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AFTER HOURS
編集後記

2016年11月23日 Vol.237

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! いろんな場所にお連れしましたが、気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

イントロでお知らせしたとおり、来週の30日は第5水曜にあたるため、配信お休みさせていただきます。すいません! でも、ちょっとしたプレゼントを用意しているので、お楽しみに。

この後記を書いているのは月曜の夜、鳥取市のビジネスホテル。朝の飛行機で東京から来て、市民美術展の審査に参加したのですが、明日は福岡に移動。岡山か姫路まで出て、そこから新幹線かな・・・と思ったら、乗車時間だけで約5時間半! けっきょく、鳥取空港から羽田空港まで戻って、羽田から福岡空港に飛んだほうが、所要時間半分くらいだと判明しました。鳥取、手強い!

と、こんなことを書くと、「どうせ鳥取は遠すぎですから・・・」とか地元のかたに言われてしまいそうですが、言い方を変えれば「東京が遠すぎ」なだけ。世界地図だって、欧米で売ってるのは日本がいちばん端っこなんだし。鳥取が日本でいちばん寂しい県と言うならば、「日本は世界の鳥取」なのかもしれないし、「地球は宇宙の鳥取」なのかもしれないし!(前に名古屋で同じこと書きましたが)

鳥取には今週末も行く予定なので、1週間に二度の来鳥(というのか?)。「砂丘」と「梨」くらいしか思いつかないひとも多いでしょうが、鳥取市は街なかに温泉があるし、中心部は歩きまわるのにちょうどいいコンパクトなサイズ。しかもいまは松葉ガニの季節! 京都みたいなメジャー観光地の大混雑に辟易してるかたには、おすすめです。

しかし、いくら来週はメルマガお休みとはいえ、日曜にふたたび鳥取、そこから電車で大阪(ロフトプラスワンウエスト2デイズ)、そのまま今度は島根・・・という流れ旅。東京で高額家賃払ってるのが、だんだん無意味に思えてきました(涙)。でも、取れたて地方ネタをお送りできるよう(そしてコンビニ飯ばっかりにならないよう)、がんばってきます!

[鳥取・夜の散歩道]

「鳥取の夜」といえば思い出されるのが、あの豊満体で6人のオヤジを毒牙にかけた上田美由紀! 「東の毒婦」木嶋佳苗に対する「西の毒婦」と並び称された美由紀嬢は、弥生町のプチぼったくり・デブ専スナック『ジャンボ』の看板娘だった(店名、ぴったりすぎ!)。ジャンボは残念ながらすでに閉店、店舗は賃貸に出されている。


グーグル・ストリート・ビューにはまだ『ジャンボ』が写ってるので、いまのうちに確認しておくべし

弥生町は駅前商店街の裏に広がる鳥取随一の飲食&風俗街。「夜の散歩」しているうちに、古風な店構えが気になって入店してみたのが『バー貝』。これが店を開いてもうすぐ50年という、素晴らしい風格のカウンターバーだった。おとなりの『なぎさ』と並んで、ここらでいちばん古い店だそう。




「昔とは比べものにならないくらい、鳥取は寂れちゃってねぇ」と嘆く信子ママは、なんと御年81歳。いまでも毎晩、お客さんと一緒にビール3~4本はいくという、元気いっぱいのベテラン・ママさんだ。生まれも育ちも鳥取で、実家は旅館経営。鳥取は温泉が湧くので、むかしは駅前に温泉旅館がたくさんあったそう。「だけど若いころ駆け落ちしちゃって、5年くらい池袋に住んでたの」。それから鳥取に連れ戻されて、いろいろあったのちに31歳で『貝』を開いたのが1968(昭和43)年のこと。以来、約半世紀。開店当時からのお客さんもいまだにいるけれど、「みんなどんどん死んじゃって」。


『貝』という珍しい店名に、お客さんは「ママの貝やろ!」と突っ込むのがお約束だが、「え~、なんのことぉ?」とかとぼけつつ、ここまでやってきた。ほんとはアールヌーボー好きで、貝のフォルムがよく使われるからと、この名前を選んだそう。美しいカウンターの曲線は船をあらわしていて、『貝』はインテリア・デザインもすべてママの手によるものなのだ。そして開店以来50年近く、まったく改装していない当時そのままの内装、外観でやっている。




若いころは「浅丘ルリ子か嵯峨三智子に似てる」と言われた信子ママによれば、「男はパンチがないと、草食系なんてダメよ。やっぱり『勃ち』だからね!」。年配のお客さんはど演歌をかけてほしがるが(『貝』はカラオケなし)、「私はこういうのが好きなの」と、お気に入りのトム・ジョーンズをかけながら、お相手してくれた。


土日はお休みだけど、平日は毎晩ひとりでカウンターに立ち、お酒も飲むけれど、そのかわり外食はしない、ヨガなどの運動を心がけ、風邪を引いたりしても薬に頼らず、自然治癒をこころがけるといった、からだメンテナンスに気を配ってる。「だからあなたも、バイアグラとか使っちゃダメよ!」と言われて、自分の自然治癒力を疑いながらお会計を頼んだら、こちらハイボール4、5杯に、ママのビールで計4000円! 堅く再訪をこころに誓って、店をあとにしたのでありました。


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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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