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AFTER HOURS
編集後記

2014年12月10日 Vol.143

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました。気になった記事、ありましたか? よろしければぜひ、Facebookページまでご感想お寄せください・・・と毎週のように書いてますが、意外にメッセージが少なかったりして、ちょっと寂しいと思う今日このごろ、思いがけずうれしいお便りをいただきました!

11月19日配信号でお伝えしたロリータ・ブランド「ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト」のお茶会@東京ステーションホテル。倒錯的とすら言えそうな、耽美な非日常感に感じ入ったかたもいらっしゃると思いますが、記事でも触れたとおり、11月23日には上海オークラガーデンホテルでもお茶会を開催。受付開始から5分間で完売したというそのパーティに、本メルマガ読者のMikaraさんが参加して、上海お茶会リポートを送ってくれました。

今週の編集後記は、Mikaraさんの楽しい読者リポートをご紹介。みなさんからのリポートもどんどん掲載したいので、お気軽にお送りください。「正月休み珍スポットめぐり」とか、「実家帰省おかんアート採集記」とか、読みたいな~~。お待ちしています!

BABY, THE STARS SHINE BRIGHT お茶会 in 上海

文・写真:Mikera


日本のアパレルブランド「BABY,THE STARS SHINE BRIGHT」が開催する上海でのお茶会に参加してきました。

早期お申し込み=658元(約1万3000円)
通常お申し込み=728元(約1万4300円)

ながら、200席が発売後5分で完売したというプレミアムチケットです。

お客様の平均年齢は10代後半~20代前半が多く、この世代の女の子の特徴である輝きが半端じゃなく、ほんとうにみんなが眩しいくらいキラキラしていました。

可愛くて美しくて細くて顔ちっちゃくて、礼儀正しくて、物腰柔らかく、賢く、そしてリッチ。そんな上海の新世代、上海のお嬢様が200人集うイベント。上海のお嬢様たちに初めてお会いしました。というか、日本でも本物のお嬢様と会う機会はほぼありませんが・・・。

私の参加目的は、BABYさんとのコラボステーショナリーを展示すること、上海のお客様に知っていただくことです。2015年3月発売予定の商品を、物販ブースの横に陳列させていただきました。

物販ブースで商品を買うため、発売前から行列を作るお客様(皆様、きちんと行儀よく順番を守り整列されていました)。必然的に弊社商品も見ていただくことになり、「かわいい!」「かわいい!」の大合唱をいただきました。


3500円(日本円)のペンポーチは「安い!」と言われ、2万円までだったら何でも買うわ」と・・・(お嬢様)。今回、会場では販売しておらず来年3月の発売なんですと言った途端、大きく落胆し、半泣きになるお客様たち。

「絶対に全部買うわ!」
「こんなに素敵な商品を作ってくださってありがとうございます。お会いできて光栄です。」
「上海に来ていただいて本当にありがとうございます。皆様に感謝しています」
(本当に日本語でこう言われました、一語一句そのままです!)

等々、沢山の嬉しい言葉を貰って、私、ほんとうに涙が出ました。

お客様にこんな嬉しいことを言われたのは何年ぶりでしょうか?

日本でのものづくり、もの売りにはほんとう~に厳しい環境で、私の周りも私もこの先(の日本の小売)に夢なんてあるのか?と、暗澹たる気持ちのほうが強くて。でもこんなキラキラオーラのお客様に囲まれて、商品褒められて、もうこの先、未来は希望ばかり!な気分になりました(我ながら安易ですが)。

もちろん、今回のイベントはBABYさんのブランド力があってこそで、揺ぎないロリータの世界観の追求が、海外のセレブリティを(中国に限らず)虜にしているわけです。この上海の、そしてお客様の熱気は、私の目からうろこが100枚落ちるほどのショックな出来事でした。

上海のBABYファンは、その生まれ育った環境に拠るところだと思うのですが、「こんな豊かな環境で育っている私、世が世なら私はお姫様なはず。そんな私が着るべき洋服は、お姫様が着るようなドレスなのだわ」という文脈で好んでいるのではないか?と、ふと思いました。なぜなら、ドレスを着ての立ち振舞いがほんとうにお姫様。日本のロリータだって、こんなに自然にドレスの裾をつまんで、おじぎなんかできないんじゃないでしょうか?というくらいナチュラルに、姫。

私自身、10代はMILKやJane Marpleにハマったロリータ第1世代なのですが、日本人のロリータ愛好メンタリティは、「この現実から逃避したい=現実感のない、かわいい、かわいい、ただただかわいいお洋服で夢の世界に浸りたい」欲が強い気がするのですが・・・。少なくとも私はそうでした。色々大変な現実と、その現実の自分を覆い隠してくれる、フリルとリボンの世界に夢中でしたから。


ちなみに今回のイベント、目玉であるファッションショーのモデルさんは、ブランドスタッフ&日本人モデル2名以外、すべて現地のファンがボランティア参加していたそうです。

さらに言うと、このイベント自体、ブランドのファンである某銀行のキャリアウーマンが、ボランティアですべての面においてサポートしています。彼女はロリータ暦10年、個人主催でお茶会を開催するほどで、その集客の凄さを見たBABYの社長様が、本社開催に踏み切った・・・と伺いました。

彼女の仕切りはほんとうに見事で、会場交渉から設営、ショーの運営、セッティング、リハーサル、そして司会と通訳まで、各種代理店様に見習っていただきたい行動力。

普段の仕事ぶりも想像に難くなく(絶対に上司にしたくない&怒られたくないタイプ)、そのうえ彼女の同僚バンカー男子が3名、駆り出されておりまして(バンカー以外にも3名、計6名の男子が手下という)・・・白シャツにネクタイのバンカーが、ロリータちゃん相手に物販している絵は本当にクール!!!の一言。しかもバンカーだから物販も金額間違えなし!

熱狂と上品さが共存するこんな凄いイベントは、人生初の体験すぎて、いまだ思い出すだけで鳥肌です。

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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