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AFTER HOURS
編集後記

2018年05月23日 Vol.309

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! 大きな美術館から小さなショップギャラリーまで、期せずして展覧会特集になってしまいましたが、どれか興味を惹かれた展示、あったでしょうか。イントロで書いたように来週は第5水曜で配信お休み。この機会にwebサイトのバックナンバーで、読みこぼした記事など掘っていただけたらうれしいです。先週号のぶんまでで、もう1300以上の記事がお読みいただけます!

https://roadsiders.com/backnumbers/

さて、展覧会といえば、このメルマガで何度か取り上げているギャラリーが西武新宿線・新井薬師前の「スタジオ35分」。もともと街のDTP屋だった空間を、看板もそのまま展示空間にしている、しかも夕方からしか開かない(17~23時)、しかも定休日が多い(日・月・火)!というユニークなギャラリーですが、そのスタジオ35分で現在開催中の展覧会が、『笹久保伸写真展 秩父前衛派』。前衛派・・・とか聞くと、どんなベテラン・アーティストかと思いますが、笹久保さんは1983年生まれの若い、それも4年間ペルーでフォルクローレを学び、これまで20枚以上のCDをリリースしているギタリストでもあります。


笹久保伸 La rosa morena 2012.9.4@南青山MANDALA

今回の展覧会は笹久保さんが暮らす秩父の日々で記録された、変わりゆく故郷の姿です。






笹久保伸は秩父出身のギタリスト・思想家・アーティストです。秩父地域をフィールドワークに基づき、製作活動をおこなっています。本展のタイトルになっている「秩父前衛派」は笹久保を中心としたアート・コレクティブであり、表現媒体によりメンバーが流動的に変化します。「秩父前衛派」は集団の名称でもありますが、笹久保の多岐にわたる活動の一つの意思表明にもなっています。

近年、笹久保は秩父を象徴とする山、武甲山をテーマに写真作品の製作を行なっており、2017年には写真集も出版しています。四年間の南米ペルーでの音楽留学を終えた笹久保が地元秩父に戻り、目に飛び込んできたのは異様な形でそびえ立つ武甲山でした。武甲山は古くより秩父地域における信仰の山であり、現在も秩父の総鎮守である秩父神社の神体山であり、地域の象徴としての信仰の山です。しかしセメント産業が参入し、石灰岩採掘の為に半世紀以上前から毎日爆破され続けています。それは今でも行われていて、毎日12時30分にダイナマイトにより爆破され続けています。その為に元々の標高1336mありましたが、1980年代には山頂も爆破され現在では1304mになっています。僕らが今、目にする武甲山は段々に刻まれた削り跡が織りなす人工的な三角形をしている山で、笹久保はそれをピラミッドと言い、地域開発や経済発展の名のもとに日々、神の山を破壊する行為を神殺しと捉えています。神を破壊しながら、崇拝するというこの究極の矛盾をどう考え、行動し、表現していくか。笹久保が思考し表現していることは、決して地方都市の一つの問題ではなく、資本主義社会が生み出す欲望の結果に何が残り、起こるかと直結している問題です。日々、秩父の集落や山を歩きまわり、見聞きし、感じたものを新井薬師の小さなギャラリーに凝縮します。
(スタジオ35分 酒航太)






無残にえぐられた山肌、それでも美しく輝く夜明けの光景、抽象絵画のような記号楽譜・・・そこに暮らすものの思いが凝縮されたような小さな写真展。よかったら足を運んでみてください。ちなみに、これもご存じの方が多いかもですが、35分の上階にはロードサイダーズ・ウィークリー配信チームの制作スタジオもあり。35分のバー・コーナーでしばしば飲んだくれてるようなので!見つけたら声かけてみてくださいね!!!


笹久保伸写真展「秩父前衛派」
~5月26日(土)まで開催中 
17:00―23:00(定休日:日・月・火)
@スタジオ35分
https://35fn.com/

来週はメルマガのお休みを利用して、10数年ぶりのニューヨークに行ってきます。どうしても観たい展覧会があって、貯まったマイルでとんぼ返りの急ぎ旅ですが、帰ってきたらすぐ記事にする予定。お楽しみに!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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