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AFTER HOURS
編集後記

2024年09月18日 Vol.613

今週も最後までお付き合いありがとうございました。怒濤のポンチャック・アートいかがでしたか。
隔週連載の「ユーラシア後ろ歩き」、今週のチベットの写真を見ているうちに、すごく行きたくなりました! しかし多田さん、ほんとにハードな旅をしますねえ。シベリアと浜松の2拠点生活をしている多田さんは、今週イルクーツクから北京経由で一時帰国するそう。いつかトークイベントにお招きできたらと思ってます!

この編集後記を書いているのは火曜日の朝、札幌。残暑の東京とは10度ぐらいちがって、もうTシャツでは肌寒い秋の陽気です。毎週のように「あの展覧会も行かなくちゃ!」と追われ、大事な展示もいくつも見逃しながらこんなふうに出張もしているわけですが、先週末からは「楽園の森口裕二」で紹介したばかりの森口さんの個展「轟のハミング」が、新御徒町mograg galleryで無事開幕。精緻を極めた新作群は「だいたいタコとイカ」がモチーフということで、吸盤のひとつひとつまでみっちり描き込まれた、圧倒的なディテール表現への執着が観るものの感情を揺さぶります。記事で紹介した作品集もギャラリーで先行発売されているので、機会があればぜひ実作に対面してみてください!


展示風景




開幕直前まで手を入れていたという森口氏


奥の部屋には手頃な値段のプリントもあり


先行販売中の『楽園』(青林工藝舎刊)A5上製箱入り
凝りに凝った造本も必見!




森口裕二個展「轟のハミング」
9月14日(土)~29日(日)月曜休廊
@新御徒町mograg gallery
https://mograg.com/

そして今週土曜からはロードサイダーズではおなじみ、吉岡里奈の新作個展「バッデース・ガールズ☆異形の女神たち」が吉原カストリ書房で開幕!

バッデース=「Bad +Ass」 直訳すると 「悪いお尻」
「最悪な」「悪いやつ」という意味ですが私は「めちゃくちゃかっけ~!」
「ヤバイ!!」女の子たちという意味をこめてタイトルにしました。
我が道をゆくはぐれ者の現代の女の子たちと我が道をゆけなかった遊女たちが時空を超えて手を取り合い共闘する物語です。
我が道も何も関係ない超越的存在の女の子も登場しガールズが団結しながら暴れ回ります。
上記のテーマとは別にしゃもじに絵を描き縁起しゃもじ的なものも作りました。
しゃもじは「すくい取る」から「敵を召し取る」となり、幸せを召し取るという幸運や勝運を招く縁起物になったそうで縁起しゃもじとして宮島土産が有名ですが私もしゃもじに絵を描いてみたくなりました。
私の描いたしゃもじにはもちろん何のご利益も保証されていませんが「こんな場面があったら幸せだな」「こんなこと言われたらめちゃ嬉しい!楽しい!」ことを描いてみました。

ヤバい女子と縁起しゃもじという……ものすごい組み合わせが、吉岡さんの絵になるとなぜかしっくりなじみそうなのも不思議ですよね。


化け猫エレジー


女の花道


川崎ロマン座


大根足礼賛




吉岡里奈をじっくりインタビューして記事にしたのは2017年の「妄想版・夜の昭和史」が最初で、それから何度も取り上げさせてもらっています。その画風はデビュー当初から1ミリもブレがないようで、ずっと見ていると初期のひたすらほのぼの・いい湯加減のお色気世界から、だんだんエッジが立った「圧」が増してきている気も個人的にはしていて、このままどこまで行っちゃうんだろうと楽しみでなりません。

カストリ書房の展覧会はいつも会期短めなので、ファンのみなさまはくれぐれもお見逃しなきよう!




吉岡里奈個展「バッデース・ガールズ☆異形の女神たち」
9/21(土)~10/6(日) ※9/24日30 日、10/1日休廊 12:00-19:00
最終日10/6は18時まで
@吉原カストリ書房 
https://kastoripub.blogspot.jp/

で、今週号を書き終えたら、札幌から「写真の町」東川町に移動して、始まったばかりの


沈昭良写真展「環流・帰還」
https://higashikawa-town.jp/portal/top/topics/271

を鑑賞。そのまま旭川空港から羽田に戻り、新宿御苑前のRED Photo Galleryにて


許曉薇 「The Vessel that Blossoms」
https://photogallery.red/schedule/2024/20240909/exhibition.php

品川のキャノンギャラリーSで


中野正貴 写真展「Pathos」
https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/nakano-pathos

恵比寿のALギャラリーで今回が11回目!という


三浦憲治写真展 2024 ミウラヒロシマ vol.11
https://al-tokyo.jp/news/miurahiroshima2024/

も行かないと……。しかもまだ国立新美術館の田名網敬一展も、東京都現代美術館の高橋龍太郎コレクション展も、国立博物館の内藤礼展も、昔から意外と好きだったジャン=ミッシェル・フォロン展(東京ステーションギャラリー)も行けてないし……いったいどうしたら。

好きなものがいっぱいあるって、大変ですよね!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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