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AFTER HOURS
編集後記

2012年03月14日 vol.010

今週もまた長~いメルマガ、読んでいただいて感謝です! あまりに異例のボリュームのため、はたまたきわどい内容も多いため、「届いてないと思ったら、迷惑メールにふりわけられてた」というお知らせをよくいただきます。水曜朝に受信フォルダに入っていない場合は、まず迷惑メール・フォルダを確認していただけると見つかる場合がほとんどだと思われますが、そんなめんどくさいことしなくてもすむような小ワザ・ガイドをただいま制作中。すぐにお届けできると思いますので、迷惑メール扱いされた経験のある方は、いちど試してみてください。

今年の3月11日、みなさんはどう過ごされましたか。ニュース特番の映像を見て、あらためて悲しみと怒りに打ちのめされたひとも多かったと思います。僕はその日、東京電力福島第一原発から北に約50キロ、福島県相馬郡の海岸線を走り回ってました。

15日(木曜)発売の週刊文春に掲載される「11人の写真家が見た2012年3月11日」というグラビア企画に参加したのですが、15メートルから20メートルの津波に襲われた海岸線は、丸一年たったいまも荒涼として、とても「復興」とかいう言葉がでてくるような状況ではありません。ようやく瓦礫の撤去作業が進んで、住宅があったところが、泥だらけの更地になったていどです。海水が押し寄せたまま、出口がせき止められて池のようになったままの田畑もたくさんあり、地面はすでにたっぷり塩を含んでしまってるでしょうから、いったいいつになったら元の姿に戻る日が来るのでしょうか・・。

そういえば珍日本紀行で全国を回っていたころ、雲仙普賢岳の1991年の大噴火による火砕流・土石流で埋まった町が、そのまま観光スポットになっていたことがありました。観光客がバスでやってきて、火山灰や土砂で1階部分が埋まった家屋の屋根に登って記念写真を撮ったりして、近くの売店で「噴火まんじゅう」とかを買って帰っていく・・。でも、これだけの火山灰や土砂で埋まってしまったら、すべてを取り除いて農地として再生するのは事実上不可能なので、「噴火被災観光地」になる以外に方法はないんですよね。今回の大震災で津波に襲われた沿岸部でも、場所によっては元どおりに再生するのが困難を極めるところが、たくさんあると思います。

瓦礫が取り除かれて、家屋の土台部分があらわになった場所で、元の住民であろう方々が花を供えたり、手を合わせている姿を、11日の昼間にはたくさん見ました。同時に、とにかく現地を見てみたいという、住人以外の訪問者もたくさんいました。でも、それでもいいと僕は思ってしまいます。興味本位でもいいから被災地を見に行って、写真を撮って友達に見せたり、近くの食堂でご飯食べたり旅館に泊まったり。大げさなボランティア・プロジェクトでなくても、そうやって少しずつ現地にお金を落としながら、記憶を失わないようにすること。しょせん、被災地のほんとうの痛みが体感できはしない余所者にとって、ほかにどんなことが、これからできるのでしょうか。

来週は硬軟というか、明暗というか、清濁というか、奇妙な取り合わせのアート特集をたっぷりお送りする予定。新刊の案内もありますので、お楽しみに!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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