、それをグラフィック・デザインの画一化と危惧する声もよく聞く。一面、それは的を得ているけれど、そういう悠長な論議の前に、「どうしてもなにかをかたちにしたい」志を抱いた、持たざる者にとってのほとんど唯一の武器、それがテクノロジーであることも間違いないはずだ。

ほかのすべての分野と同じく、クリエイティブなデザインの領域でも、「東京だからこそ」の優位性がすでに崩れ去っていることのリアリティを、ragan booksのシリーズは、有無を言わせない完成度でもって、鮮やかな啖呵として、僕らに突きつけてくれる。


[ragan books no.01~20 一挙紹介ギャラリー]



001 Disastered Boys 2010.07.30
交通事故、感電事故など、子供用の危険注意看板イラスト・コレクション。




ページの端にはさりげなく、看板のロケーションを示すGPS座標データが!


裏表紙とオマケ。ragan booksのほとんどには、凝ったオマケが封入されている。





002 Bookstore Color Chart 2010.07.30
新刊書店、古書店の棚に見る文庫本の背のカラーチャート。






裏表紙とオマケの特製スリップ





003 Girls, over the dimensions 2010.07.30
キャバ嬢のポートレートと、少女漫画の顔。パッチリの眼を入れ替えて、対抗ページに配置したシリーズ。オマケのかわりに、表紙の右下にラインストーンが貼り込まれている。






裏表紙



004 Comic Stripe 2010.07.30
分厚い漫画雑誌の小口(背と反対の断裁面)を、ストライプの集合として見たもの。画像処理によって単純化していくにつれ、それは抽象的な色の流れとなっていく。英語の漫画を意味する「コミック・ストリップ」に掛けたタイトルも秀逸。




各ページの端に、極小文字でもともとの漫画雑誌名を記載。


裏表紙とオマケ。





005 Day not Day 2010.07.30
伝統的な「日めくり」を、文字組のフォーマットとして見なおしたシリーズ。






裏表紙。全面が「謹呈」の熨斗紙にくるまれている。





006 alcoholics 2011.07.16
「ソシアルビル」と呼ばれる、日本特有の飲食雑居ビルの看板コレクション。




撮影された看板は、画像処理によって正確なグリッドに配置されている。


裏表紙と、オマケには仙台・国分町のカラオケスナック『ジュピターの店 音痴貴族』のマッチ入り!





007 not open 24 hours 2011.07.16
非常口サインの、緑の明かりに照らされた夜の風景コレクション。








裏表紙と、オマケにサインシール2枚入り。





008 congratulations circle 2011.07.16
開店祝いなどでお馴染みの造花花輪を集め、その色彩に注目した一冊。






裏表紙と、オマケの花輪カード。





009 condolences circle 2011.07.16
こちらは葬儀の花輪を集めた一冊。




裏表紙と、こちらも花輪カード入り。





010 funeral borders 2012.05.03
新聞の死亡広告、その黒枠をデザイン・エレメントとして捉えたコレクション。


こちらが典型的な死亡広告ページ。


その黒枠だけを抜き出すと、こうなる!


裏表紙と、オマケには指差しシール。





011 ILLumination 2012.09.21
パチンコ屋の店頭でカラフルに点滅するクリスマス・イルミネーションを連続撮影、フリップブック(パラパラ)にした一冊。







012 a piece of pie please 2012.09.21
ギャル男のヘアスタイルに注目、その角度と、世界の様々な統計を円グラフで比較したコレクション。鋭すぎる!


左:ギャル男、右:世界で雷に打たれて死亡した人間のうち、南アフリカ人の占める割合=ともに13%


左:ギャル男、右:クロアチアにおける女性閣僚の割合~ともに26%





013 sweets for the deceased 2012.09.21
仏壇に供えられる落雁のコレクション。






裏表紙と、オマケの落雁シール。





014 The land of survey 2013.05.05
土地測量のマークに使用される、ピンクのリボンがある風景を記録した一冊。ほかはほとんどが16~20ページな以外のペーパーバックなのに対して、こちらは60ページ、布張りハードカバーの重厚な造本を、実物のピンクリボンで巻いてある(限定10部!)。




むろん被災地だからこそ、おびただしい数のピンクリボンが風景の中にあるわけだ。





015 spam and cheese 2013.09.21
イエローページ(職業別電話帳)そっくりにつくられた一冊。中を開けると、びっしりと文字が並んでいるが、それらはすべて、若生さんのもとに送られた(多くはエロ目的の)スパム・メールなのだ。


実際にプリントされているのは数ページ。あとは膨大なスパム・コレクションがディスクに収録されている。


ページを開けるとこんなことに。


「1年前に主人を亡くした未亡人です」「変態かも、でも経験してみたいなぁ」など、妄想の夜露死苦現代詩がぎちぎちに詰まっている。そしてもちろん、「イエロー・ジャーナリズム」といえば、東スポ的な実話系メディアを指す言葉でもある。





016 cut (t)here 2013.09.21
葉書、チラシなどさまざまな印刷物の「切り取り線」を並べてループ状にした一冊。




背面には地球を一周する赤道が描かれている。





017 Don't fire me 2013.09.21
花火、それも大掛かりなものではなく、線香花火のような地味な花火を並べて、大玉の花火を表現したもの。






裏表紙、オマケには本物の花火が一本。





018 Blue Films 2014.09.19
なぜか決まってブルーの、ビニール風呂敷コレクション。実物のビニール風呂敷で包まれている。「ブルー・フィルムズ」というタイトルもヒネリが効いてます!


風呂敷を開けるとあらわれる本の表紙。




ブルーに水玉というお決まりのデザインが、新鮮なグラフィックに変容する。





019 glassland on the table 2014.09.19
こちらも日本人ならだれでも知っている「バラン」(プラスチック製の人造葉シート)に着目した、デザイン・コレクション。




裏表紙と、オマケにひとひらのバラン付き。





020 japanise 2014.09.19
惣菜用のプラトレイを集めて、あたかも高価な食器のように撮影した一冊。こうしてみると、無駄に豪華なプリントと相まって、不思議な存在感がある。






裏表紙と、オマケには割り箸!

ragan books 公式サイト:http://raganbooks.net
(サイト内から注文可能、今月からクレジットカードも使用可!)
Facebookページ:https://facebook.com/raganbooks

[一緒にこちらも!:manifesto]


左:選挙ポスター、右:ピンクチラシ

七ヶ浜町で山と積まれたragan booksを見せてもらいながら、「実は前にこんなのも・・・」と、若生さんはひとつのファイルを見せてくれた。2011年に展覧会のかたちで発表された、『manifesto』と題されたインスタレーション作品。42枚のポスターと、一冊のミニブックからなる展示なのだが、それはなんと、選挙ポスターとピンクチラシにぼかし加工を施すことによって、両者がほとんど同一のセンスと美学(のなさ?)によって生まれたことを示す、恐るべきデザイン・サーベイだった!


manifesto, 2011 壁面に選挙ポスター、テーブルの上にピンクチラシのミニブック


選挙ポスター




ピンクチラシ

5年ほど前、酒田市で出会った市議選の掲示板が、制作のきっかけになりました。一度に多くても10名くらいの候補者ポスターしか見たことのなかった田舎育ちの私にとって、この立候補者数は衝撃だったのです。


それぞれの選挙ポスターは、ぼかして情報量を減少させることによって、にわかにひとつのデザイン・フォーマットとして立ち現れる。候補者の名前も、顔かたちも漠然となった平面に配置される、写真と文字と色彩の組み合わせ。それは日本全国でこれまで何十年、何千何万枚と繰り返され、強化されてきた、もっともポピュラーなローカル・デザインだ。そしてもちろん、同様の処理を施されることによって、劇的なまでに選挙ポスターと似通ってくるピンクチラシもまた。
















選挙ポスター


ピンクチラシ

候補者は我々市民の目につくようにインパクトのあるポスターを制作しますが、一定のフォーマットの中で作られている物がまだ多く、更に私たちの目は「選挙ポスターはこういうものである」という認識でもって見ているので、フォーマットから大きく逸脱しない限りは、風景の中で調和を乱す存在になろうと、特に疑問にも思わずに見ることが出来てしまう、という点が以前から気になっていました。

「パロディやジョークに見られたくなかったから、ベニヤの掲示板には貼らなかった」と、若生さんは当時のメモを見せてくれた。風刺でも批判でもなく、疑問を喚起すること。そのままragan booksに受け継がれるこのアティチュードによって、若生友見というデザイナーは、きわめて戦闘的な挑発者でもあり続けるのだ。


ピンクチラシ

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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