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シブヤメグミ

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新連載! シブメグの人生小劇場 01 愛のナンバー2 (文:シブヤメグミ)

ついこのあいだ、コロナ禍をロックにサバイブするライブハウスの物語「四谷のけもの道」を書いてくれたシブヤメグミさん。長く新宿御苑前で秘密めいたバーを営業してきた。 ライブハウスの原稿打ち合わせで久しぶりにお茶したら、歌舞伎町の愛本店のホストといきなり仲良しになった話をしてくれて、「このひとはいったいどうやって、こんなにいろいろ突拍子もない人間たちと出会い、すぐに親しくなってしまうんだろう」という、積年の疑問というか驚きが再燃してきた。そんな出会いの数々をもっともっと聞かせてもらいたくなった。 これから月イチの連載で登場する、ほんとうにたくさんの、世間的には端っこや境界線上や外側にいるかもしれない、でも純粋な生きざま。 きょうはどんなひとに会わせてくれるんだろう!

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シブメグの人生小劇場 02  新宿のラーメン王 (文:シブヤメグミ)

歌舞伎町の、なんてことないけど、私のいちばん大切な中華屋さんが閉店してしまった。 そのお店の名前は新宿ラーメン王。ロボットレストランのすぐそばの角っこにあった、ごく普通の、どこにでもあるラーメン屋さん。ホストクラブで皿洗いのバイトをしていた大学生の時に、一緒に働いてた不法就労の中国人ワンさんと、どこよりも通っていたお店。 「メグさん! ここ、ワンさんのワンね!」 と、ワンさんはこのラーメン屋さんに行くたびに、ラーメン王の王の字を指差してはしゃいでた。

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シブメグの人生小劇場 03 ヌノちゃん (文:シブヤメグミ)

いま、シネマート新宿で10月8日まで『UNDERDOCS』というタイトルの特集上映が開催されている。公式サイトのイントロダクションに、 メジャーで大衆的な音楽映画が劇場で注目を集める中、シネマート新宿が放つ真逆の新企画、まだ日本で紹介されていない新作、長年上映されていない旧作など、地下にうごめく数々の<アンダーグラウンドなロック・ドキュメンタリー映画>にスポットライトをあてる期間限定の特集上映「UNDERDOCS」(アンダードックス)。 こう書いてあるとおり、まったく陽の目を見ていないと言っても過言ではない作品ばかりが並んでる。タイトルを見ても、普通は知らないなあってものばかりだろう。それでもどうしても、目撃すれば初期衝動にスイッチが入り、いつかのあの頃が、さっきの瞬間となって立ち上がる。そんな作品で溢れている。

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シブメグの人生小劇場 04  舞台裏のシスターフッド (文:シブヤメグミ)

グルーピーと聞いたところで、すぐさまピンとくる人はもうそんなにいないのかも。 その存在は、追っかけとも、今で言うところのバンギャとも決定的に違うのだ。 グルーピーの皆様の多くは、とにかくきれいだった。美人ばっかりだった。黙って立っていても目立つくらいの美人が、ミュージシャンの気を引こうとして突然!上半身脱いでおっぱい丸出しにして踊り出すとか、パンツを脱いでステージに投げるとか(脱ぎやすい紐パンが人気だったという噂)、お目当てのミュージシャンと写真撮る時は、必ず自分から腰に手を回してくっつく(というかくっつける)とか。そして洋楽のミュージシャンを狙う方が多かったので、英語が堪能だった。私の身近にいたグルーピーだけで語ってしまうけど、「好きなミュージシャンと寝ること」と「好きなミュージシャンの彼女になること」の2つに重きを置いていて、そのためにまずプロモーターやイベンターと寝ることもあると語っていた。

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シブメグの人生小劇場 05  瀬谷とマイルスと私 (写真・文:シブヤメグミ)

こないだ実家へ荷物を取りにちらっと帰った。最寄駅は海老名。いま私は新宿に住んでいるから、小田急線で1時間の里帰り。荷物まとめてすぐに帰った。実家滞在は10分。仕事に出てる母親にも会わなかった。 海老名駅に着いて、来た時とおんなじように小田急線で新宿に戻ろうと思ったけど、時間があったから久しぶりに相鉄線に乗ることにした。実家にいる頃、いちばん利用していた電車。いまでも駅の名前を全部誦じることが出来る、たったひとつの鉄道会社。 その中でも一生忘れられない駅が瀬谷駅。改札口を通って駅の外に出たことは一度もないけど、私にとって、とても大切な駅。

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シブメグの人生小劇場 06 ハルコさんの櫛 (写真・文:シブヤメグミ)

この年末年始、自分でも驚くぐらい忙しかった。この忙しさが、遊び呆けの成れの果てなら大喜びで目まぐるしくなるんだけど、仕事だったから荒んだ。文字通り身も心も。ついでに部屋も荒んだ。ひどいもんだった。「部屋が散らかるとメンタルを病む」って話をよく聞くけど、ほんとにその通りだった。甘く見てました。 この年末年始の私、ありとあらゆるものに対して雑だった。洗濯する暇もなかったので、裸足で出かけて移動中に靴下を買って、それを履くために駅のトイレに入るってのをやった。

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シブメグの人生小劇場 07 アダチさん、ありがとうございます (写真・文:シブヤメグミ)

こないだ、ぐりぐりのスパイラルパーマをかけた。 普通の美容院のスパイラルパーマでは飽き足らず、もう本当に本気のぐりぐりのがかけたくて、ドレッドやアフロの専門店に行ってかけた。ロットの数180本。重さ2キロ。5時間かかった。首と肩が痛くなったけど、ずーっとやりたかった髪型になって超ご機嫌。冷たい霧雨が降っていたけどなんだかそれが気持ちよくって、思う存分ハナウタを歌いながら歩きたかったから、慣れない代官山の慣れない裏道を何も考えずにズンズン歩いていった。 当たり前に迷子になった。静かな静かな住宅街。街灯も少なくてコンビニも見当たらない。ヤバい。それにしても目印になるような高層の建物も見当たらないし、暖を取れるような富士そばもないって、ここはどんな東京なんだよと、自分の浮かれっぷりを棚に上げて、バッテリー残量20%以下のiPhoneの地図アプリを恐る恐る起動させた瞬間に、 「アダチさん……アダチさんですよね?」

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シブメグの人生小劇場 08 Oh!ヨーコ (写真・文:シブヤメグミ)

2月18日のDOMMUNEは、私にとって大切なDOMMUNEだった。 タイトルは『音楽の現場、もう限界です』。 その日、付けられたメインのハッシュタグは、 #WeNeedCulture #失くすわけにはいかない #SaveOurPlace #音楽の現場 この4つ。 他にもこの1年間に生まれたハッシュタグがたくさん付けられていた。どれも振り絞った叫びであったり、暗闇の中、絶望という針の穴に希望という糸を通すような気持ちが込められていた。

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シブメグの人生小劇場 09  2021年の、4月と5月のあいだの夜に (写真・文:シブヤメグミ)

メグさん俺ね、ホスト辞めんの。 あの店さ、閉めるんだって。 こないだオーナーが来てね、朝礼で言われた。グループの中でうちの店は売上よくなかったからさー、切られちゃった。 でもうち、リピートする姫が多かったんよ? 小さい店舗で天井も低かったから、シャンデリアもないのに。照明暗くしてんじゃん? だからぶっちゃけ、壁やソファーとかハゲてきてるとこはさ、マジックで塗ってごまかしてるような店だったのにだよ?  それでもね、また来てくれてたの。姫たち。みんな、本当に文字通り身体張って稼いだお金握りしめて。俺のこと初めて指名してくれた姫はね、俺の初めての生誕でシャンパンタワーもやってくれたんだけど、そん時タワー見て泣いちゃってさー、それ見たら俺も泣いちゃって。 「ここで遊ぶために頑張ってたら、私、いつの間にかナンバーワンの嬢になってたよ~」 つって。

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シブメグの人生小劇場 10 横顔 (写真・文:シブヤメグミ)

マダムと初めておしゃべりしたのは、マンションのゴミ捨て場の前だった。 うちのマンションは24時間ゴミが出せる。それでも管理人さんがとてもきちんとしているので、ゴキブリが出るとか変な臭いがしてるとか一切ない。どうせゴミが溜まる場所なんだから汚く使ってもいいべ、なんて気持ちは扉を開けるとどこかへ失せる。ダンボールも新聞紙も、ペットボトルもアルミ缶も、リサイクルされるその日を待ち構えてるかのようにきちんと積まれているし、24時間ダラダラと捨てられている日常のゴミは、二重にした大きなポリ袋にピシッと詰め込まれて無臭で静かにしている。そのくらい気持ちのいいゴミ捨て場なので、自然と住民も丁寧に使う。

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シブメグの人生小劇場 11  私のいつものお気に入り (写真・文:シブヤメグミ)

突然ですが、ほんとに突然の出来事があって入院して手術しました。 人生いろんなことが起きるなあとぼんやり思いつつ、連絡して謝罪して御礼してを一日中やってたら疲れ果てて眠りこけてた。そしてきっと普通は真っ先に連絡するであろう母親になんにも言ってなかったことを思い出し、慌てて連絡をした。

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シブメグの人生小劇場 12  青春の『ドグラマグラ』 (写真・文:シブヤメグミ)

中学の同級生に、ドを付けたくなるヤンキー・サカイくんがいた。 ある日授業をサボったサカイくんは、技術科のミウラ先生の通勤バイクをいじってブンブンブンとエンジンを吹かし、全校生徒が窓から見守る中、校庭をブンブンブンと走り回った。見かねた教務主任が自分の車で追いかけてバイクを止めた。その日、私たち他の同学年の生徒は一日中自習。サカイくんはその間、ずっと叱られていた。最後に何か言うことあるだろ!言ってみろ!と、教務主任が怒鳴ったら、 「そのへんのバイクでやるよりもいいっしょ? それに俺、ミウラ先生のあのバイク乗ってみたかったんだよねー、すげーカッコいいからさー。ほんと、気持ちよかったです!」

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シブメグの人生小劇場 13  B.P.M. (文:シブヤメグミ)

気持ちが滅入る毎日がもう2年近く続いている。 まったく緊急性を感じない緊急事態宣言。だって毎日の感染者数は、もうずっと4ケタが当たり前になってる。安心安全という言葉の意味を見失い、何を語っても誰も振り向かなくなったお偉いさん方の定例会見。140文字じゃ足りないのなんてわかりきってるのに、それでも呟かずにはいられない不安。本当は会って、ちゃんと目を見て頷きたいのに、我慢して「いいね!」ってする親指。「明かりが見えてます」って言ったパンケーキ好きのおじさんは、もうどこかに行く準備を始めてるみたいだ。 そんなギリギリの中で、私は意識を改めるどころか、細胞レベルから生まれ変わってしまうような映画に出会った。

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シブメグの人生小劇場 14  ストリート・ファイティング・マン (文:シブヤメグミ)

「あんたは昔っから乞食に優しかったわよねー」 と、母親が電話の向こうで笑いながら言った。 乞食に優しいって言い方なんなの? 私は人間に優しくありたいだけだよと言い返した。母親は小さく、あらごめんなさいと謝ったあとに、 「とにかく、新聞掲載のきっかけもあんたらしいし、このエピソードもあんたらしい。メグミの金太郎飴よ」 と、笑いながら電話を切った。

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シブメグの人生小劇場 15  ハッピーバースデー (文:シブヤメグミ)

「リコねえ、2回しかお着替えしなかったんだよ!」 この11月の連休明け、おんなじマンションに住んでるちびっ子のリコちゃんが、エントランスに響く大きな声で私に自慢した。 「初めてひとりでばあばのところにお泊まりしたんだよ! 楽しかった!」 おばあちゃん家に4日間お泊まりしてたのに、お着替え2回だけだったの? 「そうなのー、これ着てお出かけしようねーってばあばと言ってたのになーんにも着なかったの!」

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シブメグの人生小劇場 15  ラララ (文:シブヤメグミ)

生まれて初めて観た渋さ知らズはただのアングラだった。 白塗りのつるっパゲがう~あ~とか言いながら客席に飛び込んだり、 ワケのワカラン主張を殴り書いた旗を掲げたり、 乱入した酔っ払いなのか、 それとも最初からステージにいたミュージシャンなのかさっぱりわからない人々が、突然マイクを奪い合って喚き散らしたり。 なんかもうとにかく音楽が身体や心に残らずに、 おまけのような存在ばかりが「疲労感」という形で残っていた。 特に最悪だったのは、いまから30年前の本牧ジャズ祭のライブ。

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シブメグの人生小劇場 16  戦争に反対する唯一の手段は (文:シブヤメグミ)

2022年2月24日、ロシアが戦争を始めた。 それを知った時、私は空腹だった。 いつも歩く新宿三丁目がなんだか奇跡のように感じる。伊勢丹、無印良品、ディスクユニオン、紀伊国屋書店、中華料理達磨、ティファニー、つな八、西武、らんぶる……。ぐるぐる歩いてた。空腹なのに。 そんな私の目の前に、大好きで大切なお店があった。 食堂長野屋。

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シブメグの人生小劇場 17  プカプカ (文:シブヤメグミ)

初めて会った時はランドセルを背負っていたエミリちゃん。こないだ高校3年生になった。 2011年9月、私は小さな小さなバーのママになった。 場所は新宿のはしっこ。最寄駅からまっすぐ歩いて少し曲がるだけなのに、ほとんどの人が迷ってしまうビルの地下。 地下なのに店名は"浮かぶ"。 初代のママさんが名付けた。 この店名にちなんで、営業していることを「浮かんでます」、閉める時には「沈みます」。 常連のお客様の間では、私が観劇やライブや旅の予定を入れて躊躇わずに休んでいるので、「沈んでばかりの"浮かぶ"」と言われている。

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シブメグの人生小劇場 18  ごちそうさまが言いたくて (写真・文:シブヤメグミ)

ある朝、突然にブス期に入った。 目覚めて、ベッドからモゾモゾと這い上がって、それでも頭がぼんやりして動かない。身体をなんとか洗面所まで運ぶ。このダルさ、やる気のなさはいったいなんなのか。こんなことを思春期ぐらいから毎日のように思ってるなー。 冷たい水で顔を洗う。びしょびしょの顔を拭かずにそのまま上げる。と、鏡の中に超絶ブスな自分がいた。 うっわブス!どうしたブス? 昨日の自分、なにしたっけ?

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シブメグの人生小劇場 19 『アンフォゲッタブル』 (写真・文:シブヤメグミ)

明日はなにしよっかなー。 なんでもないことを考えながら眠る夜がなくなった。 そのかわりと言ってはなんだけど、 感染してなくてよかったなー。 こんなことを呟いて眠る夜が増えた。 いとも簡単になかったことにされるライブがあった。 楽しみにしていたはずなのに突然気が重くなる約束があった。 会いたかったひとが会わない方がいいひとに変わった。 こんな不安定な中で撮られていたのが、映画『劇場版 おうちでキャノンボール2020』だ。

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シブメグの人生小劇場 20  スイートブール (写真・文:シブヤメグミ)

ブルースがパチンと流れる瞬間がある。 友人と自分の気持ちがすれ違った時、大人の事情で頭を下げている時、夜の散歩をしてる時、燻った匂いのお酒を飲んでいる時、盛大にフラれた時、フラれた相手と、なんでもない笑顔で話せるようになった時。 そんな瞬間はあげたらキリがないけど、私には熱烈な、「ブルース発火装置」と名付けても過言ではないブツがひとつだけある。 そのブツの名はスイートブール。

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シブメグの人生小劇場 21  懺悔の値打ちもない 第1章 私・メグミ (文:シブヤメグミ)

毎回、人生の光と影が織りなす物語で僕らを心地よく動揺させてくれるシブヤメグミさん。今回は連載始まって以来の大作! 怪人としか言いようのない、ひとりの男をめぐる5人のモノローグをこれから5週にわたって連続で読んでいただく。「小説より奇なり」どころか、こんなことがあっていいのかと信じがたい、しかしすべて実話による愛欲の大河ドラマ。こころして、11月末のゴールまでお付き合いいただきたい。

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シブメグの人生小劇場 22  懺悔の値打ちもない 第2章 母・フサエ (文:シブヤメグミ)

私が生まれた時、あんたのおじいちゃんは三日三晩寝ないで私の名前の漢字を考えてたんだって。 そのくらい溺愛された3番目の子供だったから、兄妹の中でもエコ贔屓されてた。 食事のおかずをね、おじいちゃんは必ず私に最初に取り分けてくれてたの。卵焼きは美味しいと思うところを、焼魚は身と骨をバラバラにして食べやすくしてくれたりね。 高校進学の時にも特別扱い。 ある日の朝、地元の公立ではなく、横浜の私立の女子高を受験しろって突然言われた。 上の姉がそれを聞いて、熱っついアイロンを振り回して激昂してねー。「どうしてお父さんはフサエにばっかりいい思いさせるの!」って。

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シブメグの人生小劇場 23  懺悔の値打ちもない 第3章 事務員・バンビ (文:シブヤメグミ)

本名より、バンビとかバンちゃんって呼ばれてる期間の方が長くなっちゃった。 いま85歳だから、もう60年は呼ばれてきた。人が産まれてから還暦になる長い間、ずっと私はここにいたのかって思うと目眩がするわね。 婚約者がいたの。 高校の頃から付き合っていたんだけど、その人が真面目な人でね、 「家業を継ぐから、僕のお嫁さんになってくれ。その日までちゃんとしておきたい」 って20歳の誕生日に言ってきて、両家のご挨拶とかもちゃんとして指輪まで買ってくれたの。ちっちゃーいダイヤが真ん中にちょんって埋め込まれてて、それが可愛らしくってね。薬指を見るたびに、嬉しくてたまらなくなってた。 それから少しして、生理の出血がおかしくなるの。

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シブメグの人生小劇場 24  懺悔の値打ちもない 第4章 調理師・アサコ (文:シブヤメグミ)

カーテンは3日おきに洗ってた 窓は1日おきに拭いてた 掃除機の音が大嫌いなひとだったから、 職人さんが手造りしたシュロ箒で掃除してた お布団は乾燥機でいつもふかふかにして、 枕カバーは毎日取り替えてた 湯呑み茶碗に茶渋が付かないように毎日漂白してた お気に入りのお漬物と お気に入りの海苔を切らさないようにいつも気にしてた お米は研ぎ汁が透明になるまで研いでた お味噌汁と玉子焼きに湯気が立っていないと怒られた でもいま、なにひとつしてないの 理事長が死んだから

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シブメグの人生小劇場 25  懺悔の値打ちもない 第5章(終章) 俺・トオル (文:シブヤメグミ)

俺が覚えてるいちばん古い記憶は、フィンガー5に会った時のことだね。 小学生になったばっかりだったと思う。 ドサ回りであのへんに来たんだよね。 俺、フィンガー5が大好きでいっつもモノマネして歌ってたんだよ。 誰のコネ使ったのか知らないけど、親父とコンサート行った後、楽屋に通されてさ。他にもそんな親子連れがたくさんいたなー。一生懸命書いたファンレター渡して、なんか私物にサインしてもらって、写真撮って握手して。メンバー全員、この流れ作業を死んだ目でこなしていたよ。いま思えば、あんな大変な仕事を自分とたいして変わらない年齢の子供がやってたなんて考えられないよ。ほんとに凄いよね。

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シブメグの人生小劇場 26  懺悔の値打ちもない 第6章 エンドロール (文:シブヤメグミ)

10月26日号から11月23日号まで5回にわたって連続掲載した衝撃のシリーズ「懺悔の値打ちもない」。いまだ余韻さめやらない短期集中連載の扉を閉じるべく、今回はそのメイキング編を書いていただいた。

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シブメグの人生小劇場 27  『スーパー・レクイエム』 (文:シブヤメグミ)

私は熱心な坂本龍一のファンではない。 よく言うYMO信者でもない。 報道で『ライディーン』が代表曲のように流れたことに怒ってる人たちを見て、そこで初めて高橋幸宏が作曲したのを知ったくらい、なんにも知らない。 こんなに音楽が好きなのになんで?って自分でも思う。 しかし、少し考えて出てくる理由は悲しいくらいくだらない。 子供の頃からひねくれていた私。 流行りものになんて見向きもしなかった。 しょんべん臭い他のガキと私は違うの!と言わんばかりに、逆張りに次ぐ逆張り。

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シブメグの人生小劇場 28  『天使』 (写真・文:シブヤメグミ)

天使はお弁当屋さんにいた。 新宿の花園神社近く。 路面店にいた。 天使はおじいさんだった。 「ありがとうございます」 「午後も頑張ってね」 レジに頭をぶつけちゃうよって言いたくなるくらい、深くお辞儀してこう言ってた。 新宿の真ん中だから、ホストやキャバ嬢たちが酒臭い息で遅い朝ご飯を買いに来ることも多い。 すると天使は、 「二日酔いなのに揚げ物いっぱいのお弁当でいいのー?」 って、声をかけてた。

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シブメグの人生小劇場 29  仰げば尊し (写真・文:シブヤメグミ)

お元気ですか? 先生が亡くなって何年目なのかなあ。 「俺が死んだあと、命日をもうひとつの誕生日みたいにしないでくれよな」 ホスピスに初めてお見舞いに行った日の帰り際、そう言ってましたよね。 先生、笑顔だったけどすごくすごく真剣な声だった。 私、ゾッとしたんですよ。 でも、だからこそ、死んでから何年目かな?なんて一度も数えてないです。 中学校に入学した私のクラス、1年1組の担任。 それが出会いでした。

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シブメグの人生小劇場 30  すき家で朝食を(パレスチナで起こっていることについて思う) (写真・文:シブヤメグミ)

深夜バスで大阪から新宿に帰ってきた、何年か前の早朝。 お腹すいちゃって、朝食を食べようと入った新宿駅南口のすき家。 こんな早朝なのに1階がなんだか混んでたので珍しく2階に上がったら、外国人ファミリーが楽しく賑わってた。上手く使えないお箸すら、アトラクションみたいにはしゃいでいる。 私は、いい東京の朝だなーなんて思いながらお味噌汁を飲んでた。 そしたら、 「エクスキューズミー、スピークイングリッシュ?」 と声をかけられた。 私の語学力を理解して頂きたいという思いを込めて、リトルならスピーク、バット、ブロークンイングリッシュオンリーですって答えたら、 「ソーグッ!ベリナイス!」 って言ってくれた。

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シブメグの人生小劇場 31  あなたに優しいパンク (写真・文:シブヤメグミ)

先週号の編集後記で紹介した山ぐるみの展覧会。いま御徒町mograg galleryで開催中ですが、先週土曜日に開催した山ぐるみ、沖冲と僕でのトークにシブヤメグミさんが来てくれて、その内容を一晩でまとめてくれました! 会場に来れなかったかたに読んでいただけたらうれしいです。展覧会は26日まで!

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シブメグの人生小劇場 32  マジックアワー (写真・文:シブヤメグミ)

一分一秒でも長く、咲いていて欲しかった花が枯れた。 新宿五丁目東の交差点に、一輪だけ彼岸花。 私は新宿に10年以上住んでいるのに、こんなところに彼岸花が咲くことを知らなかった。 あの夜はひどく酔っ払っていた。 何をどう飲んだか思い出せない。 途中から、これ全部アルコールだろ、じゃあどうでもいいだろ、なんてホザきながら飲んでいた記憶だけがぼんやりある。 乾いた喉をなんとかしたくて、コンビニでアイスを買った。 大好きなホワイトサワー味のパピコ。通称白パピ。 でもなー、2本食べるテンションじゃないんだよなー。 買った白パピを眺めながら、角海老ビルの横断歩道の信号を待ってた。 とりあえず1本食べはじめる。 いつもの味が喉を通り過ぎて安心してたら、信号が青になった。 松屋がまだ開いてる。 カレーをキメるのはやんちゃ過ぎるよなーって考えていたら、熱烈に何かを見つめているホームレスのおじさんに気がついた。

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シブメグの人生小劇場 33  バイバイ、スモーキン・ビリー (写真・文:シブヤメグミ)

確か小学5年生だった。 音楽の時間。 リコーダーの課題曲『スカボロー・フェア』を練習してた。 サイモンとガーファンクルのこの曲が好きだったから、丁寧に練習していた。 それなのに、私は指遣いを間違えて素っ頓狂な音を出してしまった。 近くの席に座ってた男子が爆笑した。 間違えた指遣いを真似してきた。 それが伝染してって、「教室のみんな」って感じちゃうくらいの笑い声の渦が生まれた。 それからしばらくの間、リコーダー吹けなくなっちゃったんだよなあ。 吹くタイミングになると、その時の間違えた指遣いをみんなが笑いながら真似して見せつけてきたりして。 いつも鼻の奥がツーンってしちゃって、吹けなくなっちゃって。 だから授業ではいつも吹いてるふりしてた。 『スカボロー・フェア』、あんなに好きだったのに。

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シブメグの人生小劇場 34  私たちの処方箋 (写真・文:シブヤメグミ)

昨年の12月19日、神奈川芸術劇場で舞台『ジャズ大名』を観た。 筒井康隆原作。 1986年には岡本喜八監督、古谷一行主演で映画化もされた。 日本は江戸の幕末。 遠くアメリカでは南北戦争が終わり、解放された黒人奴隷が故郷アフリカを目指して、自分たちが愛する楽器を抱えて船に乗り込んだ。が、嵐に遭い、小さな藩の海岸に漂着する。 そこには、ひちりきが大好きで好奇心旺盛な殿・大久保教義がいた。

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シブメグの人生小劇場 35 「あんた」で「あたし」 (写真・文:シブヤメグミ)

住所読まないで  ペンネーム  生きるのって辛いねって  書いてあります  女の子からです    みゆきさんこんにちは  私  世界で一番のブスです  誰が見たってブスです  自分でもわかっています  わかってるんです  でも  人から  変な態度とられると  やっぱり  傷つくんですよね  周りの  友達から毎日ブスって言われて  街歩いてても  吐く真似されて 

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シブメグの人生小劇場 36  悪い友達 (写真・文:シブヤメグミ)

小学5年生の、3学期が終わる頃だったと思う。 ナオミちゃんが転校してきた。 「こんなタイミングに転校するの、俺なら嫌だねー」って、隣の席の男子がこそっと言ったのを覚えている。 銀縁メガネで手足が細くって、柔らかそうな栗色の髪の毛が印象的な女の子。 どこから来たの?  前の学校ではなんて呼ばれてたの?  好きなアイドルはいるの?  あ、私もこのシャーペン使ってるよ!  教科書、ちょっと違うね!  転校生への洗礼である他愛のない会話責めにニコニコと、そしてハキハキと答えていたのがカッコよかった。

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シブメグの人生小劇場 37  心の銃をぶら下げて (写真・文:シブヤメグミ)

TBS『ザ・ベストテン』のスポットライトってコーナーで、『涙のリクエスト』を歌ってるチェッカーズを見て彼らに夢中になった。 アイドルらしくみんなお揃いのチェックの衣装。 代官山にあったBIJINって美容院で刈られた独特の髪型。 燕尾服を崩したような衣装と髪型には、それまでのアイドルとは違うカッコよさとかわいいが共存していた。 そしてなによりも違っていたのは、自分たちで演奏していたところ。 歌もうまかった。 サックスがメンバーにいたのも新鮮だった。 ボーカルがひとりじゃなかったのも。 たぶん、私が生まれてはじめて「バンドってカッコいいな」って思ったのはチェッカーズだ。

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シブメグの人生小劇場 38  プライスレス (写真・文:シブヤメグミ)

こないだ借金した。 それも私から100万円盗った昔の男のために。 それは33歳の、いわゆる「女の厄年」と呼ばれる年齢の時。 一緒に住んでた男が別れる時の荷物の整頓のどさくさに紛れて、勝手に私の預金通帳から100万円を引き落とした。 せめて半分にしてくれよ。 なんで残高388円になるまで掻っ攫っていきやがってよ。 全財産7000円くらいになって気が狂いそうになった私は、親友2人に雄叫びのようなメールを何通も何通も送りつけた。 ガラケーの、小さい画面から溢れんばかりの狂気を受け取った親友2人は、仕事を早退して駆けつけてくれた。 2人の胸を文字通り借りて泣き叫び続けた私は、そのまま、気絶したかのように眠り込んだ。

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シブメグの人生小劇場 39  マグマ (写真・文:シブヤメグミ)

叔母が死んだ。ひとり暮らししてたあの家で、死後3、4日経過していた遺体で見つかった。倒れたのはたぶん7月が終わる頃のあのクソ暑い夜。心臓のあたりをギュッと掴んで倒れていた。92歳と8ヶ月。世間的には大往生だろう。だけど私と母親は、そんな気持ちになんかなれなかった。 叔母は4人姉弟の長女。いちばん上のお姉さん。私にとっては祖父の家で、叔母と母親にとっての実家は、郵便局を営んでいた。祖父は生まれつき身体が弱かったので、徴兵されなかった。その代わりなのかどうかはわからないけど、祖父と祖母は家庭のことを放って、戦地から届く郵便物をとにかく配り歩いていたそうだ。

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シブメグの人生小劇場 40 小さな偉人(写真・文:シブヤメグミ)

※2024年10月30日に配信した第5週目お休み配信で掲載された記事を便宜上618号に転載しました。 おはようございます! きょう10月30日は5回目の水曜日のため、メルマガ配信をお休みさせていただきます。この機会にサイトのアーカイブ・ページから、読み残した記事など掘り起こしていただけたら幸いです。きょう現在でお読みいただける過去記事、もう2,850点を超しました! https://roadsiders.com/backnumbers/ ということでいつもは「また来週!」になるのですが、いつもロードサイダーズの涙腺を直撃してくれる「シブメグの人生小劇場」のシブヤメグミさんから、「ハロウィンにちなんだエピソードなので、どうしても今週読んでいただきたくて!」と素敵な原稿が届いたので、今週は特別号。オバケもなんにも出てこない、ほっこりあったかハロウィンの物語をお楽しみください!

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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