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AFTER HOURS
編集後記

2024年10月02日 Vol.615

今週も最後までお付き合いありがとうございました。気に入ってもらえた記事、ありましたか。

もう77回目!という長期連載になったオカダキサラさんの「ニュー・シャッター・パラダイス」、今週はいつもとスタイルを変えて写真1枚に長めのテキストを添えるかたちにしてみました。こんなふうにいろんなスタイルを試しながら、まだまだ、キサラさんが飽きるまで!続けていきたいと思っています。

大道芸術館も在りし日の秘宝館文化のミニ再現みたいなものですが、秘宝館好きのみなさまならきっと知ってる、兵頭喜貴の自宅秘宝館「八潮秘宝館」。最初に取材したのが2012年「人形愛に溺れて・・・妖しのドールハウス訪問記」で、そのときは八潮に引っ越す前の葛飾区の自宅アパート秘宝館。2015年には開館したばかりの八潮秘宝館を初訪問。これまで10年以上にわたって、何度も取り上げさせてもらってきました。

現在、八潮秘宝館は閉館中で、本人によれば「まずは写真の撮影に注力するため、そして海外から不愉快な奴らが来るようになったため止むを得ずの処置です」とのこと。その、注力していた写真撮影が、このほど「史上最大のイベント」に結実。10月4日から2日間(もしかしたら3日間)にわたって、岩手県北上市の喜久盛酒造旧工場・母屋で開催される「八潮秘宝館出開帳 兵頭喜貴大博覧会@喜久盛酒造蔵開き 」です!


こんな感じの展示になる予定

喜久盛(きくざかり)酒造は1894(明治27)年創業という大変な老舗酒造メーカー。現在では5代目蔵元の藤村卓也さんにより、かつて根本敬の命名とラベルデザインによる「電気菩薩」をリリースしたり、新ブランド「タクシードライバー」を立ち上げたり、吉岡里奈のラベルデザインによる「北上夜曲」やGUCCIMAZEの「銘途」(めいず)を出してみたりと、老舗にしてチャレンジ精神旺盛な酒造所。

その喜久盛酒造蔵は以前から兵頭くんのイメージにぴったりの撮影場所として活用されてきたようですが、今回は――

母屋は明治の豪商が建てた豪邸ですけど、北側から崩壊が進み、現在は荒れ放題です。中は獣の巣になっていて、死骸も転がっていますが、その一角を掃除して寝起きしながら撮影しています。旧工場は広大な廃墟です。今年、内部のタンクや機械を大量廃棄して、現在は実質的に自分専用の撮影スタジオになっています。ここもいつ倒壊しても不思議ではないので、見るなら今のうちです。この廃墟工場と母屋を使って展示イベントを行います。


運び込まれたドールたち

とのこと。すでに十数体のドールが運び込まれ、準備着々。前夜祭から後夜祭までたった2日間あまりのピンポイントな日程ですが、公式サイトには紅葉の八幡平や、大食堂で有名な花巻のマルカン百貨店など周辺ガイドも紹介されているので!ひと味ちがう秋の東北を過ごしたい勇者のみなさまは、この週末ぜひ北上を目指してください!


日刊・兵頭喜貴 八潮秘宝館公式サイト:https://blog.livedoor.jp/hyodo_shasin/archives/50875588.html

「八潮秘宝館出開帳 兵頭喜貴大博覧会@喜久盛酒造蔵開き 」

10月4日(金) 18時より前夜祭開催
10月5日(土) 13時より翌朝(暗くなってからの方がオススメです)
10月6日(日) 成り行きです。時間帯によっては展示の一部は見られると思います。

10月5日(土) 20時頃よりカルトビデオ上映会・夜通し宴会開催 終了予定時間深夜2時くらい
喜久盛酒造新工場で作られた新酒のお披露目会・蔵開きも同時開催

注:要は飲んだら帰さないってことです。宿泊する方は毛布・寝袋・懐中電灯・秋物の衣類等各自で用意して下さい。食べ物や飲み物の持ち込みは大歓迎です。

会場 喜久盛酒造旧工場・母屋
岩手県 北上市 更木3地割54番地

参加料1000円 18歳以下は無料 但し要保護者同伴
参加者全員に特製写真集、ポストカード、八潮秘宝館ボールペン・ステッカーのいずれかを進呈します。

ちなみに北上市といえば、ロードサイダーズでは2014年に「踊る東北御殿」として、なぜか岩手のみで異様に盛り上がる「股旅舞踊」を取材しました。あのときは「全国大会30周年記念・歴代優勝者(チャンピオン)大会」だったけど、今年11月10日には「全国大会40周年記念・第6代グランド王座決定戦」が開催! これも行きたいなあ・・・・・。


https://tono-sks.com/event-info/%E7%AC%AC41%E5%9B%9E%E8%82%A1%E6%97%85%E8%88%9E%E8%B8%8A%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E4%BC%9A%E3%80%80%E7%AC%AC%E5%85%AD%E4%BB%A3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%8E%8B%E5%BA%A7%E6%B1%BA%E5%AE%9A/

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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