絵筆の先のロング・アンド・ワインディング・ロード(文:臼井悠)
酒場で呑み散らかしていると、たまに、このひとが呑んでいるとなぜかその店にひとが集まりそう、というタイプのひとがいる。けっして騒々しく盛り上げるのではなく、誰かにこびるのでもなく、でもなんでかそこにいる…
art 大道芸術館、1周年記念大増設報告! |
先週末は3年ぶりになるロードサイダーズ・オフ会も開催できた向島・大道芸術館。昨年10月のオープンからちょうど1周年というタイミングで、先週は2日間かけて30点以上の作品を追加設置した。もともとかなりの圧縮展示だったが、日展やドンキホーテを見習って!とにかく空いてる壁面はすべて埋めたい!という決意で大量の作品を倉庫から持ち込み、設営スタッフたちのがんばりでそのすべてを展示することができた。 |
[1階] |
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[1階から2階へ] |
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[2階] |
「茶と酒 わかめ」と名づけた、長いバーカウンターがある2階。もともと料亭の座敷だった空間は、畳はすべて取り払ったものの、床の間は残してある。そこに今回は川本史織(2013年1月23日号「可愛くて、やがて恐ろしき堕落部屋」の3枚のプリントを飾らせてもらった。 |
主にオタク属性の女子の部屋を撮影したシリーズ。 |
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[2階から3階へ] |
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[3階] |
2000年に閉館した鳥羽国際秘宝館のSFインスタレーションをメインに据えた3階展示空間。秘宝館セットは動かしようがないが、ここでも脇の小部屋や洗面所に作品を追加している。 |
[3階から4階へ] |
大道芸術館は3階建ての建物で、4階が屋上。スカイツリーが至近距離で、夜のライトアップ風景はなかなか迫力満点。これまで屋上は閉めていることが多いこともあり展示は3階までにしていたが、今回とても収まりきらなくなったので、屋上への扉ギリギリまで活用することに。 |
品川区西大井。シャッターを閉めたままの薬局の薄暗い店内が、おびただしい数の絵画を広げたアトリエになっている。店の中央で、描きかけの絵を前に静かに座っているのは戸谷誠さんだ。 |
戸谷誠のメインの作品は障子紙のロールをまるごと使った、長さ20メートルにもなる絵巻物。それもいちど完成した作品に幾度も手を入れ、また本人が「透き写し」と呼ぶ、手製のライトボックス的な装置で過去の作品を写し取り、加筆修正を好きなだけ繰り返して倦むことがない。それは年老いたミュージシャンが、若いころの音源をひたすらリミックスやリマスターする作業に熱中しているようでもある。 |
Museum of Roadside Art 大道芸術館 |
酒場で呑み散らかしていると、たまに、このひとが呑んでいるとなぜかその店にひとが集まりそう、というタイプのひとがいる。けっして騒々しく盛り上げるのではなく、誰かにこびるのでもなく、でもなんでかそこにいる…
おかんアーティストから名刺をもらうことはめったにないが、西村みどりさんはかわいらしいシールを貼った名刺を差し出してくれて、そこには「手作りの家 小物・色々 西村みどり」と書いてあった。 西村みど…
三重県伊勢市にある近鉄宇治山田駅。真向かいにある明倫商店街のすぐそばには、読売ジャイアンツ草創期に活躍した投手・沢村栄治の生家跡地がある。そんな名投手を生み出したこの地で、本物そっくりな立体凧を制作し…
都内の会社に入りました。 昼休憩になると、同じ部署の先輩が私を探しにきます。 「急いで急いで」と言って私の腕を引っ張り、下の階に連れていきます。 私は、バタバタと靴の音をたて、先輩は、ハイヒール…
田中一村は1977年に奄美で亡くなるまでほとんど知られることなく、死後2年経って公民館で3日間だけの遺作展が開かれ、その数年後にNHK『日曜美術館』などで取り上げられていきなり全国的に大ブレイクした「…
ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。
本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。
旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。
稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。
1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!
プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。
これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。
書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい
電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。
伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!
かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。
――ラブホの夢は夜ひらく
新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!
――秘宝よ永遠に
1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!
70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。
編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。
いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。
2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!