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ズレの神様 ―― 灰野敬二と大竹伸朗

先週から渋谷の映画館で『ドキュメンタリー灰野敬二』が始まっている。ツイッターやブログなどでもずいぶん話題になっているので、このメルマガ読者の方々でも、すでに観たひと、これから観るつもりのひとがいらっしゃるだろう。灰野敬二は1952(昭和27)年生まれ。今年還暦にして、もう40年間にわたって「轟きわたる静寂 優しすぎる轟音」(映画コピーより)という唯一無二の音楽をつくってきたアーティストだし、監督の白尾一博は『美代子阿佐ヶ谷気分』や、僕の好きな『ヨコハマメリー』のプロデューサー兼編集を担当している注目の映像作家なので、おもしろくないわけがない。

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われらのクラシカル・エレガンス――JUN&ROPÉの'70年代CF

このあいだ歌舞伎町ロボットレストランについて書いた『ヌメロ・トーキョー』誌の、いま発売している号で、1970年代のJUNグループのコマーシャルについて書かせてもらっている――。テレビがおもしろくない、とみんなが言う。そのとおりだ。でも、もっとおもしろくないのはテレビのコマーシャルだ。売れてるタレントが商品名を連呼するだけのコマーシャル。外国人俳優にバカな役を振って遊んでる(と思ってる)、リスペクトのカケラもないコマーシャル。芸人の15秒一発ネタみたいなコマーシャル。そこには美しさも、品位も、世界でいちばん短い映像作品をつくってやるという気概も、なにもない。

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負け組音楽映画の真実――『シュガーマン』と『ジンギス・ブルース』

今週末からいよいよ『シュガーマン』の上映が始まる。正式タイトルは『シュガーマン 奇跡に愛された男』だが、『サーチング・フォア・シュガーマン』という原題のほうがずっといいなあ・・・などと思っていたら、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門を受賞してしまった。今年は作品賞も実話をもとにした『アルゴ』だったし、「なんとか2」とか「3」とかばかりに巨費を投じるハリウッドの制作スタイルが、すでに限界に達していることを示しているのかもしれない。もうテレビでも新聞雑誌でもずいぶん紹介しているので、いまさらここで書く必要もないと思うが、『シュガーマン』はロドリゲスという実在のミュージシャンをめぐる、数奇としか言いようのないドラマを映像化した作品だ。

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石巻のパラダイス・ガラージ――パールシネマ潜入記

ちだ原人のインタビューにも協力いただいた石巻のデッドヘッズカフェ『ROOTS』を紹介した去年12月12日配信号で、ちらっとお見せしたのが石巻商店街にある宮城県内唯一の成人映画館『日活パールシネマ』だった――。もともとは石巻で酒蔵を始めた、現在のオーナー清野太兵衛さんの先代が、大正15年に石巻歌舞伎座といいう芝居小屋を建立。芝居の合間に日活の活動写真を上映するようになり、昭和26年に現在の劇場を建て、しばらくダンスホールとして営業したのち、昭和30年から映画館としての営業を始めたという。

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長距離ロッカーの孤独

この3月、札幌の小さな映画館で、あるドキュメンタリー映画が1週間だけ公開された。主人公は札幌在住の、まったく売れない中年ミュージシャン。監督はこれが映画初挑戦という、美容院とスープカレー屋の経営者。いったいこれ以上、地味な組み合わせがあるだろうか・・・。しかしこの映画『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』は、公開直後からなんと連日満員の大盛況。今月30日からは映画館「蠍座」の開館以来、17年間で初めてのアンコール上映が行われるのだという。映画にはほんのときたま、こういう奇跡が起きる。だから信じられるのだけれど、それにしても・・・。『KAZUYA 世界一売れないミュージシャン』とは、こんな映画だ――。

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プリミティブであること、ノマドであること ――チャラパルタの教え

どうやって演奏するのか、どんな音が出るのか、見当もつかない楽器に出会うと、すごく興奮する。オーストラリアで初めてディジリドゥを見たとき。楽器屋の片隅で口琴を見つけたり、アフリカ音楽のアルバムで親指ピアノを初めて聴いたとき。ニューエイジ系の飲み屋で、中華鍋をふたつくっつけたようにしか見えないハングドラムを叩いてみたとき。しかしこのチャラパルタというのは・・・。材木をてきとうに切って並べた作業台らしきものを前に、ふたりの男が立っている。太鼓のバチみたいな棒を両手に持って、ひとりが台の材木をポン、と叩く(というか棒を材木の上に落とす)。

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デジタル紙芝居としての『燃える仏像人間』

京都駅からJR奈良線で30分足らず、お茶で有名な宇治市の住宅街。ナビを頼りに迷路のような新興住宅地をタクシーで走り、一軒の家の前で停まると、まだ大学生と言っても通るような青年が玄関を開けてくれた。それが去年、アニメ映画界の話題をさらった『燃える仏像人間』の監督・宇治茶さんだった。昨年末には第17回文化庁メディア芸術祭のエンターテイメント部門で、優秀賞を受賞した『燃える仏像人間』については、すでに多くの紹介記事が出ているし、全国の上映イベントで作品を観たひとも少なくないだろう。いわゆる「劇メーション」の手法で制作された、非常に特殊なアニメ作品だ。

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地上波で秘宝館が見られる日

今月いっぱいで鬼怒川秘宝殿が閉館し、ついに現役の秘宝館が熱海ひとつだけになってしまうこともあって、にわかにいろんなメディアで秘宝館の話題が見受けられる・・・遅いよ! とはいえ、ついに地上波でも(深夜枠とはいえ)秘宝館のドキュメンタリーが、それも1時間番組で放映されると聞くと、ちょっと感慨深いものもある。秘宝館と同じくらい、いまや絶滅危惧種になってしまった民放の硬派ドキュメンタリー番組のなかで、貴重な生き残り組であるフジテレビの「NONFIX」。水曜深夜2時半〜3時半(26:30〜27:30)という、ラッパーのライブみたいな時間帯ではあるものの、シリアスからサブカルまで、だれもが起きてる時間には決して放映されない種類のプログラムで、ファンのかたもけっこういらっしゃるのではないか。

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新連載 はぐれAV劇場 01 大阪の筋肉女装ホモ〜もうひとりのアタシ〜(文:大須蔵人)

男のオナニーのための道具、というのがAVの基本的な役割で、それはいまでも変わりないけれど、欧米のポルノビデオとは違って規制があるために、かえって独特な映像表現が発達したともいえる日本の(表)エロビデオ。そのなかには「オナニーツール」の役割を超えて、あるいは役割に足りないままに、シュールな映像作品になってしまったものが少なくない。アートでもなく、ポルノでもなく、伝統的な映画でもなく。そうした「ワケのわからないAV」は、当然ながら有名女優とも大ヒットとも無縁の商品だから、時を経て探すのがいちばん難しい作品でもある。大須蔵人さんはそんな、はぐれAVばかりをもう10年以上収集しているユニークなコレクター、というより大衆文化のフィールドリサーチャーだ。

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はぐれAV劇場 02 当たりハズレ付き まっ暗闇合同SEX 女5人vs男10人(文:大須蔵人)

「あんたんとこに柿の木あるの」「ハイ、あります」「よう実がなりますか」「ハイ、ようなります」「わたしが上って、ちぎってもよろしいか」「ハイ、どうぞちぎってください」「そんならちぎらせてもらいます」これは、反骨の民俗学者として知られる赤松啓介が、自身の実体験に基づいて記録した「柿の木問答」というやりとりからの一篇である。主に筆下ろしや、初夜に交わされたやりとりで、「要するに未知、未通の男女の初床入りの儀礼であった」(赤松啓介『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』筑摩書房)というように、初めて性交をおこなう男女が、この問答を通じてお互いの緊張、戸惑いを緩和し、初通をスムーズに達成するためのメソッドとなっていた。暗闇のなか、どんな相手かもわからないままに、作法の順番を柿の実取りに見立てて進んでいく。それが、性交の手引きであると同時に、コミュニケーションツールになるという、極めて合理的な役割をになっていたといえる。

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非現実の映像王国で

「とにかくすごいんです!」と、本メルマガで『案山子X』を連載してくれているai7nさんから伊勢田監督のことを聞いたのは、もう2年ほど前のことだった。アウトサイダーにも絵画とか文学とか建築とか、いろいろな分野があるけれど、「アウトサイダー映像作家」というのは、初めて聞くジャンルでもあった。いつかはお会いしたいと思いながら果たせないでいるうち、この4月に伊勢田監督が「PVデビュー」を飾ることになったと知った。それもプロデュースが、やはり本メルマガで『隙ある風景』をずっと連載してくれて、最近では「商店街ポスター展」でも注目されるケイタタ=日下慶太さん。そしてPVのアーティストは、なんと中田ヤスタカがPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅに続いてデビューさせる期待の新人・三戸なつめだという・・・信じられない。業界的にはかなりのプロジェクトのはずが、こんなふうに決まっちゃっていいんだろうか!(笑)

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はぐれAV劇場 03 花公路夏男のSM放浪記(文:大須蔵人)

私が専門にしている「ヌケないAV」というのは、もちろんジャンルとして区分されている訳ではなく、何らかの理由(失敗、狙いハズレ、無計画)によって、いわば偶発的に世に送り出されたものといっていい。もちろんこれらは、別に「ヌケない」ために発売されたものではないので、他の多くのAVと同じように販売され、レンタルビデオ屋の棚に入り、時期を過ぎて廃棄され消えていくという過程で、たまたま拾われ、その収録内容によって不名誉にも「ヌケないAV」という称号のもとで世間に曝されるに至ったというものである。

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はぐれAV劇場 04 実録SEX犯罪ファイル(文:大須蔵人)

アダルトビデオの世界は、あらゆる人間に寛容だ。他の業界で失敗した人間や、行き場を失った芸能人、果ては犯罪者までもが特に差別をされることもなく受け入れられる。むしろ、そういった後ろ暗さをネタとして消費するような機構が確立されているといってもいい。今回紹介するのは、まさにそういった「犯罪」と「犯罪者」をテーマにした作品である。1998年に発売された『実録SEX犯罪ファイル』(BAZOOKA)の監督は高槻彰。平野勝之、井口昇といった個性的な映像作家を輩出し、90年代にAVの範疇に収まらない濃厚なドキュメント作品を量産した制作会社(現在はメーカー)、シネマユニットGASの代表である。高槻監督は、ドキュメントAVファンのなかでは知らぬ者のいない巨匠であり、なかでも今回の作品は、ビデオ情報誌『ビデオザワールド』(コアマガジン)で98年度上半期ベストワンを獲得するなど、名作として語られる機会も多い、いわゆる大ネタである。

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はぐれAV劇場 05 アニマルプリント(文:大須蔵人)

以前、南アフリカに行く機会があり、そこでサファリツアーに参加した。船で川を下りながら、岸辺に生息する自然の動物たちを眺めていると、象が水浴びをする横に、カバの親子がたたずみ、親カバの上には水鳥がとまり、その足下にワニがいる。そんな生き物の共生の場を目の当たりにして、ふと思った。人間は他の生物と、このようには共生できないではないかと。カバが、急に水に潜りだし、背中にとまっていた水鳥がビックリして飛び上がり、ワニはさっと道をあけるような、あの協力と無関心の、共生というよりもむしろ生物並存とでもいうべき平等状態のなかに人間が入ることができるだろうか? のんびりした動物の世界を見ていると、ああいう風に生活してみたいなと思うこともあるだろう。でも人間は動物と平等に生きることはできないだろうし、動物が自由に生きているように見えるのも、また人間からみた自然への憧れに過ぎないのだろう。そんなことを考えさせられるのが今回紹介する作品『アニマルプリント』である。監督はソフト・オン・デマンド(SOD)でハード系作品を多く手がけるモリタ寿(ことぶき)、本作も2001年にSODからリリースされたものである。

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はぐれAV劇場 06 美女とわき毛(文:大須蔵人)

フェデリコ・フェリーニの『そして船は行く』(1983年)のオープニングは、豪華客船の出航準備をする波止場の風景を映した、白黒サイレントの映像ではじまる。そのぎこちない動きの映像にカタカタと映写機の動作音が重なり、それがやがてトーキーとなり、カラーになって、船が出港する本編へと繋がるという場面である。フェリーニはこの1シークエンスで映画の誕生からその発展の歴史を足早におさらいするという演出を試みているのである。作品の内容からすると、この演出は映画史へのオマージュであるとともに、映画へのレクイエムであるとも考えられる(ラストシーンでは歴史が逆行してサイレントへと戻っていく)。このように、作品のなかでその作品が成立する背景を反省的に捉え直すものは少なくない。とはいえ、それは映画や音楽といった豊かな「歴史」をもったメディアの話であって、AVでそういったものを目の当たりにする機会はほとんど無いといっていい。そもそもAVには正史と呼べるような発展史が存在するとも、それが周知のものであるともいい難いというのが実情ではないだろうか。今回紹介する作品は、AVにおいて、そのAVの歴史を再演するかのような極めて稀な作品である。今回は、この作品の紹介を通して、日本におけるAVの発展史をおさらいしてみたいと思う。

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ヴィヴィアン・マイヤーを探して

この数年でもっとも話題になりながら、なぜか日本ではいちども展覧会が開かれず、輸入された写真集は大人気でありながら日本版が出版されることもない、知る人ぞ知る存在だった写真家、それがヴィヴィアン・マイヤーだ。メールマガジンでもずいぶん前から紹介したかったのだが、種々の理由でなかなか実現できないでいた。すでに各メディアで告知記事を読まれた方も多いと思うが、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門(第87回、今年2月開催)にもノミネートされた映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』が、10月10日からの渋谷シアター・イメージフォーラムを皮切りに、各地で公開される。まさに待望!のリリースだろう。

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はぐれAV劇場 07『特攻! 裏風俗ゲリラvol.9~完全体験潜入ルポ~』(文:大須蔵人)

ビデオには表と裏がある。ビデオは、もちろんメディアの名前だが、日本ではそれに「表」とくつと、アダルトビデオを意味し、「裏」とつけば非合法(わいせつ物頒布等の罪)の無修正エロビデオを意味する。したがって、基本的にAVと呼ばれるものは、いずれかの審査を経て流通している合法的なエロビデオの呼称であり、決して全てのエロビデオがアダルトビデオというわけではない。そういった意味で今回紹介する作品は、「裏」風俗の世界に迫った「表」ビデオ(AV)ということになるだろう。世の中には色々な表と裏があるが、私はこの作品で、街の裏をみたような思いがした。取り上げるのは、2004年にリリースされた作品『特攻! 裏風俗ゲリラvol.9~完全体験潜入ルポ~』(ATLAS21)。タイトルのとおり風俗産業の「裏」、というか裏風俗を、潜入盗撮という体当たり取材で迫ったサスペンスフルなリアルドキュメントである。

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はぐれAV劇場 08 バベルのビデオ館──中村企画訪問記(文:大須蔵人)

そこは、埼玉県志木市の住宅街にひっそりとたたずむ、倉庫のような建物だった。いつもシャッターが閉じられていて、外からでは中に何があるのかをうかがい知ることはできない。軒先に「中古ビデオ、DVD買います!! 中村企画」という看板が掲げられているのみだ。シャッター脇にあるインターホンを押すと、迎えてくれたのが中村企画の社長、中村友嘉さんだった。中村企画は、中村さんのほか数名のスタッフとともに、この倉庫兼事務所で、インターネットでのアダルトビデオの通信販売と買い取りをしている。事務所には大量のVHSデッキや空のビデオケースが並べられ、そこで日々、買い取ったビデオの検品、クリーニング、発送の作業をしている。

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浅草が発情した日――SODプレミアム・イベント密着記(写真:多田裕美子)

9月11日、浅草で『SODプレミアムフォトラリー』『SODプレミアムナイトin浅草』という2つのイベントが開催された。SOD(ソフト・オン・デマンド)は言わずと知れた老舗AVメーカー。正統派美女をフィーチャーしたものから、時にはシュールですらある実験的作品まで、時代をリードするコンテンツを制作・販売してきて、今年がちょうど創立20周年にあたる。今回のイベントはSODのDVD作品を購入し、ポイントを貯めた上位1000人を招待して、浅草の遊園地花やしきを一夜貸し切り、女優120人とともに大パーティを開こうというクレイジーな企画。さらに昼間は浅草のさまざまな店舗に人気女優を配置。参加者は自由に写真撮影を楽しめ、同時にスタンプを集め、それが規定数に達した先着50名が、花やしきのパーティに参加資格を得るという・・・浅草が鼻息荒い男子たちに占領された一日だった。

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路地裏のビンテージ・エロ――フランス最後の成人映画館ル・ビヴァリー潜入記

メトロのボンヌ・ヌーヴェル駅を降りると、目の前にアールデコ様式の巨大な映画館がそびえている。「Le Grand Rex(グラン・レックス)」は1932年に開館、収容人数2700~2800人を誇るパリ最大の映画館だ。そのレックスから徒歩30秒、カフェ脇の小路を入った先に客席数90、サイズから言えばレックスの1/10どころか1/100くらいの「ル・ビヴァリー(Le Beverley)」がある。こちらはフランスで唯一、1970年代から80年代にかけてのフランス製ポルノ映画を、いまも35ミリ・フィルムで上映し続けている「成人映画館」。フランスではすでに1990年代に35ミリ・ポルノ映画最後の配給会社が消滅したというから、ここはヴィンテージ・フレンチ・ポルノを銀幕で、オリジナルの状態で鑑賞できる、唯一の重要な上映館なのだ。

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はぐれAV劇場 09 ザ・スキャンダル:日本で一番有名人と寝た女(文:大須蔵人)

今に始まったことではなく、ずっと以前から芸能人や有名人のスキャンダルやプライベート情報の流出などが話題となり、世間の注目を浴びることが多くある。最近では現役アイドルやアナウンサーのプライベートエロ画像が流出してネットの話題をさらうことも、もはや珍しいことではなくなってしまった。海外に目を転じれば、現代の神とも呼ばれるセレブリティたちの存在は、パパラッチたちが暴露する、きわめて下世話なスキャンダルによって補完され、その地位と名声を強化するという共犯関係を築き上げているともいえるだろう。聖と俗、現代で崇められる者たちは、それと同時に大衆からの下世話な欲望に身をさらされ、「あの人、実はこんなんだよ」という悪意ある暴露の対象となるのだ。

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孤高の伊勢田監督・新作発表会!

夜ともなれば『ミナミの帝王』の主題歌『欲望の街』(by RIKI)が聞こえてきそうな大阪ミナミ・宗右衛門町あたり。しかし昼間は歌舞伎町以上に前夜の疲れを漂わせる、肌荒れムードの街景が広がっている。その宗右衛門町の11月14日、土曜日午後1時。雑居ビルのなかにあるロフトプラスワンウエストで、『伊勢田勝行監督作品・新作上映会 ~いせださんとつくってあそぼ~』が開催された。流行には敏感だが、流行を超えたものには鈍感な大阪だけに、残念ながら満員にはほど遠い集客だったが、それでも十数名の選ばれし者たちが暖かく見守る中、伊勢田監督はゲストの日下慶太、ai7n両氏(どちらもメルマガではすでにおなじみ)を相手に、新作上映、お客さんとのコラボ撮影、コスプレワークショップなど、多彩なプログラムをエネルギッシュにこなしてくれた。

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はぐれAV劇場 10 『ふるさと創性論 季実子の玉おこし』(文:大須蔵人)

年末年始にかけて、多くの人たちがそれぞれの故郷へと里帰りしたことだろう。家族や親戚、地元の友人との再会を喜び、四方山話をして楽しい時間を過ごした人もいれば、「結婚はいつか」「早く孫の顔が見たい」などと小言をいわれてウンザリという人もいるかもしれない。いずれにしても、故郷には普段の生活とは全く違った人間関係があり、それは懐かしくもあり、また面倒だったりもするのではないだろうか。意外に思われるかもしれないが、AVには “里帰り”をテーマにしたドキュメンタリーの傑作が多い。それは女優の里帰りを追ったものから、監督やスタッフ、男優の里帰りを追ったものなど様々である。

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はぐれAV劇場 11 『男女13人! 地上20メートル空中ファック』(文:大須蔵人)

今年で35年を迎えるアダルトビデオの歴史の中で、その作品の殆どが人々の記憶からも、そして物理的にも消え去ってきたということは、この連載でもたびたびお伝えしてきた。しかし、そんな消尽カルチャーであるAVの中でも、忘れられることなく人々の記憶に残りつづける作品が、少ないながら存在する。例えば、村西とおる監督の『SMぽいの好き』(クリスタル映像、1986)や、代々木忠監督の「チャネリング・ファック」シリーズ(アテナ映像)などがそれに当たるだろう。歴史に残るAVが、だいたい「珍奇」な作品であるということについては、じっくり考えてみるべき問題だと思うが、今回紹介する作品は、これら名作に勝るとも劣らないインパクトと「珍奇」さを備えた、AVにおけるニューウェーブを代表する一作だ。

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キューバの映画ポスター展

終了間際の紹介になってしまい恐縮だが、いま東京・京橋の近代美術館フィルムセンターで『キューバの映画ポスター』展が開催中だ(3月27日まで)。フィルムセンターは映画ポスターの展示にずいぶん力を入れていて、ほとんど毎年一回は世界各国の映画ポスターの展覧会を開いている。そこには映画史やグラフィック・デザインへの興味もあるだろうが、それ以上に本来は宣伝広報の媒体にすぎないはずのポスターが、ときにその国や時代の映画人たちの、映画にかける思いを体現するメディアとなっているからでもあるのだろう。

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『牡丹の囁き』完成記念上映会によせて

4月10日、渋谷アップリンクで一本の映画の完成記念上映会が開かれる。たった一日、2回の上映だけ。このあとの上映はまだ決まっていない。『牡丹の囁き』と題されたその映画は、緊縛師として活躍する奈加あきらを追ったドキュメンタリーである。監督はフランス人映像作家ヴァンサン・ギルベール。「外国人から見た日本のSM文化記録」という、ありがちな視点を大きく逸脱した、苦痛と陶酔の映像詩というべき作品に仕上がっている。今回は連載『はぐれAV劇場』でおなじみの大須蔵人さんに、急遽レビューを書いていただいた。今週末という慌ただしい上映会ではあるが、記事の末尾に触れられているように、ギルベール監督、奈加あきらさんによるトークや、「女性限定・奈加あきら緊縛パフォーマンス付き」という興味深い上映もあり。日本人によるSM緊縛映像とはまた別の視野からの、美のアンダーワールドを堪能していただけたらと願う。

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はぐれAV劇場 12 『最後の露出:ラバーペイント過激露出の巻』(文:大須蔵人)

街を舞台にしたAVの花形は「ナンパもの」だが、もう一つ、街を舞台にしたオルタナティヴなジャンルとして安定した人気を得ているのが、いわゆる「露出もの」だ。露出プレイというと、もともとSMの調教だったり、あるいは投稿雑誌に写真を送ってくるような好きものカップルの過激な戯れといった印象が強い。AVのジャンルとしても基本的にはそういった、SMやビザール的なカテゴリーのなかにあったもののように思える。このジャンルに特化したマニアも多く、ネットでも専用の批評サイトやブログが幾つもみられる。

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はぐれAV劇場 13『縄炎~美濃村晃の世界~』(文:大須蔵人)

叙情的な音楽をバックに、柱に縛られた女性の足。肉感的な大腿から肩にかけて色鮮やかな刺青が彫り込まれ、その足は畳敷きの床にギリギリの高さでつま先立ちしている。屈曲した足の指は、自らの重みに耐えて痙攣しているさまがありありと伝わってくる。これは、伝説の責め絵師・喜多玲子による絵画だ。その絵にオーバラップして、同じ片足吊りの体勢に縛り上げられた女性の姿が現れる。口には帯のような布を咥えさせられて苦悶の表情を浮かべている。陰影の強いその映像に唐突に2人の男性の会話が被さる。「いいですよね~」、「これ結局、彼女が苦しいから、口離しちゃったら全部見えちゃうという……」、「うん、これは本当に、美濃村晃の、美濃村晃十種の一つですよね、最もいいポーズの……」、「ああいいな~、すごい、喘ぎ始はじめてね」、「うん、これは口を離すと全部見えちゃうという」、「うん、見えちゃうね、見えたら恥ずかしいんだよ、彼女」、「うん恥ずかしいよ、これは」、

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はぐれAV劇場 14『全裸チャレンジャー108人:松本和彦・MVGスペシャルディレクターズバージョン』(文:大須蔵人)

今回紹介する作品は、おそらくAVが最もテレビを志向した動きの只中で、「AVの本質とは何か」を問うた作品といえる。しかもこの作品は、AVではかなり珍しいと思われる、ディレクターズ・カット版という代物だ。作品は、1998年にソフト・オン・デマンド(SOD)からリリースされた『全裸チャレンジャー108人:松本和彦・MVGスペシャルディレクターズバージョン』。そして、このディレクターズ・カット作品の監督であり、主役でもあるのがM's ビデオ・グループ(MVG)を率いた松本和彦だ。本作の経緯を簡単に説明すると、もととなっているのは、108人の全裸女性が集結し、賞金獲得をめざして体育からアトラクション、大食いまであらゆるエクストリームな競技を繰り広げる『全裸チャレンジャー108人』(監督:鎗ヶ崎麿羅、1998年)という、SOD設立以来の目玉作品だった「全裸シリーズ」初期の集大成といえる作品だ。

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はぐれAV劇場 15『松野行秀の堕落論』(文:大須蔵人)

スキャンダルは一度利用したら最後まで押し通せ! このテロップとともに作品は始まる。画面には派手な衣装に身をつつみ、マイクを持って話す1人の男。その背後にはタイガー・ジェット・シンのポスターが貼られていて、どうやらプロレスラーの試合後会見のようだ。そこで満身創痍のまま、ピエロのような白塗りの顔で会見をしているのが、本作の監督であり、主演男優でもある、ゴージャス松野こと、松野行秀だ。今回紹介する作品は、2002年に制作された『松野行秀の堕落論』。上記のように監督と主演を、AV初出演となる松野行秀が担当し、松野さんが「AVに出演すること」そのものがテーマとなっている、類まれな珍作だ。

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『BAZOOKA!!!』の遺産

高校生ラップ選手権、北九州成人式、ヤリマンの主張、練マザファッカーx新垣隆・・・バラエティ番組のかたちをとりながら、地上波ではとうてい望めないひりついたリアルを毎回教えてくれた『BAZOOKA!!!』が終わってしまって、もう2ヶ月になる。僕も何度か出演させてもらい、このメルマガでも高校生ラップ選手権を中心にお伝えしてきたので、『BAZOOKA!!!』ファンの読者もきっといるはず。番組終了から少し時間が経ってしまったけれど、まだYouTube上にはたくさんの映像が残っている。今回は総合演出の岡宗秀吾さんと、僕を『BAZOOKA!!!』に誘ってくれた構成作家の堀雅人さんにお話を聞きながら、このユニークな、というより日本のテレビ業界では奇跡的と呼びたい番組を振り返っておきたい。

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はぐれAV劇場 16 本橋信宏著『全裸監督──村西とおる伝』+村西とおる監督『マリンの妖精 PART 2』(文:大須蔵人)

「お待たせいたしました、お待たせしすぎたかもしれません。前科7犯、借金50億、昭和最後のエロ事師、村西とおるでございます。」これが伝説のAV監督・村西とおるがメディアに登場するときに自ら発する啖呵であり、彼の壮絶な人生を凝縮したプロフィールとなっている。今年の10月に刊行され、すでに多くの話題を呼んでいる、本橋信宏著『全裸監督──村西とおる伝』(太田出版、2015)は、この稀代のエロ事師・村西とおるの生い立ち、全盛期〜凋落、そして現在にいたるまでを徹底的に描きあげたルポルタージュだ。まず驚かされるのが、700頁超えという長大さ、そしてその分厚いボリューム感に決して引けを取ることのない、迫力に満ちた村西監督のポートレートであり、帯に書かれた「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ! おれがいる。」というコピーのインパクトだ。この本はにわかには信じ難いような激動の人生を経験し、そして今もなお歩み続けている男の「裸一貫=全裸」の物語といえる。

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はぐれAV劇場 17 石垣章監督『奇妙な果実』(文:大須蔵人)

去年、創立30周年を迎えたV&Rプランニングという老舗AVメーカーがある。「タブーから社会を見つめる」という強力なコンセプトのもと、社長である安達かおる監督を中心に過激なドキュメント作品を連発し、メジャーにありながら挑戦的な企画を仕掛けた、まさに正統派異端メーカーといえるだろう。カンパニー松尾、バクシーシ山下といった個性的な作家を輩出したことでも、サブカルチャーとしてのAVを語る上で欠かせない有名メーカーである。V&Rの作品の中には、総集編にも残らず、人々の記憶からも消えてしまっていると思われる作品が存在する。特に社内監督による作品ではなく外注監督の作品にその傾向が強いように思われる。つまり関係者も「忘れちゃった」可能性の高い作品ということだ。今回紹介するのはそんな幻の作品、石垣章監督『奇妙な果実』(1991年、V&R)だ。この作品には、やはりジャンク屋の棚で“たまたま”目に留まって出会った(280円也)のだが、調べてみるとこの作品や監督にについて語るべきことは多い。

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黒点としての『クズとブスとゲス』

最近日本映画が元気だという声をよく聞く。特に若手の作家が目立っていて、それはそのままテレビ界が彼らの才能を活かせないほど凋落しているからでもあるのだろう。ただ、そうした作品にありがちな「日常を淡々と丁寧に描写する」スタイルには、個人的にはほとんど興味が持てなくて(それは小説も同じことだが)、「でもこれだけは絶対観て! わたしもう10回観たから!」と飲み屋のママから熱烈推薦され、上映時間141分という長さにたじろぎながらも観ることになったのが『クズとブスとゲス』だった。奥田庸介という若い監督の『クズとブスとゲス』が公開されたのは2016年。当時一部で話題にもなったので、なにをいまさらと言われるかもしれないが、公開後なかなか映画館にかかる機会がなかったのが、ようやくDVDがリリースされることになった(4月21日TSUTAYA先行でレンタル開始)。

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はぐれAV劇場 18 葵マリー監督『SM調教24時間 折檻雪化粧』(文:大須蔵人)

夜、みるからに寂れた田舎の駅。ホームには雪が厚く積もっている。そこに電車が入ってくる。窓からのぞく車内に乗客の姿はほとんど見られない。それでも電車が到着すると駅の改札からは続々と人が出てきた。その中に突然異様な一行が姿を現す。先頭の女性は軍服(ナチスの腕章!)にティアドロップのサングラス、手には手綱を持っている。その手綱で引かれているのはなんと、半裸の男女だ(しかも、男は女装している)。この状況から考えると、一行はこんな格好のまま、電車に乗ってきたということだろうか?

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はぐれAV劇場 19 バクシーシ山下監督『ラブ・ドール~高級ダッチワイフが女優になっちゃいました~』(文:大須蔵人)

本メルマガでは、もうお馴染みのラブドール。渋谷のアツコバルーで開催されたオリエント工業40周年記念「今と昔の愛人形」展が大きな話題となり、入場規制がかかるほどの盛況ぶりで、会場外には入場待ちの人々が長蛇の列を作っていたのも記憶に新しい。こんなに多くの人々の関心を引くとは誰が予想していたかと驚くばかりだが、それはラブドールが従来の「高級ダッチワイフ」というイメージを超えて、精巧で美しいオブジェ、つまり美的鑑賞の対象として認知されたことを意味しているのだろう。

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はぐれAV劇場 21 代々木忠監督『チャネリングFUCK 悪霊と精霊たち』(文:大須蔵人)

この作品は、おそらくメジャーAV史上最も「不穏」といえる、以下の警告文で幕を開ける。「次の方は、この作品をご覧にはならないで下さい・心臓に障害のある方・妊娠中の方及び妊娠していると思われる方・高令者及び虚弱な方」さらに、観るものの不安を煽るように以下のテロップが続く。「この作品は、出演する女性たちの意識を異次元にシフトさせ、波長の法則に基き人間の出す波動同志のSEXを試みた極めて実験的なビデオであるが…トランス状態の中での異次元体験は結果としていわゆる霊界レベルと同調することとなり、我々は撮影中山崎麻美に憑依していた五百数十年昔の怨念霊との戦いを強いられる結果をまねいた。結果的に極めて貴重な現象をビデオに収録することが出来たのだが本作品中の出来事は我々人類に対する宇宙意識からの警告なのかも知れない。」

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はぐれAV劇場 22 さいとうまこと監督『廊下は静かに』(文:大須蔵人)

今年の9月に『PLAYBOY』の発刊者であるヒュー・ヘフナーが91歳で亡くなり、世界中のメディアで報じられたことは記憶に新しい。しかし、そのひと月前の8月、かつて「日本のヒュー・ヘフナー」と呼ばれた男の足跡を辿った書籍が刊行されたことは、あまり知られていないのではないだろうか。その名も『裸の巨人――宇宙企画とデラべっぴんを創った男 山崎紀雄』(阿久真子著、双葉社、2017)だ。

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はぐれAV劇場 23『ケンちゃんVSコンバット』(文:大須蔵人)

「さて本日は、かつて日本中の若者たちの人気を博しました、あの幻の『洗濯屋ケンちゃん』(……あ、これ違う)、失礼致しました。あの幻のグループ、サザンオールスターズ~」と、キャスターに扮した桑田佳祐が、ニュース原稿を取り違えるコントが繰り広げられていたのは、『東京シャッフル』(1988)のMVだった。私はまだ幼く、当時の状況を知るよしもないが、この映像を観た世の男たちは、ついニヤっとしてしまっただろうことは想像に難くない。『洗濯屋ケンちゃん』。それは、まさに「かつて日本中の若者たち」から中年層にいたるまで、世の男たちに絶大な衝撃を与えた“裏ビデオ”のタイトルにほかならない。

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DOMMUNEスナック芸術丸・キャバレー特集、購読者限定配信!

去年12月13日に配信したばかりのDOMMUNEスナック芸術丸、ベルリンから伝説のバーレスク・ダンサー、エロチカ・バンブーさんを迎えてお送りした『Life was a Cabaret ニッポンにキャバレーがあったころ』が、さっそくロードサイダーズ購読者限定でご覧いただけることになりました。宇川くん、どうもありがとう! 電子書籍になった北九州若松「ベラミ」のお話はもちろん、バンブーさん秘蔵の写真や楽屋裏話などもご披露。後半のDJタイムとあわせて、5時間以上のプログラムです。たっぷりお楽しみください!

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桃色の罠――日本成人映画再考 01

日本の成人映画をたどるとき、いつも参考にさせてもらったのが鈴木義昭さんの一連の著作だった。長らく一方的な愛読者だったのが、ひょんなきっかけでお会いできて、それから「なにか成人映画を振り返る企画をやりたいですね」と折に触れて語っていたのが、とうとう実現できることになった。これからほぼ1年間、毎月1回のペースで、日本成人映画史研究の第一人者・鈴木義昭さんによる「成人映画再考」をお届けする。メールマガジンの特性をいかして、貴重な画像や動画資料も交えてお届けする、これまでほとんど顧みられることのなかった「もうひとつの近代日本映画史」。じっくりお付き合いいただきたい。

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SF・怪獣映画ポスター展@フィルムセンター

またも閉幕ギリギリの紹介になってしまい申し訳ないが、いま京橋の国立近代美術館フィルムセンターで、『ポスターでみる映画史Part3 SF・怪獣映画の世界』が開催中だ(3月25日まで)。パート3と銘打たれているとおり、2013年11月6日号で紹介した『チェコの映画ポスター展』、2016年の『戦後ドイツの映画ポスター展』に続く本企画。これまでの展覧会が、おなじみの映画が国によってまったく異なるグラフィック・デザインに昇華されているおもしろさが際立っていたのに対して、今回は『ゴジラ』から『2001年宇宙の旅』『スターウォーズ』に連なる、未知の世界を映画というメディアで表現した、作品自体の突飛だったり美しかったりするイマジネーションがそのままグラフィックにあらわれた興味深さ、そしてなにより強烈な記憶、そういう体験が楽しめるコレクションになっている。

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桃色の罠――日本成人映画再考 02 もうひとつのヌーヴェル・ヴァーグ『狂熱の果て』(文:鈴木義昭)

国立近代美術館フィルムセンターの大ホールが、久しぶりに満員に近い状態となった。特集「発掘された映画たち」の目玉といわれた映画『狂熱の果て』が上映された日のことである。半世紀以上の歳月を経て発掘されたフィルムの初上映ということもあり、上映前に監督の挨拶も行われた。多くの映画や映像を発掘しているフィルムセンターでも、めったにはないことである。「年月をかけてようやく出会った」という山際永三監督の言葉に、集まった観客らの上映作品への期待はピークに達した。監督デビュー作『狂熱の果て』を撮った時、29歳であった山際監督も、今では白髪の目立つ映画界の巨匠といった風情となっていた。実際、劇場映画はこれ一本の作家だが、テレビ作品にドキュメントにとさまざまなジャンルに、多くの仕事を手掛けてきた職人監督だ。同時に、ならではのエッセンスを作品に盛り込んで熱烈なファンもいる名監督だ。

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はぐれAV劇場 24『シーメールEVE 両性具有』(文:大須蔵人)

「シーメール」という言葉をご存知だろうか? ロードサイダーズ・ウィークリー読者には、こういった領域に関心のある(あるいは親しみ深い)方も多いと思うのでもはや愚問かも知れないが、これは女性の身体的特徴を備えた男性を表す言葉だ。一般的には性別適合手術前のニューハーフ、つまり「サオつきオカマ」ということになるだろう。そして今回紹介するのは、日本のAVでこの「シーメール」という存在を知らしめたパイオニアといえる、山本竜二監督によって1989年にリリースされた『シーメールEVE 両性具有』(新東宝)という作品だ。

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浅川マキと池袋の夜(写真:山崎幹夫)

「夜が明けたらいちばん早い汽車に乗るから 切符を用意してちょうだい 私のために 一枚でいいからさ」と浅川マキが歌ったのは1969年で、その年にはウッドストックもあったし学生運動もピークだったりしたけれど、むやみな高揚感と絶望感をまぜあわせたあの年の空気感を、浅川マキのけだるい歌声はその最初の音符で捉えてしまっていた気がする。ちなみにいま調べ直してみると、69年のレコード大賞は相良直美の『いいじゃないの幸せならば』で、最優秀歌唱賞が森進一の『港町ブルース』、最優秀新人賞がピーターの『夜と朝のあいだに』と、ドス黒さ満開! オトナの歌謡曲が最後の絶頂を迎えた時代だったのかもしれない。

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桃色の罠――日本成人映画再考 03 半世紀を経て発見された『幻日』と「ピンクの巨匠」武智鉄二(文:鈴木義昭)

神戸映画資料館館長の安井館長から、下記のような内容のメールが突然あって、驚いた。一昨年の初夏のことだった。「売りに出ていたので買ったのだが、大変なシロモノものでした。武智鉄二については詳しいと思うので映像を見て欲しい。近々、特別に簡易のテレシネを作って送るから確認してくれないか」そんな簡単なメールだった。だいたい、安井館長は、何か人に言えないようなトンデモない物を買うと僕に連絡をくださる傾向がある。近年、海外からの研究者やジャーナリストらの訪問があるほど世界的にも知られている神戸映画資料館。安井館長も、自他ともに認める日本有数のフィルムコレクターである。

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はぐれAV劇場 25『完全保存版~モザイクの彼方より~平成ニッポンAV大全』(文:大須蔵人)

さっそくだが、今回紹介するのはAVの歴史を真正面から扱った作品だ。その名も『平成ニッポンAV大全』。平成が終わり、次の時代を迎えようとするいまの時期に紹介するにはふさわしいタイトルのようにも思えるが、実際のところこの作品が制作されたのは1994年で、平成も始まったばかりという頃のお話だ。AVが誕生した1981年から本作が作られた1994年までのAV史上の主だった出来事を、当事者へのインタビューを交えながらまとめられている。

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桃色の罠――日本成人映画再考 04 山本晋也と『大色魔』(文:鈴木義昭)

やっと捜し出したフィルムだった。何度も映画会社に電話して、実際に企画の説明にも出かけた。映画会社も古いフィルムが稼働するのは願ってもないという雰囲気だったし、旧作が再評価されるのは良いことだと思ってくれたようだった。しかし、実際に「〇〇の映画の原版をお願いします」と依頼しても、それを膨大な倉庫に保管されたフィルムの中から見つけ出すというのは、こちらが思う程には簡単にはいかないものらしく、それなりに時間を要した。「ありましたよ!」という電話があると、小躍りして喜んだものだ。

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『ゾンからのメッセージ』公開記念! 古澤監督、なんで映画、撮ってるの?(文:アーバンのママ)

こんにちわ、アーバンのママです! 今日はアーバンの常連さんでもある映画監督・古澤健さんに、8月11日から公開される『ゾンからのメッセージ』(ポレポレ東中野にて)についてじっくりお話を聞いてきました。思い起こせば古澤さんとは14年来の付き合い・・・、わたしがかつて追っかけしていたバンドのボーカルでもあります。いつのまにか『今日、恋をはじめました』『一礼して、キス』など青春ラブコメ映画の第一人者となってしまった古澤さんですが、今回は低予算自主制作となるSF映画。しかも同時公開には自ら監督した『青夏 きみに恋した30日』(全国公開!)も。いったいなんで、ここにきてSF? そもそも、なんで古澤さんって映画撮ってるの? いろいろしつこく聞いたら、人生考えさせるいい話になってしまいました。

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桃色の罠――日本成人映画再考 05 桃色監督本木荘二郎と世界のクロサワ没後20年(文:鈴木義昭)

国立近代美術館フィルムセンターは春から装いも新たに機構を再編成、国立映画アーカイブと名も改め再スタートした。記念イベントとして7階の展示室では、槙田寿文ポスター・コレクションによる「没後20年 旅する黒澤明」展が開催中だ。世界中で上映された黒澤明作品のポスターが集められ壮観である。戦後日本映画を代表する巨匠黒澤明のフィルムが、世界中の国々で上映されてきた証として言語の違ういくつものポスターが遺った。それらを一堂に集めて展示すると、黒澤明の映画が世界の国々にどのように受容されてきたかが見えてくる。国籍の違うポスターを眺めていると、「世界のクロサワ」と呼ばれた男のフィルムが、世界中をどのように駆け巡ったか足跡が浮かび上がってくる。黒澤フィルムの旅が、まるで自分自身が旅をしているように感じられたのは楽しかった。黒澤明が亡くなり、20年の歳月が流れた。最近は関連のイベントも少なくないが、「世界のクロサワ」の意味を捉える異色の展覧会は想像力を掻き立てた。瞬時に映像が国境を超える現代だが、デジタル映像以前のフィルムは、作家や俳優、スタッフらの思いが焼き付けられ、まさに人が旅をするように国境を越えて行った。

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はぐれAV劇場 26『妄走犯2~笠木忍を捕まえて本番しませんか?~』(文:大須蔵人)

イベントが開かれようとしていた。そのイベントとは、一言でいえば「AV女優によるファン感謝祭」だが、それは憧れのAV女優と、そのファンたちが現実空間で出会い、語らう、といった生易しいものではない。このイベントは、AV女優とセックスできる権利を得るために新宿の街を舞台に繰り広げられる、「24時間耐久鬼ごっこ」なのだ。これは、「ファン感謝祭」であり、「鬼ごっこ」であり、そしてその過酷で無謀なこのイベントをドキュメントした、「AV作品」なのだ。その過酷さはなかなかハンパないもので、まずネットを通じて募集された今回の素人参加企画の、応募者の見た目も、素性も把握していない。

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『バイオレンス・ボイジャー』、ついに公開!

ずいぶん待った宇治茶監督の新作ゲキメーション『バイオレンス・ボイジャー』が来週末、京都国際映画祭で国内のお披露目を迎える。2014年3月26日号『デジタル紙芝居としての「燃える仏像人間」』で特集して以来、丸4年を経た新作ということになる。前作では一部に実写場面が挿入されていたが、今回は約80分の全編が、原画総数3,000枚によるゲキメーション。その作画・撮影・脚本・監督のほとんどを自分ひとりで手がけた、圧巻の力作である。

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桃色の罠――日本成人映画再考 06 北鎌倉に眠る桃色アルチザン秘話・佐々木元とは(文:鈴木義昭)

鎌倉駅前裏の小路に、大島渚作品などで知られる松竹撮影所出身の美術家戸田重昌の夫人だった女性が経営していた酒場「とのやま」があった。カウンターの一枚板は、松竹大船撮影所の大道具さんたちが作ったという年代物で奥まで長く続いていた。古い日本映画の話などができるので、鎌倉に行くとよく顔を出した。ある日、店を覗くと必ずのようにいる、鎌倉生まれで映画好きな常連客の男性と隣になった。「佐々木元って映画監督のことを調べているんですが、知りませんか。どうも晩年は鎌倉に住んでいたみたいなんですけど」「元さんか。知ってるよ。よく飲んでたよ、ここへも何度も来たことがあるよ」「本当ですか! やはり御存知なんですね。そうじゃないかと思った……」「ある意味で有名だったからね。女には手が早いとかで(笑)。あんまり良い噂は残ってはいないけどね……」「映画監督だったというのは知ってたんでしょう」「知っていたよ。ピンク映画の監督でしょ。大した映画は、撮ってないんじゃないの。映画の評判とかは聞いたことがなかったから。ねえ、ママ」

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映画パンフは宇宙だ!(文:臼井悠)

来週11月20日(火)から25日(日)までの5日間、自由が丘のgallery yururiにて「映画パンフは宇宙だ!」と題された企画展が始まります。本メルマガの読者のみなさんなら、このタイトルだけで思わずゴクリと喉がなるんじゃないでしょうか。展示中はパンフにまつわる豪華なトークショーも開催! いったいどんな想いでこの企画が生まれたのか、主催のたきあずささんにお話をうかがったところ、そのアツいパンフ愛に思わず涙・・・。やっぱり愛がないと何も生まれませんよね。じっくりお話を聞きながら、たきさんにおすすめパンフをセレクトしていただいたので、後半では誌上版「映画パンフは宇宙だ!」展も! それではパンフレットの世界を隅々までお楽しみ下さい。

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映画美術監督・木村威夫の時代

人生でいちばん映画を観たのは浪人時代だった。もっとも受験科目の少ない私立文系コースを選んで(たった2教科だった)、午前中に予備校が終わるとそのまま名画座に直行。たしか1年間で通算300本以上は観たはずで、なかでもハマったのが今はなき大井武蔵野館。昭和30年代のB級日本映画のおもしろさを教えてくれたのが、この場末の名画座で過ごした長く幸せな平日午後の時間だった。クロサワでもミゾグチでもなくて、何本観ても同じようなプログラム・ピクチャーに、どうしてあんなに夢中になったのだろう。それは作品としての完成度ではなくて、1時間半の映像に籠められた時代の空気や匂いに酔ったのかもしれない。70年代のそのころ、すでにまったく時代遅れだった映像空間には、いかにもな役ばかりを演じる男優と女優がいて、最初の5分で予測できてしまうような筋書きと、現実にはとても口にできないような決め決めの台詞があって、そういう「あらかじめできあがった世界観」を支えていたのがあの時代の、あの手の映画特有の映画美術だった。そして僕はそこで、いまだにいちばん尊敬する映画美術監督・木村威夫を知ることになった。

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はぐれAV劇場 27 北極SEX探検隊(文:大須蔵人)

ダイヤモンド映像編集室に座り作業をする若者と、その後ろに立つ男を映し出す。手前の若者が「じゃあ監督! 編集始めましょうか」と声をかけると、「ウシ!」と気合を入れて編集デスクに座る男。彼が本作の監督、小路谷秀樹だ。そして、監督に声をかけた若者が、現在ではソフト・オン・デマンドの代表取締役会長を務める日比野正明の若かりし頃の姿だ。ふたりが編集を始めようとしたところに、「監督~、私も一緒に見ていいですか?」と、ひとりの女性が割って入ってくる。「徹夜になるけどいい?」「私、明日休みなんで大丈夫です」といった会話に続いて、監督が「よ~し、じゃあ行きますか……北極セックス探検」の掛け声に続いて、女性の張り切った声で「スタート!」こうして始まるのが、今回紹介する作品、『北極SEX探検隊』(ダイヤモンド映像、1990)だ。冒頭の編集室のくだりでは、この作品が一体何なのかが皆目伝わってこないのだが、タイトルが示すように、これは日本のアダルトビデオで初めて、「北極圏」に降り立った作品なのだ。

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桃色の罠――日本成人映画再考 07 若松映画の香取環、疾走する桃色女王(文:鈴木義昭)

秋に公開された『止められるか、俺たちを』(通称『止め俺』)という映画が、今も上映中で静かに話題を呼んでいる。1969年の若松プロとその仲間たちが織り成す破天荒とも言える映画作り、昭和元禄とも呼ばれた時代の先頭を走り抜けながら、圧倒的な疾走感を感じさせる若者とオヤジたち。そんな映画屋たちの青春を描いた群像劇である。若松孝二の映画をリアルタイムに見てきた世代にも、若松のエロ映画を観たことのない若い人たちにもわかるように、スタイリッシュな青春映画として撮った作品ということもあり評判を呼んでいる。御存知のように若松プロとは、「ピンク映画の巨匠」「ピンクの黒澤明」「暴行の若松」といわれた映画監督・若松孝二を中心にして、ピンク映画を量産し続けたエロ映画の独立プロダクション。通称エロダクションの草分けの一つだ。だが、その後、近年に至っては若松作品が「世界三大映画祭」(即ちカンヌ、ベルリン、ベネチア)に進出し各映画祭で監督賞などを受賞するという快挙を成し遂げ、一躍日本映画を代表するプロダクション(!?)にもなってしまった独立プロである。それは、不世出の映画屋・若松孝二の軌跡そのものだ。

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桃色の罠――日本成人映画再考 08 温泉ポルノと『裸生門』(文:鈴木義昭)

始まりは、ある古物商から関西のとあるフィルムコレクターにもたらされた16ミリフィルムの山だった。持ち込まれたフィルムの山は、桃色に輝いていたともいわれている……。(中略)16ミリに思い入れの強い僕ら世代には、16ミリフィルムの大量発見というのは、思いのほかワクワクさせてくれるニュースだった。それも、フィルム全てが桃色の光を放っている(?)と聞き、やけに気分が高揚した。桃色に輝く16ミリフィルムの正体は……。実は、それはその後「温泉ポルノ」と命名されるポルノ映像、エロフィルムの山だった。この桃色フィルム、物議を醸すのだが。

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桃色の罠――日本成人映画再考 09 幻児と伴明、青春映画の時代(文:鈴木義昭)

煙草の煙の向こうで、池田編集長が言った。「じゃあ、鈴木くん、明日新宿駅西口のスバルビル前に行ってね。行けばわかるからね。相棒の安斎カメラマンは優しい人だから」「はい!」池田さんの度の強い眼鏡の奥の優しい目が、今日はちょっと意地悪そうに笑っているのが見えた。「何日行ってもいいから、良い記事書いてね。朝早くて大変だろうけど、勉強になるんじゃないか」「はい……」新宿で飲んだくれていた僕が、拾ってもらったのが「ZOOM-UP」というエロ映画雑誌のライターという仕事だった。毎月、試写なんてないから作品を観もしないで公開されるピンク映画の新作情報をプレスシートだけで書かされた。それを手始めに、「いろいろ書いてみたら」という池田編集長の指示で、次々といろんな記事を書いた。最初に放り込まれたのが「ピンク映画撮影現場ルポ」だった。

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はぐれAV劇場 28『痴漢』『誘惑』(文:大須蔵人)

今回は、一気に2つの作品を紹介する。というのもこれらの作品は、別個のものというよりも、それぞれが姉妹編というべき作品となっている。紹介するのは、いずれも1985年にスワンビデオからリリースされた、青木祐子主演の『痴漢』と『誘惑』という作品だ。当時、AVやピンク映画で活躍していた人気女優、青木祐子を起用した連作だ。しかし、なぜこの人気女優の主演作品が「はぐれAV」として紹介されるのか。それはこの2作を監督した人物にある。本作の監督は周防正行。今年の12月には新作『カツベン!』の公開が待たれる、言わずと知れた有名映画監督だ。

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奇跡のパンティ大作戦

5月23日夜、十条のシネカフェ・ソトで「場末のシネマパラダイス パート3」が開催された。本メルマガや『独居老人スタイル』でおなじみ、福島県の本宮映画劇場館主・田村修司さんの秘蔵ピンク映画コレクションと独自リミックス・フィルム「いい場面コレクション」を紹介するこの企画も、これが3回目。そしてシネカフェ・ソトでは残念ながら最後の開催となった。東京都心のノースエンド、北区十条駅前はいかにも下町らしい風情の商店街・飲み屋街への入口として、駅を降り立った瞬間「あ~ここ住みやすそう!」と、だれしもがじんわり肌で感じるヘヴンズドア。しかし東京右半分と同じく、北半分にも再開発の波は容赦なく襲いかかっていて、シネカフェ・ソトのある駅前の一角はまるごと取り壊し。ソトは6月いっぱいで閉店。

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手描き映画ポスターのモダン・タイムス2

日曜日に大阪でシカク8周年記念イベント「天才の祭典8」に参加して、本来は月曜朝に急いで東京に帰ってメルマガを仕上げなくてはならないところだが、先週告知した立命館大学で始まった『手描き映画ポスターと看板の世界II』をどうしても見たくて途中下車。地下鉄とバスを乗り継いで駆け込んだ展覧会は、去年の第1回と同じく小さめの空間に、いまから80~90年前の貴重な手描き映画ポスターがびっしり並んで壮観だった。先週の告知で書いたように展示されている手描きポスターは、キュレーションを担当した映像学部教授・竹田章作さんの祖父である竹田耕清(猪八郎)が創設した、京都の映画看板製作所「タケマツ画房」に残された貴重なコレクションである。

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桃色の罠――日本成人映画再考 10 和泉聖冶と木俣堯喬、桃色親子鷹(文:鈴木義昭)

ちょうど1年くらい前、毎週欠かさずチェックして楽しみにしていたテレビドラマがある。綾野剛主演の連続ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系/2018年7月~)だ。テレビはニュースやドキュメントをよく見るが、ドラマはあまり見ない。いちおう映画派のつもりだからだが、この時はオンエア前から期待した。なぜかと言えば、監督が和泉聖治だったからだ。原作は真山仁のヒット小説「ハゲタカ」、既に映画にもなっているが、今度のドラマ化はあの『相棒』シリーズを作った男、和泉聖治が担当すると聞いてテレビの前に坐った。

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桃色の罠――日本成人映画再考 11 新高恵子(文:鈴木義昭)

新高恵子さんに会いたかった。だが、なかなか新高さんには会えなかった。それは、銀幕の女優に会うのではなく、銀幕の彼方の「幻の女優」を追い駆けるようだった。中学校の終わり頃、寺山修司の本を片っ端から読んだことがある。ちょうど次々に寺山さんの作品が文庫本になった頃だ。『家出のすすめ』『寺山修司青春歌集』『さかさま世界史』……、そして近所の本屋さんで取り寄せて読んだ単行本『書を捨てよ街へ出よう』。やがて、寺山の演劇や映画を追い駆けた。当時、アングラ映画のメッカだった新宿文化で観た寺山修司監督の映画『田園に死す』(1974年公開・人力飛行機舎/ATG)で、新高恵子は主人公の少年を追い回す草衣役だった。妖しい妖精のようであり、可憐な少女のようでもある裸体が目に焼き付いて離れなくなった。

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はぐれAV劇場 29 弁護士夫妻を知りませんか?(文:大須蔵人)

『全裸監督』のインパクト――もう少し前になってしまったが、今夏にNETFLIXで配信された『全裸監督』が、その内容や宣伝方法なども含めて大きな話題を呼んだ。まさに規格外の男である村西とおるの存在が再び(前回は80年代)メジャーシーンに大きなインパクトを与えることになったのは、当時を知らない私にとってもなんだかとても嬉しい。本作の原作本である本橋信宏さんによる巨編ルポルタージュはこの連載(はぐれAV劇場16)でも紹介した。ドラマの方は、好評を受けて早くもシーズン2の製作が決定したということだが、たしかにシーズン1で描かれたのはだいたい1986年の黒木香『SMぽいの好き』から、同年末のハワイでの逮捕劇、司法取引で帰国するあたりまでなので、まだまだ栄枯盛衰の村西物語は多く残されている。以前も引用した、『全裸監督』で描かれた村西とおるダイジェストは下記のようになっている。

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桃色の罠――日本成人映画再考 12(最終回)関多加志と桜マミ 本木荘二郎の最期(文:鈴木義昭)

東中野の駅から道を急いだ。目指す居酒屋「あづさ」は、駅からだいぶ歩いた先にある。待ち合わせの時間が迫っている。息せき切って扉を開け暖簾を潜り抜けると、ママから声がかかる。「いらっしゃい! 来てるわよ」。長いカウンターの奥に坐った初老の男性がこちらを向き、ニッコリ笑いかけた。穏やかな目と雰囲気が、店の中を明るくしていた。「こんばんは! はじめまして」。そう言いながら、挨拶もそこそこにカウンターの彼の隣に座らせていただく。「やっとお会いできました。お会いしたかったです!」。

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世界の絆はポルノから

配信どころかDVDすらなかったVHSビデオテープ時代に開花した「抜けないAV」――珍妙だったりシュールだったり理解不可能だったり――の逸品を本メルマガでは連載「はぐれAV劇場」として長らく紹介しているが、著者の大須さんによれば「基本的にDVDは買いません」。AVメディアがVHSからDVDに移行したあたりから、テープの容量制限を気にする必要がなく、延々と収録された映像の「抜きどころ」だけを早送りして鑑賞できるようになって、映像作品としてのAVは冒頭から結末までのリニアな映像作品としての使命を終えたのだろう。エロに「おもしろ」を求める時代はもう終わったのか・・・・・・と、「はぐれAV劇場」の記事を準備しながら嘆いていたとき、意外な別方面で「はぐれエロ」が、それも途轍もないスケールで出現していることに気がついた。エロ動画配信サービスである。

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はぐれAV劇場 30 原発ピンク列島:スケこまし、出した後は綺麗にしてね(文:大須蔵人)

気がつけば、おかげさまでこの連載も今回で30回を迎えることとなった。連載開始時の打ち合わせで、都築さんから「何回くらいできそうですか?」と問われたときに、少し背伸びしたつもりで「20回くらいですかねー」と応えたら、「エッ、そんなにできるんですか?」と驚かれたので、背伸びした私の心を見抜かれたのかと内心ビビったことを覚えている。でもまだ続けられていて本当によかった。そんな感謝の意を込めて、今回は「はぐれAV」史上もっとも「はぐれ」た作品といっても過言ではない、1990年にリリースされた伝説の怪作『原発ピンク列島:スケこまし、出した後は綺麗にしてね』(ビックマン)を紹介したい。

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はぐれAV劇場 31 『素人花婿募集ビデオ 結婚してみませんか?』 (文:大須蔵人)

「マリアージュ」といえば、おもにフランス料理のなかで、ワインと料理のマッチングによって、お互いの潜在的な魅力を引き出し、それぞれ単体のときでは味わうことのできなかった力を発揮した状態をいう。この語源はもちろん「結婚」からきている。つまり結婚には、それぞれ一人ではできないことも、二人でならプラスアルファの力をもって成し遂げられる、という意味が備わっているのだと思う。 今回紹介するのは、AVというフォーマットにおいて、まさにこの「結婚」に正面から向き合ったドキュメンタリー作品だ。ただし、この作品は「結婚」を扱うだけにとどまらず、人間を追ったドキュメンタリーとして、別の意味で見事な「マリアージュ」を果たしているのだ。それはいかなる意味においてか……。

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映画女優 山口淑子、生誕100年特集上映に寄せて

多くの映画ファンを集めた「羅生門」展が終了したばかりの国立映画アーカイブで、「生誕100年 映画女優 山口淑子」特集上映が間もなくスタートする。山口淑子/李香蘭という名前に、どれだけのひとが反応してくれるだろうか。 戦前に“李香蘭”として一躍スターとなり、戦後に本名で日本映画界に復帰、また“シャーリー・ヤマグチ”の名でアメリカ映画にも出演した、稀代の女優・山口淑子(1920-2014)。

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はぐれAV劇場 32 『ダンス・ミュージック』 (文:大須蔵人)

「平和は怖い。地獄を隠し持っているようだ」 黒い画面に浮かび上がるこの警句。そこに少し不穏な雰囲気を醸し出すシンセサイザー音楽が重なる。なんとも不可思議な文章のオープニングは、以前紹介した『原発ピンク列島』(第30回)と同じだ。厳密にいうと音楽は微妙に異なり、文字の色が違っているのだが、少なくともこの時期に共通したオープニングを使っていたことがわかる。 今回紹介するのは1990年に発売された、その名も『ダンス・ミュージック』という作品だ。 本作の監督は、『原発ピンク列島』と同じく伊勢麟太郎監督。メーカーはビックマンで、発表年も『原発ピンク列島』と同じと共通点が多い。 とはいえ、原発銀座をめぐる“ガチ”のドキュメンタリーだった『原発~』に対して、『ダンス・ミュージック』は、かなり綿密に作り込まれたサスペンスドラマだ。

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DOMMUNE 「都築響一のスナック芸術丸」購読者限定アーカイブ!

去る2月25日に渋谷PARCOのスタジオから生配信されたスナック芸術丸。今回は『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』『IDOL STYLE』刊行記念の5時間ぶっとおし特番!でしたが、さっそくメルマガ購読者限定のアーカイブ・リンクをいただきました。宇川くん、ありがとう! たくさんのゲストも登場、いろんな話題で5時間たっぷりお楽しみいただけると思うので! 当日見ていただいたかたも、見逃してしまったかたも、お付き合いいただけたらうれしいです。

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はぐれAV劇場 33 『ブルーフィルム』 (文:大須蔵人)

今年の3月に、俳優の田中邦衛さんが亡くなられた。大俳優の死に、メディアは彼の代表作とされる「北の国から」シリーズの話題を中心に取り上げて故人を偲んでいた。だけど僕にとって田中邦衛は黒板五郎でも青大将でもなく、勅使河原宏の『他人の顔』(精神病患者!)や、「仁義なき戦い」シリーズ(インテリヤクザ!)で、みるものに妙なインパクトを与える名脇役としての姿だったりする。そして何より山田洋次監督『学校』のイノさんか。 田中邦衛さんが主演した映画に、森崎東監督の『黒木太郎の愛と冒険』(1977)という作品がある。小心者でありながら、ジープのボンネットに日本国旗を掲げて、軍モノのジャケットを羽織った“右翼っぽい”格好をして、国家機関の施設を挑発して回るという変な趣味をもったスタントマンを演じている。 この作品の冒頭、映画を志す青年三人がカメラに向かって自身の話をする場面がある。そのなかでひときわ声が低く、滑舌の悪い青年が語る。 「オレは、主に俳優をやった伊藤銃一です。オレらは素人で、こんなことやらされるのは初めてだけど、映画は好きで、オレはそのうち映画監督になるつもりでいます。〔後略〕」

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タイムトンネルを抜けるとそこは昭和の映画館だった ――大阪ミナミの映画絵看板と絵師たち

「映画館はダメでパブリックビューイングはいいんか!」という怒りをそらすためでもなかろうが、緊急事態宣言下で臨時休館を強いられてきた大都市圏の映画館もようやく再開できそうでホッと一息、という絶好のタイミングで6月16日にリリースされる『昭和の映画絵看板 ~看板絵師たちのアートワーク~』。かつて大阪なんば千日前にひしめいていた映画館に掲げられていた絵看板の写真を集めた、映画ファンにはたまらない、手描きデザイン・ファンにもたまらない貴重な資料集である。

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マクチャンの闇

『住む。』という季刊の住宅デザイン雑誌で、もうずいぶん長く連載をしている。今年で創刊20年、ただ専門誌なのでご存じのかたがどれくらいいるかわからないが、たいていメルマガの記事と多かれ少なかれダブるところがあるので、これまで特に告知してこなかった。でも、先月末に出た2021年8月号では、メルマガでもずっと書こうと思って先延ばししてきた愛憎どろどろ韓国テレビドラマのことを書いたので、お許しをもらってここに転載させていただく。軽いエッセイのようなものだけど、お気に入り番組の画面ショットには力を入れたので!よかったらお読みいただき、一緒に韓ドラ沼にはまってもらえたらうれしい。

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『ゆきゆきて、神軍』夏の神軍祭り 奥崎謙三遺品展!

1945年の太平洋戦争終戦から数えて76回目の終戦記念日をさきごろ迎えたばかりというタイミングで、いま吉祥寺アップリンクでは『ゆきゆきて、神軍』を連日上映中である。 「神軍平等兵」とみずから名乗った稀代の怪人・奥崎謙三の肩書は――元・陸軍軍人、バッテリー商、著述家、俳優、アナーキスト――と多岐に亘るが、その名を一躍世界にとどろかせたのがドキュメンタリー映画作家・原一男による『ゆきゆきて、神軍』だった。1987年に公開された、日本ドキュメンタリー映画史上に輝くこの傑作は、これまで何度となく再上映を重ねているが、原監督のスタッフによれば「いまも上映会を開くと、初めて観るといういひとが8割方なんです」という。これほどまでに特殊な一個人の記録でありながら、社会も時代も超えて迫ってくる存在のエネルギーが、観るものすべてを震わせるのだろうか。

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はぐれAV劇場 34 『監督ノート』 (文:大須蔵人)

今年の6月末から配信がスタートし、そのプロモーション方法も含めて前作にも引けを取らない大きな話題となった『全裸監督2』だが、もうご覧になった方も多いことだろう。 今回の目玉は、やはり一時市場シェアの40%ちかくを占めていた(本橋信宏『全裸監督』488頁)とまでいわれるダイヤモンド帝国の崩壊と、その凋落のなかで登場する乃木真梨子(後の村西とおるの妻)がどのように描かれるかというところだろう。原作のファンならば、どの部分を描いて、どういった脚色がなされているかという点を確認することも楽しみの一つだ。 僕も公開後すぐに鑑賞し、そのなかである場面にとても目がいってしまった。それはストリップの殿堂「浅草ロック座」でダイヤモンド映像の女優陣がショーをするというシークエンスなのだが、なぜそこが気になったかといえば、「あ、このビデオ持ってる」となったからだ。

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60年代エロダクション名作、連続上映!

先々週号で新刊『一度はみたい! 厳選名作ピンク映画』を紹介した成人映画スペシャリスト、鈴木義昭さん。コンビニ販売本なので地元の店舗を周回してくれたかたもいらっしゃったようで、無事購入されたことを願います。 鈴木さんはロードサイダーズ・ウィークリーで2018年から19年にかけて『桃色の罠――日本成人映画再考』を12回にわたって連載してくれました。その鈴木さんが監修する成人映画の隠れた名作上映会が、阿佐ヶ谷ラピュタのレイトショーで始まります!

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私はいかにして心配するのをやめて映画ポスターを愛するようになったか ――「崩壊と覚醒の70sアメリカ映画」@川喜多映画記念館

正月三が日明けで空いてるかと思いきや原宿竹下通りみたいな大混雑の小町通りを抜けて、川喜多映画記念館に「崩壊と覚醒の70sアメリカ映画」を観に行った。2020年07月08日号でATG[アート・シアター・ギルド]のポスター展を紹介した川喜多映画記念館で、今度は70年代、つまりニューシネマからニューハリウッドにいたるアメリカ映画のポスター展である。 展覧会場に並ぶポスターを提供したのは「POSTER-MAN」をみずから名乗る収集家・小野里徹さん。今週は展覧会の様子を紹介するとともに、小野里さんに映画ポスター収集人生を振り返っていただいたので、あわせてお読みいただきたい。

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六邦映画の桃色秘宝!@ラピュタ阿佐ヶ谷

ロードサイダーズではすでにおなじみ福島県本宮市の本宮映画劇場。1914年に劇場・本宮座として生まれ、1947年から映画館となって営業開始。1963年に常設館としての活動休止を余儀なくされたものの、館主・田村修司さんの努力によって建物はいまだ健在、今年で築108年を迎えるという奇跡の建造物だ。 本宮映画劇場と田村修司さんの映画に捧げた半生は『独居老人スタイル』での紹介をはじめ、これまで何度も記事にさせてもらってきた。その田村さんが秘蔵するピンク映画の至宝が、3月12日から阿佐ヶ谷ラピュタのレイトショーで公開される。

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本宮映劇 presents ポスター番外地~野方闇市篇!

ロードサイダーズにはもうおなじみ、福島県本宮市の本宮映画劇場。今年で創立108年! ということで館主・田村修司さんの秘蔵ポスターを展示するイベント「ポスター番外地」が今週末(28日)より開幕! 「野方闇市篇」と名づけられたとおり、中野からも高円寺からも近いのに、奇跡的に戦後闇市の風情を濃密に漂わせたまま生き残る「野方文化マーケット」が舞台。これ以上ぴったりな場所はなかなかないですね~。

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歌謡映画さえあればいい

日本映画といえばクロサワだのミゾグチだのが王道だろうが、僕がいちばん好きなのは昭和のいわゆる「歌謡映画」。ある歌謡曲がヒットすると、それにあわせて急いでつくられたB級娯楽映画のこと。ストーリーも脚本も撮影もぜんぶ適当、ただヒット曲に乗っかっただけの、映画として特筆すべき点ゼロの娯楽作品だ。うまく説明できないけれどそんな歌謡映画が昔からほんとうに大好きで、かつては平日の昼間のテレビで放映されていたのをこまめに録画したり、VHSやDVDを買い集めてきた。 6月の終わりに熊本市でトークイベントがあり、どこかに寄って帰りたいなと調べていたら、北九州の門司にある松永文庫という映画資料館で「歌謡映画資料展」と題された展示があり、うれしくなって寄り道してみることに。

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キャノンボール・オン・ザ・ロード

ポルノグラフィとはそもそも非現実の妄想を描くものであり、だから舞台も極力世間と隔絶した設定(大邸宅とか城館とか)がふさわしい。その対極にあるのが現実を捉えるドキュメンタリーで、本来ポルノグラフィとは対立する表現だが、その両極を強引に結び合わせた「ドキュメンタリー形式のAV」という分野があり、それは日本の作品群が世界のAV業界最前線を走り続ける領域でもある。そして、その象徴的な存在が1997年に第1作がリリースされたカンパニー松尾監督の『テレクラキャノンボール』シリーズだ。 2020年、新型コロナウィルスによるパンデミックが世界を襲い、セックスという人間と人間のもっとも濃厚な接触によって成り立つAVは危機的な局面を迎えた。その、もっとも困難なタイミングで、「こんな時期だから撮れる企画」という提案に応え――

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ストリップ小屋に愛をこめて

最近ストリップに女性ファンが増えているのをご存じのかたも多いと思う。ストリップが日本で始まったのは終戦直後の昭和22(1947)年なので、もう70年以上の歴史ということになる。1986年には全国に174館のストリップ劇場があったそうだが、現在も営業を続けるのは16館あまり。そういう絶滅間近のタイミングで女性ファンが増えているという現象もすごく興味深い。 ストリップが「踊りながら裸を見せる」芸能から、女性器オープンという新たな段階に突入したのが1970年代。そして80年代には舞台上で観客と性交する「まな板ショー」をはじめ、レズビアン、SM、獣姦(!)と過激路線がヒートアップしていき、その傾向は1985年の風営法改正まで続くことになる。その、見方によってはきわめてアンダーグラウンドな舞台劇であったストリップの熟成期に、プロデューサーとして活躍したのが写真家でもある川上讓治(ジョウジ川上)さんだ。

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はぐれAV劇場 35『みやびやかなあげまん』 (文:大須蔵人)

現場の大変さをありありと見せつけてくれる作品が、今回紹介する『みやびやかなあげまん』だ。1990年にダイヤモンド映像からリリースされたこの作品の主演は公称1107(イイオンナ)ミリメートルのGカップで巨乳ブームの火付け役となった松坂季実子。この連載でも以前(第10回『ふるさと創性論 季実子の玉おこし』)紹介した伝説級の人気女優だ。 そして本作の監督は大村文武。若い読者はまずご存知ないとは思うが、「月光仮面」の主演として知られ、昭和の時代に多くの映画・テレビ作品に出演した俳優だ。

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はぐれAV劇場 36 『裸だよ全員集合!!』 (文:大須蔵人)

“はぐれAV”をわざわざコレクションして紹介するという活動をしていると、たまに「どういう基準で作品を選ぶんですか?」とたずねられる事がある。 そのことを改めて考えてみると、おそらく僕がセレクトの基準としてきたものは、まず1に「ヌケない」、2に「ドキュメンタリー性」、そして3に「作品性」が挙げられる。これは僕なりに確固とした基準といえるもので、このいずれか、あるいはいくつかを満たす作品を“はぐれAV”として評価しているのだと思う。 でも、もちろん実際には人の数ほど性癖があるわけだから、「ヌケない」の基準とは何だ?ということになってくる。というのも、僕が紹介するようなヘンテコな作品のほかにも、実際のところフェチ系・ビザール系のマニアAVには、一般的にすごく変に見えるものもが結構普通にあったりする。つまり、一見“はぐれAV”に見えるものも、その筋のマニアの方々にとってはたまらなく「ヌケる」作品だったりもするのだ。

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お色気♡場末のシネマパラダイス展~本宮映画劇場@西荻窪!

往年のピンク映画について語られることはあっても、それがどんなふうに地方の映画館で上映されてきたのか、ましてや実演の巡業までもあわせた場末の映画館の実態については、これまでほとんど知られてこなかった。今回はたった3日間、小さなバーでのささやかな展示だが、この貴重なコレクションが、本展を契機にひとりでも多くのひとの関心を呼ぶことを強く願う。

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新連載! 絶滅危惧映像の現在形 ――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション  01 怪奇特集:あなたの知らないホラーAVの世界 妖怪・UMA編 (文:押スノ踏マズ)

ずっと昔、廃墟や秘宝館の取材で知り合ったひとと久しぶりに再会したら、彼女の本業がなんと当時からAVメーカーで、いまも制作を続けていると知ってびっくり。「AV新法とかで現場はいま大変でしょう」と聞いたら、「大変だけど、それでもいろんな作品がいまも出てるし、昔ほどじゃないけど変わったのもときどきあるんですよ」と教えられた。ポルノハブやマイファンズみたいな産直?配信にすっかり押されていると思いきや、いまもAVはDVDやブルーレイ、配信まで含めて、毎月およそ2千タイトル以上の新作が出ている。毎年じゃなくて毎月ですよ! 総務省統計局によると、1年間に出版される本が書籍・雑誌などあわせて約7万冊(2019年)、1ヶ月に約6千冊というから、AVはその1/3から1/2近くに迫っているわけで……もはや発表されるAVをすべてチェックするのはなんびとたりとも不可能! ちなみに新人AV女優は年間3千人がデビューしているとか。日本はいまでも屈指のAV大国だったのだ。

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神戸で桃色映画に浸る3日間!

2018~19年の連載「桃色の罠――日本成人映画再考」から文庫化、先日は大道芸術館で刊行記念イベントも開催した鈴木義昭さんが、「ピンク映画に興味あるけど観る機会がない!」という声に応えて8月30日から9月1日までの3日間、神戸市長田区の神戸映画資料館で特別上映プログラム「桃色映画・パンデミック‼ 2024夏 失われた映画、失われつつある映画、失われるかもしれない映画の3日間」を開催する!

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絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション  02 怪奇特集:あなたの知らないホラーAVの世界 ジャパニーズホラー編 (文:押スノ踏マズ)

肝がキンキンに冷えること間違いなしの納涼AV第2弾いきます。今回は日本の伝統的な幽霊や巫女をモチーフにしたAVをご紹介したいと思います。 カルト映画が好きでよく見るのですが、ホラー映画が怖くて見れないんですよね。カルト映画祭などでは、よくホラーも一緒に上映されたりするんですが、怖すぎるホラーは混ぜないで欲しいと思ってしまう派です。特に日本のホラーって本気でビビらせに来てますよね?観ているだけで呪われそうで……。という体たらくなので、一般作のホラーは『リング』や『らせん』などの有名作でも観たことがありませんでした。 でもAVなら観れるかもしれない……!ということで、日本の怖いAVを観ていきたいと思います。果たして怖さとエロさという正反対に思える生体反応は両立するのか?鬱勃起ならぬ、ビビリ勃起は可能なのか?皆さまも一緒に検証していただければと思います。

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絶滅危惧映像の現在形――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション  03 怪奇特集:あなたの知らないホラーAVの世界 ゾンビ編 (文:押スノ踏マズ)

3回に渡ってお届けしたホラーAV作品も、今回で最終回です。〆はやっぱり……みんな大好きゾンビ作品! ゾンビの歴史を簡単に振り返っておくと、始祖が現れたのは戦前のモノクロ映画『恐怖城』(1932)。世界大戦を挟み世界に平和が訪れても、映画館には脈々とゾンビの血が流れ続け、オカルトエロホラー『死霊の盆踊り』(1965)など、エロと融合したシュールなカルト作なども生み出します。 そしてジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)や『ゾンビ』(1978)が発表され、1970年代には空前のゾンビブームに。

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絶滅危惧映像の現在形 ――どっこい生きてるニッポン特殊AVコレクション まるで秘宝館のようなユーモラスでシュールなAV (文:押スノ踏マズ)

本誌読者にはお馴染みの秘宝館。全盛期には日本に20軒以上もあったそうですが、現在は熱海秘宝館1軒を残すのみとなった昭和エロスの殿堂です。 薄暗い秘宝館に足を踏み入れると、スペクタクルな舞台装置の随所に不気味な動きを繰り返すマネキン人形が設置され、館長の脳内エロ妄想世界が繰り広げられています。周りを顧みず突っ走っていくうちに、余人には計り知れないシュールな設定や、不気味でアンモラルなシチュエーションなどが生み出され、エロスの花が咲き乱れていた秘宝館。 今回は、そんな秘宝館の世界観に通じるAVを掘ってみました。2作品とも面白かったので、ぜひチェックしてみて下さい。

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

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ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

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ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

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ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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