• TOP
  • 無料記事一覧

FREE ARTICLES
無料記事一覧

photography 無料公開中

東京のマルコビッチの穴

不思議な写真を見た。息づまる、というより、ほんとうに息が詰まるような狭苦しい空間が、ずっと先まで伸びていて、それはどこに続くのか、それともどこにも着かないのか・・・。見るものすべてを閉所恐怖症に追い込むような、それでいて難解なSF映画のように異様な美しさが滲み出るそれは、ビルの内部を走るダクトの内部を撮影したものだという。木原悠介は1977(昭和52)年生まれ、36歳の新しい写真家だ。中野区新井薬師の、潰れた写真屋を改造した「スタジオ35分」という小さなギャラリーで、今年8月末から9月初めの9日間だけ開かれた『DUST FOCUS』が、人生初めての個展だった。

続きを読む

art 無料公開中

八潮秘宝館、開張!

告知でお知らせしたように11月13~15日の3日間、稀代のラブドール・コレクターであり、ご本人によれば「写真家兼模造人体愛好家」である兵頭喜貴(ひょうどう・よしたか)が、「自宅秘宝館」として『八潮秘宝館』を一般公開。全国から50人以上のマニアが拝観に訪れたという。兵頭さんが初めて本メルマガに登場してくれたのは2012年3月21日配信号。『人形愛に溺れて』と題したその記事は、葛飾区内の古びたアパートの一室に構築された、驚異の変態人形空間訪問記だった。

続きを読む

photography 無料公開中

日々、常に――オカダキサラの日常写真

東京都心部でもっとも東に位置する街のひとつ、南葛西。旧江戸川を隔てた対岸はディズニーランドのある浦安・舞浜という、トーキョー・イーストエンドである。1980年代に建設された戸数900近い巨大団地にオカダキサラは生まれ、いまも住んでいる。1988年生まれ、27歳の写真家だ。

続きを読む

book 無料公開中

ROADSIDE LIBRARY vol.03 おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち

『秘宝館』『LOVE HOTEL』に続く電子書籍シリーズ「ROADSIDE LIBRARY」第3弾が、ついに来週リリースされる(5月9日予定)。題して『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』。そう、今年2月8日号で特集、予想をはるかに上回る反響を呼んだ北九州市若松のグランドキャバレー・ベラミの歴史と、そのステージを飾った踊り子や芸人たちの写真コレクションである。記事でも200点近い宣伝用写真(ブロマイド)をお見せしたが、今回は発掘されたプリントすべて、数にして約1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載、前の2冊に匹敵する約1.8ギガバイト!というメガ・ボリュームのダウンロード版およびUSB版デジタル写真集としてお届けする。

続きを読む

design 無料公開中

刺青絵師・毛利清二の世界

京都・二条城近くの路地裏にある小さな博物館・おもちゃ映画ミュージアムで、5月1日から「毛利清二の世界 映画とテレビドラマを彩る刺青展」という興味深い展示が開催されている。新聞や週刊誌でも記事が出たので、もう見てきたひともいるかもしれないが、僕はつい最近まで気がつかず、7月28日の閉幕に間に合うようあわてて京都に行ってきた。 よほどの日本映画や時代劇テレビドラマ・ファンでないと毛利清二という名前はなじみがないかもしれない。

続きを読む

art 無料公開中

クイーン・オブ・バッドアート降臨! 前編

つい先月、5月の連休の終わりごろ。世田谷区用賀の都立砧公園はオミクロン株も一段落という気分の老若男女で大賑わい、公園内の世田谷美術館も出版120周年を記念したピターラビット展で活気に溢れていた。その賑わいを横目に僕が向かったのは、閑散とした区民ギャラリーの一室。ここで5月3日から8日までのたった6日間、「女系家族 パート3」という小さな展覧会が開かれていたのだった。

続きを読む

art 無料公開中

クイーン・オブ・バッドアート降臨! 後編

先週号「クイーン・オブ・バッドアート降臨! 前編」で紹介した新開のり子さん。お母さん、お姉さんとともに5月3日から8日まで世田谷美術館区民ギャラリーで開いたグループ展「女系家族 パート3」の様子を先週はお見せしたが、今週はいよいよ本編! 新開のり子さんのビザールな鉛筆ドローイング世界へとお連れする。 新開のり子は1972年東京都港区生まれ、今年50歳。長く暮らす世田谷区内のご自宅に伺い、お話を聞くことができた。

続きを読む

book 無料公開中

探すのをやめたときに見つけたもの

今年1月22日(土)から 4月10日(日)まで渋谷公園通りギャラリーで開催された「Museum of Mom's Art ニッポン国おかんアート村」。いま考えるとオミクロン株が猛威を振るうさなかに、よく全日程無事に開催できたものだと思うけれど(中止になった展覧会もたくさんあったし)、同時期に制作していた作品集がようやく完成。今月30日あたりから書店に並ぶはず(Amazonなどではすでに予約開始)! 書名は「Museum of Mom's Art 探すのをやめたときに見つかるもの」。あえて「おかんアート」という言葉を入れなかったのは、展覧会でプチ炎上したからとかではなくて(笑)、公園通りギャラリーでの展覧会とはまた別物の作品集として見てもらえたら、という思いも込めている。 おかんの辞書に断捨離はない! 来るものは拒まず、去るものも去らせない。とりあえず取っておけば、いつか役に立つ。そしてある日、おかんにひらめきの瞬間が訪れる――アレをああやったら、かわいいのできるやん! こうしておかんアートは生まれた(たぶん)。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

新宿区立総合天然宙屯地  3 大島てる (画・写真・文:小指)

この家に引っ越してきてからしばらくした頃、私は「大島てる(管理人・大島てるさんが管理する事故物件情報共有サイト)」のサイトでこの家のことを少しばかり探りを入れてみたことがあった。ざっくりと、この辺りかな?という場所に地域を選択してみると、近所の新宿一帯は事故物件であることを表す炎マークが大炎上していた。さすが新宿、と思った。変に感心しながら、そこから更に拡大し、我が家のある場所にカーソルを合わせた。すると、どうやら意外なことに、この埴輪ハウスは事故物件には該当していないようだった。怪しい雰囲気の割には、たいしたことは起きていなかったようである。

続きを読む

photography 無料公開中

紅子の色街探訪記

ノスタルジックな遊郭や赤線の残景に惹かれるひとは多いが、8月1日に荒木町のアートスナック番狂わせで始まったばかりの写真展「紅子の色街探訪記」は、ノスタルジーとしての色街風景を並べながら、そこに仄かなノイズのようなものが含まれているようで、「色街写真家」と名乗る紅子さんのことが気になった。 「紅子の色街探訪記」は1ヶ月の会期のうち、8月1日から16日までの前半が「現代に生きる色街」、17日からの後半が「遊郭・赤線・花街の跡地」と題した前後半二部構成の写真展。紅子さんはこれが初めての写真展であり、展示にあわせてつくられた2冊の作品集も、初出版物だという。

続きを読む

art 無料公開中

駐車場の怪物たち

ロードサイダーズにはおなじみ上野・新御徒町mograg galleryで、ただいま塙将良「HANAWANDER BREATH OF THE WILD」が開催中。これまで塙さんの作品は何度か紹介してきたが、作品自体はもちろん、前々から聞いていた彼の制作スタイルがすごく気になっていたので――なにせ工場労働のあと駐車場の片隅にクルマを停め、車内で作品をつくっているという――この機会にじっくりお話をうかがうべく、定宿ならぬ定位置だという千葉某所のケーズデンキ駐車場に、鋭意作業中の塙さんを訪ねた。塙将良(はなわ・まさよし)は1981年茨城県ひたちなか市生まれ、41歳。最近では日本以外にフランスのアールブリュット/ロウブロウ・アート・シーンでも注目を集める作家である。

続きを読む

photography 無料公開中

電子写真集『わたしたちがいたところ』完成!

2016年にリリースしたvol.1『秘宝館』からvol.6『BED SIDE MUSIC ―めくるめくお色気レコジャケ宇宙』までPDFフォーマットで自主制作してきたROADSIDE LIBRARY。しばらくお休みしていましたが、ようやく新作ができました! 『天野裕氏写真集 わたしたちがいたところ』。ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

続きを読む

book 無料公開中

俺たちのブックフェア PABF出展者情報!

お伝えしてきたように、今週末の25、26日PABF=プアマンズ・アートブックフェアを開催します! 同日開催の東京アートブックフェアと較べてみれば、吹けば飛ぶよな弱小イベントですが、しかし!こういう手づくりブックフェアがいろんな場所で、いろんな時期にたくさん立ち上がるほうが、巨大フェアに集約されるより健全なのかも・・・・・・と信じているので、よかったら遊びに来ていただきたいし、同じようなフェアをやりたいな~と思ってる人たちの参考にしてもらえたら、それもうれしいです!

続きを読む

art 無料公開中

追悼 宮間英次郎

“帽子おじさん”宮間英次郎が6月13日に逝去された。1934年12月17日生まれ、89歳の大往生だった。 宮間さんに出会ったのは2004年から06年にかけて月刊誌『サイゾー』で連載した「珍日本超老伝」の取材で、畸人研究学会の海老名ベテルギウス則雄さんにお願いして横浜寿町のドヤを訪ねたとき。「珍日本超老伝」は2007年に双葉社から単行本に、11年にはちくま書房で文庫化されたし、ロードサイダーズ・ウィークリーでは2014年の鳥取アール・ブリュット展にあわせて9月10日号から3週連続で「宮間英次郎物語」を掲載。海老名さんとふたりで聞き書きした、これまでだれにも明かしてこなかった人生の光と闇を語り尽くしていただいた。

続きを読む

book 無料公開中

PABF=プアマンズ・アートブックフェア詳細発表!

TABF=東京アートブックフェアという巨人に挑む一匹のアリンコとして(おおげさ)、11月30日、12月1日の2日間にわたって開催する“おれたちのブックフェア”がPABF=プアマンズ・アートブックフェア。両日とも参加ブースが出そろいました!

続きを読む

art 無料公開中

人形愛に溺れて・・妖しのドールハウス訪問記

オープニングの夜だったか、トークショーのときだったか、いろんなお客さんに写真とラブドールの説明をしていたときに、じっとドールを見つめている、というか睨めまわしているひとりの男性が目に止まった。さっそく近づいていって、「これがオリエント工業という会社の最高級ラブドールで、お値段70万円・・」と得意になって説明しようとしたら、「知ってます、持ってますから」と返されてギャフン。それが「写真家兼模造人体愛好家」である兵頭喜貴さんとの出会いだった。

続きを読む

photography 無料公開中

可愛くて、やがて恐ろしき堕落部屋

今週あたり全国の書店に行き渡っているだろう、話題の写真集がある。先行販売している一部書店やネットでは、すでにかなり盛り上がっているその一冊は『堕落部屋』という。デビューしたてのアイドルだったり、アーティストの卵だったり、アルバイトだったりニートだったり・・・さまざまな境遇に暮らす、すごく可愛らしい女の子たちの、あんまり可愛らしくない部屋を50も集めた、キュートともホラーとも言える写真集だ。実はこの本、僕がオビを書かせてもらっている。ほかの文筆業の方々はどうなのかわからないが、僕にとって他人の本のオビを書くというのは、けっこうプレッシャーのかかる仕事で、ごく親しいひとの本以外はなるべく受けたくない。だから自分の本のオビも、かならず自分で書く。でも、この川本史織という若い写真家の作品集は、ゲラを見せてもらった時点で、なんとかキャッチーなオビを書いてあげたい、という気持ちになった。

続きを読む

photography 無料公開中

シカの惑星

『渋イケメン』と同じく、こちらも誤解されがちなタイトルと裏腹にシャープな視点を持った写真集『しかしか』をご紹介する。「ねこ派? いぬ派? しか派! フシギでカワイイしかの魅力に迫る」なんていう女子っぽい帯文にだまされないように。タイトルどおり、シカを撮った写真集ではあるけれど、ここにあるのはかなりシュールでダークな光景だ。見方によっては『猿の惑星』ならぬ『シカの惑星』という映画のスチル写真集のようでもあるし、ここにいるシカたちは「バンビ」のイメージとはまるで別種の、人間と野生の境界線を自由に行き来する、しぶとく不可解な生物にも見えてくる。みずからを「シカ写真家」と名乗る著者の石井陽子さんは1962年生まれ。53歳でのこれが初写真集だ。

続きを読む

art 無料公開中

そう来たかラッシーくん!

今年6月、金沢21世紀美術館で『川越ゆりえ 弱虫標本』展の公開対談をしたときのこと。終了後にそのまま机を寄せ集めて懇親会が始まって、しばらくしたら「私の作品、見てもらえませんか」と話しかけられた。へ~、どんな絵描かれるんですかと聞いたら、「いえ、自分が描くんじゃなくて、いろんなアーティストのかたにお願いして描いてもらってるんです」という。アーティストにコミッション! 一見、ごくふつうの主婦という感じの方なのに・・・とびっくりしていると、葉書をちょっと大きくしたくらいの紙束をリボンで閉じた画集?を手渡された。表紙には『ラッシーくん作品集』と書かれている。ラッシーくんって? 「あ、うちの愛犬なんです。いろんなアーティストのかたに、ラッシーくんをモチーフに描いてもらったコレクションなんです」と言われ、絶句したまま開いてみると、まさに! 油絵に水彩画、木彫にペーパークラフトまで、さまざまなラッシーくんアートが何十点も集められ、しかもそのほとんどの作品写真が、本物のラッシーくんと一緒に写されている。

続きを読む

book 無料公開中

人生はキャバレーだった――『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』刊行に寄せて

今年1月に銀座の『白いばら』が閉店してからというもの、ちょっとしたキャバレー再評価ブームが起きているようで、ロードサイダーズにもPDF版電子書籍『キャバレー・ベラミの踊り子たち』の写真貸出依頼がけっこう来たりする。書店に行けば往年の有名キャバレーのオーナーや支配人、名物ホステスさんの回想録などが数冊見つかるが、それではキャバレーという空間そのものを記録した書籍がどれくらいあるかというと、ほとんどない。だって、キャバレーそのものがもう、ほとんどないから。なくなってから惜しまれる秘宝館や見世物小屋やオールド・スタイルのラブホテルと同じように、キャバレーもなくなってから惜しまれつつある昭和のポピュラー・カルチャーの仲間入りを果たしたのだろう。「ライフ・イズ・ア・キャバレー」と歌ったのはライザ・ミネリだったが、キャバレーのことも過去形で語らなくてはならない時代がもうそこまで来ている、そういうタイミングでこの3月に『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』という写真集が出版されたのには驚いた。

続きを読む

art 無料公開中

墨汁の錬金術師

よほどインディーズ漫画に詳しいひとでないと、キクチヒロノリという名前にすぐ反応はできないかもしれない。1998年から2000年代の初めにかけて数冊の単行本を発表するが、その後ほとんど活動が知られないまま時が経ち、いま突然、あらたな作品集を発表。その刊行記念展が中野タコシェで開催されることになった。『アルケミカル・グラフィックス=錬金術の図像』というタイトルのとおり、だれも解読できない古代の象形文字で書かれた物語のようにも見える、呪術的なイメージの集積。それは過去の単行本で見ていたポップな作風とかけ離れて、これがどんなふうに、どんな人間によってつくられたのか興味をかき立てるのだが、キクチヒロノリ本人についてはほとんど資料がない。公式ウェブサイトもあることはあるが、最終更新が2011年で止まったまま。その謎めいたキャラクターが気になって、今回は茨城県在住のキクチさんと電話でお話することができた。

続きを読む

art 無料公開中

追悼・ラッシー君

ロードサイダーズのみなさまにはもうおなじみ、金沢在住の主婦アーティスト&コレクター山川博子さんの愛犬ラッシー君。去年になって、あんまり具合がよくないと聞き、動けるうちに山川さんと一緒の写真撮ろう!とか言ってるうちにコロナが始まり金沢に出かけるのを先延ばしにしているうちに、先日「ラッシー君が亡くなりました」というお知らせをいただいた。 山川さんと出会ったのは2017年6月、金沢21世紀美術館の『川越ゆりえ 弱虫標本』展でトークに呼ばれたときだった。そのときのことを書いた2017年10月18日 配信号「そう来たかラッシーくん!」に、こんなふうに書いた――

続きを読む

lifestyle 無料公開中

シブメグの人生小劇場 06 ハルコさんの櫛 (写真・文:シブヤメグミ)

この年末年始、自分でも驚くぐらい忙しかった。この忙しさが、遊び呆けの成れの果てなら大喜びで目まぐるしくなるんだけど、仕事だったから荒んだ。文字通り身も心も。ついでに部屋も荒んだ。ひどいもんだった。「部屋が散らかるとメンタルを病む」って話をよく聞くけど、ほんとにその通りだった。甘く見てました。 この年末年始の私、ありとあらゆるものに対して雑だった。洗濯する暇もなかったので、裸足で出かけて移動中に靴下を買って、それを履くために駅のトイレに入るってのをやった。

続きを読む

photography 無料公開中

顔ハメニストの憂鬱

展覧会のたびに顔ハメ看板を設置しようと提案しては学芸員を困らせている、僕もけっこう顔ハメ好きではあるけれど、このひとにはかなわないと思うのが「顔ハメ看板ニスト」をみずから名乗る塩谷朋之(しおや・ともゆき)さん。2015年に顔ハメ看板行脚の集大成的記録集『顔ハメ看板ハマり道』が刊行された際に、本メルマガでも「穴があればハメてきた――顔ハメ看板ハマり道」(2015年09月09日号)で紹介させていただいた。「おそらく日本でいちばん「顔ハメにハマった男」。これまでハマった穴が2千枚以上!」とそのとき書いたが、すでに6年前なので、いまは何千枚に記録を更新していることか……。 塩谷さんは『顔ハメ看板ハマり道』出版のあと、県別顔ハメ記録集として2019年に第一弾『顔ハメ百景 長崎天領ぶらぶら編』(阿佐ヶ谷書院刊)を発表。そして2年後の今月、第二弾『顔ハメ百景 青森最果てワンダー編 』をリリースした。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

新連載! 新宿区立総合天然宙屯地  1 埴輪ハウスの思い出 (画・写真・文:小指)

「小指」と名乗るアーティストと出会ったのは1年ほど前だった。音楽の印象を絵にするというシリーズの展示で、その奇妙な美しさに惹かれつつ、自費出版でつくってきたイラスト入りの旅日記には、淡々とした文章のなかに、若さに似合わぬつげ義春的な昭和の哀愁が隠れていて、すっかり感心してしまった。こういうひとがメルマガに参加してくれたらいいな~と思い、喫茶店でおしゃべりしているうちに、むかし住んでいたという新宿のアパートの話にこころをつかまれ、寄稿をお願い。それからしばらく連絡が途絶えてしまい、どうしたんだろうと思っていたところ、友人の展覧会場で偶然再会。「あれからいろいろ書いてみたんですけど、書きたいことがありすぎてまとまらなくて……」と言うので、まとめなくていいからとにかく送ってください!と強くお願いしたら、4万字近い長編原稿を届けてくれた。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

新宿区立総合天然宙屯地 2 じいさんの埴輪 (画・写真・文:小指)

 ここに住み始めてから一ヶ月ほど経ったある日、驚くべき事実を知ることとなった。なんと、あのいつも家の周りに置かれている大量の埴輪は、全て下の階に住むじいさんが自作しているものらしいというのだ。ただの度を超えた埴輪好きとしか認識していなかったので、まさかこんな職人、というか芸術家だったとは、全く想像もしていなかった。大家いわく、この家にはもう何十年も前から住んでいて、こうして一人で埴輪を作りながら生活しているのだという。家族は別の場所に住んでいるらしく、ここはアトリエのように使っているようだ。こんな人は、探そうと思ったってなかなか見つけられるものではない。私はすっかり一階のじいさんに対して尊敬の念を抱くようになった。  私はじいさんのことを、尊敬と親しみをこめて「埴輪のじいさん」と心の中で呼ぶようになった。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

新宿区立総合天然宙屯地 4  埴輪ハウスに集う動物たち (画・写真・文:小指)

最初の異変に気づいたのは、ここへ引っ越して間もない頃のことだった。ひとりで部屋にいると、天井裏から「パタタタ……」と小さな足音のようなものが聞こえるのだ。私はテレビの音を消し、耳をすませた。  パタタタタ……  やはり何かがいる。だが、この家には私と埴輪のじいさんしかいないはずだ。一瞬、江戸川乱歩の小説「屋根裏の散歩者」のような屋根裏を徘徊するじいさんの姿を想像したが、下の階からジャーっとトイレを流す音がしたので、やっぱり上から聞こえてくる足音はじいさんのものではないようだ。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

シブメグの人生小劇場 29  仰げば尊し (写真・文:シブヤメグミ)

お元気ですか? 先生が亡くなって何年目なのかなあ。 「俺が死んだあと、命日をもうひとつの誕生日みたいにしないでくれよな」 ホスピスに初めてお見舞いに行った日の帰り際、そう言ってましたよね。 先生、笑顔だったけどすごくすごく真剣な声だった。 私、ゾッとしたんですよ。 でも、だからこそ、死んでから何年目かな?なんて一度も数えてないです。 中学校に入学した私のクラス、1年1組の担任。 それが出会いでした。

続きを読む

photography 無料公開中

浴槽というモノリス

ご承知のとおり僕はよくトークをやるけれど、それはなにも人前で話すのが好きとかではなくて(ほんとに!)、トークの場でいろんなひとと知り合えるから。終わったあとに「うちのそばにもこんな場所がある、こんなひとがいる」と教えてくれたり、「こんな絵を描いてるんです、写真を撮ってるんです」と作品を見せてもらえることがたくさんあり、それはネットよりもずっと貴重な情報やアドバイスになってくれる。牧ヒデアキという写真家とも、そうやって知り合った。牧さんは1971年生まれ。三河湾に面した愛知県西尾市で、建築設計の仕事をしながら、ずっと写真を撮っている。あるトークのあとで分厚いアルバムを見せてもらったのだが、そこには路傍に打ち捨てられたポリやステンレスの浴槽ばかりが写っていた。

続きを読む

photography 無料公開中

つめたくてあたたかい浴槽

たとえば「道に寝てる酔っ払い」とか「田舎の案山子」とか、ひとつのテーマをしつこく追い続ける写真家を、このメルマガではいろいろ紹介してきた。2014年10月22日号「浴槽というモノリス」で特集した牧ヒデアキさんは、路傍にうち捨てられたポリやステンレスの浴槽をしつこく撮っている「浴槽写真家」だ。牧さんは1971年生まれ。三河湾に面した愛知県西尾市で、建築設計の仕事をしながら、2009年から写真を撮っている。これまで何度か展覧会を重ね、小冊子をつくり、とうとう自費出版で写真集『浴槽というモノリス』を発表することになった。届いた写真集はA5サイズの小ぶりなサイズ、しかしポリ浴槽そのものの淡いブルーに丸く落とした角(何冊か重ねると浴槽のように見える!)、そして浴槽に溜まったお湯のように、表紙の写真にブルーの枠が糊付けされているという凝った造本だった。

続きを読む

food & drink 無料公開中

はばたけ!宴会芸! 第4回「遠野見聞録」 (日本宴会芸学会)

日本宴会芸学会研究員の塩見と申します。サラリーマン稼業の傍ら「宴会芸と組織論」をテーマに研究しています。この度、機会を頂き岩手県遠野市での宴会芸フィールドワーク研究を行ってまいりました。御手洗会長、キャリア英子さんのような先輩研究者の後に甚だ僭越なのですが、皆様の宴会芸研究のお役に立てば、という想いでここで研究報告させていただきます。遠野まつりとは、柳田國男大先生の「遠野物語」で有名な岩手県遠野市のお祭です。毎年9月の第三週の土日に開催されています。遠野の郷土芸能である南部ばやし、しし踊り、神楽、さんさ踊り、田植え踊り、神輿などが披露されます。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

シブメグの人生小劇場 08 Oh!ヨーコ (写真・文:シブヤメグミ)

2月18日のDOMMUNEは、私にとって大切なDOMMUNEだった。 タイトルは『音楽の現場、もう限界です』。 その日、付けられたメインのハッシュタグは、 #WeNeedCulture #失くすわけにはいかない #SaveOurPlace #音楽の現場 この4つ。 他にもこの1年間に生まれたハッシュタグがたくさん付けられていた。どれも振り絞った叫びであったり、暗闇の中、絶望という針の穴に希望という糸を通すような気持ちが込められていた。

続きを読む

photography 無料公開中

気配の写真――酒航太『ZOO ANIMALS』

中野のすぐ隣とは思えない静かな(ひなびた)新井薬師駅かいわい。もともと写真屋さんだった店舗を使ったギャラリー&バー「スタジオ35分」は、これまで何度もメルマガに登場してもらった。写真屋時代の看板の「プリントスピード仕上げ35分」から、「プリントスピード仕上げ」の部分を削っただけという「35分」のネオン看板。しかもギャラリーなのに夜しか開かず、隣接のバー(もとラーメン屋)との壁をくり抜いたのでギャラリーからそのままバーカウンターに移動・飲酒可能という、いろいろユニークなギャラリーだ。 店主の酒航太(さけ・こうた)は1973年生まれ、サンフランシスコ・アート・インスティチュートを卒業した写真家であり、自身の制作を続けながら、2014年からスタジオ35分のギャラリーを運営、カウンターにも立っている。

続きを読む

lifestyle 無料公開中

新宿区立総合天然宙屯地 5 最終回  埴輪のじいさんに弟子入りする (画・写真・文:小指)

そういえば私は一度だけ、埴輪のじいさんのところへ弟子入りを考えたことがあった。このままバイト生活を続けていても将来になんの展望もないことに悲観し、いつにもまして精神的にどん詰まっていた時期だったように思う。  周りの知人は結婚して子供を産んだり、仕事もそれなりの立場になっているというのに、私は将来の糧にもならない仕事で日銭を稼ぎながらじいさんたちと悠長に暮らしている。本来の目的である画家の夢も、無計画に掛け持ちしたバイトで絵を描く時間すらなく完全に本末転倒になっていた。今更ながら、私は「自分の今の状況は相当やばいんではないか」と焦りだしたのだった。

続きを読む

photography 無料公開中

女子部屋――川本史織と女の子たち

ずっと昔、こんなふうに中国が開ける前の北京に通っていた時期があった。そのころ北京でいちばん大きな書店に行くと、一冊の本に群がる男たちを仏頂面の店員がにらんでいて、いったいなにを見てるのかと思ったら、それはデッサン用の「人体ポーズ集」だった。なぜそれが?と手に取ってみると、小汚い白黒印刷のページには、ちょっとくたびれた全裸の白人モデルがいろんなポーズを取っていて、ようするに北京の男たちはそれをエロ本(というものは存在しなかったから)に代わる貴重なネタとして凝視していたのだった。2013年1月に川本史織の『堕落部屋』という写真集を紹介したことがある。「デビューしたてのアイドルだったり、アーティストの卵だったり、アルバイトだったりニートだったり・・・さまざまな境遇に暮らす、すごく可愛らしい女の子たちの、あんまり可愛らしくない部屋を50も集めた、キュートともホラーとも言える写真集」と書かせてもらったが、その川本さんの第二弾写真集が『作画資料写真集 女子部屋』というので、もう20年以上も前の北京の思い出が甦ったのだった。

続きを読む

art 無料公開中

八潮秘宝館 春の一般公開!

「秘宝館が絶滅寸前」と嘆く諸氏は多いけれど、ならば自宅に秘宝館をつくればいいだけ!という、日本でおそらくただひとりの勇者・兵頭喜貴さん。すでに本メルマガではおなじみだが、自宅を開放する『八潮秘宝館』の4回目となる「春の一般公開」が今月末からの黄金週間に開催される。昨年、ロケーション撮影中に大規模な盗難に遭ったものの、同志の支援により別府秘宝館に展示されていた蝋人形3体が参加し、これまでとはまたひと味違ったインスタレーション空間に仕上がっている。

続きを読む

food & drink 無料公開中

新連載! はばたけ!宴会芸! 第1回「羅漢だ羅漢だ」(文:御手洗太)

ロードサイダーズのみなさまにはおなじみ『隙ある風景』のケイタタさんが、「めちゃおもしろい会社の後輩がいるんです」と教えてくれた。ケイタタさんにそこまで言わせるとは!と聞いてみると、「最近コンプライアンスなどなどで消えゆく日本の宴会芸を保存、発掘し、後世につなげようとする『日本宴会芸学会』というものを主催しているものたち」なのだという。宴会芸……たしかに絶滅危惧種かも! そして「消えゆく大衆文化」といえば、本メルマガで取り上げないわけにはいかないですよね。さっそくお会いして執筆をお願い、これから6回にわたって連載をしていただくことになった。月にいちどくらいのペースで、消えゆく宴会芸の奥義を教えていただく予定。今年末の忘年会シーズンまでには最終講義が終了の予定なので、各自研鑽に励んでいただきたいと願いつつ、第1回の開講!

続きを読む

food & drink 無料公開中

はばたけ!宴会芸! 第2回「カッパふみふみ」(文:御手洗太)

前回ご紹介した明治の文献『宴会お座敷芸(1911)』には、日本古来の「あはれ」の精神を感じさせる演目が数多くありました。当時、宴会芸とは「喝采」を得るためのものであり、大人にとって不可欠な教養だと考えられていたことを、皆さんはすでに学んでいます。今回はその続きとして、戦後日本の宴会芸を解説して参ります。

続きを読む

food & drink 無料公開中

はばたけ!宴会芸! 第3回「人間カクテルシェイカー」(文:キャリア英子)

第1回、第2回での20世紀宴会芸史から、さらにフォーカスを絞りまして、バブル時代の宴会芸というものについて今回は語りたいと思います。宴会芸の歴史において、バブル期宴会芸は大変重要な研究対象です。しかしながら、バブル期宴会芸に厳密な定義はございません。80年代末の空前の日本経済の狂乱から、その後の「バブルがはじけた」と呼ばれる失速までの間に生まれ、実践された宴会芸を「バブル期宴会芸」と呼ぶ、という厳密な歴史主義をとる研究者もいれば、より広範に、いわゆるバブルを感じさせるものをバブル期宴会芸と呼ぶという向きもあり、これは日本宴会芸学会としても議論が尽きぬところであります。バブル期宴会芸研究としての私の立場は後者、バブルを感じさせるもの、というスタンスを取っています。それと言いますのも、バブルは数年間の出来事でしたが、当時を生きていた人々はその後も長らく日本の社会の真ん中に居続け、宴会の主役であり続けたからです。

続きを読む

food & drink 無料公開中

はばたけ!宴会芸!  緊急寄稿「リモート宴会芸に関する研究」 (写真・文 日本宴会芸学会)

はじめまして!ロブスター夫人です。ちょっと前までただのお裁縫好きな30代主婦(エビ好き)だったのですが、ひょんなことから日本宴会芸学会のお手伝いをするようになり、絶滅危惧宴会芸の研究などで衣装・小道具を担当してきました。近頃では、古典宴会芸を現代によみがえらせるパーティグッズ開発にいそしむなど、すっかり宴会芸の沼にはまっております。歴史ある日本宴会芸学会の中ではまだまだ若輩者ではございますが、御手洗会長からご指名をたまわり、今回の記事を書かせていただくことになりました。さて、日本宴会芸学会における喫緊の課題といえば、お察しの通り「リモート飲みにおける宴会芸=リモート宴会芸」でございます。ステイホームが浸透する中で、ズームなどのテレビ会議ツールを利用したリモート飲みは日本中に瞬く間に広がりました。私たちとしてもこれは一つの宴席のあり方として定着するのではないかと思っております。

続きを読む

art 無料公開中

LIFE ―― ある家族(と犬)の情景

2022年6月1日号、8日号の2週にわたって紹介した「クイーン・オブ・バッドアート降臨!」。そこで取り上げた衝撃の鉛筆画家・新開のり子さんは、すでにロードサイダーズのみなさまにはおなじみだろう。向島の大道芸術館にも彼女の作品がすでに2点展示されている(秋から増える予定!)。去年の記事ではその年の5月の連休に世田谷美術館の区民ギャラリーで開かれた「女系家族 パート3」の会場で、新開のり子さんに会えたことを書いたが、あれから1年ちょっと経った今年8月初めに同じ世田谷美術館区民ギャラリーで「女系家族 パート4」が開かれた。

続きを読む

photography 無料公開中

なにげなく愛おしい街で――オカダキサラ新作写真集

2015年12月16日号「日々、常に」で特集したオカダキサラ。1988年生まれ、東京南葛西の団地に住み、美大と写真専門学校で学んだあと、不動産の写真を撮る会社に勤めながら、一眼レフに50ミリの標準レンズをつけて、東京中を歩きまわってはストリート・スナップを撮ってきた。2016年に最初の写真集『©TOKYO 全てのドアが開きます』を発表してから、3年ぶりとなる2冊目の自費出版写真集『©TOKYOはなぞのぶらりずむ』が4月にリリースされた。

続きを読む

photography 無料公開中

オカダキサラと2020年の日常写真

2015年12月16日号「日々、常に――オカダキサラの日常写真」で紹介したスナップ・フォトグラファー、オカダキサラの3年ぶりになる個展が、「許曉薇(シュウ・ショウウェイ) 花之器」に続いて馬喰町KKAGで4月8日からスタートする。ストリート・スナップといえば富士フイルム+鈴木達朗のCMが大炎上、公開後数時間で削除されるという情けない事件があったばかり。僕が写真を好きになったころは「キャンディド・フォト」なんて便利な言葉があったものだが、「出会い頭に勝手に撮る」という行為は、いまやなかなか難しい時代になってきた。僕自身も無許可撮影になってしまうことが少なくないので、今回の炎上は他人事ではない。相手が嫌がってるのに無言で逃げるというのはナシでしょ、というのが素直な感想だが、このジャンルにはニューヨークの悪名高いスナップシューター、ブルース・ギルデン(Bruce Gilden)という先人がいるので、イラつきたいひとは検索してみてください。

続きを読む

travel 無料公開中

ヨモギの精霊ヨモダンちゃん降臨祭!

いまはほぼ消滅した秘宝館を惜しがるひとは多いけれど、「なければ自分で作ればいいでしょ!」と、自宅を秘宝館にしてしまった怪人・兵頭喜貴の「八潮秘宝館」。すでにロードサイダーズではおなじみのミステリー・スポットであります。で、そろそろ外出規制緩和というタイミングで「初夏の臨時開館」のお知らせが館長より届きました。テーマは「ヨモギの精霊ヨモダンちゃん降臨祭」。なんとハルクみたいな緑色の、異色肌のラブドールをフィーチャーした特別展です!

続きを読む

travel 無料公開中

幼児に還るお正月@八潮秘宝館

秘宝館の絶滅を嘆くひとは多いけれど、「なら自分でつくればいいじゃん!」という単純明快な真理に則って、自宅を秘宝館にしてしまった兵頭喜貴の『八潮秘宝館』。すでに本メルマガではおなじみだが、その「第5回一般公開」が年明け1月1日元旦!より約1ヶ月間(仕事が休みの日のみ)、にわたって開催されることが決定した。今回のテーマは『幼児プレイルーム・未熟園再稼働』・・・かつて高円寺でひっそり営業していた伝説の幼児プレイルームを、「独自解釈で再現し、再稼働させる」という、これまでに増してビザールな試みとなる。ロードサイダーズ読者に「幼児プレイ」をどう説明したらいいのか・・・僕自身よくわかってないので、プレイルーム「未熟園」営業時に見学の経験を持ち、その閉店にも立ち会った兵頭館長に、僕ら初心者のための解説をお願いした――。

続きを読む

  • TOP
  • 無料記事一覧

月別バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY
天野裕氏 写真集『わたしたちがいたところ』
(PDFフォーマット)

ロードサイダーズではおなじみの写真家・天野裕氏による初の電子書籍。というか印刷版を含めて初めて一般に販売される作品集です。

本書は、定価10万円(税込み11万円)というかなり高価な一冊です。そして『わたしたちがいたところ』は完成された書籍ではなく、開かれた電子書籍です。購入していただいたあと、いまも旅を続けながら写真を撮り続ける天野裕氏のもとに新作が貯まった時点で、それを「2024年度の追加作品集」のようなかたちで、ご指定のメールアドレスまで送らせていただきます。

旅するごとに、だれかと出会いシャッターを押すごとに、読者のみなさんと一緒に拡がりつづける時間と空間の痕跡、残香、傷痕……そんなふうに『わたしたちがいたところ』とお付き合いいただけたらと願っています。

特設販売サイトへ


ROADSIDE LIBRARY vol.006
BED SIDE MUSIC――めくるめくお色気レコジャケ宇宙(PDFフォーマット)

稀代のレコード・コレクターでもある山口‘Gucci’佳宏氏が長年収集してきた、「お色気たっぷりのレコードジャケットに収められた和製インストルメンタル・ミュージック」という、キワモノ中のキワモノ・コレクション。

1960年代から70年代初期にかけて各レコード会社から無数にリリースされ、いつのまにか跡形もなく消えてしまった、「夜のムードを高める」ためのインスト・レコードという音楽ジャンルがあった。アルバム、シングル盤あわせて855枚! その表ジャケットはもちろん、裏ジャケ、表裏見開き(けっこうダブルジャケット仕様が多かった)、さらには歌詞・解説カードにオマケポスターまで、とにかくあるものすべてを撮影。画像数2660カットという、印刷本ではぜったいに不可能なコンプリート・アーカイブです!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.005
渋谷残酷劇場(PDFフォーマット)

プロのアーティストではなく、シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。

これまでのロードサイド・ライブラリーと同じくPDF形式で全289ページ(833MB)。展覧会ではコラージュした壁画として展示した、もとの写真280点以上を高解像度で収録。もちろんコピープロテクトなし! そして同じく会場で常時上映中の日本、台湾、タイの動画3本も完全収録しています。DVD-R版については、最近ではもはや家にDVDスロットつきのパソコンがない!というかたもいらっしゃると思うので、パッケージ内には全内容をダウンロードできるQRコードも入れてます。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

amazonジャパン


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン