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AFTER HOURS
編集後記

2016年03月02日 Vol.202

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! 気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

先週までの怒涛のトーク・ツアーも一段落・・・といっても土曜日にはトーキョーワンダーサイト本郷で、バロン吉元さんとの公開対談がありますが。

先週は金曜日に浅草橋で写真家の金川晋吾さんと、土曜日に西荻窪で写真家・紙屋育宏さん、日曜日も西荻窪で作家の森永博志さんと3つのトークがあり、いろんな話で盛り上がりました。参加いただいたみなさま、どうもありがとう!

金川晋吾さんの写真展『father』は、ある日突然いなくなったりする「蒸発」気味のお父さんに寄り添い、撮り続けたシリーズ。借金をこしらえたり、無気力そのものの日々を過ごしたり、そういう世間的にはかなり「負け組」のお父さんを、半分心配しながら、半分思いやりながら写真にしている、それはけっこうシリアスな作品なのですが・・・。

金川さんのお話を聞いたり、写真を見たりしているうちに、僕自身は「こういう生活、そんなに悪くないかも!」と思い始めてしまいます。家族に借金の肩代わりしてもらったり(しかしそんなに高額ではない)、仕事もしなかったり(でもときどきはする)、息子に生活保護の申請もしてもらいつつ、心配して見に来た息子に「帰る前にいくらか置いてって」とお小遣いもねだり、てきとうな公団アパートに落ち着いて、気が向いたらふらっと何日でも原チャリでどっかに消えて、服装もインテリアもまったく気を遣わないで、食べ物もどうでもいいけれど、行きつけのスナックはあって、ママとデュエットする持ち歌もある。そういう「すべてがどうでもいい」無気力生活が、迷惑を受ける側の家族や、若い世代の人間には歯がゆく思えるのかもしれない。

でも、そういう「向上心」というようなものから完全に解き放たれた日々というのが、この歳になるとなんだかすごく羨ましくも見えてくる。そうなると、『father』という写真の見え方も、かなり違ってくる。そんなお話をしたら、若い金川さんは「そうかなぁ~」と半分納得の感じでしたが、けっきょく作品の見方なんて、見る側ひとりひとりによって違うし、ひとりの人間でも若い時と年取った時、うまくいってる時と辛い時、元気な時と疲れた時でぜんぜん違ったりもする。「これが正しい」というひとつの見方なんて、ありえないっていうことでもあります。

たとえば中学校の修学旅行で京都に行ったとする。とりあえず金閣寺とか見て、「ふ~ん」と写真くらいは撮るけれど、気持ちは一刻も早く街なかで遊びたくてしょうがない。20歳になると、今度は生意気盛りで「やっぱ金閣より、銀閣のが渋いよな」なんて言ったりする。でも、40くらいになって、身も心もずいぶんくたびれてきた、そういう時に金閣寺に対面すると、異様な感動に襲われて、動けなくなったりする。

美術でも音楽でも文学でも一緒で、鑑賞する側の状態によって、受け取り方は毎回異なるということ。だからほんとうに優れた作品というのは、いつも同じ感動ではなくて、いつでも前回と違う感動を与えてくれるもの。そうやって何度読んでも、何度聴いても飽きない作品というのがあるのだと思うし、そういう作品をいくつか持っていられたら、すごくいい。

旅行のとき、僕はKindleに世界の名作文学みたいなのをいっぱい入れて持っていきます。『戦争と平和』とか『罪と罰』とか「夏目漱石全部入り」とかを。東京で忙しくしている時に、そんなのを読める時間は持てないけれど、ふと、いつもと違う場所で、いつもと違う時間を過ごしている時に、「高校のころ読んだきり」みたいな世界の名作を再読してみると、やっぱり異様な感動に襲われたりする。15歳のガキにこんなの、わかるわけなかったよな~と。

読んだことある、見たこと、聴いたことある、なんて意味ない。新しいなにかに接するのはいつも楽しいけれど、ものすごく古い、自分ではわかってるつもりのものをふたたび手にとって、ぜんぜんわかってなかったと知ること。それもまた楽しい体験だと、まあ当たり前のことを「人生にやる気ないお父さん」の写真を眺めながら、つらつら思ってしまったのでした。

もしかしてこれって、年取ったってこと?

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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