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AFTER HOURS
編集後記

2012年03月28日 vol.012

今週はタイ特集をお送りしました、いかがだったでしょうか。アジアの国はぜんぶ好きなのですが、バンコクにしばらくアパートを借りていたこともあるくらい、タイには思い入れがあって、ほんとはこの10倍ぐらい紹介したい場所やお話があるのですが・・そればっかりやってるわけにもいかないので、またゴールデンウィークか夏休み前ぐらいのタイミングで、第2弾をやらせてください。そしてタイ特集があまりに長編だったので、今週お送りする予定だった「ヴァニラ画廊・ぴんから体操展」の紹介は、来週に持ち越させてもらいました・・申し訳ないです。

知らない街を歩いていて、たとえば道に迷って立ち止まったところが画廊だったとか、冷房を求めて入ったビルの壁にかかってた絵だとか、偶然に行き当たった展覧会や作品に惹かれることがよくあります。そういうのがときとして、ちゃんと調べて訪れる美術館よりもこころに残ったりもします。

今回のタイ旅行でも、そんなことがありました。テレビの撮影が終わったあと、クルーと離れてひとり中華街を歩きまわっていたときのこと。暑さと騒音でへとへとになってタクシーを捕まえようとしたら、夕方のラッシュ時でまったく空車が見つからず、どうしようと思ったところが古い銀行のビル前。ふと見たら「3階のギャラリーで展覧会開催中」という一文を添えた、渋い老人の肖像画のポスターが外壁に張ってあるではないですか。

クルーンタイ銀行という、タイで2番目に大きな銀行の元本店だというその建物にふらふら入ってみると、冷房最強! 生き返った気分で、お手洗いを借りるついでに3階まで上がってみたら、そこが広々としたギャラリー空間でした。



開催中だった展覧会はジラサック・アヌジョン(Jirasak Anoujohn)という1976年生まれのタイ人画家による、「Time and Faith」という展覧会。まったくひと気のない空間の壁面に、老人たちを木炭で描いた大判のポートレートがずらりと並んでいます。皺の一本一本まで、溜息の出るほど綿密に描かれた画面は、古風でありながら素晴らしくリアルで、込められた思いが伝わってきます。うっとりと眺めながら展覧会場を歩いていたら、知らないうちに30分あまりが過ぎていました。

このメールマガジンでも、いつかちゃんと書きたいと思っているのですが、いま、いわゆる「現代美術」とはまったく正反対の位置にある、きわめて古典的な写実画が、驚くほどの人気を集めるようになっています。清楚なモデルが、清楚な服を着て窓辺に立ってるだけ・・みたいなアナクロきわまる肖像画が、ときには現代美術の有名作家の作品よりぜんぜん高価だったりして、かなり興味深いのですが、現代美術業界のひとたちは、このトレンドをどう見ているのでしょうか。

たとえば音楽だと、最新流行のダンス・ミュージックに熱中するひともいれば、昔ながらのブルースやロックにしか興味ないひともいて、でもそこに優劣はないというか、「古い曲をやってるからダサい」とは思われないですよね。でも、美術の世界ではなぜか、古いスタイルで作品をつくっている画家は、「時代遅れ」の一言で片付けられがちです。

iTunesのようなデジタル・アーカイブは、音楽における「トレンド」とか「歴史性」というものを、完全にリセットしました。たとえばビートルズのLPを中古屋で探して買えば、角がすり切れたジャケット自体に歴史が刻まれていたわけですが、iTunesに入ってしまえば、そんなの関係ありません。何世紀も前の音楽も、2012年の新曲も全部、等価値、同じレベルでリストに並ぶだけ。それをシャッフルして聴いていくのは、デジタル以前には絶対にできなかった、すごく刺激的な音楽体験でもあります。

だからこそこれから、そしていますでに、音楽の世界では「次のトレンドはこれ」みたいなのがなくなりつつあるわけで、それはもしかしたら、デジタルがなしとげた最大の革命なのかもしれません。そして美術の世界でも、同じことが確実に起こるはず。というか、すでにもう、そういう「リセット作業」は始まっているのに、評論家や学芸員や、金持ちコレクターたちだけが気がついてないだけなのかもしれません。

来週はタイを離れて、日本の田舎のシャッター商店街をさまよう予定。ご期待ください!

都築響一

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ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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